◆−朝の来るとき−雅山 彰(3/21-18:01)No.9083
 ┗Re:朝の来るとき−晴明(3/27-13:23)No.9166


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9083朝の来るとき雅山 彰 3/21-18:01


 まずは前書きから・・・
 この前カップリングについてさんざん言いましたけど、今回書くお話は
 ・・・・・・ゼロフィリ!!ですのでお楽しみいただけたらこれ幸い。
* * * * * * * 
 彼女は恋というものをした事がなかった。
 いつも近所の少女たちが恋だの愛だのという話をしているがそれが彼女には分らなかった。
 誰かを好きになるとはどんな気持ちなのだろう。
 よく少女たちが話しているように、それ以外は何も考えられなくなるものなのだろうか。夜も眠れないほどに。
 自分も誰かを好きになることがあるのだろうか。
 泣きたくなる位、誰かを愛しいと思うことがあるのだろうか。
 


 彼女は勢いよく店のドアを開けた。
「姐さんお帰り!」
 まず聞こえてきたのは聞き慣れた声。
「ヴァルガ―ヴ様の卵見てた。今日も何もならなかった。」
 そうですか、とフィリアは言い自分の部屋へと戻っていった。

「ふぅ・・・」
 部屋に戻ってから、フィリアはため息ばかりついていた。
 買い物の途中で考えていたこと・・・誰かを好きになるということ。
 自分はまだそんなことを考えてはいけないのに。
 ここにいるのは彼に償うためなのに・・・それなのに恋をしたいだなんて、あつかましいにもほどがある。今は彼のことだけを考えなくてはならない。
「そう、今は只それだけを・・・」
 フィリアは自分に言い聞かせるように呟いた。



 それはある日の昼下がりのことだった。フィリアはいつものように自分の部屋でティーブレイクを楽しんでいた。が、その平穏はたった一言によってぶち壊された。
「紅茶は美味しいですか?」
「何をしに来たんですか、ゼロス。」
 彼女は冷静を装いながら言ったがその声は震えていた。
「いえ〜ちょっとした暇つぶしに・・・」
 その言葉に、フィリアはにこりと微笑んで
「帰ってください。」
「いや、そんなふうに言わなくても・・・」
 そう言うとゼロスはフィリアのベッドに腰を下ろした。
「神族が魔族のことを嫌うのは当然のことでしょう?分かったらさっさと出て行ってください。」
「ひどいですね〜せっかく人が遊びに来てあげたのに・・・」
 フィリアはそれを無視し、紅茶を一口すすった。
「お茶が美味しい・・・」
「無視しないで下さいよ。」
 フィリアはまた一口紅茶をすすった。完全に無視状態である。
「だから無視しないで下さいよ。」
 その言葉が終わるか否かのうちに、ゼロスはフィリアの目の前に移動していた。
驚きのあまりフィリアの手がカップから滑り落ちる。
「僕がここに来たの、本当は何のためだと思いますか?」
 珍しく、ゼロスの瞳が開かれる。
「知りませんよそんなの。」
「教えてあげましょうか・・・」
 視線がぶつかった。いつもの彼とはまったく違った瞳。どこまでも澄んだ紫電の瞳。
 しまった、と思う間も無くフィリアはその瞳に魅入られ、標本になった蝶のように縫いとめられていた。
 きれいな瞳。その瞳をいつまでも見ていたいという気持ち、どうにかして視線をはずしたいという気持ち。このふたつが同時に存在するということ。
―――自分は本当は何を望んでいるのだろう。
「僕がここに来た理由は、あなたの気持ちを聞くためです。」
 フィリアには、ゼロスの言っていることが分からなかった。
「単刀直入に言います。僕のことが好きですか?」
 フィリアはその一言に、時が止まったかのような錯覚を覚えた。
「何て事を聞いてくるんですか、・・・好きな訳ないじゃないですか。」
「本当に、ですか?」
 そう聞かれて、フィリアは自分の言葉に自信が持てなくなった。
本当にそう思っているのだろうか、ただ彼が魔族だからと嫌っているだけではないのだろうか。
 フィリアは唇をかんだ。
 ゼロスがフィリアの両腕をつかみ、壁に戒めた。
「言わないとこのまま犯しますよ?」
 フィリアはうつむいた。そしてその頬を涙が伝う。
「・・・分かりません。」
 ゼロスは無言で、そんな彼女を見つめた。
「・・・本当はあなたのことが好きなのかもしれません。ただ・・・
 私には人を好きになるということが分からないんです。」
 ゼロスのうでにこめられていた力が弱まる。
 そのスキを逃さず、フィリアはゼロスの腕の戒めから逃れる。
 そして、自分の方からゼロスに口づける。
「これが今、あなたに伝えたい私の気持ちなんです。
 私、不器用だから気持ちの伝え方が分からなくて・・・」
 フィリアはまた泣き出した。そんな彼女を、ゼロスは強く抱きしめた。
「・・・それでもいいんです。僕にはそれで十分です。」

 彼女の心を支配していた夜はようやく終わりをつげた。
 二人の新しい朝は始まった。

* * * * * * *
あとがき
 「意味不明、だまれ・・・」
 な感じの文章を書いて申し訳ありません。でも感想なんか下さったら
 嬉しいかな・・・なんて。
 
 さて、次こそは自分の趣味に突っ走りゼロヴァルを書こうと思います。
 宜しくお願いします。
 それでは・・・(ダッシュで逃げ去る雅山)

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9166Re:朝の来るとき晴明 3/27-13:23
記事番号9083へのコメント

なかなか、素晴しい文章ですね。ほんの少しでいいですから、文才をわけてほしいです。これからも、頑張ってください。