◆−Christmas Snowman(ガウリナ)−緋桜海凪(12/21-16:25)No.8373


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8373Christmas Snowman(ガウリナ)緋桜海凪 12/21-16:25


 久しぶりの出没です。緋桜海凪と申します。

 クリスマスも間近だということで、クリスマスに便乗したガウリナ甘々ネタを発表します。
 まぁ、いまいちワケ分からん作品ではありますが、どうぞお楽しみくださいませ。


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Christmas Snowman

 深々と降り積もる雪は、何もかもを真っ白に染めてゆく。
 そう、何もかもを―――


「だからって、何でこんな時に大雪になんてなるのよぉー!!」
 リナの怒りの声が部屋に響く。
 リナたちは、大きなクリスマス・ツリーが並ぶ通りがあることで有名な場所
に来ていた。
 今日はクリスマスのお祝いをする日でもある。
 本来ならばホワイト・クリスマスということではしゃげていたのだろうが、
夕べから降り続ける雪はちっともかわいげのある量ではなく、シャレにならな
いくらい吹雪いていた。
 そのため、ツリーに飾られていた飾りは雪の重みで崩れてしまい、危険だと
いうことで近づくことができなくなってしまっている。

 雪は夜になってようやくやんできたが、冷え込みはまだまだ厳しいものがあ
る。


「クリスマス・プレゼント……あのツリーの下で渡したかったんだけどなぁ」
 リナは窓の外を見ながらつぶやいた。
 
 ここからそのツリーは見えるはずなのだが、大雪のせいですべてのものが白
い帽子をかぶってしまっているので、どれも同じに見える。
 リナはため息をひとつつくと、大きな包みを手に、ガウリイの部屋へ向かっ
た。


 こんこん。
 リナはガウリイの部屋のドアをノックし、呼びかける。
「ガウリイ、ちょっといい?」
 しーん。
 だが、リナの呼びかけに答えるものはなかった。
「?……ガウリイ?いないの?」

 ガチャリ。
 ノブを回すと、ドアはたやすく開いた。

「あいかわらず不用心なヤツね……」
 半ばあきれたようにリナはつぶやく。
 ランプは点いたままだったが、だいぶ前から部屋にはいなかったらしく、中
は寒々としていた。
「どこいったのよ、あいつ……」

 リナはふと、昼間ガウリイと並んで宿屋の窓から覗いてみていたツリーを思
い出した。
 そのときのガウリイは、じっと何かを考え込んでいるようでもあった。
「まさか……ね」

 リナは部屋に戻ると、コートやらマフラーやら手袋やらを着込み、その場所
へ向かった。
 はぁっ……と、ため息が白い霧となって消えていく。
 雪はやんでいたが、冷たく刺すような冷気が辺りを取り巻いていた。
「ったく、こんな寒いとこで何やってんだか……」
 リナはぼやきながらも、足を進める。


「あ。いたいた、やっぱしここだった……」
 リナは予想通りの場所でガウリイを見つけた。
 彼は大きなツリーが並ぶ中でも、ひときわ大きなツリーのそばで、雪ダルマ
を作っていた。
 そのツリーがよく見える位置に、大きな雪ダルマと小さめの雪ダルマを2つ、
寄り添うように並べて置いた。
「ガウリイ。何やってんのよ、あんた……」
「リナこそ、なんでここに……?」
「あ、あんたがいないから、探しにきたんじゃない」
「この寒い中をか?カゼひくだろうに」
「それはこっちのセリフよ。あんた、何こんなとこで雪ダルマなんて作ってん
のよ」
 リナの言葉に、ガウリイはあさっての方を向き、
「……オレたちの代わりに、このツリーのそばにいてもらおうと思ってさ……。
オレと、おまえさんのつもりで……その……」
と、頬を赤く染めながら言った。
「へ……?」
 つられてリナの頬も赤くなる。
「おまえさんずいぶんと見たがってたからさ、実際にオレたちはここにずっと
いることはできないから……。だから、こいつらに、ずっとここにいてもらお
うかと思って……はぶっ!」
 ガウリイのセリフは、リナが投げつけた大きな包みを顔面で受け止めたため
に途切れた。
「痛ってぇ……。何すんだよ、リナ!」
「プレゼント」
「は?」
「それ、クリスマス・プレゼントよ。ありがたく受け取んなさいよね!」
 リナは頬を真っ赤に染めながら言った。
 ガウリイはその大きく柔らかな包みを開けて、中身を取り出す。
「マフラー……か?」
 包みの中には、深い青色をした手編みのマフラーが入っていた。

「セーターとかはまだムリでも、これくらいだったらあたしにだって作れるん
だから」
 リナはそっぽを向きながら言った。
 耳まで真っ赤になっているのが夜目にも分かる。
「へぇ……。器用なもんだなぁ……。
 ここのとこずっと夜遅くまで起きてたみたいだったから、何やってるのかと
思ってたら、こんなの作ってたのか……」
 ガウリイは今までつけていたマフラーを外し、代わりにリナの手編みのマフ
ラーを付ける。
「暖かいや……」
 ガウリイは心底嬉しそうに微笑む。
 その優しい笑顔に、リナは思わずドキッとした。

「代わりに、こいつらに……」
 ガウリイは外したマフラーを、雪ダルマの首の部分に巻き付ける。大きなも
のと小さなものを繋ぐように……。
「ありゃ、長さが足りなかったか……」
「じゃ、こうしましょ」
 リナは自分が付けていたマフラーを大きな雪ダルマに、ガウリイが付けてい
たマフラーを小さな雪ダルマに飾った。

「いいのか、リナ?寒いだろうに」
「寒いに決まってるじゃない。だから早く帰りま……うきゃ!?」
 ガウリイはコートの前を開けて、リナを包み込むように抱きしめた。
「こうすりゃ暖かいだろ?」
「そりゃ確かにそうだけど……」
「んじゃ、こっちの方が暖まるかな……?」
 ガウリイはリナのあごを持ち上げて仰向かせると、覆い被さるようなキスを
した。
「!!?」
 ガウリイの舌が、リナの唇をなぞる。さらに深く口づける。
「う……」
 舌を絡め合わされ、リナの身体からどんどん力が抜けていく。
「リナの唇は冷たいな……。身体はこんなに暖かいのに……」
「ばかぁ……」
 リナはぺたんと雪の上にへたり込む。
「ばかばかばか!いきなり何すんのよ!」
 リナは真っ赤な顔で、雪玉をガウリイに投げつける。
「うわわっ!や、やめろ、リナ!」
「ばかばかばか!ガウリイのばか!」
 リナはなおも雪玉をガウリイに投げつけるのを止めない。
「バカバカ言うなよ!」
 ガウリイも負けじと、雪玉をリナに投げつける。
 
 にわかに、雪合戦が始まった―――


「てぇーいっ!」
「どぉりゃぁぁっ!」
 まるで子供のようにはしゃぐ2人は、夢中になって雪玉を投げつけあってい
た。
 ふいに、細長い包みがリナの顔面に命中する。
「うきゃっ!?」
 ぽとんと、それは雪の上に静かに落ちる。
 同時に、ガウリイからの攻撃も止んでいた。
「痛ったたた……。何よ、これぇ……?」
 その包みを拾い上げると、クリスマスらしいラッピングが施された、細長く
て固い箱であった。
「さっきのお返しだよ」
「え……?」
「オレからのクリスマス・プレゼント。大したもんじゃないけどな」
と、ガウリイは微笑む。
「開けて……いい?」
「もちろん」
 リナがその包みを開けると、中には小さなルビーのペンダントが入っていた。
「おまえさんに似合いそうだったからさ……。気に入ってもらえるかどうかは
分かんないけど」
 リナは雪を丸めずそのまますくい上げて、水のようにガウリイへとぶちまけ
た。
「うわ!?」
 シャワーのように雪を浴び、ガウリイは悲鳴を上げた。
「何バカなこと言ってんのよ!
 あ、あたしがあんたがくれたものを気に入らないっていうことなんてあるわ
けないでしょ!」
 リナは顔を真っ赤にして叫ぶ。
 その様子にガウリイはにやりと笑った。
「だーかーらー……。どうして雪までかけてくるんだよっ!」
 ガウリイはお返しとばかりに、同じようにリナに雪をかける。

 再び、雪のバトルが始まった―――


 はしゃぎ疲れた2人は寄り添うように、雪ダルマのそばに座り込んだ。
「あははっ……あはははははは……」
「ははっ……ははははははは……」
 ひとしきり笑うと、2人はじっとお互いを見つめ合う。
 紅い瞳と蒼い瞳には、お互いの姿しか映ってはいなかった。
「メリークリスマス。リナ」
 ガウリイがリナの肩を抱き寄せる。
「メリークリスマス。ガウリイ……」
 リナはガウリイの胸にもたれかかる。
 2人の唇が再び重なり合った。

 プラチナ色の月光は優しく2人を包み込み、その姿を照らしていた―――


「はっくしゅん!」X2
 ―――翌朝、2人が熱を出して寝込んだのは、言うまでもない……。



                              おしまい

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 オチは毎度のことですな……。
 はっはっは……(汗)

 私はクリスマスも仕事です(T_T)
 みなさんはクリスマスをこの2人のように楽しんでくださいね。