◆−−灰次(4/15-17:36)No.9580


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9580灰次 4/15-17:36


「さよなら、ガウリィ」
言ったリナが、静かに微笑んだ。
最初会った頃は見せなかった、リナの表情。
「・・・・・・・」
ガウリィは何も言わなかった。

これはリナが決めたことだ。自分に変えることだど出来ない。

 −−俺はこいつの保護者だから−−−−

 最初、その言葉を口にしたのはいつだっただろうか?

 別に深く考えて言った言葉では無い。
 ただ、こんな小さい女の子が一人で旅をするのはと、素直に出た言葉だった。
 でも、リナが保護者などいるような、ただの少女では無いと分かってからも、何度かその言葉を使った。
 自分にはそれ以外、リナと共に旅をする理由を伝える事が出来なかった。
 そしてリナは、もう少女とは言えない歳になって、俺と別れることを自分で決めたのだ。

 −−−リナ、それでも俺はいつまでもお前といたかったよ・・・

最後まで、言うことの出来ない自分にガウリィは苦笑した。
「ガウリィ?」
リナが不思議な顔で、ガウリィの顔をのぞき込む。
「・・・さよなら、リナ・・・・」
ガウリィの蒼い瞳に自分が写ってるのをリナは見た。

 この瞳を見るのもこれが最後ね・・・・・・・・・・

リナが優しく微笑みながら、ガウリィの頬に静かに手を置いた。
「さよなら・・・ガウリィ・・・・・・・・・」



リナはガウリィと別れ、一人歩いていた。
だいぶ日が暮れ、周りには自分以外歩いている者は見あたらない。
リナは赤く染まった大地を見つめた。

 最後まで、ガウリィに何も言わせなかったのは自分だ。
 ガウリィの優しさを最後まで利用したのだ。
 ガウリィの想いは、たとえ口にされることが無くても充分に伝わっていた。
 ガウリィは、自分があたしにしてやれたことなど何もなかったと思っていた。
 だから、あたしはそこにつけ込んだ。

 本当に酷い女になったものね・・・
 一緒にいる資格がないのはあたしのほうだわ。

「・・・・・・・・いるんでしょ、ゼロス・・・・」
リナが虚空をを見ながら言った。
「こんにちは、リナさん・・・・・あれっ?珍しいですね、ガウリィさんと一緒じゃないんですか?」
「白々しいわね、さっきからずっと見てたくせに。あんた相変わらず趣味が悪いわよ」
リナが強い視線でゼロスを睨む。
ゼロスは困ったように笑って
「いやぁ、別に僕の趣味って訳じゃないんですけどね」
と、頭をかいた。

「でも・・、なんでガウリィさんと別れる事にしたんですか?」
ゼロスがわざとらしく、首を傾げた。
ゼロスの相変わらずのすっとぼけた態度にリナが苦笑する。
「さっき、ガウリィに言ったとおりよ・・・。聞いてなかった訳じゃないんでしょ?」
「もう保護者はいらないってヤツですか?ははっ今のガウリィさんには、きつい言葉でしたでしょうね。
 あの人は光の剣を失った今、自分がリナさんを保護するどころか足手まといになっていると思ってましたからね。」
「・・・・・・・・そうよ・・、まっ実際、ガウリィが思ってるように、今のガウリィじゃ戦力にならないもの。これ以上、あたしと一緒に旅をしたら、無駄に寿命を縮める事になってしまう・・・・それに下手したら共倒れになるわ、あたし、そんな事はごめんなの」
「はははっ相変わらず、厳しいですねぇ。光の剣がなくなったとたんガウリィさんは用済みですか?」
リナは一瞬強ばり、深いため息をついた。
「・・・あたしはまだ死にたくないの・・・」
リナのその声が微かに震えた。
「リナさんは自分かわいさに、今まで一緒に旅をしてた者をあっさり捨てた訳ですね。ガウリィさんのあなたへ対する想いも知りながら、全て無視した訳ですか?」
リナがゼロスをキッと睨む。
「仕方がなかったのよ!それにガウリィの為にもこの方が良かったのよ!」
リナが叫ぶように言った。ゼロスは先ほどから表情ひとつ変えることがない。


「・・・・・・・・・・そんなに、ガウリィさんが大事ですか?」
リナがはっとゼロスを見る。
「・・・・・・ゼロス、お前・・・・」
リナの顔から先ほどの表情が消え、静かに静かにゼロスに見た。
「なかなかの演技でしたけどね。ガウリィさんなどコロッとだまされてましたし。まぁ僕もリナさんの気持ちを察して、騙されたフリをしようかと思っていたのですが、ちょっと考えが変わりました。」
ゼロスは、口許に浮かべた笑みを崩さずまま、赤い瞳でリナを見つめる。
「ガウリィに手を出したら、間違いなくお前を殺すわ、ゼロス」
静かにリナが言った。
ゼロスが面白そうに笑う。
「楽しみにしてますよ。リナさん・・・それではまた・・・・・ああ、後ごちそうさまでした。ガウリィさんにも僕がお礼を言っていたと伝えておいて下さいね。」
ゼロスが虚空に消えた。
一人取り残されたリナは、拳を握り閉めてその肩は震えていた。
「・・・・・・・・・・・・リィ・・・・・・・・・・」
そのリナの言葉は誰もいない、夜の闇に飲み込まれていった・・・・・・・


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女の子の嘘につき合ってあげるのも男の甲斐性なのでしょう。
つーことは、ゼロスは甲斐性ナシなヤツなのですな(笑)