◆−或る夏の日−雅山 彰(3/30-12:37)No.9224
9224 | 或る夏の日 | 雅山 彰 | 3/30-12:37 |
・・・久々って程でもないですが雅山です。今回はゼラス様(男)とゼロス君のお話です。お楽しみ頂けたら幸いです。 * * * * * * * * ここは獣王宮の一室。そこで鼻歌まじりに書類を整理している一人の男がいた。 年の頃なら二十歳前後、金髪碧眼の黄金率の美形である。 そんな静かな時をぶち壊すかのように、どたどたという足音が近付いて来る。そしてけたたましい音と共に、ドアが乱暴に開けられた。 「ゼラスさまっ!!」 入って来たのはこの館の主―――この部屋で一人で書類を片付けていた男、ゼラス=メタリオム配下の神官、ゼロスだった。彼は片手に布切れのようなものを抱えている。 ゼラスは書類から目を離し、飛び込んで来た彼の方を向いた。 主が何の用だと問う前にゼロスは布切れを差し出し、言った。 「・・・・・・服・・・着て下さい・・・。」 そう、今のゼラスは上半身には何も、下半身には下着一枚しか着けていない。 早い話が、パンツ一丁なのである。ちなみに、今日は青の縦じまのトランクスだ。 「何で」 そんなゼラスの傍若無人な言葉に、ゼロスはこめかみを引き攣らせつつも言った。 「あのですねぇ・・・仮にも貴方は獣王と言う名をはせる方・・・少しは世間体を考えて下さい・・・。それに、貴方がそんななりでは他の者に示しがつかないんです。」 そのゼロスの言葉に、ゼラスはポンッと手を打って、 「だったらこうしよう。 夏の間、お前が獣王をやる。」 「その間ゼラス様は何をしているつもりですか?」 「俺か?・・・俺はお前になって、服着ないで毎日遊んでる。」 にこぉ、と、ゼロスは異様な位に優しく微笑んだ。 ゼラスはその異様な迫力に押され、じりじりと後ずさる。そんなうちに背中が壁につく。 ゼロスはゆっくりと口を開いた。 「確かに―――あなたが下着一枚で歩いていてもいいんですよ・・・只ですね・・・ ・・・・・・僕の格好をしてそういう事をするのはやめて頂けますか・・・?」 「や、やだなあ・・・た、単なる冗談に決まっているだろう・・・」 口元に引き攣った笑いを浮かべながらゼラスは言った。情けない限りである。 「ま、という訳で、」 いつもの調子に戻ってゼロスは言った。それにつられてゼラスも調子を取り戻す。 「服、着て下さいね。」 「やだ。」 きっぱりとゼラスは言い切った。 「何故ですか?」 少し頬が引き攣っている。・・・・・・修行不足である。 「暑いから。」 「さー、服を着ましょうねー。」 何も聞かなかったかのようにゼロスはゼラスに服を押し付ける。しかしゼラスは身を翻し、 「ふっ・・・幾らそんな事を言おうがお前は俺の部下だ。 したがって!」 ゼラスはピッとゼロスの方を指差す。 「どう足掻こうが、お前が俺に勝つことは不可能なのだ!!」 その瞬間、ゼロスはまるで縄に縛られたかのように全身の自由を失い、床へと倒れ込んだ。 「ゼラス様、卑怯ですよ!魔法を使うなんて!」 「何とでも言え。」 ゼラスはそう言い、気が抜けたので出てしまった犬の耳を引っ込めようともせず、鼻歌まじりにスキップをしながら部屋から出て行ったのであった。 ここは魔王宮の一角にあるカフェテラス。 〜宮といってもかなりの広さがあるので、どこで何をしようが特に問題はない。 ここでは時おり、神官、将軍以下の魔族で結成されたとある裏組織がある。その名も『アンチ・デーモンズ』。 この組織の活動内容は、仕事への不満、上司への不信などを互いにぶつけ合う事・・・つまりっ! 『上司の悪口を言いまくろうぜ!』 の会である。 そして今日も今日とて悪口雑言に花が咲く。 「・・・ゼラス様がですね・・・」 ゼロスの話し相手は覇王将軍ノーストである。 「何度も言ってるのに聞いてくれないんですよ・・・」 「うん、その気持ち判るぜ、ゼロス。」 まだ幼さの残る整った顔とは合わない粗野な言葉で、ノーストは相槌を打った。 お待たせしましたー、と、ウェイトレスの女性がそれぞれの注文した物を運んで来た。ゼロスはホットミルク、ノーストはミックスジュースである。 「困るのは僕なのに・・・あの方は判ってくれないんですよ・・・」 ゼロスは運ばれて来たばかりのミルクを、スプーンで乱暴にかき回しながら言う。 「うんうん。ほんとに判るぜ、その気持ち。 うちは海王様が来るから、脱ぎはしないんだけど・・・」 「ああ・・・海王様、覇王様にぞっこんですからねえ。」 「そーそ。脱ぐとおしかけて来るからさ。 だから脱ぎはしねえんだけど・・・部屋がさ、・・・パンダなんだよ・・・」 そう、覇王グラウシェラーは魔族きってのパンダマニアであった。昔はランラングッズから、今はた○パンダまで。世界中のありとあらゆるパンダグッズが彼の部屋には並んでいる。 「普通のグッズを集めるだけなんだったらまだいいんだけど・・・・・・今は机さえも○れパンダなんだよ・・・ 関西弁を遣うだけなんだったらまだいいんだけど・・・」 彼はため息をついた。 それから二人は色々話し合った。色々とはそんな上司たちへの対応策である。果たして彼らの画策は成功するのであろうか・・・? 「ゼっラっスっ様(はあと)」 「何だ?ゼロス。」 あれから、そんな事を話し合ってきたとは悟られぬように、ゼロスは獣王宮へと帰ってきた。 「いえ〜。服を着ていただこうかと思って。」 「まだそんな事を言っているのか?俺は着ないっ!」 ゼロスがニヤリと笑う。 「否が応でも着て頂きます。」 そう言って、バッグの中から出したそれを、 「それっ!」 掛け声と共に放り投げる! その瞬間、ゼラスの頭から犬の耳が生え、終いには全身が犬になり、そっれ―――骨を追いかけだす。 ワンワン!キャンキャン! ハグハグ・・・ガリゴリ・・・ 夢中で骨にしゃぶりついているゼラスの後ろから、ゼロスはいきなり首輪をはめる! ゼラスがハッとなった時にはもう遅かった。ゼロスは人間形態に戻ったゼラスに洋服をかぶせた。 ちょうどその頃、覇王宮からグラウシェラーの悲鳴がこだました。 * * * * * * * * * ・・・ダイナストが関西弁を操る好青年・・・ディープシーがホ○・・・ 気付けば私はヴァル受けが好きな筈なのに・・・ヴァルが一度も出てこなかった。 ゼロスは攻めなのが好き。(関係なし・・・)まあそのうちゼロヴァルを書くつもりなので・・・。 ちなみにダイナストのパンダグッズがどうなったかと言うと・・・ 暇があったら書くかも知れません・・・ でわっ! |