タイトル : 裏で手を引く者は何を企む その六 (ナーガ登場編最終話)
投稿者 : コウ
投稿時間 : 2009年6月2日17時11分01秒
【「きゃはははははははははは」
腹を抱え転げるあたしをネズミ男は日本酒をこぼしながら
「………お嬢が、帰ったら俺殺されるかもしれない。」
と、真っ青な顔で言う。
………まあ、あたしがどうにかしといてあげとくことにしよう。
しかし、あれを呼んだのは正解だった。
おかげでこんなに楽しめている。
さて、そろそろ退散するか。】
リナが、もってきていたタオルで顔をふいている間、全員は、石みたいに硬直している。
いや、エルの笑い声だけが響いている。
「きゃははははははははははははははははは」
そんな中、リナは鬼太郎と戦っていたぬらりひょんに
「一つ聞くけど、……」
むかし、似たようなことを聞いた記憶がある。
「あれが、本当に役に立つと思ったの?」
リナの真剣な表情に
「………何も聞くな。」
と、ぬらりひょんは言った。
そして、首だけを動かしエル達のいる場所を見ようとすると金色の板の上に乗っているエルとネズミ男をにらみつける。
「………どこへ行くつもりだ。」
ぬらりひょんの言葉に
「なんか勘違いしていたみたいだけど、………あたしは、鬼太郎を倒そうなんて思ってないわ。
倒すのなら、あなたみたいな雑魚の手なんか借りないわ。」
雑魚呼ばわりされ、ぴくりと眉を動かす。
「あたしは、馬鹿騒ぎを見たかったの。ただのゲームの駒なのよ。
鬼太郎もあなたたちもリナ達もね。」
そう言うと、エルはネズミ男が漆黒の闇の中へと消える。
「………で、どうする。」
と、鬼太郎に問われぬらりひょん達は立ち去っていった。
「鬼太郎。きさまの首は必ずもらい受ける。だが、その前にあのエルとか言う女の首をもらおう。」
と、捨て台詞をいって
とある場所にあるエル達の本拠地で、
「お母様。次はどうするつもり」
と、召使いその三に言われ
「次は、そうね。なるだけ単純なやつが良いわ。
単純で思い込みが強いやつを、」
「なら、こいつらはどうでしょうか。単純で馬鹿なんですが力が強いんです。」
と、ネズミ男はエルにとある妖怪のリストを見せた。
「リナ〜。ひどいじゃないのよ〜。友達でしょ。」
「さっきまで敵として戦ってたのは、どこの誰よ。」
と、ナーガの声にリナは突っ込むと
「ふ。過去に囚われるとは器が小さいわね。」
「………黒カラスさん。」
と、リナが縄で縛りあげられているナーガをつかんでいる黒カラスに、
「いいから、これ。捕縛してください。」
と、リナが言った。
「わかりました。」
「ちょっと〜。あいつらが悪党だって知らなかったし、ここが異世界だったなんて知らなかったのよ〜。人間じゃないなんて聞いていないし〜。」
と、何度も言いつつけた台詞を言いながら天狗ポリスにしょっ引かれていくナーガを見ながら鬼太郎がリナに聞く。
「………リナさん。戦いたくないとか言ってましたよね。」
「………あれが異世界に来てしまったと言う時点で死ぬほどやだったし、あれと大まじめな顔で戦うなんて嫌だし。
と、いうかあれと関わるのなんて恥としか言いようがないわね。
人間失敗は幾つもあるけれど、ナーガと関わったのはあたしの人生の失敗ベスト10に入るわね。」
と、リナが言った。
そして、三日後。
リナ達と鬼太郎達が近所の超特盛りチャーハン三十分以内に食べきったら賞金十万円と言う店に行った日のことだった。
「なんか、逃げるように向かってたよな。リナさん。」
「そうだね。」
「どうしたんだろうな」
と、カワウソとアマビエに一反木綿が話していると黒カラスがやってきた。
しかし、三日前と違いがかなりやつれている様子である。
「ちょっと、どうしたんだい。ずいぶん疲れているみたいじゃないか。」
と、アマビエに言われ黒カラスは
「いえ。それより、リナ殿は?」
と、聞かれ
「人間界にいっとるぞ。賞金十万円とかいって」
と、奥から砂かけがやってくる。
「………そう、ですか。」
と、目に見えて落胆する。
「そうそう。おまえさんが来たら渡してくれと言っといた物があったぞ。」
と、砂かけが渡した手紙を全員が見る。
そこには、
【ナーガは引き取らないからね。】
と、書かれていた。
「引き取ってください………。」
と、黒カラスが手紙をみて涙ながらにつぶやいたのだった。
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