◆−看病−メイメイ(5/9-11:01)No.6769
 ┣甘いです。−庵 瑠嬌(5/9-16:38)No.6771
 ┃┗あなたこそ、いつも甘くていらっしゃいますわ−メイメイ(5/13-09:08)No.6780
 ┗長い髪−メイメイ(5/15-10:47)No.6798
  ┣Re:長い髪−彩(5/21-19:26)NEWNo.6828
  ┗かっこいいですわ……−庵 瑠嬌(5/22-16:20)NEWNo.6829


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6769看病メイメイ E-mail URL5/9-11:01


話がふくらむ、ということがあります。
これは、ここには載せませんでしたが『携帯電話』の続き、なのです。わたしの中では。
あの設定、けっこう気に入ったので。
でも、別に『携帯電話』を読んでいなくても大丈夫だと思います。
『甘い』ものが読みたいの。とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。
それで、甘さ、このくらいはどう? という話にチャレンジしてみました。

もちろん、これは『ゼロリナ』です。

では、どうぞ。



『看病』


 不覚にも熱を出してしまった。
 風邪だと思うが、38度5分。少々ヤバいかもしれない。
 とにかく大学を休んで寝ていた。
 家族はみんな出かけてしまった家は、落ち着かないほど静かだった。

 ――コン。

 軽い音がした。
 目をあける。
 視線を巡らすが、音源はわからない。
 再び目を閉じると、

 ――コツン。

 今度は頭を巡らしてみる。
 こちらから音がしたような……。
 そう、窓のあたりから。
 ふと思い当たったような気がして起き上がり、窓を開けてみた。
「リナさん?」
「ゼロスー! 鍵ちょうだい!」
 自分の濃い影を踏むリナが元気に手を振ってくる。
「鍵?」
 ああ、家の鍵はしまっているのだ。
「投げてよ。わざわざ降りてこなくていいから」
 手帳をしまいながらリナが言う。
 そうか、手帳のページを破って、それを丸めて窓に投げていたのだ。
 ゼロスは鍵の束を投げ落とし、軽々と片手でそれをキャッチしたリナは、足下の袋を拾って玄関へ急行した。
 額がずきずきするような快晴だった。空には雲が一つもない。
 鍵をあける音、玄関が開き、すぐに閉められる。階段をかけ登ってくる、軽くて心地よい音。
 足音が部屋に到達するより早く、ゼロスは自分から扉を開けた。とたんに叱られた。
「だめよ。寝てなきゃ」
 起こしてくれたのは誰でしょうね。
「熱は?」
 駆け寄り、額に触れてくる。
「熱いじゃない」
「38度5分も出ましたから」
「そんなに? ほら、早く横になって」
 背中を押され、ベットに入れられてしまった。
「病院は行った?」
「ええ。ちゃんと薬をもらってきました」
「で、御飯は?」
「下に何か用意してあるようですが……」
「食べてないのね」
「……ええ、まあ」
「食欲あるなら食べられるだけ食べた方がいいよ。あたし、お粥作ってきたから」
「リナさんが?」
「そうよ」
 まるでフランス料理でも用意したように胸をそらす。
「それはいただきたいですね」
「オッケー」
 リナはかわいらしいお手製の袋から土鍋を取り出した。ちりれんげも持ってきている。用意がいい。リナは自分でれんげでお粥をすくい、ふうふう息を吹きかけてからゼロスの口元へ運んできた。
 ゼロスは内心、まいったね、と苦笑した。
 今火から下ろしたばかりではないお粥は、もう食べやすいくらいに冷めているのに。
 食べてしまいたいのは、お粥じゃない。
「おいしい?」
「ええ、とっても」
 本当は、熱のせいで舌がバカになっていたが、それでもおいしいものはおいしいのだ。
 何度かれんげをゼロスの口に運んでいたリナは、何を思ったのか急に顔を赤らめ、
「あ、お茶飲む?」
 まるでとってつけたように言い出した。
「熱ある時は、水分をとった方がいいんだよ」
 返事なんか聞いちゃいない。もう立ち上がっている。
 大急ぎで部屋を出ようとして、慌ただしく引き返してきた。
 リナは椅子に引っ掛けていたカーディガンを取り上げると、素早くゼロスの肩に乗せる。そして今度こそリナは部屋を出ていった。
 勝手のわからない台所でお湯を湧かしたり、湯飲みやきゅうすやお茶の葉を探し出すために、リナは今頃あちこちのぞき回っていることだろう。
 想像すると、かわいくって笑みがこぼれてしまう。熱が上がりそうだ。
 リナは思ったより早く戻ってきた。
「コンセントどこ?」
「そちらのすみです」
 指差すと、リナはしゃがみ込んで持ってきた電気ポットのプラグを差し込んだ。
 なるほど、こっちで湧かすつもりなのだ。
 電気ポットが赤いランプをともすのを確認すると、リナは再び大急ぎで下に取って返した。
 今度はやや時間がかかり、きゅうすとお湯飲みとお茶の葉を入れる缶を乗せた御盆を持ったリナがようやく戻ってきた。
「人んちの台所って、おもしろいね。うちと違うところにお茶の葉置いてあるから、最初わかんなかったわ」
 母親が何か言うだろうか。リナが持ってきたのは来客用のいい方のお茶だ。だが、まあ、いいだろう。
 リナがお茶の葉をきゅうすに入れる。だが、お湯はまだ湧かない。
「ね、音楽聴く?」
 CDを並べた棚を物色始めたリナ。
「あ、でも、うるさいか」
「リナさん?」
「な、……なに?」
 リナはうーっと少し口をとがらせ、振り返らない。
 どうやら、照れているらしい。そわそわして、じっとしていられないのだ。
 ゼロスは助け舟を出してあげることにした。
「リナさん、受験勉強の方はどうです?」
「うん、なんとか」
「本当は、今日は予備校の日だったのでは?」
「平気平気、一日ぐらい」
「風邪、うつさないようにしないと」
「うつした方が早く治るっていうじゃない」
「受験生に風邪をうつすわけにはいきませんよ」
「まだ追い込み時期ってんじゃないしー」
「そうですが……」
「あたしが風邪引いたら、お見舞いに来てね」
 助け舟のつもりだったのだが……。
「そんなこと言うと、うつしちゃいますよ」
「うん。うつした方が早く治るっていうし」
 言っている意味、わかってるのだろうか。……たぶん、わかってないな。
 ゼロスはしばし葛藤し、さりげなくリナの腕に手を添えた。
 この程度ならうつらないだろう。
 ちょっと、唇に触れただけだ。
「……」
 リナはもう真っ赤になって、きゅうっとゼロスを睨んだ。
「ばか」
「お見舞いに行きますから」
「さっさと寝なさい!」
 リナはゼロスの頭を枕に押し付け、続いて掛け布団でぎゅうっと押さえ付けた。
「リナさん?」
 ようやく力がゆるんだ布団をめくると、リナは部屋を飛び出した後だった。
 やれやれ。
 本当は少し頭がくらくらしていたのだ。とても追いかけることはできそうにない。
 そのまま帰ってしまうだろうが……、まあ、大丈夫だろう。
 ちゃんと治ってから……。
 そんなことを考えて目を閉じた。


 額に冷たいものが乗せられた。
 目をあける。
 短い時間だったが、うとうとしていたらしい。
 リナが戻ってきたことに気がつかなかった。
 タオルを見つけられなかったのだろう。
 額に乗っているのは濡らしたリナのハンカチだ。
 ようやくポットが、お湯の湧いたことを知らせてきた。
 こちらを覗き込むリナが、真剣に言った。
「ゼロス、早くよくなってね」


【終わり】        



そういえばわたくしは、今年のはじめにインフルエンザにやられて、人生から一週間ほど消してしまいました。
びっくりするほど高熱がでて、かれこれ一ヶ月ほど、ぐたぐたと過ごしてしまいました。
そうか。あの時頭が壊れてしまって、それでこんなところに堕っこちてしまったんだわ。
みなさんも気をつけて下さいね。
ではでは。
……最近あまり時間がとれなくて、皆様の作品を読むので精一杯、感想を差し上げられないでいるわたくしめを、お許し下さい。

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6771甘いです。庵 瑠嬌 5/9-16:38
記事番号6769へのコメント


 こんにちは、庵 瑠嬌でございます。
 感想、参りますわ。


>話がふくらむ、ということがあります。
>これは、ここには載せませんでしたが『携帯電話』の続き、なのです。わたしの中では。
>あの設定、けっこう気に入ったので。
>でも、別に『携帯電話』を読んでいなくても大丈夫だと思います。

 大丈夫かもしれませんけど、読みたくなりました。
 ご自分のホームページに載せられたんですか?だったら、今度読みに参りますわね。


>『甘い』ものが読みたいの。とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。
>それで、甘さ、このくらいはどう? という話にチャレンジしてみました。
>
>もちろん、これは『ゼロリナ』です。

 甘いですわね……しかしそれより、リナさんの可愛さが……。

> 足音が部屋に到達するより早く、ゼロスは自分から扉を開けた。とたんに叱られた。
>「だめよ。寝てなきゃ」
> 起こしてくれたのは誰でしょうね。

 それを言ってはいけません。
 来てくれて嬉しいのでしょう?ゼロスさん。なにしろ自分から扉をあけて、リナさんを迎えたんですから(にっこり)。


> 今火から下ろしたばかりではないお粥は、もう食べやすいくらいに冷めているのに。
> 食べてしまいたいのは、お粥じゃない。

 ではなにを?と聞くのは野暮ですわね。
 けれど、作ってすぐお鍋にふたをして持ってきたなら、それなりにちょうどいい熱さでしょうね。
 まあ、最近のお鍋は性能が良くて熱を逃がしにくいといいますが……。
 

>「おいしい?」
>「ええ、とっても」
> 本当は、熱のせいで舌がバカになっていたが、それでもおいしいものはおいしいのだ。
> 何度かれんげをゼロスの口に運んでいたリナは、何を思ったのか急に顔を赤らめ、

 はたと自分の姿に気づいたんでしょうか。
 ゼロスさんは、全く気にしていないのでしょうが。
 舌が馬鹿になっていても、お粥が美味しく感じられるのは、リナさんが作ったものだからですわよね。


>「リナさん?」
>「な、……なに?」
> リナはうーっと少し口をとがらせ、振り返らない。
> どうやら、照れているらしい。そわそわして、じっとしていられないのだ。

 リナさん可愛い。そうか……そうですわよね。落ち着きませんよねえ……。
 そわそわしてる、だなんて。本当に可愛らしいですわ。


>「そんなこと言うと、うつしちゃいますよ」
>「うん。うつした方が早く治るっていうし」
> 言っている意味、わかってるのだろうか。……たぶん、わかってないな。
> ゼロスはしばし葛藤し、さりげなくリナの腕に手を添えた。
> この程度ならうつらないだろう。
> ちょっと、唇に触れただけだ。

 なんとなぁく、衝動っぽいですわね。
 まぁ、枕もとでリナさんに看病されて、なにもしないでいる方が、難しいとおもいますけど。


> ようやく力がゆるんだ布団をめくると、リナは部屋を飛び出した後だった。
> やれやれ。
> 本当は少し頭がくらくらしていたのだ。とても追いかけることはできそうにない。
> そのまま帰ってしまうだろうが……、まあ、大丈夫だろう。
> ちゃんと治ってから……。
> そんなことを考えて目を閉じた。

 このリナさん、本当に照れ屋さんなんですのね。
 可愛いですわ……考えてみれば、メイメイさんのリナさんって、いつも可愛いですわね。


> こちらを覗き込むリナが、真剣に言った。
>「ゼロス、早くよくなってね」

 早く良くなって、リナさんを安心させてあげないといけませんね。
 なんか、心のふれあいって感じで、微笑ましいですわ……。


>そういえばわたくしは、今年のはじめにインフルエンザにやられて、人生から一週間ほど消してしまいました。
>びっくりするほど高熱がでて、かれこれ一ヶ月ほど、ぐたぐたと過ごしてしまいました。

 インフルエンザって厭ですわよね!
 わたくしは体が丈夫な方ではないので、健康管理は徹底させているのですが、それでも風邪にかかってしまうと……頭は重いし、体は熱っぽいし、意識は朦朧とするし、しかもかかるとなかなか直らないし……厭ですわよね。
 ……今はお元気なんですよね。
 健康な体が嬉しいでしょう。


>そうか。あの時頭が壊れてしまって、それでこんなところに堕っこちてしまったんだわ。
>みなさんも気をつけて下さいね。

 わたくしはもう遅いですわっ!
 それに大丈夫ですわ、メイメイさんはその素晴らしい作品によって、天使の位まで格上げされていますっ!(独断)


>ではでは。
>……最近あまり時間がとれなくて、皆様の作品を読むので精一杯、感想を差し上げられないでいるわたくしめを、お許し下さい。

 それでも、読んでもらうだけで、皆さん嬉しいと思いますよ。
 わたくしの駄文も、気が向いたら読んでいただけるととても嬉しい……。
 それでは失礼をば……

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6780あなたこそ、いつも甘くていらっしゃいますわメイメイ E-mail URL5/13-09:08
記事番号6771へのコメント

庵 瑠嬌さん

 こん**は

 感想ありがとうございます。
 お返事が遅くなってごめんなさいね。

> 大丈夫かもしれませんけど、読みたくなりました。
> ご自分のホームページに載せられたんですか?だったら、今度読みに参りますわね。

ええ。実はそうなんです。
いやはや。いらして下さったらわかると思いますが、わたくしったら、もはや目をおおうばかりの壊れ具合……。

>>『甘い』ものが読みたいの。とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。
>>それで、甘さ、このくらいはどう? という話にチャレンジしてみました。
>>
>>もちろん、これは『ゼロリナ』です。
>
> 甘いですわね……しかしそれより、リナさんの可愛さが……。
>
> このリナさん、本当に照れ屋さんなんですのね。
> 可愛いですわ……考えてみれば、メイメイさんのリナさんって、いつも可愛いですわね。

これは、『携帯電話』の続きなので、こういうことに……。
えっと、ですから、長いこと優しいお兄さんと妹って関係だったのが、ようやく恋人になったはいいが、だからといってどういう態度をとったらいいのか今一つつかめないでじたばたしているリナちゃん、という設定なのです。
いつもかわいい……ですか?
わたくし、いつもリナちゃんをじたばたさせているから(笑)

> インフルエンザって厭ですわよね!
> わたくしは体が丈夫な方ではないので、健康管理は徹底させているのですが、それでも風邪にかかってしまうと……頭は重いし、体は熱っぽいし、意識は朦朧とするし、しかもかかるとなかなか直らないし……厭ですわよね。

まあ、それはいけませんね。
かくいうわたくしも、最近まで喉風邪にやられていまして、声からしてましたわ。今はもう大丈夫です。

> ……今はお元気なんですよね。
> 健康な体が嬉しいでしょう。

ええ。もう二度とインフルエンザはごめんです。
お互い、気をつけましょうね。

>>そうか。あの時頭が壊れてしまって、それでこんなところに堕っこちてしまったんだわ。
>>みなさんも気をつけて下さいね。
>
> わたくしはもう遅いですわっ!

あ、やっぱり。

> それに大丈夫ですわ、メイメイさんはその素晴らしい作品によって、天使の位まで格上げされていますっ!(独断)

て、天使?!
……わたくしを知る人がこれを読んだら、きっとわたくしのことを『いたいけな中学生を惑わす詐欺師』呼ばわりすることでしょう……。
確か大天使ミカエルは、サタンを散々な目に合わせ、アダムとイブを楽園から追放した、強くっておっかない天使……。
天使にもいろいろいるということですね。

>>ではでは。
>>……最近あまり時間がとれなくて、皆様の作品を読むので精一杯、感想を差し上げられないでいるわたくしめを、お許し下さい。
>
> それでも、読んでもらうだけで、皆さん嬉しいと思いますよ。

読み逃げしている自分が悲しかったもので……。
自分は感想いただけるととってもうれしいくせにって……。

> わたくしの駄文も、気が向いたら読んでいただけるととても嬉しい……。

もちろん、読んでおりますわ。
この場を借りて感想なんて、失礼ですけど、でも、そっくりエルフさんのお話は素敵でした。わたくしはああいう大きいお話があまり得意ではないので、なんてうらやましい……と。

ではでは。
感想ありがとうございました。
時間の許す限り、また来ようと思っております。
庵 瑠嬌さんも、また素敵な作品を書いて下さいね。

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6798長い髪メイメイ E-mail URL5/15-10:47
記事番号6769へのコメント

時間が足りないと言っては周りのひんしゅくを買っているくせに、またこんな話を書いてしまって……。
はい、これは『ゼロリナ』です。


『長い髪』

「くそがき」
 と言われたことがある。
 失礼しちゃうわよね。
 こんな可愛い娘をつかまえて。
 って、当時はあんま、説得力がなかったのよね。
 背はお世辞にも高いとは言えないし、胸も『あると言い張ればある』程度だし、それになんと言っても髪の毛が短かった。
 いろいろ考えて、髪が長いのは邪魔かなーって、思ったわけよ。
 でも、くそがき発言にキレて以来、あたしは秘かに髪をのばしはじめた。
 服にも気を使って、ピンク色なんての、選んだりした。
 くそがきとかわいい女の子。
 ねえ、一人旅してて、どっちがお得だと思う?


 時々、やっぱ長い髪って、戦いに不利に働くことがあるわねって思ったりする。
 顔にかかったりすると、視界さえぎられちゃって、それが隙になったりするのよ。
 でも最近、髪長くてよかったかも、って、ちょっと思った。


 ゼロスがあたしの髪を一房すくった。すーっと毛先までたどる。ゼロスの手からこぼれた髪の毛が、ぱらぱらと戻ってきた。
「以前、リナさんの髪はもっとくせがあって堅いのかと思っていました」
 だって、今日は何度も櫛入れたもん。
「これだって武器になるんだから、手入れは怠らないわよ」
「武器?」
「そう。上目遣いに『ごめんなさ〜い(はあと)』って言うと、ころっと点数甘くなったりするんだもん。使わない手はないでしょ?」
「確かに、時によっては有効な手段かもしれませんね」
「使いどころは間違えないように気をつけてるつもりよ」
 ゼロスはまたあたしの髪をすくった。
「そう。使い間違えない方がいいですね……。でないと……」
「と?」
 ゼロスは首をかしげて笑んだ。
「その人間の命が危うい」
「どーゆー意味よっ」
「ちがいますよ。そうではなくて――」
 ゼロスの笑みに、深い影がさす。
「――僕が、即座に、滅ぼしてしまいますよって」
「……心強いボディーガードだわ」
「それだけですかあ?」
 やや不満そうに言う。あたしはくすっと、
「髪を長くしたら、魔族まで誘惑できちゃった」


 時々、髪をのばさない方がよかったかもしれない、っても思う。
 そうしたら、あたしはもう少し、冷静でいられたかもしれないのにって。
 あたしはつい、すべてをゼロスにまかせて眠ってしまいたいって思って、……そうしてしまった。
 ゼロスは一度だって無防備になったことはない。
 あんた、何かたくらんでない?
 警戒心が頭をもたげたりする。
「秘密です」
 すべてを包み隠してゼロスは微笑む。
 あたしは言葉をなくす。
 秘密なの。全部、秘密。
 誰にも言わないでいる。
 あたしが魔族を誘惑したこと。
 あたしが魔族に誘惑されたこと。


 秘密にすることが、あたしの最後の歯止め。
 みんなの見ている前では、あたしは普通をよそおう。
 冷静な自分を保つために。
 ゼロスの『秘密』が露見した時、自分を見失わないように。


「僕だって、時には獣王様の御命令から外れることをやるんですよ」
 ゼロスはそう言った。あたしはにっこりと、それを信じたふりをした。
 信じたふりをしたいと思っただけかもしれない。


 つくづく、厄介な相手。


【終わり】        

いけませんね。
ストーリーにならない話ができてしまって。
こんなのでもよろしければ、感想いただけると、うれしいですわ。

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6828Re:長い髪E-mail 5/21-19:26
記事番号6798へのコメント

こんばんわ〜。
彩で〜す!

>時間が足りないと言っては周りのひんしゅくを買っているくせに、またこんな話を書いてしまって……。
>はい、これは『ゼロリナ』です。
ははは!私なんかテスト中なのに………。
っていうかここにメイメイ様作品があることにきずかなかった。

> くそがきとかわいい女の子。
> ねえ、一人旅してて、どっちがお得だと思う?
うわっ!究極の選択!

> 時々、やっぱ長い髪って、戦いに不利に働くことがあるわねって思ったりする。
> 顔にかかったりすると、視界さえぎられちゃって、それが隙になったりするのよ。
> でも最近、髪長くてよかったかも、って、ちょっと思った。
恋をすればいろいろありますです!

> ゼロスがあたしの髪を一房すくった。すーっと毛先までたどる。ゼロスの手からこぼれた髪の毛が、ぱらぱらと戻ってきた。
うわ!
色っぽいかも。

>「以前、リナさんの髪はもっとくせがあって堅いのかと思っていました」
> だって、今日は何度も櫛入れたもん。
>「これだって武器になるんだから、手入れは怠らないわよ」
>「武器?」
>「そう。上目遣いに『ごめんなさ〜い(はあと)』って言うと、ころっと点数甘くなったりするんだもん。使わない手はないでしょ?」
きゃっ、きゃっ、私もよくやりますね〜。
リナちゃんを知ってから。

>「確かに、時によっては有効な手段かもしれませんね」
>「使いどころは間違えないように気をつけてるつもりよ」
> ゼロスはまたあたしの髪をすくった。
>「そう。使い間違えない方がいいですね……。でないと……」
>「と?」
> ゼロスは首をかしげて笑んだ。
>「その人間の命が危うい」
>「どーゆー意味よっ」
>「ちがいますよ。そうではなくて――」
> ゼロスの笑みに、深い影がさす。
>「――僕が、即座に、滅ぼしてしまいますよって」
>「……心強いボディーガードだわ」
>「それだけですかあ?」
> やや不満そうに言う。あたしはくすっと、
>「髪を長くしたら、魔族まで誘惑できちゃった」
かっこいいです!
ゼロスの独占欲が!?
リナの冷静さが恐いのは私だけですか?

> 時々、髪をのばさない方がよかったかもしれない、っても思う。
> そうしたら、あたしはもう少し、冷静でいられたかもしれないのにって。
> あたしはつい、すべてをゼロスにまかせて眠ってしまいたいって思って、……そうしてしまった。
> ゼロスは一度だって無防備になったことはない。
> あんた、何かたくらんでない?
> 警戒心が頭をもたげたりする。
>「秘密です」
> すべてを包み隠してゼロスは微笑む。
> あたしは言葉をなくす。
> 秘密なの。全部、秘密。
> 誰にも言わないでいる。
> あたしが魔族を誘惑したこと。
> あたしが魔族に誘惑されたこと。
ううっ!
魔族との愛の形!!
ああっ、これこそ私がゼロリナにひかれた理由のひとつ!!
警戒がありつつも、あなたにひかれたのはどうしようもない!
きゅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!(壊)

>「僕だって、時には獣王様の御命令から外れることをやるんですよ」
> ゼロスはそう言った。あたしはにっこりと、それを信じたふりをした。
> 信じたふりをしたいと思っただけかもしれない。
>
>
> つくづく、厄介な相手。
あんがい惚れたら相手のことがわかったりすることも
あるかもしれませんね。(もちろんその逆も)

>【終わり】        
>
>いけませんね。
>ストーリーにならない話ができてしまって。
>こんなのでもよろしければ、感想いただけると、うれしいですわ。
感想です!ええっ、もう髪ってシュチュエーションは考えますが、
私なんかブレーキがかかって(汗)

では、書くことはいつも一緒ですが、次作楽しみにしています!
さ〜て、テスト勉強(死)

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6829かっこいいですわ……庵 瑠嬌 5/22-16:20
記事番号6798へのコメント


 こんにちは、庵 瑠嬌です。
 ふふ、最近けっこう短期間に書いてくださってますわね♪

>
>『長い髪』
>
>「くそがき」
> と言われたことがある。
> 失礼しちゃうわよね。

 わぁ。
 いきなりですか。びっくりですわー。
 リナさんに向かってくそがき呼ばわりとはすごい人ですわね。
 それって、ゼフィーリアにいる間でしょうかー?
 リナさんの郷里なら、そう言う人もいそうですけど。


> いろいろ考えて、髪が長いのは邪魔かなーって、思ったわけよ。
> でも、くそがき発言にキレて以来、あたしは秘かに髪をのばしはじめた。
> 服にも気を使って、ピンク色なんての、選んだりした。
> くそがきとかわいい女の子。
> ねえ、一人旅してて、どっちがお得だと思う?

 リナさんなら、ある程度大きくなったら、髪短かろうが長かろうが、十分かわいい女の子だと思いますけど……。
 確かに、髪が長いほうが、かわいい、って言ってもらえるような気がします。
 一人旅ではそのほうが、やっぱりお得?かもしれませんわね。

>
> 時々、やっぱ長い髪って、戦いに不利に働くことがあるわねって思ったりする。
> 顔にかかったりすると、視界さえぎられちゃって、それが隙になったりするのよ。
> でも最近、髪長くてよかったかも、って、ちょっと思った。

 長くても、結べばけっこう邪魔にならないんですけど……動くときにまとまった抵抗を感じるんですのよね。
 リナさんみたいにバンダナをカチューシャみたいに使っていたら、被害はけっこう少ないでしょう……。
 そういえば、リナさん戦ってる最中に、髪を一房くらい切られたりすると、怒りますわよね、結構。


> ゼロスがあたしの髪を一房すくった。すーっと毛先までたどる。ゼロスの手からこぼれた髪の毛が、ぱらぱらと戻ってきた。
>「以前、リナさんの髪はもっとくせがあって堅いのかと思っていました」

 以前……どのくらい以前なんでしょうかねぇ?
 いや、ゼロスさんがリナさんの髪をいじったりするようになったのって、いつからだったのかなぁ、と。
 そういえば、髪をいじってもらうのって気持ち良いんですのよね。ゼロスさんの指、繊細な感じしますし、リナさん気持ちよさそうかも♪


>「使いどころは間違えないように気をつけてるつもりよ」
> ゼロスはまたあたしの髪をすくった。
>「そう。使い間違えない方がいいですね……。でないと……」
>「と?」
> ゼロスは首をかしげて笑んだ。
>「その人間の命が危うい」

 ゼロスさぁーんっ!なにかよさげじゃありませんの。
 しかし、使い間違えるって……ゼロスさんに使った時点で、ある意味間違っていたのでは?(笑)。
 リナさん、うっかり浮気なんてしないようにね。


>「どーゆー意味よっ」
>「ちがいますよ。そうではなくて――」
> ゼロスの笑みに、深い影がさす。
>「――僕が、即座に、滅ぼしてしまいますよって」
>「……心強いボディーガードだわ」
>「それだけですかあ?」
> やや不満そうに言う。あたしはくすっと、
>「髪を長くしたら、魔族まで誘惑できちゃった」

 ダークなゼロスさんが混じって、それをリナさんが笑って受け流す。
 いいですわ、いいですわ……。なんて素敵な会話。
 リナさんの魅力は、魔族さんにまで通じたわけですのね。


> 時々、髪をのばさない方がよかったかもしれない、っても思う。
> そうしたら、あたしはもう少し、冷静でいられたかもしれないのにって。
> あたしはつい、すべてをゼロスにまかせて眠ってしまいたいって思って、……そうしてしまった。
> ゼロスは一度だって無防備になったことはない。

 リナさんって……実は結構、警戒心強いと思うんですけど……。
 よほど、ゼロスさんに気を許している、というわけですのね。
 惚れた弱みと言うべきか。
 それでついでに、ゼロスさんが自分にまだ気を許していないのか、と、思うのでしょうか?


> あんた、何かたくらんでない?
> 警戒心が頭をもたげたりする。

 今更。
 寝ちゃうって、最高の信頼の証だと思うんですけどねぇ……。
 どこか信じきれないんですのね。
 ……信じきらないようにしているのかしら?


>「秘密です」
> すべてを包み隠してゼロスは微笑む。
> あたしは言葉をなくす。
> 秘密なの。全部、秘密。
> 誰にも言わないでいる。
> あたしが魔族を誘惑したこと。
> あたしが魔族に誘惑されたこと。

 秘密……って、考えてみたら、とても、あやしい感じですわね。
 秘密、に誘惑をからめるだなんて、大人っぽくて素敵……子供の意見ですわね(笑)。


> 秘密にすることが、あたしの最後の歯止め。
> みんなの見ている前では、あたしは普通をよそおう。
> 冷静な自分を保つために。
> ゼロスの『秘密』が露見した時、自分を見失わないように。

 そうか……やっぱり、信じきれないんですのね。
 どの程度思ってもらっているのか、わからないんですものね……。
 このリナさん、どこか、とても不安定な感じですわね。
 

>「僕だって、時には獣王様の御命令から外れることをやるんですよ」
> ゼロスはそう言った。あたしはにっこりと、それを信じたふりをした。
> 信じたふりをしたいと思っただけかもしれない。
>
>
> つくづく、厄介な相手。
>
 結論的に……頑張れリナさん!と思いました。
 やっぱり、経験豊富な魔族さんのほうが、一枚上手なんでしょうかねぇ……。
 千幾つの相手に、二十にもならない女の子が対抗してるんですから。
 ということで、もうひとつ。
 頑張れリナさん!


>
>【終わり】        
>
>いけませんね。
>ストーリーにならない話ができてしまって。
>こんなのでもよろしければ、感想いただけると、うれしいですわ。


 とっても、おもしろかったです。
 リナさんが大人っぽくて、ゼロスさんが魔族っぽくて。
 スレイヤーズ世界ならではの恋人たち、って感じですわね。
 次のお話も楽しみです(はぁと)
 それでは失礼をば……。