◆−『I hate you』 前編−エイス(5/5-17:03)No.9862
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9862『I hate you』 前編エイス E-mail URL5/5-17:03


 こんにちは、エイスです。
ちょっと思いついたので小説書きにきました。
 一応ゼロリナです。

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『I hate you』 前編


 闇が、静かな光を運んでくる。
星が輝いているせいか、明るいくらいの夜の光を。
「…はぁ…」
小さな、だがはっきりと解る、溜息。
 最近、憂鬱な気分になって落ち込んでいるのが、自分でも解る。
食欲も無いし、夜も眠れないし、呪文もいまいち威力がない。
「やっぱ、あいつのせいかな〜…」
夜空を見て思い出すのは、この夜空と同じ…闇色の瞳―。
 冷たくて、優しくて、空虚な……限りなく愛しい色。
 だが、一ヶ月ほど前から全然姿を見ていない。
その頃からだ。自分がなんとなく落ち込んでしまって、こうして夜空を見るようになったのは。
「あ〜…何落ち込んでるのよリナ……しゃきっとなさいよ……」
自分で自分を叱ってみても、やはり気持ちは落ち込んだまま。

 姿が見たくてしょうがない。
 話がしたくてしょうがない。
 愛しくてしょうがないの。

「ま、あんまり会いたくはないんだけどね……」
なんとなく解る。今度会った時が、あいつと戦うとき―。
きっとあいつは、私に時間を与えてるつもりなんだ。
「嫌な奴…」
それとも、私とは戦えないって思ってくれてるのかな?
だけど、滅ぼすのが魔族の望み。もしそうだったら、私のことなんてどうでもいいってことなのかな?

 そしてふと、思ってもいない言葉を紡ぐ。
「嫌い、嫌い、嫌い…」
こうしてずっと『嫌い』と言っていれば、いつか『嫌い』になれるかもしれないっていう、バカな考えで。
「嫌い、嫌い、嫌い……」
嫌いじゃないの。だから戦うのが辛い。
死にたくないけど貴方を殺したくも無い。
 だから、嫌いになるの。

「嫌い、嫌い、嫌い………」
その時、まるで月を覆い隠すかのように、上空に人影が現れた。
「何が、嫌いなんですか?」
聞き覚えのある声に、ゆっくりと顔をあげる。
「久しぶりね、ゼロス。私を殺しに来たの?」
「いえ、今回は違います」
にこりと笑いながらリナの前に降り立つゼロス。
だがリナのほうは、そう和んでいられる心境ではなかった。
「今回はってことは、次に会った時は戦うってこと?」
「まあ、そんなところですね」

くすくすと、耳障りな笑い声。
 こいつは魔族―。嫌い―。
「それで?何の用なの?」
いつもよりも冷たくゼロスをあしらう。
ゼロスはその様子に気付いたのか、少しの間の後に笑顔のままで言った。

「僕のこと、好きですか?」
リナの眉が、ぴくりと動く。
「僕のこと、好きですか?」
もう一度言われた問いに、リナは首を振った。
「………解らない。でも……ゼロスがいないと寂しい……」
それが、精一杯の答えだった。
自分が壊れなくて、自分の本当の想いを紡がなくていい、精一杯の答えだった。
「僕がいない間、寂しかったんですか?」
「まあね、でもあんたがいなくて清々してたのも事実だわ」
違う。事実じゃない。ただ、自分の想いをごまかして楽になりたいだけ…。

 紫色の瞳が、開かれる。

「……明日の夕方、ここでまた会いましょう……その時までに、はっきりとした答えを聞かせてください……」
「…………明日の夕方ね。逃げるんじゃないわよ」
「承知しました」
苦笑いをしながら、現れた時と同じ唐突さで消えるゼロス。
リナは溜息を吐くと、また、おまじないを…いや、自分をごまかすための暗示を始めた。

「嫌い、嫌い、嫌い……」
だけど、言えば言うほどに愛しくなるのは何故?
「嫌い、嫌い、嫌い………」
違う、少なくとも今は………
「I miss you……か……」
そして自嘲気味にくすりと笑うと、月を見上げた。
「明日までに、嫌いにならなきゃね」
自分の気持ちを押し殺して―。
「きらい、きらい、きらい……」
そしてふと、俯いた。
「………大丈夫。きらいに、なれそう……」
自分の身体を抱え込んで、また、呪文を唱え始める…。
「きらい、きらい、きらい……」
静寂の闇だけが、リナを包み込んでいた―。

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 ええと…一応前後編にするつもりですけど、中編がはいるかも(笑)
土、日曜日までに書き終わればいいな〜。
 ちなみにタイトルの意味は「貴方が嫌い」です。だったはず(爆)違ったらすいません…。

 それでは。
    エイス

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9880『I hate you』 後編エイス E-mail URL5/6-18:56
記事番号9862へのコメント

 こんばんは。エイスです。
 一応後編を書き上げたんですけどわけわかんなくなっちゃいました…。
 それでもいいなら読んでやってくださいませ…。

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   『I hate you』 後編


 一陣の風が、二人の横を通り過ぎていく。夕日が、二人の姿を紅く染めあげる。
そして、ただ沈黙するしかない二人は、互いの瞳をじっと見つめていた。
「あんたなんか、だいきらい」
悲痛に紡がれた言葉は、本当の想いとは裏腹な感情。

「それが……貴方の答えですか……?」
だが、ゼロスはそのことを解っていたのだろうか、普段は見せぬはずの優しい笑みを浮かべる。
 リナは、それが嫌だった。
何も解らないままでいてほしかったのに。自分の言う言葉をそのとおりに受け止めてくれれば楽だったのに。
 だから、もう一度、その言葉を紡ぐ。
「あんたなんか、だいきらい」
貴方を憎む私と同じように、私を憎んで。
そうすれば、本当の私の想いはいつか消えてくれるから。
 一言。冷たい瞳で「嫌い」と言ってみせて。そうすれば、貴方と戦えるから。
「だいきらいよ……ゼロスなんか……知りたかったんでしょ?私の想い……」
でも、嫌いという言葉を紡ぐことすら辛い。
 貴方を傷つけるかもしれないことが、辛くてしょうがない…。
「ゼロスも……私なんか、きらいでしょ?」
「………ええ……」
だが、肯定の言葉のはずなのに、辛い笑顔。
 それに気付かないふりをして、気丈に笑うリナ。

「……もう、戦いを始めましょ。全力でいかせてもらうわよ」
「それはこっちの台詞ですよ」
同時に後ろへ一歩下がり、リナが呪文の詠唱を始める。
「フレア・アロー!!」
リナの唱えた魔法は、ゼロスの杖に難なくかき消された。
「まだまだ!ファイアーボール!!」
「無駄です…っ!」
ゼロスがリナの呪文の発動と同時に、同じ魔法をリナのファイアーボールにぶつけた。
 同じ魔法でも、当然威力はゼロスのほうが強い。ちょうどゼロスとリナの距離の真中でぶつかった炎の球は、爆風でリナを押し倒した。
「きゃぁ!」
急いで立ち上がるものの、今ので大分ダメージを受けたようだ。服も肌も焼け焦げている。

 それでも全力で、手の平に意識を集中した。
「黄昏よりも暗きもの…」
「リナさん。それじゃ僕は倒せませんよ」
ゼロスがリナが唱えようとしている呪文に気付き、忠告ともとれる言葉を言う。
だがリナはかまわず詠唱を続けた。
 その呪文の威力を物語るかのように、周りに風が発生し、リナの服がはためく。
「我と汝の力もて、等しく滅びを与えんことを……」
その時、リナの紅い瞳が、血の色に染まった。呪文を維持するのに身体に負担がかかって、傷口が開き血が吹き出たのだ。
目に血が入ったのか、リナが咄嗟に片目を瞑った。
 ゼロスが動揺して、思わずリナに近寄る。
そして、呪文が完成した。
「ドラグスレイブ!」
近距離からのドラグスレイブの発動に、ゼロスの声にならない悲鳴があがる。

 だが、こんな攻撃でゼロスが滅びるわけがない。煙が自分の体を隠してくれている間に、次の呪文にはいる。
「悪夢の王の一片よ」

リナの手に、虚無が産まれた。
全てを切り裂く、黒き刃。
 そう、たった一人の大切な人すら切り裂き、自分の想いまで断ち切る暗黒の刃。

「神々の、魂すらも打ち砕き……っ!!」
爆煙が晴れてきた。チャンスは、今だけ―。
「刃よ!全てを切り裂け!」
大きく飛び上がり、ゼロスがいる場所へ刃を振り下ろす。
「たあああああああああああああああああああああ!!」
だが、ゼロスの頭に刃が触れる瞬間。
「ブラスト・ボム」
「なっ」
ゼロスが大きく手をかかげ、降りてきたリナのお腹に直に呪文を発動させた。
 リナの体の中から鈍い音が聞こえる。
そしてそのまま後ろに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「げほっ……」
口に手をあて、必死に痛みに耐える。
 だがセキと同時に、リナの唇から大量の血が流れ出てきた。
その血が、リナの小さな手を伝っていく。

「……結局負けちゃったわね…格好悪いったら……」
ゼロスがリナに近づいて、すっと片膝をついた。
「そんなに簡単に諦めりゃうなんて、リナさんらしくありませんよ」
リナは血塗れの手をおろし、力なく俯く。
「バカ言わないで…体力も魔力も0なのに、あんたにかなうはずないでしょうが……」
「……それはそうですけどね…」
頭をぽりぽりとかきながら、目の前の少女を見つめる。

「リナさん……もう一度聞いていいですか……?僕のこと、好きですか…?」
リナはふっと笑うと、微笑みながら答えた。
「きらいよ。だいきらい」
そして言うと同時にまたセキをする。
 また血を吐くのかと思ったが、もう吐くことすら出来ないようだ。
「ああ…なんか……目の前が暗くなってきたわ……もう……眠いよ……」
「じゃあ、眠らせて差し上げましょう」
ゼロスの杖が、リナの身体を貫く。
「ゼロ……ス……」
リナの腕が、ゼロスの頬に触れた。
 そして、そのまま落ちていく。
「お休みなさい……リナさん……」

   貴方が泣かないように、嫌いと言ってあげました。
   貴方が苦しくないように、戦ってあげました。
   貴方が辛くないように、殺してあげました。

   だけど……

「何故、昨日のように素直になってくれなかったんですか?」
貴方がいないと寂しい…貴方も、僕を愛してくれたのではなかったのですか?
僕は『だいきらい』なんて言葉を聞くために、貴方に時を与えたのではないのに。
 その時、ふと、リナの言葉が蘇る。

                        貴方なんか、だいきらい
                               だいきらい
                     ………貴方なんか………大好き………

「………そうか…貴方は……僕が欲しい言葉を解ってくれていたんですね……」
貴方を嫌いということが、貴方を苦しめないことならば。

「I hate you…」

   嫌いだから。嫌いだから。
   せめて貴方を愛させて………。

                             『I hate you』 END

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 何が言いたかったんだろう。自分。
えと、大好きと書いてだいきらいと読む、というのを思いついて書いたんですが、変になってしまいました…。
 ああ、これは書き逃げするしかないかも。

 と、いうことで、逃げます!

 それでは〜。
     エイス