◆−I for you−松苗 潤(10/4-11:54)No.8009
 ┗I for you(後)−松苗 潤(10/7-12:33)No.8021
  ┣Good!!!−なゆた(10/8-00:20)No.8022
  ┃┗Re:Good!!!−松苗 潤(10/8-08:47)No.8031
  ┗Re:I for you(後)−うさびん(10/9-00:52)No.8035
   ┗ありがとうございます〜−松苗 潤(10/12-12:12)No.8049


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8009I for you松苗 潤 10/4-11:54


 うきゃあああぁぁ!!まさか感想いただけるとは思ってませんでした。
 しかも後編ではなく中編・・・。うさびんさん、葉夢さん、そして
 もしほかに読んでくださっている方々いたらごめんなさいです(汗)
 もうしばらく私の駄文におつきあいくださいませ・・・。それではまた
 のちほど・・・

__________________________________


 「グルルル・・・・。」

 白い牙、とがった耳、がっちりとした体には、どす黒く茶色い太い毛が
 ごわごわと生えている・・・。そこからのぞく血のように紅い双眸は、
 いきなり自分の獲物横取りした者への怒りがこもり、禍禍しい光を
 放っている。

 「悪いが、お前さんの獲物はお預けだよ」

 そう言って、ゼルガディスは相手を挑発するかのように、口の端を上げる。
 その態度が気に障ったのか、人狼は、狂ったようにぜルガディスに向かっ
 て突進してきた。

 「ギャオオオオォォウ!!」

 ゼルガディスにむかって、鋭い爪が振り下ろされる。その爪は、先ほど
 の親子のものであろう、赤い血がべったりとはりついている。

 「少々、おいたが過ぎたようだな・・・お前は・・!」

 そうつぶやくと、その爪をすれすれのところでかわし、後ろへと跳びのく、
 反動で、フードとマスクがとれ、彼独自の銀色の髪があらわになる。
 すばやく呪文の詠唱に入るゼルガディス。

 「恨むんだったら、こんな街沿いのところまで出てきた自分を恨むんだ
  な!雷撃破(モノ・ヴォルト)!!」

 強力な電流が獣人の体を貫き、獣人は声もなくその場に崩れ落ちた。
 焼けただれた悪臭が、辺りに充満する。
 その匂いに、吐き気を覚えながらも、ゼルガディスは少年を抱えて、
 アメリアのもとへ駆け寄った。

 「様子はどうだ?アメリア」

 「もう大丈夫です。出血も止まりましたし、傷口も塞がりました。」
 
 見ると、母親の顔にも、血色が戻り始めている。

 「ううぅ・・・ん」

 「あっ、気がつきましたか?気分はどうです?」

 「あのこ・・・、ティム・・・、ティムは・・・!?」

 「お前さんの息子ならここだ。」

 そう言って、ゼルガディスは、アメリアに支えられて身を起こした母親
 の傍に、そっと少年を横たえた。

 「あぁ・・・ティム・・!!ありがとうございます・・・本当に・・・」

 気を失っている息子を、その存在を確かめるように、ぎゅっ、と抱きし
 める。
 アメリアもその様子に、ホッと息をはいた。

 「・・・ん・・お母・・さん・・・?」

 母親の腕の中で、少年が目を覚ました。こちらもゼルガディスによる
 治療呪文を受けて、無傷の状態に戻っている。

 「よかった・・・!ティム、目が覚めたのね!?この人達が私達を助けて
  くれたんだよ・・・。」 

 そう言って、息子をうながす。
 まだ、意識がはっきりとしていないのか、少年はぼんやりとした様子で
 ゼルガディス達の方へ顔を向ける、その瞬間、

 「うわああああぁぁぁっっ!!」

 喉が張り裂けんばかりの悲鳴をあげ、ティムは母親にすがりついた。
 その眼には、恐怖とおそれの色がありありとでている。

 「どうしたのよ、ティム!まだ、どこか痛むの!?」

 「化け物・・・!化け者がいる・・・!!お母さんたすけてえぇ!!」

 その言葉に、ゼルガディスは、ハッとして頭に手をやる。彼の容貌を隠し
 ていたフードとマスクは、先ほどの戦いの時に取れている。
 
 母親の方も、あらためて、自分たちを助けてくれた人物の風貌を見て、
 内心の動揺を隠しきれないでいる。

 岩で出来た青黒い肌、それを覆う針金のような銀色の髪、そしてそこから
 のぞくエルフのようなとがった耳・・・・。

 アメリアは、はっとしてゼルガディスの方を見やると、薄暗い森の中の
 せいか、その表情までは見えないが、彼の唇が、震えているのが解る。

 「ゼルガ・・・」

 「先に宿にむかっていてくれ。俺は少しぶらついてから行く。」

 少女の呼びかけを半ば遮るように、ゼルガディスは、サッと立ち上がると、
 その親子に背を向け、森の奥へと立ち去って行った。

 「ゼルガディスさん!!」

 今や、静寂を取り戻した森の中、少女の悲痛な声が響き渡る―。



 彼は―、振りかえらなかった・・・・





____________________________________

  
 はいっ!中編終わりです!!うぅ・・・なんか暗くなってきたなぁ(死)
 ゼルがめちゃめちゃかわいそうになってますね(汗)
 後半はちゃんとゼルアメしますんで(笑)、どうか見捨てずに読んでやって
 ください・・・。では後編でお会いしましょう。

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8021I for you(後)松苗 潤 10/7-12:33
記事番号8009へのコメント

 はい。やっと後編です。ちなみに上の方が中編になるので、読んでない
 方はそちらからお読みください。でわでわ〜〜〜。
 

===================================

  サラサラサラ――――・・・・


 もはや太陽もほぼその全身を隠し、あたりはシンと静まり返っている。
 水面に反射された月の光が、青年に影を落としていた。

 森を抜けたところにある泉のほとりで、ゼルガディスはその身を投げ出
 していた。

 ―――いつものことだ―――

 無意識につぶやかれた言葉。
 それは彼自身への慰め。

 ・・・・けれど・・・・

 彼の中にあるのは、やり場のない怒りと、どうすることもできない
 やるせなさ・・・

 今まで、何度繰り返されたであろう。
 別の生き物を見るような目と、吐き出される暴言。
 何度、その身に受けて来たことか。

 「くそっ!」

 胸の中にある黒く、冷たいものを吐き出すかのように、ゼルガディスは
 鋭く叫んだ。

 ―――化け物――――

 繰り返された言葉は、強烈な毒として、彼の身体を、心を、ジワジワと
 侵してゆく。そして、彼の中にまた新しい傷をつくりだす。

 決して癒されることのないであろう、深い・・・傷を・・・

 「そろそろ街に下りるか・・・。」

 ひとつ息を吐くと、ゼルガディスは鉛のように重くなった足をひきずる
 ようにして、身を起こした。
 振り返り、その眼の先にあるものを見つけると、息を呑む。

 ――誰か、いる。―――

 彼のすぐ近くとも言える場所に立っている、一本の老木の根元のところ
 に、服の端らしきものが見える。しかし、とりたてて何かを仕掛けてくる
 ・・・ということはなさそうである。それどころか、殺気や敵意すら
 感じられない。
 息を殺し、足音をたてないようにして、その木に近づく。すると・・・

 
 「アメリア・・・。」

 そこには、老木にその身を預け、クークーと寝息をたてている、小さな
 少女の姿があった。
 その頬に軽く触れると、ひんやりとしている。

 「こいつ、いつからここにいたんだ・・・?」

 おそらく、この様子からいって、かなり長いことそこにいたことは確かだ。

 あの後―――ゼルガディスがアメリアと親子を森に残して立ち去った後、
 その後を追ってきたアメリアは、彼に追いついたものの、声を掛ける
 こともできずに、ただ、彼が動くのを、じっと待っていたのだ。
 
 もうかれこれ3,4時間は経過している。しかも、今は秋から冬へと
 季節が繋がる時期であり、夜になると、空気も凍てつくような寒さに
 なる。合成獣である彼にとっては、たいしたことではないが、彼女に
 とっては――――・・・・

 見ると、唇は紫がかっており、そのふっくらとした頬も、青ざめている。

 「ばかが、ずっと待っていることもないだろうに・・・・。」

 胸の中に、熱いものがこみ上げてくる。
 彼の中で、凍っていた何かが、溶けてゆく―――・・・

 「ん・・・んん・・・」

 少女はピクリと身を震わすと、うっすらとその瞳を開く。
 大きな蒼い瞳が、目の前の青年を捕らえる。

 「ゼ・・・ゼルガディスさん・・・!?」

 「いったい何をやってるんだ、お前は!?」

 ビックリして跳ね起きた少女に、やや不機嫌な声を投げかける。
 
 「え!えぇと・・・その、そろそろ街に行かないかな〜なんて・・・。
  その、お腹もすいてくる頃ですし・・・。」

 あたふたとなにやら弁解じみた口調で話す少女を、ゼルガディスは
 黙ったまま、じっと見つめていた。
 ふいに、その手が少女へとのびる。

 「な・・・ゼルガディスさん!?」

 いきなり抱きすくめられ、アメリアの顔の体温がいっきに上昇する。
 反射的に、逃れようとする少女の身体を、青年はさらにきつく抱きしめる。

 「いつからここにいた・・・・?」

 耳もとで囁かれる言葉に、アメリアの顔はさらに赤く染められる。

 「つ・・・ついさっきですっ」

 「嘘だ」

 言って、抱きしめる腕にまた力を込める。少女を壊さない程度に・・・。
 
 しばらくの間、二人は黙ったまま抱き合っていた。
 心地よい時間が、二人の間に流れる。
 先に、口を開いたのはアメリアの方だった。

 「ゼルガディスさん・・・。」

 青年の名を呼ぶ。
 優しく、暖かい声。
 ゼルガディスは黙ったまま耳を傾けた。

 「あの・・・、あまり一人で抱え込まないでくださいね・・・?私
  ・・・じゃあまり頼りにならないかもしれませんが、リナさんや
  ガウリィさんもいますし・・・。」

 「ああ・・・。」

 少女の言葉が嬉しかった。彼女なりに励まそうとしてくれているのが
 よくわかる。

 「苦しい時、一人はだめです・・・。辛くなったら言ってください。
  私でも、話を聞いてあげることぐらいはできますから。あんまり
  考えこむと体にもよくないし・・・それから・・・えっと・・・」

 伝えたいことがうまく言えず、もどかしい。
 腕の中で目を白黒させている少女を見ていると、思わず笑みが零れて
 くる。

 先ほど、つくられたばかりの彼の傷が、ゆっくりとふさがってゆく。
 感じていた痛みが、やわらぐ。
 そのかわりに、腕の中の少女への想いが、こみあげてくる・・・。

 「お前には、助けられてばかりだな・・・・。」

 「そんな・・・!そんなことないです!逆にいつも助けられているのは
  私の方で・・・」

 とっさに反論しようと、弾かれたように上げられた顔を、ゼルガディスは
 両の手で、そっとはさんだ。
 少女の大きな瞳が、さらに見開かれる。

 「アメリア・・・・・。」

 愛おしむように、少女の名を呼ぶと、ゼルガディスは自分の顔を少女の
 顔に近づけていった。
 そっと閉じられる、アメリアの瞳。

 月の光によって映し出されたふたつの影が、その距離を急速に縮める。

 ――――唇が、重なった・・・・・――――




 ・・・・かのようにみえた。
 怪訝そうに瞳を開けてみると、なぜかゼルガディスはフルフルと身を震わ
 しており、その額には青筋がたっている。

 「・・・・で・・・?いつまでそうしているつもりだ・・・・!?」

 押し殺したような声でゼルガディスの口から紡ぎ出されたその言葉に、
 アメリアはハッとして茂みの方へ目をやった。

 「てへ。やっぱバレた?」

 「おしい!もうちょっとだったのになぁ。」

 「いやぁ、残念でしたねぇ。」

 気まずそうに草をかきわけて出てきたのは、街にいるはずのリナとガウリィ 
 ・・・・そして・・・、

 「ゼロス!なぜお前までここにいる!?」

 真っ赤になった顔を隠すように、片手で覆うと、ゼルガディスはニコ目の
 獣神官に怒鳴った。

 「いや、それはですね。何気なくそこらへんをうろついていたら、そこは
  かとない負の感情を感じまして、その美味しそうな匂いにひかれて
  現れたところに、あなたたちがいた。というワケでして、ハイ。」

 まるで解説でもするかのようなエセブリーストの言葉に、ゼルガディスは
 軽い目眩をおこした。

 「でも、ゼルもやるときゃやるわね〜。」

 「案外、すみに置けないな。」

 「“甲斐性なし”という汚名も、これでいくらかは返上できますね〜。」

 ――――ブツン――――

 口々にはやしたてる三人をよそに、ゼルガディスの中で、何かが音をたて
 て切れた。

 『凍える魂持ちたる覇王・・・・・』

 何処からともなく、静かな、かつ怒りをこめられたカオスワードが紡ぎ
 出される。

 「あら?ゼルちゃん??」

 「なんだゼル、急に呪文なんか唱え出して・・・。」

 「なかなか高等な魔法のようですけど・・・。」

 サ――――っと血の気を失った三人を、ゼルガディスは殺気を含めて
 睨み付ける。

 『我に与えん、氷結の・・・・怒り・・・』

 「べべっ・・・別にあたし『あ〜、おもしろいもん見せてもらったわ〜。
  さーて、明日どうやってからかってやろうかなぁ〜。』なんてミジンコ
  ほども思ってないわよ!!」

 「そうだぞ!俺だって『これをネタに口止め料として、おごってもらおう』
  なんてこと、ぜんぜん、まったく、これっぽっちも思ってないからな!」

 「僕だって、『は〜あ、獣王さまにいい土産話ができた。』なんて、猫の
  毛の先ほども思ってませんからね!!」

 ボロボロと本音を吐きまくる三人を追い詰めると、ゼルガディスはいっきに
 呪文を開放した。

 「今までの記憶・・・全部抹消してやるよ!!覇王氷河烈(ダイナスト・
  ブレス)!!!!」

 闇の静けさを打ち破る轟音が、森の中にこだました。

 その様子を遠目でみながら、アメリアが人知れずため息をついていたこと
 は、言うまでもない・・・。


====================================

 はいっ!おわりです〜。いかがだったでしょうか?(汗)
 なんか中編ゼルがめちゃめちゃ不幸になってますが(死)、終わりよければ
 すべてよし!・・・ということで・・・見逃してください(+_+)
 でもゼルにとってアメリアはほんと特別な女の子だとおもうんです。
 彼女にしか彼の傷は癒せないでしょう。
 それではここまでお付き合いくださった方々、ありがとうございました〜

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8022Good!!!なゆた E-mail URL10/8-00:20
記事番号8021へのコメント


 どうも、松苗さん。なゆたです〜。
お作、読ませていただきました。

 いっや〜、やっぱゼルアメはいいっすね。
傷ばっかり抱え込んでいるゼルガディス。それを無意識的に癒しているアメリア!
う〜ん、いいなあ。

 個人的には、ラストのぶち切れゼルもかなりお気に入り(はぁと)
やっぱりゼルアメにはお邪魔虫が出てこなくてわ!!(なぜか力説)
しれっと、ゼロスが出て来る辺り、ぐぅです!
まあ、リナはいつも通りという事で・・・・・・・・。
 そして!今回一番驚いたのは
> 「そうだぞ!俺だって『これをネタに口止め料として、おごってもらおう』
>  なんてこと、ぜんぜん、まったく、これっぽっちも思ってないからな!」
 ガウリィにこんな高等な駆け引きが出来るなんて!!(ガウリィファンの人ごめんなさい)
 でもでも、正直笑ってしまいました。
 ラストのオチ最高でしたよ〜。

> なんか中編ゼルがめちゃめちゃ不幸になってますが(死)、
 はっはっは、大丈夫です。ゼルはなぜか不幸の似合うキャラ。最後に幸せ(アメリア?)が待っていれば、私的には万事OKです!!

 短い上に乱文ですが、これにて失礼いたします。

                    なゆた

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8031Re:Good!!!松苗 潤 10/8-08:47
記事番号8022へのコメント

うにゃああぁぁぁ〜〜〜〜!!!なゆたさんご感想ありがとうございます〜〜
 まさか私の崇拝する(笑)なゆたさんから感想いただけるとは思ってもみ
 ませんでした。嬉しいお言葉の数々ほんとありがとうです〜〜〜!
 小説書いたの初めてだったので内心不安だったのですが(汗)そういって
 もらえるとほんとうれしいです。
 おそらくまた懲りずにここに現れると思うんで・・・その時はまた読んで
 やってください。ではでは〜〜〜〜。

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8035Re:I for you(後)うさびん 10/9-00:52
記事番号8021へのコメント

こんにちは。読ませていただきました!

これって理想のゼルアメ像です。尽くすアメリアと尽くされるゼルがすごいいいです。
アメリア優しすぎる〜なんて可愛い娘なんだろう。セルが心を動かされて当然です。

ああ二人とも可愛い〜。次も期待してます!では。

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8049ありがとうございます〜松苗 潤 10/12-12:12
記事番号8035へのコメント

  またも感想ありがとうがざいます♪
  そう!尽くすアメリア&尽くされるゼルは私の理想なんです。
  なんていうか心の支えっていかんじがするんですよね。
  次回もゼルアメでやろうと思いますので、気がむいたらまた
  読んでやってください。では短いですが失礼いたします。
  ではでは〜〜