◆−もうひとつの・・・(前)−かたつむり(10/9-17:26)No.8040
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 ┗もうひとつの・・・(後)−かたつむり(10/12-15:30)No.8050
  ┗お疲れさまでした!−P.I(10/12-21:02)No.8051
   ┗ありがとうございます!!!−かたつむり(10/14-15:43)No.8057


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8040もうひとつの・・・(前)かたつむり E-mail 10/9-17:26


う〜ん・・・。
あたしはさっきからひとつの気配に悩まされていた。
街を出てしばらくした時、あたしは誰かにつけられていることに気がついていた。
はじめはあたしの趣味を邪魔しようとするガウリイかとも思ったのだが、どうも彼とは違うらしい。人気のない森の中に入っても何も仕掛けてこない所を見るとあたしを倒して名を挙げようとする輩でもなさそうだし・・・
よ〜しっっ
あたしはいきなり走り出し、しばらくしてちょうどあたしのからだが丸々隠れるくらいの木の陰に身を隠す。
正体見せてもらおうじゃないのっっ

気配が近づいてくる。
走っているようだが・・・はて・・??
あれ?もうそろそろ姿が見えてもいい頃なんだけど・・・
あたしが隠れている所。その辺りは森の中なのだが、月明かりに照らされて結構明るくなっている。おまけに切り株がところどころにあり、見通しはそれほど悪くない。だから見えないはずないのだ。
と、思った途端っ!ガサッと近くで音がする。
しまったっ
少し焦りながら音のした方を向くが姿はない。
慌てて辺りを見回すがそれらしい影も・・・
どうしてー?

「きゃわわわわっっ」
その時、どこからか人の声が、それもどこかで聞いたことのあるような声がした。
え?今の声、足元から?
ふと下を見るとそこには、
手のひらサイズの・・・・・・・・・・・あたし?

「どえええええぇええぇええぇぇぇぇぇっっ!!?」

「はあい(はあと)」
森の中に響き渡るあたしの結構情けない叫び声を聞きながら、それは引きつった笑いを浮かべつつ小さく右手を振ってそう言った。


「で?あんた誰?」
何とかショックから立ち直るとあたしはまず現状の理解を試みた。
・・・まだちょっと頭がクラクラするなぁ・・・
「見てのとおり、アタシはリナよ。わからない?」
彼女は近くにあった小さな切り株に腰掛けるとそう言った。
「リナはあたしよ、っていうかどうしてあんたそんなに小さいわけ?」
彼女と話す為あたしはしゃがみこむ。
「そう?アタシにしてみれば「どうしてあんたそんなに大きいの?」ってかんじだけど」
と、彼女は苦笑混じりに答える。
あ、言われてみればそれもそーねー。
話している間、というかこのリナと名乗るこの小さな彼女に会ってから、あたしはずーっと彼女を見ていたのだが・・・う〜ん、見れば見るほどあたしだわ、こりゃ。
彼女は、あたしと同じ栗色の髪に紅い瞳、全く同じ顔をしていた。そう、大きさ以外は。
服装はあたしの魔導士ルックとは違って、ここ数年あたしがほとんど着ることのなかった、可愛い水色のワンピースである。う〜ん、やっぱあたしってば、か・わ・い(はあと)
じゃなくてっっ
「えっと・・・とりあえずあなたの名前がリナだってことはわかったわ。それで?あなた何者なわけ?どうしてあたしとそっくりなのよ?それにあたしの後をつけたりして。きりきり吐いちゃいなさいよ。」
ずずいっと迫るあたしに、小さい<リナ>は引きつった笑いを浮かべると右手の人差し指を口の前に持っていきつつこう言った。
「それは・・・秘密よ(はあと)}
「どこぞの魔族と同じこというなああぁあああぁっっ」
あ、勢いで飛ばされてやんの。
切り株の反対側にずり落ちそうになっている<リナ>を両手で受け止める。
さあて、これからどうしようか。
とりあえず、今夜の楽しみは延期になりそうね・・・。
<リナ>を切り株に戻すとあたしは小さなため息をついた。


<リナ>はため息をついていた。
何でこんなことになっちゃったんだろ。
もうすぐ・・・なのに。あーあ、言うこと聞いておとなしくしておけばよかったかなぁ。でもでもっ、やっぱ勝てないわよねぇ、好奇心には。未知なるものへの探求心を失くしたら魔導士じゃないわっ
そうっそうよっうんうんそうよねぇ〜。そうと決まれば・・・・・

<リナ>はおもむろに顔を上げるときっぱりこう言った。
「わかったわ、リナ。これから事情を説明するからよく聞いてね。信じる信じないはあなたの勝手だけど。ぶっちゃけて言っちゃうと、アタシはこの世界の人間じゃないの。なんていうか、鏡のようにこの世界と似た性質を持った世界があるのよ。アタシはあなた、あなたはアタシ。同じだけど、決して同じではない。世界は対になって出来ているの。こっちの世界ではあまり知られてないと思うけど。」
<リナ>が淡々と話すのを聞きながら、あたしは正直混乱していた。
確かにこの世界とは別の世界が無数にあると言うのは聞いたことがある。金色の魔王が創造した世界。混沌の海に突き立つ無数の杖。それに支えられた無数の世界。<リナ>の話によると、その一つの丸く平らな世界は鏡のように相対するふたつの世界を持って成り立っているのだという。そして、<リナ>はあたし達の世界の対となるもう一つの世界から来たのだという・・・
にわかには信じがたい・・・信じがたいのだがっ・・・・
目の前にこれだけそっくりな<リナ>がいるのに否定はできないじゃないの・・・・
はぁ、小さなため息をつくと、
「で?なんであたしのあとをつけてたわけ?」
「え?いや、あのね、こっちに来てすぐリナを見つけたんだけど、声をかけずらかったって言うかさ・・・驚くだろうなぁと思って。」
そりゃそうだわ。
「それで?どうやって<リナ>はこっちの世界に来れたの?」
あたしの当然といえば当然といえる素朴な質問に、なぜかジト汗の<リナ>。お〜い、目が泳いでるよ。何したんだアタシ。
「え〜っとぉ〜、アタシの世界では一生に一回こっちの世界を覗くことが出来るの。そして自分ではない自分を見ることが出来るんだけど・・・」
ぼそぼそと言葉をにごす<リナ>。
「覗くだけなんでしょ?どうしてこっちの世界に来れるのよ。」
突っ込むあたしにあさっての方を見ながら
「あれは事故だったのよ・・・神殿の奥にあるこの世界を写す泉の前に立ったアタシは・・・この泉に入ったらどうなるのかなー?(はあと)なんてことを思い付いてしまって・・・気がついたら飛び込んでいたわ・・・・」
ずりっっ・・・
コ・・コケるぞ・・・な〜にをやってるんだか<リナ>は。
でもまぁ確かに入ってみたくはなるか。
「ったく、どこが事故よ。で?どうやって帰るの?もちろん帰り方はわかってるんでしょうね。」

「わかんない(はあと)」
ずしゃああぁ・・・・
はっ、何故目の前に草花さんがっ!きれーねー
じゃなくてっっ

「ナ〜ニを考えてんのかなぁ、あんたはっ。どうすんのよっ帰り方わかんなくてっ」
起き上がって詰め寄るあたしに脅えつつぶりっ子ポーズをとる<リナ>
「だってぇ、ヒマだったんだもん。ガウリイにも会えないし、あんまし外出できなかったしぃ〜」
やあめてぷりーず。あんまし自分のぶりっ子ポーズは見たくないかも。
「アタシだって結構焦ってるんだから。時間がないのよ。帰れなかったら・・・・あたしだって楽しみにしてたのに・・・・」

「って、え?あんたの世界にもガウリイがいるの?」
尋ねるあたしに<リナ>は当然のごとく答える。
「当たり前じゃない。世界は同じなんだから。この世界と同じだけ人もいるわ。」
そっか・・・。
違う世界でもあたし、ガウリイに逢えたんだ。
広い世界の中で・・・
あれ?でもさっき逢えないって言わなかったっけ。
「でも、逢えないってどうしたの?一緒にはいないってこと?」
あたしの問いになぜかうつむいてどもりながら、
「あっ・・・えっとね、あの、一緒にはいるんだけど逢えないっていうか、逢ったらだめっていうか・・・それもあと一日の辛抱だったんだけどね。」
と、理奈が言う。
ん?心なしか赤くなってない?顔。
「よくわかんないわよ、それ。」
「あ、あはははっまーまーいいじゃないのっそれよりリナはどこ行くつもりだったの?って聞かなくてもわかってるけどね。麗らかな乙女が夜中に出かけるトコなんて、ひとつっきゃないわよね〜]
さすがあたし!よくわかってるじゃないっ。
「もちろん、盗賊い・じ・め(はあと)よっ」と、なぜかガッツポーズをとるあたし。
「くくぅっやっぱり!アタシも、元の世界に戻れるんだろうか?とかいった不安でいっぱいのこの胸の痛みをとるのはやっぱり盗賊いじめしかないと思ってたのっ。さっそく行かない?ちょうどいい時間じゃない?」
「よっしゃ!れっつごー!」


と、いうわけであたしは当初の予定通り盗賊のアジトに向かうこととなったのだった。
「あ、もちろん分け前は半分ずつよね」
と、<リナ>はにっこりきっぱり言い放って。


続くっ!
===========================

どうも、はじめまして!初投稿となります、かたつむりです。
いやぁ、とうとうやってしまいました・・・。
生涯一読者でいるつもりが無謀にも・・・・
とにかくここまで読んで下さってありがとうございます。
でも、一応ガウリナなのにまだガウリイ出てきてないし・・・(^^;

感想、意見、文句等のメール待ってます。

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8041Re:もうひとつの・・・(前)P.I E-mail 10/9-21:03
記事番号8040へのコメント

かたつむりさん、初めまして。ガウリナ大好きの回遊魚、P.Iと申します。
これが初投稿なんですか?すごい!(感心! @0@)

別世界からやってきたリナ、彼女は無事もとの世界に帰れるのか?
彼女の世界のガウリイはいまどこに?
なんだかワクワクしますね〜!
続きを楽しみに待ってます。ガウリイにも早く会いたい!
頑張って書いてくださいね。
それではまた!

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8050もうひとつの・・・(後)かたつむり E-mail 10/12-15:30
記事番号8040へのコメント

作者に変わってお伝えします。お馬鹿な作者が言い忘れましたが<>で囲ってあるのが別世界の方のリナさんたちです。御了承下さい♪
(特別出演:ゼロス様)

では、続きをどうぞ

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「火炎球ーっ!!」
ちゅど〜〜んっ!!!

ぎゃああああぁぁぁああぁああ!!


「炎の矢ーっ!!」
ちゅどどどどどどどっっ!!

・・・ぅぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!・・・

「破弾撃ーっ!!」
ばごごごぅっっ!!

・・・っ!・・・・・・・・・・



「あっけないわね〜。アタシとしてはもうちょっと粘って欲しかったんだけど。」
と、<リナ>が累々と横たわる盗賊達を横目に言う。
あたし達は、あれからまっすぐ盗賊団のアジトに向かった。
いかにもな建物と見張り。
もうちょっと工夫してもよさそうなものなのに、盗賊くんたちはやはり馬鹿だった。
先手必勝の名のとおりあっさりと勝ってしまったあたし達。
イマイチ物足りないと思うのは乙女の必然ってやつかしら。

「いいじゃない、あれでも頑張ったほうじゃない?それでは行きますか?奥へ(はあと)」
と、あたし。
当初の目的を果たすべく、足取りも軽く奥へと向かう。

ちなみに、今<リナ>はあたしの右のショルダーガードの上に座っている。移動するのにあの大きさでは辛いだろうからってことで、ここにおさまったのだ。
・・・しかし、肩の上で「炎の矢」をぶっ放されたときにはさすがにヒヤ汗みたいなものが出た。無茶するなぁ、ってアタシか、これ。
いつのまにか、あたしは<リナ>の存在に抵抗を感じなくなっていた。慣れってこわいわ。

「けっこう広いわねぇ、ここ」
奥へと続く通路を進みながらそんな事を言っていたとき、いきなり背後に気配がっ!?
「<リナ>っ!」しまったっ!まだ残っていたかっ!!
小さく名前を呼びながらショートソードに手をかけ反転する!
って、あれ?


振り返ったアタシの視線の先にいたのは<ガウリイ>だった。
間違いなく、アタシの。


あたしの目の前に立っていたのは自称保護者のガウリイだった。
「あれー?どうしたのガウリイ?もしかして一緒に盗賊いぢめやりたかったとか?」
と、あたしが言い終えるより早く
「<ガウリイ>っ!」
<リナ>?
浮遊術でガウリイの方に行く<リナ>
その先にいるのは・・・ガウリイと、<リナ>と同サイズ、まぎれもなく<リナ>の世界のガウリイだった。


「やっぱり盗賊いじめに来てたか。」ガウリイは呆れ顔でそう言った。
「そっちの<リナ>も。2人揃っても、リナはリナだなぁ」
「本当だなぁ。大きさが違ってもやることは同じなんだな。」
ガウリイの右肩に座っていた<ガウリイ>もまた同じように呆れ顔で浮いている<リナ>と、あたしをかわるがわる見ながら言った。

「う・・・なっ当然じゃないっアタシはアタシよっ!!」と、<リナ>が空中で腰に手を当て胸をはる。
「そ、そうよっこれからがいいところなんだから邪魔しないでねっ」と、あたしも向きを変え奥に向かおうとする。が、ガウリイに腕を捕まれ動けない。
「駄目だ。」ぴしゃりというガウリイ。
「え?でもお宝が・・・」
「駄目だ。」
「あたしを待って・・」
尚も食い下がろうとするあたしの目をひた、とみすえて
「駄目だ。」
う〜・・・お宝さん(涙)・・・
尚も未練を残しつつしぶしぶガウリイに従うあたし。
・・・こういう時のガウリイには逆らわない方がいいことをあたしは知っていた。
明日取りにこよ〜っと。

「え〜っそんなぁ」
地面の降り立ちながらぶつぶつ言ってる<リナ>
「お前なぁ、それどころじゃないだろ?俺が何のためにここまで来たと思ってるんだよ。明日だぜ?早いトコ帰らないとみんな心配するだろ。」
と、同じく降ろしてもらった<ガウリイ>は言った。
「わかってるわよっでも、どうやって帰るのかわかんないんだから仕方ないじゃない。」と、<リナ>は横を向いて答える。
アタシだって、帰れるもんならとっくに・・・
「そうなのよ。帰り方がわからないらしいの」
と、あたしはガウリイに向かって言った。
「いや、そんなことはないみたいだぜ」ガウリイは<ガウリイ>の方を見ながら言った。
「なぁ、戻れるって言ってたよな?」

「ああ、戻れるぜ。ほら、これ見て」と、ガウリイはなにやら自分の頭の方を指差した。
ん?よく見るとうっすらと白い糸のように光が伸びている。それは1メートル程のところでぷっつりと途絶えていた。いや、その先は・・・・??
「ゼルや、アメリア達が魔力の?糸?みたいなので俺とあっちの世界とを結んでるんだと。で、俺が合図したらあっちに戻れるようになってるらしい。」
ぐわしっっ
「なぁ〜んですって!じゃ、アタシ達・・・戻れるのっ!?」
<ガウリイ>の胸ぐらをわしづかみにし、ぶんぶん揺さぶる<リナ>
「わっ、ちょっ、や、やめろって戻れるからっ」
ぽいっ
「やったぁ〜!!よかったぁ。本当に戻れるんだぁ!」
<ガウリイ>を放り出し、キラキラ目になりながら大喜びの<リナ>
その様子を眺めていたガウリイがぼそっと、
「・・・俺ってなんかかわいそうだなぁ。」
と、一言。
それを聞きつけたあたしの視線を感じ、慌ててあさっての方を向く。

「いや、俺の方はかわいそうじゃないぜ」
ガウリイにむかっていう<ガウリイ>
「なんたって明日は・・・な?」と、リナの方を向きながらウィンク。
かああああああっ!!
これでもか、と言うほど赤くなる<リナ>
え?どうしたんだろ。
「実はなぁ・・・」げしっ!!
何かを言いかけた<ガウリイ>の後頭部に蹴りをいれ黙らせる<リナ>
赤くなりながら、口をぱくぱくさせている。

「あはははは、な〜んでもないのよ、なんでもねっ」と、<リナ>
何でもなさそうには見えないんだけど?
でも、あんまり突っ込んで聞かない方が言いような気がする。
「さ、さあてっ帰る方法もわかったし、そろそろ帰らない?」
「そうだな、腹も減ってきたし帰るとするか。」
<リナ>はあたしの方を向くと、
「じゃ、アタシ達そろそろ帰るわ。多分、もう二度と会えないと思うけど・・・元気で。ま、簡単にはくたばらないけどね、アタシ達(笑)」
「当たり前じゃない。あんたも元気で。」
・・・なんだか淋しいかも。
ガウリイと<ガウリイ>も何か話している。
くるり、と振り返ると、
「じゃ、<ガウリイ>!いくわよっ」
「おう、じゃあな。」
<ガウリイ>は<リナ>の手を取ると目を閉じた。
その瞬間
二人の身体は光に包まれ、虚空へと消えていった・・・


「行っちゃったね・・・はあ、な〜んか疲れちゃったわ」
つぶやくあたし。
ん?なんか、ぼ〜っとしてない?ガウリイ。
じっとガウリイを見てたことに気づいたのか
「え?ああ、なんたってリナが二人だもんな。性格まで瓜二つ。」
と、軽口をたたくガウリイ。
「なぁ〜んですってぇ〜」
あたしの怒りのオーラを感じたのか、
「あ、あはははは。それより俺達も帰ろうぜ。」と、歩き出す。


街へと続く、月明かりの夜道を歩きながら、あたしはふと、気にかかっていたことを口に出した。
「そういえば、あの二人なんか明日がどうとか言ってたけど、なんかあるのかな?」
あれ?返事がないや。
あたしのすぐ後ろを歩いていたはずのガウリイ。
振り向いてみると、なぜか立ち止まっている。月明かりをせにしているので顔は見えない。

「ガウリイ?」どうしたの?
「ほら、とっとと宿へ帰るんでしょ」
返事がない。
「ガウリイってば。」と、傍に行く。
「ガウ・・」「リナ。」
もう一度あたしがガウリイの名を呼ぼうとしたとき、ガウリイがあたしの言葉をさえぎって呼んだ。
「リナ、明日あいつらに何があるのか知りたいか?」
「え?・・まあ、仮にもあたしなんだからあれも。けどなんで?」
ガウリイの顔を見上げる。
「結婚式だと。」
・・・・・・・・
「は?」
「だから結婚式。」
「・・・誰が?」
「あっちの世界の俺とリナ」
「・・・・・・・・・っって!?」
かあああああああああああああっ!!!
自分でもわかるくらい顔があつい。そう、去年の夏もこれくらい暑かったわよね〜ってっあああああああああっ自分でもパニくってんのがわかるっっ
「え、う、あの、んと・・」
「リナ」
「な、なによ」
「俺達もしよっか」
「な、なにが」
「だから結婚式」
「はい?」
「だから結婚しよう」
「なっ何を冗談・・・」
言ってんのよ。と笑い飛ばそうとしたあたしはそれ以上言えなかった。
・・・言葉を紡ぎ出す唇は塞がれていたのだから。

「!!」
どんっ!
あたしはとっさにガウリイを突き飛ばしていた。
嫌じゃなかった。嫌じゃなかったのに・・・
「なにすんのよっ」
そんなつもりないのに、視界がぼやけてくる。
やだ、泣きたくない。
くるり、とガウリイに背をむける。

「リナ」
ぽつり、とガウリイが言った。
「嫌か、俺と結婚するのは」
ばか、そうじゃないわ。
「すまん、忘れてくれ。」
何を忘れろって言うのよ。
「俺は・・・ずっとリナが好きだった。」
あたしは・・・・
「保護者とか言いながら、ずっと、そう思ってた」
あたしは・・・・
「今日、違う世界から来っていう俺そっくりのあいつが、さ、言ったんだ。明日結婚式だって。羨ましくてさ。俺はまだリナに気持ちも伝えてないのにっね。・・・だから、かな。。ほんとはまだ黙ってるつもりだったんだけど。」
あたしの気持ちは・・・
「俺、あきらめないから。お前が振り向いてくれるまで待つさ。毎日お前に鍛えられてるからな。うたれ強いんだぜ。ま、もしお前に好きな奴ができたら遠慮なくいってくれ。そんときはちゃんと祝福してやるさ」
あたしの・・・・
「さ。、帰るぞ急いで帰らないと朝がつらいぜ。」
ぽん、とあたしの背中をひとつ叩いて歩き出すガウリイ。
・・・・・・。
おもむろに顔をあげるあたし。
すぱこ〜んっ!!
「いてぇ〜って、あにすんだよリナっ」頭を抱えるガウリイ。
「う・る・さ〜いっスリッパではたいただけじゃないのっごたごた言わないっ!」
スリッパ握り締め叫ぶあたし。
「さっきから聞いてれば、ひとりで話しすすめちゃってさっ!あ、あたしがいつ、その、ガウリイのこと嫌っていったのよっ」
「え?だってさっき・・・・」
「あ、あれはっ・・・その、びっくりしたのっまさかガウリイが・・・その、キス、なんてしてくるとは思わなかったし」顔が赤らむのがわかる。
「大体っいきなり結婚しようだなんてっ」また視界がかすむ。
「リナ?」
「信じらんなかったのよ、あんたいつもあたしのこと子供扱いしてたくせに。だからあたし・・・」
頬を伝って落ちていく
「リナ」
ガウリイが不覚にも零れ落ちてしまったあたしの涙をぬぐう。
「お前が泣いたの初めて見たな。」
「あたしだって、人前で泣いたのなんて初めてよ」
ガウリイの両手があたしの顔を包み込む。
「子供扱いでもしなきゃやってらんなかったよ。日毎に綺麗になっていくリナをただ見てるだけってのはけっこうつらいんだぜ?」ふっと笑ってあたしの顔を覗き込む。
ガウリイの顔がこんなに近い。
「リナの気持ちを聞かせてくれないか?」
あたしは・・・
「あたしは、ガウリイが、好きよ。」
一言一言、確かめるように口にする。
初めて言葉にした本当の気持ち。
最初はなかったのにね、こんな気持ち。
「結婚しよう。」
いつからだろう、ガウリイが特別になったのは。
もう、離れられない。離れたくない。
「うん。」
どちらからか、自然に2度目のキスをする。
今度は少し長めの・・・・・



「そろそろ宿に帰るか。」
まだ、ぼ〜っとしているあたしの手を引いて歩き出すガウリイ。
顔、赤いだろうなぁ、あたし。
「あ、明日の朝、ゼルやアメリアに報告しないとな。」
かあああああああぁああぁぁ!!



かくして次の日の朝、あたし達はさんざん二人から冷やかされることとなったのだった・・・・・・ガウリイは幸せそうだったけど・・・・・・

だあああああぁあぁぁああああっ!!!!もうっ
「黄昏よりもくらきもの・・・以下省略で竜破斬!!!」
ちゅどぉぉおおおおおおぉんっっ!!

「リ・リナさぁん、照れ隠しで宿破壊するのはやめてくださいよぉ(泣)」



終わり♪

追記:2日後、あわててお宝さんを迎えに行ったけど、もぬけの殻だった・・・・
すっかり忘れてたあ〜っ(泣)


===================================
ふ・ふにゃぁああ〜疲れた(^^;
なんとか、最後まで書き上げました!
後半になって、やっと、ガウリイでてきました(汗)
ところで、前編でリナが一生に一度だけ違う世界のじぶんを見れるって言ってましたけど、その一度っていうのが結婚式の前夜なんですね。二人で揃ってみるんですけど、先に神殿に着いちゃったリナは勝手に泉へ行っちゃったんですね。
もしかしたら、番外で書くかもしれません。読みたいですか?

途中、いきなりガウリイ君積極的になっちゃいました。
いきなりプロポーズ!いや、書いたの私なんですけどね。
彼もいままで我慢してたんですよ、多分(笑)
まぁ、結婚するまでは清いままで頑張れリナちゃん。
耐えられるのかガウリイ!?ってかんじですかね(爆)
スミマセン、今やたらハイになってます(^^;
それでは、ご意見などお待ちしております。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
誤字脱字など、ご容赦下さいませ。
(前編でリナが里奈になっていた(汗))













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8051お疲れさまでした!P.I E-mail 10/12-21:02
記事番号8050へのコメント

かたつむり様
ふにゃ〜ぷろぽおずう〜〜〜(はぁと)
すっごく良かったです。お疲れさまでした!
後半積極的だったガウリイくん、あっちの二人に告白する勇気を
もらったんですね〜。素直なリナの涙、可愛かったです!
あちらの<ガウリナ>はどうやって婚約まで漕ぎ着けたんでしょ?
外伝・・・期待してもいいですか?(^^)

素敵なお話をありがとうございました!

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8057ありがとうございます!!!かたつむり E-mail 10/14-15:43
記事番号8051へのコメント



うぅっ...(泣)
ありがとうございます....
感謝感激です,ほんとに!
外伝がんばりますね♪
でも,ここに上げるのに時間のかかる私(^^;
精進します(笑)
ではでは,またお会いしましょ〜