◆−封印せられし真実は…  1−紫条 藤夜(8/25-14:42)No.7607
 ┣最高・・・−蒼紫(8/27-19:05)No.7644
 ┃┗感想どうもありがとうございます。−紫条 藤夜(9/2-10:58)No.7679
 ┣封印せられし真実は…  2−紫条 藤夜(9/2-12:25)No.7680
 ┣封印せられし真実は…  3−紫条 藤夜(9/9-13:17)NEWNo.7758
 ┗封印せられし真実は…  4−紫条 藤夜(9/10-18:56)NEWNo.7780


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7607封印せられし真実は…  1紫条 藤夜 E-mail 8/25-14:42


 封印せられし真実は…

 獣王様、何故僕には“名前”がないのですか?
 “名前”?!お前の名前?
 ええ―獣王様は僕を創ったのですよね?
 いわば、僕の“母”みたいな方ですよね?
 そういうことに…なるのかしらね。うーん…
 小首を傾げて考える。そしてポン、と一つ手を打つと
 じゃあ、ね―ゼロス。
 ゼロス?どのような意味があるのですか?
 ワクワクしながら問い掛ける。それに対する答えは、いともあっさりと
 特に意味なんて無いわよ。強いて意味を揚げれば、そうねぇ―
 私がゼラス、ラ行の最初だから、お前はゼロス、ラ行の最後。
 お前の後に誰かを創る気も…質が悪くなるだけだから、もうないのよね。
 わたしには、お前一人で充分。
 そんな、おざなりな―いでで…
 お母様に口答えするような悪い子には、こーやってお仕置きよっ!
 むぎぎ…と、頬をつねる。しかも両頬。
 痛いでふ、獣王ひゃま…
 目尻には涙が…
 フン!覚えておきなさい、わたしの言うことには一切逆らわないことね!!
 そして勿論金色の―
 あの御方の大いなる御意志にも―
 わたし達は魔族
 わたし達は獣
 獣は天から追放され、地に住まう
 闇に属するもの
 わたし達は闇から生まれた獣なのだから―

 闇―暗の、闇。
 あの日、初めて彼と出逢った時
 あれは、新月の夜。
 月明かり、星明かり一つない―闇月夜。
 闇には“魔”のものが潜むという。
 だけれど幼かった私には、それがどのようなものなのかわからなかった。



 “ユメ・ウツツ”を引っ張ったお話になります。
 (かなり、ドリーム入りますが)過去におけるゼロスとフィリアの馴れ初め話と 申しましょうか…
 魔族の名前のつけ方って安直なんだそうですが、ゼロスの名前の由来ってこんな 感じだったのでは?と、思うのは私だけでしょうか?

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7644最高・・・蒼紫 E-mail 8/27-19:05
記事番号7607へのコメント

ああ・・・
生きてて良かった・・・と思うのは大袈裟でしょうか(喜)
封印せされし〜1、読ませて頂きました!
相変わらず綺麗で物静かな雰囲気がにじみでているというか・・・
私の超理想的なゼロフィリでした♪
――ゼロスの名前・・・そういえばゼラス様の”ラ”と
ゼロスの”ロ”は最初と最後ですね。
気がつかなかったけどどことなく神秘的な感じ(?)がします。
うーんやっぱりゼラス様って優しい♪(死)
2も早く見たいです♪←催促・・・?
載るの楽しみにしています!

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7679感想どうもありがとうございます。紫条 藤夜 E-mail 9/2-10:58
記事番号7644へのコメント

蒼紫様

こんにちは。感想どうもありがとうございます。
あんな短くって、変なところで切ってしまったお話だったんですが…すいません、三十分でどれくらい打てるかなってな感じで投稿したものなんですよ。
やっぱとろいですよね。頑張って速くたくさん打てるようになりたいわ(切実)。名前の付け方、なんですけど、し、神秘的、ですかぁ?良かったね、ゼロス。
とりあえず、このお話もすでにできあがってはいるものなので、続けるペースは私次第、ということになります。でも、あまり変なところでは切れないし、整理されて消えちゃったら困るのでパソコン借りてる従姉妹には迷惑をかけつつ頑張って打ちます。これからも、よろしく、です。

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7680封印せられし真実は…  2紫条 藤夜 E-mail 9/2-12:25
記事番号7607へのコメント

それが、恐いと思わなかった。
火竜王様の結界の張られてあるはずの神聖な場所。
あの日、この神殿にはどのようなわけか誰もいなかった。
最長老様方も、父も―
そこにいたのは、私のような巫女見習いと、若い神官見習い達のみ。
何故かはわからない。今に思えば、これも私の運命、だったのかもしれない。
後に語られる歴史を知れば、私はやはり予言された通り“運命の輪を回す者”。
今この時は、竜族を破滅へと導く最初の―初代の火竜王の巫女。
あの日、何かの気配を感じて、皆が寝静まった神殿内を燭台に灯を灯し、一人見回りに歩いた。
火竜王様の神像が安置されてある場所、その場所の前で、ピタリと歩みを止めた。暗闇の中に、誰かがいた。
私の知らない誰か。
ここの者ではない、私達とは違う気配を身に纏った者。
持ち前の好奇心で彼に近付いた。
「…あなたは、誰ですか?」
「え゛?!」
振り向いたその顔は、心底驚いたという表情で
「あ、あなたこそ誰です?!」
逆に問い返されて
周りの大人達からは年の割には大人びていると評されるその口調で
「私、ですか?私はフィリア。フィリア・テス・クラン。
父はカルノ・テス・クラン、火竜王様にお仕えする神官で、私はいずれ火竜王様の巫女となる身です。以上、簡単ですが私のことはお話ししました。
もう一度問います、あなたは誰ですか?ここへは、何をしに来たのですか?」
じっと、見つめた。
彼の答えを待った。
「僕は…ゼロス、獣王ゼラス・メタリオム様の部下で、まだ役職ってないのですけれど。創られてまだ日も浅いし…
ここへは、仕事で来た、ということですね。今回が初仕事、だったりするのですが」
「創られ、た?」
どういう意味なのかしら?不思議顔して彼に問い掛けると
彼は頬をポリポリと掻く仕草をすると、やがて言い直した。
「生まれたばかり、ということですねー」
「え?!生まれたばかり、なのですか?私より年上そうに見えるのですけれど…」瞳全開で、彼をまじまじと見やる。
彼はやや居心地悪そうに小さく肩を竦めたが
「僕、魔族ですから。見た目はあまり関係ないんですね」
「魔族、ですか?あぁ、火竜王様とは反対勢力である魔王に仕えている方なのですね。初めてお会いします。よろしくお願いします」
「えーっと、フィリアさん、でしたっけ?火竜王様の巫女?ご丁寧にどうも、こちらこそよろしくお願いしますぅ」
お互いにニコニコと…本来なら、そんな和んでいるような関係ではないはずであるが互いにまだ何にも染まらない、純真無垢な者だったのだろう。
口調こそ大人びてはいるが世界の在り様を良くは知らない幼い巫女見習いと、同じく生まれて日の浅い魔族の青年と…
「仕事、とおっしゃいましたよね?一体どのような仕事なのですか?」
目の前の魔族の青年のことが知りたくて―
少しでも長く一緒にいたい気がして―
声弾ませて、問い掛ける。
「それなんですけれどもねー」
彼は真面目に答えてくれた。
しゃがんで私と同じ目の高さで
「“運命を見つけて、それを持ってこい”と言うんですよ、獣王様は…“運命”なんて。そんな抽象的なもの、形のないものを―もし、仮にですよ、ソレを見つけたとして、どうやってソレを獣王様のところまで持っていけばいいんです?!あの方は本当に無茶苦茶で、アバウトな方なんです。僕の名前の付け方にしたって…」
後半はなにやら、愚痴っぽくなってきていたが…
「…何だかよくわからないですけれど、でも、あなたの名前は決してアバウトなものでもないと思いますけれど?ゼロス、良い名前じゃないですか?ゼロ、無に通じる―多分あなた方の在り様に通じる意味があると思うのですが?」
何となく思いついたことだったのだが…
この時の私は、魔族というものの存在を理解していたわけではなかったけれど…
全てを無に帰す、滅びを望むものと―
彼は、不思議なものを見るような瞳で私を見つめそして一言
「見つけました」
呟き、私を抱きかかえ
「少し僕と付き合ってくれませんか?」
「え?!」
「フィリアさんが、僕の運命です」
ニッコリと笑って、私を連れて―時空のゆがみを抜け、魔界へと連れていく。



これだけ打つのにも疲れております。しっかり三十分以上かかっているし。でも、区切りのいいところはとりあえずここかな?なので。たぶん、あと、2回くらいで打ち終わる、はず、なんですけど。ふー…

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7758封印せられし真実は…  3紫条 藤夜 E-mail 9/9-13:17
記事番号7607へのコメント

「…で、このお嬢ちゃんは一体何?ゼロス、わたしはね、“運命を見つけて、それを持ってこい”と言ったわよね?」
「はい、そう仰いました」
「決して幼女を誘拐してこい、とは言わなかったはずだけど?
お前…ロリコン?!」
「いえそういうわけじゃないです。ですが、彼女、フィリアさんを見て感じたんです。彼女が僕の運命だと―」
決して怯まない、真っ直ぐな視線で獣王に進言する。
彼女は少々イライラと
「…そういうのをね、ロリコンって言うのよ!全くもう、力入れて創ったはずなのに―どこかしら抜けているんだからっ!」
「ゼロスを叱らないで下さい!」
目の前の玉座に座る獣王に、威風堂々とした女帝に物怖じせずに言い放つ。
獣王は、私の全てを見透かそうかという風にその鋭い視線を私に突き刺す。
「ねぇ、お嬢ちゃん。わたしがどんなものか、わかる?」
「ゼロスの上司、ですよね?」
簡潔な一言。
「いや、確かにそうだけど、ね…」
彼女は額に手を当ててしばらく考え込む。
…何だか、やりにくいわぁ。
「ゼロスのこと、叱らないで下さい。“運命”なんて難しいもの、初仕事で探させるなんて酷ですよ。それには決まった形などなくって、手に取ってみせることなど本来叶わないものだと私は思います。“運命”とは、“未来”と似たようなものですよね?」
「…そうね。お嬢ちゃんは、コレにお嬢ちゃんの“未来”を預ける気にはなれるかしら?」
全身に纏う闇の気配、鋭い獣の瞳。
「わかりません。私はいずれ火竜王様の巫女になる身ですから…」
火竜王の巫女―ピクリと獣王の眉が動いた。
「フーン…火竜王の巫女、ねぇ。そう、わかったわ。ゼロス、このお嬢ちゃんをもとの場所に帰しておいで。今回の任務は取り敢えずこのお嬢ちゃんで及第点をあげる。ホラ、ちゃっちゃと行っといで!」
私達を強引に追い立てるようにパックリと開いた時空の穴にぽポイと放り投げる。
「きゃぁ〜!」
「本当に、獣王様ってば無茶苦茶なんですからぁ」
遠くに声を聞きながら、彼女はパパンと手を叩いて一つクスリと微笑みを浮かべる。
「ゼロス、お前の連れてきた“運命”は、正解よ。アレは“運命の輪を回す者”」
コレで時は―定まったかもしれない。
それとも…今はまだ始まったばかり、と言うべきなのかしら?


祝!ようやくインターネットを自宅で出来るようになりました。
設定するのに四苦八苦…凄まじい時間をかけて、です。
私、とことん機械類と相性が悪いかもしれない。
このお話は後一回で終わり、ですけど。
何だかすごい長い道のりのような気がします。


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7780封印せられし真実は…  4紫条 藤夜 E-mail 9/10-18:56
記事番号7607へのコメント

時は瞬くに、幼かった可愛らしい少女を
やがては一人の美しい女性に変えていく。
黄金の髪、青い瞳の火竜王の巫女。
―ねぇ、知っていますか?
巫女の本当の役割。
…彼女からの告白を聞いて、互いの想い確認しあって
ただ、一夜限りの夢―
それが罪であるとあんな酷い…
「…フィリアが、殺されて、しまいました。どうして、彼女があんな目に遭わなければならないのですか?!」
「そりゃあ、お前と寝たから、でしょう?お前はね、神にケンカ売ったのよ?自分の力も顧みずにね。
神だって面白くないでしょうよ。自分がモノにする前に、自分より力の劣った魔族なんかに、女寝取られてはね」
「!」
「どう、悔しいかしら?ゼロス?」
獣の瞳に妖しい光を湛えている。半ば、挑発するような声。
「悔しいです、獣王様。僕に神にさえ対抗しうるより大きな力さえあれば…フィリアは殺されるようなことなんてなかったはずですよね。むざむざと愚かな竜達になど殺されてしまうことはなかったはず―」
俯き唇をかみしめて、絞り出すような声で
「力、与えてあげようか、ゼロス?お前の望む神にさえ対抗しうるより大きな力を―」
「え?!」
顔を上げると、艶やかな笑みを浮かべた女の貌。
「お前は、力を得たら一体どうするのかしら?」
問い掛ける女帝。
「僕からフィリアを奪った火竜王に、愚かな竜達に―報復を!」その答えを聞き、満足そうに頷く獣王。
「良いわね。思う存分その力をふるうとよいわ。お前の名は後世にまで、竜族に魔族の恐ろしさを刻みつけてこう呼ばれるでしょうよ。“悪魔の中の悪魔、獣神官ゼロス”とね」
微笑みを浮かべたまま
「おいで、ゼロス。これは一つの通過儀式、
獣神官になるための―獣になる、血の契約」
「獣王さ―」
言葉は途中で遮られる、唇をもって。
獣になる、血の契約―
こうして僕は獣神官になりました。
神にさえ対抗しうる力を得て
獣神官の力をもって、
火竜王の司る力と同じ烈火をもって、愚かな竜達を葬り去ったのです。
『疾く、暗き死の国へ行くがいい!!』
―これが降魔戦争における竜族壊滅の真実。
降魔戦争以降の歴史は周知の通り。
僕は時折獣王様の閨での呟きを思い出す―
獣はね―竜に焦がれてしまうものなの。
竜は、天に住まう
光に属すもの。
闇に魅せられて地に堕ちたバカもいるけどね。
だけど見ていなさい、あのバカきっとそのうちに
わたし達を裏切るわ―
わたしは、知っているもの。
魔竜王はね、光に還りたがっているのよ。
“生”を望んでいるの。
だから、ね、あのバカが反旗を翻したら
その時はこのわたし―
獣王ゼラス・メタリオムが
魔竜王ガーヴに
とどめを刺してあげるわよ―
実際彼にとどめを刺したのは、冥王フィブリゾであったりして、
実は胸中穏やかではなかった獣王様であったが、
その冥王が一人の人間に降臨せし金色の母によって、滅せられたと聞いた時手を叩いて喜んだものだ。
全て世は―お母様の大いなる御意志の下にある!



やっとこさ、コレで終わりになります。
ゼロ×フィリでゼラ×ゼロ、なんて強引な力ワザ(笑)。
でも、その当時書いてみたいと思って書いた話だったです。
私の中のゼロ×フィリは、コレが根底にあるので。
こーゆーの、あっても、良くないでしょうか?