◆−贖罪の時32−なゆた(7/13-14:21)No.7219
 ┣Re:贖罪の時32−ももへい(7/14-00:52)No.7220
 ┃┗ももへいさまへ−なゆた(7/14-13:42)No.7223
 ┣ふむふむ−昂也(7/14-03:13)No.7221
 ┃┗昂也さんへ−なゆた(7/14-13:47)No.7224
 ┣贖罪の時33−なゆた(7/14-13:36)No.7222
 ┃┣Re:待ってました!!−絹糸(7/14-16:21)No.7225
 ┃┃┗お待たせしました!!−なゆた(7/16-16:23)No.7233
 ┃┗贖罪の時34−なゆた(7/16-16:32)No.7234
 ┃ ┣Re:いつもより多く書いております−絹糸(7/17-15:08)No.7235
 ┃ ┃┗・・・・・試験、平気でしょうか?−なゆた(7/21-14:31)No.7243
 ┃ ┣Re:はじめまして★−鈴鳴 彩菜(7/17-20:55)No.7238
 ┃ ┃┗はぁぁぁぁ!!鈴鳴さんだぁ!!!−なゆた(7/21-14:40)No.7244
 ┃ ┗贖罪の時35−なゆた(7/21-15:40)No.7245
 ┃  ┗贖罪の時36−なゆた(7/21-15:49)No.7246
 ┃   ┣おめでとう!−絹糸(7/22-16:02)No.7257
 ┃   ┃┗ありがとう!−なゆた(7/26-14:39)NEWNo.7283
 ┃   ┣イエ〜〜イ!!!−昂也(7/24-06:29)NEWNo.7265
 ┃   ┃┗Re:イエ〜〜イ!!!−なゆた(7/26-14:44)NEWNo.7284
 ┃   ┣Re:贖罪の時36−やまだ  まきこ(7/24-14:17)NEWNo.7268
 ┃   ┃┗はじめまして!!−なゆた(7/26-14:52)NEWNo.7285
 ┃   ┗贖罪の時37−なゆた(7/26-14:57)NEWNo.7286
 ┣Re:贖罪の時32−春樹(7/14-23:06)No.7226
 ┃┗春樹へ−なゆた(7/16-16:05)No.7232
 ┗すごいですねー−makoto(7/24-09:38)NEWNo.7267
  ┗いえいえ、そんなぁ。−なゆた(7/26-14:18)NEWNo.7282


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7219贖罪の時32なゆた E-mail 7/13-14:21


「あのようなキメラを信用なさると、フィリオネル殿下はおっしゃるのですか?!!!聞けば、あの者、闇の世界でそこそこの名を馳せた者!!そのような裏社会の人間を信用なさるとは、国家の信用問題にかかわりますぞ!!」
 挑発的なジャベルの言葉に、会議室内の様々な所から賛同の声があがる。国家の上層部にかかわるだけあって、そういう裏の事情に詳しいもの達もいるようだ。
 困惑や不審、さらには挑発的な視線の数々の中で,フィリオネルは腕を組み,目を閉じたままぴくりともしていなかった。その沈黙を反論不可能なのだととって、会議室の別の場所からさらに声が上がる。
「それとも、なんですか?彼のようなキメラこそが赤法師の血縁者で、しかも弟子だったとでもおっしゃるのですかな?!!」
  その、あからさまにゼルガディスを侮辱した発言に、フィリオネルがくわっ、と両目を見開いた。
 フィリオネルの眼光の鋭さに、今まで浮き足立っていた王侯貴族たちの空気が引き締まる。
「ゼルガディス殿は我が娘の命の恩人!その方を侮辱することは、我がセイルーンへの侮辱と受け取りますぞ!!!また、外見のみで人を判断するのは、国の上に立つものとして危険ではないですかな?!!」
 フィリオネルの声の大きさと言葉に、会議室にいた者達全員が、息を飲んだ。
 凍てつくような沈黙の中、きぃぃ、と扉のきしむ小さな音が部屋に響いた。
「おお、ヴァル!!ゼルガディス殿はどうした?!」
 会議室の扉をこっそり開けたヴァルを見つけて、フィリオネルが傍に駆け寄った。
 その巨体を見上げつつ、ヴァルがちょこん、と首を傾げた。
「あのね、ゼルにぃが、後2〜3時間待ってくれ、って」
 ヴァルの言葉に、ジャベルが鬼の首を取ったかのような勢いで喋り出す。
「はん!!!その間にこの国を逃げるつもりではないですかな?!!その証拠に、正当なる延長の理由も伝えてこんではないですか!もしかしたら、アメリア姫を連れ去る計画でも立てているのではないですか?!油断のならない男だそうですからな?!!!それに今回のことも、あの男が原い…・・」
「だまらぬかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 とうとうと喋りつづけるジャベルに、フィリオネルの激しい一喝が飛んだ。びくりっと、体を硬直させて、ジャベルが黙り込む。
 その様子を横目に睨みながら、フィリオネルはヴァルの横に腰を下ろした。
「それで、ヴァル?他に何か言ってなかったか?」
 穏やかなフィリオネルの問いかけに、ヴァルが再び頷いた。
「んっとね。『リナとガウリィが腹を空かせて暴れ出しそうだから、昼飯を食ってからにしてくれ』、だって」
 ヴァルがゼルガディスの言葉を伝えた瞬間、会議室が静寂に包まれた。
 腹を空かせた「リナ・インバース」と「ガウリィ・ガブリエフ」。その二人の機嫌を損ねることは、一国の存亡さえも左右するという。
 戦慄が、会議室を走り抜けた。
 …………・そして、ゼルガディスの提案は、一もニもなく通ったのである。

「どうしてあんな理由で、通るわけぇぇぇぇ!!!」
「そりゃあ、リナだから・・・・・・…」
「あんたも入ってるのよ!!!」
 どこ、げし!!!びし!!
 いつもの通りのどつき漫才を横目に見ながら、リナとガウリィ以外の者は納得した様に頷いた。
「お腹を空かせたリナさん達に敵う人なんて、いませんからねぇ」
「そうなの?レイス」
「噂を鵜呑みにするのは危ないけど、話半分に聞いても、すごいらしいね」
「そうです!!あんな状態のリナさん達に手を出すのは、冒険初日に最終決戦の場に引きずり出されるのと同じ位、危険です!!!!」
「………外の世界では、同じようなリアクションとってたのは、誰だったかな?」
「うっ!!!あれは、正義のためだから、いーんです!!!」
「………・で、あんたらは全員、納得するわけね?」
 にぎやかな雑談は、不機嫌なリナの一言で凍りついた。
 全員が、恐る恐る振りかえると、そこにはぼろぼろになったガウリィと、指の関節をぱきぱきと鳴らしているリナの姿があった。
「リ、リナさん!!暴力はいけません!暴力は!!こんな所で暴れると、また泣く人がでますぅ!!」
 フィリアが、がしぃっとリナの腕にしがみついた。
「離しなさい、フィリア!!!あんたはまた、人を破壊神かなにかのように・・…!!!」
(大してかわらんだろうが・・・・・・・…)
 そんな思いを胸に秘めて、竜族のフィリアの力から必死で逃れようと暴れるリナを、全員が見つめていた。

「で、これからどうするわけ?」
 ガウリィをぼこぼこにし、フィリアを泣かせてすっきりしたのか、えらくさっぱりとした顔でリナが言った。
 その様子に、ゼルガディスが苦いため息を漏らし、同情の視線をガウリィに送った。
「相変わらず、旦那の扱いがひどいな。しばらく二人だけで旅をしてきたくせに、何の進展も無かったのか?」
「………・んな!!!なにを…!!」
 思いがけないゼルガディスの言葉に、リナが首筋まで赤くなる。
「まぁ、お前ららしいといえばそれまでだが…・・。とりあえず、リナ達は飯でも食っててくれ」
「めぇぇぇぇしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
 ゼルガディスの言葉で、ガウリィが復活した。
「って、そんなんで復活するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 ゼルガディスの言葉の余韻を引きずっているリナが、いきなり背後で復活したガウリィに、チョーク・スリーパーをかける。が、その顔が赤く染まっているのは、誰の目にも明らかであった。
 そのまま、大いに脱線して行きそうな二人を放っておいて、アメリアはゼルガディスを見つめた。
「リナさん達は・・…って、ゼルガディスさんはどこかに行くんですか?」
 どこか、淋しそうな雰囲気が言葉から滲み出す。子犬のような瞳に、ゼルガディスがぽりぽりとその頬を掻く。
「まぁ、ちょっと、野暮用があってな。レイスとちょっと、出かけて来る」
「ふ〜ん、……・・って、兄さん?!!僕もなの!!」
 何気なく頷いたレイスが、ぎょっとしたように身を引いた。その様子を冷たく見つめて、ゼルガディスが冷めた声を出す。
「当然だろう?俺は最近の事情をよく知らん」
「でも……、僕のご飯はぁ?」
「だぁぁぁぁ!!!お前は2〜3日は食わんでも平気だろうが!!とっとといくぞ!!」
 なおも食事に未練たっぷりのレイスの襟首を引っつかんで、ゼルガディスはすたすたと扉に向かった。が、その一歩手前で立ち止まると、背中越しに振りかえった。
「アメリア!」
「あ、はい!!」
「お前、最近ろくに食っていなかったんだろう?きちんと食べておくんだぞ!」
「え、あ。はい!!」
 元気いっぱいに答えたアメリアに,ゼルガディスは軽く頷き返すと,さっさと扉の向こうへ消えていった。
 その部屋に、食事が到着したのはその直後だった。
 
「あああああああああああああ!!それ私のよ!!勝手に食べんじゃないわよ!!」
「そういうお前だって俺のエビフライ取っただろうがぁぁぁ!!!」
「リナ!!僕のお魚も取った!!!」
「うるさいわよ、ヴァル!!早い者勝ちに決まってるじゃない!!!ガウリィのくせに、文句言ってるんじゃないわよ!!だったら、このお肉も〜らい!!」
「うぁぁぁぁぁ!!!俺の肉ぅぅぅ!!!!」
「ガウリィ、隙あり!!僕も、この鳥も〜らった!!!」
「こうなったら、このスープは俺がぁぁぁぁぁぁ!!!」
 いつも通りの食事風景。
 そこに、さらにヴァルが加わっているので、余計に騒がしくなっている。
 それを止めるかと思ったフィリアは、
「ああ、ヴァル・・・・・・…。リナさん達の食事に加われるなんて、立派になったわね・・・・・…」
 などと呟きながら、目じりをハンカチで抑えている。
 その凄まじい喧騒に、ルーシャが困惑したように顔を引きつらせた。
「あ、あの、アメリア姫。なんだか、ものすごい音が聞こえるんですけど・・・・・…。しょ、食事のはずですよね?」
「………え、あはははははは。気にしないでください!!リナさん達には、あれが普通なんですから!!」
「・・・・・・…普通、なんですか・・…」
 無理やり自分を納得させる様に呟いて、ルーシャが小さく頷いた。そして、手にしていたサンドイッチを一口かじる。目の見えない彼女のために、厨房が特別に作ったのだ。
 そのことに感謝しつつ、アメリアもスープを一口すする。彼女の場合、長い間食事を取っていなかったので、胃に優しい薄い味付けのものが用意されているのだ。
 それを食べながら、ぼんやりとルーシャの顔を見つめる。
 今は顔半分が布に覆われているとはいえ、顔立ちがきれいなことは容易に想像できる。しかも、それはゼルガディスの、もろ好みのような顔立ちだ。つまり、おとなしそうで、守りたくなるような少女。その華奢な手足を見つめ、自分と比べてため息をつく。
 自分は、どう考えても守られるタイプではないし、自分でもそうなりたいとは思わない。しかし、やはり好きな人の気になるタイプのことは気にかかる。
 はぁ、とため息をつくと、それが聞こえたのか、ルーシャが怪訝そうに首を傾げた。
「どうかなさいましたか、姫君?」
「え!!ああ!!何でも無いです!!!」
 まさか、あなたの容姿を見てたから、とはいえない。それで、慌てて首を振ったとき、リナ達の食事の音が途絶えた。
「ふぃぃぃぃぃ!!お腹いっぱいィィィ。もう食べられないかも・・・・・…」
「おう。食ったなぁ」
 満足そうにお腹をさすりながら、リナとガウリィが幸せそうに椅子にもたれかかった。その横では、ヴァルが机に突っ伏して小さなあくびを漏らす。
「お腹いっぱいになったから、眠くなったの、ヴァル?」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」
「おお、眠いのか?ヴァル。しょうがないなぁ。ベッドに連れてって来る」
 すやすやと、寝息を立て始めたヴァルを抱えると、ガウリィが部屋から出ていった。
 そして、部屋には女性四人だけが残る。女性だけ……。

 そうなれば、花が咲くのは恋の話。
 リナとフィリアがにやり、と顔を見合わせると、その顔のままアメリアに向き直った。
「な、なんですか?二人とも!?」
 その様子に、不穏な空気を感じ取ったアメリアが、少し身を引いた。
「何って、決まってるじゃない!なんだかごたごたしてて聞き忘れてたけど、9ヶ月前に、ゼルと一緒に帰ってきたんでしょ?!」
「それで、お二人の仲はどこまで進んだんですか?」
「な、ななななな、なかって!!」
 真っ赤になるアメリアに、リナとフィリアがさらに詰め寄る。
「なんにも無かったなんて言わないわよねぇ?あんたのそのブレスレット。もう一つはゼルが持ってたのを、水筒出した時に私はこの目でしっかり見たんだから!!」
「それに、あのゼルガディスさんが、公衆の面前にもかかわらずキスするなんて、きっと、何かあったはずです!!」
「そ、そんな事、言われたってぇぇぇ!!!」
 真っ赤になりつつ,涙目になるアメリア。それでも容赦するつもりは無いらしく、リナとフィリアはその視線をはずさない。
 そこに、ルーシャのやや驚いたような声がかかった。
「アメリア姫と、兄さんは・・・・・…、恋人同士だったんですか?」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!そ、そんな、恋人だなんて!!!まだ、なんにも言ってないです!!!」
 ルーシャの問いに、首筋まで赤くなりながら、アメリアが首をぶんぶんと振る。
 その答えに、ルーシャが少し首を傾げる。
「そう、なんですか?私はてっきり、二人は……」
「でしょ!!思うでしょ?!!なのにゼルのやつが、な〜かなか煮え切らなくてねぇ!!」
「そうですよね!!早く告白しちゃえばいいと思うんですけどね。ご自分の体のこととか、過去の事とか気にしてて、言えないみたいですけど・・…」
「かぁぁぁ!!そんな事、気にしてないわよねぇ?!アメリア!」
「え、あ、はい!気にはしてません!!」
 はっきりきっぱり言いきったアメリアに、リナが満足げに頷き、フィリアが優しく微笑んだ。
 そこに、当惑したルーシャの声がかかる。
「兄さんに、何かあったんですか?あの体も、どうしたんでしょうか。連絡が無かったこの7年に、何があったか、ご存知なんでしょうか?!!」
 すがるようなルーシャの言葉に、全員が顔を見合わせた。これは、ゼルガディス本人が決めることで、部外者が口を出すべきことではない。過去のことも、彼がそうしたい、と思えば話すだろう。
 そう思って、それをリナが伝えた。その答えに、ルーシャは顔を曇らせた。
「…・・では。きっと教えてくれないでしょう。昔から、自分の問題は自分で解決しようとする人でしたから」
 その言葉に、全員が納得して頷いた。彼は、人を頼る、という事をなかなかしない。仲間としては、頼ってほしいと思うのに、彼はそれすらをも厭う。

 ルーシャは一つため息をついた。
「・・・・・…兄さんは、いつも、どこか辛そうでした。けれど、皆さんと話しているときは、そんな気配が薄くなっていたんです。だから、……兄さんは今、幸せでしょうか?」
 心配に顔を歪ませて、ルーシャがそっと呟いた。
 リナが、あさっての方向を見つめつつ、天井を見上げる。
「さ、ね。幸せっていうのは、個人の判断だから、客観的にははっきり言えないかな……」
「そうですか・…・・・・・…」
 俯いたルーシャの両肩に、そっとフィリアが手をおいた。
「大丈夫ですよ。彼は幸せになる努力をする方ですから」
「……・・はい。そう、信じています」
 そのとき、硬く握り締めていたルーシャの手をぐわしっ、とアメリアがつかんだ。
「大丈夫です!!幸せは、必ずやってきます!!いいえ!例え来なくても、このアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが、必ず幸せにして見せましょう!!!」
 その叫びに、グラリ、とルーシャの体が傾いだ。それでは、まるでプロポーズである。けれど本人にはその自覚が無いようでもある。
 ルーシャには、どうしてゼルガディスがこの姫君を気に入ったのか、少し分かった気がした。
 彼女には、人を幸せにする力が、あふれている。 
 そう思うと、頬が自然にほころんだ。

 その時、リナの顔がまたしても、にやりと歪む。そして、ルーシャのほうに向き直ると、その顔を覗き込む様に頬杖をついた。
「そういえばさぁ、レイスってルーシャの彼氏?」
 唐突な問いに、ルーシャの頬がほんのりと染まる。
 フィリアが入れたお茶をすすりながら、リナが納得した様に頷いた。
「やっぱりねぇ。兄弟にしては、妙に中が良すぎるなぁとは思ってたのよ」
「へぇ、そうだったんですか」
「いいなぁ、両思いかぁ」
 ルーシャ以外の3人が、顔を見合わせてうんうんと頷きあった。
 そこに、当惑したルーシャの声がかかった。
「ちょ、ちょっと待ってください!!別に私とレイスは、そんなんじゃ・・・・・…!!大体、私はただの民の一人にしか過ぎませんから!!」
「え〜〜〜!とてもそんな風には見えなかったけどぉ?」
「そうですよね!!レイスさんも、とてもルーシャさんの事を大事にしている様だったし!!」
「それは!!それは、……違うんです。彼が私の事を気にかけるのは、この目のせいなんです!!」
『目のせい?』
 全員が、当惑した声をあげた。
「どういうこと?あなたの目は1年前に不慮の事故でそうなったって、言ってたじゃない。それなのに、どうしてレイスが気にかけるのよ?」
 リナの言葉に、ルーシャが顔を歪ませた。
 脳裏によみがえる、光を失った日のこと・・・・・…。決して忘れる事はできない、あの出来事。
 俯いて、唇をかみ締めてしまったルーシャをみて、リナは諦めて両方をすくめた。
「まぁ、話したくないならいけど。でもさ、レイスのあれは、絶対に恋愛感情からだと思うんだけどねぇ」
 呆れたようなリナの口調に、アメリアの声が重なる。
「そうです!!お二人は相思相愛なんですから!!身分のことなんか気にせずに、突っ走っちゃってください!!」
 はっきり言いきるアメリアの言葉に、ルーシャの頬に一筋の汗が流れた。
「相思相愛って、決まったわけじゃ・・・・・・・…」
「そんなことないです!!もっと自信を持ってください!!!」
 アメリアの言葉に気おされて、こくこくと頷きながら、気付かれないようにため息をついた。
(兄さん・・…。この人達、どうやってとめるんですか…………?)
 三人の常識外れな力を持った女性達の会話を聞きながら、ルーシャは途方にくれていた。
 ちなみに、今の話題は、いかにしてレイスとゼルガディスに告白させるか?である。
 目にうっすらと涙を滲ませて、話しのネタの少女は逃げることさえかなわなかった・・・・・・…。

「ふえっくしゅ!!」
「風邪?兄さん」
「いや、なんでもない」
 セイルーン王家迎賓館の廊下を二人は歩いていた。ちょうど食事時という事で、歩いている者が少ない。
 そこでレイスは、少し気になった事を聞いてみよう、と思った。
「ねぇ、兄さん。兄さんはあの魔族・・ええと、ゼロスと知りあいだったの?」
 何気に聞いた質問に、ゼルガディスのこめかみが引きつった。脳裏によみがえる、ゼロスに飲まされた苦汁の数々。
「………色々あってな」
 絞り出すような声に、これ以上の質問は危険だ、と感じとって、レイスは話題を変えることにした。
「そういえば兄さん。アメリア姫と結婚するの?」
 ずがしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
 ぴかぴかに磨かれた床の上を、ゼルガディスが派手に滑って、こけた。
「何でそうなる!!!!!」
 真っ赤になりながら身を起こして、ゼルガディスが叫んだ。
「え、え?!だって、さっきだってあんなに心配してたし、僕がキスしたって言ったら、今までに無いくらい怒ったじゃない!兄さんは他人のためにあそこまでやる人じゃなかったから・・・・・・…。ち、違うの?」
 当惑したようなレイスの言葉に、ゼルガディスは手のひらで顔を覆った。
 確かに、他人のためにはあそこまで動かなかっただろう。レイスの知らない7年前からの自分なら・・・・・…。
(しかし、そんなに態度に出ていただろうか?)
 自覚がまったく無い。これでは、アメリアも大変であろう。
 いきなり思い悩んでしまったゼルガディスに、レイスがそっと声をかける。
「あの〜、兄さん。告白はもうしたの?早くしないと、他の人に取られちゃうかもよ?」
「だぁぁぁぁぁ!!!そういう余計なことをいうのは、この口か!!ええ、この口なんだな!!!!」
「いひゃい!!!いひゃいひょ(いたいよ)!!」
 真っ赤になったゼルガディスが、力いっぱいレイスの頬を引っ張った。
「余計なことばっかり、覚えやがって」
「だからって、力いっぱい引っ張ることないじゃないか!!」
 真っ赤になった頬をさすりながら、レイスが恨めしそうな視線をゼルガディスに向ける。が、ゼルガディスにぎろり、と睨まれてあえなく口をつぐんでしまう。
 それに満足したのか、再びゼルガディスが歩き出した。後ろにレイスがついてくるのを確認して、再び口を開く。
「現在、この国に来ている王族の中で発言権の強いので、上から五カ国は分かってるな?」
「うん」
「その国々に対する情報は、全部あるのか?」
「いや、1カ国だけ。ランドーグ王国だけ情報が無いんだ」
「ああ、そこなら、一つある」
 平然と言葉を交わしながら、二人は歩いて行く。レイスは、自分の為すべき事はわかっていた。
 古来、ル・アースは情報収集能力によって生き残ってきた。それゆえ、彼自身も幼い頃から、潜入の技を仕込まれ、実際に行った事もある。
 集められたそれは、外交上の駆け引きや貿易、脅迫に使われる。
 そして今回は・…・・・・・…。
「どこからはじめるの?兄さん」
「一番落ちやすそうな所に決まってる」
 裏取引に応じる、国。
 まずは、周りから崩して行こう……・・・・・…。
 そう、ゼルガディスは心に決めて、第一の扉を開いた。

 限られた時間は、多くはない。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 テスト終了ぉぉぉぉぉぉ!!!!
 やったぁぁっぁ!!おわったぁぁぁぁ!!結果なんぞ,知るかぁぁぁぁ!!!
 ふう、 何か、テスト期間に突入した人達に喧嘩を売ってるみたいですねぇ・・・・・。
そんなつもりは露ほども無いですから,お気になさらずに。(単に叫びたかっただけ)

 さて,久しぶりに投稿できました。
 次回はとうとう外交対戦!!
 どっちが上手かなぁ,などと無責任なことを思いつつ,
 次回をお楽しみに!!!

 でわ×2.今度は,・・・・・・・・いつになるでしょう。
 なるたけ早く載せますんで,どうか、じっくりお待ち下さいまし!!

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7220Re:贖罪の時32ももへい E-mail 7/14-00:52
記事番号7219へのコメント

なゆたさん、こんにちは。

テンションの高い女性陣の会話の後の、

>(兄さん・・…。この人達、どうやってとめるんですか…………?)

というつぶやきに、ナゼかふっと笑ってしまいました。
そういえば誰も止め方分らないだろうな〜
分かっても、誰が止められるんだろう。

> 次回はとうとう外交対戦!!

かっこいい!外交というと血を流さない戦いってやつなのかな?

テストお疲れ様でした!
短いですが、それでは。

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7223ももへいさまへなゆた 7/14-13:42
記事番号7220へのコメント


>なゆたさん、こんにちは。
 はい!こんにちは、です。
 そうだ!!ももへいさんのホームページに行って来ました!!
な、なんて幸せなところ・・・・・・。
とか思って、ずっぷりはまり込んでしまいました!
 
 さてさて、

>テンションの高い女性陣の会話の後の、
>
>>(兄さん・・…。この人達、どうやってとめるんですか…………?)
>
>というつぶやきに、ナゼかふっと笑ってしまいました。
>そういえば誰も止め方分らないだろうな〜
>分かっても、誰が止められるんだろう。
 
 きっと、誰にもとめられないでしょう。普通の女性の会話だって、誰にもとめられないのに、
まして、この最強三人娘は、止めたら暴走しそうですから(爆)

>
>> 次回はとうとう外交対戦!!
>
>かっこいい!外交というと血を流さない戦いってやつなのかな?

 一応血は流れてませんが、なんか、イメージと違ってしまいました。
いいんです、私の文章構成能力では、あれが限界でしたから。
 どうか、見捨てずに読んでくださいまし。
>
>テストお疲れ様でした!
 はい、ありがとうございます!!

 これからも、どうぞよろしくお付き合いください。

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7221ふむふむ昂也 E-mail 7/14-03:13
記事番号7219へのコメント

次回からは外交ですか、個人的には好きな分野ですね(笑)。
権謀術数の限りを尽くして敵をはめる、くう〜カッコええな(笑)。

テストが終わったそうですが、私はいよいよこれからって感じです。
夏休みも8月からやし、は〜禁ネットの日も近い(苦笑)。

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7224昂也さんへなゆた 7/14-13:47
記事番号7221へのコメント


 毎度感想ありがとうございます!!!

>次回からは外交ですか、個人的には好きな分野ですね(笑)。
>権謀術数の限りを尽くして敵をはめる、くう〜カッコええな(笑)。

 ・・・・・・うぅ!ご期待に添えていないので、し、心臓が・・・・・。
 というのは、冗談ですが、なんだか権謀詐術とは縁遠くなってしまいました。
とりあえず、幕間でそれはゼルガディスがやったんですけど、入れると・・・・・・・・・。
いつおわるんだ、これ・・。っていうくらいになりそうなので、省いてしまいました。
とりあえず、33を載せましたが、裏で取引やったなぁ、程度にしかわかりません。
すいません。
>
>テストが終わったそうですが、私はいよいよこれからって感じです。

 おお!!それはがんばってください!!!

>夏休みも8月からやし、は〜禁ネットの日も近い(苦笑)。

ふ〜、それはざんねん?ですねぇ。
でもでも、夏休みを思いっきり楽しんじゃってください!!!

 それでわ!!

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7222贖罪の時33なゆた 7/14-13:36
記事番号7219へのコメント

 ―約1.5時間後・・…
 痺れを切らした貴族やジャベル、さらにはセイルーンの重臣達まで大会議室に集まっていた。
 しかし、セイルーンの重臣やフィリオネルはあくまで中立という事で、発言は控える事になっている。これは、フィリオネルがゼルガディスをつゆとも疑っていない結果でもあった。
 この大会議室は、一度に100人単位の人数で会議を行える場所で、すり鉢上になった席があり、その底に当たる部分には発言者が立つようになっている。
 今、その会議場は約半分の席が埋められ、ざわざわとした喧騒に包まれている。
 審判が、今始まる・・・・・・…。

 すり鉢の底にある、一段高い場所に司会らしき男が立った。
「え〜。お集まりの皆さんもご存知のように、現在この国には"ゼルガディス・グレイワーズ"を名乗る人物が二人、存在します。同姓同名の別人,という可能性はもちろん否めません。しかし、ここに居られるジャベル殿は、突然現れたキメラの青年こそが、彼の甥の名を語っている、と証言されています。しかも、そのキメラの青年は闇社会で生きていたものだ、とさえ証言されています。それが本当なら、偽証罪、さらには様々な前歴に対する究明が必要となるかもしれません。それでは、会議を始めたいと思いますが、二人の"ゼルガディス"さんは?」
 くるり、と後ろを振りかえると、いらいらしたようなジャベルとリナが、同時に首を横に振った。
 その様子に軽く頷き返して、司会者が前に向き直った。
「どうやら,双方ともに遅れていらっしゃるようですが、ここで何か意見、ご質問のある方は?」
 司会者の声に、ジャベルが勢いよく立ち上がった。
「儂の甥は、今あの男に脅されているのかもしれません!!!甥は、気が弱く、あのような男に脅されればすぐに従ってしまうかもしれません!!よろしければ、今すぐに甥を探しに行く許可がほしいですな!!」
 その発言に、納得したように貴族達が頷いた。そして、セイルーンの重臣が、視線で兵士に合図を送り、幾人かを外へと送り出す。
 その様子を、リナは苦々しく見つめた。
 これは、ゼルガディスがそれをやりかねない人物だ、と何人もの人間が思っている証拠なのだ。
 リナの隣で、セイルーンの正装に着替えたアメリアが同じような表情で、ジャベルを睨みつけている。
 そんな様子に気付かないのか、それともあえて無視しているのか、なおも、ジャベルの演説は続く。
「そもそも、今回アメリア姫を狙って現れた魔族!!あれがはっきり言ったのを皆さんは聞いていたはずです!"ゼルガディス、に対する囮"という言葉を!!これは何を表すのでしょうか?!」
 あえてそこで言葉を切った。
 困惑の気配が、あっという間に会議場全体を包む。
 そこを狙い済ましたかのように、再びジャベルが口を開く。
「そうです!!あの魔族と男は何かの契約を結んでいたのかもしれません!!そして、アメリア姫を助ける振りをし、まんまとセイルーン王家に取り入ったのです!!いえ、もしかしたら、姫の命をも狙っているのかも……!!!」
「元気そうだな、ジャベル」
 得意げなジャベルの言葉が、不機嫌な声によってさえぎられた。
 決して大きくは無いが、背筋に響くこの声に、会場が水を打ったように静まり返った。
「ゼルガディスさん!!!」
 アメリアが、会議場の入り口に立っているゼルガディスとレイスを見つけて、喜びに顔を輝かせながら駆け寄った。
「何をしてたんですか?心配したんですよ!」
 マントの端を握り締める彼女に、ゼルガディスは何故か赤くなりながらそぽを向いた。どうも、先刻レイスにいわれた言葉が頭に残っているようだ。
 そのままの姿勢で、後に立つレイスを親指で指す。
「早くきたかったんだが、こいつの着替えが遅くてな!」
「…………・すいません」
 ゼルガディスのいらいらした口調に、小さくなりながらレイスが謝った。
 ゼルガディスはいつも通りの格好なのに比べ、レイスは緑を基調とした礼服に身を包んでいる。
 当惑する仲間たちの顔を可笑しそうに眺めて、ゼルガディスはさっさと壇上の人となってしまった。
 仕方なくアメリアも、元いた自分の席へと戻る。
 隣のリナが、何かあったのか?と目で訴えてくるが、横に首を振るしかなかった。そのリナの隣では、ガウリィがすやすやと気持ちよさそうに眠っている。もはやリナも諦めたのか、そんなガウリィには見向きもせずに、壇上に視線を戻した。
 ヴァルは、食事の後も眠りつづけているので、部屋で寝かせている。
 そして、フィリアも、ルーシャもまた、緊張した面差しで、じっと事が始まるのを待っていた。
 壇上では、今まさに、ゼルガディスとレイスがなにかを始めようとしている、所だ。

 壇上に立ったゼルガディスは、今はフードとマスクを取り、その素顔を完全に人目にさらしている。その事に、まず会場中の者が驚きざわめいた。
 青黒い肌をさらし、銀の金属の髪をし、それでも背筋を伸ばして正面を見つめるその姿は、会場中のものの息を飲ませるほどに、威厳にあふれていた。
 その視線の中、ゼルガディスは軽く頭を下げた。
「今回、我がル・アースのことで,セイルーンを初め多くの国の方々を混乱させてしまったことを,まず謝罪いたします」
 口調が、完全に変わっている。完璧なる宮廷の言葉。その静かなゼルガディスの声が、会議場に響き渡る。その言葉の内容に会議場の人々は息を飲んだ。彼ははっきりと言ったのだ。"我がル・アース"と。
「そして,今回の混乱の原因を作った二人を改めて紹介いたしましょう。そこにいるのが、我が叔父に当たるジャベル・グレイワーズ」
 紹介されたジャベルは、脂汗を流しながら、硬直している。
「ここに控えているのは、そのジャベルの息子であり、私の従弟に当たるレイス・グレイワーズと申します」
 名前を呼ばれたレイスは、恐縮したように、それでも礼儀作法からは文句のつけようがないほど優雅に、一礼をした。
 その事に正気を取り戻したのか、ジャベルが椅子をけって立ち上がった。
「でたらめだ!!!皆さん、その男を信じてはなりませんぞ!!ゼルガディスはこの男に脅されているに違いありません!!」
「いいえ!!!ぼ・…、私は脅されてなどおりません!!私は、自分の意思でここにいて、そして自分の名を名乗っています!!父上!!もうやめてください!!!」
「何を馬鹿な事を言っているのだ?!!そうか、そう言えと脅されたのだな!大丈夫だ、お前はこのわしが守ってやるから本当の事を言いなさい!!」
「叔父上。いい加減にしてください。それ以上ル・アース公国に泥を塗らないでいただきたいものですね」
 グレイワーズ一族の口論に、会場に困惑の空気が流れて行く。

 ざわめきが爆発する寸前、ゼルガディスが大きく机を掌で打った。凄まじい音が、会場の空気を静める。
 それを確認して、ゼルガディスは完璧なる礼を取った。
「今回の事、わが国の恥なれば、内々で処理したいかと存じます。できれば、皆様にはこのままお引取りを願いたいと思うのですが?」
 ざわり、と空気が動いた。確かに、これからの話し合いは国の内情を暴露する事に違いない。しかし、だからといってここまで混乱させられて、簡単に引けるものでもない。
 それを感じとって、ジャベルが声を張り上げた。
「いいえ!!皆さんもご存知でしょう?!!この男がいかに非道な事を行ってきたのかを!その男が、信用に値するとお思いになれますか?!!」
 その言葉に、さらに会場のざわめきが大きくなる。
 しかし、そこで立ち上がったものがいる。ランドーグの外交長官だ。
「その者が裏の世界にいた、という確固たる証拠が無い上に、あなたのいう事に対する信用性も低い。これ以上、我々は茶番に付き合う暇は無いのだがね」
「な・・・・・・…!!」
 冷たい言葉に、ジャベルが顔色を失った。さらに別の所からも声が上がる。
「そうですな、ここから先はゼルガディス殿にお任せして、部外者は引っ込むとしましょう」
「に………!?」
 発言者が、有力な国のものである事を知って、会場がささやき声に埋め尽くされる。その二カ国が、ゼルガディスを認める発言をしたのだ。そこを狙ったように、さらに三カ国の外交官が次々と立ち上がる。
「さて、結果くらいは教えてくださるんでしょうな?ゼルガディス殿」
「ええ、お詫びの書状に添えて送らせていただきます」
「それで安心した。きっちり知っておかないと、どうもすっきりしないからな」
 老齢な、王族にして外交官の男性がそれだけを言うとさっさと会議場を後にする。残りの国の外交官も、それぞれに軽くゼルガディスに言葉をかけて出て行った。
 最初に発言をした2人も次々に会場を後にする。
 それに、最初は当惑していた各国の代表者達も、ざわざわと騒ぎつつも、次々と会場を後にして行った。
 今回の集まりの中で、最も力を持つもの達が出て行ったのに、その場に残っていては後の外交に影響が出る可能性を考えたのだ。
 そして、会場にはゼルガディス、レイス、ジャベル、リナ、眠ってるガウリィ、アメリア、フィリア、ルーシャ、そしてフィリオネルと、数人のセイルーンの重臣達だけになった。
 
 閑散とした会議場を見渡して、ゼルガディスが可笑しそうに咽を震わせた。目の前には、呆然とした表情で、どこかを見つめているジャベルがいる。
「どうした?人数で、俺をおとしめる事ができなくて、呆けているのか?それとも、自分の身の上の危機に呆然としているのか?」
 クスクスと、獲物を追い詰める猫さながらの表情で、ゼルガディスが囁いた。口調も、いつもの物に戻っている。
 その言葉に、ジャベルの焦点が急速にゼルガディスに絞られる。レイスと同じ緑の瞳が、憎しみに曇って見えた。
「儂の危機だと?!!"レゾの狂戦士"と呼ばれ、残虐非道の限りを尽くしてきたお前など、叩けばいくらでもほこりが出るわ!!それを目の前にしても、まだその顔を保っていられるかな?!!」
「それでも、俺が現ル・アースの大公である事には変化は無い」
 さらりと言いきるゼルガディスに、ぎりぎりとジャベルが歯軋りをする。
「貴様が本物だと言う証拠があるのか?!!そこのゼルガディスはセイルーンの調査をきちんと通過したんだぞ!!キメラごときが、そんなものをもっているはずは無いだろうがな!!」
 その台詞に、セイルーンの重臣達がゼルガディスとレイスに注目した。もし、彼らが偽者を通過させてしまったのなら、重大な責任問題になるのだ。
 けれど、リナ達はそれどころではなかった。明らかにゼルガディスを侮辱しまくった発言の数々に、怒りが溢れて止まらなくなる。けれど、本人たるゼルガディスが、そんなジャベルを冷ややかに見つめている以上、手だしはでない。ただ彼らを見ているだけしか出きなかった。
 刺さるような視線の中、ゼルガディスは軽く微笑んだ。
「証拠、があればいいんだな?」
 にやり、と口元を歪めると、フードの留め具の赤いブローチをはずした。
 それを右の掌に載せ、何やらぶつぶつと呪文を唱える。
 全員が注目する中で、そのブローチが、鮮やかな深紅に輝き出す。息を飲む人々の耳に、静かな青年の声が響いてきた。
『この者の名は、ゼルガディス・グレイワーズ。我が子孫にして、我が後見を得たル・アースの大公たる事を、この赤法師レゾが保証する』
「でっちあげだ!!!!!」
 悲鳴のようなジャベルの言葉に、リナが勢いよく立ち上がる。
「いいえ!!その声は間違いなく赤法師の物よ!!!私は聞いた事があるもの!!」
「そうです!!私も、(コピーですけど)聞いた事があります。この私、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが保証します!!!!」
 セイルーンの王女の言葉にも、ジャベルはめげなかった。
「では!!ご本人を連れてこい!!貴様がゼルガディスなら、可能だろうが?!!」
「それは、できない」
「なぜだ?!!簡単だ、貴様が嘘をついているからだろう!!!」
 ジャベルの勝ち誇った声に、ゼルガディスはブローチを戻しつつ、嘆息した。
 そして、会場の者全員に聞かせるように、言葉をつむぐ。
「・・・・・・・…レゾは、もうこの世にはない。2年前に死んだ。俺が、看取った」
 静かに告げられた事実に、ゼルガディスの仲間以外のもの達に驚愕が駆けぬけた。しかし、それはすぐに納得されたものになる。
 彼が人前に姿をあらわさなくなって、約十数年が経過している。もはやこの世にいない、との噂さえも存在していた。それほどに、高齢であったのだ。
 確認を取るように、重臣達がリナに視線を走らせる。視線の先で、リナが軽く頷いてその事を肯定した。
 世間では色々と言われているリナも,セイルーンでは、その危機を何度も救ったとして,結構信用されているのだ。
 重臣が、重くため息をついた。彼らもまた、認めたのだ。ゼルガディスが、レゾの近くにいた者だという事を。そして、ジャベルに騙されていた、という事を・・・・・・…。

 ゼルガディスが、目の前で呆然としている男を見つめた。
 同情の念は沸かない。まだ、罰は終わらせない。
 そう思った時、右の瞳が何かを捉えた。すっと、視線を走らせると、アストラルサイドにゼロスが見えた。
 手に持った何かを振って、そばの空間まで近寄ってくる。
 その意図を感じとって、ゼルガディスはゼロスのそばに手を伸ばした。するり、とゼロスの持っていた物がゼルガディスの手の中に現れる。
 その瞬間、ゼロスの思念が流れ込んだ。
『約束は、守ってくださいよ』
 泣き出しそうな声に、それほどに上司が怖いのか、と呆れつつ、意識の中で頷き返す。それに満足したのか、ゼロスがふわり、と上空に移動した。どうも、事の経緯を見守るつもりのようだ。
 どうせ反対しても、押し切るには違いないのだから、無視してジャベルに向き直る。
 周囲の視線は、ゼルガディスの手の中に突然現れたものに注がれている。それは、肩にさげる程度の皮製バッグ。
 それを、軽く叩いて、ゼルガディスが青と赤の瞳をジャベルにむける。
 抑えていた殺気が溢れ出す。それを感じとって、その場にいるものが、一歩下がった。
 ゼルガディスの気配は青い炎に似ている、とリナは思った。
 青く輝く炎は冷たく見えるが、赤く輝くそれよりも、遥かに熱く、あらゆる物を燃やし尽くす。そばに在れるのは、炎にも溶けない輝く宝石でなくては無理だろう。
 青と赤の瞳が、ジャベルを捉えてうっすらと細められた。
「さて、ジャベル。ここに、今までのお前の罪に証拠がある。密輸入・輸出、民に対する税の不法徴収、さらに人身売買。全ての証拠がある」
 冷ややかに囁くと、バッグの中から次々と文書や裏帳簿、取引相手の証言書を取り出して行く。
 それを一つ一つ手にとって、ジャベルがうなった。
 その目の前に、ゼルガディスは一本の短剣を差し出した。それを見たジャベルが、ギョッとしたようにゼルガディスを見つめる。
「・・・・・…覚えていたか。そう、お前が俺の両親の殺しを依頼した男の、遺品だよ。こいつの使っている毒は特殊で、毎日少量ずつとっていくと、ある時劇的な効果をもたらして、いかにも即効性の毒を飲んだかのような死に方をするんだ。あの時の料理には毒が入ってなかった事はレゾが調べていたんでね。調べるのは、簡単だったよ」
「・・・・・…ば、馬鹿な。この男が死んだのは、お前が13のときだ、ぞ…?」
 呆然と呟くジャベルに、ゼルガディスは何も答えずにその短剣を放り投げた。乾いた音を立てて、それが遠くに転がる。

「もう一つ、聞いておこう。ルーシャの目をつぶしたのは、何故だ?」
 その言葉に、レイスとルーシャがびくり、と体を強張らせた。
 リナ達は、驚愕で、声も出てこない。
 ゼルガディスは、以前ルーシャの目を見た時に気付いたのだ。その傷が、事故では無く、人為的に手術を施されたものである事を……。しかも、恐らくは専門家の手によって。
 会場の冷たい視線の中、ジャベルはぶるぶると拳を握り締めて、ゼルガディスを睨みつけた。計画が、全てこの男一人のために消えて行く。
 昔から、そうだった。
 大公の座も。
 名誉も。
 レゾの信用も。
 兄と同じように、望むものを彼の目の前から奪っていく。
 もう、何もかもが、どうでも良くなる。
「それがどうした!!事もあろうにこの娘は、レイスをたぶらかしたのだぞ!!たかが一介の村娘に過ぎぬ身で、レイスを惑わしたのだ!!我がグレイワーズ家に、こんな者の血を入れる訳にはいかんのだ!!!」
 やけのような叫び声に、レイスが顔を歪めている。父親の罪を、次々に聞かされて。それでも気丈にジャベルを見つめている。
 その視線を避けるように、ジャベルはゼルガディスだけを見つめた。
 瞳に冷たい光を宿したゼルガディスがへたり込んだジャベルを見下ろすと、すらりと剣を抜き放ち、その額に切っ先を向けた。
「罪には、罰を・・…。ル・アース大公として下す」
 会議場に緊張が走る。
 ゼルガディスのジャベルに対する怒りは大きい。
 それは、さっきから静かに流れてくる重い殺気だけで容易に知る事ができる。
 だからこそ、誰もその場を動けなかった。ただ一人を除いては・・…。
 アメリアが、勢い良くゼルガディスの背中にしがみついたのだ。
「駄目です!!駄目です、ゼルガディスさん!!殺しちゃ駄目です!!そんな事をしても、傷つくのはゼルガディスさんです!!!いやです!こんな人のために、ゼルガディスさんが傷つく事なんて、ありません!!!!」
 嗚咽まじりのアメリアの言葉に、剣の切っ先がかすかに震える。
「もう、いいじゃないですか?!死ぬ事だけが贖罪だなんて、私には思えません!!ですから、どうか・・・・・…!!!!」
 言葉がでてこずに、後はただゼルガディスの背中を抱きしめた。小刻みな震えが伝わってくる。
 一瞬、けれど永遠のような時間。
 ゼルガディスは、一つため息をついて、その剣をおろした。そして、背中にしがみついて嗚咽を漏らしているアメリアの肩を優しく抱きしめると、そっとその黒髪にくちづけた。
「大丈夫だ。殺しはしない。だから、泣くな?」
 これ以上はない、というほどの優しい声で囁きながら、剣を鞘へと戻した。
 そして、未だ放心したようなジャベルを見下ろす。
「ジャベル・グレイワーズ。貴様の罪の数々はもはや明白。よって、現在の地位、財産を没収し、その身柄をレイス・グレイワーズに預けるものとする!尚、貴様の、国での発言権は、一切を認めない。以上だ」
 その言葉に、レイスがはじかれたように顔を上げた。
「に、兄さん・…・・・・・…」
「お前が決めろ、レイス。憎いなら、永遠に幽閉するなり、何なり好きにしろ」
 突き放すような口調にも、どこか優しさが隠れている。それを感じとって、レイスが深深と頭を下げた。
 そして、ショックのために呆然としているジャベルの傍らに膝をつくと、そっとその肩に手を置いた。
「もう、いいんだよ、父上。これからは、ゆっくりと、すごそう」
 その瞳には、憎悪も悲哀も無かった。ただ、疲れ果てた父親に対する、深い同情の光だけが浮かんでいた。
 そして、断罪は終わった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 はい33おわりです!!
 外交対決とかいいながら、すでに有力国を抱き込んでいたゼルガディスのあっけない勝利でしたねぇ。
いやぁ、私の頭ではこれ以上の駆け引きとかは、無理です!!(きっぱり、はっきり)。自慢にもならんわ・・・・・。

 さてさて、これでやっとジャベルさんのほうは片がついたし、レイス君達も幸せに慣れそうです。
そろそろ、ゼルガディスの幸せを・・・・・・・・。
 と、言うわけで、次回にはレゾさんご登場!!!!・・・・・・・・かもしれません。
なにぶん予告破りななゆたですから・・・・・。

 では、また次回にお会いしましょう。
 

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7225Re:待ってました!!絹糸 7/14-16:21
記事番号7222へのコメント

 
 なゆたさん お久しぶりです!試験ご苦労様でした。わたしはあと三週間続きます・・・(地獄だ)
 いよっ!待ってました!ついに来たね贖罪の時!
 では久しぶりに感想つっこみ言ってみよう!!



>「そもそも、今回アメリア姫を狙って現れた魔族!!あれがはっきり言ったのを皆さんは聞いていたはずです!"ゼルガディス、に対する囮"という言葉を!!これは何を表すのでしょうか?!」
>「そうです!!あの魔族と男は何かの契約を結んでいたのかもしれません!!そして、アメリア姫を助ける振りをし、まんまとセイルーン王家に取り入ったのです!!いえ、もしかしたら、姫の命をも狙っているのかも……!!!」
 なんつーこと言うとんじゃいこの親父は!くっそ〜好き勝手言いおってからに!(どこの言葉だ)

>「元気そうだな、ジャベル」
 来た!
> 決して大きくは無いが、背筋に響くこの声に、会場が水を打ったように静まり返った。
>「ゼルガディスさん!!!」
 よっしゃー!ゼルガディスこのおっさんに正義の鉄槌をくらわしちゃれい!ってそれはアメリアの役目?

>「今回、我がル・アースのことで,セイルーンを初め多くの国の方々を混乱させてしまったことを,まず謝罪いたします」
> 口調が、完全に変わっている。完璧なる宮廷の言葉。その静かなゼルガディスの声が、会議場に響き渡る。その言葉の内容に会議場の人々は息を飲んだ。
 かっこいいぞゼル!一回は聞いてみたいよアニメでそう言う君の口調を!

> フードの留め具の赤いブローチをはずした。
> それを右の掌に載せ、何やらぶつぶつと呪文を唱える。
> そのブローチが、鮮やかな深紅に輝き出す。息を飲む人々の耳に、静かな青年の声が響いてきた。
>『この者の名は、ゼルガディス・グレイワーズ。我が子孫にして、我が後見を得たル・アースの大公たる事を、この赤法師レゾが保証する』
 おお!あのブローチにそんな仕掛けが!
 白い衣装の中であれが妙に気になってたんですよね。そうかそうか、レゾからの継承の証、みたいな物か。
 でもそうなるとそれを持ち続けるのは複雑だったろうな・・・ジャベルへの怨み故に持ってた、か・・・
 ん?でもそうするとレゾも大公だったのだろうか?
 レゾ(まだ年が2桁代の頃)がタイツを履きシルクの服に身を包み、テラスで優雅にグラスを傾けている。
 ・・・・・・・・・いやだあぁぁぁぁぁあ!

> ゼルガディスの気配は青い炎に似ている、とリナは思った。
> 青く輝く炎は冷たく見えるが、赤く輝くそれよりも、遥かに熱く、あらゆる物を燃やし尽くす。そばに在れるのは、炎にも溶けない輝く宝石でなくては無理だろう。
 はあ・・・かっこいい・・・(うっとり)
 『青い炎は遙かに熱い』確かにそうですね。なゆたさんの表現すごくいいです!使いたいなー(どこで?)

>「さて、ジャベル。ここに、今までのお前の罪に証拠がある。密輸入・輸出、民に対する税の不法徴収、さらに人身売買。全ての証拠がある」
> 冷ややかに囁くと、バッグの中から次々と文書や裏帳簿、取引相手の証言書を取り出して行く。
 やっぱり裏で何かやってたか・・・一族抹殺を計って実行する奴だからまともに大公なんてしてないとは思っていたけど・・・
 ゼルはこの時のために時間をかけて(かからなかったかもしれないけど)ジャベルの悪事を調べ尽くして保管してたというわけか・・・
 ゼルは自分の公国に未練はないと思うけど父親が愛していた(たぶん)公国を汚されているのを確認していくのは辛かったろうに・・・

>「そう、お前が俺の両親の殺しを依頼した男の、遺品だよ。こいつの使っている毒は特殊で、毎日少量ずつとっていくと、ある時劇的な効果をもたらして、いかにも即効性の毒を飲んだかのような死に方をするんだ。あの時の料理には毒が入ってなかった事はレゾが調べていたんでね。調べるのは、簡単だったよ」
 特殊すぎる毒だなあ。ということはかなり前からグレイワーズ家の皆さんは毒もられてたわけだけど・・・。
 やっぱりどうしてゼルだけは無事だったのか?そこらへんは今後わかるはず・・・ですよね? 

>「・・・・・…ば、馬鹿な。この男が死んだのは、お前が13のときだ、ぞ…?」
 墓穴掘ってる墓穴掘ってる。
 そのままはい上がれないほど掘り進みな!(こわいよ)

> ゼルガディスは、以前ルーシャの目を見た時に気付いたのだ。その傷が、事故では無く、人為的に手術を施されたものである事を……。しかも、恐らくは専門家の手によって。
 ・・・・言葉をかけるのも汚らわしい行いだな。

> 計画が、全てこの男一人のために消えて行く。
> 昔から、そうだった。
> 大公の座も。
> 名誉も。
> レゾの信用も。
> 兄と同じように、望むものを彼の目の前から奪っていく。
 望むだけだったからだろう
 望んでもそれを手に入れることに努めれば
 努め方を間違わなければ 望みの物は手に入ったかもしれないのに



 ふう・・・
 ジャベルとの対決、終わりましたね・・・一滴の血も流さずに全てを解決したいい話でした・・・
 最後のレイスの言葉には胸を打たれましたね。
 感動の場面が多すぎて感想するには足りません。その分いつもより詩を多くしたいと思います。
 『詩文』で正解した賞品もかねてます。もらってやって下さい。


 愚かで哀れな罪人(ツミビト)よ
  J
 血に汚れ 元の形もわからないほど歪んだ心
 けれどそれは純粋だった
 彼のたった一つの純粋な願いだった
 彼はそれを手に入れた
 何もかも失ったその後で
 たった一つの親子の愛



 A
 傷ついたあなたを見てきた
 いつも瞳が泣いていた
 あなたは優しい人だから
 もう傷つかなくていいはずだから
 だから 自分から苦しまないで
 


 Z
 曲がりくねった道の上
 彼の前には剣と花
 彼はそれを無言で見つめ
 それにむかって手を伸ばした
 揺るぎない瞳で掴んだそれは
 白く柔らかな花だった



 いつもより長い詩になりましたが、いかかだったでしょうか?自分では気に入った仕上がりになりました。
 これからはレゾが登場だとか?一段落しても楽しみはまだ続く!おお楽しみだ!
 でもわたしは試験〜♪
 
 今回はこれで失礼させていただきます〜。
 以上、絹糸でした。
 




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7233お待たせしました!!なゆた 7/16-16:23
記事番号7225へのコメント


> なゆたさん お久しぶりです!試験ご苦労様でした。
 はい!!ありがとうございます!!

> わたしはあと三週間続きます・・・(地獄だ)
 さ、3週間も続くんですか?うちは1.3週間(なんて半端な)で、終わったのに…。
頑張ってくださいね。

> おお!あのブローチにそんな仕掛けが!
> 白い衣装の中であれが妙に気になってたんですよね。そうかそうか、レゾからの継承の証、みたいな物か。
> でもそうなるとそれを持ち続けるのは複雑だったろうな・・・ジャベルへの怨み故に持ってた、か・・・
 そうなんです。気になってたんです。だって、赤いんですもの(笑)

> ん?でもそうするとレゾも大公だったのだろうか?
> レゾ(まだ年が2桁代の頃)がタイツを履きシルクの服に身を包み、テラスで優雅にグラスを傾けている。
> ・・・・・・・・・いやだあぁぁぁぁぁあ!
 わたしもいやだぁぁぁぁぁぁぁああ!!!まぁ、下にある34で、それについては書いていますが、これ読んでて、想像しちゃいましたよ。うう、にあわな過ぎだよ、レゾさん…・・・…。

> はあ・・・かっこいい・・・(うっとり)
> 『青い炎は遙かに熱い』確かにそうですね。なゆたさんの表現すごくいいです!使いたいなー(どこで?)
 えっ?!使っていただけるんですか?!!(どこで?)どこででも、お使い下さいまし!!使っていただければ、光栄の至りですわ!!!

> やっぱり裏で何かやってたか・・・一族抹殺を計って実行する奴だからまともに大公なんてしてないとは思っていたけど・・・
> ゼルはこの時のために時間をかけて(かからなかったかもしれないけど)ジャベルの悪事を調べ尽くして保管してたというわけか・・・
> ゼルは自分の公国に未練はないと思うけど父親が愛していた(たぶん)公国を汚されているのを確認していくのは辛かったろうに・・・
 そうですね。父親が愛した国。何よりも、自分自身が大切にしていた思いでの場所。そこを汚されて平気でいられるほど、彼は冷静じゃありません。(私の中で)

> 特殊すぎる毒だなあ。ということはかなり前からグレイワーズ家の皆さんは毒もられてたわけだけど・・・。
> やっぱりどうしてゼルだけは無事だったのか?そこらへんは今後わかるはず・・・ですよね?
 はい!!忘れてま…・・、冗談です!!下に載せてます!!ジャベルの言葉に要チェック!! 

> ふう・・・
> ジャベルとの対決、終わりましたね・・・一滴の血も流さずに全てを解決したいい話でした・・・
 いやいや(てれてれ)。

> 最後のレイスの言葉には胸を打たれましたね。
> 感動の場面が多すぎて感想するには足りません。その分いつもより詩を多くしたいと思います。
 え!ほんとですか?!らっきー!!
 絹糸さんの詩、すごく好きなんですよ!!毎回いただけてる私は、果報者!!

> 『詩文』で正解した賞品もかねてます。もらってやって下さい。
 あれの答え、未だに全部わからないんですよねぇ。もしかして、2はゼルアメですか?いや、離れてますし、でも心はつながっていてほしいな〜と思って・・…。

> 愚かで哀れな罪人(ツミビト)よ
>  J
> 血に汚れ 元の形もわからないほど歪んだ心
> けれどそれは純粋だった
> 彼のたった一つの純粋な願いだった
> 彼はそれを手に入れた
> 何もかも失ったその後で
> たった一つの親子の愛
 よくこんな親を許せますね、レイス君。恐らくは、そんな父親だからこそ、余計に哀れで、救ってやりたくて、でもどうして良いのか分からなかった。今回、自分を無くしかけたその人を見て、やっと、自分にできる事を見つけたんでしょう、彼は・・…。


> A
> 傷ついたあなたを見てきた
> いつも瞳が泣いていた
> あなたは優しい人だから
> もう傷つかなくていいはずだから
> だから 自分から苦しまないで
 アメリア、優しいよぉぉぉぉ(感涙)そういうゼルガディスをいつまでも見守ってやってクくれ!!って、感じですね、もう!!!

> Z
> 曲がりくねった道の上
> 彼の前には剣と花
> 彼はそれを無言で見つめ
> それにむかって手を伸ばした
> 揺るぎない瞳で掴んだそれは
> 白く柔らかな花だった
 その花は、いつまでも枯れることなく、
 この胸に咲きつづける…・・・…・・・
 
 はっ!!続きみたいになってしまった!!コメントのはずなのに!!

> いつもより長い詩になりましたが、いかかだったでしょうか?自分では気に入った仕上がりになりました。
 いいですね〜(ほわほわ)幸せな気持ちです〜。

> これからはレゾが登場だとか?一段落しても楽しみはまだ続く!おお楽しみだ!
 ぎくぎくぎくぎく!!!!

 そそそそそそれでは、これで失礼いたします!!!(だーーーーーーーっしゅ)

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7234贖罪の時34なゆた 7/16-16:32
記事番号7222へのコメント


「御見事!!!!」
 その様子を黙ってみていたフィリオネルが、パンと膝を打った。
「誰も血を流さず、大きな問題にもせずに収めるなど、まさかできるとは思ってもおらなんだ!!!」
 素直な賞賛の言葉に、ゼルガディスが軽く口を歪めた。まさか、裏取引をしました、とはいえない。
「そこまで誉めてもらえるのは、光栄の至りだが…。少しフィルさん達に、いや、セイルーンに頼みがあるんだが?」
「おお!!なんでもいってみなさい!!わしにできる事なら力になろう」
 笑顔で言いきるフィリオネルに、重臣達の中の幾人かが、困惑した視線を投げかける。が、フィリオネルもゼルガディスも、それを無視して話を進める。
「すまないが、しばらくル・アースの事を見ていてくれないか?」
「ほう?まぁ、ジャベル殿が失権した今、混乱は必須。それで、保護を求めるのは分かるが、ゼルガディス殿が戻れば、それで済むのでは無いか?」
 何気なく言われた言葉に、ゼルガディスは頭を横に振る。
「ガキの頃に、レゾの後見でついて以来、政治の場に出た事はないからな。いまさら俺が戻った所で、混乱が大きくなるだけだろう」
 それよりも、と言葉を切って、まだしがみついているアメリアの体を、そっと離した。
 そして、レイスに向き直る。
「レイス・グレイワーズ。只今を以って、お前をル・アース公国の大公とする」
 唐突なゼルガディスの言葉に、レイスが息を飲んだ。
「な、なんで?!どうしてだよ?兄さん!!!兄さんなら、誰も反対しないし、混乱だって、きっと上手く収められる!!僕には、そんな事できないよ!!!」
 混乱に陥りかけているレイスの肩を、ゼルガディスが優しく叩いた。
「大丈夫、何も一人でやれ、と言っているんじゃない。信頼できそうな人間を教えてやるから、その人達の意見を聞いて、良く考えて、そうやれば、お前にも十分できる」
 宥めるようなその言葉に、レイスが少し考え込む。
「・・・・・・・…兄さんは、帰ってきてくれないの?」
 すがるような視線を振り切るように、ゼルガディスが首を横に振った。
「この体を元に戻すまで、俺はどこへも留まるつもりはない」
 その言葉に、アメリアの体がぴくん、と小さく反応する。が、それには、誰も気付かなかった。
 ゼルガディスが、ルーシャの腕をとって降りてくる。そして、彼女をレイスの横に立たせた。
「ルーシャ、レイスを頼むよ」
 途端に真っ赤になる二人を見つめて、ゼルガディスが、ほんの少し淋しそうに、けれども柔らかく微笑んだ。
 しかし、その和やかな空気は突然破られた。

「認めん!!認めんぞ!!そのような身分の低いものを我がグレイワーズ家に入れるなど!!そのような事、断じて認められるかぁぁぁぁ!!!」
 狂ったような叫び声に、レイスが顔を歪めた。父親らしい事など一度もされた事は無い。しかも、彼女の目を潰すようにと命令したのさえこの男である事は知っていた。
 けれど、それでも父親だった。これ以上、憎みたくなどなかった。
 ゼルガディスが、蒼い炎のような瞳をジャベルに向ける。
「誰も、お前の意見など聞いてないんだよ、ジャベル。貴様の発言権はすでに存在しない。こうなったら、せめて二人を祝福してやれ」
 突き放したもの言いに、ジャベルの中で、何かが切れた。
「発言権なぞ無くても、喋る事はできる!!とめたかったら、儂の口でもつぶせ!!伝統ある我が家に、そんな訳の分からない混ぜものをしてたまるか!!!目でも潰せば諦めると思って、せっかく命だけは助けてやったのに、この馬鹿娘が!!」
 その言葉に、ルーシャがびくり、と身を強張らせる。レイスがその震える体を抱きしめ、混乱に陥った父親を苦しそうな瞳で見守る。
 さらに、ジャベルが叫ぶ。
「貴様もだ、ゼルガディス!!!おとなしくわしの傀儡にでもなれば、と思うて助けてやったのに、よりによってレゾに泣きつきおって!!!」
 子供よろしく、地団駄を踏む。あまりにも短期間に、ほとんどの物を失ったゆえに、精神の均衡を崩しかけているのだ。
「そもそも、お前の母親からして怪しいのだ!!赤法師の血縁など、どうやって証明する?!どうせ、あの体で赤法師をたぶらかして連れてきたんじゃ……!!」
 その言葉に、ゼルガディスが剣を抜きかけた時、フィリアが勢いよく立ち上がった。
「いいえ!!それを証明する方法はあります!!!」
 突然の発言に,その場にいた全員が硬直する。それを無視して、ずんずんと下りてくるとさっさと壇上に上がった。
 そして、手に持っていた古い本を掲げて見せる。
「ここには、竜族の研究が記されています。これによると、死者の魂を血縁者の血によって召喚できるのです!これで、ゼルガディスさんが,その赤法師を呼び出せたのなら、ゼルガディスさんの事は全面的に信用できるのですね!!!」
 ジャベルを初めセイルーンの重臣達の中にも、未だにゼルガディスがレゾの血縁者である事を疑っている者はいる。それらを睨みつけつつ、フィリアがバンッと机を叩いた。
 その力の強さに、ずごしゃぁ!!という音とともに、机がこなごなに砕けた。
「お返事は?」
 会場中の人間全てが、ただの首振り人形と、化した。

「で、大見得切ったはいいけど、どうやってレゾを呼び出すわけ?」
 フィリアの入れた紅茶を飲みながら、リナがちろりと視線を走らせた。
 再びアメリアの個室に戻ったリナ達、リナ、ガウリィ、ゼルガディス、アメリア、ヴァル、が、やはりのんびりとお茶を飲んでいるフィリアに視線を向けた。
 ちなみに、レイスとルーシャは、フィリアの机割に少し自我を取り戻したジャベルを部屋に運んで言った。だから、今はこの場にはいない。
 お茶を飲み干したフィリアが、満足げなため息をついた。
「は〜。やっぱり、叫んだ後のお茶はおいしいですわね(はぁと)」
『それはもういい(です)』
 全員の冷たい声が揃った。
 その時、フィリアが、ふふんと鼻で笑い、何処から取り出したのか小さな丸メガネ(鑑定用)をかけた。
「いいでしょう、ご説明いたします!まず、呼び出したい人の血縁者が必要、という事は言いましたね?」
 一同、頷く。
 そこでアメリアが手を上げた。
「レゾさんの血縁者って、レイスさんとかじゃだめなんですか?」
「ああ、レイスにはレゾの血は流れていない。レゾの血縁者だったのは俺の母親で、グレイワーズ家の当時の当主に見初められて結婚したらしい。他に兄弟もいないし、その母親も、俺が7歳のときに死んだからな。だから、グレイワーズ家でレゾの血をひいているのは俺だけだ」
 さらりと言いきるゼルガディスの横顔に、なぜか陰が走ったのにアメリアは気がついた。けれど、何も言わずに一つ頷くと、フィリアに話しを進めるように目で合図する。
 フィリアが頷き返して、古い、ぼろぼろになった本を取り出した。
「それで、この地図にはその研究施設の位置が載ってあったんですけど、どうも、そこに行かなくても呼び出せるようなんです」
 フィリアの言葉に、ゼルガディスが、ぴくんと反応した。
「……・・ほう。じゃぁ、何処でなら、いや、何が必要になるんだ?」
 ゼルガディスの問いに、フィリアが本をぱらぱらとめくる。
「ええ、と、ですね。血縁者の血で描かれた魔方陣。スィーフィードの加護深き土地。邪なるものを退ける結界。それと、魂を導く巫女。以上です。………・って、あら?どうしました、皆さん?」
 寝ているガウリィと訳がわかっていないヴァルを除いて、全員が脱力したように、机に突っ伏している。
「あの〜、私、何か変な事、言いました?」
 恐る恐るフィリアが尋ねると、がばっと、リナがはねおきた。
「だぁぁぁぁぁ!!要するに、セイルーンの神殿借りれば今すぐできるって事じゃないの!!!散々じらしといて、その程度?!!さっさといえばいいじゃない!!」
「い、いえ。じらした方が、感動的かなぁ、なんて。てへ(はあと)」
 口元で両拳を握り、小さく舌を出すフィリアをゼルガディスが苦々しく見つめる。
「てへ(はぁと)じゃない。全く、ばかばかしい」
「でも、良かったですね。これで、もとに戻る方法もわかるかもしれないんでしょう?」
 我が事のように喜ぶアメリアに、ゼルガディスが目を細めた。
「かもな」
 期待に顔を輝かせたりしない。けれど、静かなその声には、隠し切れ無い緊張が潜んでいる。
 それを和ませたくて、わざと明るい声を出す。
「じゃ、早速神殿を借りれるように、言っておきましょう!!」
 勢い良く立ちあがると、外に控えている警備のものに、神殿への伝言をたくす。
 くるり、と振りかえると、ちょうどフィリアがお茶を入れなおしていた。
「それにしても、今回も大騒動でしたねぇ」
 しみじみ言うフィリアに、リナが頷き返した。
「そうよねぇ。ゼルもアメリアも、いつもあたしがトラブルを呼びこむ、なんて言ってるけど、自分達だって十分騒ぎの中心にいるわよねぇ。特に、アメリアなんか、ゼルがいないって、ご飯は食べない眠れないで、どれだけ心配させられた事か」
 ちらり、と自分に向けられる視線に赤くなりながら、アメリアが元の位置に座った。そう、ゼルガディスの隣。
 そのゼルガディスに、フィリアがにっこりと微笑みかける。
「それにしても、ゼルガディスさんって、アメリアさんの事になると、無敵になりません?熱があるのに、歩きで旅を続けるなんて」
 ゼルガディスが、顔を思いっきりそむけた。が、その顔が赤いのは明白だった。
 にたり、とリナとフィリアは笑いあった。
 今回は、この二人に十分振りまわされたのだから、ちょっとくらいからかっても罰は当たるまい。
 そう思った、その時。

「僕も仲間に入れてくださいな(はぁと)」
 のんびりした声が、頭上から降ってきた。
 全員が見上げる先で、すぅと、空間を割いてゼロスが現れれる。
 ぐわちゃん!!!
 フィリアがカップを乱暴にソーサーに戻した。ぎりっ、とゼロスを睨みあげる。
「ああ、もう!!!またまた出たわね!!このゴキブリ魔族!!」
「ゴ、ゴキブリ・…・・・・・…!!!」
 フィリアの金切り声と台詞に、ゼロスの口元が引きつった。
「追い払っても、追い払ってもわいてくるんですから、ゴキブリと一緒じゃないですか!!!」
「わ、わいてって、そんなぁ……」
「…………ゴキブリは、一匹いたら、後30匹はいると思え、と言うな」
 ぽそり、と呟かれたゼルガディスの言葉に、フィリアがぴしぃっと固まってしまった。何を想像したのか、「ゼロスが30匹、30匹……」などと呟いている。
 それを見て安心したのか、ゼロスがふわりとゼルガディスの正面の椅子に座った。そして、組んだ手の上に顎を乗せてにっこりと微笑む。
「ゼルガディスさん。約束果たしてもらいに来ましたよ(はぁと)」
 にこにこにこにこ。上機嫌に笑みを浮かべるゼロスに、ゼルガディスはひらひらと手を振った。
「分かってる。今すぐか?」
「お願いできますか?」
 ゼロスの言葉に、ゼルガディスが溜息をついて頷いた。正面のゼロスの視線もそうだが、その他大勢の興味津々の視線を感じるからだ。
 この状態では、後回しになどできないだろう。
 陰鬱な気分で、自分の憶測を語り出した。

「ゼロス。貴様は俺に枷がはめられていて、しかも外れかかっていると言ったな?」
 確認,というよりも、知らない者達に教えるという意味合いでゼルガディスが尋ねた。ゼロスが一つ頷く。
「俺は、この9ヶ月間外の世界を旅していた。周知のように、外の世界では魔術はほとんど発達していない。そんな所じゃ、魔術を使う機会というのも少なくてな、この9ヶ月ほとんど使っていなかったんだ」
 そこまで言って、ゼルガディスは顎に手を当てた。少し考え込んで、再び口を開く。
「俺のキャパシティは本来のものよりも、抑え込まれていたらしい。要するに、無理やり小さくされていたんだ。その上に、長い間、魔術を使わなかったおかげで、小さくさせていたキャパシティを圧迫するようになった。ガウリィ、風船に空気をいれ続けたらどうなる?」
「そりゃぁ、割れるなぁ」
 ゼルガディスが頷いた。
「そう、許容範囲を超える内容物は、入物を破壊する。俺の場合は、小さすぎるキャパシティを魔力が破った、と考えられる。ただ、それが風船のように破裂したのではなく、一部が破れたんだろう。そこからあふれ出た魔力が体に蓄積され、体に負担をかけるようになった。それで、熱が出たんだろう」
 そこで言葉を切った。リナが怪訝な表情で、首を傾げる。
「じゃぁ、何?あんたのキャパシティを押さえつけていたものが、魔術を使わなくなっていつも満タン状態の魔力に耐え切れなくなった、と。つまり、その、キャパシティを抑えつけている枷?が、いつのまにか破綻して、今のキャパシティ以上の魔力が体には蓄積されてた、って?」
 リナの言葉に、ゼルガディスが頷く。
「って、そんな事が可能なの?!!!」
「可能かどうかは知らん。が、憶測すれば、これしか分からなかった」
「それで、肝心な所がまだですよ?ゼルガディスさん」
 ゼロスが急かした。ゼルガディスが、ぽりぽりと頭を掻き、再び口を開いた。
「溢れだし、異常なほどに高く蓄積された俺の魔力は、眠っていた素因さえも引き出したんじゃ無いか、と思う」
「素因、ですか?」
 傍らで首を傾げるアメリアに、そっとその右目をむける。今は、深紅に染まった、その瞳。
「強い魔力に、魔王から受け継いだ素因が反応したんだろう」
 そっと、その目の上に手を置いた。レゾが持っていた、いや、魔王と同じ色。もっとも、瞳もない、ただの紅玉のようなあの目とは違うのだけれども・・。
「まぁ、これは魔族の方も予想外だったようだがな」
 小馬鹿にしたようなゼルガディスの視線を受けて、ゼロスが小さく笑みをこぼす。
「いやぁ、ほんとに予想外でした。まさか、見られてるとは、ねぇ」
 ははは、と,さして気にした風もなく笑うその顔に,一筋の汗が流れている事に、その場の全員が気付いた。さすがに、軽視できない事のようだ。
「で、だ。蓄積された魔力は、一時的にキャパシティを増幅させたんじゃないか、と思う。凝縮されたエネルギーが解放されると、異常なほど広範囲にエネルギーが広がるからな。まぁ、火事場の馬鹿力みたいなもんだろう。その増幅したキャパシティがあったおかげで、俺はラグナ・ブレードを発動できた、というわけだ」
 全てを聞き終わった時、ゼロスは満足げに微笑んだ。
「十分です。これで、僕もゆっくりできるかも、知れません。じゃぁ、これで失礼しますね。またお会いしましょう」
 にっこりと微笑むと、その場で消えてしまった。
「二度と来ないで頂戴!!!!」
 フィリアの絶叫が、ゼロスの消えた空間を震わせた。
 ゼルガディスの右の瞳だけが、アストラルサイドで可笑しそうに笑うゼロスを捉えていた・・・・・・・…。

「明日の朝になら、使用の許可が出るそうです」
 伝令が伝えてきたその言葉に、ゼルガディスは「そうか」と頷いただけだった。そして、さっさと部屋を後にした。
 アメリアがついてきたそうだったが、フィリアに呼びとめられて、名残惜しそうな視線をゼルガディスに向けていた。
 リナとガウリィとヴァルが、夕飯の内容を聞いて小躍りする音を後ろに聞きながら、扉を閉める。
 少しの間、一人になりたかった。いや、一人にならなければ、震える手を見られていただろう。
 ゆっくりとセイルーンの王宮内を歩いていると、外の景色が目に飛び込んできた。
 焼けるように赤い、真っ赤な夕日。
 窓枠に身を乗り出して、そっとその体を宙に投げ出す。
「レビテーション」
 風の力に支えられて、ふわりとそのからだが浮上する。
 ゆっくりと浮上していき、セイルーンで最も高い塔の先端に降り立つ。
 そこで見えるものは、まさに絶景、だった。
 緩やかにカーブを描きながら、何処までも広がっている緑の大地。
 夕日の描く、赤のグラデーション。
 東の空には、濃紺の夜空が広がりつつある。
 眼下には、仕事帰りでごった返す人、家路を急ぐ子どもの姿。
 全てが、命に溢れ輝いていた。
 そこまで思って、ゼルガディスは自嘲に口を歪めた。
「いつから、こんなにゆっくりと外を見ていなかったか・・・・・・…」
 彼が見ていたのは、血と闇が支配する、暗い世界。
 そこには、命の輝きを見る事は無かった。いや、そんなものを見てしまえば、もうその世界で生きていける事など、できなかった。
 だからこそ、聞こえてくる声に耳をふさぎ、飛び込んでくる景色に目を瞑り、差し延べられる手を振り払って生きてきた。
 全ては、復讐のために。
 けれど、ジャベルを前にして、それ程の憎悪は溢れでなかった。
 あの時、自分の心を占めていた感情は、強いて言うなら『憐憫』。彼は、自分では全てを持っているつもりでも、何ももってはいなかった。
 自分が何を欲しいのか気付いてなくて、手に入るあらゆるものを求めてしまった。富が、権力が、集まれば集まるほど、彼の心は飢えていった。
 一歩間違えれば、自分もああなっていたかもしれない。
 そう思って、溜息をついた時、下から来る人の気配に気がついた。
 見下ろすと、白いドレスが見えた。アメリアだ。
 一呼吸遅れて、アメリアがゼルガディスの存在に気がついた。
「ゼ、ゼルガディスさん?!!どうしたんですか?こんな所で?!!」
「お前の方こそ、そんな格好で・・・・・・…、って、ああそうか。ここが一番高い場所だから、か」
 ずばり、と言い当てられて、真っ赤になりながらふわりと降り立った。
 さっきと同じ、セイルーンの正装を身にまとい、ほんのりと頬を染めながら、すとんとその場に腰を下ろす。
 しばらく沈黙が、その場を支配した。
 ゼルガディスは、ぼんやりとアメリアを見つめた。白いドレスが、夕日に光を吸収して、赤い色に染まっている。
 その色に、レゾを思い出し、ついっと視線をそらした。
 その事に勘違いしたのか、アメリアがそそくさと立ちあがる。
「あ、すいません!!勝手に座り込んじゃって。私、お邪魔でしたよね?すぐに降ります」
 慌てて立ちあがると、塔の端に立った。
 その時、ゼルガディスは思わずその腕をつかんだ。
「ゼルガディスさん?」
 怪訝そうな、けれども赤い顔をちらり、とゼルガディスに向ける。が、ゼルガディスは顔を俯かせたまま、動かなかった。
 数瞬の間。
 やがて、搾り出すようにゼルガディスが口を開いた。
「邪魔じゃない」
 短い、けれども、苦しそうなその声に、アメリアはずきん、と心が痛んだ。
 − 一人でいたいなんて、もう無理かもしれない……。
 ゼルガディスが想う。
 − 私がいても、いいですか?
 アメリアが想う。
 そして、二人はどちらともなくその場に腰を下ろした。
「明日、ですね?」
「ああ」
 会話はそれだけ。
 後は二人で、静かに沈んで行く夕日を眺めていた。
 ゼルガディスは、尋常では無いほどの安堵がその心を満たしていっているのを、心地よい想いで感じていた。
 傍らの少女がいれば、それだけでいい、とさえ想う。
 けれど、自分の手の甲を見つめ、溜息をつく。
『化け物!!』
 遠くの記憶がよみがえる。
 そばに在りたい。だからこそ、戻りたい。そのために旅をする。
 気が狂わんばかりのこの気持ちに、少女はさせる。
 けれど、明日、それは終わるかもしれない。
 そう、全ては、明日に……・・・・・…・・・・・…。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 すいません!!またまたまたまたやってしまいました!!!
 予告破り常連(なるなよそんなもん)なゆたがお送りします!!

 やってしまいました。言い訳をするのなら、書こうと思ったんです!!けど、そこにゼロスが登場してきて、イキナリ約束を持ち出しちゃったんです〜(泣)。あう、あなたの出番は、もっと後に準備してたのにぃぃぃぃ!!!

 などといっても、出て来てしまったものは仕方なく、結局お約束を果たしてしまいました。
 次回には、おそらく・・・・・・・・・・いえ、止めておきましょう。怖いですから。

 さてさて、やっと枷とレゾについての話になってきました!!そういや、元々これがメインだったはずなのに…・・・。いつに間にここまで話が大きくなったんだろう・・…?

 とりあえず、今回の話しにあるキャパシティの抑圧及び、魔力の作用については完璧なオリジナル入ってますので、原作とちがう!!といわれても、その通りなので反論の余地もございません。どうか、そこはご了承下さいませ!
では、次回もなるべく早くにお届けできたら、と思います。
 でも今は夏休みにはずなんだよなぁ、私・・…・・・。なのに、学校に通いづめてる(爆)

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7235Re:いつもより多く書いております絹糸 7/17-15:08
記事番号7234へのコメント

 
 アロ〜ハ〜、オーイエー♪
 しょっぱなからわけのわからん挨拶してますが、こんちゃーっす、試験期間まっただ中&調べ物しなけりゃならんのに感想書いてる絹糸でーっす。あっはっはっは(やけ気味)
 夏だ!試験だ!課題だ!バイトだ!
 世間では明るい声が響いてるっていうのにわたしは・・・・
 はっ!人様のコメントで愚痴を言うなんてなんということを!
 申し訳ないです、ではこれ以上愚痴らないうちに感想いきます!


>「ガキの頃に、レゾの後見でついて以来、政治の場に出た事はないからな。」
 それにしては発言ぶりが板に付いてる。父親&レゾに教育された賜かな?

>「この体を元に戻すまで、俺はどこへも留まるつもりはない」
> その言葉に、アメリアの体がぴくん、と小さく反応する。が、それには、誰も気付かなかった。
 うおぅ。ゼル、さり気に痛い言葉を。またアメリアを置いてどっか行っちゃうのかい?この罪作りが!

>「認めん!!認めんぞ!!そのような身分の低いものを我がグレイワーズ家に入れるなど!!そのような事、断じて認められるかぁぁぁぁ!!!」
 まだ言うかこの男は!
 折角許してくれたゼルと息子に悪いと思う心はあんたにはないんか!
 前回書いた詩ジャベルには似合わなかったかもしれませんね・・・


> 狂ったような叫び声に、レイスが顔を歪めた。父親らしい事など一度もされた事は無い。しかも、彼女の目を潰すようにと命令したのさえこの男である事は知っていた。
> けれど、それでも父親だった。これ以上、憎みたくなどなかった。
 レイス君、よくぐれなかったね・・・。
 きっと側にルーシャが居てくれたおかげですね。そうでなかったらとっくに公国を二人で逃げ出してるか、ジャベルを殺してるかしてますな。
 もしくは彼の生来の父に対する優しさからか。
 どんなに『父親』になってほしかったことだろう・・・。(哀れ)
 なんか、グレイワーズ家って不幸な運命を辿ってるような気がする。


>「発言権なぞ無くても、喋る事はできる!!とめたかったら、儂の口でもつぶせ!!」
 だああ!またそんな屁理屈を!

>「伝統ある我が家に、そんな訳の分からない混ぜものをしてたまるか!!!目でも潰せば諦めると思って、せっかく命だけは助けてやったのに、この馬鹿娘が!!」
 混ぜ物・・・・馬鹿娘・・・命だけは助けてやったぁああ?!(怒怒怒)
 ゼルガディス!レイス!前言撤回しろ!この男の性根は腐ってる!
 ぜはーっぜはーっ、ふう・・・いかんいかん、唯でさえ暑い部屋で熱くなってしまった。
 こんなに熱くなる文を書けるとは、なゆたさん、脱帽いたします。
 どうせ結婚相手も名前や血統にこだわって決めたんだろうなジャベルって。愛情も何もなかっただろう。
 でもおそらく良識のある人だったに違いない。レイスは母親似だ絶対!

 
>「貴様もだ、ゼルガディス!!!おとなしくわしの傀儡にでもなれば、と思うて助けてやったのに、よりによってレゾに泣きつきおって!!!」
 傀儡?つまり操り人形?なるほどね。
 なゆたさんが「ジャベルの言葉に要チェックや!」と書いたのはここのことですか。(や!」はなかったけど)
 ゼルを自分の言いなりにしておいてその実裏で自分が政権を握り、公国を思うがままにして、その後はゼルを失脚だか暗殺だかして、自分の血を引く(ゼルと同じくジャベルの命令に従うように教育された)レイスに継がせて自分の権力&系統を保っていこう、と目論んだわけですか。
 でもゼルはレゾの元に行き、手が出せなくなったから傀儡役はレイスに白羽の矢が立った、と。
 その役を徹しさせるためにルーシャの存在は邪魔だったというわけね。(合ってますか?)

 
>「そもそも、お前の母親からして怪しいのだ!!赤法師の血縁など、どうやって証明する?!どうせ、あの体で赤法師をたぶらかして連れてきたんじゃ……!!」
 ・・・・・・!!!
 貴っ様ぁぁぁああ!!!よりによってそういうことを言うか!切れ!切るんだ!ゼルガディス!こいつの頭には『改心』という言葉は無い!
 ・・・・ああ、また熱くなってしまった。汗だくだく。
 

> その言葉に、ゼルガディスが剣を抜きかけた時、
 あ、やっぱりゼルも切れた。よし、行け!(こらこら)

>「ここには、竜族の研究が記されています。これによると、死者の魂を血縁者の血によって召喚できるのです!これで、ゼルガディスさんが,その赤法師を呼び出せたのなら、ゼルガディスさんの事は全面的に信用できるのですね!!!」
 おお!最初辺りに登場したあの本がこんな形で役に立とうとは!
 話の繋ぎ方が上手いなあ、すごいよなゆたさん!


>「僕も仲間に入れてくださいな(はぁと)」
> 全員が見上げる先で、すぅと、空間を割いてゼロスが現れれる。
> ぐわちゃん!!!
> フィリアがカップを乱暴にソーサーに戻した。
 机も破壊したフィリアの腕力に、しかもゼロスに対する怒りを含んだ衝撃に耐えうるカップ&ソーサー・・・すごい。
 きっと竜族(フィリア)専用に作られていて丈夫なんでしょうね。


>「追い払っても、追い払ってもわいてくるんですから、ゴキブリと一緒じゃないですか!!!」
 うまい!全くその通りですね。フィリア、座布団一枚!
 
>「わ、わいてって、そんなぁ……」
 いいじゃん、生ゴミよりは格上げなったんだから(そうか?)

> 何を想像したのか、「ゼロスが30匹、30匹……」などと呟いている。
 さ、30匹・・・・・・・。
 ・・・・ゼロスファンには美味しい話かもしれないが・・・
 仮にゼルが30人だったとして・・・・・
 ・・・やっぱこわい。好きなキャラは一人で十分です!


>「そりゃぁ、割れるなぁ」
 居たのねガウリィ。全然目立ってなかったから忘れてたよ。

>「いやぁ、ほんとに予想外でした。まさか、見られてるとは、ねぇ」
> その顔に,一筋の汗が流れていた。さすがに、軽視できない事のようだ。
 う〜ん。軽視出来ない事柄なら獣王が「危険だから始末してきなさい」とか言いそうで心配だなあ。
 もともと魔族に引き入れるためにゼロスは来たわけだし・・・
 でしたよね?あんまり前の話なんでうろ覚えになってきてますが。(すんません)
  

>「二度と来ないで頂戴!!!!」
> フィリアの絶叫が、ゼロスの消えた空間を震わせた。

 けれど彼はやってくる
 顔に笑みを張り付かせ
 その身に事件を纏わせて   ・・・なんてね。


> 緩やかにカーブを描きながら、何処までも広がっている緑の大地。
> 夕日の描く、赤のグラデーション。
> 東の空には、濃紺の夜空が広がりつつある。
 目に浮かびますねえ・・・綺麗です・・・・

> 彼が見ていたのは、血と闇が支配する、暗い世界。
> そこには、命の輝きを見る事は無かった。いや、そんなものを見てしまえば、もうその世界で生きていける事など、できなかった。
> だからこそ、聞こえてくる声に耳をふさぎ、飛び込んでくる景色に目を瞑り、差し延べられる手を振り払って生きてきた。
 くうーっ!ゼルの苦悩ぶりがよく表れてます!気に入りましたこの文章!
 自意識過剰ですが、『闇に身を置き 光を避けた』まさにこのことですね!



> − 一人でいたいなんて、もう無理かもしれない……。
> ゼルガディスが想う。
> − 私がいても、いいですか?
> アメリアが想う。
> そして、二人はどちらともなくその場に腰を下ろした。


> ゼルガディスは、尋常では無いほどの安堵がその心を満たしていっているのを、心地よい想いで感じていた。
> 傍らの少女がいれば、それだけでいい、とさえ想う。
> けれど、自分の手の甲を見つめ、溜息をつく。
>『化け物!!』
> 遠くの記憶がよみがえる。
> そばに在りたい。だからこそ、戻りたい。そのために旅をする。
> 気が狂わんばかりのこの気持ちに、少女はさせる。
> けれど、明日、それは終わるかもしれない。
> そう、全ては、明日に……・・・・・…・・・・・…。

>―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
> すいません!!またまたまたまたやってしまいました!!!
> 予告破り常連(なるなよそんなもん)なゆたがお送りします!!
 いやいや、話がおもしろければそれでいいんですよわたしは。予告なんてずばずば破って自分のやりたいように書いてってください。


> さてさて、やっと枷とレゾについての話になってきました!!そういや、元々これがメインだったはずなのに…・・・。いつに間にここまで話が大きくなったんだろう・・…?
 大きくできるからすごいですよね。わたしもやってみたい。その前に早く試験を終わらせて続きを載せねば・・・。
 そろそろ『笑顔の君』が忘れ去られてきてる・・・。(誰も覚えてなかってりして・・・)


> とりあえず、今回の話しにあるキャパシティの抑圧及び、魔力の作用については完璧なオリジナル入ってますので、原作とちがう!!といわれても、その通りなので反論の余地もございません。どうか、そこはご了承下さいませ!
 オリジナルであそこまで考えられるんだすっごーい!

> でも今は夏休みにはずなんだよなぁ、私・・…・・・。なのに、学校に通いづめてる(爆)
 世間では夏休みだよなぁ・・・・なのに・・・なのに・・・・・・ちっくしょおおおぉおおおっ!!(涙を流しながら走り去る)



 詩[special版]

 
 R[傀儡-クグツ-]
 何も言えない
 何もできない
 僕は何? 僕は何?
 逆らえない
 糸を切れない
 もう止めて 頼むよ 父さん



 J-1[繰り手-クリテ-]       J-2
 糸を繰(ク)る手は 楽しげだ   繰る手に糸が絡まった
 糸を伝って傀儡が動く      どんどんどんどん絡まった
 思い通りの動きの中で      糸は繰り手を巻き付けた
 傀儡は哀れな目を向ける     繰り手は二度と繰り出せない
                 傀儡は哀れな目を向ける



Z
 出口から光が零れてる
 背後に呻きが響いてる
 足下からは黒い手が
 俺はここから出れるのか


 
 A
 全てうまくいくように
 わたしは祈り 信じます
 全てが終わったそのときに
 あなたが笑顔でいられるよう 



 むう。ゼルにもアメリアに囁くような詩をつけるつもりだったのに暗くなってしまった。
 おっかしいな。どうしてもわたしがゼルについてなにかしら書こうと思うとダークになってしまう。しかもJ&Rもダークだし・・・
 ごめんなさーい!次で、多分!ゼルにも愛の詩をつけると思うんで!

 では!今回はこれで!絹糸でした!

      

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7243・・・・・試験、平気でしょうか?なゆた E-mail 7/21-14:31
記事番号7235へのコメント


 
> アロ〜ハ〜、オーイエー♪
 い、いきなりハワイアン!!!

> 夏だ!試験だ!課題だ!バイトだ!
> 世間では明るい声が響いてるっていうのにわたしは・・・・
 私も、それ、全部あります。(る〜らる〜)

> それにしては発言ぶりが板に付いてる。父親&レゾに教育された賜かな?
 いえっさー!!一応後継ぎさんでしたから、もうご幼少のみぎりから、みっちりと!

> うおぅ。ゼル、さり気に痛い言葉を。またアメリアを置いてどっか行っちゃうのかい?この罪作りが!
 言っちゃうかも、知れません・・・。ああ、でも、どうかなぁ?答えは下の小説で!

> 前回書いた詩ジャベルには似合わなかったかもしれませんね・・・
 いえいえ、そんなことないですよ!ちょっと、この人混乱してるだけっすから。



> ぜはーっぜはーっ、ふう・・・いかんいかん、唯でさえ暑い部屋で熱くなってしまった。 
> こんなに熱くなる文を書けるとは、なゆたさん、脱帽いたします。
 いえいえ、そんなお褒めにならないで♪調子に乗ってしまいますわ!じゃぁ、次はほんわかするようなものを・・・・・・。

> どうせ結婚相手も名前や血統にこだわって決めたんだろうなジャベルって。愛情も何もなかっただろう。
> でもおそらく良識のある人だったに違いない。レイスは母親似だ絶対!
 はい、母親似です。ああ、瞳の色だけは父親からの遺伝子ですけど、お母さんはレイスがちっちゃいときに心労のためにお亡くなりになってます。で、父親は、それにもかかわらず遊び放題。レイスは、家の乳母に育てられたんですけど、よくゼルガディスのお母さんが世話を焼いていた、というう裏設定も存在します。だから、あの二人はあんなに仲がよいのです。

> ゼルを自分の言いなりにしておいてその実裏で自分が政権を握り、公国を思うがままにして、その後はゼルを失脚だか暗殺だかして、自分の血を引く(ゼルと同じくジャベルの命令に従うように教育された)レイスに継がせて自分の権力&系統を保っていこう、と目論んだわけですか。
> でもゼルはレゾの元に行き、手が出せなくなったから傀儡役はレイスに白羽の矢が立った、と。
> その役を徹しさせるためにルーシャの存在は邪魔だったというわけね。(合ってますか?)
 ぴんぽーん!!大正解!!もう、政治の裏の王道的設定ですね!では、絹糸さんへ商品を・・・・・・・・ないです。ごめんなさい!!私には、詩なんて高尚なものはかけません!!何か、リクエスト、ありますか?


> おお!最初辺りに登場したあの本がこんな形で役に立とうとは!
> 話の繋ぎ方が上手いなあ、すごいよなゆたさん!
 やっと、本題を持ってこれました・・・・・(感涙)

>> 何を想像したのか、「ゼロスが30匹、30匹……」などと呟いている。
> さ、30匹・・・・・・・。
> ・・・・ゼロスファンには美味しい話かもしれないが・・・
> 仮にゼルが30人だったとして・・・・・
> ・・・やっぱこわい。好きなキャラは一人で十分です!
 ゼルガディスが三十。みんな、一人に一個アメリアつき!!(爆)でも、そうしないとアメリア争奪杯が開かれそうで、恐い・・・。独占欲強そうですから。

> 居たのねガウリィ。全然目立ってなかったから忘れてたよ。
 私も忘れてました!ああ、ガウリィファンの人すいません!!でも、知的な会話とか、全然想像つかないから!!

> もともと魔族に引き入れるためにゼロスは来たわけだし・・・
> でしたよね?あんまり前の話なんでうろ覚えになってきてますが。(すんません)
 そうだったんですよねぇ。でも、はっきり断られちゃってるんで、作戦変更中じゃないでしょうか。突然の異能に対する対策会議とか、開いてたりして(爆笑)


> くうーっ!ゼルの苦悩ぶりがよく表れてます!気に入りましたこの文章!
> 自意識過剰ですが、『闇に身を置き 光を避けた』まさにこのことですね!
 絹糸さんの詩、参照!ほんとですよ?

> そろそろ『笑顔の君』が忘れ去られてきてる・・・。(誰も覚えてなかってりして・・・)
 忘れてません!覚えてます!!待ってます!!!頑張ってくださいね、のんびりと!!!!

> 世間では夏休みだよなぁ・・・・なのに・・・なのに・・・・・・ちっくしょおおおぉおおおっ!!(涙を流しながら走り去る)
 ああ!!夕日の準備はまだできてません!!!
 
> R[傀儡-クグツ-]
> 何も言えない
> 何もできない
> 僕は何? 僕は何?
> 逆らえない
> 糸を切れない
> もう止めて 頼むよ 父さん
 かわいい、レイス君!しかし、君も普通の人より技術持ってるんだから、そんな下手にでんでもって、自分のキャラなのに思うこのごろ・・・。ま、リナ達に上手に出たら殺されちゃうけど・・・・・・。


> J-1[繰り手-クリテ-]       J-2
> 糸を繰(ク)る手は 楽しげだ   繰る手に糸が絡まった
> 糸を伝って傀儡が動く      どんどんどんどん絡まった
> 思い通りの動きの中で      糸は繰り手を巻き付けた
> 傀儡は哀れな目を向ける     繰り手は二度と繰り出せない
>                 傀儡は哀れな目を向ける
 思うとおりに動かなくなり、自分の意思を持つ傀儡は、糸の繰り手を許してくれるでしょうか?

> Z
> 出口から光が零れてる
> 背後に呻きが響いてる
> 足下からは黒い手が
> 俺はここから出れるのか
 ああ、いいなぁ。まさしく苦悩する人!って感じです!!やはり彼には苦悩がないと(うんうん)


> A
> 全てうまくいくように
> わたしは祈り 信じます
> 全てが終わったそのときに
> あなたが笑顔でいられるよう 
 祈ってください!でも、うちのアメリアは行動もします!!

> では!今回はこれで!絹糸でした!
 はい!!試験期間中なのに、ありがとうございました!!
 今日は5日ぶりなので2本おいて行きます!!どうぞ、お楽しみ下さい!!!      

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7238Re:はじめまして★鈴鳴 彩菜 E-mail URL7/17-20:55
記事番号7234へのコメント

あああ。連載が終了してから感想しようと思ったんですが、
・・・駄目でした(^^)

「贖罪・・」はすべて読んでます。
話の展開が読めなくて、凄いなー、と素直に感心。
うーむ、みならわなくては。

さて・・・ひとつ、ひとつと時事も解決していき、
ゼル自信の幸せが問われる今日この頃。

幸せになれるといいなあ、ゼルもアメリアも。
とくにアメリアなんかはイタイ目いっぱい見てるし(笑)。

楽しみにしてるんで学業(ですよね)に響かない程度に頑張って下さいね!
(いいなあ・・・学生・・・ううう。)

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7244はぁぁぁぁ!!鈴鳴さんだぁ!!!なゆた E-mail 7/21-14:40
記事番号7238へのコメント


 始めまして!!なゆたですぅぅぅ!!!
 鈴鳴さんのホームページには何回もお邪魔してます!!・・・・・・・・こっそりと。
 感想がいただけるなんて、いえいえ、読んでいただけてたなんて!!幸せですぅぅ!!

>あああ。連載が終了してから感想しようと思ったんですが、
>・・・駄目でした(^^)
 嬉しいです!!
>
>「贖罪・・」はすべて読んでます。
>話の展開が読めなくて、凄いなー、と素直に感心。
 いえいえ、大きくなりすぎて、自分でも整理するのが大変で・・・。バイト中にぼんやりと整理してメモったりしてました!


>幸せになれるといいなあ、ゼルもアメリアも。
 幸せにして見せます!!ちょー極上のハッピーエンドを用意してます(私的な)。

>とくにアメリアなんかはイタイ目いっぱい見てるし(笑)。
 そうですねぇ。彼女は特に痛かったですねぇ。って、やったの私なんですけど。
>
>楽しみにしてるんで学業(ですよね)に響かない程度に頑張って下さいね!
 はい!!ありがとうございます!!!

>(いいなあ・・・学生・・・ううう。)
 そ、そこで泣かないでくださいよう(おろおろ)
 
 これから頑張って、仕上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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7245贖罪の時35なゆた E-mail 7/21-15:40
記事番号7234へのコメント

 --------翌日。
 完全に日が昇った後に、神殿の使用の許可が下りた。
 場所は、スィーイードの神像のある廟で、その神像の前には祭壇が設けられている。
 その祭壇に、今ゼルガディス、フィリア、アメリアの3人が立っている。
 ゼルガディスは、血縁者として。
 フィリアは、邪なる者を退ける結界を張るために。
 アメリアは、魂を導く巫女として。
 昨日、ゼルガディスが部屋を出る時に、フィリアがアメリアを呼び止めてこのための呪文を教えていたらしい。
 そして祭壇の周囲には、リナ、ガウリィ、ジャベル、レイス、ルーシャ、ヴァル、フィリオネル、さらにセイルーンの重臣の内、代表者の4人がいる。
 レゾの死について、大っぴらに公表されたくない、というゼルガディスの希望があって、部外者の立ち入りは禁じられたのだ。
 フィリアが、祭壇の前に進み出た。
「では、これから赤法師の呼び出しを行いたいと思います。まず、私がこの祭壇の周囲に竜族の結界を張ります。それにより、祭壇に他の霊からのノイズが混じる事を防止します。ただ、この結界によって、祭壇の中の音は聞こえなくなりますけど、姿は見えるので安心してください」
 祭壇の下にいる者達が頷いた。
 今回,彼らの目的は,ゼルガディスの血によって,赤法師が呼び出せるか、という事なので、会話には興味がない。なによりも、その会話をゼルガディスが聞かせたがらない事も、彼の仲間は知っていた。
「次に、ゼルガディスさんが呪文を唱えながら、血で魔方陣を描きます。そして、その魔方陣の力を使って、アメリアさんが赤法師さんの霊を呼び寄せます。以上です。何か質問は?」
 明るく尋ねるフィリアに、ジャベルがしおらしく手を上げた。どうも、昨日フィリアが素手で机を叩き割ったのが効いている様だ。
「はい、ジャベルさん」
「血縁者以外の者の血で呼び出せる可能性は、無いのか?」
 もっともな質問だった。ある事象を証明するためには、そのアンチ状態での立証もされなければならない。しかし……・、
「竜族が研究しなかったと思いますか?ちなみに、それをやった場合、その血の提供者は、俗にいう悪霊に取り憑かれちゃったそうです」
 ざーーーーーーーーー。
 その言葉の内容に、全員の顔から血の気が引いた。あまりに明るく言いきられたものだから、なおさらに寒気が走る。
「だぁぁぁ!もういいから、さっさとやって頂戴!!!」
 結構お化けが苦手らしいリナが、自分の肩を抱きながら叫んだ。
 その言葉に、フィリアがにっこりと頷く。
「はい、では、はじめましょうか?」
 アメリアとゼルガディスが、一瞬だけ顔を見合わせ、ほんの少しだけ、微笑んだ。
 いよいよ、始まる。

「では、フィリア=ウル=コプト。結界、やらせていただきます!」
 すとん、と祭壇から飛び降りると、くるりと振りかえる。そして、何やらぶつぶつと呟くと、そっと、その祭壇の縁に手をかけた。
 刹那、祭壇がまばゆい光に包まれる。
 その光に全員が目をすがめた一瞬の後、祭壇は、薄い半透明の膜のようなものに包まれていた。
 ゼルガディスの口が、何かを言っている様に動くが、音は全く聞こえない。フィリアが、両手で大きく丸をつくった。ゼルガディスが頷く。
 そして、今度はゼルガディスの番になる。

 静かな、静かな空間に、ゼルガディスとアメリアはいた。
 こちらの音が向こうに伝わらないという事は、その逆も当然伝わらない。
 その空間の中で、二人は無言だった。ただ、アメリアは緊張の面持ちでゼルガディスを見つめ、ゼルガディスは自分の気持ちの整理に精一杯だった。
 ―レゾに、会う。
 ―会って何を聞く?
 ―聞けるのか、俺に?
 迷った気持ちのまま、懐から薄い刃のナイフを取り出す。
「アストラル・ヴァイン」
 岩でできた肌は、普通の刃を通さない。
 赤く輝き出した刃を、そっとその掌に押し当てる。
 ―全ては、会ってからだ!
 目を閉じて、一気に引く。
 ずきん、と痛みと同時に、掌に生暖かい感触が来る。ゆっくりと瞼を上げると、血が、掌を伝い、肘まで流れているのが見えた。
 すっ、と、その掌を正面に向ける。
「我に流れる、赤き命の源よ。
 我が命の連なりの証たる、その流れ。
 その根源たるものの声を呼び、姿をここへ導かん。
 描け、そは彼を導く道とならん」
 滴っていた血が、意志を持つかのように宙へと流れ出した。
 そして、見る見るうちに複雑な文様を持つ魔方陣へと変わって行く。
 だらだらと流れていた血は、いつのまにか床に届く前に全てが宙へと流れて行く。かなりの量を流し、魔方陣が完成した途端、それは再び床に滴り出す。
 貧血が起きそうなほどの血の量で描かれた魔方陣を見届けて、ゼルガディスは傷口を魔術でふさいだ。半ば治りかけた傷口を、舌でなぞる。
 そして、緊張でやや青ざめているアメリアにわずかに頷いて見せた。
 アメリアが、頷き返した。
 そして、最後はアメリアの番になる。

 ―いいですか。一瞬でも気を抜くと、赤法師以外の方が流れ込んできます。そうすると、結界の中は魂で溢れ,中にいるあなた達に危険が及ぶかもしれません。それでも、やりますか?
 フィリアが心配そうに聞いてきたのは、昨日の夜。最後の注意を受けていた時だった。
 けれど、彼女は引くわけにはいかなかった。いや、引きたくなかった。
 一番そばにいたかった。
 何か手助けがしたかった。
 だからこそ、アメリアは、今この場所にいる。
 目の前に輝く、赤い魔方陣を見つめて、アメリアは祈る様に手を組んだ。
 目の前にあるのは、ゼルガディスの命でつづられた魔方陣。
 失敗する訳には、いかなかった。
「命でつづられし、深紅の道よ。
 我はこの道を通れるものを導かん。
 道を築きし者の名は、ゼルガディス。
 彼が望みし者の名は、レゾ。
 混沌につつまれし、静寂の淵。
 我が導きに答えんことを、乞い願う。」
 瞬間、アメリアの意識の中に、様々な者の意識が触れる。
 透けるような銀髪の、温和そうに微笑む青年。
 黒髪の、ゼルガディスに似た、けれどもすごい美人の女性。
 意識に引っかかる人達ではあったが、望む人ではない。
 さらに、どこか影を持った物静かな剣士。
 ゆったりと微笑む、優しそうな女性。
 そして、赤い法衣。
(いた!!こっちです!あなたがここに来るんです)
 意識の奥底で、必死にその赤い影に呼びかける。反応が来る。分かる。
 ゆっくりとその意識が近づいてくる。その、あまりにもの強さに、アメリアは何度も気が遠くなりかけた。
 が、唇をかみ締めて、ぐっとこらえる。
 さらに近づいてくる。だんだん、その姿がはっきりしてくる様に思えたのだが、赤い影に包まれてはっきりとは分からない。
 その影が、閉じた瞼の裏いっぱいに広がった、と思った瞬間、全身から力が抜けた。
 体の芯から、何かが抜き取られた様に感じがして、その場にがくん、と座り込んだ。そっと、まぶたを押し開くと、赤い魔方陣に重なる様に、赤い、赤い法衣が見えた。
 その前には、静かにそれを見上げるゼルガディス。
 そして、彼は望んでいたものと、再会した。

 祭壇の外では、ジャベルが息を飲んで目の前の光景を見つめていた。レイスもまた、目の前の光景を呆然と見つめていた。
 二人とも、レゾの死を聞かされていながらも、心のどこかで信じられなかったのかもしれない。何せ、彼の力は嫌というほど見ていたのだから。
 しかし、目の前いいる赤い青年は間違えようも無く、
「赤法師、レゾ」
 呟いたのはどちらであったか。いや、両方かもしれない。
 その呟きを聞きつけて、セイルーンの重臣達がざわり、と空気を乱す。これで、ゼルガディスに対するセイルーン自体の対応も、変わらざるを得なくなるだろう。
 それを小気味良い思いで想像しながら、リナは結界に視線を戻した。
 彼らにとって、問題はこれからだった。
「ゼルガディスは、大丈夫かなぁ?」
 心配そうなガウリィの言葉に、リナもフィリアも、完璧なる返事など持ち合わせてはいなかった。
 ただ一つ、言えることは、
「信じるしかないわよ、ゼルを」
 全員の視線の先には、2年前と全く変わらない、固く瞳を閉じた20代半ばの青年が、ふんわりと微笑んでいる。

『久しいですね、ゼルガディス』
 二年前と同じ声、同じ姿で問いかけてくる。
 それなのに、どこかがおかしい。なにかの違和感を感じる。
『どうしました、ゼルガディス?』
 そうだ、身を包む空気がおかしい。何故彼は、こんなにも赤い気配を見にまとっているのだ。
「……・・その気配は、どうした?」
 驚くほどすんなりと、声が出た。
 レゾが、袖を顔に近づけて自嘲気味に口元を歪めた。
『分かりましたか・・・・・…。どうも、私の負の感情は魔王に気にいられたようで、魂となった今も解放してくれないんですよ』
 神も、助けては下さらないようですしね。
 小さく呟かれた言葉に、ゼルガディスは「ふぅん」と答えただけだった。
 神も、たかが人間一人のために、魔王の分身に喧嘩を売ろうとは思わないのだろう。その事に対し、やや不満はあったものの、神に文句を言っても仕方がない。
 顔にかかる髪をはねのけて、本題に入る。
「俺には、何かの枷がつけられているらしい。それが俺の力を押さえつけていた。レゾ、お前は俺に言ったよな?『強くなりたいか』と。その時に気がつかなかったか?俺に枷がはめられていると」
 言外に、その枷をはずしていれば、この姿になる必要はなかったのでは無いか、という非難を込めてゼルガディスはレゾを見上げた。
 レゾが、苦しそうに、顔を歪めた。
 そして、一つ息をつく動作をすると、心の内を吐き出すように、声を出す。
「その枷をはめたのは、私です。正確には、邪妖精との合成が枷なのです・・・・・・・…」
 頭の芯を鈍器で殴られたような衝撃がゼルガディスを襲った。
 クラリ、とからだがゆれる。
「・・・・・…何故、そんな事を?」
 絞り出すような声に、レゾが顔を歪めた。
「…あなたの力は大きすぎたのです。そして、あなたの心はそれを制御するに足るほど、穏やかではなかった」
 過去の自分を思い返して、ゼルガディスは頷いた。しかし、それでも納得はいかない。
「だからと言って、この姿にする必要はあったのか?!!」
 憤りに、声が荒くなる。レゾが、片手で顔を覆った。
「私が傍にいる事で、いくらか抑える事はできていました。けれど、私の心は徐々に魔王に蝕まれていました。あのままでは、あなたの傍でその力を抑制する事すら叶わなくなりそうでした。私は、それを感じとって、あなたの本来のキャパシティの上に、更に小さなキャパシティをはめ込む事で抑えようと考えました。それによって、私が傍で見ている時よりも比較的自由に呪文を使えるようになるし、あなたが暴走する事も無いだろう、と」
「そんな、勝手な事を!!どうして、その時俺に・・・・・…!!」
「言って、あなたは納得しましたか?!力を抑えると分かって、私の傍にいましたか?!!」
「少なくとも、あんたを憎みはしなかったさ!!!」
 血を吐くようなお互いの叫びに、二人は黙り込んだ。
 やがて、再びレゾが口を開いた。
「最初は、邪妖精を組みこむだけのつもりでした。そうすれば、あなたの姿は少々エルフに近くなるだけの予定だったからです。……・・似合ったでしょうに」
 レゾの最後の台詞に、ぐらりと体が傾いだ。視界の隅で、アメリアが呆然としているのが見えたが、この際無視する。
 昔から、レゾは彼を飾り立てては良く遊んでいた。
 見える訳ではなかったので、どうもゼルガディスのリアクションで遊んでいたようだった。その数々の思い出が頭をよぎり、ゼルガディスは大きく溜息をついた。

 レゾが、再び苦しそうに顔を歪めた。
「そして、あなたを邪妖精と組み合せようとした瞬間、私の中で魔王が囁きました。『自由にできる力を手に入れれば、この子はお前から離れるだろう。お前の力なぞ、必要とはしなくなる。お前は、再び、一人になる』と」
 そこまで言って、レゾは両手で顔を覆った。
「怖かった。憎まれてでもいいから、傍にいて欲しかった。そんな想いが突き上げてきました。そして、私は、その思いの命ずるまま、あなたに石人形も合成したのです。許される事で無いのはわかっています。けれど、私はあの後何年生きていれば良かったのでしょう?何人もの人間が、私を置いて旅立って行く。私だけが止まったまま。それに耐えられるほど、私は強くは無かった・・・・・・・…」
 消え入りそうな声で、それだけをいうとそのまま黙り込んだ。
 ゼルガディスの胸の中には、いい知れぬほどの喪失感がただよっていた。
 目の前で告白をする男は、彼の知っているレゾで、そして知らなかったレゾだった。彼が何年生きていたのか、正確には知らない。けれど、普通の人間の何倍かは、確実に生きていた。だからこそ抱える恐怖、寂寥感、喪失感。痛いほどに伝わってきたからこそ、もう、彼を責める事などできそうに無かった。
 軽く腕を組んで、もう一度レゾを見上げた。まだ、彼は俯いたままだ。
「俺の体を治す方法は?」
 レゾが苦しそうに、首を振る。
『あなたのキャパシティを押さえている邪妖精と石人形を同時に消滅させなければなりません。しかし、それをするには何か、大きな力を解き放つ必要があります。しかし・・・・・…』
 レゾの答えに、ゼルガディスは息をついた。
 ラグナ・ブレードを放った瞬間、自分の姿に人間の時の姿がダブって見えたらしいが、それ以上の力を放たない限り元には戻れない、という事だろうか。しかし、世界の破滅と両天秤にかけることなど、彼は望んでいなかった。
 別の方法を探すしかない。
 もう一つ、気になる事があった。だから、そっと、片手をレゾの方にむける。レゾが、その気配に気付いて顔を上げた。
「何故、目を閉じている?もう、魔王の束縛は無いはずだろう」
 ゼルガディスの問いに、レゾは軽く首を傾げた。
「…私は、この世界を破壊しかけました。多くの人を死に追いやりました。この身が解放されたからといって、罪が消えたとは思えません。私は、この世界を見ることが許されるとは、思えません。もう、あきらめてます」
 淋しく微笑むレゾに、ゼルガディスの中で何かが切れた。
「ふざけるな!!!!あんたはそのために色々とあがいたんだろう?!!多くの人を犠牲にしても手に入れたかったものなんだろう?!!それを諦めるだと?!そんな事、できる訳ないじゃないか!!!逃げてるだけじゃ無いのか?!!そうだ!あんたは俺からも逃げたんだ!!」
 溢れる激情に、涙がつうと零れ落ちる。13の時以来初めて泣いていた。が、ゼルガディスは感情が爆発していて、自分が泣いていることに気がついていない。
 そして、ずっと心の中に溜め込んでいたものが溢れ出す。
「勝手に生きて、勝手に死んで!!俺には憎むべき躯も残さずに!!俺の体を戻すぐらいしてから、死んだら良かったんだ!!どうして、…どうして!!」
 どうして、俺が離れるなんて、思ったんだ!馬鹿やろう!!
 声にならない叫び。
 がくんと、その場に膝をついた。ふわり、とレゾがその上にかぶさった。そっと、震える肩を抱きしめられる。幼い頃に、されたように。
『すいません』
 繰り返し囁かれる言葉に。ゼルガディスは徐々に落ち着きを取り戻して行った。
 吐き出された感情は、ゼルガディスの心を、解放する。

 どれくらい泣いたのか、落ち着きを取り戻したゼルガディスはゆっくりと立ちあがった。その時、はじめて自分の周囲が黒い霧で包まれていた事を知った。恐らく、取り乱した自分を他人の目から隠すために、アメリアが放ってくれたのだろう。
 その心遣いに感謝しつつ、ゼルガディスはレゾに真っ直ぐに視線を向けた。
 泣いているうちに、心は決まった。
 やり方は知っている。
 すっと、傷口が治りかけている掌を、レゾに、いや、正確には魔方陣にむけた。
 そして、静かに呪文をつむぎ出す。
「我が血により開かれた道よ。
 我はここに乞い願う。
 道に招かれし者、我が血とともに我にきたらん。
 その魂、我れとともに在れ
 描かれし道よ、我が内にその力を封せん」
 血で描かれた魔方陣が、ぐにゃりと歪む。そして、そのまま治りかけていたゼルガディスの傷口から体内へと戻って行く。
 当然ながら、魔方陣とだぶる形で存在していたレゾも、ゼルガディスに引き寄せられる。
『ゼルガディス!何を?!!』
 動揺にゆれるレゾの声を聞きながら、ゼルガディスはその瞳を閉じた。
 声は、いまやゼルガディスのうちから聞こえてきている。そう、彼は自分の体の中にレゾを引きこんだのだ。
 目的は、ただ一つ。
 レゾの意識を抱えたまま、ゼルガディスは望む。
 ただ。一つのことを・・・・・・・・・・・・・。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
はい!!今回はちゃんとご登場しましたね、レゾさん!!
 それにしても、やっぱりこの人もいい性格をしてる・・・・・・・・。
 生きていたら、ゼルガディスをつついて遊んでくれたんだろうになぁ。惜しい人をなくしてしまった。
さてさて、今日は二本目があるので、コメントはここで終了しておきましょう。
 いえ、これ以上書いたら、墓穴を掘りそうで・・・・・。

 最後に一言!
 次回は、ゼルガディスファンの方は超必見!!!
 でわでわ、Go−−−−−−−−−−!!!

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7246贖罪の時36なゆた E-mail 7/21-15:49
記事番号7245へのコメント

「ゼルガディスさん?!!」
 アメリアが、ふらふらとゼルガディスに駆けよってきた。
 レゾを導いた時の疲労が抜けきれていないのだ。倒れかかる体を、ゼルガディスが支える。
「レゾさんは?」
 ゼルガディスの閉じられた瞳を見つめながら、アメリアが不安そうに尋ねた。目の前で、レゾがゼルガディスの中に消えるのを目撃したので、やや呆然としている。
 ゼルガディスは、自分の胸を押さえて、不敵に笑って見せた。
「ここにいる」
「そうですか……・・、って?ええええええええええええ!!そ、そんな事して平気なんですか?!!乗っ取られたりしたらどうするんですかぁぁぁ?!!!!」
「大丈夫だって。魔方陣ごと取りこんでいるから、そんな事できないって」
「何で、そんな事言えるんですか?」
 当然の質問に、ゼルガディスは「ああ」と軽く答える。
「フィリアの持ってた本に書かれてたからな」
 それだけ答えると、晴れてきた霧をかき分けて、祭壇の外が見える所まで歩いて行く。そして、どうも中が見えなくなっておろおろいていたらしいリナ達に、軽く手を振って見せた。
 その様子に、一同がほっと息をついた。
 そして、リナが何か、ジェスチャーを始める。どうも、終わったのかどうか聞いているらしい。
 ゼルガディスが頷くと、フィリアが祭壇の近くにかけより、結界に手を触れた。
 瞬間,結界を張った時と同じような閃光が現れ,そして結界が消えた。
 音が、溢れ出す。

「ゼル!!何か聞き出せた?」
 叫びながら駆けよって来たリナが、ゼルガディスより数歩手前で立ち止まった。後からついてきたガウリィも、同じように立ち止まる。
 そして、フィリアは尻尾、ヴァルは尻尾を出して自分の体を抱えている。
 アメリアは、知っている。だが、不安そうにゼルガディスを見上げるだけで、何も言わない。
 そう、全員が感じ取ったのだ。ゼルガディスの気配にだぶる、もう一つの存在を。
 近づけば、ぞくりと背中をなぞる、この冷気。極北の、誰も生身では生きては行けない、魂すらも凍り付きそうな、気配。
「ゼル、何、くっつけてきたの?」
 何かが違う。何よりも、彼は何故、瞳を閉じている?
 ガウリィが、首をひねった。
「前にどっかで、会ったことのある、気配・・・・・・…。ああ!!真っ赤なかっこした奴だ!!」
 ぽん、と手を打って襲撃の事実を口にする。
 フィリアの顔が青ざめた。
「ま、まさか、ゼルガディスさん!!と、とりこんだんですか?」
 恐る恐る吐き出された言葉に、ゼルガディスはこくんと頷いた。ざー、とフィリアの血が引く音が聞こえた気がした。
「どーーーーーーーーして、そんな事ができるんですかぁぁぁぁ!!!この本は全部竜族の文字で書かれてたんですよ!!あなた、読めないはずじゃぁぁ!!!」
 フィリアの絶叫に、ゼルガディスは涼しい顔で答える。
「表紙の字は古すぎて分からんかったが、中の文字は比較的分かりやすかったんでな。読めた。まあ、俺も外の世界で遊んでた訳じゃないからな」
 さらりと出された答えに、フィリアが頭を抱えた。
「だからって、そんな短期間でぇぇぇぇぇぇ!!!しかも、そんな無茶をやらかすなんて、非常識なぁぁぁぁぁ!!!」
 恐慌状態に陥りかけたフィリアは放って置いて、今度はリナがゼルガディスに尋ねる。
「で、わざわざその男を引きこんで、何がしたいわけ?元に戻れる方法と関係でもあるの?」
 その質問に、ゼルガディスは薄く微笑んだ。
「さあ?自分でもどうしてこんな事をしたいと思ったのか、分からん」
 心の中で、リナと同じように『何故?』を繰り返すレゾに答えるように、ゼルガディスは呟いた。
 そして、目を閉じたままだというのに、扉に向かって真っ直ぐに歩き出す。レゾと重なっているために、その感覚も共有しているのだ。そのため、目が見えなくても、周囲の事が気配でわかる。
 すたすたと、呆然としているジャベル達の前を横切ろうとした瞬間、誰かの呟きが耳に入った。
「魂を呼び出し、引きまわすなど・・…。神に対する冒涜だ」
 その言葉に、心の底から怒りが湧き出してくる。意識が、レゾに引きこまれて行く。
 がん、とその拳を石造りの壁に叩きつける。
『神、ですって?!神に何の権利がある?!!私の中にあるものを知っておきながら、全く手を出さなかったものが!!』
 口調が、ゼルガディスのものと違う。声に宿る憤りの深さが違う。
 その場にいた全員が、ぎくりと身を強張らせた。
『何度、神に助けを求めても、その声すら届けず!!人を裁く権利だけは主張する!!』
 ――神は、手を差し延べはしない。
『私とて、望んでこうなった訳では無いのに!!』
 ――ただ、普通の人生を求めただけなのに!!
『光を求めた事が、罪だというのか?!!ならば何故、……・・!!』
 ――自分をこの世に送り出したのか?!!
 がんっ!!!
 ゼルガディスが、強く頭を岩壁に叩きつけた。呆然と、ゼルガディス、いやレゾの言葉を聴いていた者達が、はっとする。
 ゼルガディスは、岩壁から頭を離すと、小さく呟いた。
「すまん。ちょっと引きずられた」
 それだけをいいおいて、ゼルガディスはその廟を後にする。
 しばらく、誰も動けなかった。
 あの言葉は、レゾのものであって、ゼルガディスのものでもある。神さえも信じられずに、生きていかなければならなかった、二人。
 その痛いほどの苦しみが伝わってきたからこそ、誰も動けなかった。
 ヴァルが、フィリアを見上げて小さく呟く。
「ゼルにい、どこ行っちゃうの?いなくなったり、しないよね?」
 その言葉に、全員が、動き出す。
「リナさん!ゼルガディスさんを追いかけましょう!!赤法師にまた引きずられないとは限りません!!」
 フィリアの叫びに、ガウリィが顔をしかめた。
「……それって、レゾがゼルガディスを連れてっちまうかもしれない、ってことか?」
 その恐ろしい仮定に、アメリアの顔から血の気が引いていく。
「リナさん!!」
「わかってる!行くわよ、アメリア!みんな!!」
 リナの言葉に、セイルーンの重臣も含めて、駆け出した。

 ゼルガディスは、セイルーンの神殿を出て、中庭を歩いていた。頬をなぶる風に心地よさを感じる。
 その意識の中で、リナ達の想像とはかけ離れたのほほんとした会話をしていた。
 頭の中で、レゾが再び声を伝えてくる。
『あなたは変わりましたね、ゼルガディス。あの、お嬢さん達のおかげですか?』
 リナ達の声が脳裏に響く。レゾにとって、記憶は音と感触を介したものしかないのだろう。
「………そうかもな」
 彼らと付き合い始めて、確かに自分は変わった。どうも、便利な道具扱いされている気もするが、それまで自分をそう扱った者などいなかったので、新鮮な感じも覚えていた。
 レゾが、微笑の気配を放つ。
「なんだ?」
『いいえ。特に,あの巫女のお嬢さんに対しては、特に優しく接しているなぁ、と思いましてね』
 多分にからかいを含んだその口調に、頬が熱くなるのを感じながらゼルガディスは憮然と答えた。
「しょうがないだろ。すぐ、泣くんだから!」
 自分でも説得力が無いのは分かっていたが……。
『ゼルガディス・・・・・・…。言い訳するなら、もっと上手いものを言いなさい』
 呆れたようなその言葉に、ゼルガディスはまたも、憮然とする。
「ほっとけ。死んでおとなしくなったと思ったら、その説教ぐせは変わらんのか?」
『かわいい曾孫をからかうのが、私の楽しみですのに』
 はた迷惑な趣味を持った曽祖父は、ゼルガディスの中くすくすとで笑う。つられて、ゼルガディスも、口元をほんの少し緩めた。
 思い返す思い出の中には、そんなに苦しいものばかりではなかった。確かに、自分は守られていた。そう感じる思い出も、多々あった。だからこそ、この姿に変えられた時に、より深く憎んだのかもしれない。
 ゼルガディスは、小さくカオスワードを唱える。
「レビテーション」
 力ある言葉に、ゼルガディスの周囲に風の力が生じる。ふわり、と体が宙へと浮き上がった。
 上昇して、昨日、アメリアと夕日を眺めていた場所に降り立つ。
『ゼルガディス?』
 いぶかしげなレゾの声に、ゼルガディスはふっと微笑んだ。
「あんたは、自分に世界を見る資格が無い、と言ったな?多くの人を傷つけ、命を奪い、世界を破滅の危機へと導いた、と。確かに、そうかもしれない。許されることではなかったのかもしれない。でもな、あんたの力で救われた人間は、確かに存在する。実験だったとしても、それで光を取り戻した人間だって、少なくは無かった。それに、あんたはちゃんと罪を贖うに値することはしたと思うぞ?」
『……私が?』
 戸惑う気配に、ゼルガディスはさらり、と髪をかきあげた。
 ゆっくりと、その目を開いていく。
 レゾが、驚きに息を飲んだ。

 眼前に広がる、どこまでも蒼く澄んだ、空。
 そこに浮かぶ、白い雲。
 照りつける太陽は、あまりにも眩しくて直視できない。
 果てしなく広がるように見える、緑の草原が光を受けて、波のように揺れている。
 その緑を割くように伸びる、茶色い道。
 溢れかえる色彩に、レゾの意識が震える。
『これが、世界・・・・・・…』
 呆然とした呟きと同時に、頬に何かが流れた。
 涙、だった。
 ゼルガディスのものではない、レゾのものだ。はじめて目にする"風景"に、レゾが泣いていた。
 求めて、求めて、気が狂いそうだった、世界。
 そこは、あまりにも美しく、はじめて見る色彩は、彼の心を震わせた。
 ゼルガディスが、軽く胸元を押さえた。そこに宿る人の心に、語りかける。
「そうだ。これが、あんたの守った、世界だ」
『守った?……・・私が?』
 景色に心奪われたまま、レゾが呆然と問い返してくる。
 そのレゾのために、視線を様々な方向に走らせながら、ゼルガディスが頷く。
「あんたの意識が、シャブラニグドゥを押さえなかったら、リナの放った一撃は当たらなかったそうだ。だから、あんたも世界を守ったんだ」
 その言葉に、レゾは何も答えなかった。恐らく,無意識のうちで対抗していたので、記憶に薄いのだろう。
 そのまま、特に言葉を交わすでもなく、二人は目の前に広がる命の輝きを見つめていた。

『ありがとう、ゼルガディス』
 長い、長い間世界に見惚れていたレゾが、ぽつり、と呟いた。声に、かすかな苦味が宿る。
『これ以上、あなたの中に魔方陣をとどめておくと、あなたの意識が危険です。もう、私は帰りますよ』
 その言葉に、ゼルガディスはさっき聞いた事実を思い起こす。
「帰るって、魔王の所にか?」
『恐らくそうなるでしょうね。今は、一時的に解放されていますが、魂を繋ぎとめる器が消えれば、彼は私を簡単に引き寄せますから』
 これから彼は、再び魔王とともに在らねばならないのか。
 神は、人間を利用するくせに、決して援助の手は差し延べない。
 それがわかっているからこそ、レゾを帰すのがためらわれた。
 この人は、いつまで苦しまなくてはならないのか。魔王を宿した事は罪だったのか?本人の望みでもなったのに。
 その想いが、ゼルガディスに首を振らせる。
『ゼルガディス!これ以上は、もうあなたが限界です!!早く私を解放しなさい!!』
 焦るレゾの言葉に、ゼルガディスは再び首を振った。
「レゾ、魔王の所に帰らなくて済む方法がある、と言ったらどうする?」
 その言葉に、レゾの意識が震えた。
『どういう、事ですか?』
「俺の意識の片隅に、というよりも、キャパシティの中にらしいが、あんたの魂を留めておく方法がある。そうすると、あんたは俺の見た世界、俺の感じたものを一緒に感じる事になる、らしい。そうだな、例えるなら夢を見ているような感覚だろう。ただ、そうすると、俺が死ぬときまでその魂は拘束される事になる。だが、魔王の所に帰るよりも、ましだとは思うが、どうする?」
『本当に、可能なんですか?』
 震える言葉に、ゼルガディスが無言で頷いた。
『しかし、私の意識が共に在っても、あなたはいいんですか?』
レゾの言葉は、彼自身がゼルガディスにしたことを後悔しているいい証拠だった。だからこそ、ゼルガディスは頷く。
「ああ。俺がそうしたいんだ」
 朱にまみれたこの両手。誰かを救えるのなら、惜しみなく差し延べよう。それこそが、自分自身の贖罪だった。
 レゾの意識が、頷くのが分かった。

 ゼルガディスが、ゆっくりと右手をかざした。
「我が血によって描かれし道よ。
 その役目を終え、我が内より解き放たれよ」
 じわり、とその掌に血が滲んだかと思うと、瞬く間にそれは溢れ出し、外へと流れ出した。そして、魔方陣を形作った一瞬の後、霧散する。
 意識の中に、レゾだけが残った。
「我が魂の内に眠りし、大いなる力の源よ。
 願わくは、彼の魂を留めおかん。
 彼のもの、我が近しきもの。
 我が内で安らがん事を、乞い願う。
 彼のもの、我が魂と共に在らん」
 ざわり、と心の奥底で何かが揺れたのが、わかった。
 体の芯から、何かが溢れる。広がる。
 そして、ふわり、と体が軽くなる。

 それは、不思議な感覚だった。
 自分の中が、確かに大きくなった実感があった。
 なによりも、レゾの存在をかすかにだが感じる事もできる。
 それが、ふんわりと、微笑んだ。
『……・・・・・・…これが、私のあなたへの贖罪になるでしょうか?』
 呟きが、何を意味するのかわからなかった。聞出そうと、その意識に語りかけようとした時、背後から声がかかった。
『ゼルガディス(さん)!!!』
 驚いて振りかえると、汗だくになって息を切らしている彼の仲間の姿があった。
 心配される、という事になれていない彼は、嬉しさに、ふわり、と微笑んだ。
 何故か、その場で全員が硬直した……。

 リナ達は、目の前で微笑む青年を呆然と見つめていた。
 見た事が無い、青年。けれど、そこはかとなく、見たことのある、青年。
 青年が、いぶかしげに首を傾げる。
「どうした?そんな所で、固まって……って!うお!!!」
「ゼ、ゼ、ゼルガディスさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!」
 いきなり抱き着いてきたアメリアに、ゼルガディスは意表を突かれた。アメリアを抱えたまま、もんどりうって倒れる。
「な、な、なんだ!!いきなり?!!」
 抱き起こそうとして、必然的に自分の手に目が行く。
 そこにあるのは、岩の肌、ではなかった。薄い肌色をした、人間の皮膚。
「これは・・…!!!」
 驚いて、自分の体を見下ろそうとした、が、アメリアが乗っかっているのでそれができない。
 何とかアメリアを抱えたまま半身を起こし、やはりぼうっとしているリナ達に視線を向ける。
「なんだ?!何が?一体、どうなって…・・?!!」
 もどかしげに問い掛けられるリナ達自身も、我が目を疑っていた。
 目の前にいる、アメリアに押し倒されている青年は、透けるように輝く銀色の髪。青い左の瞳は空を写し取ったかのように輝き、右の瞳はルビーを宿したように輝く。白い肌の上に、険の在る端整な顔立ち。どこから見ても、立派な美青年だった。
 フィリアが、慌てて懐から手鏡を取り出した。
 それを、ゼルガディスに突きつける。
「戻ってます!」
 鏡に映った自分の姿を見て、ゼルガディスは息を飲んだ。体を変えられた当時と、あまり変わらない姿の自分が、呆けた顔で映っていた。
 脳裏に、レゾの言葉がよみがえる。
 ――大きな力を解き放つ必要が、ある。
 レゾの魂は、彼のキャパシティの中に入りこんでいる。その魂は大きな力となったのだ。体の芯が解放される、あの感覚は、レゾの魂が入りこんだせいで、枷が完全に破壊されたからだったのだ。
 それならば、レゾの最後の言葉にも、得心がいく。
「………も、どった?」
 まだ、呆然として呟くゼルガディスに、アメリアが顔をうずめて泣きじゃくる。
「良かったです!!良かったですね、ゼルガディスさん!!」
 戻った本人よりも、ダイレクトに喜んでいる。
 リナが、呆然としているゼルガディスの頭をぱしん、と打った。
「何呆けてんのよ!!もっと喜びなさいよ!!」
「良かったなぁ、ゼルガディス!!」
 リナ達の言葉に、じわじわと実感が染み込んでくる。その時、ヴァルがゼルガディスの顔を覗きこんだ。
「ゼルにい、変身したの〜〜〜?!!」
 どこか勘違いしているヴァルの言葉に、一気に緊張が解ける。
 じっと、自分の手を見つめ、ぎゅっと握り締める。柔らかい、人の感触。
「ああ、戻ったんだな」
 呟きに、意識の片隅でレゾが微笑んだのが、分かった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 やっと元に戻りましたよ、ゼルやん!!!
 くぅぅぅぅ!!!やっぱりこの人は美青年でなくては許せません!!!って言うか、本当に美青年なんです!!(断言)
レゾさんも、やっとS様から開放されて、やれやれと言うところでしょうか?

 さぁ、このままハッピーエンドに向かって突っ走るぞぉぉぉぉ!!!
 (ラストが近いので、異常にハイテンション)

 そして、そして次こそは!!!もっと短いものを(滝涙)

 でわ!ラスト迄力を入れて行きますので、よろしくお願いいたします!!
 

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7257おめでとう!絹糸 7/22-16:02
記事番号7246へのコメント


 ちーっす なゆたさん。ちょっぴり暇のできた絹糸です!
 とりあえず一言。↓

 きゃああああああ!!(大音響)
 すんばらしい!もう大興奮ですよ!ゼルが!ゼルが戻ったああああ!(エコー付き)
 やったー!
 これでもう後はアメリアと幸せになるだけだ!ウェディング♪ウェディング♪
 その資格もばっちりですね!なんと言ってもゼルは(元、ではあるけど)大公!
 そのうえ容姿端麗、知識も豊富、フィルさんも賛成間違いなしだし、これは誰も文句はつけられないでしょう!

 と、わたしは今後の予想を立てたわけです。アニメディアのあの絵も手伝って。
 さーて、真相のほどはどうなるかな?どんな展開でもきっとなゆたさんはゼルを幸せにしてくれるはず!
 さあ、ゼル。アメリアと幸せになれ!


 今回は途中に詩を置いています。
>『神、ですって?!神に何の権利がある?!!私の中にあるものを知っておきながら、全く手を出さなかったものが!!』
>『何度、神に助けを求めても、その声すら届けず!!人を裁く権利だけは主張する!!』
> ――神は、手を差し延べはしない。
>『私とて、望んでこうなった訳では無いのに!!』
> ――ただ、普通の人生を求めただけなのに!!
>『光を求めた事が、罪だというのか?!!ならば何故、……・・!!』
> ――自分をこの世に送り出したのか?!!

 身に降りかかる災いが起きないように
 静かに見張る存在は
 災いが身に及ばなければ動きはしない
 そこで何が起ころうと
 それで誰が傷つこうと
 見張り続ける
 それが神

 ・・・だからなんでしょうね。神に願ってもレゾの願いが叶わなかったのは。
 神は自分の身に関わることでなければ容易に願いを叶えない。
 自分の身が危険になることなら必死で力を尽くしたでしょう。
 神は、自分さえ安全ならそれでいい。TRYの神族である最長老の言葉を聞いてそう思いました。


>『かわいい曾孫をからかうのが、私の楽しみですのに』
 前回でも書いてありましたけど、お茶目ですねえ。
 ゼルが時折見せるお茶目さはレゾの遺伝かな?


 長く残してます。消すのがもったいなかったもので。
 ※この前の感想でやたらと多く残ってたゼル&アメリアの会話シーンも同理由です。

> 眼前に広がる、どこまでも蒼く澄んだ、空。
> そこに浮かぶ、白い雲。
> 照りつける太陽は、あまりにも眩しくて直視できない。
> 果てしなく広がるように見える、緑の草原が光を受けて、波のように揺れている。
> その緑を割くように伸びる、茶色い道。
>『これが、世界・・・・・・…』
> 呆然とした呟きと同時に、頬に何かが流れた。
> 涙、だった。
> はじめて目にする"風景"に、レゾは泣いていた。
> 求めて、求めて、気が狂いそうだった、世界。
> ゼルガディスが、軽く胸元を押さえた。そこに宿る人の心に、語りかける。
>「これが、あんたの守った、世界だ」
>『守った?……・・私が?』
> 景色に心奪われたまま、レゾが呆然と問い返してくる。
>『ありがとう、ゼルガディス』

 神に求めても叶わなかった
 魔に求めて初めは叶った
 それでも得ることはできなかった
 私の願いを本当に叶えてくれるのは
 あなただったんですね
 私が得られたものをあなたに捧げます
 何かに感謝する心
 ありがとう 愛しい子よ

 遠すぎる存在達に願いを託すのは、弱く小さな人間には出過ぎた行いだったかもしれない。
 人の願いを叶えるのは、やはり同じ人なんだ。

 多くの人を成り行き上助けて感謝され続けた賢者、赤法師レゾ。
 自分の目が開かないままでそんな感謝の心を嫉妬こそあれ、喜ばしく受け止めたことはないでしょう。
 願いが果たされ、心から感謝しているこの時のレゾが、涙を流しながら詩のことを思ってくれていれば嬉しいですね。


>「我が血によって描かれし道よ。
> その役目を終え、我が内より解き放たれよ」
>「我が魂の内に眠りし、大いなる力の源よ。
> 願わくは、彼の魂を留めおかん。
> 彼のもの、我が近しきもの。
> 我が内で安らがん事を、乞い願う。
> 彼のもの、我が魂と共に在らん」
 なゆたさん!詩が書けないとか言って前回のもあわせてすばらしいカオス・ワード書けるじゃないですか!
 わたしにはこんなかっこいいの書けませんて!


> 目の前にいる、アメリアに押し倒されている青年は、
 おいおい。
> 透けるように輝く銀色の髪。青い左の瞳は空を写し取ったかのように輝き、右の瞳はルビーを宿したように輝く。白い肌の上に、険の在る端整な顔立ち。どこから見ても、立派な美青年だった。
 きゃあああ!ゼル!かっこいい♪ああ!イラストで見てみたい!わたしの乏しい想像力では思い描けない!
 なゆたさんは『ゼルが人間だったら銀髪』派なんですね。
 わたしは・・・おっと、ここでは秘密(はあと)事情がありまして。

> フィリアが、慌てて懐から手鏡を取り出した。
 用意がいい。この時でも体のどこかに携帯お茶のみセット&棘付き棍棒を常備しているのだろう。



> やっと元に戻りましたよ、ゼルやん!!!
 ありがとう!なゆたさん!あたしゃ嬉しいよ!

> くぅぅぅぅ!!!やっぱりこの人は美青年でなくては許せません!!!って言うか、本当に美青年なんです!!(断言)
 イエッサー!ゼルは誰がなんと言おうと美青年でさあ!

>レゾさんも、やっとS様から開放されて、やれやれと言うところでしょうか?
 よかったよかった。
 でもゼルと感情やらなんやらを共有するということは、ゼルがアメリアにすることされること全てレゾも感じ取るわけで・・・
 ええんか?ゼル。これからなんか大きな問題増えていきそうだよ?
 とりあえずレゾに冷やかされまくることは大決定。

> さぁ、このままハッピーエンドに向かって突っ走るぞぉぉぉぉ!!!(ラストが近いので、異常にハイテンション)
 おっしゃあああああああ!ゴールは目前!声を出して応援しながらお待ちしております!

> そして、そして次こそは!!!もっと短いものを(滝涙)
 短くてもゼルアメには違いあるまい!
 私的には長編でもいっこうにかまわんのですが。大変なんでしょうな長編は。(やったことないからわからん)
 あ!そういえばなんか前回話の予想の正解で商品のかわりにリクエストを受け付けてくれるとか?

 じゃあ、なゆたさんのHP作って下さい!

 ・・・・・・・・・・・・・なんか遠くで爆音が聞こえたような・・?
 はっはっは(乾いた笑い)
 そんな大それたお願いをリクエストなんて出来るわけないじゃないですか。
 冗談ですよ。じょ・う・だ・ん♪作ってもらえたらそりゃ嬉しいですけど。

 本当のリクエストは、
 次回作(もちろんゼルアメ)を作ってもらうこと。それがわたしのお願いです♪
 シリアス、ギャグは問いません。期限もつけません。(生きてるうちにお願いします)
 聞き入れて頂けますか?

> でわ!ラスト迄力を入れて行きますので、よろしくお願いいたします!!
 はい!全力投球な話を受け止める準備は万全です!どーんと来い!


 Z
 憎んで 恐れて 恨んでいた
 その男の望みを叶え 受け入れた
 心の変化に身体も変わる
 身体は心を映してた
   
 Z-2
 求めたものを手に入れて
 とまどうばかりで落ち着けない
 けれどずっと抑えたこの気持ちを
 君に伝える時がやっと来た



 A
 姿形はどうでもいい
 姿が変わってもあなたはあなた
 あなたが幸せになったから
 あなたが笑顔いられるから
 わたしも本当に嬉しいです
 

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7283ありがとう!なゆた E-mail 7/26-14:39
記事番号7257へのコメント


> ちーっす なゆたさん。ちょっぴり暇のできた絹糸です!
 うぃっす!!

> とりあえず一言。↓

> きゃああああああ!!(大音響)
> すんばらしい!もう大興奮ですよ!ゼルが!ゼルが戻ったああああ!(エコー付き)
> やったー!
一言って・・・・・・・・(汗)ああ、でも!うれしいです!!戻ったことで、こんなに感動していただけるとは・・・・・・・・。

> これでもう後はアメリアと幸せになるだけだ!ウェディング♪ウェディング♪
> その資格もばっちりですね!なんと言ってもゼルは(元、ではあるけど)大公!
> そのうえ容姿端麗、知識も豊富、フィルさんも賛成間違いなしだし、これは誰も文句はつけられないでしょう!
 
> と、わたしは今後の予想を立てたわけです。アニメディアのあの絵も手伝って。
> さーて、真相のほどはどうなるかな?どんな展開でもきっとなゆたさんはゼルを幸せにしてくれるはず!
> さあ、ゼル。アメリアと幸せになれ!
 どんな展開でしょうねぇ。とりあえず、現時点では、秘密です(はぁと)

> 今回は途中に詩を置いています。

> 身に降りかかる災いが起きないように
> 静かに見張る存在は
> 災いが身に及ばなければ動きはしない
> そこで何が起ころうと
> それで誰が傷つこうと
> 見張り続ける
> それが神
 神様って、なんなんでしょうねぇ。魔を監視する立場にある、とか言いながら、結局なんの手出しもしてませんし。偉そうなこと言っていていても、やっぱり後ろで見てるだけ。意味ないな、と思って、今回神様に文句をつけてみました。でも、そうですね。彼らは、心底ことなかれ主義なんでしょうね。ある意味、一番イヤなタイプかも・・・。

> ゼルが時折見せるお茶目さはレゾの遺伝かな?
 それもありますが。幼少のころから培われた条件反射かもしれません。

> 長く残してます。消すのがもったいなかったもので。
> ※この前の感想でやたらと多く残ってたゼル&アメリアの会話シーンも同理由です。
 ほえ?そうだったんですか?うれしいです!!

> 神に求めても叶わなかった
> 魔に求めて初めは叶った
> それでも得ることはできなかった
> 私の願いを本当に叶えてくれるのは
> あなただったんですね
> 私が得られたものをあなたに捧げます
> 何かに感謝する心
> ありがとう 愛しい子よ
 だーーーーーーーーーーーー(滝涙)
はっ!いかん、私が泣いてしまった。確かに、目が見えなかったことは不幸だったかもしれません。でも、その中でレゾさんが見失ってしまったもの。私は、それに気がついてほしかった。ありがとう絹糸さん!!私が、感動してしまいました!!

> なゆたさん!詩が書けないとか言って前回のもあわせてすばらしいカオス・ワード書けるじゃないですか!
> わたしにはこんなかっこいいの書けませんて!
 これはもう、意識朦朧としながら書いてたんで、同じような文章が続いちゃってます。(汗)でも、結構がんばった、自信作。

> きゃあああ!ゼル!かっこいい♪ああ!イラストで見てみたい!わたしの乏しい想像力では思い描けない!
> なゆたさんは『ゼルが人間だったら銀髪』派なんですね。
> わたしは・・・おっと、ここでは秘密(はあと)事情がありまして。
 なに?なになに??あぅぅぅ!!気になりますねえ。もしかして、「笑顔の〜』に関係あるんでしょうか?

> よかったよかった。
> でもゼルと感情やらなんやらを共有するということは、ゼルがアメリアにすることされること全てレゾも感じ取るわけで・・・
> ええんか?ゼル。これからなんか大きな問題増えていきそうだよ?
> とりあえずレゾに冷やかされまくることは大決定。
 はい。決定事項です。でも、それはどうなるかは、このあとで・・・・・・・・・。

> 短くてもゼルアメには違いあるまい!
 それはもう、間違うこともなく!!

> 私的には長編でもいっこうにかまわんのですが。大変なんでしょうな長編は。(やったことないからわからん)
 いえ、なんか楽しいです。ただ、頭からそれが離れない、という欠点が・・・・・。

> あ!そういえばなんか前回話の予想の正解で商品のかわりにリクエストを受け付けてくれるとか?
 はい、どうそ!
> じゃあ、なゆたさんのHP作って下さい!
 ずごしゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!
> ・・・・・・・・・・・・・なんか遠くで爆音が聞こえたような・・?
> はっはっは(乾いた笑い)
 ふっふっふ(低い笑い)

> そんな大それたお願いをリクエストなんて出来るわけないじゃないですか。
> 冗談ですよ。じょ・う・だ・ん♪作ってもらえたらそりゃ嬉しいですけど。
 どうしてばれたんでしょうか?!!実は、一応制作中。でも、スキャナーがないので文章オンリー。しかも、乗せるものが『贖罪〜』しか今のとこなインですよねぇ。
それに、プロバイダーも見つけていない。どこか、紹介してくださいません?

> 本当のリクエストは、
 ああ、はいはい。
> 次回作(もちろんゼルアメ)を作ってもらうこと。それがわたしのお願いです♪
> シリアス、ギャグは問いません。期限もつけません。(生きてるうちにお願いします)
> 聞き入れて頂けますか?
 もちろんです!!ただ、夏休みの間はちょっと忙しくなるので、どうなるか分かりません。プロバイダーとの契約ができたら、夏休みも関係なく載るでしょう。しかし、間違いなくそれは『ゼルアメ』です!!

> Z
> 憎んで 恐れて 恨んでいた
> その男の望みを叶え 受け入れた
> 心の変化に身体も変わる
> 身体は心を映してた
 ゼルガディス。その心が変わっていくことで奇跡は起きました。そして、その心を変えた大きな一因はアメリア。彼女抜きには考えられませんです!はい。
   
> Z-2
> 求めたものを手に入れて
> とまどうばかりで落ち着けない
> けれどずっと抑えたこの気持ちを
> 君に伝える時がやっと来た
 今度、戸惑うのは・・・・・・・・・(くす)

> A
> 姿形はどうでもいい
> 姿が変わってもあなたはあなた
> あなたが幸せになったから
> あなたが笑顔いられるから
> わたしも本当に嬉しいです
 いいですね。本当にゼルガディスのことを思ってるって、感じです。姿を気にしていなかったアメリアの、一途な心にゼルガディスはどうこたえるんでしょうか。
 期待していてください!

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7265イエ〜〜イ!!!昂也 E-mail 7/24-06:29
記事番号7246へのコメント

ついに!ついに〜!!
ゼルが戻りましたね〜!!(ドンドンドンパフパフ♪)
いや〜、おめでとう!!
これで障害の一つはなくなった。
いけいけゼルガディス〜!!

ごめんなさい、ちょっと壊れてるかも(苦笑)。

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7284Re:イエ〜〜イ!!!なゆた E-mail 7/26-14:44
記事番号7265へのコメント


>ついに!ついに〜!!
 そうです!ついに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

>ゼルが戻りましたね〜!!(ドンドンドンパフパフ♪)
 にゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!どんどん(花火)

>いや〜、おめでとう!!
>これで障害の一つはなくなった。
 なくなった!そう、彼は今や「容姿端麗」「頭脳明晰」「剣も魔力も一流どころ」
 誰が、文句をつけようや?!

>いけいけゼルガディス〜!!
 ノンストップで、ゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

>ごめんなさい、ちょっと壊れてるかも(苦笑)。
 はっ!つい、ハイテンションに引き込まれてしまった。
 
 今後、彼らは間違いなく幸せになりますんで、見守ってやってください。


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7268Re:贖罪の時36やまだ まきこ E-mail 7/24-14:17
記事番号7246へのコメント

いやぁぁぁー!はじめましてゼル&ゼロスファンのやまだですぅぅ。どうぞ、「なゆたさま」とよばさして下さい。
贖罪の時36…もうかんどーの雨!嵐!かみなりー!ってかんじで超いいですね!
実は、この作品を読む前は「ゼル&アメリアのらぶらぶコンビ」反対派だったんですけど、この話読んだ後はもう
アメリア。あ、あなたそんなにゼルのことを…
なっなんてかわいい恋心って感じで
すっかり賛成派に…まあゼルが幸せになってくれたらうれしいので(苦しいいわけですね)
毎週の水曜日にスレイヤーズのつどいというのをやっています!
内容は、本屋で新しい本&画集のチェックやCDで歌を歌ったり、本や画集をみて
興奮するというメチャクチャ地味な集団です。(笑)
最後にひとこと
なゆた様がんばってくだせぇい!
スレつど代表 やまだまきこ

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7285はじめまして!!なゆた E-mail 7/26-14:52
記事番号7268へのコメント


>いやぁぁぁー!はじめましてゼル&ゼロスファンのやまだですぅぅ。
 おお!!ゼル&ゼロスファンの方ですか!!はじめまして、なゆたと申します。

>どうぞ、「なゆたさま」とよばさして下さい。
 へっ!!!そ、そんな!!どうしましょう!!普通でいいですよ、普通で!!様つけられるような奴じゃないですから、私。

>贖罪の時36…もうかんどーの雨!嵐!かみなりー!ってかんじで超いいですね!
 台風ですか・・・・・・・・。いや、そんなに吹き荒れていただいて、筆者冥利です!

>実は、この作品を読む前は「ゼル&アメリアのらぶらぶコンビ」反対派だったんですけど、この話読んだ後はもう
>アメリア。あ、あなたそんなにゼルのことを…
>なっなんてかわいい恋心って感じで
 まぁ!!そうなんですか?!!うれしいです!こんな駄文なのに、ゼルアメ派のほうにひきこめて!!

>すっかり賛成派に…まあゼルが幸せになってくれたらうれしいので(苦しいいわけですね)
 いえいえ、ゼルガディスファンの私としては、この上もないお言葉です!!

> 毎週の水曜日にスレイヤーズのつどいというのをやっています!
 ど、どこででしょうか?

>内容は、本屋で新しい本&画集のチェックやCDで歌を歌ったり、本や画集をみて
>興奮するというメチャクチャ地味な集団です。(笑)
 そのような集団が存在するとは!!(汗)

> 最後にひとこと
> なゆた様がんばってくだせぇい!
> スレつど代表 やまだまきこ
 はい!!ありがとうございます!!がんばっていきたいと思いますので、どうぞお付き合いくださいまし!!
      でも、様、はいいですよ。(笑)
                       なゆた

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7286贖罪の時37なゆた E-mail 7/26-14:57
記事番号7246へのコメント

「でも、どうやって戻ったんだ?それに、あの赤いのはどこに行ったんだ?」
「そう言えば、そうよねぇ」
 ガウリィの言葉に、リナが首をひねった。
 フィリアが、はっと青ざめた。震える指先で、本のページをめくり、ある所を食らいつくように読む。
 そして、本から上げたその顔は、この上も無く青ざめていた。
「……・・まさか、まさか、ゼルガディスさん?同居させたん、ですか?」
 こくんと、軽く頷いたゼルガディスを見て、フィリアの中でぷつん、と切れた。
「どぉぉぉぉぉしてそんな事するんですかぁぁぁぁぁぁああ!!!よりにもよって、輪廻の輪から勝手に魂を引き離すなんて!!!そ、そん、そんな事をして、ただで済むと思ってるんですかぁぁぁ?!!!!」 
 興奮のため、息を切らしているフィリアを見て、ゼルガディスは軽く肩をすくめた。
「仕方ないだろう?もうここにいるし。それに、ここで解放しても、レゾは輪廻の輪には組みこまれていなかっただろうし、な」
「だからって!!!………え?輪廻から……?」
 唐突なゼルガディスの言葉に、フィリアが聞き返す。が、ゼルガディスはそれには答えず、抱きついて離れようとしないアメリアを抱えると、ひらりと、塔の縁から身を躍らせた。
「すまんが、フィリア!リナ達への説明は任せる」
「ちょっと、ゼル!!待ちなさいよ!!」
 リナの叫びを後ろの聞きながら、呪文を発動させる。
 落下していた体が、ふわりと風に抱きとめられた。

「そんなに、泣くことないだろう?アメリア」
 未だにぐすぐすと鼻を鳴らしているアメリアを見て、ゼルガディスが呆れたように呟いた。
「だって、だって、本当に嬉しいんですから〜」
 ぽろぽろと溢れ出てくる涙をぬぐいながら、アメリアが赤い目をゼルガディスにむける。その様子を見て、ゼルガディスは再び溜息をついた。
「だからって、泣かなくてもいいだろう。なんだか、俺が泣かしてるみたいじゃないか」
 アメリアの頬に流れる涙を、そっと唇ですくう。(何せ、両手はふさがっているので)
 瞬間、アメリアの顔が真っ赤に紅潮する。同時に、流れ出る涙もぴたりと止まった。そして、涙で滲まなくなった視界には、必然的にゼルガディスの顔が飛びこんでくる。
(か、かっこいい……・・)
 整った眉目に、今は優しそうな表情を浮かべてアメリアを見つめている。それを意識した瞬間、アメリアは自分の置かれている状況に気がついた。
 ゼルガディスに抱えられたまま、空に浮いている。
 自覚した瞬間、頭が混乱を開始した。
(きゃぁぁぁぁぁ!!ゼ、ゼルガディスさんの顔が近いです〜!!はっ!もしかしてこれって、世に言うラブラブモード?!!ふぇぇぇぇ!!ど、どうしたら良いんでしょう〜〜〜〜!!)
 ぐるぐると頭の中が回転する。
 間近でゼルガディスの顔を直視するので、余計にはづかしい。
「?」
 いきなり静かになったアメリアを、ゼルガディスは怪訝に思った。が、そのままふわりと地上へと降り立った。

 すとん、とアメリアを立たせる。
 そして、未だに赤いその顔を覗き込むと、その額に手を当てた。
「どうした?気分でも悪いのか?」
 出来るだけ優しく尋ねる。が、それが全くの逆効果だという事に、全く気がついていない。
 うなじまで真っ赤になって俯くアメリアに、ますます困惑しながら、どうしようかと思った時、背後から勢いよく何かが飛びついてきた。
「兄さん!!どうしたの?!!戻れたんだね!!!!」
 レイスである。喜色満面、と顔に書いて抱きついてくるその姿は、どう見てもじゃれつく子犬である。
 その事に、ル・アースの将来がやや心配になった。が、それを押し込んで、抱きついてくるレイスの体を引き剥がす。
「やめんか!!全く、いつまで子供みたいな事を・・・・・…」
 呆れながらその体を引き剥がした時、正面にルーシャが、ジャベルに支えられて佇んでいる事に気がついた。
 白い布に包まれた顔。それを見た瞬間、ゼルガディスの中でレゾが囁いた。
 それに、ゼルガディスは頷く。
 意識が混濁していく。
 その時、塔の上からリナ達が舞い降りてきた。が、それさえも目に入らない。
 ルーシャの目の前に立つ。
 そして、瞳を閉じ、意識の奥深くで息づく存在へと心をむける。
 レゾが、こちらを向いた。

 地上に降り立ったリナ達は、今目の前で起ころうとしている事を呆然と見つめていた。
 瞳を閉じ、やや俯いたゼルガディスの銀色の髪が、ゆっくりと闇に侵食されて行く。
 ざわり、と周囲の空気が変わる。
 肌を刺す、冷たい吐息が溢れ出す。
 一瞬の後、それはゼルガディスの外見をした、別の存在へとかわっていた。
 それは、さらりと黒髪を払いのけ、そっとルーシャの顔に手を当てた。
 あまりの事に、双方の傍にいるレイスもアメリアも、全く身動きが取れない。
 黒髪のゼルガディスが、何かを唱えているのは分かる。そして、ルーシャの顔に当てた手が、やわらかな光に包まれる。
 それは、不思議な光景だった。
 そう、まるで奇跡の瞬間。
 ゼルガディスの手が、ルーシャの顔の布を外した。
 布の下にあったのは、深い紫色に輝く大きなひとみ。そう、瞳があった。
 
 ルーシャが、自分の手を見下ろす。そして、信じられないものを見るように、傍に立つレイスの頬に手を当てた。
「…み、える…。見えるわ、…・レイスの顔が!」
「!!ルーシャ!!」
 信じられぬ想いのまま、二人がお互いをただ呆然と見詰め合っていた。
 黒髪のゼルガディスが、ふわりと微笑んでその様子を見守っている。
 リナが、それの横から疑心に満ちた声をかけた。
「赤法師・・・・・…、レゾ?」
 その言葉に、その場にいたものが息を飲んだ。そして謎めいた微笑みを浮かべたままでいるゼルガディスに視線を向ける。
 ゼルガディスが、いやレゾがリナとガウリィに向かって、にっこりと微笑んだ。
『さすがに、分かりましたか。お久しぶりですね、お嬢さんに、光の剣を持つものよ』
 懐かしさが、声に満ちている。
「……・・はぅ!」
 フィリアがふらりと倒れた。襲撃の事実に、竜族の巫女として、神経が持たなかったらしい。その事を無視して、レゾは意識をジャベルにむけた。
 穏やかな微笑が、その顔から消える。
『まさか、あなたをゼルガディスが殺さなかったとはね。でも、彼が許しても、私にまで許されるとは、思わない事です』
 心を凍てつかせる声で告げると、すっとその掌をジャベルにむける。
 ジャベルは、恐怖に顔を青ざめさせたまま、ただ震えている。動こうにも、レゾの殺気がそれを許さない。まさに、蛇に睨まれた蛙状態だ。
『さようなら』
 レゾが、最後を宣告する。
 その瞬間、弾かれた様にアメリアがレゾの前に飛び出した。ジャベルを庇う様に、両手を広げてその視界をふさぐ。
 レゾが、眉をしかめた。
『どいてくださいませんか?お嬢ちゃん。その男は、私の孫娘を暗殺したのです。八つ裂きにしても飽き足りません』
 冷淡なレゾの言葉に、アメリアが大きく頭を振る。
「だめです!その体はゼルガディスさんのものです!!あなたは復讐を果たせて、それでいいかもしれませんが、結局それはゼルガディスさんの手を汚すだけじゃないですか?!!また、ゼルガディスさんを利用するつもりなんですか?!!!」
 厳しい、厳しすぎる言葉だった。レゾから放たれる殺気が、更に強くなる。
 数瞬の睨み合い。 
 アメリアが、その殺気のあまりにもの強さに死を覚悟しかけた瞬間、唐突にそれが消えた。
 レゾが、ふわりと微笑んでアメリアを覗き込む。
 そう、覗きこんだのだ。
 うっすらと開かれた瞳は、両方共に空の色を宿している。
 それに優しい光を浮かべながら、アメリアの頭にぽんぽんと手を置いた。
『分かりました。まったく、面白い子ですねぇ。これなら、ゼルガディスが・……』
 と、言いかけた瞬間、レゾの動きがぴたりと止まった。
 髪の色が急激に、元に戻って行く。
『……この子の事、頼み・・…』
「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!余計な事はいわんでいいぃぃぃぃぃぃ!!!」
 一瞬の後、彼らの目の前には、顔を真っ赤にしたゼルガディスがいた。

「ゼル?」
 確認するようなリナの言葉に、ゼルガディスが大きく息をつきながら頷いた。
 ちらり、とジャベルを見ると、腰を抜かして涙ぐんでいる。この様子なら、しばらくはおとなしいだろう。
 その横には、まだ呆然としている、レイスとルーシャ。けれど、彼らについてはもう心配ないだろう。
「大丈夫ですか?ゼルガディスさん」
 アメリアが心配そうに見上げている。
(また、助けられた)
 そう思った瞬間、くらりと眩暈がした。ルーシャの目を治すのにかなりの魔力を使った様だ。
 視界が、ぐらぐらと揺れる。
 良く考えれば,彼はここ連日大きな魔力を使って,完全には回復していなかった。それなのに、更に大きな魔術を使って、体が限界だった。
「ゼルガディスさん!!」
 アメリアの声が、やけに遠くに聞こえた。そして、彼は眠りにつく。


 翌日。
 ゼルガディスはル・アースに割り当てられた部屋で昏々と眠りつづけていた。
 アメリアは側についていたがったのだが、彼女の立場がそれを許さなかった。見合いパーティのお開き会のようなものが、翌日開催される事が決定したのだ。その準備のために,結局、一日中侍女達にまとわり付かれた。
 リナとガウリィは、今回の騒ぎについての事情説明を求められ、丸一日中拘束されていた。
 フィリアは、まだショックが抜けきれず、ただひたすらにお茶を飲んでいた。
 ヴァルは広い庭を駆けまわって遊んでいた。
 レイスは、各国への報告の書類作成に追われ、ジャベルに意見を求めつつも机に張りついたままだった。
 結局、ゼルガディスの世話をやくことになったルーシャは、ゼルガディスのベッドの傍らで、幸せそうにその寝顔をのぞきこんでいた。
「兄さんは、これからどうするの?帰ってきてくれる、よね?」
 囁きに似たその言葉に、ゼルガディスは気が付くことも無く眠りつづけた。
 そして、次の日。
 各国の代表者達が最後に集う、日になった。

 リナとガウリィは、最初の日にもらった正装に身を包み、そのパーティに出席していた。目の前で、ふらふらと近寄ってくるアメリアに声をかける。
「ご苦労さん!!アメリア!!」
「ほんとに、ご苦労です〜」
 婚約者が辞退したと言うことで、アメリアの隣を狙って様々な国の貴公子達がアメリアを取り囲んでいた。
 そのもみくちゃ状態から、なんとか脱出してリナとガウリィの側に立つ。さすがに、破壊神の異名を持つリナ達の側には、誰もよってこない。
 肩と胸元を露出したドレスに身を包んだアメリアは、ほうと息をついた。
 気にかかるのはゼルガディスの事。昨日から、一回も目を覚ましていないらしい。本当なら一時も側を離れたくなんて無かったのに。
 その事を知っているリナが、会場に目を走らせる。それに気付いたガウリィが同じように会場に視線を走らせながらリナに尋ねた。
「何を探してるんだ?」
「ん?レイス達が来て無いのよ。おかしいと思わない?」
「そういや、朝から見ないな」
 ガウリィの言葉に、リナとアメリアの脳裏に悪い想像が駆け巡った。
 ―まさか、誰にも何も言わずに、消える気じゃぁ!!
 そう思い、駆けだしかけた瞬間。
 出入り口の周囲で、ざわりと空気が動いた。
 女性を中心にしたささやき声が、会場を包みだす。
「なんだろうなぁ」
「行ってみますか?」
「当然!」
 騒然とした空気の中心地に近づくにつれ、人の層が厚くなっていく。それをかき分けながら進もうとしたが、全然進めない。
「がぁぁぁぁぁ!!気になるぅぅぅ!!」
「おいおい、リナ、落ち着けよ」
 何とかなだめようとするガウリィの言葉をリナは振りきった。
「もうだめ!!!どきなさいよ!ディム・ウィ………」
「今度騒ぎを起こしたら、二度と呼びませんからね」
「うっ!!」
 アメリアの言葉に、リナが固まった。
 その時、目の前にいた人の群れが左右に分かれた。
 分かれた人の先には、正装したレイスと、淡いイエローのドレスに身を包んだルーシャ。
 そして、きっちりと正装をしたゼルガディスが、いた。


 ゼルガディスは、白を基調とした正装を身にまとい、淡い空色のマントを羽織っている。そして、それがゼルガディスの際立った容姿と調和して、彼の姿を引きたてている。
 ゼルガディスが視線を走らせるたびに、その視線の先にいた令嬢達から囁きと、溜息が漏れる。騒ぎの原因は、どうやら彼のようだ。
「どうした?俺の顔に何かついているのか?」
 思わず見惚れてしまったリナとアメリアがはっと息を飲んだ。ボーとしているうちに、ゼルガディスが目の前に立っていたのだ。
 自覚できる。双方共に、顔が赤い。
 それを見て、ゼルガディスがいぶかしげにガウリィに視線を向けた。
「どうしたんだ?」
「さぁ?」
 その様子に、レイスが軽く忍び笑いをもらした。ルーシャは呆れた様にゼルガディスを見ている。
「なんだ?」
「ううん。何でもない。僕ら、ちょっとフィリオネル殿下の所に挨拶に行ってくるよ」
「ああ。きちんと挨拶するんだぞ」
 どうも、誤魔化された気もするが、とりあえず二人を送り出す。
 その時、周囲を見渡していたガウリィが呆れたような声を出した。
「それにしても、物凄く注目されてないか?」
 その言葉に、ゼルガディスが諦めきった口調で答える。
「気にするな。飽きたら、散る」
「慣れてるなぁ」
「……だから、出たくなかったんだ。昔っから、人が正装すると寄ってくる。何が面白いんだか」
 その台詞に、リナとアメリアがずるり、と足を滑らせた。
 リナが、ぽんとゼルガディスの肩を叩く。
「ゼル。もしかして昔、人から、鈍い、って言われた事、無い?」
「ん?ああ。よくレイスとルーシャに言われたが、良く分かったな」
 感心したようなゼルガディスの言葉に、アメリアとリナは一気に脱力した。
 気付いていないのだ。彼に対する、期待に満ちた女性陣の視線の意味を。
 それが、なんだかゼルガディスらしくて急に可笑しくなる。
 リナとアメリアは、顔を見合わせると、クスクスと笑い出した。
 笑われているゼルガディスは、訳がわからなくてガウリィと顔を見合わせ、二人は同時に、肩をすくめた。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 最後が近い!
 のノリで書いているなゆたが、37をお送りいたします!!
 アメリアがどぎまぎしてますね。
 これにはれっきとしたわけがあるんですが・・・・・・。それは次回に。
 
 というわけで、今回はここまでです。
 実は38ももうすぐ完成するんですが、今日は時間がないので(涙)、これで失礼いたします。

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7226Re:贖罪の時32春樹 7/14-23:06
記事番号7219へのコメント

 なゆたへ

 なんだかとってもハイなわたくし。
 と言うことで、コメントを・・・。

 なんか、なゆたの恋の話しって、
 やっぱり、違和感あるぅぅぅぅ!!!
 今まで、なゆたからそう言う言葉が出なかったのに!!!
 いつも、そう言う話題は私が聞いてたのに。
 (でも、いっつも”無い!”の一言で終わってしまう。)
 何故書ける?!
 わたしにわ、わからないわ。

> テスト終了ぉぉぉぉぉぉ!!!!
> やったぁぁっぁ!!おわったぁぁぁぁ!!結果なんぞ,知るかぁぁぁぁ!!!
> ふう、 何か、テスト期間に突入した人達に喧嘩を売ってるみたいですねぇ・・・・・。

 私は喧嘩売られた、と取ったぞ。

>そんなつもりは露ほども無いですから,お気になさらずに。(単に叫びたかっただけ)

 分からないでも無いけど・・・、と言うことで、(どこがと言うことなんだろ?)君と会う約束は無しだ。
 私は7月いっぱいテストに追われる予定だから。
 ふっ、私と会えない日々を枕を濡らして待っていたまえ。

> さて,久しぶりに投稿できました。

 そうだねぇ。
 私は、テストが在ろうが無かろうが、好きなことは欠かさない。
 その辺りは、偉いと思うわ。

> 次回はとうとう外交対戦!!

 私、そう言うの疎いから、ちょっと、たじたじ。
 そう言うのが練れるほど、頭の皺が無いから。

> どっちが上手かなぁ,などと無責任なことを思いつつ,
> 次回をお楽しみに!!!

 おうおう。
 テストがあっても多分見にくるでしょう。
 (そんな余裕は欠片も無いはずなんだが・・・。)
 ウキィィィ!
 怒涛のごとく、打ち寄せるテストの波を思うと自己逃避をしたくなる・・・。
 
> でわ×2.今度は,・・・・・・・・いつになるでしょう。
> なるたけ早く載せますんで,どうか、じっくりお待ち下さいまし!!

 うむ。
 気長に待つわ。
 ではでは。
 お邪魔いたしました。

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7232春樹へなゆた 7/16-16:05
記事番号7226へのコメント


> なゆたへ
 はいよ!!

> なんだかとってもハイなわたくし。
> と言うことで、コメントを・・・。
 寝てないのか?私じゃあるまいし。

> なんか、なゆたの恋の話しって、
> やっぱり、違和感あるぅぅぅぅ!!!
 まだ言うか、貴様は!!!

> 今まで、なゆたからそう言う言葉が出なかったのに!!!
> いつも、そう言う話題は私が聞いてたのに。
> (でも、いっつも”無い!”の一言で終わってしまう。)
 答えてあげよう!!いまも”ない”!!!
こ〜んなにかわいいのに、世の男どもはどこをみて・・…・・・って、ああ!!
待って、消さないで!!冗談だ!!


> 私は7月いっぱいテストに追われる予定だから。
> ふっ、私と会えない日々を枕を濡らして待っていたまえ。
 ふっ。君のために濡らす枕など、ないさ。


> そうだねぇ。
> 私は、テストが在ろうが無かろうが、好きなことは欠かさない。
> その辺りは、偉いと思うわ。
 趣味と勉強は、別物よ!!!

> おうおう。
> テストがあっても多分見にくるでしょう。
> (そんな余裕は欠片も無いはずなんだが・・・。)
 来て、見て、読んで(はぁと)できれば、感想ぷり―づ!!

>

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7267すごいですねーmakoto 7/24-09:38
記事番号7219へのコメント

どもー、初めましてー、私はmakotoと申します。この作品を見せて頂きまして、とても感動しました。
なのでこれを機会にいつも来てみようかなと思いました。
それでは、またお会いする日を楽しみに待っています。

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7282いえいえ、そんなぁ。なゆた E-mail 7/26-14:18
記事番号7267へのコメント


>どもー、初めましてー、私はmakotoと申します。
 初めまして。なゆたと申します。

>この作品を見せて頂きまして、とても感動しました。
 ええ!!ありがとうございます!!感動だなんて(てれてれ)

>なのでこれを機会にいつも来てみようかなと思いました。
 はい、どうぞいらしてくださいまし!!

>それでは、またお会いする日を楽しみに待っています。
 がんばって、次をがんばります!
 って、まず今のを終わらせないと・・・・・・・・・。