◆−闇なべ戦記  (2)−八極(12/3-20:24)No.8268
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8268闇なべ戦記 (2)八極 E-mail 12/3-20:24



「闇なべ戦記」 (2)


−ぼこっぼこ−

「えー、それでは只今より[心頭滅却すれば火もまた涼し!第二回闇なべ大会]を
とり行ないたいと思います。」

高らかに、高らかに
どこから取り出したのか、白い旗を勢いよく振るキース。

「第二回っていつ第一回を?それに[心頭滅却云々・・・]って何なんですか?」

頬杖を突きながらぼやくマジク。

「ほんとーに腹一杯食べれるんだろうな。嘘だったら赤ん坊使って夜泣き殺すぞ!」

「・・・それってわけわかんないよ、兄さん。」

大いばりでわけのわからん事を言う兄に疲れたように返すドーチン。

−ぼこぼこっ−

「うるせえぞっ!わざわざ誘ってやったんだから喜べよ。」

「そうよ!他に来てくれる人なんか居ないし。」

怒鳴るオーフェンに、一応フォローのつもりかかなり淋しい事を言うコギー。
最終的にマジク、ボルカン、ドーチンの三人が捕まってしまい完全強制で闇なべに参加
させられたのだ。

−ぼこぼこぼこぼこ・・・−

「あの〜」

しばらく迷っていたようだが、決断をしたのか恐る恐るマジクが鍋を覗き込む。

「さっきからぼこぼこ変な色に煮えてますけど、まさかこれを食べるんですか。」

マジクが覗き込んだ鍋の中は、各自が持ち込んだ材料と調味料がほどよく交じり合い
気色悪い事この上ない色に染まり、さながら地獄の沼のようにぼこぼこと元気良く
煮立っている。

「もちろんです。ちょうど良い頃合いのようですな。ささ、どうぞ。」

なにが嬉しいのか、張り付いたようなわざとらしい笑みを浮かべ受け皿を配るキース。

「・・・こんなことなら、父さんの買い出し手伝えばよかった。」

半泣きで箸を掴む。

「グジャグジャ言うな!。今更逃げようたってそうはいかねからな。」

あの後、熱の溜まった頭も冷え
冷静になって考えると、あまりにも馬鹿な事にGOサインを出した事を後悔したオーフェン
達だが、今更撤回するのもなんか癪なので犠牲者を増やす方に方向転換したのだった。

「「「いただきまーす」」」

約2名を除いて、素晴らしくトーンダウンした声が重なる。


−十五分後−

先程の2名を除いて、
残りのメンバーに顔は既に青を通り越して土気色、死人一歩手前って感じである。
ちなみに全然平気でバクスカ食ってる2名は言うまでもなくボルカンとキース。
今までに出てきた食べ物・・・と言っていいのかどうかは定かではないが
みかん(丸ごと、しかも皮付き)、ブルーベリーマフィン、ぶどう、クッキー、鶏の心臓、
カニカマ等。
単体で食べれば美味しいものも、しょうもない闇なべに入れた途端に果てしなく不味く
なる事を身も持って学んだ一同。

「・・・たく、誰か1人位まともな物を持って来ると思ったのに。」

自分はみかんを皮も剥かず、丸ごと放り込んだ事を棚に上げ
かなり勝手なことを良いながらオーフェンは箸を新たに鍋に入れる
と、

−カツン−

「ん?」

小さな金属音とともに鍋から引き上げられたものは・・・

「・・・おい、誰だこれ持ってきやがった奴?」

怒りに震える彼の箸の先には、
不気味悪い(可愛らしい)木で彫られたトーテムポールのキー・ホルダー。

「あ、それあたし〜。受けると思ったんだけどぉーーーーーーー・・・」

ヒラヒラと脳天気に手を振っていたコギーだが、
全員の殺意がたっぷり含まれた視線に気付き、語尾が小さく消えて行く。

「コギー・・・」

「な、なによ。ちょっとした冗談でしょ。」

悟りを開いたかのように静かな表情のオーフェンにビビリまくる。

「罰としてお前が責任持ってこれ食え。」

「えー。こんなの食べれないわよっ!」

「だまれっ、この記憶力0の逆噴射極悪警官!俺は最低限、人間の食べれる物を持ってこい
と言っただろうがっ!」

「だからジョークだって」

「このお笑い三等警官にこれを食わす事に賛成の奴は手を上げて。」

途端に、

−ずばばばっ−

雨後の竹の子のように、コギー以外のメンバーが勢い良く手を上げる。
皆ここで賛成しておかないと、自分がそれを引き当てる可能性を懸念したのだ。

「・・・うう。でも、こんなもんどうやって食べろと。」

「ご安心をコンスタンス様。これをお使い下さい。」

−ゴトリ−

そう言って懐から取り出した、色んな意味でやばい形状のナイフを手渡すキース。

「これで削れば、万事超オッケーです。」

「・・・あんた覚えてなさいよ。」

レーザーでもでそうな視線で睨み付ける。


−更に十五分後−

結局、ほとんどの人間が質の高すぎるゲテモノに耐え切れずリタイア。
床に転がってひきつけを起こしているのも居れば、

「・・・あれ?親父が花畑で手招きしてる。」

相当ヤバイとこまで逝っちゃってるのもいる。

しかし、どこにでも例外はいる

「贅沢なやつらだ。こんなに旨いのに。」

「まあ、取り分が増えたと思えばいいのですよ。地人殿。」

やはり人間とは分子構造が違うのか、
平気な顔して鍋をつつくキースとボルカン。
周りから聞こえるうめき声なぞ、どこふく風で最後まで闇なべをエンジョイしたのだった。


−二日後−

「う〜、非道い目にあった。」

「だったら、あんな馬鹿な事企画しなきゃ良いんですよ。」

ようやくベッドから起き上がれるようになり
マジクと通りを歩いていると、ドーチンが珍しく一人で歩いている。

「よう、ドーチン。今日はオプションのダメ兄貴はいないのか?」

「それが兄さん、あの鍋の毒が時間差で効いてきたのか今朝から寝込んでます。」

「・・・ほぅ。」

今更ながら、その恐ろしいまでの毒性に慄然とする三人の前を
何の脈絡も無く現れたキースがヒラヒラと踊りながら通りを抜けて行った。

「・・・地人すら倒す毒が効かんとは。」

「前から気になってるんですけど、あの人って人間なんですか?」

「・・・違うと信じたいですね。」

ボー然と佇む三人の頭の上で
また、セミ達がやかましく鳴きはじめた。




−終了−




_________________________________________

ふー終わり。
最近夏バテでちょっと元気ないです。次はスレで何か書こうかなと思ってます
出来れば感想下さいです。
それでは

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8331Re:闇なべ戦記 (2)明美 E-mail URL12/12-15:01
記事番号8268へのコメント

八極さん!
どーも、お久しぶりです。……って覚えてないかも(^^;;
なんだか忙しくて来れなくて、今日久しぶりに来てみれば、小説UPされてたので、思わず書きこみしてしまいます。

闇なべって、響き自体が怪しいですね〜〜(笑)
それに、出て来るメンバーが……(爆笑)
めちゃくちゃ大笑いさせて頂きました!!
やっぱり、キースだけが無事だったってトコロがミソですね。
マジ、人間じゃないー!と常々思ってます。キース(笑)

にしても、夏バテですかー。気をつけてください。

寒くて、コタツに入って、コタツムリ状態の明美でした(笑)