◆−女神の冒険 12−雪畑(4/22-12:15)No.9716
 ┗女神の冒険 最終話−雪畑(4/22-14:02)No.9717
  ┣お疲れ様でしたあ!−seria(4/23-13:15)No.9731
  ┃┗終わったぁっ!!−雪畑(4/23-17:22)No.9734
  ┗Re:女神の冒険 最終話−Yu-ko(4/27-20:33)No.9772
   ┗Re:うにょうっ−雪畑(4/30-13:15)No.9799


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9716女神の冒険 12雪畑 E-mail 4/22-12:15


女神の冒険 12

『城がぶっ飛んだ』
その日街はその話で持ちきりだった。

そんな長閑な春の日の
城下町のある宿屋で――
「リナ。おはようっいい朝だねっ。」
「もう昼です。」
ウインクをして言ったロゼに答えたのはミリーナだった。
アメリアやゼル、もちろんルークも居る。
「ミリーナ殿、でしたか。リナは?」
「自分の部屋に。」
ミリーナの科白を最後まで聞かずにリナの部屋へと駆け出すロゼ。
間を置かずにロゼ(多分)の悲鳴が響いた。
「危険ですよ。
 触っただけで怪我するような結界張ってましたから。」
ミリーナがぼそりと呟く。
「ミリーナさんが恐いです・・・・」
涙を浮かべつつ誰にともなくアメリアが言う。
「無茶な事頼まれたみたいだからな。」
そう言ってゼルは今朝2杯目のコーヒーを注文した。


ガウリイは不機嫌だった。
リナに愛の告白をした後吹っ飛ばされて気がつけば自分の部屋である。
絶対安静とかでリナに愛の告白の返事を聞きに行く事もできない。
「はぁ〜〜」
もう何度目になるかも分からぬ溜息。
変わったな、と思う。
たった一人の少女(ただし女神)の為に笑ったり落ち込んだり。
――ただ
今こんなに憂鬱なのは彼女の所為だけでもない。
「あの男・・・」
リナと一緒に居たあの男。
名前は・・・忘れた。
リナと一緒にいたことも気に食わないが。
あの男は――自分に足りない物を持っている。
どう足掻いてもてに入らない物。
リナは女神。
オレは人間。
埋められない差。埋まらない溝。
あの男とは違う、所詮は一介の人間に過ぎないオレに彼女を愛する資格はあるのか?
人間と神。神と人間。
居た堪れない気持ちになってまた一つガウリイは溜息をついた。


「あ、の、ねえっ!!
 ガウリイは人間なのよっ!それを・・・」
『地位が無ければ授ければいいのよ。』
水晶から聞こえてくる姉の言葉にリナは思わず絶句した。
「いいのか・・・?」
『遠慮しないで。姉妹じゃない。』
「なんか違う・・・」
この姉に逆らって得したことなど一度も無い。
それでも。
「ガウリイの道をあたしが決める訳にはいかないわ。」
ガウリイは人間なのだ。
平和に生涯を過せる恵まれた環境に育った者。
『じゃあ・・・ガウリイさんに決めさせればいいでしょう。』
「・・・・分かった。」
渋々納得したリナの言葉とともに水晶が光を無くす。
「ミリーナ・・・怒ってるだろうな・・・」
呟きとは裏腹に頭に木霊するのはガウリイの言葉。
――『愛してる。』
あれは本音だったのか。
嘘か真か。
捻られた事実。見えない真実。
リナの心は揺れていた。


――月は闇夜を愛する。
そう言ったのは誰だったろう。
月にとって闇夜は全てを隠してくれる蓑だから。
……月は何を隠したかったのだろう?
「な〜んてね……」
「こんな夜中に何をしている。」
感傷に浸りかけた心が引き戻される。
引き戻したのは――
「ただのお月見よ。ゼル。」
「闇夜の晩にか?」
確かに闇夜に完全武装で月見する人間はいないだろう。
リナは女神だが。
「ミリーナは甚くご立腹だ。」
あたしだって――
あんな事認める気はないわよ。
冗談混じりに言ったゼルを睨み付ける。
「・・・・姉ちゃんに逆らうとろくな事無いわよ。」
本当は認めたい。
ガウリイとずっと一緒に――
「別に俺はどうでもいいが。
 掟破りもいいとこだ。最終的にミリーナは認めるだろうがな。
 ロゼたちが黙っては居ないだろう。」
ゼルの言葉にリナは返す術を持たなかった。


【騎士(knight)】
一定の階級以上の神に付き従い、護り抜く義務を負う者。
功労によって天帝君より授与される爵位。
 封建法 5章より抜粋

「まあ、確かに人間を騎士にするなとは書いてない。」
「ガウリイさんは烈光の剣(ゴルンノヴァ)を持ってます。
 あの剣の腕、神の称号を貰っても見劣りしませんよ。」
ルークとアメリアの科白をミリーナは黙って聞いていた。
結論はもう出てるのだが。
どうしても納得する事ができない。
――何かが引っかかる――
「闇を見よ。」
聞きなれた声がミリーナを現実に引き戻す。
「光が闇を其の目に捕らえるは至難の業。
 光に照らされては闇は存在できぬからである。」
「・・・・リナさん?」
違う。
彼女の目は何時も生命の輝きに満ちていた。
前にも経験したこの感じは・・・
「貴女は金色の・・・・」
「神と人間。互いに不完全なる存在。
 足りない物を補ってなにが悪い?」
アメリアの科白を遮って王たる者の言葉が響いた。


「失礼しま〜す、っと。」
「ルーク!」
寝付けず悶々と夜を過していたガウリイの所に訪れたのは意外といえば意外な人物だった。
ルークその人である。
「どうして此処に・・・?」
「飲むか?」
ガウリイの科白を無視して言ったルークの手には酒瓶が握られていた。
――1時間後。
「幾ら言葉で伝えても伝えきれないモノってあると思うぜ。」
「どういう意味だ?」
ルークの言葉の意図がわからず戸惑うガウリイ。
2人の傍には10本単位の空き瓶が転がっている。
「俺は女じゃねえよ。けどな、リナよりは女心ってもん分かってるつもりだ。
 人間も神も似たようなもんだ。
 言葉だけじゃ物足りない。言葉の次には身体が欲しくなる。身体の次には証が欲しくなる。」
「余計分からん。」
そうは見えないがルークも酔っているらしい。
何時もより理屈っぽい。
「だぁあっ〜!お前って奴は・・・・
 リナの傍にいたんだろ?ならこんな所でうじうじしてんじゃねえっ!
 リナが誰かに取られてもいいのかよ!」
ルークの言葉に――ガウリイの頭が覚めた。
手早く鎧と剣とを身に付ける。
もちろんリナの所に行くためである。
「ルーク、恩に着る!」
そう言い残して窓から飛び出したガウリイに言うとも無く呟く。
「ここ3階だぞ・・・・あいつ本当に人間か?」
溜息をついて指を鳴らす。
それと同時に転がっていた空き瓶が消えうせた。
廊下から人の走る音が聞こえてくる。
少しでかい声を出しすぎたか・・・そう思いつつルークも窓から身を躍らせた。
 
∇最終話へ続く。

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9717女神の冒険 最終話雪畑 E-mail 4/22-14:02
記事番号9716へのコメント

女神の冒険 最終話

「本当は認めてるんだろう?」
ゼルの言葉にロゼ(の包帯巻き)は答えた。
「ガウリイのことか?認める気はない。
 リナの恋人となるには役不足だ。リナにはやはり俺のような・・・・」
ミリーナの冷たい視線にさらされてロゼの言葉が途中で凍る。
「・・・・・恋人としては役不足だが・・・・
 騎士としてはまあ及第点、というところだな。」
そっぽを向いてロゼが言った。



とんっ
小さな音を立てて人影が塀から飛び降りる。
その長身には似合わぬほど身軽な動きで。
「ふう・・・」
ガウリイは一つ息をつくと駆け出した。
行き先は――リナ達のいる宿屋。
恐かった。リナの答えを聞くのが。
『人間のくせに何言ってんのよ。』
そう言われたら多分自分は狂ってしまう。
罪にも等しい事かもしれない。
それでも自分は誰より強い輝きを持つあの少女に魅入られてしまったのだ。
「・・・・リ・・・ナ・・・」
走り続けていたガウリイの足が止まる。
今日は闇夜。闇が夜を支配する日。
それに関わらず鮮やかに目に映るのは求めていた少女。
「ガウリイ?」
夢ではないか?
風に靡く髪すら幻のように思われて――
「リナ・・・?どうして・・・・」
言いかけた言葉が止まる。
こちらに近づく足音。おそらくは宮廷兵のものだ。
「浮遊(レピテーション)。」
リナも気付いたのか小さく呪文を唱えるのが聞こえた。
それと同時にガウリイとリナの身体が浮かび上がる。
傍にある廃屋の屋根の上へ――



「どうしてあのようなお戯れを――?」
「詮索しないで。ただの気まぐれよ。」
ゼロスの疑問に簡単に答える金色の魔王。
「あえて言うなら好奇心、かしらね。
 うまくいって欲しいじゃない?あの2人には。」
「うまくいくまで何年かかるか・・・」
何しろ不器用なあの2人のことですから・・・
苦笑しつつもゼロスは一礼してその場を辞した。



「貴女は反対?」
ミリーナからの報告書を読みながらルナはふと疑問を口に出した。
場所はルナの執務室「ぱぁと2♪」である。
「私は・・・リナ様が幸せであれば、
 リナ様自身が決めた事なら良いと思います。」
言葉を選んでルナの秘書の少女は言った。
「そう・・・」
ルナはそれだけしか言わなかったが――
心配なんですね、リナ様のことが――
少女には何故か分かった。
人間を騎士にするなど前代未聞。
反対意見もあるだろう。
それでもこの人は神々の長でなく一人の姉としてリナの幸せを願っているのだ。



ぱたぱたぱた・・・
静かな複数の足音が通り過ぎる。
その様子をガウリイとリナは息を潜めて伺っていた。
「もう大丈夫みたいね。」
リナの科白を境に重い沈黙がその場を支配する。
言いたい事は沢山あった筈なのに。
「何でまた城を抜け出したりなんか・・・」
「お前さんに会いたかった。」
その場を取り繕おうと言ったリナの科白に即答するガウリイ。
何かを決意した顔で言う。
「お前にとってオレがどんな存在でも。
 オレはお前の事愛してるから・・・・」
子供の告白のようにたどたどしい言葉で、それでも懸命に言葉を紡ぐ。
リナはただ呆然とそれを聞いていた。
「リナ・・・」
リナの瞳を見るのが恐くて、拒絶の言葉が聞きたく無くてガウリイは顔を伏せた。
「あたしは・・・・」
言葉が出ない。
待ち望んでいた言葉だったと気付いたから。
自分の心を直視するのは――痛かった。
顔をあげたガウリイが見たのはリナの頬を伝う涙だった。
「・・・・ごめん。駄目な事は分かってる・・・
 分かってるけど・・・ガウリイと一緒にいたい。」
ガウリイは理解した。
神と人間との埋まらない溝に苦しんでいたのは自分だけじゃないんだと。
「どうやったら神になれる?」
言葉は自然に口から滑り出た。
「お前と釣り合う存在になりたい。
 苦しくても・・・・諦めないから、神になる方法を・・・・」
「その必要はありません。」
ガウリイの科白を遮ったのはミリーナだった。
いつの間にそこに居たのか、ゼルやアメリア、ルークの姿も見える。
「承認されました、リナさん。」
ミリーナの言葉をガウリイは理解できなかったがリナはそうではないらしい。
リナの涙が止まっていた。
「その報告を。
 話の途中の様なので失礼します。」
止める暇も無く。
ミリーナ達は夜の闇へと消えていった。



「偉いさんたちがよく承認したな。」
皮肉めいたルークの答えにアメリアが元気に答えた。
「会議の時。議長を姉さんに、司会を父さんに任せたんです!」
ちなみにナーガとフィルさんの事である。
満場一致でガウリイはリナの騎士に任命された。
「それだけじゃ無さそうだな。」
ゼルの視線を半ば無視してミリーナが言った。
「大した事じゃありません。
 自称親衛隊の方に協力してもらっただけです。」
自称親衛隊に『リナが駆け落ちする』という情報を流したのはミリーナである。
真否を問う神々が殺到し会議どころではなかった。
ガウリイのことを知れば反発もするだろうが――
親衛隊の中心人物であるロゼが認めているのだ。
大した波風は立たないだろう。
「先に帰って待ってましょう。」
「リナさんと、もちろんガウリイさんもですねっ!」
上機嫌のアメリアにミリーナは柔らかい笑みを見せた。


『今すぐ騎士になる!』
全てを説明した後ガウリイの言った科白にリナは驚きつつも嬉しさを隠せなかった。


「汝、ガウリイ=ガブリエフ。
 その全てを我に捧げる事を誓うか。」
「この剣に賭けて誓う。」
そう言ってガウリイはリナに剣を捧げた。
烈光の剣(ゴルンノヴァ)を掲げ、リナが盟約の言葉を紡ぐ。
「ガウリイ=ガブリエフを我が騎士に任命する。
 光と闇の祝福の在らんことを――」
頭をたれ傅くガウリイ。
今此処に一人の騎士が誕生する――


・・・後の世の伝説に興味深い一つの詩がある。
運命の悪戯で巡り合う一人の男と女神の雅歌。

『運命は彼らを誘った。

 誓いの言葉は夜を渡り
 闇の祝福を齎した。
 
 愛の言葉は朝を招きて
 光の祝福を齎した。
 
 女神は宣ふ。
 【勝利は我が手中に在り。愛は我が心に在り。】』

§ END § 

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9731お疲れ様でしたあ!seria E-mail URL4/23-13:15
記事番号9717へのコメント

こんにちはっ!seriaです。

連載終了おめでと〜!&お疲れ様でした!!
毎回楽しくみさせてもらってました♪
雪の書くお話ってみんなかっこいいんだにょ〜!!!
次の話も楽しみにしてるみょ♪

ではでは、短い上に意味不明な文でごめん〜vv
あと、文末が変なのは気にしないでねvv






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9734終わったぁっ!!雪畑 E-mail 4/23-17:22
記事番号9731へのコメント

>こんにちはっ!seriaです。
雪畑ですっ!

>連載終了おめでと〜!&お疲れ様でした!!
終わったっ!終わったっ!終わったぁっ!!(踊りつき)
これで連載モノは某所に投稿している「お前を愛して」だけだにゃ〜!!

>毎回楽しくみさせてもらってました♪
>雪の書くお話ってみんなかっこいいんだにょ〜!!!
ありがとおっ!
・・・でも次続かないだろうな・・・

>次の話も楽しみにしてるみょ♪
リクあったらメールで送って♪(←自分で考えろ)

>ではでは、短い上に意味不明な文でごめん〜vv
>あと、文末が変なのは気にしないでねvv
ありがとうっ!
ぢゃね♪

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9772Re:女神の冒険 最終話Yu-ko URL4/27-20:33
記事番号9717へのコメント

こんばんは。お久しぶりです。Yu-koです。

「女神の冒険」、完結、おめでとうございます♪
密かに、最初っから、ず〜と、「女神の冒険」見てました。
(今まで、感想つけなくて、ごめんなさい)
とっても楽しく、読ませてもらいました。
次のお話、楽しみにしてます♪

それでは。短いですが、この辺で。Yu-koでした。

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9799Re:うにょうっ雪畑 E-mail 4/30-13:15
記事番号9772へのコメント

>こんばんは。お久しぶりです。Yu-koです。
お久しぶりですっ!

>「女神の冒険」、完結、おめでとうございます♪
ありがとうございます!
途中から終わるかどうかさえも怪しくなって来てましたから・・・(爆)

>密かに、最初っから、ず〜と、「女神の冒険」見てました。
>(今まで、感想つけなくて、ごめんなさい)
嬉しいです!
今雪畑はパソの前でニヤニヤしながら書いてますっ!

>とっても楽しく、読ませてもらいました。
>次のお話、楽しみにしてます♪
感想ありがとうございましたっ!

>それでは。短いですが、この辺で。Yu-koでした。
でわでわ♪これからもよろしくお願いします!