◆−Line− その前に一言−緋桜海凪(11/15-14:23)No.8172
 ┣Line−1−緋桜海凪(11/15-14:30)No.8173
 ┃┣Re:Line−1−P.I(11/25-01:22)No.8210
 ┃┃┗感謝感激ですぅ〜−緋桜海凪(11/26-19:42)No.8221
 ┃┗Re:Line−1−tomomi(11/26-18:37)No.8220
 ┃ ┗いえいえ、とんでもないです。−緋桜海凪(11/26-19:51)No.8222
 ┗Line−2−緋桜海凪(12/1-16:20)No.8252
  ┣お待ちしてましたよっ!−P.I(12/2-05:13)NEWNo.8255
  ┗Re:Line−2−tomomi(12/2-19:12)NEWNo.8257


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8172Line− その前に一言緋桜海凪 11/15-14:23


 初めまして。緋桜海凪(ひおうみなぎ)と申します。
 このLineは、某所で発表したガウリナ作品の加筆修正版です。

 少々長いので、3つに分けたいと思います。
 でわ、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。

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8173Line−1緋桜海凪 11/15-14:30
記事番号8172へのコメント

 『Line』第1話です。

 これはガウリナですので、それ以外のカップリングをお望みの方は、
このままお戻り下さい。




*****************************************************




Line−1

  線を引かれた
  ここから君に入れない―――

***********************************

 「あんたたち、いったいどういう関係なんだ?」
  ここのところ、そういう言葉をよく耳にする。
  オレはそのたびにこう答える。

 「オレはこいつの保護者だよ」


 <おれはコイツノ保護者ダヨ>

  決まり切った言葉。
  出会ったときに引いた線を踏み越えないように、自ら創り上げた戒めの言
 葉。
  忌々しい言葉。
  オレを縛り付け、血を流させる言葉。

  この言葉を口にするのも辛くなってきた。
  出会ったときはまだ『子供』だった。
  保護者という言葉を使っても、心が苦しくなるなんていうことはほとんど
 なかった。
  でも今は?

  彼女はすっかり『女』らしくなってきた。
  彼女を見るたびに胸が締め付けられる。
  いずれはオレから離れていく……オレ以外の誰かの所に行ってしまうのだ
 ろう。
  そう思うだけで、胸が痛い。息ができないほどに胸が苦しくなる。

  どうしてなんだ?どうしてこんなに苦しくなるんだ?
  リナのことを想うだけで、胸が張り裂けそうになる。
  苦しい……苦しいよ……。
  この『線』を消してしまいたいよ……。

***********************************

 『オレはこいつの保護者だよ』

  あたしと彼を分ける線。
  オトナとコドモの関係を分ける線。
  彼のおきまりのセリフ。

  あたしを子供としか見ていない。見てくれていない。

  たしかに、あたしは彼よりかなり年下になる。
  でも、もう子供じゃない。
  結婚だってできるし、赤ちゃんだって産める。

  なのにどうして?

  いつまでたってもあたしは『コドモ』なの?
  どうやったらあたしを『オトナ』として見てくれるの?
  どうやったらこの『線』を消せるの?

  苦しい……胸が苦しいよ……ガウリイ……。


***********************************

 オレたちはのんびりと昼下がりの街道を歩いていた。
 ぽかぽかとした陽気が、心地よく肌を刺激する。
 でも、なんとなく気分が晴れない。
 リナがここのとこ元気がないせいだろう。
 何か考え込んでるみたいで、ため息ばかりついている。

「どうしたんだ、リナ?元気ないぞ」
 オレはたまりかねて口を開いた。
「そ、そう?」
「オレじゃ役に立たないかもしれんが、話せば少しはスッキリすると思うぞ」
 オレの言葉に、リナはポツリと答えた。
「……よけいにこんがらがりそうだからヤだ」


***********************************

「よけいにこんがらがりそうだからヤだ」
 あたしはそっけなく言った。
 ガウリイが少し傷ついたような表情をする。
 あたしの心がズキンと痛んだ。
 も少し優しく言えば良かったかな……。

「あんまり悩むとハゲるぞ」
 ガウリイはそう言って、あたしの頭をくしゃくしゃとなで回す。
 こういうとき、ガウリイは大人なんだと思う。
 そして、あたしは子供なんだと思う。
 こんなささいなことでも、あたしとガウリイを隔てる線がある。
 どうしても消せない、乗り越えられない線―――

「ガウリイ……。あたしのこと、どう思う?」
 あたしは胸の奥にため込んでいた思いを口にした。

「リナ……?」
 ガウリイの低い声であたしは我に返った。
「なっ、なんでもないの!気にしないで忘れて!」
 あたしはあわてて言葉を取り消した。
「気にしないでって、気にしないでいられるわけないだろう!」
 ガウリイが追い打ちをかける。真剣な表情。
「ただ言ってみただけじゃない!だから、気にしないでって言ってるでしょ!」
 あたしはそう言い捨てると走り出した。
 ガウリイの真剣な表情を見るのが怖くて……。答えを聞くのが怖くて……。
 あたしはそこから逃げ出した。


***********************************

 オレはリナを追った。
(いったいどうしたんだ、リナ?)
 オレは心の中で問いかける。
<あたしのことどう思う……?>
 そう言ったときの、リナの今にも泣き出しそうな表情が目に焼き付いて離れ
ない。

「いったいどうしたんだよ、リナ……?」


***********************************

 あたしは走った。ガウリイの気配が感じられなくなるまで走った。

「ここまで来たら大丈夫かな……」
 あたしは無我夢中で走っていたんで、よくおぼえてないけど、どうやら森の
中に入り込んでいたようだった。
 むせ返るような緑の匂いが、あたしの肺を刺激する。


「何が大丈夫なのかな、お嬢ちゃん」
 突然、背後からダミ声がした。
 呼吸を整えるまもなく、あたしは十数人のむさい連中に取り囲まれた。
(しまった!野盗連中が多い道だってこと忘れてた……!)
 いつものあたしなら大歓迎してたとこだけど、今のあたしは……。

「おまえがリナ=インバースだな?」
「……そうよ」
「ふん。確かに胸は小さいが、悪くはねぇな……」
 親分らしいダミ声の男は、なめ回すような視線であたしをつま先から頭の先
まで見る。
 あたしの身体にトリ肌がたった。
「何の用?あたし、あんたたちにおぼえはないわよ!」
「俺は別におまえを倒そうとかそういう気はねぇよ」
 ダミ声親分の視線が、あたしに絡み付く。
 あたしは服を着ているのに、ハダカにされているような気分になり、マント
で身体を包んだ。
「へぇ、珍しいこと言うのね。じゃ、何の用?」
「リナ=インバース。俺の女になれ」

 ……………………………………
「は?」
 我ながら、間の抜けまくった声で問い返す。
 こいつ……、今ヘンなこと言わなかった……?


「おまえにホレたのさ。その実力。その名声。すべてがこの俺にふさわしい女
としての条件を満たしている」
 ……完全にイッちゃってるわ、こいつ……。
「あんた、アタマだいじょうぶ?」
 あたしは心の底から言ったんだけど、相手はどうもそう思わなかったらしく
……。
「照れてるのか?可愛いやつだ」

 うひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?
 まだ、渋くてステキなおじさまなら考える余地はあるものの、なにが悲しゅ
ーて、こーんなむさくるしいオヤジの女にならなきゃなんないのよ!
 こんなヤツに出くわすハメになったのも、みーんなガウリイのせいだっ!

 自分でも理不尽なことを言ってるような気がしないでもないけど、とりあえ
ず、ガウリイに対して、怒りの言葉をぶつける。


 あたしはくるりと回れ右をすると、手近にいた部下その1を剣で斬り倒し、
包囲網を突破しようとした。

「逃がすな!」
 親分のダミ声と共に、部下その2〜8くらいが、一斉に襲いかかってくる。

「くっ!」
 あたしは小さくうめいた。
 1対1ならともかく、1対多数じゃ呪文の使えないあたしは、圧倒的に不利
になる。
 とりあえず、逃げるっきゃない!

 びゅん!

 風を切る音と共に、何かがあたしの足首に絡み付く。
「きゃっ!」
 あたしはそれに足を取られ、ハデにすっ転んだ。
 その拍子に何かの葉っぱで頬を切ってしまったのか、ちくちくと小さく痛む。
 足下を見ると、ロープの先に重りを付けただけのものが絡み付いていた。た
しか、トリさんを捕まえたりするときにつかったりする、ボーラーとかいうも
のだ。
 部下にその使い手がいたんだろう。
 あたしはあっという間に、部下数人に取り押さえられた。
「ちょっと!離しなさいよ!!」
 あたしはもがいてみせたけど、あたしを押さえつける腕はびくともしない。

「捕まえたぜ、お嬢ちゃん」
 ダミ声親分が、あたしの上にのしかかってくる。
「呪文は使わないのか?ひょっとして、あの日か?」
 かぁっとあたしの顔が真っ赤になる。
 たしかにその通りだけど、こいつにだけはそんなこと言われたくない!

「ちょうどよかったぜ。さるぐつわなんてしたら、いい声が聞こえなくなるか
らな」
 親分の手が、あたしの胸をまさぐる。
「いやぁぁぁぁぁっ!」
 このうえない不快感に、吐き気が襲ってくる。
 部下たちの下卑た笑いが、虚ろに耳に届く。

「いや!いやぁぁっ!」
 ガウリイにもこんなことされたことないのに……!!
 親分があたしの服に手をかけた。
 それが、あたしの限界だった。
「いやぁぁぁぁぁっ!ガウリイっ!ガウリイっ……!!」


*****************************************************
                 Line−2へ続きます。



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8210Re:Line−1P.I E-mail 11/25-01:22
記事番号8173へのコメント

はじめまして!
ガウリナ大好き、P.Iと申します。

リナちん、呪文が使えない日なんですか?
こーゆーときは尚更ガウリイに活躍してもらわなくっちゃ!
はやく出てこいクラゲ!んでもってまたあの名セリフを言ってほしいです!

続きを楽しみに待ってますよ〜♪

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8221感謝感激ですぅ〜緋桜海凪 11/26-19:42
記事番号8210へのコメント


>はじめまして!
>ガウリナ大好き、P.Iと申します。
 はい、初めまして。私もガウリナ大好きです。
 わ〜い、お仲間ですぅ〜♪

>リナちん、呪文が使えない日なんですか?
>こーゆーときは尚更ガウリイに活躍してもらわなくっちゃ!
>はやく出てこいクラゲ!んでもってまたあの名セリフを言ってほしいです!
 あの名ゼリフというと・・・、「きさまらに名乗る名前はない」ですか?
 おきまりですかねぇ。やっぱし。

>続きを楽しみに待ってますよ〜♪
 はうっ。
 も少し待ってて下さいまし・・・(汗)

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8220Re:Line−1tomomi 11/26-18:37
記事番号8173へのコメント

はじめましてtomomiです。
とてもよかったです。
どんな時でもリナはガウリイに助けを求めてしまうのですね。
続きを楽しみにしているのでがんばって書いてください。

感想になっていないかも・・・・・。

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8222いえいえ、とんでもないです。緋桜海凪 11/26-19:51
記事番号8220へのコメント


>とてもよかったです。
>どんな時でもリナはガウリイに助けを求めてしまうのですね。
 口ではなんだかんだ言ってますけど、やっぱり信頼してないと、一緒にいる事なんてできないでしょう。
 特に、リナみたいな性格の人は。
 も少し別のイミで素直になってくれたらなぁとは思いますね(笑)。

>続きを楽しみにしているのでがんばって書いてください。
 う゛・・・。
 完成してはいるんですけど、もう少し手直ししてからだしますので、待っててください(汗)

>感想になっていないかも・・・・・。
 とんでもないです。
 読んでいただけただけでなく、お言葉までいただいてしまったのですから、それだけでも嬉しゅうございます♪


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8252Line−2緋桜海凪 12/1-16:20
記事番号8172へのコメント

 お待たせしました。Line第2話です。

 ホントはもう少し早く出す予定だったのですが、個人的な理由からだいぶ遅くなってしまいました・・・(汗)。

 お待ちになっていた方も、そうでない方も、どうぞお楽しみ下さいませ。

 
***********************************

「リナ……?」
 どこか遠くでリナの声がした。しかも、助けを求めるかのような声。
「リナぁっ!!」
 オレはわき目も振らずに駆けだした。
 彼女の声がした方向に向かって、ただひたすら走った。


「リナっ!!」
 茂みを抜けたところで目に入ったのは、見るからにむさ苦しい男に組み伏せ
られた、小さな少女の姿だった。
 引き裂かれた服の胸元から、白い肌がのぞいていた。
「ガウリイ……」
 リナは涙で濡れた声で、オレの名をつぶやく。
 いつもとは違う、小さな……小さな声。

 オレは今までにないほど、激しい怒りを感じた。
 大切な女を辱めようとする奴らに。
 そして、彼女を護れなかった自分自身に……。


「誰だ、てめぇ?親分の邪魔するんじゃねぇよ」
 貧相な、ネズミを連想させる顔立ちをした小柄な男が、どこか舌っ足らずな
しゃべり方で近寄ってくる。
 こんな奴と付き合っているヒマはない。
 オレは無視して通り過ぎようとした。
「人をムシすんじゃねえよ!」
 耳障りな甲高い声。
 オレはそいつの方を向くと、剣を振り下ろした。
「うるさいんだよ……」
 べちゃりと肉塊が地面に落ちる。
 周りの男たちがざわめく。
「な、何をやってるおまえら!さっさとこの男を消してしまえ!」
 リナを組み伏せている男が叫んだ。
 こいつも耳障りなダミ声をしている。

 オレの口元に薄い笑みが浮かんだ。こんな風に微笑うのも久しぶりだ……。

 オレの心が、冷たく研ぎ澄まされる。
 久しく感じなかった、闘いの感覚。
 余計なものなど、一切感じない。
 ただ、目の前にあるモノを壊すだけ―――


「ガウリイっ!」
 気がつくと、もう誰もいなかった。
 ただ、血にまみれた塊―――人間の形をしていたモノが、地面に転がってい
るだけだった。

「リナ?」
 見回すと、リナはマントで身体を包むようにして、木の陰に隠れていた。
「大丈夫なのか?ケガはしてないか?」
 オレはリナに駆け寄り、思わず抱きしめたくなる衝動をこらえながら、問い
かけた。
「ん。大丈夫」
「あいつは?あの男はどこに行ったんだ?」
「逃げてっちゃった」
 リナはわざとらしいくらいに軽く言ったが、身体は小さく震えていた。
 オレにはそれが痛々しかった。
「今度会ったら殺してやる……」
 オレは小さくつぶやいた。

***********************************

「今度会ったら殺してやる……」
 ガウリイの小さなつぶやき。殺気が潜む、昏い声。
 あたしは思わず身を震わせた。
「寒いのか?」
 さっきとは打って変わった優しい声。
「だ、だいじょぶよ。ちょっと……怖かっただけ……」
 あたしの声も、少し震えていた。
「ったく……。呪文が使えないんだから、ムチャなことはしないでくれよ。心
臓が止まるかと思ったじゃないか」
 優しく、いたわるような声。
「ゴメン……。あたし……」
 うつむいたあたしの頭を、ガウリイは優しく撫でる。
「でさ、この近くに川か何かねぇのかな?」
「あ……」
 ガウリイは返り血を浴びて、真っ赤に染まっていた。
 たしかに、このままじゃいけないわね。
 あたしもどっかで着替えたいし……。
「んーと……。たしかこの街道、この辺りから川に沿って造られてるはずだか
ら、近くにあるはずだけど……?」
「そっか。じゃ、行こうぜ」
 いつもの通り、のほほんとした声。
「うん」
 あたしはどこか安心したようにうなずき、ガウリイと一緒に歩き始めた。


 そこから少し歩いたところに、川を見つけた。
 少し流れが速くて、深そうだけど……。
「も少し流れが緩やかなとこ、捜そうか?」
「ぜーたく言ってられないだろ。ちゃんと座ったりするくらいの場所はあるし、
ここにしようぜ」
「まぁ、そうだけどさ」
 あたしは荷物を適当に砂利の上に置くと、中から替えのシャツを取りだし、
茂みに入り込んで着替えた。

 戻ってくると、ガウリイはブレスト・プレートとブーツを脱いで、服のまま
ざぶざぶと川の中に入っていった。
 どうやら、あたしが戻ってくるまで待っていたらしい。律儀なヤツ……。

 あたしは少し離れたところで、彼のブレスト・プレートについた血糊を、濡
らしたハンカチで拭き落としてあげた。
 よく見ると、小さなキズがいっぱいついていた。
 ちょっぴしコゲてるとこがあるのは、あたしが呪文でぶっ飛ばしちゃったせ
いだろうか……?
 あたしはそんなことを思いながら、それを眺める。

「リナ」
「きゃわっ!?」
 いきなり呼びかけられたせいで、あたしは妙な悲鳴をあげてしまった。
「いきなし声かけないでよ!」
「ああ、すまん。それより、タオルか何か持ってないか?」
 振り向くと、彼はいつの間にか上半身ハダカになっていて、その長い金の髪
からは、ぽたぽたと水が滴となって落ちていた。
「きゃっ!何てカッコで出てくんのよ!」
「……リナ?」
 あたしは逃げるようにガウリイから離れると、荷物の中から大きめのタオル
を引っぱり出して、彼に向かって放り投げた。

 な、なんでこんなにドキドキするのよ!?
 下はちゃんと穿いてるし、あーゆーとこ初めて見るわけじゃないし……。

 なんで?なんでなのよ?
 うろたえるあたしを見て、ガウリイはくすりと笑うと、タオルを持って茂み
の中へ入っていった。

***********************************

「リナのやつ、なんで今さらあんなこと言うんだろうな?
 まさか、オレのこと『男』として意識したとか……?」
 オレはタオルで身体を拭きながら、苦笑した。

「そんなわけねぇよな……」

 オレは荷物の底から替えの下着と、サイズのあってないズボンを取り出すと、
それに着替えた。
 これはだいぶ前に買ったものだったんだが、どうも質の悪いものだったらし
く、洗濯したら縮んでしまったうえに、妙な形になってしまったので使えなく
なってしまった。
 捨てるのももったいないし、こういう緊急時に使えばいいかと思ってとって
おいたものだ。
 しかし、ホントに使うことになるとはな……。
 ウエストが少しキツくて、丈がひざの下までしかないうえに、すそがラッパ
のように広がっているというものだ。
 ま、乾くまではこれでいるしかないんだから、ぜーたくは言っていられない
けどな……。

「ガウリイー!火をおこしたから、こっちに来てあたりなさいよー!」
 リナの声だ。
 ホントにこういうことは気の利くやつだな。

 しかし、このカッコで出たら、大笑いされるだろうな。
 オレはそう思いつつ、茂みから出た。
 思った通り、リナはオレを見るなり爆笑しやがった。


「きゃははははははははは!なーによそのカッコ!あははははははは……!」
「仕方ねぇだろ。乾くまで素っ裸でいるわけにはいかねぇんだから」
「だからって、それは反則よぉ!あははははははは……!」
 よほどツボにはまってしまったのか、リナは笑いがとまらないようだった。
「失礼なやつだ」
 オレは半分くさりながら、リナを眺めていた。

***********************************

 あたしの笑いがようやくおさまり、あたしはあたしの作業を再開した。
 しっかし、あれはホント笑えるわ……。

 あたしは、あの親分に引き裂かれた服を繕い直していた。
「何やってるんだ、リナ?」
 不思議そうに訊いてくるガウリイに、あたしはワザと意地悪く訊き返した。
「見て解らない?」
「……すまん」
 ガウリイはいきなり頭を下げたので、あたしはびっくりした。
「なによ。いきなりどうしたっていうのよ?」
「おまえさんを護れなかった……。保護者失格だな……」
 ガウリイの言葉……。特に『保護者』と言う部分に、あたしの胸がズキンと
痛む。
 やっぱり、ガウリイは……。

「リナ?」
「なんでもない。ガウリイには関係ない」
 あたしは自分から線を引いた。
 これ以上傷つきたくなくて……。これ以上深入りしたくなくて……。
 あたしは線を引いて、そのことを遠ざけた。
 胸の痛みは、ズキズキとあたしを苦しめる。
 思わず涙が出てくるほどに……。

「いたっ!」
 あたしは針で自分の指を刺してしまった。ほんの少し、血が出てる。
 あたしとしたことが……。
「なにやってんだよ、リナ」
 ガウリイがあたしの手を取る。そしてそのまま、その指を自分の口に含んだ。
「ちょ、ちょっと!なにすんのよ!?」
 あたしは手をもぎ離した。
 あたしの胸はドキドキと高鳴り、心臓が胸を突き破りそうなくらいだった。
「なにって、消毒しないと」
「それくらい自分でやるわよ!コドモあつかいしないで!」
 あたしは悲鳴じみた声で叫んだ。

「18って、コドモなのか?」
 不意にガウリイが硬い声で問いかける。
 今までにない、真剣な表情。
「ガウリイ……?」
 あたしは、ガウリイを見つめた……。

                     第2話終わり。
*****************************************************
 え〜と、あと1話で終わりです。
 今度はも少し早く出せたらいいなぁとは思ってます。
(実行できるかどうかは定かではない・・・(汗))





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8255お待ちしてましたよっ!P.I E-mail 12/2-05:13
記事番号8252へのコメント

緋桜海凪さん、こんばんは!続きが読める〜!嬉しいです♪

怒り心頭のガウリイの前に盗賊さんたちあっけなかったですね(^^;)
所詮ざこキャラってやつ・・・?

なんかこの二人の心の距離感は、保護者って言葉の捉え方の違いにあるみたい
ですね。
次回はやっとガウリイの本音が聞けるんでしょうか?わくわく♪
楽しみに待ってます〜!
ではまた!

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8257Re:Line−2tomomi 12/2-19:12
記事番号8252へのコメント

やっと続きが読めました。
やっばりガウリイはすごいてすね。
リナのことになるとまわりが見えなくなってしまう。
でもそれだけリナのことを大切にしているのですね。
少しうらやましいです。

第3話楽しみに待っています。