◆−前夜祭〜協奏曲〜−ほーんてっど・ざ・みらー(11/7-16:35)No.8124
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8124前夜祭〜協奏曲〜ほーんてっど・ざ・みらー URL11/7-16:35


なんかテストとかでしばらく来なかったらずいぶん下まで行ってしまった様なんで、ここから続きを書く事にします。お暇がある方は読んでやってください。

前夜祭〜協奏曲〜

姉ちゃん達に引きずられ教室に戻ったあたしを出迎えたのは、おもしろいほど驚くクラスメートたちの姿だった。
「・・・・・・」
当たり前と言えば当たり前なこの反応にあたしは小さくため息をついた。
しかし、その十分後・・・

「なかなか美味しいじゃない」
「ゼラス、こっちのお菓子もいけるわよ」
「ルナちゃん、ゼラスちゃん、こっちもなかなかおいしーよ」
「紅茶のお代わりいかがです?」
・・・十分後、姉ちゃんとゼラスとダルフィンの3人はあたしの予想に反してここ1―Bにしっかりと溶け込んでいた。おまけに明日の売り物のお菓子を食べてたりする。そしてその周りには女の子達が黄色い声を上げながら集まっている。あたしはそれを眺めつつ、十分前と同じくため息をついた。
「どうしたんです・・・ってまあ聞かなくてもわかりますけど・・・」
声のする方に目を向けると、丁度横手にアメリアが立っていた。
「・・・じゃ聞かないで・・・」
われながら哀愁の滲み出まくった声だった。
「いいかげん元気出してくださいよ。あ、そーだ。いい話聞いたんです。それ教えますから元気だしてください。ね」
「・・・いい話?」
訝しげに問うあたしを無視して(というかすでに自分の世界に入りこんでしまったのかもしれなかったが)アメリアは話し出した。
「《前夜祭》って知ってます?」
特定の行事の前夜に景気をつけるために行う催し」
「そう!それですっ!」
皮肉たっぷりに辞書の言葉をそのまんま言ったがまるで通じなかった。
「で、毎年泊りがけで行う学園祭の前夜、つまり今日の夜なんです!」
「・・・で、それがどーかしたの?」
「ええ。毎年行われるこの前夜祭にはいくつかジンクスがあるんです」
「ふ―ん・・・」
「その中の一つに、前夜祭に結ばれたカップルは幸せになれるっていうのがあるんです!!」
「へー・・・で、アメリアは?」
「え・・・いや・・・えーと・・・」
あたしの質問にアメリアはそれまで合わせていた視線を思いきり外して誤魔化そうとした。
「・・・ゼルでしょ?」
ぼそりと耳元で呟くと、アメリアは顔を真っ赤にして手をばたばたと振った。実にわかりやすい反応である。
「ま、頑張ってね!」
まだわてわてと暴れてるアメリアの肩を叩いて声援を送ったが、聞こえてないかもしれない。
「さて、どーしたもんだか・・・」
状況は先ほどと変わりないが、いつこの均衡が崩れるかはわからない。考えた末に出した結論が、
「アメリア、あたし今から出かけてくるわ!」
急いでこの場を離れる事だった。
「え、あ、ちょっとリナさん?!」
驚くアメリアの声には構わず、教室の外に出ると一気に廊下を駆け出した。


ばたんっ!!
「おや、リナさん時間ぴったりですね」
「・・・へ?」
とりあえず生徒会室に逃げ込んだあたしに聞こえたのはその一言だった。ふとよく見ると、中央の大きなテーブルに十数人の生徒が座っている。
「それじゃあ始めましょうか」
そのテーブルの一番奥に座ったゼロスが皆に声をかける。
「・・・あ!」
思い出した!確かゼロスが今日の放課後代表委員会があるとか言ってたっけ。…すっかり忘れてた・・・
「・・・リナさん?」
「え・・・あ、いや。なんでもないわよ」
ゼロスの声で我に返り、慌てて席に座る。
「えーと、では明日の学園祭についてそれぞれのする事と場所の確認を。まず風紀委員会は校内の見回り、広報委員会は記録と撮影・・・」
手元の紙を読み上げていくゼロスの声を聞き取りながらワープロに打ち込んでいく。いいかげんめんどくさくなったころ、ようやくそれが終了した。
「・・・放送委員会は司会。これで全部ですね。あと、これは明日の予定です。目を通しておいて下さい」
ヴァルガ―ヴが全員の前に淡い紫色の上質紙を配る。紙は少し厚めで大きさも程よい。
「質問のある方は?」
「・・・いませんね。それじゃこれで代表委員会を終わります」
それを合図に皆がばらばらと椅子から立ち上がる。その姿が生徒会室から消えてからほどなく、あたしはワープロを打つ手を止めた。
「終わった―!!」
「お疲れ様です」
ゼロスがワープロの画面を覗きこむ。あたしはそれをぼけっと眺めながら、先ほどアメリアに言われた事を思い出していた。
「・・・前夜祭・・・か」
「前夜祭がどうかしましたか?」
気がつかず言葉に出していたらしい。慌てて言い訳を考えるが、
「い、いや、別に・・・」
出てきた言葉はフォローにすらなってなかった。が、助け舟は思わぬところからやって来た。
「それって前夜祭にまつわるジンクスだろ?」
「・・・なんです?それ?」
「なんか女子の間で流行ってるんだよ。いくつか在るらしいんだが少なくとも俺は知らないな。フィリアは全部言えるとか言ってたが」
「へ―、そんなものがあるんですか」
ゼロスが感心した様に呟く。
「リナさん知ってました?」
「いや、あたしもアメリアからさっき一つ聞いただけだったし」
「どんなのです?」
「え・・・」
聞かれてあたしは戸惑った。言えば済むのだが、女子に話すのと男子に話すのでは天と地ほども違う。しかも今回はいろんな意味で相手が悪すぎる。
「あ、あたしクラスの手伝いしてくるわ!じゃーね―!」
三十六計逃げるにしかず。あたしはダッシュでその場を走り去った。
・・・なんかこのパターンが多くなってきている自分が少し悲しい。

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8152Re:前夜祭〜協奏曲〜11/10-16:46
記事番号8124へのコメント

ほーんてっど・ざ・みらーさんは No.8124「前夜祭〜協奏曲〜」で書きました。
>
>なんかテストとかでしばらく来なかったらずいぶん下まで行ってしまった様なんで、ここから続きを書く事にします。お暇がある方は読んでやってください。
>
>前夜祭〜協奏曲〜
>
>姉ちゃん達に引きずられ教室に戻ったあたしを出迎えたのは、おもしろいほど驚くクラスメートたちの姿だった。
>「・・・・・・」
>当たり前と言えば当たり前なこの反応にあたしは小さくため息をついた。
>しかし、その十分後・・・
>
>「なかなか美味しいじゃない」
>「ゼラス、こっちのお菓子もいけるわよ」
>「ルナちゃん、ゼラスちゃん、こっちもなかなかおいしーよ」
>「紅茶のお代わりいかがです?」
>・・・十分後、姉ちゃんとゼラスとダルフィンの3人はあたしの予想に反してここ1―Bにしっかりと溶け込んでいた。おまけに明日の売り物のお菓子を食べてたりする。そしてその周りには女の子達が黄色い声を上げながら集まっている。あたしはそれを眺めつつ、十分前と同じくため息をついた。
>「どうしたんです・・・ってまあ聞かなくてもわかりますけど・・・」
>声のする方に目を向けると、丁度横手にアメリアが立っていた。
>「・・・じゃ聞かないで・・・」
>われながら哀愁の滲み出まくった声だった。
>「いいかげん元気出してくださいよ。あ、そーだ。いい話聞いたんです。それ教えますから元気だしてください。ね」
>「・・・いい話?」
>訝しげに問うあたしを無視して(というかすでに自分の世界に入りこんでしまったのかもしれなかったが)アメリアは話し出した。
>「《前夜祭》って知ってます?」
>特定の行事の前夜に景気をつけるために行う催し」
>「そう!それですっ!」
>皮肉たっぷりに辞書の言葉をそのまんま言ったがまるで通じなかった。
>「で、毎年泊りがけで行う学園祭の前夜、つまり今日の夜なんです!」
>「・・・で、それがどーかしたの?」
>「ええ。毎年行われるこの前夜祭にはいくつかジンクスがあるんです」
>「ふ―ん・・・」
>「その中の一つに、前夜祭に結ばれたカップルは幸せになれるっていうのがあるんです!!」
>「へー・・・で、アメリアは?」
>「え・・・いや・・・えーと・・・」
>あたしの質問にアメリアはそれまで合わせていた視線を思いきり外して誤魔化そうとした。
>「・・・ゼルでしょ?」
>ぼそりと耳元で呟くと、アメリアは顔を真っ赤にして手をばたばたと振った。実にわかりやすい反応である。
>「ま、頑張ってね!」
>まだわてわてと暴れてるアメリアの肩を叩いて声援を送ったが、聞こえてないかもしれない。
>「さて、どーしたもんだか・・・」
>状況は先ほどと変わりないが、いつこの均衡が崩れるかはわからない。考えた末に出した結論が、
>「アメリア、あたし今から出かけてくるわ!」
>急いでこの場を離れる事だった。
>「え、あ、ちょっとリナさん?!」
>驚くアメリアの声には構わず、教室の外に出ると一気に廊下を駆け出した。
>
>
>ばたんっ!!
>「おや、リナさん時間ぴったりですね」
>「・・・へ?」
>とりあえず生徒会室に逃げ込んだあたしに聞こえたのはその一言だった。ふとよく見ると、中央の大きなテーブルに十数人の生徒が座っている。
>「それじゃあ始めましょうか」
>そのテーブルの一番奥に座ったゼロスが皆に声をかける。
>「・・・あ!」
>思い出した!確かゼロスが今日の放課後代表委員会があるとか言ってたっけ。…すっかり忘れてた・・・
>「・・・リナさん?」
>「え・・・あ、いや。なんでもないわよ」
>ゼロスの声で我に返り、慌てて席に座る。
>「えーと、では明日の学園祭についてそれぞれのする事と場所の確認を。まず風紀委員会は校内の見回り、広報委員会は記録と撮影・・・」
>手元の紙を読み上げていくゼロスの声を聞き取りながらワープロに打ち込んでいく。いいかげんめんどくさくなったころ、ようやくそれが終了した。
>「・・・放送委員会は司会。これで全部ですね。あと、これは明日の予定です。目を通しておいて下さい」
>ヴァルガ―ヴが全員の前に淡い紫色の上質紙を配る。紙は少し厚めで大きさも程よい。
>「質問のある方は?」
>「・・・いませんね。それじゃこれで代表委員会を終わります」
>それを合図に皆がばらばらと椅子から立ち上がる。その姿が生徒会室から消えてからほどなく、あたしはワープロを打つ手を止めた。
>「終わった―!!」
>「お疲れ様です」
>ゼロスがワープロの画面を覗きこむ。あたしはそれをぼけっと眺めながら、先ほどアメリアに言われた事を思い出していた。
>「・・・前夜祭・・・か」
>「前夜祭がどうかしましたか?」
>気がつかず言葉に出していたらしい。慌てて言い訳を考えるが、
>「い、いや、別に・・・」
>出てきた言葉はフォローにすらなってなかった。が、助け舟は思わぬところからやって来た。
>「それって前夜祭にまつわるジンクスだろ?」
>「・・・なんです?それ?」
>「なんか女子の間で流行ってるんだよ。いくつか在るらしいんだが少なくとも俺は知らないな。フィリアは全部言えるとか言ってたが」
>「へ―、そんなものがあるんですか」
>ゼロスが感心した様に呟く。
>「リナさん知ってました?」
>「いや、あたしもアメリアからさっき一つ聞いただけだったし」
>「どんなのです?」
>「え・・・」
>聞かれてあたしは戸惑った。言えば済むのだが、女子に話すのと男子に話すのでは天と地ほども違う。しかも今回はいろんな意味で相手が悪すぎる。
>「あ、あたしクラスの手伝いしてくるわ!じゃーね―!」
>三十六計逃げるにしかず。あたしはダッシュでその場を走り去った。
>・・・なんかこのパターンが多くなってきている自分が少し悲しい。
>

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8177前夜祭〜合奏協奏曲〜ほーんてっど・ざ・みらー URL11/16-17:17
記事番号8124へのコメント


前夜祭〜合奏協奏曲〜

あれから教室に戻るわけにも行かず、あたしはずっと廊下をぶらぶらと歩きつづけている。ふと近くの教室を覗くと時計が5時を指していた。さっき生徒会室を出たのが4時半だったから30分こうしてた事になる。
「・・・暇ねー・・・」
別に口にするつもりはなかったが、やっぱり他にする事がないのでしゃべってみた。いや、本当のところ明日の準備で暇どころか忙しいのだが…
「・・・ふう・・・」
・・・こんな事をしてる辺り、暇人以外の何者でもないような気がする。けど、先ほどまで忙しかったし、これっくらいの休息はあったっていいような気もする。
「うん、そーよね」
あたしはそう決め付けると、くるりと方向回転。しかし、歩き出そうとした矢先、誰かに腕を掴まれた。
「リナちゃん捕獲ー!!」
そして聞こえる明るい声。半ば身を引きつつそちらを見ると、やたらと嬉しそうな顔であたしの腕を掴むゼラスとダルフィンの姿が目に入った。しかし、いると思われたもう一人の姿が見えない。
「・・・あれ?姉ちゃんは?」
不思議におもって聞き返す。ついでに掴まれた腕も離そうとするが、華奢な腕のどこにそんな力があるのか、掴まれた腕を振りほどく事は出来なかった。
「ああ、ルナちゃんなら今お仕事中よ」
「そうそう。それに、ルナのとこ連れてく為に来たんじゃないのよ」
「・・・へ?」
「だ・か・ら、ちょっとそこまで付き合って☆」
それだけ言うと、こちらの返事も聞かずに歩き出すゼラスとダルフィン。…もちろん腕は掴まれたままなのであたしも一緒である。
(・・・今日って絶対厄日だわ・・・)
あたしは引きずられる様に歩きながら今日何度目かのため息をついた。

「いくつ買えば足りるかしら?」
「あ、これなんかおいしそうね―」
着いた先は学園から20分くらいのところにあるおいしいと評判のパン屋さんだった。二人はわいわいはしゃぎながら次々に食べ物を籠に入れていく。ちょうどお腹も減ってきたし、それにつられてあたしも3個入りサンドイッチを3つとやきそばパン1つ、マフィンとドーナツも二つづつ、それとワッフル3つとアップルパイ一つ、あとパックのりんごジュースも買った。そして二人の方を見ると・・・
「これも入れていい?」
「それよりこっちの方がおいしいわよ」
「そーかなー?」
・・・まだ選んでたりする。店の中で食べるわけにもいかず、かといって外はこの時期冷え込んでくる。しばし考えて、とりあえずあたしは待つことにした。
・・・が、結局二人が選び終わったのはほぼ店内を一周してからだった。

学校へつくとすでに7時を回っていた。この時期でこの時間ではもう既に真っ暗である。しかし、学園では学園祭の準備をしてあるだけあって、あちこちから声と明りが漏れて来ていた。ゼラスとダルフィンはまだやる事があるとか行ってどこかへ行ってしまった。
それを見送って、あたしはふと自分のクラスの準備をほっといたままだという事を思い出した。さすがにそれはまずい。
「・・・行くしかないか」
あたしは覚悟を決めて歩き出した。

半開きの扉に手をかけて中を覗きこむ。かわいくセッティングされた室内に幸い姉ちゃんはいなかったが、皆もいなかった。不思議に思って中に入って見渡せば、黒板にでかでかと走り書きがしてある。
“只今調理室にて作業中!!ご用の方は調理室まで”
ぱんっ!ぱんぱんっ!!
あたしがそれを読み上げたその時、何かが破裂するような音が聞こえてきた。それに何かが割れるような音と悲鳴も追加される。耳を澄ますまでもなく、それらは調理室から聞こえてくるものだとわかった。
「・・・なにやってんのよ・・・」
これ以上ほっとくと何が起こるかわからない。あたしはしぶしぶながらも調理室へと走り出した。

調理室は少しどころかかなり酷い状況だった。
室内には煙が立ち込め、床にはさっきのものだろうか皿が落ちていた。テーブルというテーブルはどれも台が見えないほど荷物が散乱し、床にはげほげほと咳き込むクラスメートたちの姿。
「あ、リナさん!」
こちらを見つけたアメリアが、駆け寄ってくる。そして、こちらが何かいうより早く、口を開いて話し始めた。
「実は私達明日の準備をしようと思って・・・けど、リナさんが教室出たっきり戻らないんで仕方なしに私たちでやってみたんですけど・・・」
と、ここで言葉を切り後ろを見やる。
「・・・何故かケーキが爆発したんですよね、あはは・・・」
「・・・いったいどーいう作り方したのよ・・・」
「何って普通に作ってただけですけど?」
不思議そうに辺りを見回すアメリア。しかし、その言葉はこの状況には欠片も当てはまらない。
「ともかくリナさんも手伝ってください。でないとこれ終わりそうにないんですから!」
あたしは先ほどより少し煙が引いて見やすくなった室内を見回し呟く。
「・・・なんでこう次から次へと・・・」
思わず押し寄せた疲れと持ってた荷物を横に置いといて、息を吸うと、中にいる全員に聞こえる様に叫んだ。
「中にいる人全員起きて!っていうか起きろっ!起きない奴は窓から逆さ吊りの刑に処すっ!!」
なんか我ながら無茶なこと言ってる様な気もするけど、一応気絶してたような奴も飛び起きたからよし!
「女子は作るの手伝って!・・・えーと男子は・・・ここの掃除でもしててっ!」
かくしてスレイヤーズ学園高等部1―Bの学園祭に向けてのラストスパートが始まった。


ケーキの上にクリームを乗せて均一に伸ばす。そして、ある程度トッピングした後、ナイフで8個に切り分ける。フルーツケーキは中の形を崩さない様に切り分けてバスケットに並べる。チーズケーキとチョコレートケーキをペアにしてある程度皿に並べた後、残りを形が崩れない様に一所に集める。マシュマロとクッキーは淡いピンクの紙が敷いてある皿において、ゼリーとプリンは冷蔵庫に押し込んで冷やした。
そして、出来あがったそれらを教室まで慎重に運び、埃がかからない様それぞれにナプキンを掛けておく。
『やった―!!終わった――!!!!』
皆が喜び騒ぐ。そしてあたしもようやく一息着く事が出来た。
「じゃ、解散―」
その誰かの一言に、皆ばらばらと教室から出ていく。あたしもアメリアに別れを告げ、教室を出ようとした時、ぐう、と腹がなった。
ここに至ってあたしは自分がまだ夕食を食べてない事を思い出した。ちなみに時計を見ると今は11時だった。
「・・・よくもったわねー」
今まで気付かなかったのが不思議なくらいである。あたしは2階の調理室まで取って返すと先ほど買った夕飯の袋を探し出した。
「あった、あった(はぁと)」
愛しの夕食さんに頬擦りをしてから廊下を歩き出す。
ここの階は使われてないらしく電気もついてはいない。ついてはいないのだが、窓から入る外の光とざわめきで暗くて怖いというより神秘的な空間を作り出していた。
あたしはどことなくうきうきして廊下を進む。歩くたびに変わって見える情景が面白さを引きたてているような感じすらした。と、足取り軽く進むあたしの前方になにやら人がいるのが見えた。あたしは近づくにつれ次第にはっきりしてくるその人を少し観察してみた。
おそらく歳は25、6くらい。腰の辺りまである長いブロンドの髪とこの季節では寒いと思われるような肩を出した漆黒のロングドレス。長めの前髪に隠れて顔はよく見えないが、なかなかの美人だと思われる。ここのような神秘的な空気が似合っている。
そこまで観察した後、向こうがこちらに気付いた。

 * * * * * * * * * * * 
初めはこの話で終わるつもりだったんですけど、書いてるうちに、またちと延びたみたいです。・・・って、この話全体はゼロリナなんですけど、ゼロス君出てきてないですね・・・
えーと、でも次で終わるっていうより終わらせる・・・いや終わるといーな―くらいかも・・・