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裏で手を引く者の周り【番外編U】(召使いその二編)
コウ
2009年6月5日18時33分59秒
夢を見た。岩山という言葉が似合う場所。
竜の岬と呼ばれる場所。ここである人間達と戦った。
魔竜王ガーウ対リナ=インバース達。
水竜王の封印のせいで人間の中に封じられた。何度も転成を繰り返す内に、魔族の記憶と力が甦ったが、人の影響が混じり魔族の滅びへの望みがなくなっていた。
そして、存在し続けることを望んだ。
魔族でも人でもない。創造した魔王に刃向かおうとして、冥王に滅ぼされた。
完全に滅び、混沌へと帰る。
その後、金色の魔王の暇つぶしで甦る羽目になったのだが、………。
「気に入らねぇ。」
彼、召使いその二事、魔竜王ガーウは不機嫌につぶやいた。
「一、その格好が気に入らない。」
「二、召使いが気に入らない。」
「三、同僚が気に入らない。」
「全部じゃぁぁぼけぇぇ」
と、後ろでこそこそ何が気に入らないか賭をしている三人に、思わず怒鳴った。
確かに、同僚に自分を滅ぼそうとした冥王フェブリゾがいることも気に入らない上、召使いという地位もたとえ金色の魔王とはいえあんまりだと思う。
そして、なによりこの格好は気に入らない。
なにが、哀しくて俺が猫耳のメイド服を着なければならないんだ。
三人組ににらみつけると視線を合わせたくなりたくなって、一斉に視線をそらす。
その一の覇王将軍シェーラはこの服は似合っているとたしかに思う。
そのシェーラは後ろを向いてだらだらと脂汗を流しているが、………。
その三の冥王フェブリゾは、ゲラゲラ笑い転げているが、おまえの格好は性別的には犯罪意外なんでもないぞ。
前に言ったら、君の方は見た目も性別も犯罪だ。と言われた。
そしてもう一人、金色の魔王がこの世界で見つけたおもちゃみたいなやつネズミ男とか言うやつだ。
妖怪とか言う種族で、ドブネズミを彷彿させることにはさせる。
ネズミ男は、脱兎の勢いで逃げ去っていた。
逃げ足だけはすごいと思う。
昼食を捕まえて調理しようと台所へ行く。
エリマキトカゲという生き物が今日の自分の飯だ。自分は材料が生きたまま渡されるのだが、なぜかは虫類系ばかりだ。
金色の魔王は、
「だって、おもしろいじゃない。」
と、言っていた。………旨いから良いが、……。
ちなみにシェーラは普通のまかないで、フェブリゾは今日は犬のえさだったりする。
自分に攻撃したからという理由らしい。しこたま笑ってやったがさすがに、いい加減同情したくなってきた。
混沌の魔王が何かを見ていると思ったら、リナとか言う人間の行動を見ていた。
黒カラスとか言う妖怪となにやら討論していた。
「絶対やだぁぁぁぁ」
「引き取ってくださいぃぃぃぃ」
と、討論をしている。
「こっちは、あたしとガウリィの生活費を稼ぐので精一杯なのよ。
酒をぱっかぱっかのむは、めちゃくちゃ食べるナーガなんか飼育している暇はないのよ。」
「こっちは、保健所じゃないんですよ。
保護者はリナだと言っているんですし、」
「あれは、あたしより年上よ。」
どうやら、ナーガとか言う変な魔道士をどうするかと言う討論らしい。
………討論と言うより、押し付け合いをしているという感じだが………。
金色の魔王が暇つぶしにつきあうのだろう。
と、あきらめ半分にガーウは思っていたが、この格好だけは何とかしてほしいと思っていた。そのとき、
「いい加減メイド服はやめようかしらね。」
と、金色の魔王がつぶやいた。聞いていたフェブリゾも喜ぶが、
「……次はバニーちゃんの格好をさせようかしら……。」
と、言う言葉に硬直したのだった。
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