◆−女神の冒険 11−雪畑(4/17-21:37)No.9654
9654 | 女神の冒険 11 | 雪畑 E-mail | 4/17-21:37 |
女神の冒険 11 「何やってるわけ・・・?あんた達・・・・」 ルナの科白に傍にいた一人の男が振り向く。 「ガウリイ=ガブリエフに呪いを!」 ルナの執務室。――のはずなのだが。 部屋の外には『リナ=インバースを護ろうの会。』と言う横断幕が掲げられ。 部屋の中ではなにやら妖しげな呪文が木霊している。 「持って来たぞわら人形っ!」 「五寸釘足りないぞ〜」 怯える秘書の娘をよそに着々と準備をすすめる総勢20名。 「あんた達それでも神様なの・・・?」 ルナの呟きを聞くものは誰もいなかった。 -------------------------------------------------------------------------------- 信じたくなかった。 リナが自分以外の男と仲良さげに喋っている。 ただそれだけの事なのに。 「リナ。」 オレだけの女神で居て欲しかった。 自分勝手な独占欲だと。分かってはいても想いは膨らんでいく。 戸惑うリナを抱きしめるガウリイ。 「ガウリイ・・・どうして・・・」 「ルークが創った防具を着てるからな。」 武器と防具の武神が創った鎧。 眠り(スリーピング)程度なら弾いてしまう。 「俺を無視するな。」 憮然とした声がガウリイの思考を中断する。 「何者だ?」 「ロゼ。リナの恋人(予定)だ。」 「ちょっと待てえっっ!!」 ガウリイの腕の中でリナが叫ぶ。 ちなみに誰も聞いていない。 「本当か?リナ?」 ガウリイの声の冷たさに思わずリナは身を竦ませる。 「嘘に決ってんでしょ。」 「リナと俺とが出会ったのは月の美しい夜のことだった。」 「聞きなさいよ。」 なにやら勝ち誇った顔で語りに入るロゼに突っ込みを入れるリナ。 もちろん聞いてもらえなかった。 「月の光に照らされたリナは俺に優しく微笑みかけ――」 「何で逃げたんだ、リナ?」 「別に・・・理由なんて・・・」 とりあえずロゼを無視して会話をはじめるリナとガウリイ。 「俺の話を聞けっ!」 「あんたに言われたくないわよっ!!」 「リナ。答えろよ。」 全くかみ合っていない会話を続ける3人を月が優しく照らしていた。 「ロゼさんってどんな神(ひと)なんですか?」 アメリアの問いに凍りつくルーク。 ちなみに会場に居た人間はロゼの呪文で眠ったままである。 「リナ=インバース親衛隊の一員で・・・ 変な奴だが腕は立つ。」 冷や汗を流しつつも言うルークにミリーナが視線を投げかける。 「確か――武術の神だったわね。」 「下手したら俺やゼルガディスでも勝てないかもな。」 その場が静まる――と言っても元々そんなに騒がしくは無かったが。 アメリアの科白がその沈黙に追い討ちをかけた。 「じゃあ・・・ガウリイさん・・・」 ――ガウリイでも勝てないかもしれない。 「見に行くか。」 ゼルの言葉にアメリアは力強く頷いた。 「これが俺とリナとの出会いの物語だ。 続いて愛を誓い合った時の――」 うだうだ続くロゼの話を無視してリナに迫るガウリイ。 「愛してる・・・リナ。」 「ガウリイ・・・?」 いつの間にか話がそんなとこまで行ったらしい。 ロゼの手に力がこもる。 「聞けぇっ!!ガウリイ=ガブリエフ。 俺とリナはな・・・」 「今夜、言おうと思ってたんだ。 オレがリナの男避けになろうと・・・・」 科白の途中でいきなりリナを抱えて飛び退るガウリイ。 その後を槍が何本か貫く。 「どういうつもりだ?(いいとこだったのに・・・)」 「・・・俺を優しく介抱するリナ。」 かみ合ってない会話を続けながらも2人の間には火花が散っている。 「どうやら決着をつける必要があるようだな。」 「そこで俺はリナという女神に生涯ついて行く事に決めたんだ。」 意思は通じているらしい。 剣を抜き放つ両者。ガウリイが構えるのは光の剣である。 「ちょ・・・っ」 「勝った方が勝ちだ。」 「我が親衛隊の掟は『掟は破るためにある』だ。」 リナを無視して話を進める2人の男。 その会話の内容は凡人には理解できないものである。 ――リナが切れた。 「人の話を聞きなさいっ! 暴爆呪(ブラスト・ボム)っっ!!」 その日。 原因不明の爆発で城の一部が消え失せたと言う。 その頃のルナの執務室。 「ガウリイ=ガブリエフに呪いを!」 『呪いをっ!』 「我が友ロゼに祝福を!」 『祝福をっ!』 「・・・・・暴爆呪(ブラスト・ボム)っっ!!」 その日。 原因不明の爆発で神々の長、ルナの執務室が崩壊した。 ∇続くっ! |