◆−作戦。(ガウリナ)−雪畑(3/31-21:28)No.9267
9267 | 作戦。(ガウリナ) | 雪畑 E-mail | 3/31-21:28 |
こんにちは。雪畑です。 また投稿してしまいました。 「女神の冒険」も終わってないのに何やってんでしょうか私は。 駄文ですが読んでくださいっ! -------------------------------------------------------------------------------- 作戦。 朝起きるとリナの体に入っていた。 「ふ。成功。」 我ながら素晴らしい。 鏡を見ると私が知っているリナの顔よりも大人びていた。 当たり前か…… 私がリナを旅に出してから3年。もう18歳になったのね。 「それにしても……」 やたら美女に育ったものである。 確かに可愛かったがここまでとはね。 胸はあまり成長してないものの街を歩けば男が寄って来る事だろう。 こんこんっ 軽いノックの音。 『リナ?起きたのか?』 「着替えたら行くわ。」 ガウリイ=ガブリエフ、だったわよね。 実は私がリナに乗り移ったのはこの男が原因なのだ。 リナとガウリイ=ガブリエフを恋人にするっっ!! 18にもなって恋愛経験全く無しという情けない事実をリナは持っているのである。 我が妹としてそれはちょっと情けないし、何よりガウリイさんの理性もそろそろ切れるだろう。 私が2人の愛のキューピッドになってあげようという真に高尚な志である。 けっして面白がってやってるわけでも、退屈だったわけでもない。 「伊達に十何年も姉妹やってる訳じゃないわよ……」 こうしてルナ=インバース(外見はリナ)は作戦を開始した。 作戦その一 「ねえ、ガウリイってさ、……好きな人居ないの?」 顔をちょっと赤らめ俯き加減に言う。 これでガウリイさんが色んな期待を膨らませまくっていること間違いなし! 「居るよ……何より大事な人が……」 リナの事ねっ!いや今は私なんだけど。 きっとガウリイさんはこういう遠回しな言い方でリナにアピールして来たに違いないわ。 超鈍感なリナはそれに気付かなかったんでしょうね。 「その人の所に行かなくていいの?」 いかにもリナが答えそうな言葉を返しておく。 「……お前を放って置けないだろ。」 くしゃり。 言葉とともに頭を撫でられる。 それにしてもこの男、いつもこんな風にリナの髪触ってるのかしら。 作戦その二 「痛っ……」 「どうしたんだっ?」 そんなに心配そうな顔しなくても。 愛されてるわね〜リナ。 ちなみにリナは今眠ってる状態である。 私に乗り移られた記憶はもとより今日何やったかも覚えていない。 「足ぐねっただけ。ちょっと休んでいきましょう。」 「見せてみろ。」 ……やるわね。 いきなり足に触るなんて……これで気付かなかったリナって一体? 育て方が悪かったのかしら。 「大丈夫よ。大した事ないから。」 言ったと同時に体が浮く。 「ちょっ……」 「運んでいってやるよ。」 ガウリイ=ガブリエフっっ……もしかしてリナにいつもこんな事してるんじゃないでしょうね…… 作戦その三 ガウリイ=ガブリエフ以外の男と親しげに話をするっ! 私(リナ)の容貌があればこそ。 「ね。今夜暇?」 馴れ馴れしげに肩を抱いてくる男。 やりすぎ。死になさい。 「行くぞリナ。」 殺そうと思った直後、ガウリイさんが間に入る。 「ちょっ……ガウリイ?」 ガウリイさんの瞳には明らかに嫉妬の焔が灯っていた。 掴まれた手が痛い。 馬鹿力っっ私の力でも離せないなんて…… ってリナの体だったわ。相変わらず非力ね〜 それにしてもいつもリナに男を近づけないのかしら…… 作戦その四 今私はガウリイさんの部屋の前に居る。 何をしに来たかと聞かれれば勿論夜這いである。 あえてノックをしない。 部屋の中の気配が動く。 「リナ?」 かちゃりとドアが開き、ガウリイさんが姿をあらわす。 「入っていい?」 小さいながらもはっきりとした声で言う。 こくこく頷くガウリイさん。 今ごろ理性を出動させてる事だろう。 なんたって今の私(しつこいが外見はリナ)の姿はパジャマ姿で枕を抱えている。 いかにも『嬉し恥ずかし夜這いに来ました』の標準装備! 後ろで扉を閉める音がする。 鍵かけたわね…… 「リナ、オレの目を見てくれないか?」 「はい?」 いきなり何言い出すのかしら…… とりあえず瞳を覗き込む。 この男もしかして…… 「何時から気付いてたの?」 相手が口を開くより早くこちらから言う。 「今。」 さして驚きもせずに即答したガウリイさんに悪戯心が湧く。 「じゃ問題。私は誰でしょう。」 「え〜と……オレの知ってる人か?」 呆れるほど警戒心を見せない。 まあ、私が敵意を見せてないって事もあるんでしょうけど。 「私はルナ。ルナ=インバース。何時も妹が世話になってるわね。」 初めて驚いたような顔をする。 「リナは……」 「寝てるわ。私の中で。 だから今から話すことはリナは明日になれば忘れるわ。」 とにかくリナが無事ならいいんでしょうね。 作戦は失敗したけどこうなれば正攻法。 「ガウリイさんはリナのことどう思ってるの?」 「愛してます。誰よりも。」 こっちが赤面する。 何か生まれて初めて負けた気分だわ。 でもガウリイさんの言う事に間違いはないだろう。 なら後は聞きたい事を聞くだけだ。 「リナに婚約者が居るって言ったらどうする?」 「リナの目の前で殺しますね。」 即答。 寒気を感じるほどの独占欲。 「リナに貴方の想いを背負わせるのは酷だわ。」 「オレがリナを愛してる事に変わりはないから。 リナがオレを愛してくれた時、もしかしたらリナはオレの想いを受け止める事が出来るかもしれない。 まずはリナに気付かせてやりたいですね。」 彼も彼なりに悩んだのね。 でも私はリナほど甘くはない。 「リナが気付かなかったら? 貴方の理性は何時まで持つのかしら?」 「それでオレを試したんですか?」 「……いろいろとね。」 楽しかったからなんだけど……言えないわね。 「そろそろ帰るわ。バイトがあるしね。」 強引な話題転換。 卑怯と言うなかれ人生の知恵である。 「最後に一つ。リナも待ってるかもよ。 貴方の言葉をね。」 もしかしたらこれが一番言いたかった事なのかもね。 目の前の視界が霞んで――消えた。 〜おまけ〜会話ONLY 「リナ、お前さん婚約者とかいるのか?」 「はあ?何言ってんの。」 「居ないんだな。」 「当たり前でしょ。何で?」 「いや、ちょっとな……」 「あんたこそ……恋人とか居るんじゃないの?」 「恋人候補なら。」 「……なら何であたしと一緒に……っ」 「リナ、話があるんだけど。」 終。 |