◆−もっと強く生きられる? きっと夢は叶う? #17−浅島 美悠(4/10-11:37)No.9465
9465 | もっと強く生きられる? きっと夢は叶う? #17 | 浅島 美悠 | 4/10-11:37 |
ああ………なんか暖かいな…。 ……そう…これは……。 ………懐かしい……なんか、遠い……記憶…。 『まいったわね……。リディスの熱もなかなか下がらないし…』 『……』 『ゼル。後はあたしに任せて、あなたは休んだら?』 『……いや…。俺がする…』 『そんなっ…三日も寝ないで…!』 『大丈夫だ』 『……ったく…。復活(リザレクション)が使えたら…』 『それは違うぞ。リナ』 『…?』 『なんでも魔法で治せたら悲しいぜ…。だってこいつは、俺達の たった一つの宝物……喜びなんだから…な…』 ……そうか…。こんなこと、あったんだっけな………。 今まで……誤解してて…ごめん……。父さん…母さ……。 目を開けると、白い天井が入ってきた。 「こっここは!? つっ!」 思わず起き上がると、激しい痛みが全身に襲いかかる。 「大丈夫ですか?」 「ダメよ、無理しちゃ! 傷が開いちゃうでしょ?」 アミエラとリナが、慌てて支える。 「ここはセイルーン王宮のアミエラの部屋でさ。ちょうど良かったから借りてんのよ」 リナがウインクをして答える。 よく見ると、自分の身体は直接包帯を巻き付けられている。 着ていた服は、おそらく穴や血だらけになったので処分したのだろう。 …助かったのか………私は…。 ほぅっと一息つく。安堵か、それとも別のため息なのかは自分でもわからないが。 「よかった! リディス様ぁ!!」 レインが抱きしめる。 「いでででっ!! こらレイン、はな……」 離せと言おうとして、はたと気がつく。 「え……?」 皮膚の感触が、いつもと違う。不審に思って、手のひらをおそるおそる見てみれば── 白い、透き通るような肌の色。 「なっ!? そんなっ……」 慌てて頬にも手を当てる。柔らかい。硬い、蒼い岩の肌ではない。 「あっ、ごっ、ごめんなさい! 生まれて初めてやった復活(リザレクション)なんですけど…」 アミエラが呆然としているリディスに頭を下げる。 「その……なんか、母さんの話だと、私の強い『祈り』の力が副作用…みたいなのを出して……。 合成獣(キメラ)の……えと、岩人形(ロック・ゴーレム)の部分が消滅したんですけど……。 もう一つの邪妖精(ブロウ・デーモン)は…まだ健在で……。 髪も伸びちゃったのに、怪我がちゃんと治らなくて………」 言われて髪に手をやると、確かに、銀髪は自分の腰にまで達していた。 「ま、何にしてもだ」 それまで黙っていたゼルガディスが、リディスに話しかけてきた。 「お前も……色々あったんだろうが。死ぬ、なんて……バカなことは考えるな」 目線をそらしながら、頬をかく。彼が必死に言葉を探しているのがわかる。 苦手なのだ。人を慰めるのは。 「お前が死んでも……その罪が消えるって、わけじゃない……ぜ」 びくっと少しだけ身を震わせるリディス。 「生きて、償うんだ。今までの罪を…」 「!」 顔を上げ、ゼルガディスを見つめる。 「その……お、俺も……そうしてる…。お前と、同じ……罪人だからな………」 顔をほんのり赤く染まらせ、そっぽを向く。 「辛いこと、とか。悲しいこと、が、あったら………。 …………アミエラが………………仲間……が、いる……だろ?」 リナが笑い、ガウリイがとぼけ、アメリアが叫ぶ。 可笑しくて、面白い。頼りになる、あいつら。 あれを仲間と呼んでいいものかはさだかではないが。 「………。 …………。 ……すまない…。レインと二人にしてくれ……」 リディスの言葉に、アミエラ達が無言で出ていく。 パタン……。 静かに閉じる扉。 それは、裁判の槌の音にも似ていた。 しばらくして、リディスが口を開いた。 「聞いたか? レイン…。『生きて償え』だそうだ……」 「……はい」 なんと答えていいのかわからず、返答するレイン。 「ククク……こんな…」 うつむいたまま、自分で自分の肩を抱く。 「こんな………私でも…生きて……」 その表情は、レインの方からは影になっていてわからないが── 主の頬には、水が流れていた。 「──雨がやんだわね…」 満天の星空を見つめて、リナが呟いた。 #17・了 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あああああああああああああああああああっっっっ!!! あたしのゼル君がっっ……ゼル君がぁぁぁぁぁぁ!!! こんなんゼル君ぢゃないですわぁぁぁぁぁぁっっ!! 全国のゼル君ファンの皆様、ごめんなさいでーすわ(泣) このシリーズももうそろそろお終いですわ。 まあ、あたしの気が変われば、リディス×レインでもやるかもしれませんが…ですわ。 でゅわ! ブラックな発言でもおっけーですわ! 何かカキコぷりーづっ。でーすわ。 Miyu Asazima |