◆−若き日の思ひ出・2−朱雀(4/6-16:49)No.9397


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9397若き日の思ひ出・2朱雀 E-mail 4/6-16:49


1が深くに沈みそうなのでここに投稿です。

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    若き日の思ひ出・2

 あと……
 炎術師のミカエルはふりぃずぶりっどで
 冷士は火炎球で……etc。
 少年はティーンとして勝ち進んでいった。
 そして、呟く。
「母さん、次は一発でキメるよ」

「赤コーナー……
 魔法の一発勝負で決めるぜ!
 ヒスパニア=ベティ!!

 白コーナー……
 初登場でここまで来たぞ「運命を背負う者」
 ディア=ティーーン!!」
 そして始まる刹那。
「ティーン……ガキだな」
 ぷちぃっ。
「ガキじゃないぞ 見てろよヒスパ!
 ―――崩霊裂!!」
「……!!!」

 ず、どっかああぁぁぁん……

「……げ、げぇむ、せっと……」ケホ


 5年ごとに行われるこの大会。
 10歳の……いや、10歳になった少年、また大会で優勝。
 15歳になってまた優勝。
 17歳の修行中。 少年は、自分の力にひけめを感じるようになった。
「くそっ…… もっと、強くなりたい……!!」
 少年は呟く。 そしてさらに修行を続ける。
「やめなさい、体を壊しますよ」
 後ろから響く声に、少年は思わず体を引いた。
 振り返り、落ち着いて話す。
「―――誰だ?」
「通りすがりの者です」
「去れ!」
「……強くなりたくありませんか?」
「えっ……!?」
 少年は驚き、その男を見つめる。
「これは、魔力を封じるオリハルコンです」
「ああ、知ってるけど」
「見ててごらんなさい」
 声に従うように少年はオリハルコンを見つめる。

「!」
 一瞬後、オリハルコンは男の魔力でこなごなに破壊されていた。
「す……ごい! 頼むよおっちゃん、俺を強くしてくれ」
「えぇ、良いですよ。 ……私に手伝ってくれればね……」

「できましたよ」
 少年は鏡をのぞく。
「あ……あ、うわあぁぁっ!!」
 頭を抱えて叫ぶ少年、それを見つめる男。
 男は笑っている。
「………っ!」

 そして少年は村から消えた。
 が、あの占いのおばあちゃんにはたびたび手紙が来ていたのだった。

 
 ヴィアさんへ。

 突然村を抜けたのは、わけありです。 ある意味「グレた」と言うのでありましょうか……
 母上は元気でしょうか。 しばらく俺は、村に現れないでしょう。
 出会った赤い法衣の男にキメラにされ、恐らく村に帰っても誰だかわからないでしょうから。
 修行は欠かさずしています。 いつかあの『赤法師』をうつために。
 目標を果たし、俺が人間に戻り次第、また……
 それまで、母上をよろしく。


「……わかったろうか、すーちゃんは。 私があのとき仮称として、『ディア=ティーン』と名づけたその訳を……」

 そして2年経った。
 少年のところに、ヴィアからの手紙が届いた。
 それを読んだ少年は、言葉を失った。


 すーちゃん。
 まことに悲しい話だが、お母さんが昨晩亡くなった……
 お母さんは、お前が元気に育ってくれることだけを祈っている。
 がんばって、そして村に戻って……


 その時から少年は、冷たい心を持つようになった。

 そして月日は流れ、人との出会いもあり、ほのかに笑うことが出来るようになった。
 まだ体は戻らないが、そんな自分でも見とめてくれる仲間がいたからだった―――


 笑いを取り戻してくれた、仲間。
 それは、ディア=ティーン……『運命を背負う者』たち。
 同じ仲間だから、共鳴しあうのだろうか……
 
 運命は、まだわからない。
 しかしここから―――『ディア=ティーン』、ゼルガディス=グレイワーズの旅は始まるのだった。

                  END

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ということで、ゼル君でした!
えっと、レゾは自分の肉親だと知る前でしたので。
楽しんでいただけたら、幸いです。

         代筆・柴崎 すずね