◆−火竜王の巫女の呟き−紫条 藤夜(9/17-22:15)No.7832
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7832火竜王の巫女の呟き紫条 藤夜 E-mail 9/17-22:15


火竜王の巫女の呟き

「―そう言えば、ゼロスさんって、フィリアさんを脱がせるのが得意ですよねー」
アメリアさんの唐突な発言だった。
昼下がりの長閑なお茶の時間のはずだった。
だだっぴろい、荒野の真ん中にテーブルをどんと置いて、ここのところ上昇しっぱなしの不機嫌指数を少しでも下げるつもりで(…と言うより、お茶を飲んで気持ちを鎮める、というのは私の平素からの習慣でもあったが)設けた憩いの時間だったはずなのに!
ごふっ…けほっ、けほっ!
ほおばったスコーンを喉に詰まらせてしまい、慌てて紅茶を飲み干す。
少し落ち着いたところで
「何てこと言うんですかっ!」
キッとアメリアさんを睨み付けると、ほのぼのなアメリアさん曰く
「あ、ごめんなさい。何か、えっちっぽい言い方ですね、これ。でも、あたし思ったんですよ、フィリアさんって、つまり、竜に変身した時って、アレ…裸ですよね?」
その通りである。だから、本当なら私だって、あまり人前で肌をさらしたくなどない。
それなのにっ…
「私だってっ、本当ならあまり竜に変身したくないんです!そうそう、人前で肌をさらしたくなどないんですっ!!それなのに、あの性悪魔族が、私の神経逆なでるようなこと言うからっ!!!」
…うる、うる、涙目で訴える。そこへ
「ご自分の凶暴な性格のなせるワザじゃないですか。修行が足りないんですよ、フィリアさんは。巫女なのにね?アレくらいですぐにカッカと来てたら、いざって時に、周りが見えなくなって、貴女自身が世界に破滅をもたらすものになって、竜族の名を地に堕としめかねませんね。そうなれば、竜族も晴れて僕達魔族の仲間入りですねー?あはははは…」
「そんなものになど、なるものですかっ!どーしてそう、あなたって人は、私にケンカばかり売るんですっ?!」
「失礼ですねー、最初にフィリアさん、貴女が、僕にケンカ売ったんですよ、“生ゴミ”って。アレに僕のプライドは、いたく傷つけられてしまった…」
湯気立つティー・カップを右手に持ち、残った左手は、胸に当て、非常に大仰な仕草である。
「その後の、あの陰険ないじめの数々は、何なんですかっ!私が、右と言えば左、この間だって知っていて黙っていてくれましたよね、あの街が、ドラゴン禁制の街だって、知っていて…その方が面白いからって、黙っていましたよねっ!私があんなに酷いめにあった時だって、イヤミたらたらでっ!!」
ばんっ!!
テーブルを叩きつける。
「僕、快楽主義なものですから、いえ、誰だってそうだと思いますけれど、長い人生おもしろおかしい方が良いでしょう?誰も好きこのんで苦労背負い込む者達などいませんし―退屈なんて、僕には我慢できませんね」
「快楽は―健全な精神を怠惰に堕としめます。乱れた精神はその勢いで、世界の秩序を破壊します!悪のはびこる世界に、人は幸福に生きてはいけないでしょう?!」
「そうでしょうかね、人間も結構僕達並にしぶとい生き物であると思うんですけれど。ねぇ、フィリアさん、幸福って一体何なんですか?」
「決まっているでしょう?!幸福とは、皆に等しく神の恵みが行き渡り、争うことなどなく、平和に、穏やかに暮らしていけること―」
「それは、究極の幸福ですねー、でもそんなの理想でしかありませんよ。絵に描いた餅、というヤツですね。皆に等しく神の恵みが行き渡るなんて絶対にあり得ません。神の恵みが行き渡るのは、その神とやらを信奉する者達のみなんですよ。そして、それにはその神に敵対する彼等にとっての悪と呼べるもの、或いは異質な者達が必要なんです。そういった者達を否定し、排除しなければ、神の恵みとやらだって実感できないんですよ。いや、そもそも幸福などと思えるのはそれと比較するものがあるから幸福だと思えるだけなんですけれど。わかりますか?この比較する対象がなければならないという前提のもとフィリアさんの言う“皆に等しく”っていうのは無理なんです。それに争いがなくなることなどもありませんよ。―平和に、穏やかに暮らしていけること、ね、それも大変結構なことだとは思いますが、でも、世界を形成する者達は基本的に各々に各々の考えを持っているわけですから、大なり小なり意見の衝突が起こるんです。そのことはフィリアさん自身経験的に知っていますよね?」
まー、よどみなくスラスラとのたまわること。
「…何だかすごーく高尚なコト話してますねー」
「もとは痴話ゲンカだったはずなんだがなー、オレにはサッパリわからんけど、やっぱ神官と巫女って難しいこと考えてんのかなー」
「ガウリイのは考えなさすぎっ!」
「ち、痴話ゲンカって…」
「犬も喰わない…というやつだ」
かやの外の四人は四人で、勝手なことを言っている。
「世界は、混沌としているんです。よって、絶対的な正義や悪なんていうものも、本当は存在しないんです。この世に存在する絶対的なものとは、“生”と“死”くらいなものじゃないですか?これくらいですよね、この世界の生きとし生けるもの全てに等しく訪れるものは―」
「そんな―」
言い返せない、悔しいことだけど、今の私には返せる言葉が見つからない。
ぐすっ…、ひっく、
「リナさ〜ん」
「あ゛ー、フィリア泣いちゃったよ、ゼロス、あんたもどーして、ここまでいぢめるかなぁ」
よし、よしと、私を慰めつつ、リナさんの言う。
それを冷ややかに眺める彼の言い分は
「泣けばいいというものでもないでしょうに…口で勝てなきゃ、実力行使、それもだめなら泣き落とし、ですか?」
「!」
「いーじゃんよ、泣くのも女の特権だもの、ま、あたしは、あんまり使わないけど」
「別に、ね、フィリアさんの考えは、フィリアさんの考えでいいと思っていますよ、僕は。ただ、僕はフィリアさんの言うような幸福は、実現するのは不可能だろうなーと、思うだけであって。フィリアさん自身のことは、否定しません」
「…だってさ、だから、フィリア、あんたは、あんたでいいんだよ。何も、ゼロスの屁理屈に落ち込むこたぁないの」
あんたは、あんたでいいんだよ―
リナさんの言葉は、不思議に私の心にあたたかく広がる。
「リナさんって…食い意地はってて、がめついけれど、いい人だったんですね」
「あんた、そー言うかい?!」
顔を少々こわばらせ、額には小さな青筋が浮かんでいたが…
「まぁ、僕に口でも勝ちたかったら、もう少し頭柔らかくして、いろいろお勉強して下さい。いつでも相手はしてあげますよ」
あはは…笑い声だけ残して、また忽然と消えてしまった。
いつもいつも、唐突なヤツである。
『いつでも、相手はする…って、いつも一緒にいるワケじゃないくせに…』
呟きは、胸の内で。
顔を合わせれば、合わせたでいぢめられない日はないけれど、会えなければ、会えないで何か物足りないような気がする。こんな気持ちって…
自分でも、持て余し気味ではある、だけど
―ま、その内にスッキリすることでしょう。
焦らない、焦る必要はない。
私は私、私らしく―
泣いても、怒っても、笑っても―
私の知りたいことは、世界に溢れ満ちている。
欲張るつもりはないけれど、一つ一つ丁寧に拾い上げて、私のものにしていこう。
どんな時だって、私自身を見失うことだけはないように。
今度は、負けないんだから!!


ちょうど、TRY第五話目を見た後に作ったお話だったと思います。
この五話目が私は一番好き、でした。あと、十二話、十三話あたりも美味しいんですけれど(ゼロ×フィリ好きにはねー)。
何か、本当ならゼロスの口から“幸福”なんて言う言葉吐かせるのって、ありえないんでしょうね。
何だか変な議論してるし…
自分で書いといて、読み返して???
でも、多分これって私の思うところの“幸福論”なんでしょうね。
あまり、深く読まないで下さい。

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7921わーい♪らいあ 9/25-07:47
記事番号7832へのコメント

こんにちは、はじめまして〜。
らいあと申しますです。(^^)

いいですねぇ、ゼロフィリ・・・(ほぅ)
見つけたゼロフィリ小説かたっぱしから返信して回っておる者です。(笑)
なかなかないんで・・・(−−;;

幸福論。
なんだか、凄く考える所がありました。
わたしも授業かなんかでそんな事やったなーと。(1000字くらいの作文書かされましたね。)
でも難しいですよね。結構。

それではでは。(^^)