◆−ユメ・ウツツ−紫条 藤夜(8/17-14:27)No.7519
 ┣Re:ユメ・ウツツ−蒼紫(8/17-17:01)No.7520
 ┃┗Re:ユメ・ウツツ−紫条 藤夜(8/20-14:05)No.7559
 ┗幸せですね……−庵 瑠嬌(8/27-10:02)No.7636
  ┗幸せ、ですよね。−紫条 藤夜(9/2-10:35)No.7678


トップに戻る
7519ユメ・ウツツ紫条 藤夜 E-mail 8/17-14:27


ユメ・ウツツ

 僕らの偉大なる王は全ての者の死を望み、そしてまた、全ての者の生を望む
 ―混沌の王。
 生命ある者、金色の母の子宮に還りし魂は真白になって再び
 ―この世に降りていく。
 僕が愛した少女もまた―

 ―ねぇ、知っていますか?
 巫女の本当の役割。
 巫女とは―神の遊女。
 その内に神を降ろして、神と戯れる―
 神の遊女。
 だけど私は―
 あなたと出逢ってしまいました。
 以来心はどんな時にも、あなたの方へと向いてしまうんです。
 …これは神に対する裏切りになるのでしょうか?
 僕に問いかける、青い瞳の火竜王の巫女。
 裏切りになる、って
 それでもその想いはあなたには止められるものではないんでしょう?
 彼女の体を抱き寄せる。細い体、両の腕の中に閉じ込めて
 驚き見上げた彼女の小さく開きかけた愛らしい唇に自身のそれを重ね合わせて―
 もう誰にも止められる想いなんかじゃないんですよ
 神にさえも―
 ゼロス―
 僕の名を呟いて
 彼女は甘い微弱な息を吐き
 やがて一つにとけていく
 おちていく、安らぎの闇―
 ―そして暗の闇
 神に対する裏切りであると同胞に殺された―
 肩に咎人の烙印
 体中に酷い拷問の痕
 青い瞳はもう開かれない
 口元からしたたる赤い血
 魂魄の飛び去った冷たい骸
 打ち捨てられた火竜王の巫女
 フィリアっ!―

 「フィリアっ!」
 「…どうしたんですか?」
 遠い昔の悪夢にうなされて
 目覚めると心配そうな表情で僕を見つめるフィリアと目が合う。
 「大丈夫、ですか?」
 「大丈夫、です」
 あわてて表情を取り繕えば、彼女はじっと僕を見つめている。
 「何だか少しイヤな夢を見てしまって―フィリアを起こしてしまいましたね」
 申し訳なさそうに言えば
 フィリアは柔らかい微笑を浮かべ、フワリと僕に抱きついて耳元に囁く。
 「私は、ちゃんとここにいます。あなたの側に―だから安心して下さい」
 指先に絡めて戯れる黄金の髪
 触れ合わせる頬は温かな血の通った
 確かにフィリアはここにいる―
 「フィリアは、温かいですね。変温動物なのに―」
 「…ちょっと、私にケンカ売ってます?!」
 人が心配してあげればっ!!
 頬膨らませて怒る仕草も―
 つくづくフィリアなんだと思ってしまう。
 「可愛いですねぇ」
 その一言に数瞬気を抜かれて
 「ゼロス、ヘン…ですよ?
  いえ、あなたが変なのは一応知ってはいたつもりですが…」
 至極真面目な表情で
 「とうとう壊れちゃったんですか?」
 「…フィリアもいい加減失礼なヒトですね」
 あの頃の僕達には考えられない、子犬がじゃれあうみたいな―
 他愛のないケンカをしてみたり
 魂は真白になっても―
 昔の想いはそのままに
 惹かれあう気持ちは抱いたまま
 このままずっと、同じ時は重ねることはできないだろうけど
 それでも今確かに、フィリアは僕の側にいる!
 瞳閉じて、遠い昔に思いをはせる。
 降魔戦争の真実は、僕からフィリアを奪った
 火竜王に対する
 愚かな竜達に対する報復のつもりだった。
 だけど、たとえフィリアに問われても
 このことは永久に僕の胸の内に封印しておこう。
 千年かかって僕の元に還ってきた
 心優しい火竜王の巫女が落ち込む顔はあまり好ましくないから―

コメント
 ゼロ×フィリです。初めて投稿いたします。今でこそ全く書かなくなってしまいましたがとっても好きなんです、ゼロ×フィリが。彼らのお話ばかり結構書きためてあったんですけどこのお話がわりと短めなものだったので。インターネットも初めてで、実は私自身はパソコンありますがインターネットを楽しめる環境にあらず従姉妹のパソコンを使わせてもらっております。ゼロ×フィリお好きな方に楽しんでいただければ幸いです。従姉妹経由になりますが宜しければ感想を下さい。

トップに戻る
7520Re:ユメ・ウツツ蒼紫 E-mail 8/17-17:01
記事番号7519へのコメント

紫条 藤夜さん初めまして。
蒼紫と申します。

すごい・・・この一言に尽きました。
ほんとにかっこよくて綺麗な文章だと思います。
もぉ全て気に入りました!
・・・しかもゼロフィリだし♪
ナイスです!超イカしてます!!(死語?)
密かにゼロスがフィリア呼び捨てにしてるとこなんか最高♪

私も激ゼロフィリ好きなんで、小説書きたいとは思うんですが、
文章力がないために・・・・・・(泣き)
いつも想像、妄想で終わります。(←危ない)

また投稿されたら見させて頂きます♪
期待してます(はーと)←イヤでしたら聞き流して下さい(汗)

コメント短くてすみません(汗)打つの遅いもんで・・・
ではこのへんで。
・・・なんかあんまりコメントになってないような気がする・・(死)



トップに戻る
7559Re:ユメ・ウツツ紫条 藤夜 E-mail 8/20-14:05
記事番号7520へのコメント

蒼紫様

こんにちは、初めまして。紫条藤夜です。嬉しくなってしまう感想ありがとうございます。
コメントの方にもありますが、このお話って私が書きためていたお話の中の一つなので、他にもいくつかあるんですね。それこそ、そこはかとなく“えっち”と言われるようなお話も、そうでないものもちらほら…さすがに、やっぱり、“えっち”なお話は、自主規制で投稿できませんがそうでないお話は少しずつ時間を見ながらこれからも投稿したいと思っています。よろしかったらこれからも是非私の作品読んで下さいね。投稿しない(できない 笑)作品については、いつかどこかのサークルさんが拾って下さる…かもしれないです。
とにかく感想をいただけたことが嬉しくて…本当にどうもありがとうございました。
 

トップに戻る
7636幸せですね……庵 瑠嬌 8/27-10:02
記事番号7519へのコメント


 はじめまして 庵 瑠嬌と申します。

 突然ですが、わたくしはゼロリナ専門に書くのが趣味の人間です。
 そんな人間からの感想など、あまり嬉しくないかもしれませんが、わたくしはゼロフィリも好きなんですの。
 スレイヤーズパロディならけっこうなんでも好きだったりもしますが……この話、すごくわたくし好みのお話で、さらに文体とかの雰囲気が好きになりましたので、感想を申し上げさせていただきます。


> だけど私は―
> あなたと出逢ってしまいました。
> 以来心はどんな時にも、あなたの方へと向いてしまうんです。
> …これは神に対する裏切りになるのでしょうか?
> 僕に問いかける、青い瞳の火竜王の巫女。
> 裏切りになる、って
> それでもその想いはあなたには止められるものではないんでしょう?

 たぶん、そういう思いを、誰にも止められないくらい抱いてしまった所で、神に対する裏切りなんでしょうね……。
 不安なフィリアさんを、ゼロスさんが安心させている、みたいな感じですわ……。
 フィリアさんを抱きしめるゼロスさんの肯定する優しさが、本当に安らいでいて、幸せですわね……。


> 神に対する裏切りであると同胞に殺された―
> 肩に咎人の烙印
> 体中に酷い拷問の痕
> 青い瞳はもう開かれない
> 口元からしたたる赤い血
> 魂魄の飛び去った冷たい骸
> 打ち捨てられた火竜王の巫女
> フィリアっ!―

 竜族って、けっこう閉鎖的で、異端を許さない感じしますわよね。
 まぁ、魔族と対抗しなければならないわけですから、少しの不安要素も見逃せないのでしょうけれど、ほんとうに、同胞だろうが敵とみなしたら、容赦無いような気がします……。ミルガズィアさん好きですが。
 フィリアさんは、たとえ拷問されても、非難されても、一度ゼロスさんを愛したら、その気持ちを手放さないで、そのまま死んでいってしまいそうですわね……。そのまえに、ゼロスさんが絶対守るかもしれませんが。


> フィリアは柔らかい微笑を浮かべ、フワリと僕に抱きついて耳元に囁く。
> 「私は、ちゃんとここにいます。あなたの側に―だから安心して下さい」
> 指先に絡めて戯れる黄金の髪
> 触れ合わせる頬は温かな血の通った
> 確かにフィリアはここにいる―
> 「フィリアは、温かいですね。変温動物なのに―」
> 「…ちょっと、私にケンカ売ってます?!」
> 人が心配してあげればっ!!
> 頬膨らませて怒る仕草も―
> つくづくフィリアなんだと思ってしまう。

 優しいフィリアさんに対する、ゼロスさんの言葉は、きっと安心感からでしょうね。思ったことそのままおっしゃった彼は、フィリアさんの前では正直者のような気が致します。
 言葉の一つ一つに、律儀にこたえるフィリアさんって、……可愛い。


> 「可愛いですねぇ」
> その一言に数瞬気を抜かれて
> 「ゼロス、ヘン…ですよ?
>  いえ、あなたが変なのは一応知ってはいたつもりですが…」
> 至極真面目な表情で
> 「とうとう壊れちゃったんですか?」
> 「…フィリアもいい加減失礼なヒトですね」

 フィリアさんって、いつも真面目に失礼な事をおっしゃってくださるんじゃないでしょうか。
 おたがい遠慮なしにものを言い合える仲ですわよね。歯に布着せず。
 ……ああ。
 幸せですわねぇ……そういう会話が、本当に、二人でいるって感じで。


> 瞳閉じて、遠い昔に思いをはせる。
> 降魔戦争の真実は、僕からフィリアを奪った
> 火竜王に対する
> 愚かな竜達に対する報復のつもりだった。
> だけど、たとえフィリアに問われても
> このことは永久に僕の胸の内に封印しておこう。

 ゼロスさんからフィリアさんを奪った降魔戦争の真実って……竜族大量虐殺のお話ですか?
 ……そこの当たりの話も考えておられるなら、書いてくださってみてはいかがでしょうか……。
 
> 千年かかって僕の元に還ってきた
> 心優しい火竜王の巫女が落ち込む顔はあまり好ましくないから―

 ここ、すごく好きです。
 ゼロスさん優しいじゃないですか。それに、すごくフィリアさんを大切にしている感じじゃないですか。
 すごくいい二人だと思います。やっぱり、ゼロフィリもいいなぁ……としみじみ思ってしまいましたわ。


>コメント
> ゼロ×フィリです。初めて投稿いたします。今でこそ全く書かなくなってしまいましたがとっても好きなんです、ゼロ×フィリが。彼らのお話ばかり結構書きためてあったんですけどこのお話がわりと短めなものだったので。インターネットも初めてで、実は私自身はパソコンありますがインターネットを楽しめる環境にあらず従姉妹のパソコンを使わせてもらっております。ゼロ×フィリお好きな方に楽しんでいただければ幸いです。従姉妹経由になりますが宜しければ感想を下さい。

 また、お話お書きになってみませんか。
 紫条さんのお話、とっても素敵で……それに、ゼロフィリって少ないんですよ。あまり読める機会がありませんので。また、読みたいです……

 初めてなのに、やたら長い(しかも下手……死)感想で閉口されたかもしれませんが、御寛恕下さいませ。
 それでは失礼をば……


トップに戻る
7678幸せ、ですよね。紫条 藤夜 E-mail 9/2-10:35
記事番号7636へのコメント

庵 瑠嬌様

こんにちは、初めまして。紫条 藤夜です。
好意的かつ親切な感想を本当にどうもありがとうございました。
ゼロ×リナご専門な方とか?
最初ドキドキしちゃいましたけど。こんなに長くこんなに細かな感想がいただけてとても嬉しかったです。
幸せ、ですよね。そう思われるのもごもっともです。
自分でもそう思いますもの。って言うか私自身そんなお話しか書けないでいます。私の書くお話の中のゼロスって優しいし、正直者だし本来の魔族っていうものとは違うものなのかもしれないです。
でも、私の中の魔族のイメージって“純粋な獣”と申しましょうか?自分でも書いててわからなくなっております(笑)。
今、投稿途中のお話は、ワタクシ的な竜属大量虐殺のお話で…でも、終わってみたら“獣神官誕生秘話”かもしれません。そちらの方もどうぞよろしく。それでは短いのですが失礼いたします。