◆−タブー−東智華(4/17-21:24)No.6612
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6612タブー東智華 4/17-21:24


 言えない言葉がある。
 言ってはいけない言葉がある。
 言いたい言葉がある。
 苦しくて思わずこぼれ落ちてしまいそうな言葉。
 でも言えない。
 言えるはずがない。
 自分にそう戒める。
 こんな事は言えない。
 言ってはいけない。
 それは禁忌の言葉。
 自分が自分に課した戒め。
 それに縛られる。
 何故あの人は自分ではないのだろう。
 何故あの人はあの人たることを望むのだろう?
 何故自分は自分なのだろう?
 世界は矛盾に満ちている。
 永遠に説けないメビウスの輪。


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6613タブー東智華 4/17-21:37
記事番号6612へのコメント

 かつんかつーん。
 北の山脈。
 氷に覆われた神殿に足音が響く。
 豪奢な金髪の主はそこにいる闇色の髪の主に傅く。
「魔王様」
 獣王はそう呟く。
 誰よりも美しい魔王。
「ご不自由を・・・」
 思わず涙ぐむ。
「お待ちください。是非私このゼラスが貴男の望みを叶えます」
『ゼラス』
 心に響く低くて深みのある美声。
 そう、ルビー・アイの声。
「魔王様っ!?」
 振り返り、魔王を見る。
「どうだ?調子は?」
「はい、つつがなく進んでおります」
『もう、我が腹心も冥王が逝き、魔竜王が逝き、残るはお前と海王と覇王だけになった』
「はい、わかっております」
 そう、答える。
「是非、あなた様の期待に添うように」
 そう言ってゼラスはその計画のため名残惜しそうに去っていった。



「本当に解っているのか?私の真意を。我が子よ」
 誰もいない空間で悲しそうに魔王が呟く。
 本当は言ってはいけない言葉。
 何故なら彼は魔王なのだから。
 言ってはいけない。
 解っている。
 それでもこの気持ちは止められない。
 何故感情などと言うものがあるのだろうか? 

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6659タブー東智華 4/25-15:48
記事番号6613へのコメント

「ゼロス」
「何でしょうか?ゼラス様」
 いつもの喰えない微笑み。
 確かに私が作ったもの。
「リナ=インヴァースを・・・」
 ゼロスの笑顔が凍り付く。
「殺せ、ですか」
 ゼロスの感情が伝わってくる。
 前進で嫌だと訴えているのが解る。
「仲間に・・・それができなければしょうがないでしょうね」
「そうですね。リナさんも魔族に大打撃を与えてくれましたし、赤の竜神の騎士の妹だしここらで手を打っておかなければなりませんね」
「まるで最初から殺すようなことを前提にしているのだな」
「ええ、そうですね。リナさんは魔族にはならないと思いますので」
 淡々と語るゼロス。
 それ故に痛ましい。
 それでいいの?
 思わず問いつめたくなる。
 もういいの。
 やめて。
 そう言いたくなる。
 だが、それはできないことだった。
 自分は魔族だから。
 あの魔王の傍らにいることを選んだのだから。
「それでは行って参ります」
「ええ」

「息子より自分の恋を選ぶなんて 悪い母親ね」
 そうぽつりと呟いた。
 ゼロス、こんな母親に見切りをつけていいのよ。
 言えないが言いたい言葉。