タイトル : 裏で手を引く者は何を企む その二
投稿者 : コウ
投稿時間 : 2009年5月23日13時20分18秒
【いやー。まさか、あれを見てクリと答えるとはねぇ。
ネズミ男も口を大きく開けておどろいているわ。
まぁ。なんでそう思ったかはわかるんだけどね。
思わず笑い声を上げたのがいけなかったのか、聞こえたみたいね。
まぁ。いいわ。出てきてあげる。】
笑い声がする方を見るとそこには黒い服を着た金髪の美女のエルとそのそばに縄で縛られているネズミ男がいた。
ちなみに宙に浮いてである。ネズミ男は風にふかれて揺れている。
「おまえは!」
鬼太郎はエルを見ておどろく。
「あー。楽しい。
あたしが呼び寄せたそいつらとあんた達の会話。なかなかおもしろかったわよ。」
と、エルは楽しそうに言う。
「ちょっと、なんなのよ。あいつ」
と、鬼太郎にリナが聞くと
「エルと名乗っているんですけれど、詳しいことはわかりません。
いろんな場所の空間を変な風にゆがめているらしいですけれど」
「空間をゆがめてリナ達をここに落としたのよ。
リナ達は、異世界から来たのよ。あなたたちから見ればね。
リナ達から見たら異世界に来てしまったというところかしら……。」
と、鬼太郎の説明の途中でエルはそう答える。
「あたしを捕まえたら元いた世界に戻るわ。
鬼太郎達と協力しても良いわよ。
むしろ協力した方が良いわよ。この世界には魔法はないんだから……。
鬼太郎だっけ、あなたも一緒にいた方が良いわよ。下手すると世界を滅ぼすことができるんだから彼女たちは。
あ、そうそう。ついでにこれをあげるわ。リナ。
使い方はわかっているでしょ。あげた方がおもしろそうだからね。」
そう言うとエルはネズミ男を連れ虚空へと消える。
大地に落ちたのはリナが昔とある神官から買い取りいろいろあって無くなったタリスマンだった。
「じゃぁね。」
「鬼太郎。じゃぁな。」
エルとネズミ男はそう言うと消えた。
「で、どういうことなんだ。」
ガウリィの言葉にリナはこめかみを押さえながら
「要するに、あのエルとか言うやつがあたし達を異世界へと運んで自分を捕まえないと戻さないと言っているのよ。」
「なるほど。」
と、リナの言葉にガウリィは納得する。
「………たく、このクラゲ頭は、」
と、リナはため息をつく。
そして、手のひらにあるタリスマンを見る。
「本物。………みたいね。」
そう言って身につけて
「じゃ、あなたがたは、本当に異世界から来たんですか。」
と、鬼太郎が言う。
「そうみたいね。少なくとも日本なんてあたしは聞いたこともないわ。」
「俺も知らないぞ。」
と、ガウリィが言う。
「うーむ。あのエルとか言うもの一体何者なんじゃ。」
と、目玉が言う。
「あ、ちなみに僕の父さんで、目玉親父と言います。
しつこいようですけれど、妖怪でクリじゃありませんから。」
と、鬼太郎がリナに説明をする。
「と言うか、リナさん達の世界では親父さんみたいなのがクリなの。」
と、猫娘が聞くと
「いや、普通ないけどあるケーキ屋さんが頻出改良して栽培しているのよ。」
『どんなケーキ屋?』
と、ガウリィと鬼太郎に猫娘、目玉親父になぜか携帯電話までもが言う。
「なにこれ、」
と、リナは携帯電話を持つ。むろんリナ達は携帯電話を知らないためしゃべる赤い箱としか思えなかったが、……。
「あ、携帯電話の妖怪のバケローです。」
「うむ。よろしくな」
「携帯電話?」
「小型の通信機と言ったらいいでしょうか。電話………ないんですか。」
『無い。』
リナとガウリィに言われ鬼太郎は苦笑を浮かべながらエルとの因縁という者を説明する。
エルが現れたのはほんの一ヶ月前というごく最近の話なのだが、地方各地で空間が変な風にゆがんでいると言うことを天狗ポリス。リナ達の世界で言う衛兵みたいなものに聞いて調査をしていて出会ったという。
腐れ縁みたいな友人のネズミ男を雇いいろんな場所に現れる金髪の美女。
実力行使に出たが、あまりの強さに完敗したという話だった。
「獄炎乱舞もきかなかったもんね。」
と、猫娘が言う。
「うーん。エルはあたし達のことを知っていたみたいだけど、あった記憶なんて無いのよね。
あたしがタリスマンを持っていたなんてかなり親しいひとでもないと知らないんだけれど……。」
と、リナも首をかしげる。
丁度その頃、エルとネズミ男はとあるレストランにいた。
ちなみにエルの持っているカードで代金を払っている。ネズミ男はそのカードは何なのか聞いたのだが、にこやかな笑みで聞き逃し、今はこの女性がめちゃくちゃ強いことに気づいておりへたなことを言うと命が危ないと感じていた。
自分が払うんじゃないからと大量に食べているが、エルはそれ以上食べている。
二人の目の前にある水晶玉には、鬼太郎とリナのやりとりが写っている。
ネズミ男は食べている最中自分の手首についた金色の腕輪を見て、すこし後悔をした。
雇われたときつけられたこの腕輪どうやっても外れないうえ、どうやらこの腕輪は発信器みたいな者であり、何処へ行こうと何をしようと行動がばれてしまうのだ。
一度裏切ろうとしたときネズミ男は冗談抜きで一回死んだ。
死んでそして蘇生されたのだ。エルに………。
鬼太郎でも勝てない。地獄の力をつかった鬼太郎を苦もなく倒したエルで死者をよみがえらせるというとんでもないことをやる相手……。
はっきり言って、美女という外見が本当の姿かどうかもあやしい。
金が手に入るから一緒にいるし、裏切ったら今度こそ死ぬ。
だから一緒にいるのだ。
「ふふふ。楽しいわ。
部下Sあたりに連絡してあいつの手下を送ってもらおうかしら。………まずは、あそこの姫君と、………キメラの坊やも良いわね。
………あの便利そうなやつもいいかもね。」
と、エルはステーキを食べながら楽しげにつぶやいた。
一体何を企んでいるのか。エルのそばにいるネズミ男もそれはわからなかった。
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