タイトル : 裏で手を引く者の周り【番外編U】(召使いその三編)
投稿者 : コウ
投稿時間 : 2009年6月6日09時19分13秒
成功した。
一つの情報の元、作り上げた芸術的な計画が成功した瞬間だとその時、僕は思ったんだ。
竜もエルフも恐ろしさを知っていて使わない呪文。
魔族は他者の力を借りた魔法は使えない。
人間だから、その呪文を使える。
だけど、人間は愚かだからその呪文の知識を手にできないと思っていた。
その呪文を不完全ながら使う人間がいると聞いたときには、僕もおどろいた。
タリスマンもあったから、あれは制御できたのかと思った。
だから、攻撃した。
それが、失敗だった。
怒ったそれが力を僕に向けてきて………。
「うわぁぁっぁぁぁぁぁ」
自分の絶叫で目を覚まし、
「やかましぃぃぃ」
と、ガーウに後ろから馬鹿力で殴られた。
あのときの夢を見るなんて、………。おかげで手が震えている。
あのときの記憶は恐怖以外なんでもない。
僕ははっきり言って策におぼれて滅びるなんて間抜けな結末だと思う。
目を覚まして、後ろをみてこれより間抜けじゃないなと気づく。
僕の後ろにいるのは、魔竜王ガーウだ。
魔王の五人の腹心の一人が猫耳メイド服を着ている。無様だと笑ってやったら、同じ格好をしているじゃねえかと怒鳴られた。
………たしかに、僕も猫耳姿だ。だけど、僕は十代前半にぐらいの美少年だ。赤毛の筋肉馬鹿の長身野郎よりずぅぅぅぅぅと似合っていると思う。
念のため言っとくけど好きでこんな服を着ている訳じゃない。
僕を作り出した魔王様を作り出した金色の魔王様通称お母様の命令なんだ。お母様の暇つぶしの間の召使い。
今の僕の地位はそんな微妙な者だ。
ため息をつきたくなってきた………。
お母様は、僕とガーウそして覇王将軍シェーラ(彼女はメイド服がよく似合っている。)のほかにこの世界の案内人のネズミ男とか言う草無くて汚いドブネズミみたいな妖怪という者と一緒にアジトにいる。
このアジトもネズミ男とか言うやつの別荘らしい。
こいつが別荘を持っていること自体に驚きだ。
そして、おもちゃに鬼太郎とか言う妖怪達とあのリナ達を選んだ。
昔、自分に攻撃したからと言う理由で渡された猫缶を食べながら僕は泣きたくなっていた。
「買ってきましたよぉぉぉ」
と、ネズミ男が買い物から帰ってきた。
何を買ってきたんだと思ったら着ぐるみを大量に買ってきた。
その中の二つ、いるかと亀の着ぐるみを僕とガーウに投げる。
「次の遊びではこれを着なさい。
場所は南国だから、ぴったりでしょ」
と、お母様は言った。
「………南国………」
「……着ぐるみの中って、熱いんだよな………。」
と、僕とガーウがつぶやいた。
この後の遊びでひたすら熱い思いをしそうな気がして泣きたくなった僕だった。
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