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裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編)
コウ
2009年6月21日21時42分31秒


【地獄で地獄の酒盛り大会!地獄の二日酔いに気をつけて(ハート)地獄のゲームつき】
 と、三原色の文字で書かれているはでな看板を飾って酒を用意する。
「うお、すっげー。シャトー・ディケムって高いんだろ。
 こんな高いワイン初めて見たぞ」
 と、ネズミ男がワインを眺めながら言う。
 その周りには古今東西の世界各国の酒という酒がおいてある。子供だましの白酒卵酒からアルコール濃度のかなり高いきつい酒まである。
 テーブルの上にはいろんな酒のつまみが置いてある。
 なぜ、地獄のこの場所でこういう事が起きることになったのかというとそれは、エルのわがままから始まった。
「酒盛り大会をするわ。」
 と、言って数名の部下に酒を大量に持参させて呼ぶと言うことをしたのだ。
 なんでも、二つの世界の酒を飲み比べたいらしい。
「お嬢って、見た目にそぐわず大酒飲みなのか」
 と、ネズミ男の疑問にまともな服をかなり久方ぶりに着て喜んでいるガーウが、
「たしか、数千年前ぐらいだったな。四つの世界混同酒盛り大会の会場が俺らの居た世界で起きたとき、最後まで飲み続けていたぞ。
 あの方は………。」
 と、言った。
「すげぇな。あと、あんたのまともな格好って初めて見た気がしたぞ。」
「やかましぃ」
 と、ガーウは吠えた。

 エルが四人じゃ難しいでしょ。と、言う心優しい言葉の元、ラシャートとラクタールと言う男二人とパティーとアリーナとディーンとエンジュとマリーアール言う女性五人も手伝っている。
 ガーウの部下とフェブリゾの部下らしい。
 まるまる一日かけて(ネズミ男は途中寝たが………ほかは寝ずにの準備だった。)準備を終えていざ酒盛りは始まった。
 その光景は地獄絵図だった。
 地獄での光景よりも地獄絵図と言いたくなるような光景だったことをネズミ男はのちに語る。
 佳境に入ったときエルはまたもや唐突にこういった。
「大酒飲み大会開催するわよ。
 あたしに勝ったら世界を滅ぼす以外の望みを一つ叶えるわよ。
 召使い達は参加禁止
 敗者はあたしの考えた罰ゲームをすること
 魔族は全員参加。」
 こうして、地獄は佳境に入った。

「さぁ。はじまりましたぁぁぁ。地獄の地獄の酒盛り大会!地獄の二日酔いに気をつけて(ハート)の地獄の大酒飲み大会! エルお嬢に勝つのはだれだ。」
 と、部下Sと言う男から司会をするならこれを着ろ!と、渡された金ラメのタキシードを着たネズミ男が言う。
 彼は、司会をやると参加を拒否したのだ。正しい選択と言える。
「最初の挑戦者は、鎧姿が勇ましいが怪我人なのが不安な覇王グラウシェラーさん。さて、彼の望みは何でしょ。
 ………俺的にはヤローの酔っぱらい姿よりも美人の酔っぱらった姿を見てみたいだけどねぇ」
「………では、怪我の回復………ついでに部下とあと同僚の復活」
「自分の怪我が最初かよ。」
 と、誰かのヤジが飛ぶ。
「んー。じゅぁ、魔力を封じてついでに女の姿でゼフィーリアのレストランのウエイトレス生活五十年」
「なにゆえ、場所を指定したんでしょう。」
「さぁ、お互い要求を言いました。
 さて、勝敗は一体」
 結論を言うと、怪我人の上に酒に弱いらしい覇王は樽三個分でリタイアした。
「残念でしたねぇ。次は、黒い長い髪とゴージャスなドレスが美しい海王ダルフィンさん。
 さて、彼女の要求は何でしょうか」
「………そうね。じゃぁ、フィブとシェーラをあたしの部下として復活と言うことで」
『ええぇ』
 と、観客席の者がおどろく
「んじゃぁ、あたしが勝ったら………魔力封じて問題ありの金持ちの家のメイド生活五十年間」
「………く、……わかりましたわ。なにしろ、グラウの試合で大樽三個分飲んだのだから勝てますわ。」
 細身の上品そうな見かけの姿からは想像できない飲みっぷりであったが、相手が悪かったとしか言えなかった。
「三番手は、獣王ゼラス=メタリオムさん。
 金髪の戦士姿が鋭さを表現してダルフィンさんとは別の美しさを見せております。」
「………部下が少ないからな。ダルフィンと同じ感じでフィブ以外部下として甦らせる。」
「………なんで、僕以外………。」
「ゼロスを借りといて怪我させたからだ。」
「………怪我さえたのはガーウなのにぃ」
「あたしは、そうね。魔力封じて子供の姿で一文無しの放浪三十年と、部下を一回貸す。」
「………ゼロスはレンタル商品ではないんだけど………」
 と、ゼラスはつぶやいた。
 結果を言うと、三十年だから良いじゃないかと二人に言われたのだった。
「最後の挑戦者は、北の魔王という異名を持つ部下Sこと、赤眼の魔王シャブラニグドゥさん。」
「五人の腹心とその直属の部下の復活、あと封印の解除」
「魔力を封じて猫耳メイド服女性姿で結界内の世界放浪五十年」
 と、お互い要求を言い合ったのだった。

「考えてみれば、あの方は酒をすぐに分解することも可能だったのぉ」
「そういや、そうだよな。」
「ようは、暇つぶしと言うことか。」
「考えてみればそうだよね。」
「ちょっと、考えたらわかりそうですもの。」
「しかし、罰ゲームの影響で最低三十年は魔族はおとなしいことですわ。」
「まぁ、滅びたから私たちには関係ありませんけど」
「でも、少し見てみたいと想いますわ。」
「あはははは。本当だね。」
「………同情しないんですね。」
 と、エル以外酒を飲むものがいなくなった場所で後片付けをする者達の会話が地獄の死霊の耳に入った。
 その死霊はその光景を見てこここそ、本当の地獄だと想ったと後に仲間に語った。 
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