◆−巡る輪(スレイ・パラレルです)−守一(4/3-01:35)No.9307
 ┣はじめまして−一坪(4/3-07:03)No.9308
 ┃┗Re:はじめまして−守一(4/3-08:44)No.9310
 ┗面白かったです。−庵 瑠嬌(4/8-18:55)NEWNo.9433


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9307巡る輪(スレイ・パラレルです)守一 4/3-01:35

初めまして!守一です。何だかへたっぴですが、読んでいただけると
嬉しいです!
************************************


「足下に咲く小さな薄紅の花を蹴散らして
僕と彼女の春は始まった・・・」




春の広い野原。
そこには無数の野生の草花が、眩しすぎて目がくらみそうなほどの
太陽光を浴びてすくすくと成長している。
公園に生えているような草花はもともとはまっすぐに伸びる種であっても
人に、動物に、と踏みに踏まれ折れ曲がっているものだが、
そこにおいては踏まれることを知らない幸運なものたちが、
各々の思う様にその身を伸ばしていた。

しかし、その広い春の野においてただ一角だけ・・・
地面に向けて、頭をたれているものがあった。
自身の重みで垂れ下がっているのとは明らかに違う、
不自然で鋭角な曲がり方・・・
偶然この場所に生えていた草花がこのような哀れな末路を辿ったのには、
ごく単純明快な訳があった。
つまるところ、それは「彼」がその上に呑気に寝っ転がっていたからだ。

「彼」は流れる雲を見やっているわけでもなく、また辺りに咲く可憐でたくましい
花々を愛でているわけでもなかった。
にもかかわらず、「彼」は自身の漆黒の瞳を閉じもせず、
しきりに辺りに彷徨わせていた。

黒髪黒目、無彩色な印象を与えるモノクロ世界の住人のような「彼」は
有彩色の野原において、明らかに異質な存在だった。
誰かこの場に他人がいたならば、
多分「彼」はその人に 「生に乏しい」
−そんな感想を抱かせたであろう。

だから、その無感動な瞳に小さな少女らしき足が映ったとき・・・
彼に広まった波紋のような生の輝きは、多分普通以上に、
実に鮮やかに緑に映えた。

小さな、小さな華奢な足−
「彼」は見覚えのある・・・記憶をたぐり寄せずともぽんと浮かんでくる
その足の持ち主の名を軽く口に乗せて、
顔をほころばせ、微かに喉でくつくつと笑った。

その様は、機械人形が作動し始める様によく似ていた。
もしかしたら、小さな赤子が、母親の存在を認識して安心した様、とも言えるかもしれない。

何はともあれ、ここにおいて初めて、「彼」は言葉というものを発したのだった。

「お久しぶりですね・・・
 貴女とまたお会いできて、嬉しいですよ。」

「ふん・・・相変わらずの浮いた科白ね・・・。
 お久しぶり。二度と会わない予定だったハズの−すっとこどっこい獣神官さ   ん。」

貴女こそ、本当にお変わりなく・・・
会話をするのが本当に久しぶりで、強ばった舌が思うように回らないので
「彼」は苦笑して彼女にそれを伝えた。

そして「彼」は静かにその上半身を起こして・・・
−そこで、この世界において初めて・・・彼女の顔を見やった。

逆光の中で、それでも鮮やかに網膜に焼き付けられる
栗色の髪も、赤い目も。
何一つ、「彼」の中で以前と変わって見えない少女の姿を。

しかし、「記憶上の彼女」より少し眩しく覚えたのは・・・
果たして背にした太陽の光のせいだけなのだろうか?

草花の、少々埃っぽくて、鼻につんとくる緑と太陽の匂いを
胸いっぱいに吸い込みながら
「彼」−ゼロスは「この現実において」・・・彼女との再会を果たしたのだった。





「生まれ変わり!?
 おいおい・・・あんた、気は確かなのか?」

−東京
中央線沿いのありふれた都立高校の一つ。
午前中の退屈な授業を終え、心騒ぐ昼休みをむかえた
無機質にして堅固な印象を与える白い校舎の中に、
少女の級友にして幼なじみである硬質な雰囲気の少年−ゼルガディス
の声が意外なほど大きく響き渡った。

「ちょっとゼルっっ!!ほかの生徒、こっち見てんじゃないのっ!
 もうっ、気でも触れたのかと思われちゃうでしょ!!?
 も少し、声、おとしてっっ!!!」
「そうは言っても・・・。リナ、あんたそれ本気で言ってるのか?」

口元に人差し指を立てて、「静かにしてよ!」と眉間に皺を寄せる少女に、
ゼルガディスは思わず呆れたような声を出して・・・しかし小さくかぶりを振る。

「いや・・・愚問だったな、それは。そんなことで嘘を付くような奴じゃないこと は、長年のつき合いで解っていることだった・・・。」
「あったり前でしょ!!!んな利益の上がんないよーな・・・むしろ
 あたしのなけなしの信用を大暴落させるようなこと、例え相手が
 幼なじみでも言うはずないじゃないっ!!!」
「・・・あんた・・・本気で悲しい人生送ってるな。なけなしの信用、ってあた  り。」
「むむっ・・・うっさいっっ!!!ほっとけ!」

ぷいっ、と横を向いてふくれる少女に、苦笑して返す少年。
−勿論、これは友人同士の言葉のじゃれ合いであって、喧嘩とは
ほど遠い微笑ましいものであったが・・・
ゼルガディスは小さく笑うと、「すまん」、と詫びの言葉を口にした。
すると、少女は少女でいかにも渋々、といった感じに少年を見やり−
「許してあげてもいいわよ」と頷きながら重々しく応じる。

そしてもう一度お互いを見やって・・・・・・笑った。


そもそもの事の始まりは、彼女が彼に
「自分は前世の記憶がある」
と告げたことからだった。
彼女にとって、それは実に真剣な内容であったし、
実を言えば夜も眠れぬくらい、かなり本気で悩んだことでもあった。
だから、本来ならばゼルガディスのこのような反応は彼女にとって
とっても不本意なものであったし、また茶化されて腹立たしく思っても
おかしくないものであるはずなのだった。

にもかかわらず、実際にはこうして二人で顔をつき合わせて笑いあっている・・・

−つまるところ、彼らはいつもこんな風に真剣な話も軽口で交わすような、
ごく気安い仲の二人なのだ。
このような打てば響くような小気味よいテンポの会話が、彼らのいつも通りのスタイルなのだ。
彼らは話していると、必ずお互いのツボにヒットするのが常であった。
そして今回もまた、調子よくその展開が訪れた、というわけだ。

結局、「生まれ変わり」など、少なくともゼルガディスに
とっては非現実的すぎて、笑い話にしかならなかった。
または、心のどこかで・・・小さい頃特番でみた「NASAの研究材料にされる」
という、当時感じた実にスケールの大きい不安が蘇るのを、
解消したかったのかもしれない。

それに、他人に話すことによってすっきりしたい、という思いを彼女が持っていることは、
彼にとって一目瞭然だったのだ。


「それで?生まれ変わりってことは・・・前世があるんだろう?」
「勿論。」
「当ててやろうか?」
「当てられっこないわよ。・・・あれは、あたしだって、よく解んない。」
「何だ?今のあんたからは想像もつかないほど・・・淑やかだったのか?」
「ちょっとゼルっそれどういう意味っっ!!??」
「喧嘩を売るのはあまり好きじゃないんだが・・・
 言葉通りの意味だ。」
「ゼルっっ!!!!」
「まあ、落ち着け。ここまで散々に言われたら、むしろ話しやすくなるってもんだ ろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘付け。」
「言ってみろ。今なら、笑わないでおいてやる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔道士。」
「えっ?」
「魔道士。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


他愛もない会話においては、イレギュラーであって、
非現実的・・・というかむしろ二次元世界で多用されるような
それは・・・
言った本人を後悔のどん底に突き落とし、
返答者の切れ長の目を丸くさせるのに、十分であった。



−かくして、彼らの間に空白と静寂と・・・・・・・
 爆笑の時間が入り込んだ。







「あーーーーっ。久しぶりにこんなに笑った気がするぞ。」

普段からクールである彼が文字通り腹を抱えて笑うのは
確かに、珍しいことであったかもしれない。
未だ喉奥で笑いを堪えて身を捩る様子も、彼を多少見知った人間が
見れば充分驚くべきことであった。

「ちょっとゼルっ!あんた、さっきから失礼すぎるんじゃないっ!!??
 その笑い、さっさと引っ込めなさいよっっ!!!」
「いや・・・まさか生まれ変わりとやらが、そんなファンタジーなもんだとは
 予想しなかったな。」
「なっなによっ!!だーから言ったでしょっ!あたしもよく解んないもんだっ   て!」
「ああ、あんたゲームやらないもんなぁ。・・・なら、抑圧された深層心理の世界 で、魔法使いになりたい、とでも思ってんのかもしれんな。はやりだろ。」
「んなこと、絶っっっっっっ対ないっ!!!!つか、流行ってないわよ
 今時!大体、あたしどうにも今いち精神分析とか夢占いとか・・・・・・
 ああっ、とにかくその辺ひっくるめたやつが信用できないのよ!」
「あれは統計学だぞ。そんなに非科学的でもないだろう・・・・・まあ、そうだな ぁ。あんたが実際、魔法使いになりたい、なんて心の奥底で願ってるとは思えん しなぁ。」

「当たり前!」 という間髪入れずに返ってきた鋭い少女の言葉に、
ゼルガディスは苦笑して返す。
この少女が世にも類い希な現実主義者であることは、誰よりも彼自身熟知していることで
あった。
見かけと内心が違う、ということはよくあることだが、
それにしても「魔道士」になりたい、などとこの少女が思っているなど、到底考えられることではない。

「何だろうな、それは。そもそも、夢とかじゃないのか?ああ・・・白昼夢とか。
 あるだろ、脳の錯覚とかいうやつが。」
「その辺は・・・あたしも自信ないけど・・・。でも、いたんだからっ!!
 あたしと、記憶を共有してるやつがっ!!!」
「は?何だそれは。」
「だからっ!あたしの記憶とまるっきり同じ・・・ていうか、辻褄の合う記憶を
 持った奴がいたのよ!!」
「ちょ・・・ちょっと待て、リナ!落ち着いて、もっと解るように話せ!」
「っだからねーーーっ!!!」
「リナっ!ゼルガディスさんっっっ!!!」

極限まで混乱した二人の会話の中に、背後から凛とした幼げな少女の声が分け入ってきた。
彼らが思わずそちらを振り向くと、声に違わず、同じ年齢の少女達よりも少し幼い感じの
少女がふっくらした柔らかそうな頬を真っ赤に染め、息を切らせて立っている。

彼女の名は、アメリア。
彼らの、中学時代からの親友にして級友の・・・
正義感あふれる熱血少女−その人であった。

「聞きましたっ!!??転校生が来るんですって!」
「は?この時期に??何でまたそんな・・・」
「今、こっちに来ますよ!うちのクラスの転校生なんですっ!!」
「何?どんな奴が、そんな・・」
「えっと、黒髪で、黒い瞳でっ!あとっ・・あとそれからっ・・・」


「・・・・・・それは、僕のことでしょうか?」

乾いた発音がふいに発せられて、辺りが水打ったようにしんとする。
奇妙な静寂をもたらした「彼」は、アメリアよりさらに後方・・・廊下の窓際で、
静かに太陽光を受けて佇んでいた。
黒髪黒目、無彩色な印象を与えるまるでモノクロ世界の住人のような・・・
一同が凍り付いたように動かない中、「彼」は、ゆっくりと視線を彷徨わせる。

幾つかの視線が交差された、後。
「彼」は眼前の、栗色の髪と赤い目をした少女を、その視界に
・・・・とらえた。

「彼」の漆黒の瞳が、少女を映し出して揺れる。

「・・・・・・・・・・・また、会えましたね。リナさん・・・」

「・・・・・・・・あんたは・・・・・・・。」

ふいに、彼女の中にあの有彩色な広い野原が脳裏に蘇ってくる。
春の野原に咲く、小さな薄紅色の花を蹴散らして、思わず近づいて
しまった・・・「彼」。

「魔道士」であった彼女と一緒に・・・「お仕事」で旅をして・・・
「できれば二度とお会いしないことを祈りますよ」と言って去っていった、
−獣神官。

あの野原で初めて会ったはずの「彼」が彼女の名を呼んだのは・・・
はたして、白昼夢ではないという証拠にはならないのだろうか。

「もしかして、あんたの上司が仕組んだこと?」
「さて・・・・それはどうでしょうかね。
まあ、詳しいことは・・・」

「「秘密です」」

呆然とその光景を見つめるゼルガディスとアメリアを後目に、
少女−リナと獣神官ゼロスはこっそり笑みを交わす。

偶然か必然か−出会えた二人の春は、これから始まる。


*************************************
訳解らない文章で、申し訳ありませんーーっ!
続きがあるのをぶったぎって、こうなりました(泣)
分類、パラレルで宜しかったでしょうか??
ゼロリナにしては、ゼルガディスさんがメインっぽいし・・・・・
なんと表現したらいいか、解らなくて・・・。

お叱り、お待ちしております!!!
それでは、また・・・。

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9308はじめまして一坪 E-mail 4/3-07:03
記事番号9307へのコメント
投稿ありがとうございました!

ところでお名前は、栖一さんでしょうか? 守一さんでしょうか?
修正するので教えてくださいね。


現代の東京が舞台ってコトはゼルは普通の人間なんですね。
ちょっと興味あります。
あ、それと無理にジャンル分けしなくていいですよ。
ジャンルを意識して書いたのじゃないなら。


では、これからもよろしくお願いします。

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9310Re:はじめまして守一 4/3-08:44
記事番号9308へのコメント

一坪さんは No.9308「はじめまして」で書きました。
>投稿ありがとうございました!

うひゃ・・・駄文、申し訳ありませんでした。
一坪様、これからも、どうぞ宜しくお願いいたします!!

>ところでお名前は、栖一さんでしょうか? 守一さんでしょうか?
>修正するので教えてくださいね。

あっ!えと、「守一」で、お願いいたします〜〜っ!!
はじめは「栖」にするつもりだったのですが、どなたか使っていらっしゃる
方がいらしたような気がいたしまして・・・。
ちなみに、「すいち」です♪(スワンと読めるように・・・・
とか考えていましたが・・・乙女すぎて恥ずかしいから没に 笑)
>
>
>現代の東京が舞台ってコトはゼルは普通の人間なんですね。

ああっ・・・その通りです〜〜っ!!
自分で読み返してみて、そこの部分が解りにくいかも〜〜!と
思っていたのです。ゼルさん・・・少し原作と違って、もちょっと
柔らかく表現できたらいいな、と思って書いていました。(でも、
明らかに私、力不足〜〜。)裏設定・・・ほとんど・・・というか
全く出さなかったので、何だか漠然としたものになってしまいました(汗汗)
願わくば、次作に生かせたらと思っています。
それにいたしましても、そこまでお考えを馳せて頂けて、
本当に嬉しいですっ。有り難うございます!

>ちょっと興味あります。
>あ、それと無理にジャンル分けしなくていいですよ。
>ジャンルを意識して書いたのじゃないなら。

有り難うございます!はい・・・ジャンル、全く意識していなくて
主に世界観を意識して書いていたので・・・。
ジャンル表記・・・これからの参考にさせて頂きます♪
>
>では、これからもよろしくお願いします。
>
ふつつかものですが(笑)これからもどうぞ宜しくお願いいたします!

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9433面白かったです。庵 瑠嬌 4/8-18:55
記事番号9307へのコメント


 はじめまして、こんにちは。
 庵 瑠嬌と申します。

 わたくしは、ゼロリナが好きな人間で、このお話も、あぁゼロリナだと興味が引かれて読んだのですけれど。
 読み終わって一番、申し上げたいのは。

 リナさんとゼルガディスさんの会話、面白かったです。

 庵の知っている話では、コンビでお喋りするとき、リナさんは、アメリアさんとか、ガウリイさんと喋っているパターンが、多いんですけれども、このお話は珍しく、ゼルガディスさんとのコンビで。
 やっぱり、まともな会話が成立するのは、この二人なのかも知れませんね。双方、頭脳派ですし。
 漫才のような、軽妙な会話が楽しいです。

 続きで、リナさんとゼルガディスさんの会話に、期待させていただきます。
 
 また、リナさんとゼロスさんの会話は、今のところそれほど多くないので、これからどんな感じになるのか、楽しみにしております。
 生まれ変わりで、それぞれに前世の記憶がある二人。
 しかしこの場合、お互いしか覚えていないのでしょうか。
 たとえば、リナさんはゼルガディスさんや、ガウリイさん、アメリアさんと旅をしていたことは、記憶しているのでしょうか?
 ゼロスさんなら、何を知っていてもおかしくない感じがするんですけれども(笑)

 あんた、本当にゼロリナファンか?というような、感想になってしまいました。それでも、わたくしはゼロリナが好きなんですけれど……。
 それはともかく、早く続きを書かれることを祈っております。
 それでは失礼をば……。