◆−帝位の末裔−CANARU(5/6-22:56)No.9881
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9881帝位の末裔CANARU E-mail 5/6-22:56


「放っておけば・・。王冠はいずれ貴方のものなんですよ?」
一度言い出したら聞きはしない。
この男・・・ドイツ王にして未来の神聖ローマ帝国皇帝になる人物・・・。
フレデリクにガウリイは一応の説得を試みる。
「・・・・・・。私は・・。父上のやり方には我慢できないんだ。ガウリイ!!」
父上・・すなわち神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ三世、彼の現在居る土地。
イタリアではフェデリーゴと呼ばれているらしいのだが。
「しかし・・。」
「父上は・・。尊敬しているが・・・。」
ドイツとイタリア。離れて生活していればその方針が理解できないのも
頷けなくは無い。
だが・・・。一歩間違えばこれはれっきとした反逆罪では無いのだろうか?
「フレデリク様・・・・。」
「明日、妹を此方に呼び寄せる。彼女・・リナには単にフランス国王シャルル1世
陛下への挨拶のため・・・とだけ言ってある。お前は出迎えしてやってくれ。
1ヶ月も在れば無事に到着するはずだ。」
「・・・・・。判りました・・・・。」
この男の妹なら・・・・。
とんだじゃじゃ馬に相違は無い・・・・・・。
ましてや神聖ローマ帝国皇帝の皇女である・・・・。
こりゃ〜〜また厄介事が増えやがった・・・・・。
頭を抱えたい心境でガウリイは持ち場へ引き返したのだった。


「マンフレディ!!マンフレディはどこ?」
唐突に長兄からの呼び出しがシチリア王国のパレルモの宮殿に居た
リナにかかったのはその日の事だった。
父親の父・・すなわち祖父は神聖ローマ帝国皇帝。
さらに父親の母、すなわち祖母はここヒチリアの王位継承権を持つ皇女。
したがってリナの父、フェデリーゴはヒチリアとドイツ、両方の王冠を持ち合わせる事
になる・・・。
もっとも・・もっぱらそのドイツのほうは長兄のフレデリクにまかせっきりで
自身はここ、南イタリアの宮廷か北イタリアでの戦争に時間を費やしていた。
そして。リナにはその兄から急に呼び出しがかかったのである・・・。
「マンフレディ!どこなの?」
さらにリナはその人物の名前を呼びつづける・・・。
と・・・。その時だった・・・・。

「何てことするんですか〜〜〜〜〜!!」
今にも泣き出しそうなアメリアの声が聞こえる。
「だって・・。仕方なかったんだよ!!」
少年がそれに反論する様に答える。
「折角リナさんの分・・取り寄せたのに〜〜〜・・。」
よくよく見ればアメリアは何時しかリナがおねだりしたフランドル製品の布を持っている。
もっとも・・それは無残に一部を引き千切られて・・・。
正直言ってもはや使い物にならない。
「姉上はきっとわかってくださるはずだよ・・。もっとも・・。
僕を赦して・・なんて頼むつもりは無いけどね。実質ご迷惑をかけたことは
確かだし・・・。」
言って先程まで座り込んでいた少年・・・・。
マンフレディ―は立ちあがる。
今年でまだ15歳になったばかりだというのに。
背丈は既にアメリアの隣で事の成り行きを興味本位・・と言った顔つきで見守っている
ゼルに匹敵している。
祖父譲りの淡い・・プラチナに近い金髪。
整った顔立ちは南イタリア系の血を多く引くリナにはあまり似てはいない。
もっとも・・「もともと異母兄弟だろうが」と言われたら反論の余地は無いのだが。
四人兄弟で唯一の末っ子の彼が庶子なのである。
「これで・・大丈夫っと・・。」
言いながらマンフレディ―は腕に抱いた狐・・・
その足には高価な布で止血処置をされた今日の狩りの獲物をそっと降ろしてやる。
「・・・。随分と・・まあ・・・・。」
折角の獲物に・・とでも言いたそうな口調でゼル。
「コイツ・・。もうじき子狐が産まれるんだ・・。」
言いながらそっと話してやる。
「そんなの・・。殺生するなんて。可哀想だよ・・。僕は今から姉上に謝りに
行って来ます。言い訳はしませんが・・。リナ姉上も・・。判ってくださるはずです。」
言いながらさっさと・・此方がわに隠れている彼女に気付かずに駆けていくマンフレディ。
既にゼルとアメリアはリナの存在に気がついているのに・・。
勿論、そんなお芝居が出来る子ではない・・・。
「まったく・・。とんでもない弟さんですね・・。リナさん」
困り果てた様にアメリアがいう。
「まったくよ・・・。でも・・。別れは告げないでドイツに行こうと思うわ。
絶対について来たがると思うのよね。あの子・・・。」
「優しい上に好奇心旺盛か。世が世でなければそれも赦されるだろうが・・。」
「まね・・・。本当に・・・・。」
ゼルが言いかける前にその言葉をリナはあえて遮断させる。
だが・・懸念しているの事はただ一つ。
あの弟が・・・・優しさ故に身を滅ぼす事にならなければ良いんだけど・・・。


「馬鹿兄はどこ!!」
開口一番・・・・。
南の国のお姫様がガウリイに言ってきた一言は・・・・それであった・・・。
「ば・・馬鹿兄・・・ですか・・・?」
「そ〜よ!!馬鹿兄!!」
いかにも南国育ちを感じさせる赤っぽい髪と瞳。
その割には北国ドイツの血が混じっているだけあって肌は白い・・。
が・・南イタリア独特の刺すような口調がマトモに少々イタリア訛りのある
ドイツ語にとげとげしい印象を与える。
「でも・・・なんで・・また・・そんな事聞いて来るんでよ・・・・。
じゃなかった!!聞いて来るンですか・・・・。」
「何よ・・。フランクでもナンでも・・。イタリア語喋れるんじゃないの。
イタリア語で話しなさいよね・・・。」
「フランク・・・・・・・って・・・???」
「もおお!!アンタのあだ名はくらげに決定!!タメ語って事よ!!タメ口!!
ったく・・・。マンフレディ―に一瞬でも印象が似てると思ったアタシが馬鹿だったわ。
ともかく・・。アタシの兄貴はどこなの?」
「・・・・・・・・・。ああ・・。何だ、フレデリクの事か。
アイツなら城で待ってるぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・。信じられない。態々来てやったのに!!」
「仕方ないだろ?シャルル1世陛下が今日来られるんだ。お前さんもその
挨拶のタメに呼ばれたんだろ?知らなかったのか?」
「・・・・・。知らなかったも何も・・・・・。」
シャルル1世と言えば・・・。
リナやマンフレディーの住むヒチリア王国を狙っている・・いわば
俗に言う「仮想敵国」フランスの国王じゃないの・・・。
ナンで・・ヒチリア国王の息子にしてドイツ王の兄をシャルルが表敬訪問
などするのだろう。何らかの条約を結んだ・・なだという話も父王から
聞かされれてはいない。
「奇妙な事が起こらなければ良いんだけど・・。」
そう思うしかリナには無かった・・・・。


「あんな下らない事のためだけにアタシの事呼び寄せたのかしらね?
あの馬鹿兄。」
シャルル1世フランス国王との会見は実につまらないうえ、下らないもの
であった。
「あのさあ・・・。おまえさんがさっきから言ってる『馬鹿兄』の意味が
良くわからないのだが・・・・?」
そ〜ゆ〜自分こそさっきからリナの周りをうろちょろしているガウリイがいう。
「あ〜〜・・・。深い意味は無いわ。強いて言えば・・。どっかの
暇人が好き好んで使う造語。」
「・・・。ソンな奴の好き好んで使う造語・・。いちいち使うなよ・・・。」
さしものガウリイも呆れながらリナに言う。
「と、言うジョークは差し置いて・・・。」
「おい・・・・・・・・。真面目に言えよ・・・。」
「・・・・社会情勢の講義のお勉強になっちゃうよ?それでも良い?」
「・・・・・。聞けるところまでは・・寝ないで聞くつもりだが・・。」
はあ・・・・。
クラゲらしい素直な答えである。
「今ね、フランスやスペイン、イングランドは強力な統一国家・・・。
強いて言えば王政が成立している。けれどもね・・・。イタリア、ドイツを
見てみなさい。幾つもの自治国家に分裂して未だに国家は統一されていない。」
「ま〜〜なあ・・・。あっちでもこっちでも両領主が権力掌握して
やがるし・・・。」
「なかなか頭良いじゃないの。ガウリイ。父上はね、北イタリアの自治連邦を完全
に潰して南北イタリアの権力を完全にご自分の国家として統一なさろうと
お考えなのよ・・。けれども・・此方、ドイツでの政策はそれとはまったく
正反対。息子である兄上の権限よりも諸侯の権力を温存すると言う政策なのよ・・。」
あ・・・・。
なるほど・・。フレデリクは良く文句を言っていたが・・・。
父親のそう言った政策に我慢ならないのだろう・・・・。
「なるほどね・・・・。」
居眠りしないで聞いていた自分も対したものである・・と思いながらガウリイは
感想を述べる。
「まあ・・。確かに兄上の考えには賛同できるわ。ドイツにしてもイタリアにしても。
強力な王政・・統一国家が必要なのよ。さもなければ・・自治都市国家同士の
下らない争いで国力を悪戯に疲弊して・・。統一国家を果たした諸外国に占領
されるが良い落ちだしって・・・・。聞いてないわね・・ガウリイ・・・。」
そう・・・・・。
リナが一人で考えに浸っている中・・・。
くらげ君は気持ち良さそうに庭石に腰掛けて昼寝の体勢に入ってしまったのだった・・。


「リナ・・・。」
兄に呼ばれたのはその日の夜半である。
「何なのよ・・ばかあ・・・じゃなかった。兄上・・・。」
「『馬鹿兄』だろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
あんのアホクラゲ・・・。チクりやがったわね・・。
寝ぼけ頭でリナはそう思う。
「まあ・・眠っていた所を叩き起こしたのは悪いとは思っている・・・。
明日のは・・もうパレルモに帰れ・・・。一応・・ガウリイは付けて行かせる
つもりだ。」
は・・・・?行きなり何を言っているのだろう?
そんな事・・明日の朝通告してくれば良いのに。こんな夜中なら朝まで待たねば
荷造りだって出来やしない・・・。
ただ・・。兄は・・何も言ずにリナの肩に手を置いて・・優しく頭を
撫ぜる。
「伝えておいてくれ。マンフレディ―に『すまなかった』と・・。」
「・・・・・???何いってんの・・馬鹿兄・・??」
「お休み。」
そう言って・・無言で戻る様に促される。寝ぼけていなかったらもっと
何かを読み取れたかもしれない。
そして・・コレが兄と妹との今生の別れだった。


パシ・・パシ・・・。
パチン、パチン・・・・・・・・・。
まずは・・両手を肩よりも上に挙げて打ち鳴らし・・・。
その手を振り下ろしながら指を鳴らす。
ステップは軽快に。それは子供の頃からしつこく父に言われている。
「・・。暇なら・・相手になろうか?」
不意に聞こえる最近では良く見知った声。
「・・・。生憎と・・暇じゃないわ。」
その声に反抗するのももはや日常茶飯事。
「ほんと・・。外見とは裏腹に可愛くないな・・・。」
ドイツ語で彼は言うが・・・・・・。
リナはアッサリと・・・。
「悪いけど。その程度の単語のドイツ語ならアタシ理解できるのよ?
ガウリイ君?」
嫌味たらしくにっこり微笑みながらリナは再度ステップを続ける。
リュ―ドが無くても足の踏み方は完全に覚えきっている。
「ほんっと・・。可愛くないな・・。性格は。」
再度不満げにガウリイは言い、リナの許可も無く一緒にダンスのステップに
加わる。
最初はおぼつかないが徐々にリナの足の踏み方を理解していく様子はまさに天性の
運動神経と言った所か・・。
「変わったステップだな・・・。」
「南イタリアの民謡よ・・。子供のとき・・毒蜘蛛に刺されたら一晩中踊る様に
命令されたわ。」
「・・・・。ナンでまた・・・・・・・。」
「単なる迷信。もっとも・・刺されたのは蜘蛛じゃなくて無害な虫だったから
踊り疲れ損って所だったけどね・・・・。」
やはり暫くのステップに疲れたらしい。
リナはさっさとダンスを止めて地面の上にぺたんと座り込む。
「でも〜〜綺麗な所だよな〜〜・・・。」
南イタリアの王国の都市の一部・・ここガエータの陽気は暖かい。
そう思いながら北国ドイツ産まれのガウリイは空を眺める。
「ええ。ローマ建国の祖先、エネ(アイネイアース)の乳母の名前から取った
都市と聞き及んでいるわ。」
言いながらリナは立ちあがって傍のテーブルのあった陶器に飲み物を注ぐ。
はあ・・・と息をつきながらリナは美味しそうに注がれた陶器の中の飲み物を
半分以上アッサリと飲み干す。
「はい。」
もう一つのコップをガウリイに渡すが・・・・。
「そっちのほうが良いな〜♪」
「こら!!」
アッサリとリナの飲みかけのコップを略奪する。
あまりにも美味しそうに葡萄酒をのむその姿に・・・・。
「まあ・・いいけど・・・。」
そうとだけ言いリナは溜息をつくのだった・・・・・・。


「う〜ん・・。もう食えないよお〜〜・・。ご馳走様・・。
ええ・・・こんな美味そうなデザートまで・・く・・じゃあ無理してでも・・。」
訳のわからない寝言を言いながらガウリイは寝返りを打つ・・・。
「ガウリイ様!!さっさと起きてください!!」
不意に近付く部下の声でガウリイはようやく目を覚ます。
「はへ・・・・???どったんだ・・・?俺・・・・??」
「はあ・・・。まんまと・・。皇女様に眠り薬を盛られたようですね・・・・。」
溜息混じりに部下は言う・・。
皇女様・・・とはリナの事に間違いは無い。って・・・。
「そ・・そのリナは!!」
咄嗟な事にガウリイは飛び起きて部下に聞く。
「その事です!!皇女様は・・・・・・・・・・。」

皇帝軍の先陣に立って呱呱・・ガエータの反乱軍を鎮圧に行った・・・と・・。
「ガエータは元々シチリア王国が編入した土地だからな・・。」
リナの弟、マンフレディ―の腹心と言うゼルガディスがガウリイに説明する。
「マンフレディ―さんは・・。パレルモを離れるわけにはいきませんし・・。
リナさんはその事を考えて・・・・・。」
自分が反乱鎮圧に行ったのだ・・とアメリアは言う。
「それに・・・・・。」
言いかけてアメリアはとめる・・・。
既にガウリイの姿は其処には無かった・・・・・???


「リナ!!!」
かなりの大群を率いた先頭の人物・・・。
リナにガウリイが追いついたのはもう朝焼けの時刻に達しようとした
頃であった・・・・。
「ガウリイ・・・・・・・。」
直感でわかった・・・。『何時ものリナでは無い』と・・・・・。
「何を考えてるんだよ!!お前は!!死ぬ気か?」
やおら強い口調で言ったことに気付き、多少の後悔をするガウリイ。
が、リナは一向に臆する様子すらなく・・・・。
「だって!!ムカつくんだもん!!」
とだけガウリイに返答する。
「ムカつくって・・・。人に心配かけといて!!行き成りその一言か!!?」
「ムカツクものはむかつくんだからしょうがないでしょう?」
「あのなあ!!アイツが気に食わない、こいつが気に食わないって・・・。
いちいち喧嘩売ってたらキリが無いだろ!!?」
「父上だってそうしてるわ!!ミラノ、ベネツィア、マント―ヴァ、ボローニャ、
それにフェラーラ!!沢山の北イタリア自治都市とたった一人で戦ってるわ!!」
はあ・・・・。
思わず溜息が出る・・・。
皇帝フェデリーゴが出口の無いドツボの戦いに身を投じていると言う事は・・。
リナの一言からしても事実・・らしい・・・。
「だからってなあ・・・。お前まで真似して修羅場に行くことは無いだろ・・・?」
こればかりは諭す様にリナにガウリイは言う。
「・・・・・。赦せないのよ・・・・・。」
へ・・・・・・???
不意に涙を流し出すリナに・・・・・。
「おい!!こら!!泣くなよ!!俺が泣かせたみたいじゃね〜かよ!!」
「あんたが泣かせたのよ!!この馬鹿クラゲ!!」
流石にそう言われては・・・・。
「判った・・。責任取るよ・・。だからさ・・。訳くらいいってくれよ・・。」
本気で困り果てたような声でガウリイはリナに言う。
「・・・。ガエータの傭兵の一人に騙されて・・・。2番目の兄上・・・。
レンツォ兄上を・・騙して一生牢獄に閉じ込めたのよ!!」
怒り狂った口調でリナは言う。
「・・・・・・。あのなあ・・。リナ・・・。」
俯いてしまったリナが聞いているのか居ないのかは定かではない。
「俺はさあ・・。相手を無理やり地べたに這わせるのだけが・・・。
本当に勝った・・って事じゃないと思うぞ・・・・・?」
「・・・・・・・。判ってる・・・・・・・。判ってはいるわよ・・。」
認めたくないのは良くわかる。
「ともかくさ・・。話し合おうぜ・・・。」
見れば・・・・・・・・・・・。

「レンツォ兄上の釈放の目処こそ無いけど・・。騙した傭兵は処刑されたらしいわ・・。」
先程・・反乱軍と思われた集団の代表の人物と話し合ったリナがガウリイに
告げる。だが・・・。表情は重い。
「どうしたんだ・・・・・???」
「・・・・・・・。知ってたの・・・?」
睨む様にガウリイに言うリナ・・・・・。
「知ってたの・・・?フランス国王シャルルが・・・。今マンフレディ―の死守する
パレルモに攻め込んでいるって!!しかも・・ドイツでは・・・・・。」
「ああ・・・・。お前の兄と・・父親である皇帝が・・戦っている・・・。」
そう・・。
ガウリイの任務は・・・この「皇帝とフレデリクの戦い」をリナに知られない様に
するという事だった・・。ここ、ガエータに軟禁して・・・。
「あの人達・・反乱軍じゃなかった・・。この事をアタシに伝えたかったのよ!!
もう!!信じられない・・・。もう・・アンタも・・これからの事も・・。」
絶叫・・とまではいかないが・・リナの切羽詰った声。
「リナ・・・・。」
また・・泣かせてしまった。そうガウリイは痛感する。
「・・・。兄上と父上の事は仕方ないと思ってる・・。前から痛感していた事だもの。
けどね・・・・・。」
リナが言い終わるか終わら
ないかのうちであった・・・。
軽々とガウリイに抱き上げられて彼の乗ってきた馬にリナは乗せられる。
「・・・・ガウリイ・・・・???」
「泣かせたのは俺だが・・。何時までも泣いてる場合じゃないぜ?」
不意に瞳に鋭い光が走る。
「何を・・・・・???」
「マンフレディ―。お前の弟を助ける。それだけだ!!」

「皆殺しにしろ!!」
シャルル軍の恐ろしい声が周囲に響く。
「ガウリイ!!」
「ああ!!」
今までリナの住んでいた・・パレルモの城は陥落寸前だった・・・・。、
「父上が兄上の反乱を鎮圧して・・。此方に戻ってくる前に・・。」
マンフレディ―が助かるみこみはこのままではない・・・・。
「姉上・・・・・・・。」
不意に茂みから声が聞こえる。
「あ・・・・・・・・・・・・・・。」
傷つき・・両脇を兵士に抱えられたマンフレディ―だった・・・。
「マンフレディ―!!」
言いながらリナは弟の傍に駆けよって行く・・・。
「姉上・・。全てを・・赦してくれますか??」
ふっと遠い目をしながら弟は言う。
「何・・を・・・・?」
何を言っているのだろう・・・。それに・・この弟が後にも先にもリナに赦しを乞うなんて・・??
考える間もなくマンフレディ―の姿が視界から消え・・・。
「こら!!待つんだ!!」
ガウリイの絶叫が耳に聞こえる・・・・・・・・・・。
「姉上を・・頼みます・・・・。」
そう言い・・戦乱の中に消え去って行く弟・・・・・・・・・・。


「済まない・・。リナ・・・・。」
自身、戦乱後の返り血に塗れて・・・傷ついたガウリイがリナに言う。
「うそつき・・・・・・。」
「そうだな・・・・・。」
沈んでいるリナにガウリイは反論の余地すらなく・・そう答える。
『敵を地に這いつくばらせるだけが勝利ではない・・』
のようなことを自分で言っておきながら・・・・・・・・。
マンフレディ―を追って戦乱に突撃し敗戦した自分自身をガウリイは苦笑して言う。
「勘違いしないで!!」
やおら激しいいきおいでリナはガウリイに言って・・今度こそ本気で泣きついてくる。
「マンフレディ―に・・あたしを頼むって言われたじゃないの・・・。
アンタが・・。無責任にアタシだけ連れて逃げなかったのは嬉しかった・・・。でも・・・。」
怖かったんだ・・・・・。
リナ自身・・。自分を連れて逃げてもリナはガウリイを責めなければならない。
だが・・・マンフレディ―達と一蓮托生になって。もう二度と会えないのはもっと
我慢できなくて・・怖かった・・・。
「分かった・・・。」
自分という存在がリナをここまで取り乱させている事までは理解しているかどうか
定かではないが・・。リナが覚えている事はガウリイは理解した・・・。
「行こう・・・。もう・・。誰も傷つかない様に・・・。」
未来へ・・・・・・。
「・・・・。そうだね・・・・・。」
泣いてばかりいても仕方ない・・・・。
そう思ってリナはガウリイの手を取った・・・。
もう、こんな思いはする事は無いだろう。ずっと一緒に居れば絶対に・・・。
それだけが・・今のリナの言える確かな未来だった・・・。


(お終い)

ど〜も・・・。
最初はこの「マンフレディ―」の逸話に惹かれて書いた話なんですけど・・・。
ど〜もスランプに陥って・・・・・。
しかし・・今月の「ジ○ク君」に「敵を地べたに這わせるだけが勝利とは思わない」
と言うような一言があったんですよね。
ちょっくらむかついた事もあった時なので・・・。
自戒を込めたこ〜ゆ〜話が出来ました・・。たはは・・・。

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9901間接**・・・(くすす♪)P.I E-mail 5/8-00:47
記事番号9881へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜!
G・W・・・・過ぎてみればアッとゆー間でした〜(涙)
さて今回はちょと重いお話でしたね。マンフレディーという名前には悲劇が
つきまとってるんでしょうか。チェーザレに殺された同名の少年を思いだし
ちゃいましたよ。
戦乱に巻き込まれたゼルアメのその後も気にかかるところです(^^;)
ま、あの二人のことだから心配はいらないとは思いますけどね。
唯一の救いだったのがリナの飲みかけのコップを取り上げて飲んでしまった
ガウリイ〜♪いや〜ん、らぶらぶ〜(はぁと)どんな顔して飲んでいたのか
想像するとも〜萌え萌えです〜〜♪♪

明日っからまた学校。色々あるけどお互い頑張りましょ〜ね!
・・・って、朝起きられるかしら自分(殴打!)
それでは〜!!

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9904寝ぼけてます〜〜♪CANARU E-mail 5/8-07:36
記事番号9901へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜!
>G・W・・・・過ぎてみればアッとゆー間でした〜(涙)
はい〜〜(涙)
昨日もちょっくら知り合いと大騒ぎして・・・(汗)
非常に眠いです〜〜〜!!
>さて今回はちょと重いお話でしたね。マンフレディーという名前には悲劇が
>つきまとってるんでしょうか。チェーザレに殺された同名の少年を思いだし
>ちゃいましたよ。
ですね・・・・。
実は「マンフレディーって名前には悲劇が付き纏うし・・」
という台詞をリナちゃんにも言わせようと思ったんですが・・・。
こっちの時代のほうが前なので「没!!」になった次第です〜〜(汗)
>戦乱に巻き込まれたゼルアメのその後も気にかかるところです(^^;)
>ま、あの二人のことだから心配はいらないとは思いますけどね。
ですねえ〜〜!!
絶対に生き残ってると思います!!
>唯一の救いだったのがリナの飲みかけのコップを取り上げて飲んでしまった
>ガウリイ〜♪いや〜ん、らぶらぶ〜(はぁと)どんな顔して飲んでいたのか
>想像するとも〜萌え萌えです〜〜♪♪
う〜〜みゅ・・・。
わざとか・・無意識か〜〜〜!!
書いてる本人でもわからないところが難しい所です〜〜(汗)
>明日っからまた学校。色々あるけどお互い頑張りましょ〜ね!
>・・・って、朝起きられるかしら自分(殴打!)
>それでは〜!!
ではでは〜〜〜〜!!
非常に眠い連休明けでした〜〜〜!!