◆−遠くにいても7−神無月紗羅(9/29-23:20)No.7961
 ┗Re:遠くにいても7−るいーだ(10/1-11:21)No.7986


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7961遠くにいても7神無月紗羅 E-mail URL9/29-23:20


こんにちわ、神無月紗羅です。
ツリーが沈んでしまってそのままほっておいたこの小説(爆)
覚えてくれている方はいらっしゃいますでしょうか?(^^;

それでは、ゼルリナもどき小説。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

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翌朝。
「ちょっと町まで行ってくるね」
何気なく言った言葉に、ゼルの動きが止まる。
「・・・リナ・・・?」
「──依頼を、受けたの」
ゼルの瞳を見、ゆっくりと呟く。
「あたしじゃなきゃ・・・駄目なの。だから──」
戸惑いを隠せないでいるゼルにあたしは柔らかく微笑んだ。
「待ってね・・ね?」
ただの夢だと、そう言ってしまえば終わる事。だけどそんな簡単な言葉で終わらせるなんて、あたしには出来ないから。
祈るような思いでゼルを見つめる。
一瞬の沈黙の後、ゼルは小さく頷いた。
「気をつけて・・・行ってこい」

この街に来たのは初めてだった。なのに──懐かしいと思う自分がいて。
見慣れない町並みをあたしはどんどん進んでいく。
知っているから。そう、ジュリアさんが教えてくれた。あたしが進むべき道を。
「・・・ここ・・ね」
街外れの小さな家の前であたしは立ち止った。ここがジュリアさんが生まれ育った家。
古びた、少々荒れの見えるその家は何処か生活感にかけていて。
全てを拒否するようなその空気にあたしは一瞬躊躇し、そして扉を叩いた。
「──開いてる」
返ってきた言葉にあたしはゆっくりとその扉を開く。
扉から射し込む光が薄暗い部屋を照らし出し、その部屋の片隅に蹲る男の姿を現わした。
ジュリアさんの・・・父親。
ゆっくりと顔を上げあたしの姿を認めると、まるで値踏みするような視線であたしを見る。
その視線に背筋がぞっとするが、あたしは瞳を逸らさなかった。
そう、ここで引くわけにはいかないのだ。
ジュリアさんの為に、ゼルの為に。そして何よりあたし自身の為に──
「・・・なんの用だ?」
「──ジュリアさんの話を聞きに」
冷たく凍りついた瞳があたしを射抜く。しかしその瞳に臆する事無くあたしは言葉を続けた。
「そして、貴方の気持ちも」
「そんな事を聞いてどうする?聞いた所で今更どうなると言うんだ?」
自嘲的なその笑みは全てを否定していた。・・・たぶん、ジュリアさんの死さえも。
そうしなければ今まで生きてこれなかったのかもしれない。でもそれは──あまりにも悲しすぎる。
「たぶん──どうにもならないでしょう・・ね」
ジュリアさんの死によって閉ざされてしまった心を開かせることが出来るのは、きっとジュリアさんだけだ。
だけどジュリアさんのあの想いを少しでも伝えたい。それしかあたしには出来ないから。
「そう、わかっていてお前は聞くのか?」
「──ええ。あたしは、知りたい」
重い沈黙とぶつかる視線。その視線を先に逸らしたのはジュリアさんの父親だった。
「・・・・・・・・・・・・・・ジュリアは・・・たった一人の私の家族であり、私の生きている証だった」
ふいに零れ落ちた言葉は力なく宙に溶ける。
「私の・・・・・・全てだったんだ」
ここではない、どこか遠くを見る瞳。きっとその視線の先にあるのは、遥か過去の幸せな風景。
けれど──
「ジュリアさんが貴方の生きてる証、って言ったわよね。
じゃあ、ジュリアさんはどうなるの? ジュリアさんが生きた証は誰がもっているの?
貴方がジュリアさんの死を否定したいのはわかる。
でもそれはジュリアさんが生きていた事さえも否定する事じゃないの?」
あんな理不尽な事で殺されて。それでも、「誰も恨んでいない」と。「自分は幸せだった」と。
そう笑っていたジュリアさんのその微笑みの裏に隠された哀しみは。
誰にも理解される事無く、そしていつか時の流れに埋もれ形を無くす。
そう、その『想い』を受け止めてくれる相手がいなければ、その『想い』がこの世に存在しない事と同じなのだから。
そんなの・・・あまりに悲しすぎる。
「うるさいっ!黙れっ!!
 いったいお前に何がわかるって言うんだ!!!」
思わず言い募ったあたしの言葉を鋭い声が叩き切った。

to be continue・・・

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7986Re:遠くにいても7るいーだ 10/1-11:21
記事番号7961へのコメント

きゃあ★
こんなところで神無月さんと会えるとは思わなかったので,めちゃびっくり!
インターネットって凄いですねぇ(^^

「遠くにいても」
さっそく過去の小説から探し出して1〜6まで読みました。
ゼルがとってもかっこいいです。
本編の方ではあまり書かれていませんが、きっとこーゆうことも過去にあったのだろうと思うと,ゼルLOVEな自分としてはやはり切ないっす(><
でもその横にリナがいるから、ゼルは逃げないのだろうなぁと感じました。

一般的にゼルとアメリアのカップリングが多いですけど、でも私はこーゆうふうにゼルと支え会えるのはやはりリナしかいないと思います。

続き待ってますので、頑張って下さいね♪