◆−回想  (一応ガウリナです)−八極(11/16-23:04)No.8178
 ┗燃えろ!熱血師弟  (1)−八極(11/17-22:22)No.8183
  ┗燃えろ!熱血師弟  (2)−八極(11/20-19:17)No.8197
   ┣冴えてますねえ、ギャグ〜。−春眠(11/21-00:44)No.8198
   ┃┗春眠さんに心からの感謝を。−八極(11/21-08:54)No.8199
   ┗燃えろ!熱血師弟  (3)−八極(11/21-21:01)No.8205
    ┗あ、八極さんだ!!−アップル(11/26-23:51)No.8226
     ┗あ、アップルさんだ!−八極(11/28-00:42)No.8231


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8178回想 (一応ガウリナです)八極 E-mail 11/16-23:04


どんも〜
超お久し振りの八極です。憶えてくれていた方にはお久し振りです。
初めての方には初めまして、駄文書きの八極です。以後お見知りおきを。
もしお暇なら読んで見てください。それでは

____________________________________________

「回想」 八極


暖かな春の陽光を受け、生命の謳歌をかかげる森。
だが、
「たああぁぁぁっ!」
このような、うららかな場所にはちょっと場違いなほど気合に満ちた若々しい声が静かな森の
中を反響して行く。
声のした方には、二人の人間が剣を構え互いに向き合ってる。
一人は腰まであろうかという金髪を腰の当たりで無造作に束ねた老人で、軽く木刀を構えている。
対する方は、先程の気合の主であろう。
まだ、幼さを残した少年だ。それでも精一杯の気を張り巡らせ老人の隙を窺っている。ただし、
少年の手に握られているのは木刀ではなく実剣だが。
そのまま数十秒ほど固まる二人
ざっ!
いい加減待つ事に耐え切れなくなったのか少年が老人に向かって間合いを詰める。しかし、老人は
迫って来る少年を気にした風も無く微動だにせず佇んでいる。
「てえりゃあぁぁぁっ!」
−ブゥン
やや大振りな一撃が老人の顎を狙って下方から跳ね上がる。
「よっこらしょっと」
えらく気の抜けた声を出しながらも顎だけを退いて余裕綽々で避ける老人。
「わたたたた・・・避けるなよ、爺ちゃん。」
アッサリと見切られた為、バランスを崩して一回転しながら無茶苦茶な文句をこぼす少年。
そんな言い草に苦笑を浮かべながら少年に歩み寄ろうとするが
−ヒユッ−
−ガインッ!−
突如目の前に飛来した物を反射的に弾き飛ばす。
−どたっ−
弾き飛ばされ、重々しい金属音を響かせながら落下した物は少年の剣の刀身だった。
「隙ありぃ♪♪光よぉ!」
さっきの防御の為に大きく体勢のズレた老人に再度詰め寄る少年。彼の呼び声にに応え
何もなかった柄に光の刃が現出する。
−シュキーンッ−
迫る光の刃がそのまま木刀を斬り取ると思われた時、
−ざりっ−
−ガゴォゥッ!−
何が起こったのか痛々しい音とともに、攻勢に出た筈の少年が地面に転がる。
「どうじゃ、レガート降参か ん?」
ノンビリ声をかけてきた老人に一瞬何かを言いかける・・・が
「だからぁ!・・・・・・ま、いいや降参、降参。ま〜いりま〜し〜た。」
結局両手を挙げ降参のポーズを取る。
孫が立ち上がるのを手助けしながら
「前回の訓練の時よりはマシになったが、不意打ちをするようでは立派な剣士になれんぞい」
器用に片眉を上げながら説教する老人に反目する少年。
「だって前の練習の時、頭も使わないと実戦ですぐ倒さるって言ったの爺ちゃんだぜ」
そう言ってぷぅっと頬っぺたを膨らませる。しかし老人は不思議そうな顔をしながら、
「・・・・・・・・・・・・・・・・言ったけ、わし?」
「言ったよっ!!どうして爺ちゃんって、いっつっも自分の言った事片っ端から忘れて
いっちゃうんだよ。そんなんだから近所のおばちゃん連中に「ガブリエフさん家のお爺さん
ってもうボケが、あいでぇ!・・」
唐突に現れた第三者によって容赦無く耳を引っ張られ、文句を中断し悲鳴を上げる少年。
「お爺様に向かって何て口のきき方ですが恥じを知りなさい。」
現れた人物は少年と良く似た顔をした4、5年程年長ち思われる人物だった。ただ少年の
熱気あふれる目と違い、涼しげな目をしている。
「イタイ、イタイ、イタイってば兄ちゃん。俺が悪かったから勘弁してよぉ。」
「謝るのは私にではなくてお爺様にでしょう。全くその程度の事も解からないとは、未熟者
を弟に持つと良識派な兄は苦労しますね。」
そんな心暖まる兄弟愛を見守っていた老人が口を開く、
「相変わらず弟思いじゃな、ガウリイ」
「どこがだよっ!!」
思わず突っ込む弟の口を取り合えずひねって黙らせながら、
「ありがとうございます。しかしお爺様毎回言っておりますが、私はレガートでそちらの
文句だけは一人前の愚弟がガウリイですよ。」
「おおぅ!そうじゃったな。」
ポンッと手を打ちながら笑う老人に
「無駄だって、ど〜せ来週には忘れちゃうんだから。」
冷めた目で突っ込むガウリイに頷きながら
「貴方と同意見とは何となく不本意ですが、私もそう思いますよ。」
疲れきった声で返すレガート。失礼と言う意味ではどちらも同レベルだ。
「でも光の剣をだせるようになったのに、まだまだ爺ちゃんには勝てないや。」
頭の後ろに両手を回しながら何気なく問う弟に
「当たり前です。まだ経験の浅い貴方が百戦錬磨の戦士たるお爺様に勝とうなど、お笑い
三等兵が将軍に挑むようなものです。あつかましい」
シビアながらも意味不明の例え突っ込むレガートをなだめながら
「ま、それもあるじゃろうが[守るもの]の存在の有無もあるじゃろうて。」
「[守るもの]?」
きょとんとしたガウリイの頭を撫でながら
「そうじゃ。人は自分に取って尤も大事なものを見つけた時、それを守るために何倍にでも
強くなれる事が出来るからな。」
「ふ〜ん。」
「「ふ〜ん」じゃないでしょう。少しは真面目に聞きなさい。それでなくても貴方には人の話を
聞くアビリティが0なんですから。」
「聞いてるよっ!」
「ふぅ・・・親切な兄の助言に対してこの態度・・・・やはり幼い時に頭でも打って礼節を失くして
しまったのでは。」
「うるさいなぁ。大体兄ちゃんは******」
「***********」
「***********」
又始まってしまった不毛な兄弟漫才。老人は慣れているのか止めもせず、そのまま昼寝を始めて
しまった。
うららかな春の日差しの中やかましい兄弟の言い争い以外は概平和な時間だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
−がすぅっ!−
「何やってんのよ?ガウリイ」
いきなり背後から叩かれカウンターに突っ伏すガウリイ。
「何すんだよリナ、いきなり凶暴な事を。」
不服をもらしても、リナと呼ばれた女魔道士は気にした風も無くハタハタと手を振りながら
「だって、呼んでも返事せずに何かにへ〜っとして酒飲んでるんだもん。」
「ん、・・ああちょっと昔の事思い出してたらな。」
「うえぇ!アンタ見たいな金魚釣りのモナカよりモロイ記憶力でも憶えてる事ってあるんだ。で、
一体どんな事思い出してたの?」
凄まじく失礼な事を言われたのだが、いつもの事なので特に気にせず鼻の頭を掻きながら
「う−−−−−ん、・・・・・忘れた。」
「アンタはぁぁぁ、アタシをおちょくっとんのかぁ!」
−ガコッ−
からかわれたと思ったのか、椅子を振り上げて迫って来るリナから必死で逃げながら内心で
一人ごちる。
・・・爺ちゃんの言ってた[守るもの]の意味ちょっとだけわかってきたよ・・・
そんな彼の思いを知る筈も無く、迷惑な鬼ごっこはマスターの泣きが入るまで続きましたとさ。


−終了−





_______________________________________________

如何でしたでしょうか。久し振りに書いたけどやっぱお話書くのって面白いなぁ。
もし楽しんで頂けたら嬉しいです。感想なんか頂けたらもっともっと嬉しいです。
では次回作もよろしければ読んで下さい。では


八極



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8183燃えろ!熱血師弟 (1)八極 E-mail 11/17-22:22
記事番号8178へのコメント

どうもです。
この話は大体3つか4つのパートになると思います。一応ドタバタ目指してるので、
笑って頂ければハッピ−かな〜って感じです。それでは

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「燃えろ!熱血師弟」 (1)


事の始まりは非常に些細な事だった。
天才魔道士にして美少女たるこのあたし、リナ・インバースが機嫌良く「ランチAセット」8人前
を食べはじめた時、
・・・・・いや、たかだかご飯食べるのに天才魔道士も美少女も関係ないんだけど・・・・・
とにかく、いかにも[頭の悪さだけは町一番]みたいな感じの男が声をかけてきたのだ。

「いよ〜嬢ちゃん。どう、俺とこの後遊ばない?」

何のヒネリも利いていない、使い古された誘い文句に一々反応を返すのも面倒臭かったので、無視して
ひたすらご飯を食べる。
・・・・・う〜ん。下味の効いたから揚げがとっても美味♪・・・・・
はむはむはむはむはむ

「な〜嬢ちゃんよ。無視するなって、つれないぜ。」

もぐもぐもぐもぐもぐ

「・・・・・いや、だからさ返事くらいしてくれたって」

ぱくぱくぱくぱくぱく

「・・ちっ!分かったよ」

あたしの「馬鹿は無視して昼食味わっちゃう」計画が成功し、諦めたのか店の入り口へと回れ右する。
そのまま黙って出て行けば良いものを悔しまぎれの一言が、あたしの逆鱗に触れた。

「なんでぇ、ぺタンコの色気無しのくせにお高くとま・・

−ぶぅおうぅん−

「うぐぅすっ!」

後ろ頭に決まった怒りの回し蹴りが無礼者に皆まで言わせず沈黙させる。
・・・・・ふ、胸の事は言うとは愚か者め・・・・・
本来なら、「火炎球」などでこんがりジューシーに焼いてやっても良いのだが、そうするとせっかくの
お昼ご飯が台無しになってしまふ。
何か床で潰れたゴキブリみたいにピクピクしてる無礼者Aの事は忘れ、また昼食を再開しようとした時

「甘い、甘いわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぁ!!!」

「うぶすぅっ!?」

いきなり食堂中に馬鹿でかい声が響き渡り、思わずポテトを喉に詰めてしまい目を白黒させる。

「まだまだ甘いのおぅ。そんな事では・・・・・・・・ん、何じゃいわしの話貴意と聞いとるのか?」

勝手な事を言いながら一人の老人が近づいてきた。
しかし、まだポテトが喉に詰ったままなのでそれどころではなく必死で水を飲む。
ごっく、ごっく、ごっく ・・・・・ぷはぁ
・・・・・・ふぅ、危なくあっちの河岸へ行く所だった・・・・・・
取り合えず落ち着いたので爺さんを観察する余裕が出来た。
・・・・・・銀髪に少々気難しそうな顔。服装は簡易だけどそれだけに動きやすそうな服。う〜ん、
あんましお金持ってそうにないや=依頼だったら即断ると。・・・・・・
実に合理的かつ素早い計算を終えたあたしは爺さんに話しかける。
・・・・・・ありゃ、いつのまにか向かいの席に座ってるし。ま、いいか。・・・・・

「何でもないわよ。あたしの名前はリナ=インバース。それで何なの?」

「わしの名前はフェルツェン=サーガイアじゃ。フェルとでも呼んでくれい。先程の一立ち回り見させ
て貰うたが、お主その年にしては中々の動き感心させられたぞ。」

「はぁ、そりゃどうも。」

他に言う言葉もないので、何となくそう答える。しかしフェルさんいきなり机をドンッ!と叩きながら

「しかし、しかしじゃ!まだまだ動きに無駄がある。体術の基は最小限の動きで最大限の効果を得る事に
ありじゃ!」

「はぁ、さいですか。」

別にあたしは魔道士なので、さして体術にこだわる必要性はないのだが、そんな事熱血モード(あっち
の世界)に逝っちゃったフェルさんに言っても返って話が長くなりそうなので適当に聞き流す事にする。
だが、フェルさんはこっちの熱意も誠意のカケラもない返答にも気付かず、一人で頷きながらとんでもないこと
を言い出した。

「ま、構わんじゃろう。そこらへんはわしが修行で一から鍛え直してやるから。」

「はぁ、・・・・・・・はあ?」

適当に返事をしていたら、とんでもない事を言い出したので慌てて問いただす。

「何じゃ、たった今わしの弟子になる事が決まったではいないか。」
「勝手に決めるなあぁぁぁぁ!あたしがいつ弟子にしてくれって頼んだぁ!」

アッサリとふざけたことを決め付けるフェルに全力で叫ぶあたし。けどふぇるさんちっとも堪えてないし。

「うむ。ならば説明しよう。そもそもわしは若き頃、地上最強の武闘家を目指し己の腕を磨くため山中に
篭ったのじゃ・・

「をいをい、話に脈絡がないって。」

ベーシックな突っ込みも無視しフェルさんの勝手な思いで話は続く。

「・・で、数十年の修行の結果、わしも己が技の完成を終えちょうどある事件を汐に我が流派を世間に
広めるために下山したのじゃ。ところが、この町の人間はわしが熱心に勧誘しても皆逃げよる。」

・・・・・・当たり前だ。誰がいきなり怪しい爺さんに声かけられてノコノコ弟子入りするもんか・・・・・
ど〜せ言っても聞きゃぁしないので心の中で突っ込んでおく。

「そこでわしは悟ったのじゃ!こうなったら勧誘なんてまだるっこしい事は止めて強引に行こうと。ちゅう訳で
お主はわしの一番弟子に決定なのじゃ。」

「そんな強引すぎる悟りを開くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

説明にすらなっていなかった物言いに魂の叫びをあげるが

「むぅ・・・既に決まった事に不服を言うとは今時の子はわがままじゃのう。」

「阿呆かぁぁぁい!勝手に決めといて何ぬかしてんのよ!第一あたしは魔道士だから体術なんて極める気も
なけりゃ必要もないわよ!」

「心配せんでいい。わしはちっとも気にせんし。」

「くぅーーーーーーーーにょれぇぇ!」

怒りのあまり思わず髪をガシガシかきむしる。

・・・・・マズイ。このままじゃ強引についてきかねない。かといって下手に魔法なんかで吹き飛ばした日にゃあ
死にかねないし・・・・・
−ピカーン!−
その時、あたしの頭にこの腐った事態を打開するナイスなアイデアが浮かんだ。後は実行あるのみ!

「とにかくっ!あたしはそんな事興味ないから、じゃあね。」
−ダッ!−
言い放ってからダッシュで外に飛び出した。

「む!逃さんぞ弟子一号!」

最低のネーミングセンスで人の事を呼びながら(既に弟子にされてるし)追いかけようとするフェルだん。だが、
後ろから伸びた手が彼の肩を掴む。

「えーい、放さんかい!」

「お客さん、さっきの人が食べってた「ランチAセット」8人前キッチリ払って下さいね。」

にこやかな笑顔で、でもちっとも笑ってない目で詰め寄る店主に足止めを食らうフェルさん。
お〜し狙い通り。これがあたしの立てた「フェルさん足止めついでに料金押し付け大作戦」である。
あたしは店主とフェルさんが言い争っている間にとっととこの町から旅立つ事にした。
一つの願いを胸に。

・・・・・もう二度とあんな身勝手な老人と会いませんように・・・・・




−(2)に続く−




_______________________________________________

どうでしたでしょうか?
(2)以降は出来るだけ早く書き上げるつもりです。楽しみにして貰えれば嬉しいです。
出来れば感想等下さいね。
それでは


八極

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8197燃えろ!熱血師弟 (2)八極 E-mail 11/20-19:17
記事番号8183へのコメント

やっとこさ2が出来ました
では

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「燃えろ!熱血師弟」 (2)


「へっへっへっ。俺達と会ったのが運の尽きだったな。」

「黙って金目のもんさえ置いてけば命だけ助けてやるよ。」

「けっ、びびって声も出ねぇのかい。」

「・・はぁ。」

いやんなる程使い古され半ば化石と化した脅し文句には深い溜息しか出て来ない。
あの後、これ以上フェルさんとの鬱陶しい係わりを避けるため隣町へと出発したのだが、
山道の途中で現れたのがコイツ等。あたしに取っては台所のゴキブリ並みに定番の山賊
連中。
しかし、どうしてコイツ等は似たような事を言って、似たような格好をするのだろう?
「山賊の心得」なんてマニュアルでも出てるのかな。

「へっ!溜息ついたってどうにもならねえよ。諦めてさっさと金だしな。」

レザージャケットを着込んだハゲ頭の山賊Aがえらそうな事を抜かす。

「フ、あんた達みたいな言葉話せるだけのダニに渡す金なんて存在しないわよ。」

「「「なにいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」」」

あまりにもミエミエな挑発にコロッと乗る山賊。うぁ、やっぱ三流だわコイツ等。
・・・・・かといって一流の山賊なんて想像不能だけど・・・・・

「く、ガキの分際で大人をなめやがって。」

「殺す、殺しちゃるううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」

「そのへらず口、あの世で後悔するんだな。」

またまた、ワン・パターンな反応を聞き流しながら(一人イッちゃってる)、取り合えず
食後の運動も兼ねコイツ等をへち倒し、しかる後恒例の「しばき倒してお宝ゲット」作戦
を始める為に呪文を構成する。

「バースト・・

「ちょっと待ったあっ!」

いきなり響いた馬鹿でかい声の所為で思わず呪文を中断させられてしまう。おまけに何か
聞き覚えのある声にやな予感を抱いてると、さっき来た道をフェルさんがせっせと走って
来る。
・・・・・予感的中・・・・・

「おい、何でいあの爺いは?」

「さぁ?」

理解不能の乱入者に思わず相談タイムに入っている山賊連中。
一方、フェルさん年の割には意外な健脚を発し息一つ乱さずにこちらにやって来た。
が、やって来るなり

「見つけたぞ弟子一号!師を置いていくばかりか、師にめし代を出させるとは恐るべき
弟子じゃ。その性根徹底的に叩き直してくれる。」

「何言ってんのよ。フェルさんが勝手に弟子にするって決めただけで、あたしがそれに
従う義理なんてないわよ。」

あたしの当たり前の抗議も気にした風はなく、何か自信でもあるのか腕を組みながら
含み笑いをするフェルさん。

「ふっふっふっ。まだまだ甘いのぅ、弟子一号。先程わしは縁も所縁もないお主のめし代
を立て替えたのじゃぞ。これだけを持ってしても山に篭るに充分な義理じゃ。」

「たかだか昼飯代ごときで山になんか篭るかぁぁぁ!後、「弟子一号」って止めて。
弟子になった憶えはないしなる気もないっ!」

「あの〜」

「うぬぅ・・・老い先短い年寄りの願いも聞けんとは鬼の様な弟子じゃ。」

「まだ言うかっ!第一余生が短いなら自分の家に帰って孫と遊んでなさいよ。」

「・・・もしもし」

「はっはっはっ。このご時世に山に篭って修行しようなんていう変人に嫁が来る訳なかろう。
わしゃ家族など居らん。」

「さらっとさびしい事いばるなあぁぁぁ!」

「だからね・・」

「さっきからやかましぃっ!フレア・アロー×6」

−きゅごごごごごごっ−

「「「どひぃぃ〜〜〜〜〜〜!?」」」

−ぼてぼてぼて−

「ふぅ。やっと静かに・・・って何か忘れてた様な。・・・まっ、いっか。」

「左様。早う下らんと日が暮れてしまうでな。」

「いやだからね。弟子になる気はないって言ってるんだから、誰か他の人でも当たってよ。」

「何を言うちょる。そんな面倒臭い。」

「弟子募集しとる人間が手間暇惜しむなぁぁ!」

ぎゃーぎゃー騒ぎながら町へ下りて行くリナ達。後には途中から完っ璧に存在を忘れ去られ、
ぷすぷすと煙を上げながら転がる山賊達・・・いとあはれ・・・

二日後

「・・・ふぅ。」

あたしは心底から疲れた溜息を吐きながらまた山道を歩いていた。ど不孝な事に後ろには
ここ数日の不快感の元、フェルさんが居る。
あれから町に居る間、何度も説得しようと試みたのだが、不毛というかこちらが一方的に
疲れた挙げ句最後は「わしゃ諦めん。」で終わり。
直接的な被害はないので役所の突き出すわけにはいかないし、かといってこんな年寄りを
下手に呪文で吹っ飛ばしたらあたしがお尋ね者になってしまう可能性がある。
かといってこれ以上フェルさんに付きまとわれるのも心底ごめんだし。
ふと(目撃者は居ないし、このまま崖下にでも捨てていったら)なんて魅力て・・もとい
危険な考えが浮かんだ時、

「「「待ってたぜ」」」


−(3)に続く−



______________________________________________

えーと、多分次の(3)で終わると思います。
出来るだけ早く書き上げてUPするつもりです。・・・なんか前回もこれ
言ったような。ま、いっか。
感想なんか頂けたら嬉しいです。
それでは


八極

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8198冴えてますねえ、ギャグ〜。春眠 E-mail 11/21-00:44
記事番号8197へのコメント


こんにちは、八極さん
おひさしぶりに八極さんのお作を拝見できてうれしいです。

相変わらず冴えてますね、笑い部分の落としどころが最高です。
今回は「すぺしゃる」風の味付けなんでしょーか。
楽しく読ませていただいてます。
続きが待ち遠しいです〜。

短くてすいませんけど、感想でした〜。

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8199春眠さんに心からの感謝を。八極 E-mail 11/21-08:54
記事番号8198へのコメント

どうも春眠さん

>こんにちは、八極さん
>おひさしぶりに八極さんのお作を拝見できてうれしいです。
こちらこそおひさしぶりです。
こんな駄文ぃーな八極野郎を憶えてて頂いて嬉しさで涙が
止まりませんです、はい。

>相変わらず冴えてますね、笑い部分の落としどころが最高です。
>今回は「すぺしゃる」風の味付けなんでしょーか。
>楽しく読ませていただいてます。
>続きが待ち遠しいです〜。
いやぁ、お褒めに預かり光栄です。
はい。何か「すぺしゃる」ノリでやりたくなって内容は「貧弱」なのは
目をつむって下せぇ。
何せ「これ面白いかなぁ」とか考えてて車に轢かれそうになる位←間抜け
感想頂き、勇気百倍!顔面新調したあんぱん男並みに元気でました。
ちゅう訳で続きもとっとと書きますね〜。

>短くてすいませんけど、感想でした〜。
とんでもない、感想大変ありがとうございました。
これ終わったら次はゼルアメやるつもりです。
よろしければ見て下さい。

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8205燃えろ!熱血師弟 (3)八極 E-mail 11/21-21:01
記事番号8197へのコメント

最終パート出来ました−
てな訳でどうぞ。

___________________________________________


「燃えろ!熱血師弟」 (3)


「「「待ってたぜ。」」」

突然、ダミ声を出しながら現れたミイラ集団。
・・・・・はて?・・・・・

「誰コイツ等、フェルさんの知り合い?」

「うんにゃ。わしゃミイラに知り合いは居らん。」

・・・・・フェルさんも知らないとなると誰だろう?・・・・・

「ぐっ、てめぇ等の所為でこうなっちまったんだろうがよぉ!二日前の恨みタップリと晴らさ
せて貰うぜ。」

何が気に食わないか声を荒げるミイラ達。

「ん、二日前・・・おおぅ!あんた達いつのまにかぺぺぃってやられてた3流山賊ね。」

やっと思い出した。なんせ、あたしにとっちゃあ山賊や盗賊をしばき倒すなんて日常茶飯事。
一々顔を憶えてたら記憶力がいくら有っても足りないし。

「ぬぐぅ。とことんコケにしやがって。おい!全力でぶっ殺すぞ。」

「「「おうっ!!」」」

号令を合図に獲物を構えながらジリジリと近づいて来る。
・・・・・さて、死なない程度に吹き飛ばして宝の在処を吐かせないと・・・・・
あたしが女の子らしく、どの呪文でしばこうかと悩んでいると

「ここはわしに任せい。」

そう言ってフェルさんが進み出る。

「へ?別にこんな奴等余裕でぽいっ!なんだけど。」

あたしが言っても

「まあそうじゃろうが、お主に師の技を見せておくいい機会じゃしな。」

「だから師じゃないって。」

ぱたぱたと手を振りながらツッコんでおく。が、確かにフェルさんの技には興味があったので、
素直に観客にまわる事にする。その方が楽だし。

「ふ。と言う訳で、山に篭って野獣相手に磨いたこの技。存分に味あわせてくれようぞ。」

−ゆら〜っ−

「「「くっ。」」」

強気なセリフと共に奇妙な構えを取り始めたフェルさんにビビる山賊。
・・・・・確かにいい年した爺さんが両手上げて威嚇してるのって怖いもんなぁ・・・・・

「ゆくぞっ!」

−ザシュッ−

速いっ!言うだけの事はあって凄まじく速い踏み込みで一気に肉薄する。

「てりゃあああっ!」

フェルさんの気合一閃!

−へちっ−

「あん?」

えらく情けない突きを鳩尾にくらって間抜けな声を出すミイラ山賊B.

「ぬぅ・・・この技が効かんとは。ならばっ!」

今度はラッシュに入るフェルさん。・・・確かに、確かにそのスピードは素晴らしく速いのだが、

−べちっ、ぱきぃ、へろっ、すかっ!−

脱力するような音が示すとおり、誰の目から見てもちっとも効いちゃいないのだ。
・・・・・ありゃ、子供でも泣かんぞ・・・・・
最初はボー然としていたミイラ山賊Bも流石に鬱陶しくなったのか

「失せろ、爺い。」

−ぶうん−

右腕を振り下ろして、しつこく蹴りを放とうとしたフェルさんを吹き飛ばす。

「何故じゃ・・・」

かなりショックを受けた風のフェルさん

「馬鹿な・・・わしの技が通じんとは。」

・・・・・いや、通じる通じない以前の問題が・・・・・

「あ、あの〜フェルさん?野獣相手って一体どんな修行を・・・」

恐る恐る聞くあたしに

「ん、主にうさぎや野ネズミじゃが。」

−ずうべしゃああぁぁっ−

思わず盛大に地面に転がってしまう。

「こらああぁぁぁっ!うさぎや野ネズミは野獣って言わないでしょうがっ!」

なんとか立ち上がりながら怒鳴るあたしに

「何を言う。山に住んどる獣はみな野獣じゃ。」

・・・・・・また屁理屈かっ飛ばすし・・・・・

「だったら熊とか狼とか、もうっちょとごつそうなの相手にしなさいよ。」

「何ちゅう事を!!そんな危険な事出来るかっ!」

「じゃ最初っから山篭もりなんかするなあああっ!」

ぜぇぜぇ。
・・・・・こ、この爺さんハッタリだけで今まで生きて来たな・・・・・

−ぷちぃ−

「ん?」

ふと見ると、ミイラ・・・もとい山賊連中、顔を真っ赤にして肩を震わせている。

「ば、ば、馬鹿にしやがって−−−−−−−−−−!」

・・・・・まあ、仮にも山賊がうさぎや野ネズミと同列に扱われたらそりゃ怒るわな・・・・・

「「「「ぬぅおおおっ!」」」

元から持ち合わせてない「冷静」の二文字を完璧に百万光年の彼方に消し去って、がむしゃらに
フェルさんに突っ込んで行く。

「ちぃ。」

だがフェルさん、さっきのしょぼいラッシュで体力を使い果したのか動こうとしない。
・・・・・しょうがない・・・・・

「雷撃」

−ぴぃぐぅぱしぃっ−

「「「ぶぎゃややあーーーーーっ。」」」

−ぼてぼてぼて−

あたしの呪文を横合いからまともに食らって倒れ込む馬鹿集団。このあたしの存在を忘れ考え
なしにフェルさんに突っ込むからである。
これで一応の危険は去ったようなので、フェルさんを助けに行く。

「大丈夫?」

少し疲れた顔をしながらもしっかりと伸ばした手を掴むフェルさん。

「リナ殿。わしは間違っていたようじゃ。まだまだわしに弟子を取る資格はない。」

・・・・・よっしゃあああ!やぁーっと納得してくれたっ・・・・・
内心では、どんどんぱ〜ふ〜と太鼓を鳴らしながらも表面だけは取り繕う。

「・・・そう、これに懲りて余生はゆっくりと過ごしたら。」

しかし、あたしの提案に強く頭を振り

「いや、また一から修行のやり直しじゃ。今度は1ランク上の相手、たぬきやきつねを倒っ!」

「をい・・・それって進歩してないって。」

ジト目でツッコんでも全く聞いてないフェルさん。

「うむ、そうと決まれば早速山篭もりじゃ。ではリナ殿さらばじゃ!」

−ザッザッザッ−

元気に夕日の中を歩み去って行くフェルさん。

「え〜と」

他の言葉が見付からない。
・・・・・ま、いいか。あたしの人生じゃないし・・・・・

呆れ果ててボーッとしていたあたしに声がかかる

「「「じゃ、あっしらはこの辺で」」」

「待てぃ。」

どさくさに紛れて逃げようつする山賊を捕まえる。

「ふっふっふっ。あんた達にはこれからあたしが味わった二日間のストレスを解消させて貰うわ。
勿論、お宝も全て頂くからそのつもりで。」

「「「「ひぃ・・・悪魔だぁ!」」」

「何とでも言いなさい。バースト・ロンドォ!」

−ちゅどどどどーん−

「「「ぎゃあああああああああぁぁぁ・・・

山賊達の不孝は終わらない。


−終了−



___________________________________________

終了〜
きちんと終われるか不安だったけど一応終われて良かったです。
因みにフェルさん、設定では(1)でも言ってましたけど山下ったある事件があって
その事件は、あんまししつこくフェルさんがうさぎや野ネズミ相手に修行するもんだから、
小動物が怖がって皆逃げちゃったと。そんで怒り狂った猟師連合に叩き出されたのが真相です。
そんだけなんですけどね。

次はゼルアメでなんか書けたらなぁって思ってます。よろしければ見てくださいね。
では。


八極

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8226あ、八極さんだ!!アップル E-mail 11/26-23:51
記事番号8205へのコメント

こんばんは。お久しぶりです、アップルです。覚えてらっしゃいますか?
久しぶりにこのページを覗いたら、もっと久しぶりに八極さんのお名前を
見かけたので、書き込みに来ました。

やっぱり八極さんの書く物は面白いですよ。
ガウリナやゼルアメは勿論大好きですが、こういう「すぺしゃる」的な
物語も、腹を抱えて笑えていいですね。
死なない程度に頑張ってフェルさん(笑)。

短くってすいません。ではまた。


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8231あ、アップルさんだ!八極 E-mail 11/28-00:42
記事番号8226へのコメント


>こんばんは。お久しぶりです、アップルです。覚えてらっしゃいますか?
>久しぶりにこのページを覗いたら、もっと久しぶりに八極さんのお名前を
>見かけたので、書き込みに来ました。
あ〜♪アップルさん、こちらこそお久し振りです。ほぼ一年ぶりに
やって来た八極なのに覚えていて下さったアップルさんを忘れる何て・・
恐れ多くて出来ませんよ(笑)

>やっぱり八極さんの書く物は面白いですよ。
ありがとうございます〜〜〜〜っ!(TT)
目茶苦茶嬉しいお言葉です。

>ガウリナやゼルアメは勿論大好きですが、こういう「すぺしゃる」的な
>物語も、腹を抱えて笑えていいですね。
>死なない程度に頑張ってフェルさん(笑)。
自分でも「すぺしゃる」的な内容の方が書き安いです。
フェルさんは・・・死なないでしょう。基本的に口だけだし(^^)

>短くってすいません。ではまた。
とんでもありません。態々感想を頂けて嬉しかったです。
>