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7052 調子に乗って、続き物を投稿しちゃいましたmiyuki E-mail 6/12-01:48



  どうもです。 またもや投稿させていただきます。
 これは・・・その、友人からのリクエストなので、ちょっち、壊れてるところがありますです。
 続きもあるんですが、これ以上に壊れてしまってるんで・・・
 リナちゃん好きの人以外は、少々きついもんがありますです。
 しかも、リナちゃんと誰のカップリングか、今の時点では、わからないです・・
(滝汗)
 それでも、お付き合いいただけたら、小躍りモノです。
 それでは・・・・



       学園ものスレイヤーズ (高校生編)


   序章 前夜

「んっふっふっふっ」
 自分の部屋であろうと思われる場所で、ひたすら怖い含み笑いを発する少女
 この少女、たとえや、謙遜ではなく、本当に愛らしい顔立ちをしている。
 その辺で見繕った、いくらか可愛い子と比べても、そのかわいさは群を抜
ている。
 例えば・・・・そう、髪の毛、それは、物のたとえではなく、本当に見事
栗色で・・・
 それに陽の光が加われば、息をのむほどに美しいきれいな透き通る紅い視
が広まる。
 それにその身体、その小柄で小さな身体は、幾分、年のせいでもあるだろ
が、それについている、すらりとした手や足は、人の目に焼き付き、離れない
 肌は、傷の一つもなく、白い、きれいで美しいもの・・・・。
 ・・・・そして・・・そして、なにより・・・・・。
 瞳が印象的な少女。
 意志が強いと思わせざる得ない瞳。
 何者にも揺らがないと思わせざる得ない瞳。
 そして・・・ふれただけで壊れると思わせざる得ない、もろそうな瞳・・・
 そのらの矛盾を印象づけるもの。
 美しい、綺麗な、・・・紅い瞳・・・。
「ぃよっしゃあぁぁああぁぁぁあ!」
 せっかくの今までのナレーションを台無しにするように、少女はいきなり
奇声とも取れるような大声を上げ、片足をベッドの上に、どっか! と乗せる。
「くうぅ〜〜!」
 そして少女はその後、おもむろに拳を握りしめ、明後日の方を向く。
 うっし! あ〜、この時をどれだけ待ったか! 
 今の今まで私服で、しかもよりにもよって、中学用鞄が、なんとなしに、
ょ〜っと・・・
 いや、だいぶとランドセルになんか似て、しかもそれを背負ったりなんか
ちゃってたから、実際年齢よりも大分と下に見られてたからな〜。
 ・・・まあ、そういう輩には、きっちいぃぃん!とお礼はしてたけど。
 ったく!私服なら私服で、鞄も自由にすりゃあよかったのに。
 ああ、でも、やっと明日からは制服なるものが着れるのね♪
『コンコン』
 完全に自分の世界に入っていた少女が、不意に現実に戻される。
 そして少女が振り返ろうとした瞬間、ドアノブが回される。
『カチャ・・・』
 扉が開く。
 そして、その扉の隙間からのぞいた顔に、少女は体中の血の気が引いてい
のを感じた。
「う、あ・・・ね、姉ちゃん・・・」
 少女の口から紡ぎ出された言葉はかすれている。
 そして、それが恐怖のうちに出された物だということは、果たしてこの少
は気づいているのか・・・。
 扉の前の女はそんな少女の反応などそっちのけで、にっこりと笑う。
「静かにね? 今、夜中よ」
「は、はいいぃぃ!」
 美しいだろうとも取れる扉の前の女の静かな声に、少女はあわてて姿勢を
し、悲鳴に近いような声を上げる。
 扉の前の女は、不意にため息をはき、少女を見つめる。
「早く寝なさい、明日、朝早いんでしょう?」
 優しい口調がまた、少女の恐怖をあおる。
 だが、それよりもこの少女は・・・。
「で、でも、姉ちゃん・・・」
 恐る恐る、不満の声を上げる少女。
 少女としては、明日になる前に、(と、言っても、もう0時をすぎているの
だから、次に目を覚ましてから・・・と、言ったところだろうか)まだ、こ
嬉しさの余韻を噛みしめていたいようである。
 そんな少女の思惑を知りつつ、扉の前の女は笑う。
 そして、次に、女は夜目にもその瞳がキラリと光るのがわかるほど、ほん
一時、瞳を鋭くし、その後、怖いと言っていいほどに、にっこりと笑う。
「・・・どうしたの?」
 その扉の前の女の笑みに、少女の身体が、ひきき、とこわばる。
「眠らないのなら、私が寝かせてあげてもいいのよ、永遠に・・・・ね?」
 言って、扉の前の女が、うれしそうに目を細め、口の橋を笑みの形にかた
らせて、片手をぽきぽきとならす。
「ね、寝る! もう寝ます!」
 身の危険を感じた少女は、顔と両手をぶるぶると振って、おびえと拒否をあら
わにする。
 そして、扉の前の女は、少女の返事に満足したのか、さっきの笑みとは違い
普通の人が見れば、見とれるに違いない、そんな柔らかい笑い顔を少女に向
る。
 ・・・むろん、ふつうの人が見れば、であるが・・。
「おやすみなさい、リナ」
「・・・・おやすみ、姉ちゃん」
 パタン・・・
 少女の言葉を聞いた後、女は、静かに扉を閉めた。
「・・・・はあ」
 女がちゃんと出ていき、足音が遠のいたのを見計らって、少女・・・・いや
リナは、静かにため息をはいた。
「ま、いっか・・・」
 リナはそうぼそりと言うと、ベッドに、ボス! と、身体を沈める。
 ん〜・・明日、誰かに当たり散らそうかな〜・・・
 ま、どうせあたしのビボウに、目がくらんで、絡んでくる奴らなんて、それ
こそ数えきれないほどいるだろうし・・・けっこうそれも楽しみかも・・・
 そうつぶやきながら、リナの顔は、さっきのぶすっとした物ではなく、笑
に変わっていった。
 かなりむちゃくちゃなことを心に決め、リナは本当にうれしそうに笑う。
 そして、リナは瞼を閉じ、心地よい眠りに身を任せた。


この少女、なかなかにどうして、かなりいい性格をしているようである・・(笑)




   第一章 騒動


 ジリリリリリリ・・・・。
 ん〜・・・
 リリリリリ・・・・・。
 ・・・うるさい・・・。
 あたしは、おもむろに、音が出る方に手を伸ばす。
 リリリリ・・・・カチ。
 それのボタンを押して、あたしは音を止め、再び深い眠りへと落ちた・・・

「リナ、起きなさい」
「ん・・・」
「リナ」
 ・・・声が聞こえる。
「もう・・・ちょい・・・」
 しかし、今のあたしには、どうでもよかった。
 ただ眠りたい、それだけのこと。
「・・・リナ、これが最後の忠告よ・・・」
 え゛?
 途端、あたしの背筋に、眠気もさめるほどの悪寒が走った。
「な!?!」
 殺気!?
 瞬間、思うよりも先に、あたしは、バッと身をひねり起きあがる。
 カカカ!
 そして、今の今まで、あたしの眠っていたところに、ナイフが数本刺さって
いた。
「おはよう、リナ、今日の反応は、いまいちよ」
 思わず、構えて防御態勢に入ったあたしに、殺気を放った相手・・・姉ちゃ
んは、にっこり笑っていった。
 おひ・・・。
 見ると、その手の指の間には、たった今、あたしのベッドに刺さっているナ
イフと同じものが数本あった。
「いつも言ってるでしょう、もっと素早く反応なさいって」
 言いながら、姉ちゃんはベッドのすぐ横にあるあたしの机に、ナイフをコト
ンとおいて、いすに腰掛ける。
「もしもの時のために、もっと鍛えなくちゃねえ・・・」
 おいおいおいおい。
 ぼそっと、付け足すように言う姉ちゃんに、あたしは思わず大声を出してつ
っこみそうになる。
 もしもの時って・・・ふつう、こんなことが日常に起こるとはおもわんが
・・。
 そうなのだ、姉ちゃんは、何かとあたしを鍛えようとする。 
 ご飯を食べるときに、いつの間にか、お箸に鉛を入れてるわ、鞄に鉄板が入
ってるわ、その上、買い物は隣町まで行かせることもある・・・・まあ、これ
は、ただ単に、隣町の方が野菜が新鮮だかららしいが・・・。
 まあ、姉ちゃんにも理由があるらしい。
 曰く、『あんたはトラブルに巻き込まれやすいから』だ、そうだ。
 なんか、この言い方だと、いつもあたしが面倒なことに首つっこんでるよう
に聞こえるのだが・・・そんなことは無し!
 ただ、ちょこ〜っと、その辺の一般人に絡んでる不良どもをなでている程度
である。
 だからあたしには、なんっの非もない。
 まあ、あたしみたいな、か弱い美少女が(あたしのことよ、あたしの!)あ
んなやつらを相手にしても余裕なのは、姉ちゃんのおかげ、といってもいいの
だが・・・。 
 ・・・しかし・・・でも、だからって、姉ちゃん、これは・・・。
「姉ちゃん・・・」
「なに?」
「あたし、もうちょいふつうの起こしかたがいい・・・」
 あたしの言葉に、姉ちゃんは、まるで心外だというような顔を作る。
 演技なんだろうけど・・・。
「なに言ってんの」
 言って姉ちゃんは、あたしのおでこを小ずく。
「んにゃ」
 姉ちゃんの手が近づいた瞬間、あたしは目をつぶってしまい、一瞬のおでこ
の感触に、自分でも変だと思うような、間の抜けた声を出してしまう。
 しかし、姉ちゃんはかまわず続ける。
「あんた、こうでもしなきゃ起きないでしょうが」
 姉ちゃんは、小さいため息をはく。
 う゛っ、言い返せないかも・・・。
 いや、でも今日のは・・・。
「で、でも、なんで今日はおこしにくる時に、ナイフなんか投げんのよ、きの
うまでは、あの殺気だけだったじゃない」
 この反抗が命取りだとは、解っているが、いくらなんでも、ナイフまで投
られんのはちょっと・・・いや、かなり怖いもんがある。
 まあ、その「殺気」ってやつだけでも、心臓に悪いのは確かだが。
 ・・・・え? それならさっさと目覚ましで起きろって? や〜よ、乙女
お肌は敏感なんだから、一分一秒の睡眠もばかにできないのよ!
 あたしはふと、姉ちゃんのおいたナイフを見る。
 それは、手入れが行き届いていて、刃に触れただけで人の身ならスパスパス
切れちゃうという、なかなかお茶目な、姉ちゃん愛用のナイフだった。
「気分よ、き・ぶ・ん・なんかこのごろ、あのワンパターンなおこし方に飽き
ちゃったのよねえ・・・だから、今朝はちょっと工夫してみたの。あんたも今
日から高校生だし、区切りにちょうどいいかなぁなんて」
 ちょっちまてい!
 語尾にハートマークでもつきそうなくらいに明るく言う姉ちゃん。
「んな簡単にゆーなー!」
 ついついあたしは大声で叫んでしまう。
「だって、ひまだし」
 だから、んなことあっさり言うなや姉ちゃん。
「ひまなら、庭のディルギアと遊んでてよ!」
 あたしの言葉に、姉ちゃんはにやりと笑う。
 あう・・・、怖いって・・・・。
「そういうことは、一人で起きれるようになってから言うものね」
 うくっ、痛いところを・・。
「目覚まし、また止めたの?」
「・・・む、無意識のうちに・・・」
 さっきまで怒鳴ってたのに、姉ちゃんの一言で、つい弱気になるあたし。
 わ、我ながら情けなひ・・・。
「で、私に起こしに来るなって言うわけね」
「いや、その・・そういうわけじゃ・・・」
 う、やばい・・。
 あたしを見る姉ちゃんの目は、どことなく光って見えた。
 やばい! 果てしなくやばい!
「あの、その・・」
「・・・・なに?」
 うああああ! 声のトーン下がってる〜!
「・・・・ご・・ごめんな・さい」
 ほとんど消え入りそうなあたしの言葉に、姉ちゃんはほほえむ。
「じゃあ、今度もこの演出で起こすわね」
 ・・・もう、なにも言うまい・・・。
 姉ちゃんは、あたしのつぶやきを知ってか知らずか、横にあった目覚まし時
計を、おもむろにつかむ。
「そういえばリナ、あんた、今日から電車通学じゃなかった?」
 ・・・え゛っ!
 あたしは、姉ちゃんの手の中にある時計を食い入るように見る。
 見ると、単身は8の数字のところにあり、長身は、12の数字をさしていた。
 うああああ! 間に合わない〜?!
 思わずあたしは、姉ちゃんの持っている時計を奪い取る。
「危ないでしょう、気をつけなさい」
 姉ちゃんの注意も、今のあたしには聞こえない。
 あたしは、ベッドから飛び上がると、どたばたと部屋を出る。
「びっくりするじゃない、起きる時は静かにしなさい」
 いつもは注意して聞く姉ちゃんの言葉も、さっきと同様、今のあたしには、
どこ吹く風状態である。
 うあああ! 制服ぅぅぅぅう! ちい、しかたない! あんまし気ィはすす
まんが・・・・。
「ね、姉ちゃん、ゴメン、そこのベッドの横に用意してあるの、下のリビング
にもってって!」
「あら・・・、私を使うの?」
 うや〜! やっぱしそうくるかい。
 なんか、今の姉ちゃんの表情が安易に浮かぶ・・・笑ってんだろなー、しか
も、うれしそうに、にこにことっ!
「今日の晩御飯の用意、あたしがするから!」
 あたしは、そう叫びながら階段を駆け下りる。
「OK、そうね、今晩は、炊き込みご飯と魚のフライがあればいいわ、後のオプ
ションは、買い物がてら決めて頂戴」
 って、おいおい、姉ちゃん、なんでメニューが決まって・・・
 はっ! まさか・・・。
「じゃあ、ここの、それらしいのを全部リビングに持っていけばいいのね」
 つぶやきなのか、あたしに言っているのかはわからなかったが、あたしは、あ
えて、その言葉に返事をしなかった。
 そのとき、あたしはすでに洗面所にいて、蛇口をひねり、顔を洗うためのお
湯を出していた。
 水が流れ出でてる。
 ・・・チチィ! 謀られた!
 そうなのだ、姉ちゃんは,あたしにあの台詞を言わせるために、わざわざ、
会話が一段落つくまで時間のことは言わなかったし、あたしが時計のほうを見
ないようにしていたのだ!
 いや、こんなに力説してもしょうがないのだが・・・まあ、それはともかく
姉ちゃんがあたしにこういうことする時は、大抵理由がある。
 その一 「あたしでの、ひまつぶし」・・・いや、言うとなんか悲しいもん
      があるが・・・・本当だし・・・
 その二 「仕事関係」 
 その三 「めんどくさいから」・・なんか、これが一番ありそう・・・。
 トントンと、階段の降りる音がする。
 あたしはそれにかまわず顔を洗ってると、おもむろに、姉ちゃんのつぶやき
が、はっきり聞こえた。
「甘いわね、リナ」と。
 そのつぶやきは、姉ちゃんとあたしの距離でなら、絶対と言っていいほど、
聞こえるものではないのだろうが、いかんせん、あたしの耳は、常人と比べる
とすこぶる良くできている。
 姉ちゃんのことだ、それをわかっている上で、つぶやいたのだろう。
 何となく悔しいのだが、そのくらいのことはわかる。
 あたしはお湯で、したたり濡れた顔を上げる。
 そして、鏡に自分を映しながら、それに小さく舌を出した。


「リナ、朝御飯はどうする?」
「ん、パンちょうだい、走りながら食べてく」
 我ながら、べたな少女漫画みたいな設定かなぁとは思う。
 だがしかし! この、リナ=インバース、朝御飯も食べずに、昼まで持つ自身
はなし!
 ・・・いや、まあ、べつにいばるようなことでは無いのだが・・・。
 と、とにかく! 今からじゃ、そこら辺の店による時間なんてないし、かと
いって、何にも食べずにいくと、それこそ電車の中でおなかが鳴りそうだし・
・・いや、絶対になるだろう。
 いくらなんでも、それだけは、はっきり言って遠慮したい。
 ま、学校にさえつけば、売店だってあるだろう。
 入試前に、一応学校見学・・・なんつうものもあったのだが、いかんせん、
それが、めっちゃくちゃかったるかった。
 そこの先生らしき人が、おきまりの台詞をはいて、学校の中を案内されて・
・・。
 あまりにもつまんなすぎて、
 途中でふけたのだ、あたしは。
 ・・・ふっ・・・後でそれが姉ちゃんにばれて、おもいっきし、おしおきを
くらったというエピソードまでついているのだが・・・。
 いや、まあ、それは思い出したくないので置いといて、・・・なので、その
学校のどこに売店があるのかわからない。
 まあ、その辺のことは、絡んでくるだろう輩に教えてもらえばいいのだが。
 ああ、今から楽しみ♪
 玄関で靴ひもを結びながら、喜々として思うあたし。
「あ、そうだ、リナ」
「んにゃ?」
 口に、姉ちゃんから渡されたパンをくわえながら言ったもんだから、かなり
間の抜けた返事をしてしまう。
「ちょっと仕事の都合で、明日の朝から家を空けるのよ」
 え?
「たぶん一週間くらいだと思うけど・・・」
 ・・・・ら
「だから、私がいない間、ちゃんとすんのよ」
 らっき〜。
 じゃあ、じゃあ、真夜中までゲームしてたり、夜中抜け出して毎晩くそうる
さい音で走り回ってる、うっとうしい奴らを締め上げるっつうのも、制限無限
にできるのね。
 それも一週間も(はぁと)
 あうう、無意識に顔がにやけてくる・・・。
「だから」
 ふと、付け足す姉ちゃんの言葉に、あたしは現実にひきもどされる。
 その口元は、笑みにかたどられている。
 ・・・あり? なんか、やな予感が・・・・
「誰かつれてきなさい」
 はい?
「そうねえ・・・3,4人は必要かしら・・・」
 って、おい!
 さらっと言う姉ちゃんの言葉に、あたしの口から、ぽろっと、くわえていた
パンが落ちる。
 あ〜、もったいな・・・・じゃなくって! 
「ち、ちょっと待って、なんで・・・」
「あんたが心配だからよ」
 ・・・あたしのこと、ぜんっぜん信用してないな・・・。
「でも、あたしは一人でも大丈夫よ!」
「今朝も一人じゃ、満足に起きれなかったくせに?」
 言う姉ちゃんは、ふっ、と口の端を歪める。
 うぐ、痛いところを・・・。
「な、なら、あたしが誰かの家にとまりに・・・」
「却下」
 いや、そんな無下に即答せんかって・・。
「一週間も、他人の家に泊まってもいいと思ってんの?」
「そ、それは・・・せ、説得すれば大丈夫かな〜って・・」
 あたしの「説得」という言葉に、姉ちゃんは、深いため息をつく。
「とにかく、だめよ。今度、荷物が届くようになってるんだから」
「荷物?」
「そ、父さんと母さんからね」
 父ちゃん、母ちゃん、なかなか久しぶりにその名を聞く。
 あたしの両親は、あたしには理解不能な仕事をしてて・・・いや、なにも言
うまい、それは、あたしには関係ないのだから・・・。
 にしても、まだそこらへんの異国を歩き回ってんのか?
 そういえば、今年は帰ってくるのだろうか・・・、また、怪しげなおみやげ
を山ほど買って・・・。
「いつ?」
「しらない」
 おひ・・・。
「ただ、この前の手紙では、そろそろ着くようなことを書いてたから、あんた
には家にいてもらわないと、困るのよ」
 それはわかったが・・・しかし、前者の方は、納得できん!
「じゃ、じゃあ、ちゃんと朝、目覚まし止めないようにするから・・・」
 なるべく姉ちゃんを刺激しないように言うあたし。
 それだけはいくらなんでも勘弁してほしい。
 せっかく瞬時にして思いついた不良いじめの計画が、費えてしまう!
「しつこいわよ」
 ぴしゃりと言い放つ。
「あんまりぐだぐだ言ってると、私の知り合いに頼むわよ?」
 い゛! ね、姉ちゃんの!!??
 もしかして・・・。
「そ、それって・・・」
 あたしは、自分の声がかすれているのを自覚する。
「あの・・・、そのねえちゃんの知り合いって、もしかしなくても、ゼラスと
か、グラウシェラーとか、ダルフィンだとか、そこらへんの人(?)たちだっ
たりする・・・?」 
 あたしの問いに、姉ちゃんは、返事を声に出さず、代わりに満面の笑みをむ
けてうなずく。
 うああぁぁぁあ! いやだ! ぜっっっったいにいやだ!! あんっな濃い
キャラたちと、一週間も・・・・っだー! 考えたくない〜!
「まあ、私の知り合いなら、二人くらいで十分だけど────どうする?」
 くっ・・・! ふ、二人も? ちい、こっちに選択の余地は───── 
「ああ、そうそう、私への口答えの分のお仕置きもしないとね・・・」
 なかった・・・。(泣)
「調達してくる!調達させていただきます!」
「あら、そう」
 なぜか、つまらなそうに言う姉ちゃん。
 どっちなんだ!
 思わず、そうつっこもうとしてしまうが、そこはぐっと飲み込む。
「あ」
 ふと、思いついたように、姉ちゃんは、ぽんっと手を打つ。
「男手が必要だから、最低一人は連れてきなさい」
「ちょっ!」
 さすがにこの発言にはびっくりする。
 男手って・・・。
「あんたのことだから、自分に害のない、扱いやすい子をつれてくる気でいる
でしょ」
 ぐっ、す・するどい。
「そ、そうじゃなくって、ほ、ほら、よく言うじゃない、『男女七歳にして同
衾ならず』って」
 こ、ここで負けるとやばい・・・!
「ああ、それなら大丈夫でしょ」
 んなあっさりと・・・、いや、このままじゃあ負ける!
「あたしの気持ちは・・・」
「リナ・・・」
 つい、叫んでしまうが、姉ちゃんの静かなほどの声に、口をつぐむあたし。
 あ・・・やば、お、怒ったかな・・・?
「リナ、私はあんたが心配なの」
 なら!
「何度同じことを言わせる気?」
 う゛!
「私の知り合いプラス、お仕置きと、どっちがいい?」
 ひぃぃぃいいぃぃい!
「今日の晩御飯の時につれてきなさい」
「え?でも、姉ちゃんがいくのは明日の朝じゃ・・・」
「そのままあんたが呼ばないってのもあるでしょ」
 姉ちゃん相手に、それは命を捨てる物だと思うが・・・。
「だから、しっかりと、夕飯の材料を買ってくんのよ」
 心底楽しそうに言う姉ちゃん。
 そうか、その手順もあったから、わざわざあたしを引っかけたのか。

 かくて、あたしは、そのまま追い出され、姉ちゃんの言う通りにしなければ
ならなくなったのだった。

 あ〜あ。





    第二章 楽しいお遊戯の準備


「しっかし、ルナ、あんたもえぐいことするわね〜」
「ゼラス、いたの?」
「まあね(はぁと)」
 突然の振ってわいた声に、女・・・いや、ルナはどうじずに相づちを打つ。
「で?今日はどこにいたの?」
「ああ、お取り込み中みたいだったから、あの蛍光灯の陰に身を潜めてたわ」
「わざわざ、天井の色に合わせた服を着て?」
 ゼラスが苦笑する。
「これは、たまたまよ」
 ゼラスの苦笑につられるように、ルナも苦笑する。
「いつもいいタイミングにいるわね、あんたは」
「あら、今日のは本当に不可抗力よ?」
 優雅なしぐさでいうぜラスに、ルナはため息を吐く。
 あんたのいつもの行動を見てて、それを信じろってゆうの?
 声には出さずに、目で語るように、ルナはゼラスを見て、うっとうしそうに
前髪をかき上げる。
「ほんとだってば、今、何時だと思ってんのよ」
 言って、確信させるためにわざわざ腕時計を人差し指で、コツンとつつく。
「ああ、もうこんな時間になってたのね・・・これじゃあ、あの子、間に合わ
ないかもね」
「なに言ってんのよ、ルナ、あなたがそうさせたくせに」
「なんのこと?」
 はあ、とため息をはきながら言うゼラスに、ルナはわざととぼけてみせる。
 その口元に、人の悪い笑みをかたどりながら。
「で?」
「なにが?」
 ゼラスの問いの意味が分かっているのに、意地悪く、うながしてみる。
 しかし、ゼラスもそのルナの思惑がわかっているのか、かまわず続ける。
「しつけに厳しいあなたが、遅刻しそうなあの子を引き留めて、そのままバイ
バイってわけじゃないんでしょう?」
 ルナの笑みが濃くなる。
 明らかに楽しんでいる。
「そのへんのことは、わざわざ言わなくても、あんたにはわかってるんで
しょ?」
 ルナのあっさりとした言葉に、ゼラスは苦笑するしかなかった。
「沈黙は背提ととるけど?」
 ルナは、玄関のすぐ横の階段に腰掛ける。
 そして、つられたように、ゼラスの姿勢を崩し、壁によりかかる。
「ま、否定はしないけどね・・・でも、だれが来るのか・・・というは、さ
がにわからないわね」
「それでいいのよ」
 それは、私にもまだわからない。
 でも、だいたいなら・・・。
 ルナは、少女の映像を頭によぎらす。
「結論を出すには、まだ早いわ」
 ゼラスは、そううれしそうに言うルナを見て、ため息をつく。
 うれしそうにして・・・なに考えてるのかしらねぇ・・・
 否、それこそ邪推か・・・
「あんなこと言っておいて?」
 一応つっこんでおく。
 あの表情のルナはあの少女のことを思い浮かべたときに発せられる物だ。
 ったく、・・・まあ、私も人のことはいえない、か。
「あら」
 心外だというようにゼラスを見る。
「私が「早い」と言ったのは、あの子のことじゃあないのよ?」
「わかってるわよ」
 長い金の髪をうっとうしそうにかきあげ、ゼラスは続ける。
「「あの子たち」に対する、でしょ?」
「ご名答♪」
 楽しそうに答えるルナに、ゼラスは視線をはずし、自分の髪の毛をいじくる。
「ま、何にせよ、あの子は最低一人は男を誘わなきゃならなくなった、と」
 相手の答えを期待しないでつぶやくゼラスの言葉に、しかし、ルナはにっ
りとほほえむ。
「さて、誰を連れてくるでしょうね」
 ふともらしたルナの言葉がひっかかる。
「ルナ、あなたもかして、それだけのために?」
「まあ、ね」
「今までのはこじつけ?」
「そうでもないわね、両親から荷物が来るのは本当だから」
「その荷物の来る日にちがわかってるのに?」
 一瞬沈黙し、くすくすと笑う。
「図星なわけね」
「まあね」
 悪びれもなく言うルナに、ゼラスは、何回目かのためいきをはく。
「いいの? あなたの大切なあの子が、男と一つ屋根の下にいて」
 ゼラスの言葉に、ルナはほんの少し微笑むようにわらう。
「だから試すのよ、あの子たちを」
 試す、ねえ。
 ルナがふとゼラスを見ると、ゼラスは何かいいたそうにルナを見ている。
「ゼラス?」
「わかってないわね、あの子の魅力を」
 魅力、ねえ・・・。
「私なりにわかってるつもりだけど?」
 ゼラスは人差し指を上げ、ルナに向かって、ちっちっちっ、と振ってみる。
 そんな子供っぽいしぐさと、怖いくらいの笑顔は、まれにみる美女、ゼラス
に、怖い位に、似合うものがあった。
「あなたは、小学校の時のあの子しかしらないわけでしょう?」
 リナの中学時代、ゼラスもある用事(笑)で、頻繁にリナの中学に行ってい
たのだ。 
 もっとも、今となってはその用事(笑)もどうでもいいようだが
 そして、そのたび少女を見て、彼女は不覚にも驚いてしまう。
 弟、ゼロスがいつもと言っていいほどまとわりついてる少女。
 あうたび、来るたびに変わる少女。
 そして、その変化は手に取るようにわかって・・・・。
 だから惹かれる。
 それが、いい意味であっても悪い意味であっても。
 そして、それは否応なしに人の目に触れる。
 そのたび、ゼラスは不快感にさいなまれる。
 そして、その自分に気づくたびに、苦笑する自分にまた笑う。
「あれは類い希な宝石の原石よ、あなたが思っている以上に、ね」
 そう、私さえも魅了してしまう。
 あの少女は・・・。
 言うゼラスに、ルナも同じように人差し指をたて、笑う。
「だからおもしろいのよ、あの子はまだ気づいてない、だからそれを私の手で
おしえるのよ」
「この計画で?」
「そ、私の手の中から行ってしまう前に、このくらいのお遊びはしないとね、
それに、同じに行ってしまうのなら、もう少しだけ楽しませてもらって、私の
手で行かせたいのよ」
 この言葉にゼラスも笑う。
「あの子もしんどい姉を持ったもんだわ」
「なに言ってんのよ、それはあんたも当てはまるでしょう?」
 二人は笑いあう。
 同じ境遇の二人。
 可愛いと思う反面、ついいじめてしまう。
「さて、何人連れてくるかしらねぇ」
「さあ、でも、かなりの数になるんじゃないかしら」
「あの子には、3,4人でいいとかいっといて?」
 その言葉にルナは苦笑で返すしかなかった。
 しかし、たのしそうに。
「それもかなりの数だけどね」
「まあね・・・で?あなたの予想では何人なわけ?」
 そう、ねえ。
 そうつぶやきながら、ルナは手を顎にのせ、ふと黙る。
「そうね、6人・・・いえ、7人かしら」
「そいつらの部屋割りは?」
「・・・あら、それはあの子の連れて来たメンツを照らし合わせて私が決め
わよ」
 なんとまあ、意地の悪い。
 ルナの思惑がわかったのか、ゼラスは小さくため息をはく。
 しかし、その反面、そのルナの策略に心躍らせ、楽しみにしている自分もい
る。
「照らし合わせ、ねぇ」
 意味ありげにルナを見る。
 その視線にルナは、ひょい、と肩をすくめてみせる。
「誰が来るかは大方わかってるんでしょう?」
「あら、なにが?」
「ここまで話といて、今更とぼけてもしかたないでしょうが」
 言うゼラスにルナは笑う。
「あなたのことよ、どうせあの子の周りのやつらの性格ぐらい、把握してる
でしょ?」
「たとえば、ゼロスとか?」
 質問に質問のような答えを返したルナに、ゼラスはくっくっ・・と、喉で
う。
「そうね、あの子は絶対に来るわね、それこそ、頼まれもしないのにね」
 ゼラスは言い、ある少年を思い浮かべる。
 さて、あの子はあれの心を射止められるかねえ。
 ま、あれの周りには、ややこしいのが、複数いるから、簡単にはむりでしょう
けど・・・
 我が弟ながら、難儀なことよねえ・・・。
「で、ゼラス、あんたはどうするの?」
 ルナの声に、ふと思想の中から呼び戻される。
「そう、ね」
 どうするのか、ですって? 
 ふと、考えたふりをしながらゼラスは前髪をいじる。
 答えは決まっている。
 ルナの方も、わざとゼラスに聞いたのだ、一応、彼女の弟も関わるだろう
ら。
「わかってるんでしょ?」
「まあね、でも、一応はことわっといたほうがいいでしょう」
「OKよ、決まってるじゃない」
「そう、よかったわ」
 ルナはにっこりとわらう。
「でも・・・そうね、こんなにおもしろいこと、二人で楽しむのもねえ」
「そうね・・・」
 相づちを打った後、ルナはおもむろに立ち上がり、
「じゃ、そういうわけだから出てきたら?」
「グラウシェラー、ダルフィン」
 ルナの後半の言葉はゼラスが付け足す。
 そして、そう言い放った直後、玄関先に二つの影が生まれる。
「ばれてたのか」
「何言ってんのよグラウシェラー、気配まるだしで」
 グラウシェラーと呼ばれた男に、ゼラスはため息混じりで言う。
「え〜! でも、私たちにかまわず話を続けてたじゃない」
「聞いてもらいたかったのよ」
 ダルフィンの言葉に、今度はルナがこたえる。
 言って、ふと思ったことをくちにする。
「二人とも、今日はどこにいたの?」
「ああ、俺は壁のところにいた」
 そう言いながら、グラウシェラーはどこから出したのか、壁と同じ模様の布
みたいな物を取り出す。
「私は天井裏にいたわ♪」
 さも当然といったように言う二人に、ルナは少しため息をはく。
「いいけどね、・・・それより、どうするの?」
 ルナの言葉に、二人はにやりと笑いあい、ルナを見る。
「もちろん・・・・」
「やるに決まってるじゃない!」
 グラウシェラーの後半の言葉は、ダルフィンが、勢いよく言う。
 そして、その場にいる全員が、普通の人が見れば、血も凍るような笑みを浮
かべる。
「じゃあ」
「そうね」
 うれしそうに言うルナに相づちを打つゼラス。
「準備にかかるわよ」
 そのルナの言葉を合図に、そこにいた全員がおもむろに動き出す。
 その全員が、口の端をほころばせながら・・・・。



 これは、あるところにも投稿させていただいたものです。
 今、必死に、第六章をかいてるんですが、こんなの読みたいという奇特なお人はいないだろうということで・・・・

 それでは!(逃)

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7055Re: 調子に乗って、続き物を投稿しちゃいましたLina E-mail 6/12-13:56
記事番号7052へのコメント




はじめまして。(ですよね?)
  Linaといいます。
 短いですが、かんそうです。
 
>しかも、リナちゃんと誰のカップリングか、今の時点では、わからないです・・

 ふふっ。それは楽しみです♪
 
 まぁ、私個人としては、ゼロリナがいいんですけど…。
 続き、楽しみに待っております♪

       


                         以上、Linaでした。















 
  

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7057Re: 調子に乗って、続き物を投稿しちゃいましたmiyuki E-mail 6/12-22:43
記事番号7055へのコメント

> はじめまして。(ですよね?)
>  Linaといいます。

初めまして、miyukiと申します。

> 短いですが、かんそうです。

> 
> まぁ、私個人としては、ゼロリナがいいんですけど…。

 ふっ、OKです。
 実はこれ、ガウリナ用に書いたやつなんですが、違うパターンで、ゼロリナにいってみますです。

> 続き、楽しみに待っております♪

 はいです。ありがとうございますです。
 ゼロリナですと、今から書き直すので、少々時間がかかっちゃいますが、いいでしょうか?
 ガウリナの方は、もうかいちゃってるんですが・・・ゼロリナだと、また設定がちがうので・・・(死)

 それではっ! miyukiでした!
>  

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7063Re: まぁ、感謝感謝♪Lina E-mail 6/13-19:48
記事番号7057へのコメント

miyukiさんは No.7057「Re: 調子に乗って、続き物を投稿しちゃいました」で書きました。
>
>> はじめまして。(ですよね?)
>>  Linaといいます。
>
> 初めまして、miyukiと申します。
>
>> 短いですが、かんそうです。
>
>> 
>> まぁ、私個人としては、ゼロリナがいいんですけど…。
>
> ふっ、OKです。
> 実はこれ、ガウリナ用に書いたやつなんですが、違うパターンで、ゼロリナにいってみますです。

    はぁ。ありがとうございます。
    私なんかのお願いを聞いてくださって・・・♪
    ふふふ♪




>> 続き、楽しみに待っております♪
>
> はいです。ありがとうございますです。
> ゼロリナですと、今から書き直すので、少々時間がかかっちゃいますが、いいでしょうか?

    もちろん!!どーぞ、どーぞ。
    時間かかっちゃってけっこうです!!
    かいてくださるだけで嬉しいんですもの!!



> ガウリナの方は、もうかいちゃってるんですが・・・ゼロリナだと、また設定がちがうので・・・(死)
>
> それではっ! miyukiでした!
>>  
>
  はぅ〜。ありがとうございます♪
  楽しみに待っておりますわ☆
  
                         Linaより