◆−この想い・・・−理奈(8/31-12:23)No.7670
 ┗この想い・・・ 2−理奈(8/31-12:25)No.7671
  ┗この想い・・・ 3−理奈(9/1-13:07)No.7673
   ┗この想い・・・ 4−理奈(9/1-13:09)No.7674
    ┗この想い・・・ 終−理奈(9/1-13:10)No.7675
     ┣はじめまして。−知奈(9/2-14:58)No.7681
     ┃┗はじめましてぇ〜!ありがとうございます!−理奈(9/3-09:40)No.7687
     ┗いい夢、見させていただきました−ルビーアイ様(9/8-13:03)No.7754
      ┗ありがとうございます。−理奈(9/9-03:23)No.7757


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7670この想い・・・理奈 8/31-12:23



あたしは、ふ、と空を見上げる。それは、高く、広い空。日差しがまぶしくて、おもわず目を細める。そしてゆっくりと回りを見る。後ろには、先程抜けたばかりの森。そして回りは、野原。ひざの下あたりまで生えている緑色のきれいな草。その野原が風で波を打つ。その風は、涼しい。近くに海があるせいだ。
あたしは、今一人で海道を歩いていた。そう一人で。
お昼くらいなので太陽は、高く、ぽかぽかと暖かい。あたしは、道を外れ、ドサッと荷物を放り投げ、野原の上に寝転がる。そして大きく伸びをする。
気持ちいい…
………
静かだなぁ…。いつもだったら、隣で高いびきなんぞを上げて昼寝をするクラゲがいるんだけど…。
あたしは、チラッと自分の横を見る。が、そこには、誰もいない。
ガウリィと別れて半年くらい。なぜ別れたかと言うと…べつに理由なんてなかった。また一人旅でもしようかなぁ、って思っただけ。それにいつまでも一緒にいるなんて事は、出来ないし。
一人旅は、なれている。旅を始めた時だって一人だったし、ガウリィと会う前も一人だったし…。いや、あの女魔道師と時々行動を共にしたがいっしょにいる仲間とは、呼べなかったし。
今こうやって一人になって考えるとあたしって今まで色々な人に会ったり…別れたりしてるんだなぁ…。もう二度と会う事は、ないだろう…。まぁ、そうやって思ってまた再会する人達は、何人かいたけど。
でも…一人って…こんなにさみしかったっけ…。始めのころは、一人の方が落ち着いて良かったんだけど…。
ふわっと風が吹く。あたしは、自然と瞳を閉じ、いままで過ごしてきた仲間達の顔を思い浮かべる。
アメリア、どうしてるかな。またどこかで「悪は、ゆるしません!」って叫んでるんだろうなぁ。ゼルは、まだ身体をなおす旅でもしてるんだろうか。ガウリィは、別れ際にいったん故郷に帰るって言っていたけど。ナー…いや、彼女の事は、考えるのは、やめよう。そこの草の間からいつもの高笑いとともに出てきたら困るから。シルフィールは、サイラーグの再建に力を注いでるはず。そういえば、もう結構たつよね…どうしてるだろう。
他には…。
あたしは、起きあがる。髪についた草を払う。
あいつ……。思い出したくは、ないけど…わすれることは、ないあいつ…。二度と会う事はないあいつ。次に会う時は、敵。たぶん、今ここで名前を読んだら出てくるだろう。いつものように、いつのまにか後ろに立ってたりするだろう。でも…だめ…。会ったってどうしようもない。何も出来ない。彼は…魔族なのだから…。
………!
あたしは、ふいに流れ出た涙を急いでぬぐう。
わすれろ!!あいつのこと想ったって…なにもできっこないんだから…
こんな想いなければいいなだ…こんな想いなんか…
もう…二度と会う事は、ないんだから…。
あたしは、その思いを振り払うように頭を振る。そして荷物を持ち、北へ続く道をまた歩きはじめる。

「うぅ〜ん、ここらへんに村があるはずなんだけど…」
あたしは、地図を見ながら道を歩いていた。地図の上には、村があると思われるところに印がついている。このまま行けば森にあたる。その森の真中あたりに大きなバツがついている。
地図にも載っていない村があると知ったのは、最後に立ち寄った街だった。なんでもその村は、昔、「精霊達の隠れ里」と呼ばれ、近くには、精霊達の神殿があるらしい。嘘っぽい話しだけど、たしかにこの世界のどこかに「精霊達の隠れ」里は、存在している。
まぁ、行ってみる価値は、ある。どうせ、目的のない旅だし。本当にあったらめっけもんだし。
そう思ってテクテクと歩いていたんだけど…。
「うぅ〜!!これは、だまされたか!?」
もう回りは、真っ暗だった。歩いても歩いても、森らしい姿は、見えないし、この周りには、街もなにもないはず。でもこんな広野のど真ん中で野宿なんてしたくないしなぁ〜…。
「あぁ〜あ…」
どうしようかなぁ…もうちょっと頑張って見ようかな…。

そして一時間くらい歩いたところにその森にぶつかった。
よし!とりあえず、今日は、ここで野宿ね。
があたしが回りを見まわした時、目の端になにかを捕らえる。
うん?
奥の方に明かりが見えるが…
村か!?本当にあったのか「精霊達の隠れ里」!?
あたしは、疲れも忘れて駆け出す。
「宿ぉ!」
このさいその村が本当に精霊達の隠れ里なんて関係ない!とにかく休める場所!!
その村は、けっこう高い木の壁に囲まれていた。門のところには、たいまつを持った男が二人立っていた。
森のなかで、木の壁に囲まれてるなんて。たしかに隠れ里にするには、ぴったりの場所ね。でもただの村だってことは、あるよね。とりあえず、ここで泊めてもらえるかな?
あたしは、その門の方へ、歩いて行った。
「誰だ!?」
男二人は、あたしに気づき、腰にしまっていた剣を抜いて構える。
「えっと、旅のものだけど…」
男たちは、たいまつを掲げてあたしの姿を映し出す。
「旅の魔道師か?」
「ええ、そうよ」
一人の問いにあたしは、答える。二人は、ひそひそと何かを相談している。やはり、よそ者を村にいれるわけには、いかないのか?
「そうか。道に迷ったのか?とりあえず、今日は、この村の宿で休むがいい。案内する」
男が一人村の中へと歩き始めたのであたしは、あわてて後を追う。
こんなに簡単に中に入れるなんて…。もし精霊達の隠れ里なら警戒して入れないはずだよね。やっぱりガセネタか…。
まぁ、いっか。とりあえず、休みたい。

宿と言ってもそこは、普通の家だった。たぶんあまり旅人がこないので立派な宿は、ないのだろう。とりあえずあたしは、そこで一晩過ごした。朝起きたら家の持ち主が村長にあってくれとたのんできた。まぁ、いちおう一晩でも泊めてもらったんだし。挨拶くらいは、しようと思って、今村の一番奥にある村長の村へ向かっていた。もしかしたら精霊達の隠れ里の事でなにか知ってるかもしれないしね。
村は、外から見たより大きく、村の中心は、大きな広場になっていた。その広場の回りに家がたっており、村の一番奥に村に一つだけある大きな家が建っていた。
あたしは、その家の玄関まで来てノックする。しかし誰も来ない。またノックして見る。
………………プチ
「ちょっとぉ〜!!人がせっかく来てやったのに、お迎えもないわけぇ!!」
あたしが叫ぶと村全体に響く。
「はいはい!今来ます!!」
あたしの叫び声が聞こえたのか家の中からパタパタと足音が聞こえる。
うん・・?この声どっかで聞いたことあるような…。
「すみません、手が離せなかったもので」
ドアを開けて出てきた男にあたしは、絶句する。
肩まで切りそろえられている闇色の髪。その髪と同じ色の、すいこまれそうな瞳。そう、あたしの好きだった瞳。
そいつは、いつもの黒い神官の服では、なくこの村の男達が着てるような、ごく普通の服を着ていた。
あたしは、目を見開いて彼を見る。が、彼は、ニコッと笑って言う。
「どなたでしょうか?」
あたしのコブシがぷるぷると震える。
な…なんで…
「なんであんたがここにいるのよぉおおおおおおおおお!!!!!!」
あたしは、叫びながらそいつのくびねっこをつかんだ。
「ちょ、ちょっと、なんですか!?」
そいつは、あたしの剣幕に驚いて瞳を見開く。
「とぼけるきぃいいいいいいいい!!!」
とぼけるのは、こいつの得意技だけど…!!
あたしは、そいつの妙に暖かい首をガクガクと…暖かい?
その時始めてあたしは、こいつの身体から体温を感じるのに気づいた。自然に手が緩み、そいつは、首を抑え、咳き込む。
「あ…あなた…ゼロスじゃないの?」
あたしは、彼を見て震える声でたずねる。
だ…だって…
そう。その男は、あの魔族にそっくりだった。まちがえるほどそっくりだった。獣神官ゼロス。前に一度行動を共にした事がある魔族。
あたしは、自分の手を見る。
たしかに体温が…
…ってことは、こいつは、ゼロスじゃないってことよね…体温がある魔族なんて…でも…
「あ、あなた…」
あたしは、ハッと顔をあげる。彼は、ゼロスと同じ瞳を大きく見開いてあたしを見る。
「あ、ごめん。人違い。ごめんね」
あたしは、あわてて手をパタパタとふる。
「いえ!あなた僕の事をしっているのですか!?」
彼は、あたしの腕をつかむ。
「……へ?」

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7671この想い・・・ 2理奈 8/31-12:25
記事番号7670へのコメント

ゼロス(他にどう呼べばわからなかったから)につれられてあたしは、その家のリビングのソファにすわる。向かいのソファには、老人が座っていた。ここの村長だろう。
ゼロスは、あたしとその村長の前に紅茶を置いて、あたしの斜め横のソファに座る。
どこから見てもゼロスなんだけど…。魔族に似てる人間なんていない…と思うんだけど…それとも本当にただ似てるだけとか。たしかにあのゼロスの姿は、仮の姿であって……。でも…。
あたしの頭は、混乱する。
「娘さんは、どうしてここへ?」
「え、あっ。えっと、道に迷って。で、明かりが見えた物で」
いきなり老人に聞かれあわてる。あたしは、またチラッとゼロスの方を見る。
「こいつは、な。半年前、村の裏でたおれとったのじゃよ」
それに気づいたか、老人は、ゼロスの方を見て言う。
え…。
「黒い法衣に見をつつんで倒れておった。放っておくのもいかんと思い、家へつれてきたんじゃよ。だが目を覚ました時何も覚えてないのじゃと」
黒い法衣…じゃぁ、やっぱりゼロス?それに何も覚えてないって…
「記憶喪失…」
あたしは、眉をひそめる。
魔族にも記憶喪失なんてあるのか…?
「はい…。僕がどこの誰なのか…どこから来たのか…さっぱり…」
ゼロスは、悲しそうな顔をして言う。
ゼロスの可能性は、じゅうぶんあるよね。体温だってもしかしたら何か変な魔法でも使って作ったかもしれない。記憶喪失だって…。
もしかしたらそんな事を偽って言ってるのかもしれない。あたしがここに来る事を知って…また何かをたくらんでるのかも知れないし。
でもそうしたら半年間もここでなにを…?
「名前も思え出せないのでカイと言う名を与えた。娘さん、カイのことを知っておるようだが…」
「え…あっ…いえ。知り合いとそっくりだったので、つい。でもたぶん人違いだと思います。あいつがこんなところにいるはず、ないので」
あたしは、とりあえず、知らないフリをする。
「そうですか…」
あたしの言葉を聞いてゼロス…いや、カイは、がっかりと肩を落とす。
…なんか今の、本気でがっかりしたように見えたけど…まぁ、あいつは、こーゆーふうに芝居が上手いから…
「あ、あの。あたし、もう行きますね」
あたしは、そう言ってたちあがる。ゼロスが何を考えてるのか解らないけどこいつとかかわるとろくな事にならない。だったら逃げるが勝ちよ。
「ま、まってください!!」
するとカイがたちあがりあたしの手を取る。
「おねがいです!もう少しここに入る事は、できないでしょうか!?」
「へ?」
あたしは、一瞬カイが言ってる事が解らなかった。
「なにか思い出しそうなのです!あなたが来てから、なんか…こう…懐かしい感じがするんです…もしかしたら何か思い出すかもしれないんです。おじい様、いいでしょうか?この人がここにいても」
「わしは、かまわない。カイの記憶がもどると言うのならいてもらったほうがいいじゃろう。どうだ、娘さん。もし急ぎの用がないのならここにいてもらっては、どうかな?わしからもおねがいする」
うぅ〜ん…
あたしは、少し考え込む。
もしゼロスが芝居をしていて、あたしをここにいさせようとしているのだったら…やっぱり、厄介事にまきこまれそうな気が…。でももし本当に別人だったらこのまま去るのもなんか冷たい感じがするのよね…。どうしよ…。
「おねがいします!」
カイは、まっすぐあたしを見る。
吸いこまれそうな瞳…ゼロスと…同じ…
「う、うん…」
あたしは、無意識のうちに首を縦にふってしまった…

「おはようございます、リナさん!」
ぜろ…いや、カイは、顔に笑みを浮かべあたしに言う。
うぅ〜ん…ゼロスの顔でうんな、さわやかな笑顔をされては…なんか不気味な感じがするけど。
「おはよう…」
あたしは、昨夜彼に渡されたこの村の娘の服を着て一階のダイニングルームへ降りてきた。ちなみにあたしに用意された部屋は、二階。
昨夜、カイとして偽っているゼロスが夜中にあたしの部屋に忍び込んで「おひさしぶりですね、リナさん。はっはっは」なんぞとやって…そしてあたしが「なんでこんなとこにいるの」とたずねたらゼロスがいつものように「それは、秘密です」なんて言ってあたしがどつきたおす…と言う風なことを期待してたんだけど。だが、それもなく、普通に朝が来た。
はぁ〜…
あたしは、溜息を吐く。
ついこの前、あいつの事思って…わすれろって…ったく…
とりあえず、長老と彼に頼まれ、一週間ここにいることにしたんだけど。
最初は、「精霊達の隠れ里」をさがしにここまで来たのに…。
あたしは、ダイニングテーブルにすわってカイが持ってきた朝食を食べ始める。
「あれ?村長さんは?」
その時村長がいないことに気がつく。精霊達の隠れ里の事を聞こうと思ったんだけど…。
「バコタさんの所に呼ばれて行きました」
バコタさんは、村にいるただ一人の医者…だったけ?
カイもあたしの正面のイスに座って食べ始める。
あたしは、自分の分を食べながらチラッとカイを見る。
本当にゼロスなのかなぁ…?だってここにきたとき黒い法衣を着ていたって…。まさかそれも偶然ってこともないだろうし…。ゼロスの顔でしかも神官なんて奴、世界中捜してもいそうもいないし…。
「あ、あのさ…ほんとうに何も覚えてないの?」
「え…あっ、はい。何も」
カイは、あたしの問いに頭を上げ、答える。
「始めてここへ来た時、黒い法衣を着てたとか」
「はい。今は、部屋にあるんですけど」
……部屋にあるって…あれってゼロスの一部のはずだよね…脱いでも形として残るのか…
「ただいま」
「あっ、おじい様!おかえりなさい」
ダイニングに村長が入ってきた。カイは、立ち上がり、老人をイスに座らせ、朝食を持ってくる。
「バコタさんの所へは、何故?」
「薬が切れてきたのでその事で」
「そうなんですか」
あたしは、ジッと二人の会話を聞いていた。カイは、まるで老人の孫のように親しく話していた。半年でこれほどまでも親しくなれるとは。ゼロスじゃあ、無理ねきっと。やっぱり、ただ似てるだけか。
「あっ、長老。ちょっとお話が」
あたしは、フォークとナイフを置いて長老に話しかける。
「何かね、リナさん」
「ここらへんに精霊達の隠れ里ってありますか?」
そうだ。最初は、これが目的でここへきたのだ。
長老は、あたしの言葉を聞いて微笑む。
「ここがそうなのじゃが?」
「ここが!?」
あたしは、いきなりの答えに叫んでしまった。
やっぱり!
「ああ。だがそれは、もう何百年も昔の話じゃ。今は、ただの名もない村じゃよ。まぁ、村の近くに精霊達の神殿は、あるのじゃが誰も近づく者は、おらんよ」
ただの名もない村…だから誰にも知られていないのか。隠れ里自体は、もうないのだ。
だけど…神殿がまだ残ってるなんて!
「そこって立ち入り禁止ですか?」
「いや。入れるよ。だが野犬やら、獰猛な動物が住みついてるから」
「あとでいってみてもいいでしょうか?」
「ああ。いいとも。魔道師のあなたならだいじょうぶだろう」

あたしは、朝食の後長老に言われたとおり、村の北へ向かっていた。そして古びた建物を見つけた。それは、石で出来ており、あちらこちら崩れていたがまさしく、神殿だった。
「ふっふっふ!本当にあるとは!!お宝の匂いがぷんぷんするわぁ!」
あたしは、明かりを作り、神殿の中へ入っていった。神殿自体は、あまり大きくないが中は、広い。あたしは、部屋を一つずつ調べる。
「何もないわねぇ…」
家具もなにもない。
うぅ〜ん…精霊達がいたと言うのは、何百年も前の話だからなにもかもなくなってるってのも不思議は、ないけど。
あたしは、神殿の一番奥、と思われる廊下を歩いていた。それは、ある部屋へと続いていた。その部屋の扉は、「ここが一番重要な部屋ですよぉ〜」と言いたげに立派に作られていた。あたしは、それに近づいて見る。
なんかの魔法で閉ざされてるみたいね…それも高等な、強い力の魔法。
今のあたしの力では、やぶれないかも。
言い忘れたけど今あたしは、村人の服のままだった。戻ってあたしのいつもの服に着替えて、タリスマンも使えばこの扉も打ち破れるかも…。
うぅ〜〜ん…。
とりあえず、今日は、戻ろう。

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7673この想い・・・ 3理奈 9/1-13:07
記事番号7671へのコメント
「リナさぁ〜ん?いますかぁ〜?」
次の日、あたしがまた神殿へ行こうと準備をしようとした時、カイがあたしの部屋をノックした。
「どうしたの?」
あたしがドアを開けるとそこには、ニコニコ顔のカイが立っていた。
…こんなところまであのゼロスに似てるなんて…
「もうすこしたらお昼なんですけどその前にリナさんに見せたい物がありまして」
「見せたい物?」
「はい。神殿の近くなんですけど…ついてきてくれませんか?」
べつに断る理由もないし、あたしは、カイにつれられて神殿から離れたところへむかった。
森の中を進んでいたがふいに視界が開ける。そこは、小さな泉だった。その泉の周りには、白く、かわいい花が咲き乱れていた。
あたしは、息をのむ。
「きれぇ〜…」
そこは、切り開かれていて、空が見える。泉に太陽の光りがあたり、きらきらとまぶしい。
「精霊達が遊んでいた泉といわれてるんですよ。昼は、太陽の光が、夜は、月の光が泉をうつすんです」
あたしは、花を踏まないようにゆっくりと泉に近づき、座り込む。そして泉の中に手を入れる。
「冷たくて気持ちいい」
カイもあたしの隣に座る。
「リナさん、前に僕は、リナさんの知り合いに似てると言いましたよね?」
いきなりの事にあたしは、眉をひそめカイを見る。
「い…言ったけど?」
「その人ってリナさんの恋人か何かですか?」
ドクン…
カイの言葉に胸が大きくはねる。
・……恋人……
あたしは、カイから顔をそむける。
「ち…ちがうわよ…ただの知り合い…」
「でもリナさんは、彼の事好きだったのでしょう?」
かぁーっと頭に血が上り、鼓動が早くなる。
…ゼロスと同じ顔のやつに言われるなんて…
「な…なんで解るのよ…」
「リナさんが解りやすい態度をとるから」
あたしは、チラッとカイの方を見る。
ニッと笑ってる顔。意地悪な笑顔…あたしが大好きだった彼の笑顔…
「でも彼もきっとリナさんの事が好きだと思いますよ?」
ピクッとあたしの肩が跳ねる。
あいつもあたしの事が好き……?
 あたしは、思いもよらなかった言葉に苦笑してしまった。彼が言ったことがおかしかったのだ。
「それは…ないわ…」
「どうしてですか?」
あたしの言葉にカイは、不思議そうな顔をする。
それは絶対ない…だって…ゼロスは、魔族だもん…魔族に…そんな感情は…
「絶対ない…」
「きっとリナさんの事すきだと思います」
カイがまた言う。真剣な顔で、まっすぐあたしをみる。
「どうしてそんなことわかるのよ」
あたしは、そう言って顔をそむける。
「僕もリナさんの事好きですから…」
!!??
カイは、そう言っていきなりあたしを抱きしめる。
「か、カイ!?」
突然のことに、あたしの身体は、固まってしまった。
「始めてあった時からなにか懐かしいものを感じました。リナさんにひかれました。まだあってたったの二日しか経っていませんけど…僕は、あなたの事が好きです」
カイの言葉が心の中で響く。胸が締め付けられる…
この言葉が…あいつからの言葉だったらどれほどうれしいことか…
はじめてこの村に来て、カイがあのドアから現れた時、最初ゼロスと思った時…あたしがどれほどうれしかったことか…。本当は、抱きしめたかった。もう会う事がないと思っていたけど!
わすれろって…自分に言い聞かせたのに…
それなのに…
あたしの胸は、締め付けられるほど…ゼロスの事を想うだけで…
「は、はなして…」
あたしは、カイの腕から逃れようともがく。が、彼は、腕に力を入れてあたしをはなさない。
「リナさん…僕とこの村で暮らしませんか?」
ドクンとまた心臓がおおきく跳ねる。
「か…カイ…」
あたしは、抵抗をやめた。
カイとこの村で…
ゼロスと良く似た彼……
…いいかも知れない…どうせゼロスとは、結ばれる事は、ないから…旅だって、別に今は、目的があるわけでも、ないし…いいかもしれない…
あたしは、顔をカイの胸にうずめる。
そこは、暖かく彼の鼓動が聞こえる。
トクン…トクン…トクン…
ゼロスには、絶対ない…
!!!!
あたしは、バッとカイを押しのける。
「ご…ごめん…やっぱりだめ…」
「り、リナさん…」
カイがあたしを悲しそうな瞳で見つめる。
あたしは、瞳からあふれる涙をぬぐう。
「ごめんね!」
あたしは、急いで立ち上がりそのまま村の方へと走る。

ゼロスには、体温なんてない。ましてや、鼓動なんてあるはずない。それに、あたしの前であんな悲しそうな顔はしない。
たしかにあたしは、ゼロスの瞳にひかれ、彼を好きなった。でもそれだけじゃない。あたしは、ゼロスの外見だけで彼を好きなったんじゃない。
彼の冷たい態度の間に時々見せる優しさ。それは、芝居だとわかってるけど…そんな優しさがあたしは、好きだった。
体温がなくても…鼓動がなくても…魔族でも…あたしは、ゼロスが好き。
だからあたしは、カイと一緒になれない。たとえ一緒になったとしてもあたしと、カイは、幸せになれない。一緒になったってきっとあたしは、カイを通してゼロスを見るだけだ。そんな事したらカイを傷つけるだけだ。
それに…たとえ、もう二度とゼロスに会えなくても…ゼロスとけして結ばれないと解ってても…。たとえカイがゼロスと同じ、あたしの好きな瞳を持っていようと…あたしは、ゼロス以外に愛せない…ゼロスじゃなきゃだめなの…。魔族なんて関係ない。彼があたしの事をなんともおもってなくても関係ない。
そうよ…あたしは、彼の事が好き…忘れようとしたこの想い…わすれられない…この想い…

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7674この想い・・・ 4理奈 9/1-13:09
記事番号7673へのコメント

あたしは、チラッと後ろを振り返る。村の姿は、木々に隠れてもう見えない。
今は、夜中。
あたしは、こっそりと村を出た。もうもどらないつもりでいつもの格好で荷物も持ってきた。
カイには、悪いけど…やっぱりね…あのまま顔を合わすなんてできないもん…。
それに…カイとは、一緒になれないから…。このまま去るなんて卑怯だと思うけど…。
あたしは、このままあてのない旅を続けようと思ったけどやっぱりあの神殿が気にかかるので、今あたしは、神殿へ向かっていた。最初は、それが目的でここへ来たのだ。
そして昨日おとずれた扉の前へと来た。その扉からは、相変わらず、強い魔力を感じる。
「さぁ〜て。どうやったら開くかな?」
あたしは、とりあえずファイアー・ボールあたりから呪文を唱えた。が、扉は、びくともしない。
「うぅ〜みゅ。やっぱり強い魔法で封じられてるみたいね。こりゃぁ、竜破斬でも唱えない限り開けられないかな?」
あたしがそう言った時だった。扉が一瞬光った。
するとさっきまで感じてた強い魔力は、消えていた。
「??魔法が…とけた??」
あたしは、おそるおそる扉に近づいておしてみる。
するとギーと言う音を立てて扉が開く。
中は、広い空間だった。暗くて何も見えないけど、あたしは、一歩入って見る。
!?
するといきなり変な感覚に身体が震える。
何かの結界か!?
回りは、ただの闇。明かりを唱えても何も起こらない。
『神殿を壊されては、困るのでね…特別に扉を開いてやった…普通は、ここに入る資格を得てから入れるのだが…』
するといきなり頭の中に誰かの声が響く。
「だれ!?」
あたしは、あたりを見まわす。が、なにも見えない。
『この短期間に二人も客が来るとは…』
「誰だって聞いてるのよ!」
とりあえず、あたしは、顔を上げて何もない虚空へと叫ぶ。
『我は、この神殿に住まう者…精霊達の意思…』
するとあたしの目の前に何かが浮かびあがった。それは、大きなクリスタルの柱だった。
そして…
「か…カイ!?」
そのクリスタルの中にカイの姿が浮かび上がる。瞳は、固く閉じられまるで眠っているようだ。
いや、違う。これは、カイじゃない。
「ぜ…ゼロス…!?」
それは、いつもの黒い神官の法衣を着ているゼロスだった。
「ちょ、ちょっと!?これどーゆーことよ!」
あたしは、クリスタルに近づこうとしたが、何か、見えない壁のような物がそこにあり、クリスタルに近づく事が出来ない。
『ほう…この者ゼロスと言うのか…気配からして…魔族のようだが…』
「説明して!なんでゼロスがこんなとこにいるのよ!?それにあなたは、何!?」
それになんでクリスタルの中に…!
『半年前の事だ…誰も入れることのないこの部屋にこの者がいきなり現れた。我は、精霊達からあたえられた使命をはたすのみ』
精霊達にあたえられた使命?
『我は、この者に問うた。何が望みだと。この者は、我の問いにこう、答えた。神殿の調査をしているだけ、望みなどない、と。だが我は、この者の本当の望み知り、その望みを叶えた』
「ゼロスの…本当の望み…?」
本当の望みって…魔族は、母なる混沌へと帰るのが望みだと…
『人間になりたいと言う望み…』
「!!??」
あたしは、大きく瞳を見開く。
「い…今なんて…」
『この者は、人間になりたいと望んでおった…』
「な…なんで!?」
あのゼロスが…?人間に…?
『我とてそのような望みは、叶えられない。一つの種族を違う種族に変える事などできは、しない。だが我の使命は、ここへおとずれる者の望みを叶える事』
これが、そのクリスタルの働きか。この部屋に入れた特別な者だけがクリスタルに願いを叶えさせてもらう…。さすがは、精霊達が残した物だけは、あるわね。望みを叶える力なんて…。
でも…なんで…ゼロスが…
クリスタルは、かまわず続ける。
『我は、この者の魔族の力と記憶を我の中へ封じこめ、この者の仮の姿に熱を放つ力をあたえ、体温を作り出した。そして胸の中へ脈打つ力を組み込んだ。そしてこの近くにある村へと移動させた。我は、その者の望みを叶えたのだ』
そんなことが…そんなことが出きるのか…精霊達は…!?
じゃぁ!あの村にいたカイは…やはり!
「なぜ!?何故ゼロスは、人間になりたいと願ったの!?」
『そなたは、この者の記憶の中にいる娘だな。名は、リナ・インバース。この者の望みは、そなたのため』
クリスタルの言葉にあたしは、言葉を失う。
「あ…あたしのため…?」
『そうだ』
「な…なんで…あたしのためなの…?」
あたしのために人間になって…なにをするつもりだったの…ゼロス…
『わからぬか、娘よ。そなたと生きるためだ』
!?
一瞬頭の中が真っ白になる。
「…あたしと…生きるため…?」
やっとしぼり出せた声は、震えていた。
『これ以上は、言えない。他の者の意思を伝える事は、禁じられている。さぁ、娘よ。望みを言え。我は、それを叶える』
ちょ…ちょっと…待ってよ…
何?ゼロスは、あたしのために人間になったの…?あたしと生きるため??それって…それって…
村で出会った、ゼロスによく似たカイ。だけど、あれは、本当にゼロスだった。人間の姿のゼロス。彼と一緒に暮らそうと言ってきたカイの言葉は、ゼロスの言葉でもあるの…?って事は…ゼロスもあたしの事…。
い、今もどれば…本当にゼロスと結ばれる事ができる……。
彼の腕のなかで…感じる事のない体温と鼓動を…
!!!!
…だ…だめ!
「ちがう!」
あたしは、叫ぶ。
昨日だって自分に言ったじゃない!
体温がなくても、鼓動がなくても、あたしは、魔族である、ゼロスが好きなんだって!あたしの事を知っているゼロスが好きなんだって!!
人間の姿のゼロスなんて、ゼロスじゃない!そんなの偽者のゼロスよ!
「もどして!ゼロスを元にもどして!」
あたしは、クリスタルに叫ぶ。
それが今あたしが望んでる事。ゼロスと一緒になる事でも、なんでもなく、あたしは、ゼロスが元のゼロスに戻るのを望む。
「あたしが知っているゼロスをかえしてぇ!!」
『いいのか?人間の姿にと彼が望んだのだぞ?』
「人間の姿のゼロスなんて…あたし、喜ばない!そんなのあたしのためじゃない!あたしのためだったらそのままでいてよ、ゼロス!魔族のままでいてよ!」
瞳から涙があふれる。それと同じくあたしの想いが…ゼロスへの想いが溢れ出す。
たしかにあたしは、ゼロスと結ばれたい。でも彼が魔族のままだったらそれは、叶えられない望みだ。人間のゼロスだったらその望みも叶えられる。大好きなゼロスと一緒にいることが出きる。でも…でも…
人間のゼロスなんてゼロスじゃない。あたしの事知らないゼロスは、ゼロスじゃない!
「お願い、ゼロス!もとにもどってぇ!」
あたしがそう叫んだ時だった。彼の手がぴくりと動いたように見えた。
『ほう…我の中で封じられていてもこの娘の声が聞こえるというのか…わかった…二人の望みを叶えよう…』
その時まぶしい光があたりをつつむ。あまりのまぶしさにあたしは、瞳を閉じる。
そしてすこししてあたしは、瞳をゆっくりと開ける。
「ぜ…ゼロス!」
あたしの前にゼロスが浮かんでいた。
『そなたらの望み…叶えた…』
クリスタルがそう言った時、ゼロスがあたしの方へと倒れこんできた。
あたしは、彼を受け止める。
「ゼロス!ねぇ、ゼロス!!」
あたしは、彼をゆりうごかす。すると彼の瞳がゆっくりと開く。深い、紫の瞳があたしを見る。あたしの、好きな闇色の瞳…。
「り…リナさん?」
ゼロスは、驚いた顔であたしを見る。
「ゼロス!!」
あたしの瞳から涙があふれる。
「どうしたんですか、リナさん。こんなところで…そういえば僕…」
ゼロスは、頭をかかえ、起きあがる。
「ゼラス様にたのまれ、この神殿の調査に来たのですが…いきなり光りにつつまれ…そのあとは…。リナさんは、どうして?それに…なんで…泣いてらっしゃるんですか…?」
ゼロス…この半年の事を覚えてないのね…。
「ううん…なんでもない…たまたま通りかかったの…それであんたが倒れてるから…びっくりして…ほ、ほら、ここってほこりっぽいから、目にほこりが…」
あたしは、急いで涙をぬぐう。
「そうだったんですか…それにしても、ひさしぶりですね、リナさん」
「うん。とりあえず、ここを出よう。こんな暗くっちゃ話しなんてできないわ」
あたしたちは、とりあえず、神殿の外に出る。
「ほんとひさしぶりね…神殿の調査って仕事?」
「ええ。そうなんですよぉ〜。このごろゼラス様ったら人使いがあらくて」
ゼロスは、情けない声を出し、あたしは、クスクスと笑う。
「で、魔族が調べるほど、あの神殿になにかあるの?」
あたしがそう言うとゼロスは、自分の人差し指を口のところへ持っていき、
「それは、秘密です」
「けちぃ〜」
あたしは、頬を膨らませたが…ふと、口がゆるむ。
いつものゼロスだ…あたしが好きなゼロスだ………
あたしは、大きな笑みを浮かべる。それを見てゼロスは、眉をひそめる。
「な、なんですか、リナさん。不気味な笑みを浮かべて…」
「ううん!なぁんでもなぁい!ねぇねぇ、ゼロス、今暇?」
「いえ。この神殿の事を報告しなければいけませんから…でもそのあとは、暇だと思いますけど?どうしてですか?」
「久しぶりに会ったから付き合ってよ。この近くに泉があるの。そこで待ってるから」
「………」
ゼロスは、変な顔であたしを見る。
「な、なによ…」
「いえ。なんでもありません。では、たぶん夜になると思いますけど行きますね。では…」
ゼロスは、ニコッと笑って消える。

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7675この想い・・・ 終理奈 9/1-13:10
記事番号7674へのコメント
あのあと…あたしは、また村へ行ってみた。だけど、どこをさがしてもカイは、いなかった。村の人たちや、長老に聞いてもカイなんて言う奴なんていないと言われた。精霊達の力のせいか…。
あたしは、そのまま村を離れ、ゼロスと待ち合わせの泉へ来た。そして泉の横に座って水面を見つめる。
あたしは、自分自身を抱きしめる。
ここで抱きしめられた時…感じた体温…
好きだと言われた時…
あれは、あたし自身も望んでた事…だけど…
でも…あたしは、今のゼロスが好き。人間と偽っていないゼロス。魔族のゼロスが好き。
月が高く、泉を照らし出す。
…………きれい……
「リナさん……」
世後から、あたしの名を呼ぶ声……心地よい…響き…。
あたしは、そっと瞳を閉じ、そして開ける。
「ゼロス…」
振り向くとそこにゼロスが立っていた。いつもの笑みを浮かべ。いや、いつもよりやさしく見えるのは、あたしの気のせいか。それとも…月の光のせいか…。
「ほんとうに…ひさしぶりね…」
「ええ…」
ゼロスは、あたしの隣まで来て、座る。
「結構たつよね…最後に別れてから…」
「はい…」
沈黙……
あたしは、ただジッと泉を眺める。
「ねぇ…ゼロス…ゼロスが望む物って…なに?」
「僕が望むもの?」
「うん…」
「…知っているでしょう…母なる混沌へ――」
「本当の望み…」
あたしは、彼の言葉を切る。
それを聞いて、彼は、眉をひそめる。
「僕の本当の望み?」
「………ゼロス…人間になりたいなんて…思ったことない…?」
あたしは、彼の瞳をのぞきこむ。
…すいこまれそうな…深い闇色の瞳…
その瞳がフッとそらされる。
「…思ったことありませんね…」
……………
きっと…彼もわからないうちに望んでいた事なのだろうか…。あたしのために人間になりたいなんて、知らないうちに思ったことなのか…。
もしこれが本当のことで、精霊のクリスタルがうそをついていないのだったら…それは、うれしいことだ…ゼロスがあたしの事を好きだなんて…でも…でも…。
彼自身が知らないのだ…自分の想いを…
だったら…ふれないほうがいい…彼の本当の望みが人間になること…そして…あたしと生きる事…。
もしそんなこと言ったら…今の、この関係がくずれてしまう…。
「どうしてですか?」
「好奇心よ…」
「そうですか…」
ふわっと、涼しく、心地よい風が吹く…
「もう行かなくては、いけません…」
ゼロスは、そう言って立ちあがる。
「ねぇ…ゼロス…」
あたしは、泉を眺めたまま言う。
「また会える…?」
数秒間の沈黙が流れる。が、ふっと小さな笑い声がした。
「僕の名を呼んでください…そしたらいつでも…どこでもあなたの所へまいります…」
やさしい…心地よい…声…。
その声に身体をあずけ、瞳を閉じる。
「…ありがと…」
そしてゆっくりとあたしは、そう言う。
「では…」
そして彼は、消える…。
あたしは、そのまま泉を眺める。

この前まであたしは、ゼロスの想いを忘れようとした。けして結ばれないと解っていたから。そんなことをわかっていながら、つらいおもいをして彼の事を想いつづけることなんてできはしないと思っていた。でもやっと気づいた…。
魔族だなんて関係ない。結ばれないって事なんて関係ない。今、彼を想うこの心が大切なんだと。今、彼を想うこの瞬間が大切なんだと。魔族と言う事なんて最初から知っていたのに好きになってしまった。それほどまでも彼の事が好きなのだ。
あたしは、“魔族、獣神官ゼロス”の事を好きになったのだ。人間じゃなく、魔族を好きになってしまった。だから“人間のゼロス”を好きになれない。だって魔族のゼロスとは、違うから。たとえ外見が似ていても中身が違うから。
今やっとこの事に気づいた。だから大切にしよう、この想い。忘れようなんて思わない。正直にこの気持ちを受け止め、目をそらさないようにしよう。まっすぐ、前を見よう。この想いを大切に胸の中に感じながら…。


かっこいいとか、ぶさいくとか、いい学校へ行ってるとか、不良だとか関係ない。好きになったらそんなことは、関係ないと思う。だって好きになったらどうしようも無い事じゃない。そんなこと、関係無しに好きになった奴なんだから。だって経歴とかそんなこと気にしてたらはじめっからそいつの事、好きになんない。
このストーリーは、あたしの二人の友達のために書いたものでもあります。友達は、まさにこのストーリーのリナちゃんだから。一人は、ちょっと金持ちの長男に恋をしてるけど、育ちが全然違うから絶対結ばれないと言っている。もう一人は、大好きな人と結ばれないと思い、彼とよく似た人を見つけ、そいつに恋をしているが…それは、たんに前の男性を彼に重ねて見ているから。だからあたしは、彼女達に言った。自分の本当の気持ちを大切にしなと。回りの事なんて関係ない。彼の事が好きだったら回りや、肩書きなんて関係ないって。
だからこのストーリーは、彼女にだけでは、なく今、リナちゃんのような恋をしてる人にささげます。自分の気持ちに正直になって、彼を想う心が大切だから…。
って書いてきましたけど、本当は、あたしがとやかく言うすじあいは、ないんですけどね。肩書きとか経歴とか、回りとか。想うだけでもどうにもできないことなんてたくさんあるんですよね。でもできるだけあきらめてほしくないな。だって回りの事ばかり気にしていたら、じゃぁ、自分の気持ちは、どうなるんだ??なんて事になるんですもの。

では、では…ここまで読んでくれた皆様、ありがとうございます。

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7681はじめまして。知奈 9/2-14:58
記事番号7675へのコメント

 はじめまして。コメントを書くのは初めてなのですが、話がすごくよかったので書いてしまいます。
 何か変な所があったら遠慮なく言ってください。
 『この想い・・・』すごーく良かったです。
 リナちゃんの切ない気持ちが伝わってきました。
 ゼロス君自身がその存在の奥底で自分でも気づかないうちにリナちゃんの為に人間になりたいと思っていても、リナちゃんにとってはそれは本当のゼロス君ではないんですね。
 いや、本当のゼロス君でないというよりも、リナちゃんが好きになった人(魔族)だから自分の為に存在を曲げないで欲しかったのかもしれないと思ってしまいました。
 あくまでこれは私の主観なので、気にしないで下さい。
 読書感想文とかって昔から苦手なので、自分でも何を書いているのかわからなくなってしまうんですよ。
 なので無視しちゃってください。
 だったら書くなって感じですけど(^^;)
 
 ところでこのお話の続きって書かれないんでしょうか?
 この時点ではゼロス君てば、自分の気持ちに全然気づいていないですよね。
 リナちゃんの為にもゼロス君には自分の気持ちに気づいてもらって、ふたりにとってのハッピーエンドになって欲しいなと思ってます。
 まあ、ゼロス君がこのまま自分の気持ちに気づかなくても、リナちゃんはずっとゼロス君のことがすきなんでしょうけどね!!

 ということで、またゼロリナ話を書いてください、
 そしたら、また絶対に読ませていただきますので。
 短いですけど、感想でした。

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7687はじめましてぇ〜!ありがとうございます!理奈 9/3-09:40
記事番号7681へのコメント


> はじめまして。コメントを書くのは初めてなのですが、話がすごくよかったので書いてしまいます。

はじめましてぇ〜!理奈といいます!

> 何か変な所があったら遠慮なく言ってください。

だいじょうぶですよぉ〜!

> 『この想い・・・』すごーく良かったです。
> リナちゃんの切ない気持ちが伝わってきました。

本当ですか!?うわぁ〜!すっごくうれしぃです!あたしって「切ない」って言う気持ちを表現するのに苦労するので、そう言っていただけるとすっごいうれしいです!

> ゼロス君自身がその存在の奥底で自分でも気づかないうちにリナちゃんの為に人間になりたいと思っていても、リナちゃんにとってはそれは本当のゼロス君ではないんですね。
> いや、本当のゼロス君でないというよりも、リナちゃんが好きになった人(魔族)だから自分の為に存在を曲げないで欲しかったのかもしれないと思ってしまいました。

やはりリナちゃんは、曲がった事はきらいなので。本当の自分とか、そういうのをと言うのを大切にする人じゃないかなぁ〜と思って書きました。そしておっしゃったようにやはり好きな人(魔族か)には、本当の彼でいてほしいのですね。ってあれもゼロスの仮の姿か(笑)

> あくまでこれは私の主観なので、気にしないで下さい。
> 読書感想文とかって昔から苦手なので、自分でも何を書いているのかわからなくなってしまうんですよ。
> なので無視しちゃってください。
> だったら書くなって感じですけど(^^;)

いえ、いえ。あたしもそうですから。何ページ書いてもあたしが言いたい事が書けない時もありますから。こーゆー場合は、やっぱり口で言った方がいいんでしょうけどねぇ。

> ところでこのお話の続きって書かれないんでしょうか?
> この時点ではゼロス君てば、自分の気持ちに全然気づいていないですよね。
> リナちゃんの為にもゼロス君には自分の気持ちに気づいてもらって、ふたりにとってのハッピーエンドになって欲しいなと思ってます。
> まあ、ゼロス君がこのまま自分の気持ちに気づかなくても、リナちゃんはずっとゼロス君のことがすきなんでしょうけどね!!

考えてもいませんでしたけど、続きを書くには、最適なストーリーだと自分でもおもいます。今思ったことなので、何を書いていいのかわかりませんけど。話しがまとまりしだい、書いてみたいと思います。

> ということで、またゼロリナ話を書いてください、
> そしたら、また絶対に読ませていただきますので。

ありがとうございます。あたし自身ゼロリナだぁいすきなので、じゃんじゃん書きます。著者別作品リストのあたしのツリーもゼロリナオンリーなので・・・。それいがいは、書いたことないあたし。

> 短いですけど、感想でした。

本当にありがとうございます。このストーリー、あまり自身なかったので、感想もらえて本当に感激してます。ありがとうございましたぁ!!!

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7754いい夢、見させていただきましたルビーアイ様 9/8-13:03
記事番号7675へのコメント

初めまして。

普段、ここの投稿小説を読んでも、あまり感想を書いたりしないのですが
このお話に感動を覚えたので投稿しました。

リナの心理描写がとてもよく描けていますね。
意地っ張りで、弱いところを見せようとしない彼女の心の奥底には、きっと
「誰かを好きになる」って感情を表に出さない面があるのでしょう。
リナにはそこのところを素直になってくれればいいと思いました。

ゼロス(カイ)のひょろっとした感じがよかったです。
でも、瞳の奥にはその想いが一杯あふれている・・・やるな、ゼロス(^_^)

・・・短いんですけど、これで感想を終わります。
ゼロリナ・・・新たな境地を開拓いたしました。

それでは失礼します。

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7757ありがとうございます。理奈 9/9-03:23
記事番号7754へのコメント

はじめまして、理奈です。感想ありがとうございます!

>普段、ここの投稿小説を読んでも、あまり感想を書いたりしないのですが
>このお話に感動を覚えたので投稿しました。

 あたし自身が感動するストーリーは、たくさん読んできたんですけど、
自分で、感動するストーリーは、あまり書けなかったんです。だから今回の
あたしのチャレンジと言えるべきことは、感動するストーリーを書くこと
だったんです。ですからすっごくうれしいです。

>
>リナの心理描写がとてもよく描けていますね。

 キャラの心理描写を書くことも苦手だったんです。書いて、読み返してもなんか
きれいにキャラの心や、気持ちが書けてないような気がして。でもかけるもの
なんですね。自分をキャラの立場におきかえたら自然に書けるようになりました。

>意地っ張りで、弱いところを見せようとしない彼女の心の奥底には、きっと
>「誰かを好きになる」って感情を表に出さない面があるのでしょう。
>リナにはそこのところを素直になってくれればいいと思いました。

あたしが書くリナは、結構素直になっちゃうんですねぇ。でもやっぱり
原作のリナのキャラをこわさないようにちょっと意地っ張りなところをいれるん
ですけど、最終的には、素直になっちゃう。

>ゼロス(カイ)のひょろっとした感じがよかったです。
>でも、瞳の奥にはその想いが一杯あふれている・・・やるな、ゼロス(^_^)

 カイ、気にいってます。魔族じゃないゼロスってどんなんだろうなんて
書いていたらゼロスのままでした。

>・・・短いんですけど、これで感想を終わります。
>ゼロリナ・・・新たな境地を開拓いたしました。
>
>それでは失礼します。

 感想、ほんとうにありがとうございます!!すっごくうれしいです!この
ストーリーは、ちょっと自信なかったのですっごくうれしいです。ありがとう
ございます!