◆−オリジナル小説、「時雨」第二章−旋風(4/29-07:44)No.9791
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9791オリジナル小説、「時雨」第二章旋風 4/29-07:44



時雨 第二章「予告」

本庁から応援が来たのは夜が明けてからだった。希嶋ら三人も加わり、次のような事が分かった
1. 被害者の女性は服装などから見て旅行者である
2. ハンカチには≪U・M≫の文字があった
3. 年齢は二十代後半〜三十代前半
4. 山に入った目的は持ち物から見てバードウォッチングなどと思われる
5. 死亡推定時刻は四時三十分〜五時の間
6. 首筋に大きな獣に引き千切られたような傷がある

しかしコレ以上はいくら捜査しても分からず、ついに事件は迷宮入りとなった。希嶋らも一旦東京に帰る事になった。

それから一ヶ月ばかりの時が流れた。忙しさの中、事件も忘れかけたその日 喜戸宛に妙なファックスが送られてきた。

「去る八月二十三日、喜戸様の楽しいご旅行を台無しにしてしまい大変申し訳ございません。お詫びといってはなんですが、次に殺人が起こるのは十一月十九日ですとお知らせをして起きます」

「梓弥――っ!」大きくドアを開ける。しかし希嶋はおらず、二熊がハンバーガーを頬張っていた。
「希嶋刑事は?」と喜戸は聞く。「さぁ。さっきファックスが届いてそれを見て慌ててでてっちゃいましたから。」ハンバーガーに夢中だ。
「それどころじゃないの!これ見て!」「麻月ちゃん!」希嶋も駆けこんで来た。手には同じ内容のファックスを持っている。「梓弥も?」「麻月ちゃんも?」顔を見合わせる二人。
二熊が聞く。「何がどうしたって言うんです?」「何ハンバーガーなんて食べてんの。仕事っ!」「はっはひぃっ」
出かけようとしたまさにその時   ピ――――――― とファックス音が鳴った。

「あまり深入りせず、おとなしくお待ち下さい。お急ぎにならなくとも、すぐに十一月十九日はやってまいりますから。」

「ふっまるで見ているような書き方ね。」と喜戸が苦笑いをした。
「案外聞いてるかも…。」とカレンダーを見つめながら希嶋が呟く。
「ど、どう言う事ですか。」二熊がハンバーガーを思わず落した。
「ほらっ。」とカレンダーを裏返すとそこには小型の盗聴機が…

――――――
なんか最後変ですね・・・。

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9795第三章旋風 4/29-14:48
記事番号9791へのコメント

「いってきまーす。」来生は扉を開けた。母は「早く帰ってきてね。」と言って見送った。母の沙紀は二八歳、来生は十七才。父親の再婚で二年ほど前からこの生活が続いていた。
角を曲がり、電車に乗りこむ。いつも一番で教室へ入り、花瓶に花を飾る。いつもと変わらぬ朝だった。

その頃母は庭で洗濯物を干していた。「良い天気じゃのう。」
祖母の千代が声をかけた。沙紀も「あらお母様。」と手を休め「何か?」と聞いた。「いや何でもない。えぇと今日はちょっと五時からかな。出かけるしな。晩はいらん。」
「あら、なぜですか?今日は来生ちゃん、部活も無いし早く帰れるって言ってましたけど。」「だからじゃよ。」と幾分ぶっきらぼうに言うと奥に入ってしまった。

昼過ぎ、千代の機嫌が良いのを見計らって沙紀は、
「お義母さま。どうして来生ちゃんがお嫌いなんですか?」と切り出した。

さっきはすまんことしたな。聞きたいか?」「えっええ。是非。」
千代は語りだした。
「来生は秀一朗の前の嫁の連れ子だ。そして母親と同じ恐ろしい血を受け継いでいる。あの家の娘は代々、名に[龍]とついている者としか結婚はせん。恐ろしい家の娘よ。」
「まさかぁ。お義母さま。恐い話をして。」
「笑っていられるのも今のうちさ。まぁいずれ分かるじゃろう。」
そう言って千代は出ていった。

五時ごろ、来生は帰りの電車で読書にふけっていた。と、そこへ一人の男が向かい側の椅子に座っていたそしてホットドックを頬張りながら外の景色を見ていた。丁度来生も本を読み終わり何気なくその男の動作を見ていた。男は早くも一つ目のホットドックを食べ終わり、二つ目を取り出している。その時男の鞄から一冊のノートが落ちた。男は窓の外を見ていてそれには気付かないようだ。「あの、落ちましたよ。」来生はノートを拾い男に手渡した。「すいません。」
ゴトンゴトン←効果音
「警察の方ですか?」「へ?」「だってそのノートに『事件資料』って書いてあるプリントが。」「あぁ、これ希嶋さんに作って貰ったんです。」「希嶋さん、、、。」「僕の上司。」「へぇ。どんな感じですか。」「頭良くて、スタイル良くて、せっかちな人ですねぇ。」「ふーん。」
プシュー←効果音
「あっおりなくちゃあ。じゃあ。」男は降りて行った。
次の駅で来生は降りた。それから歩いて帰宅する。

「ただいま。」「お帰りなさい。御飯出来てるわよ。」出迎えた母に来生は、「あ、有難う。おとーさんとおばーちゃんは?」と。聞いた。
「お父様は会社。お義母さまは今日は九時ごろ帰るって。」「ふーん。じゃあ御飯二人だね。」
「そうね。」

食事が終わり、「じゃあ勉強するから。」と言って来生は席を立った。しかし部屋に入りドアをロックすると来生はベッドに直行し、すぐに寝てしまった。

数時間眠り、ふと目を覚ますと十時過ぎだった。下に降りると父も母も帰宅していた。「お帰りなさい。」「ああ、ただいま。」

「お腹減った。」「御握り作ろうか?」「うん。」

食べ終わり、歯を磨く。そしてじゃあお休み。と言って二階へ上がる。しかし今度は眠らない。黒い服に着替え、しばらく待つ。

―――トゥルルルルルルル

携帯が鳴る。時計は十一時十一分。来生は携帯を切り、窓に足をかけた。

――――――
やっぱりなんでも「挑戦」ですね。投稿してみて良かったです♪
さて、初登場、龍 来生(りゅう なお)。実はこいつが主人公です。私をモデルにしたらしいです。
あと、もう一人主人公がいます。次で出ます。私の親友をモデルにしたらしいです。
「らしいです」ってのは、実はこの小説、私がそいつから受け継いだ物なんです。
企画は小学校6年のとき。(今は中学一年生(!!))
ってことを話しているともうこんな時間。
それでは。

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9801第四章旋風 4/30-16:00
記事番号9791へのコメント

鮎巳は喫茶店でコーヒーを飲んでいた。静かで上品な店だ。一つ一つのテーブルが離れていて、横の話が聞こえる事も無い。

と、そこへ来生が入ってきた。鮎巳は、「遅い…。」と言って紙を手渡した。

来「そんな。もう無理だ。」
鮎「無理じゃない。大体持ち出したのは来生の方だろ。」
来「そりゃ、、、。鮎巳が計画を立てたからだぞ。見取り図までかっぱらって来て。」
鮎「あぁ、あれね。拾った。」
来「どこでだよ。」
鮎「ボケボケ刑事の机の中から。」
来「それってやっぱし、かっぱらったって言うんだよ。」
鮎「いやぁ。見えちゃったのよ。引き出しの隙間から大量の食料と一緒に。」
来「分かった。やるよ。」

それだけ会話して二人は外へ出た。
静かな道だった。すぐ目の前には高速道路、そして西沿いに行くと人々が行き交う大通りがあるこの街。
小さな無人の港に建てられたこの店「月光【SERENES】がとても静かに感じられるのも無理は無い。

鮎「一週間後、十二時二十一分に。」
来「分かった。」
鮎「頼んだぞ。」
来「分かったよ五月蝿いなっ。」
鮎「じゃあな。」

来生と別れ、鮎巳は西の繁華街へと入って行った。深夜になっても人は絶えることを知らずに引っ切り無しに通っている。その通りに建てられたAアパートの百三号室は来生や鮎巳らが集まる隠れ家だ。

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

チャイムを続けて三回鳴らすと、カチャッと鍵が開けられ中から堀口が顔を出した。

「よぉ。待ってたぜ。」
「何か変わった事ある?」
「事件の資料をまとめた書類があったから摩り替えておいた。」
「有難う。お礼だよ。」

耳に付けていたダイヤのイヤリングをはずして鮎巳は堀口に渡した。
この男は二熊の友人として警察に出入りしてる人間だ。

「片方だけか、ケチ。」酒が入っているらしく、堀口はののしった。
「あんた殺されたいの?」
「脅すつもりならいいぜ。情報が欲しくないんならね。」
「あんたぐらいの情報をくれる奴なら沢山いる。別にあんたじゃなくても…。」
「あ、待ってくれ。俺が悪かった。」
「分かればいいのよ。じゃあね。」

通りへ出ると携帯をバックから出して電話をかけた。
「……もしもし、しばらくね。情報提供者の堀口の事だけど…。裏切りそうだ。ややこしくなる前に殺ってくれ……。」
――繁華街人々は鮎巳の横を通りぬける。が、誰一人この電話には気付いていない――

三日後、Aアパートで火事が起きた。ある部屋のストーブの不始末と翌日の地方紙に載っていた。その部屋は百三号室だった。