◆−黒き夢に魅せられし者1−CANARU(8/28-22:59)No.7656
 ┣宿命の花冠−CANARU(8/28-23:02)No.7657
 ┣偽りの狂乱編−CANARU(8/28-23:05)No.7658
 ┃┗格調高いぞ!−P.I(8/29-01:55)No.7659
 ┃ ┗有り難うございますー!!−CANARU(8/29-14:42)No.7664
 ┣迷夢なりし喜劇−CANARU(8/30-15:51)No.7665
 ┣暗黒の策略−CANARU(8/30-15:54)No.7666
 ┗終焉の光り−CANARU(8/30-15:57)No.7667
  ┗怒濤のはっぴーえんど♪−P.I(8/31-00:19)No.7668
   ┗有り難うございましたー!!−CANARU(8/31-10:42)No.7669


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7656黒き夢に魅せられし者1CANARU 8/28-22:59


ども。お久しぶりです。前回よりLINA改めCANARUです。
ガウリナ中世ハムレット編(リナハムレット&ガウリイオフィーリア)
書いてみました。まだ途中ですが宜しかったらご覧下さい!!


「亡霊・・ですって・・・?」
黒い喪服をまとった王女・・・リナにアメリア、キャナル、ミリィの面々が言ってきた言葉を王女リナはリピートする。
「ええ・・・。で・・・。それがね・・・・。」
今から一ヶ月ほど前のこと。
リナの父、すなわちデンマーク王が没した。
暗殺か、自殺か。
様々な憶測がとびかうなか、王の弟、すなわちリナの叔父に当たるスター・ゲイザーが王に即位したのだが・・・・・・。
「父上の・・・亡霊・・・・。」
呆気にとられたようにリナは呟いた。
「常勝将軍殿には・・・その事は言ったの?」
「ケインにはまだ言っては居ないわ。」
リナの質問にキャナルが答える。
「アタシじゃ無くて彼を通すのがスジだと思うんだけれども・・?」
リナの一言に今度はアメリアが嬉しそうに言う。
「常勝将軍・・・ケインさんの兄上。ガウリイさんが今日フランスから帰国するんです!!」
ガウリイ・・・・・・。
常勝将軍ケインの兄にして彼もまた対ノルウェイ戦でノルウェイ王子レイルを負かした武人である・・・・・・。
「へえ・・・。何年ぶりかしら・・・?」
黒いベールの下からリナは微かに微笑んだ。



「本気で・・・。亡霊を見に行くんですか・・・?」
気の進まない口調でリナにゼロスが聞いてくる。
コイツは図書館司書なんていう仕事をしているためか妙に王宮について詳しい。
なんなら駆り出さないテは無い。
「怖いの・・・?」
嫌みたらしくリナはゼロスに聞く。
「いえね・・・。そーゆー訳じゃないんですけれども・・・。仮に、ですよ。リナさん。アナタには何らかのしなくちゃいけないこと・・・なーんか背負わされるかもしれないんですよ?」
ゼロスの一言にリナはマトモに怪訝な顔をする。
「と・・・。言いますと?」
「新国王陛下のお呼びです。ついでにいえば・・。お后様もね。」
「そう。」
何時になくイヤそう・・・と言うよりも厳しい顔つきになるリナ。
「母上が・・・。あーんな男と再婚するなんて思わなかった。」
ボソっとリナは呟く。
自分の母親にして今は叔父の妻。
所詮女なんて権力のある方へある方へと流されていくのが常なんだろうか・・・?
まあ・・・。別にどうでもいいけれど。
「じゃ。いってらっしゃい。僕はあの人苦手ですから。」
叔父の事だろう。
「じゃーね。ゼロス。それまでアニスのおもりでもしててねー!!」
これまたゼロスの苦手なモノの代名詞を出す・・・・。
アメリアに連れてこられるアニス。
「ばーか!!生ゴミゼロス!!!!!」
ゼロスの顔を見る成り泣き出すアニス・・・・・。
「ちょ・・・一寸!!リナさん!!」
「泣かせるんじゃ無いわよー!!ンな事したらお兄さまの常勝将軍殿。ケイン=ブルーリバー卿が怒るわよー!!」
酷い一言を残して去っていくリナ・・・。
「け・・・ケイン卿・・・・・。」
またまた苦手なモノの代名詞攻撃を受けて完全に沈黙するゼロス・・・。
そこに輝く一条の光刃!!!
「てえええんんめええええええええええ!!!!!アニスを泣かせやがったなあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
ブラウンの髪の毛に菖蒲の花のように紫かかった青い瞳・・・。
一寸女性的な端正な顔立ちに180は越える長身・・・・。
そして何より・・・。
いまいちセンスを疑う今時の流行より後れたデザインのマント・・・・。
何よりも・・・・。
兄のガウリイとかけ離れたこの死ぬほど短気な性格!!
「け・・・・け・・・け・・・ケインさん・・・・。」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!!!」
この後・・・・。
ゼロスがどーなったか・・・。知る人は多分居ない・・・・・。



「あーあ・・・。イヤだな・・・。」
王の玉座のある部屋に向かいつつリナがボソリとボヤく。
「一寸!!スマン!!其処の人!!」
唐突に声をかけられてリナは危うくコケそーになる。
「な・・・?」
見知らぬ人・・・?
うんう・・・。
どっかで見たことはある・・・・・・。
「王の玉座のある部屋はどこなんだ・・・?」
俗に言うところの「タメ口」。
リナのことを完全に「王女」とは思わないで侍女か何かと勘違いしているご様子。
まあ・・・。
こんな恰好じゃ仕方がないか・・・・。
けれども。
このタメ口。どっかで聞いたことあるような・・・・・???
「今から行くところよ。一緒に来る?」
いちいち「王女」と言うのも面倒くさいのでリナは青年にそう告げる。
完全にフランス風の優雅な着こなし。
腰の剣がどことなーく常勝将軍、ケインのモノに似ているのは同じメーカーの製品だからだろうか・・・?
真っ青な瞳はケインの紫かかったそれにくらべて混じり気が無い。
「アナタは・・・?」
「う・・・。俺か?そっか・・・。忘れられちまったか・・・?」
何やら後半は独り言のように金髪の青年は言う。
「常勝将軍殿・・・ケインなら覚えているとおもうけど・・・・?」
アイツ、兄のガウリイと違って記憶力だけは素晴らしいから。
「そりゃまあ・・。弟に忘れられちゃ困るな。」
言って青年・・・いや。ガウリイは苦笑する・・・。
「はへ・・・???」
つーこたあ・・・・・。
この人・・・・・。
「『くらげのがうりいいいいいい!!!!!!???』なの!!あんた!!」
唐突な展開にリナは思わず慌てる・・・・。
「はへ・・・?俺はガウリイだけどって・・そのあだ名を知ってるのは・・・。えっと・・・・。ケインとキャナルとゼルとゼロスとミリィとアメリアとアニスと・・・あ・・・。そうそう、・・・あと一人・・・。誰だっけ・・・???」
問答無用でリナのスリッパ攻撃がガウリイの前頭葉に炸裂したのはそれから12秒後のことだった・・・・・・・。
「おお!!思い出した!!リナだ!!この国のじゃじゃ馬王女!!リナ!!オマエだ!!」
やおら嬉しそうな声を上げるガウリイ。
「よーやっと思い出してくれたようね・・・。」
言ってリナは苦笑する。
「まーな・・・。すっかりかわっちまったし・・・。でも・・・。その恰好どーしたんだ・・・?」
リナのベール越しに顔を眺めガウリイは喪服の理由を問う。
「父上が・・・・。没されたのよ・・・。様々な憶測が飛び交ってるけれども・・・。」
断固とアタシは暗殺だと思う・・・・・・・。
初めてリナは胸中を人にうち明けたのだった・・・・。

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7657宿命の花冠CANARU 8/28-23:02
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黒き夢に魅せられし者2・・・(宿命の花冠編)



「リナ・・・。」
「し!!」
ガウリイの言葉をリナは制する。
「しかし・・・。帰ってきた早々厄介なことになっちまったな・・・。兄じゃよ。」
ケインがガウリイに言う。
「リナが困ってるんだ・・・。騎士としてほっとけないだろ?」
騎士として・・・ねえ・・・。
兄の一言にさしものケインも苦笑する。
「亡霊はまだ出ないのか?」
ガウリイが今度はケインにとう。
「ああ・・。今アメリアとゼルが東の方を、ミリィとキャナルが北の方を、ゼロスが単体で西の方を探している。」
かくいうリナ達三人がいる場所はその中央。
まあ・・・。
人員不足に尽き(と言うか怖がるヤツが多かったので)南の方向は手薄と言うわけである。と・・・。
その時だった・・・。
「リナ!!」
「ミリィとキャナルの方ね!!ゼル、アメリア!!」
偶然駆けつけた二人も呼び寄せダッシュをかけるリナ。
「ねえ・・・。アレ・・・・。」
現場について開口一番にミリィが言う。
「・・・・・・・・。あれって・・・。」
生前のように鎧を身にまといい、完全武装した父王の姿・・・。
「リナ。どうするつもりだ・・・?」
ゼルの問いかけを無視してそちらに歩いていくリナ。
「ガウリイ・・・・。お願い。みんなとテラスで待っていて・・・。」
「リナ・・・・・??」
「お願い・・・。」
「・・・・・・。わかった・・・。」
その一言を合図に引いていくガウリイ達。
「父上・・・・。」
恭しくリナは膝を曲げて頭を垂れる・・・・。
『リナ・・・・。今でも私の為に忠節を尽くしてくれるか・・・?』
地の底から聞こえてくるような声。
「父上のお望みとあらば。何を望まれるのです?父上・・・。」
『卑劣なる殺人を・・・。余をこのような姿に至らしめ・・・・なおかつ今まさにその頭に王冠を抱くモノを・・・・。殺せ・・・。』
「私に・・・。復讐をしろ・・・と・・・??」
やはり。
あの叔父が父王を・・・・・・。
『いつものごとく午睡を余がとっておった時であった・・・・。』
「ゼロスが言っておりました。もしかしたら・・・。父上は耳から毒を流し込まれて暗殺されたのでは無いのか・・・と・・・。」
公式発表では国王の死因は毒蛇にかまれたこととされている。
『誓うか・・・?』
「誓います・・・。命に代えても・・・・。」
復讐を・・・・・・・・・・・。
『ただし・・・。そなたの母には決して手出しをするのではないぞ・・・。裁きを天に委ねるのだ・・・。良いな?』
「御意に・・・。」
朝日が射し込み亡霊の残像は消える。
「リナ!!」
待ちきれなくなったのであろうか?
それとも立ち聞きしていたのであろうか?
テラスで待っているはずのガウリイが後方に佇む。
「聞いていたの?」
無感情にリナは聞く。
「ああ・・・。」
やおらその一言にリナはガウリイに大股で近づき、その腰の剣を一瞬の隙をついて奪い取る。
「この剣にかけて誓いなさい!!今のことは・・。一切他言無用だって!!」
剣の重量感に両方の腕が悲鳴を上げる。
が、リナはなおもガウリイの首筋に剣先をつきつける。
ガウリイほどの力量があればそんなものはいとも簡単に払いのけることがれきるだろう。
が、彼はあえてであろう。そうはしない。
「リナ・・・。分かったよ・・・。」
「誓って!!」
なおも剣を喉元に押しつけてリナはガウリイに言う。
「誓う。俺の剣にかけても・・。オマエ自身にも誓う。」
その一言に安心し、ようやくリナは剣をおろす・・・。
「そう・・・・。有り難う・・・・。」
この全身からあふれる汗は・・・・?
触ったこともない剣を、よりにもよって英雄ガウリイに突きつける、といったプレッシャーからだけではないだろう・・・。


「リナ!!」
「リナさん!!」
今度こそ本当に待ちきれなくなった類の連中だろう。
ぞくぞくとテラスの方から此方の方に向かってくる。
「何があったんです・・・?」
のーんびりした口調でゼロスが聞いてくる。
「ああ・・・。えーっと・・・。」
こーゆーのはやはり苦手らしいガウリイ。
「大丈夫よ・・・・。」
それとは対照的に隠し立てをするわけでも無いような口調でリナ。
「大丈夫って・・・・??」
訳が分からないと言った様子でゼル。
「大丈夫よ・・・。ただね・・・。何の因果か・・・。この世の道理の間接がちょっとばっかし歪んでしまったようなのよね・・・。そして・・・。」
いったん言葉を切ってリナは遠い目をする・・・。
「それを・・・。はたまた何の因果か・。アタシが治さなければいけなくなった・・。
ソレだけの事よ・・・・・。」



ケインが国王に呼び出されたのはそれから数日後のことだった。
「リナ王女の様子がおかしい・・?ですか・・・?」
「ええ・・・。あの子・・・。何か思い詰めた事でもあるんじゃないのかしら・・?」
リナの実母にして王妃が囁く。
あるとすりゃあ・・・。
おめーらが何をやらかすか、って事くらいだろ・・・?
その言葉をケインは辛うじて飲み込む。
此処は一つ。先手を打った方が良いか・・・?
「兄とリナ王女の恋仲は周知のことでしょう?もっとも・・・。兄には警告しています。あのお方とは身分が違う。取り返しなつかないことをするなとね。」
もっともコレはあくまでも外聞場の警告。
実際にそんなこと聞くような兄のガウリイではない。
最悪、国家を敵に回してでもリナと逃走するだろう。
もっともケインとしても一応ながら(とはいえ形式的だけだが)警告はしている。
それで罰せられもしなければ二人も幸せになるしだーれも困るヤツはいない・・・。
それなら何やったて別にいいだろうと言うのが彼の持論である。
まあ・・。
あるいみ国王夫妻にとっては良い迷惑だろうが・・・・。
「そう・・・。それだけなら良いのですが・・・。」
恋煩いねえ・・・・・。
リナはそーゆータイプには見えないと正直思ったりもするケインだが・・・。
「まあよい。試してみれば分かることだ。」
スターゲイザー国王の一言で全てが決定される。
そして。
ケインが現況であるガウリイを呼びに行かされたのはそれからスグのことだった・・。

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7658偽りの狂乱編CANARU 8/28-23:05
記事番号7656へのコメント

黒き夢に魅せられし者3(偽りの狂乱編)


「リナ。元気か?」
ガウリイを様子のおかしいリナに仕掛ける前にスターゲイザー自身がリナに声をかける。
「ええ・・・。元気も元気。カメレオンよろしくよ。空約束でお腹の空腹がはちきれそうよ。」
意味もなく廊下をうろつき本なんかを読んでいたりする。
「リナさん!!」
慌ててアメリアがリナを引っ張る。
このところおかしな行動をリナが取ることは皆の頭痛の種となっていた。
「まあ・・・。少なくとも・・・・。原因は・・・。」
ゼルの一言に沈痛な面もちでキャナル。
「うん・・・。アレでしょうね・・・?」
言わずとしれたガウリイ・・・・。
少なくとも彼等の目にはそう見えていた。
「アレって・・?何のこと?」
唐突にリナが一同に聞く。
「アナタの奇行ですよ。リナさん・・・。」
あの時の幽霊見物をただ一人制止した人物、ゼロスが顔をしかめながら言う。
ソレ見たことかと言わんばかりの口調である。
「はへ?アタシの奇行?」
面白そうに言ってリナは再度本に目を落とす。
「そもそも・・・。気鬱の原因は何だ?」
「さーあ。強いて言うなら・・・。前国王の崩御と・・・。お后様の早すぎる婚儀じゃないかしら・・・?」
嫌みたらしくリナは言う。
「リナ。疲れているのですね?早く中に入りなさい。」
「自分の墓穴に・・ですか?」
母后の言葉にもリナは聞く耳を持たない。
もっとも・・・。
これが彼女の計略であることは言うまでもないのだが・・・。
「狂気とは言え一応のスジは通ってるな・・・。」
下らないことに感心するゼル。
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ?ゼルガディスさん。王様、お后様・・。一旦お部屋に戻られたらいかがですか?」
アメリアの一言に頷く二人。
「では。リナ。一応おいとまを戴きますよ?」
母后の一言にリナはピンと片方の眉を上げて答える。
「ええ・・。結構よ。さっきから思っていたんだけれども・・・・。あなた達に喜んであげたいと思っていたモノはその『おいとま』くらいなモノなのよね。」
言ってリナはプイと横を向く。
「まあ・・・。確かに筋は通ってるわね・・・。」
今度はミリィが感心するのだった・・・・。



「ガウリイさんを・・仕掛けるですか・・・?」
ゼロスが苦手なモノの代名詞・・・もとい。ケインの付き添いを命じられてガウリイとリナを偶然かのように廊下で会わせる立て役者となっていた。
「ま・・・。リナの狂気の原因は・・・。ガウリイ兄貴が一番良く知ってるんだろうがな・・・。」
言ってケインは柱の影に身を隠す。
「リナ。」
ケインに呼び出されたはずなのにその姿は何処にも見当たらない。
そして其処にいるのはリナだったりする。
「ああ・・。ガウリイ。」
ここの所様子がおかしいとはいた。
「どうしたんだ・・?一体・・・?」
言い終わるか言い終わらないかのうちだった・・・・・・。
やおらリナが抱え持っていた剣を抜き放ちそれをガウリイに突きつける。
「リナ・・・・??」
こんな事は二回目である・・・・・。
「いい?コレは毒の塗り込められた剣なのよ。で・・・・。」
胸元のベネツィア・ガラス製品のクリスタルのペンダントを片手で軽くリナは持ち上げてみる。
「これも・・・。同じくね。」
「何がいいたい・・・??」
「あの時言ったでしょう・・・・??」
つまり・・・?
これらの道具が運命を左右すると言うことなのであろうか・・・・。
「分かった・・・・・。」
呟いてガウリイはそっとリナの手を取って剣をおろさせる。
「行くわ。」
そうとだけ言ってリナはガウリイの前から姿を消す。


「どういうことなんだ・・・?」
ケインがガウリイに問いかける。
「今日、リナの呼んだ道化芝居が来る。その余興だ。」
リナの決意をケイン達もそこで知り得るだろう。
ガウリイはそう予感した・・・。



「何でこうなったのかしらね・・・。」
未だ一人中庭でリナは呟く。
否が応でもその額からは汗が流れ出る。
「一つ疑問があるんだが・・・。良いか?」
唐突に後方からかけられる声。
大方の予想はついている。
「ガウリイ・・・・。」
その人物の名前をリナは振り向きながら呼びかける。
「死ぬきか・・・?」
単刀直入にガウリイはリナに問いかける。
「・・・・・・・・。」
復讐のためなら命を賭してでも・・・・・・・・。
そう誓ったこのだ・・・・。
従ってリナは何も答えることが出来ない。
「先ほど母上に会ったわ・・・・。思いっきり問いつめてやった。何故前王・・・。父上を裏切ったのかってね・・・。まだ泣きはらした瞳の涙がかわきもしないうちに・・・。あんな叔父と・・・。って・・ね・・。けれども。泣きはらすだけで何も答えてくれやしなかった。もし・・。もしもよ。アタシが男で今とまったくおなじ境遇にあったとするわよ?恋人に・・・。何て言うとおもう?」
「どういう意味だ・・・・?」
「アタシは・・・。多分言うことは一つ。その女性を散々侮辱して・・・。最後のは『尼寺へ行け!!』と一言言ってやると思うの。」
「・・・・その女性を・・・。巻き込まないようにするためか?」
「分からない・・・。女というモノを憎くてそう言うのか・・・。ガウリイの言う通りなのか・・・。」
言ってリナはしばらく呆然とする。
「To be or not to be 」と悩み・・・。
それでいて「Let be」と死への運命に赴くつもりなのか・・・?
が・・・・。
あえてガウリイはそのこと自体を詮索するつもりにはなれなかった・・・。
「何の『因果』か。この世のねじれた間接を元に戻すことを『押しつけられた』だけなんだろ?」
リナの方を直視しながらガウリイが言う。
木漏れ日が眩しい・・・。
「ガウリイ・・・・?」
「こーなったら・・。地獄の其処までつきあってやるぜ!!」
言って座り込んでいたリナを抱き起こす・・・。
「ちょ!!」
「だから・・・。それ以上悩むなよ・・・。」
「まさか・・?どうぞあの世で幸せに・・・なんて言うんじゃないでしょうね?」
ようやく笑ったリナにガウリイは頭を振るのだった・・・。

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7659格調高いぞ!P.I E-mail 8/29-01:55
記事番号7658へのコメント

CANARU様
ここでは初めましてですね。P.Iと申します。
以前某サイトで選定侯のお話を読ませていただいたことがあります。
ガウリイオフィーリア、かっこいいですね(^^)でもまさか原作
みたいに途中で・・・なんてことありませんよね?いや、それを
言うならリナハムレットだって・・・。
お得意の中世モノ。シェイクスピアをガウリナでどのように料理さ
れるのかとても楽しみです♪でもできれば悲劇は避けていただける
と嬉しいのですが。
とにかく続きを楽しみに待ってます。それでは。

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7664有り難うございますー!!CANARU 8/29-14:42
記事番号7659へのコメント


>
>CANARU様
>ここでは初めましてですね。P.Iと申します。
>以前某サイトで選定侯のお話を読ませていただいたことがあります。
有り難うございますー!!
アタシもドイツの話は大好きですー!!
>ガウリイオフィーリア、かっこいいですね(^^)でもまさか原作
>みたいに途中で・・・なんてことありませんよね?いや、それを
>言うならリナハムレットだって・・・。
たはは・・・(汗)
リナハムレットは前々から企画していたんですー!!
しかしなかなか機会が無くて・・・。
>お得意の中世モノ。シェイクスピアをガウリナでどのように料理さ
>れるのかとても楽しみです♪でもできれば悲劇は避けていただける
>と嬉しいのですが。
悲劇は苦手なのでまず大丈夫です!!(断言!!)
>とにかく続きを楽しみに待ってます。それでは。
出来るだけ早く書きますねー!!

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7665迷夢なりし喜劇CANARU 8/30-15:51
記事番号7656へのコメント

黒き夢に魅せられし者4

迷夢なりし喜劇編

「なあ・・・。リナ・・・。」
北の塔に居るというのに本丸から聞こえてくる馬鹿でかいラッパの音にガウリイはあきれ果てたようにリナに聞いてくる。
「そっか・・・。ガウリイさんは帰ってきたばかりだから知らないんですね。」
アメリアが少し考えたように言う。
「まーね・・・。その方が幸せだろうけど。」
リナの一言に尤もだ、と言うようにゼルが頷く。
「だから・・・。一体何なんだよ・・・。あれ・・・。」
眠りかけたアニスまでもがビックリしたように大きく目を見開いてしまったあの騒音。
「この国の国王の饗宴だよ。王様が酒を一気に飲み干せばそのたびに祝砲よろしくラッパの演奏ときたものだ。」
ケインが吐き捨てるように説明する。
「あの風習に従うくらいなら・・・。自殺した方がマシね。」
アニスの頭を触りながらリナが覆い被せて言う。
「どーでも良いけれども・・・。これからどうするの?リナ。何時までも気が触れたフリなんてしてたってしょうがないでしょう?アナタが何を企んでいるのかは知らないけれど・・・。」
ミリィの一言にリナは「うーん・・・。」
と言う。
「うーん・・・。じゃ答えになってない。」
キャナルがせかす。
「明日・・・・。此処に役者達が来るわ。アタシが依頼しといたの。」
「役者?」
リナの言葉にゼルが怪訝そうに聞く。
「そ。ま・・・。最も・・・。最近の重臣と来たら道化の小唄か・・・。さもなきゃ卑猥かかった小話ででもなきゅあ眠っちゃうヤツが多いでしょうけれどもね。」
「事実とは言え・・・。スッゲー皮肉・・・。」
ケインが単刀直入に言うリナをジチ目でだが感心したようにみやる。
「そっか・・・・。役者かあ・・・。俺は個人的にピュラスの英雄談が好きだな・・。」
ガウリイがそっと回想するように言う。
ピュラスとは古代の英雄物語・・・強いて言えばアメリアの大好きなヒロイック・サーガの主人公である。
「けれども・・・。アタシは・・・。英雄ピュラスに殺される敵国トロイの老王・・・。 プリマスの妻、ヘキュバ王妃の章の方が好きだな・・・。」
珍しくアメリアがヒロイック・サーガに登場する「女性」についての感想を述べる。
「泣けるからか?」
ゼルの問いに一寸恥ずかしそうに頷くアメリア。



「リナ・・・??」
一同が塔の一室から去ったその後。
が、リナは未だに残っている・・・・。
「ガウリイ・・・・。役者が何なのよ・・・。」
明日の作戦のことだろうか・・・・??
リナはあくまでも父王の復讐をすると心に誓っている。
が、今のリナには困惑以外の何も感じられない。
「役者がなんだって言うのよ?第一・・・。その役者とやらが今のアタシと同じ立場を演じて・・・。同じ言葉を発して・・・・。そんな事が出来るとでも言うの?」
「リナ・・・・??」
「淫売よろしく口先ばっかり!!安っぽい想いを口にして・・・・。ただ怒鳴り散らすばっかりじゃないの!!」
混乱しているのかもしれない・・・・。
「落ち着け!!リナ・・・・。」
あわててリナをガウリイは落ち着かせる。
「分からないのよ・・・。どうすればいいか・・・。ただただゾロゾロと流されるばっかりで・・・。」
「分かっている。誰だって復讐だなんて事・・・。」
望みやしない・・・・・。
「大丈夫だ・・・。」
絶対に最後まで俺がついていてやる。
それしか出来ることは何もないけれども・・・・。



「役者が来る、ですって・・・??」
「毎年恒例の行事を三ヶ月ばかり繰り上げただけよ。文句無いでしょう?だ、そーです。」
リナの伝言を国王と母王妃に伝えるキャナル。
「まあ・・・。ソレでリナが元気になるというのならば・・・。」
王妃の承諾は直ちにおりた。


「劇にね。この部分を付け足して欲しいのよ。脚本はアタシが書いたものだけど・・・。数学は苦手だけれども文章には自信あるわ。差し障り無いかしら?」
一座の座長にリナが脚本を手渡す。
「なるほど・・・。なかなかなものです。何かの伝説でもお手本に・・・??」
「・・・・・。まあ・・・。伝説になるかどうかはわからないけれども・・・。」
言ってリナは苦笑する。


「いらっしゃい。リナ。此方へ。」
「いいえ。母上。こっちにもっと強い磁石が。」
大広間に入室したリナに王妃が隣に座るように勧めるが、リナはアッサリとかわしてガウリイの隣に腰掛ける。
「よ。」
軽く挨拶してくるガウリイ。
「これから劇にヤジを飛ばす予定なのよ。煩くてごめんなさいね。」
「あー・・・。大丈夫。そーでもしなけりゃ俺、寝むっちまうし。」
言ってガウリイが微笑む。


劇が始まる。
劇の中、王と王妃が入場し、それぞれ永遠の誓いの言葉を述べる。
「その言葉・・・。よもや嘘ではないでしょうね!!」
突如、朗々と響くリナのこえ。
劇の中に現れる一人の人物。
「あれは王様の弟役なのよ。」
今度は観客席に向かってリナは怒鳴り立てる。
「コーラス役のように何でも知ってるんだな・・・。」
感心した声をケインが上げる。
「リナ。この劇の名前はなんていうの?」
アニスも無邪気な問いかけにリナは意気揚々と答える。
「ん・・・。イタリアのマントーヴァって所で百年ほど昔におこった事の小話よ。ゴンザーガって悪人の王様がお兄さんを殺して王位を手に入れるって話なの。最も・・・。スネに傷を持たない人が見ても居たくも痒くもない話だと思うわ。」
その説明が終わるか終わらないかのうち・・・・。
王の弟役の役者が劇中の王を殺害し、やがて王妃も弟と再婚の約束をする。
「止めろ!!劇を止めさせろ!!」
唐突に国王がわめき立てる。
「明かりを持て!!」
「お気に召さなかったようね・・・。」
独り言かのように中断された劇の舞台を眺めながらリナは言う。
怒りながらか・・・?
それとも図星をつかれた事へ焦りか・・・?
王妃を伴いさっさと部屋から退室する国王。
「まあ・・・・。いずれ決着は付けるわ・・・。」
何時になくリナの冷徹な声が響く。


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7666暗黒の策略CANARU 8/30-15:54
記事番号7656へのコメント

黒き夢に魅せられし者5

暗黒の策略編

「どういうことですか!!」
常勝将軍、ケインが王と王妃の部屋を訪れたのはその日の午後だった。
「完全な気違いになったリナを処分するためにイギリスに送った。それがどうしたというのだ?」
処分・・・だと・・・・???
リナの見せてくれた劇で彼女の意図の大半は理解できた。
「それについても・・。意義はあります・・・。」
あえてその事に追求するつもりは無い。
有る意味これはリナの計略であり、彼女はむざむざとイギリスに行って処刑されたりはしないだろう。
むしろ・・・・。
彼女の大切な人間であり・・・・。
自分にとって兄であるガウリイを守ることが今のケインの義務であった。
「なぜ・・・・。兄を軟禁したりするのです・・・・。たかだか下らない噂のために・・・。」
あの兄が・・・・。
ガウリイがあんな噂通りの事を企むなどまず考えられない事だ。
「ならば・・・。特別の面会を許す。兄に会ってくるが良かろう。」
国王何かに言われるまでもない。
「そう致します。」
慇懃無礼な敬礼をしてケインは兄ガウリイの幽閉されている一室に向かった・・・。


「本当・・・なのか・・・?」
ガウリイは何も答えない。
「まあ・・・。言いにくいのは当然ですね。」
唐突に聞こえる知った声。
「ゼロス!!」
「う・・・・・。」
ケインに名前を呼ばれるがやはりこの場面でもゼロスにとってケインは苦手な者の代名詞と言う事実は変わらなかったらしい。
「どういう意味だ・・・・・。」
「だからー!!事実と言うことですよ!!今国中で騒いでる噂は事実、と言うことです!!」
ケインにぐいぐいと引っ張られた髪の毛をさすりながらゼロスが言う。
「じゃあ・・・。本当なのか?ガウリイ兄貴・・・。アンタが謀反を・・・。デンマークの国王になろうと企んだというのは・・・・・。」
未だガウリイは黙したまま。
「ゼロス・・・。オマエ・・・。何言った・・・・??」
大方ガウリイが何かをやらかすときは昔からこの男の入れ知恵なるものが大いなる原因を占めている・・・。
「ギク・・・・・。いやね・・・。一寸・・・・。もしもですよ?リナさんがこの復讐劇を成し遂げて・・・・。」
「おい!!オマエ!!リナがやらかそうとしていることが復讐だって事!!最初から気がついてただろおお!!!!」
なおもゼロスに食いつくケイン!!
「ひいい!!ケインさん!!だからアナタには言いたくなかったんですよ!!今回のガウリイさんの事にしても!!スグに怒るから!!」
「たりめーだ!!俺は口よりも先に手が出るんだよ!!」
「止めろ。ケイン。ソイツに・・・。ゼロスに八つ当たりしたところで・・・。どうにもならない事だ・・・。それに。俺は始末が軟禁で済んだが・・・。リナはただじゃ済まないだろう・・・・。」
「どういうことだよ・・・・?」
なおもケインには状況が読みとれない。
「だだね・・・。僕は独り言で・・・。万が一リナさんが今回の復讐劇を成し遂げてこのデンマークの女王になるとします。けれども・・・。そーしたらガウリイさんは確実的に身分違いな恋いに終わるんじゃないかな・・・と言ったまでです。事実でしょう。」
「・・・・・・。そこで・・・。兄じゃに『国王になれば』と唆した訳・・か・・。」
怒りを通り越して呆れた気分にケインはなる・・・。
「実際。国民の中には『ガウリイを国王に』と言う声もあがってますしね。」
それならケインも先ほどいやと言うほど聞いた。
「なーに・・・・。そんな先導に騙されやしないさ。」
ガウリイが言う。
「しかしな・・・・・・。」
リナは一体何を考えているのだろう。
確かに国王は好かないしリナの復讐劇の手助けはしたいと思っている。
しかし・・・・・。
この兄のことを思えば居ても経っても居られない気持ちであることは変わらない。



「リナの奸計で有ることは間違い無いだろう。」
戸惑うケインに国王は言う。
「何を・・・・・・・。」
「そなたの兄、ガウリイを利用し・・・・。この国の王位を乗っ取ろうという奸計に違いないと言うのだ。」
この言葉は言いがかりだと言うことは疑いないだろう。
処刑するためにイギリスに送ったリナが無事に帰国を果たしたのはその日の午後だった・・・。
それも王の腹心を逆に反逆者としてイギリス国王に引き渡し多額の褒美を貰ってくる始末・・・。
答えをはぐらかしたとはいえプリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)との婚約までイギリス国王に頼まれたという。
切羽詰まった国王の苦肉の策であることは明々白々。
しかし・・・・。
「何が言いたいのですか・・・?」
意に反してケインの口から出た言葉はこの一言だった。
国王に手を貸すつもりは毛頭ない。
ただ・・・・・。
兄に対するリナの真意を知りたい。
ソレだけの気持ちだった。
「リナと決着を付ける機会をケイン・・・。そなたに与えよう。」
「決着・・・・???」
手渡される一本の剣。
「毒剣・・・・・・・・。」
何時しかリナもコレと同じ品を携えていたと思った。
「勝負するが良い。」
そうとだけ言って去っていく国王。
「リナと・・・・・・。」
思えばガウリイが幽閉されたのも彼女のためだ。
ケインの中に真意とは別の感情が産まれ始めていた・・・・。



「リナさん・・・・。」
「はい?」
剣など持ったこともなかったリナがあれから人が変わったように剣術に打ち込んでいる。アメリア、ミリィ、キャナルは何とも言えない気持ちになった。
「ノルウェイの王子。レイル様がもうじき表敬訪問なさるんですって。」
キャナルがリナに伝える。
「へえ・・・・・・。」
確か。
ガウリイの率いる軍団に負けて降参を申し入れてきたあの王子か・・・。
「で、王様とお后様が今日その余興の夜会をなさるんですって。」
ミリィがリナに言う。
「そう・・・・。で・・・。ガウリイは?」
その一言に言いにくそうにアメリアが口を開く。
「未だに・・・。軟禁されたままです・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
復讐劇にはもってこいの時だとリナには直感的に分かってはいる。
が・・・・。
自分のために・・(少なくともゼロスはそうだと言っていた)幽閉されているガウリイをそのままにはしておけない・・・・。
それがリナの決断だった。


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7667終焉の光りCANARU 8/30-15:57
記事番号7656へのコメント

黒き夢に魅せられし者

終焉の光り編「あの娘も毒を持っている・・・。」
静かに言う国王の一言にケインは黙って佇む。
杯に注がれる毒薬。
「良いんですか・・・。こんな卑劣なことをして。少なくともお后様にとってはあのお方は実の娘ですよ・・・。きっと・・・。哀しまれます。」
ケインの一言に国王は嘲笑うかのような笑みを浮かべる。
「アレには黙っていればよいことだ。それに。そなたの兄を良からぬ道に先導したあの小娘を未だにかばい立てすると言うのか・・・?」
沈黙するケイン。
ガウリイにこんな事をしている自分を知られたら。
兄は恐らく殴り飛ばすだけじゃ済まさないだろう。
殺されたって文句は言えない。
が・・・・。
その兄のタメにもこの事だけはハッキリちおリナと決着をつけておきたかった。



「ガウリイを救い出す・・・だと・・・?」
ゼルの問いかけにリナは頷く。
「アタシのせいなのよ。彼が幽閉されたのは。少なくともあたしのせい・・・。」
「こんな時に・・・。ケインは何処に行ってるのよ!!」
苛立ったようにミリィが言う。
「いいの。みんな。此処にいて。ガウリイの所へは。アタシが一人で行くから。」
そうとだけ言い残し、リナは部屋を出ていく。



「本気ですか・・・。ガウリイさん・・・。」
ゼロスの呆れた口調。
「いいから。さっさとさがってろ!!怪我するぞ!!」
その手にはゼロスからの差し入れの一本の安物の短剣。
「はぁ!!」
気合いと共に牢の柵がアッサリと切断される。
「おやおや・・・・。つくずく・・。常人じゃありませんね・・・。」
「オマエにだけは言われたくない・・・。今日だな?レイル王子がこの国に訪問する日と言うのは?」
「ええ・・。ですから・・。その短剣を無理して差し入れしたんですよ。」
「そりゃどーもな。」
きっとリナが復讐を遂げるのは今日という日以外に考えられない。
「待っていろよ。リナ・・・・。」
復讐を遂行するときは側に居てやる。
そう約束したばかりなのだから・・・・・・・・・。


「其処を・・・。どいてくれない・・?ケイン・・・。」
ガウリイの軟禁されている場所にリナが行こうとした矢先の事。
突然大広間前の廊下にケインが現れ無言で剣を抜きはなったのだった。
「いいや・・・。退くわけにはいかない・・・。リナ・・・。オマエのために・・。」
ガウリイはこんな事になったのだ。
「だから!!」
問答無用で斬り掛かってくるケイン!!
流石に力量の差は否めない。
たとえ剣を抜いて戦ってもこの男にリナが勝つことは決して出来ないだろう。
「退いて!!ガウリイの所にいかなきゃいけなおのよ!!」
復讐?そんなこともうどうだっていい!!
「行ってどうしようっていうんだ?オマエの復讐のために利用しようって言うのか?」
なおもケインは剣を振るう。
とっさにリナも剣を抜き放つ。
が・・・・・。
あっさりとはじき飛ばされ手の打ちようも無い事態に陥る。
「何って言ってるのよ!!ケイン!!ガウリイの所に行かせなさいよ!!」
ケインの菫色の瞳に僅かな同様の色が産まれる。
が、断固としてその意志は変わらない。
「ふざけるんじゃないわよ!!実の兄弟が何人集まろうと・・・。こんな事するんじゃアタシのガウリイに対する想いの方が・・・。よっぽども勝ってるわ!!!」
思わずリナは絶叫する。
鈍い音とともにケインが剣を取り落とした・・・・
かのように見えた。
「ガウリイ・・・・・・・・。」
声もなく兄に横面を殴られ倒れるケイン・・・・。
「リナ・・・。済まない。ケインを許してやってくれ。」
「許す何も・・・・・。」
混乱して言葉が浮かばない。
「ガウリイ兄貴・・・・。」
辛うじて身を起こしながらケインが呻く。
「勝手な判断をするな。俺の事よりも・・・。どうしてリナを助けてやらなかった。自惚れは体外にしろ。」
怒りを含んだ声・・・・。
ガウリイ・・・。ケインを突き放しているのだろうか・・・・?
「もう良いのよ。ガウリイ、ケイン。」
ようやっとのことでリナは口を開く。
「私も・・・。ケインも悪かったわ。許し合いましょう・・・・。」
その一言に初めて微笑むケインとガウリイ。



「どーやら・・・。決着はついたみたいね。」
ミリィがひょっこりと顔を出す。
「済まない。ゼロスが静観していろと煩くてな。」
今度はゼルが口を開く。
「さあ!!悪の権化の国王を倒しに行きましょう!!」
毎度おなじみ、正義を愛するアメリア!!
「ま・・・。そーゆー事ね!!」
今度はキャナル・・・・。
「そうね・・・・。」
一同の言葉にせかされて。
リナが大広間の扉を開いたその時だった。


「貴様・・・・・・。」
王広間に姿を現したリナに一番最初に驚愕の声を漏らしたのは国王だった。
「ガウリイの無実をはらすためにあちこちを歩き回り。すっかり遅くなりました。」
嫌みたらしくリナは言う。
「ちなみに。牢屋の柵格子がボロボロになっているのはシロアリの被害のためです。」
抜け目のないことをキャナルが言う。
「まあ・・・。そうでしたの・・・。」
何も知らないのであろう。
王妃がリナ達を手招きする。
「さあ・・・。此方へいらっしゃい。リナ。一緒に乾杯をしましょう!!」
「待て!!」
国王が言いかけるか言いかけないかのその時だった・・・。
「あれは・・・・・・!!!」
ケインが驚愕の表情で何かを呟く。
「母上!!???」
「ああ!!リナ!!リナ!!お酒に・・・。お酒に毒が・・・・・!!!」
ざわめきだつ大広間。
「毒・・・。ですって・・・・・???」
后はもはや何も語らない。
「どういうことだ・・・?ケイン・・・。」
ケインが状況を知っている、と睨んでだろう。
ゼルがケインに問いかける。
「国王が・・・。万が一俺がリナをし損じた場合のために・・・。」
酒に毒を仕込んだ・・・。
それを何もしらずに王妃が飲み干したのだ・・・・。
「なんですって・・・・・。」
状況が収集がつかなくなっていることも相まみえてミリィが困惑する。
「陰謀だ!!」
大広間のざわめきを一掃したのはガウリイの朗々とした声だった。
「陰謀だ。其処にいる国王はお后が邪魔となり・・・。毒殺をしたのだ!!その下りは弟のケインがすべて目撃している!!」
呆気にとらわれる一同・・・・。
「リナ殿!!母上の敵を!!」
ケインから渡される国王自身の用意した毒剣がその張本人に向かいリナの手から振るおろされる・・・・・・。
かくして・・・・。
復讐は終わったのだ・・・・・・・・。



「リナ女王。レイル王子のお成りです。」
あれからまだ一時間も経たない。
いろいろあったがノルウェイ王子の到着を迎えないわけにはいかないのだった。
「リナ女王・・・。」
ガウリイが騎士としてリナに寄り添う。
が・・・。
リナは頭を振る。そもそも・・・。


「レイル王子!!大変です!!」
ケイン、ミリィ、アメリア、ゼル、キャナルは態とらしく大声を上げる!!
「ん・・・。オマエは確か・・・。あのガウリイの弟の常勝将軍のケインとか言ったな・・?」
にこやかな笑み・・・。相変わらずこの男は苦手だ・・・とケインは思う。
「で・・・?リナ殿はどうなされた?つい今し方女王に就任なされた・・と聞いたが・・。」
そこでケインは沈痛な面もちをする・・・・。
「レイルデンマーク国王陛下・・。万歳!!」
「レイルデンマーク国王陛下!!万歳!!」
「は・・・・・・・?????」
呆気にとらわれた顔をするレイル・・・・。
「遅効性の毒薬で。リナ女王は・・・。兄のガウリイ共々先ほど崩御なされました・・・。従って・・・。この国は・・・。血縁によりあなた様の国です。陛下。」
相変わらずの抜け目のない口調でキャナル・・・。
「え・・・・・???」
いまだ事態を把握していないレイルを残して部屋から去る一同・・・。


「まったく・・・。リナさんとガウリイさんのワガママにも呆れたものですね!!」
そうは言いつつも一寸楽しそうなアメリア。
「まあな・・・。」
中庭を睦まじく歩く何処にでも居そうな変哲もない金髪の騎士とその奥方であろう栗色の髪の毛の娘。それを見ながらゼルも頷く。
「ほーら!!ガウリイ!!今日はレイル国王陛下にお目見えよ!!」
「うーん・・・。緊張するな。リナ。」

「あのう・・・・。生きていらっしゃるよーんば気がするんですけれども・・・。ガウリイ将軍とリナ女王は・・・・・・?」
煮え切らない表情でレイルが聞く。
「他人のそら似、です!!」
相も変わらずむちゃくちゃな口調でキャナル。
「いちいち細かいことばかり気にしてますと!!ハゲますよ!!陛下!!」
容赦ないことをミリィまで言う・・・。
「やれやれ・・・。」
親友の金髪の騎士と奥方の栗色の髪の毛の娘の後ろに従い・・・。
常勝将軍ケインは満足そうに困惑する国王陛下を眺めた。

「有り難う・・。ガウリイ・・・。」
「おまえこそ、な。ありがとう。リナ・・・。」
その言葉が誰かに聞こえたかどうかは・・・。定かではない・・・。


(おしまい)




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7668怒濤のはっぴーえんど♪P.I E-mail 8/31-00:19
記事番号7667へのコメント

CANARU様
あっはっは(^0^)死屍累々の原作ラストとはなんとゆー違い!
レイル国王・・・漁夫の利を得たのか、それともババを引いたのか?
なしくずしに全てを押しつけられた彼の狼狽えぶりに大爆笑!
なにはともあれ、終わり良ければ全て良し!ですね♪
ガウリナ万歳!!
また素敵なお話、書いてくださいね!

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7669有り難うございましたー!!CANARU 8/31-10:42
記事番号7668へのコメント

>CANARU様
>あっはっは(^0^)死屍累々の原作ラストとはなんとゆー違い!
はははー・・・。
実は原作読み直してこの展開が思いついたんです・・・。
(ひねくれ者・・・。)
>レイル国王・・・漁夫の利を得たのか、それともババを引いたのか?
やっぱりババでしょー!!
厄介ごと押しつけられてますしねー!!
>なしくずしに全てを押しつけられた彼の狼狽えぶりに大爆笑!
笑って頂けてアタシも嬉しいです!!
>なにはともあれ、終わり良ければ全て良し!ですね♪
>ガウリナ万歳!!
>また素敵なお話、書いてくださいね!
また歴史物かきますねー!!ではー!!