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◆−裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編)−コウ (2009/6/21 21:42:31) No.18514 ┣裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編その2)−コウ (2009/6/24 21:13:27) No.18515 ┗裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(横町編)−コウ (2009/6/25 22:41:46) No.18516
18514 | 裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編) | コウ | 2009/6/21 21:42:31 |
【地獄で地獄の酒盛り大会!地獄の二日酔いに気をつけて(ハート)地獄のゲームつき】 と、三原色の文字で書かれているはでな看板を飾って酒を用意する。 「うお、すっげー。シャトー・ディケムって高いんだろ。 こんな高いワイン初めて見たぞ」 と、ネズミ男がワインを眺めながら言う。 その周りには古今東西の世界各国の酒という酒がおいてある。子供だましの白酒卵酒からアルコール濃度のかなり高いきつい酒まである。 テーブルの上にはいろんな酒のつまみが置いてある。 なぜ、地獄のこの場所でこういう事が起きることになったのかというとそれは、エルのわがままから始まった。 「酒盛り大会をするわ。」 と、言って数名の部下に酒を大量に持参させて呼ぶと言うことをしたのだ。 なんでも、二つの世界の酒を飲み比べたいらしい。 「お嬢って、見た目にそぐわず大酒飲みなのか」 と、ネズミ男の疑問にまともな服をかなり久方ぶりに着て喜んでいるガーウが、 「たしか、数千年前ぐらいだったな。四つの世界混同酒盛り大会の会場が俺らの居た世界で起きたとき、最後まで飲み続けていたぞ。 あの方は………。」 と、言った。 「すげぇな。あと、あんたのまともな格好って初めて見た気がしたぞ。」 「やかましぃ」 と、ガーウは吠えた。 エルが四人じゃ難しいでしょ。と、言う心優しい言葉の元、ラシャートとラクタールと言う男二人とパティーとアリーナとディーンとエンジュとマリーアール言う女性五人も手伝っている。 ガーウの部下とフェブリゾの部下らしい。 まるまる一日かけて(ネズミ男は途中寝たが………ほかは寝ずにの準備だった。)準備を終えていざ酒盛りは始まった。 その光景は地獄絵図だった。 地獄での光景よりも地獄絵図と言いたくなるような光景だったことをネズミ男はのちに語る。 佳境に入ったときエルはまたもや唐突にこういった。 「大酒飲み大会開催するわよ。 あたしに勝ったら世界を滅ぼす以外の望みを一つ叶えるわよ。 召使い達は参加禁止 敗者はあたしの考えた罰ゲームをすること 魔族は全員参加。」 こうして、地獄は佳境に入った。 「さぁ。はじまりましたぁぁぁ。地獄の地獄の酒盛り大会!地獄の二日酔いに気をつけて(ハート)の地獄の大酒飲み大会! エルお嬢に勝つのはだれだ。」 と、部下Sと言う男から司会をするならこれを着ろ!と、渡された金ラメのタキシードを着たネズミ男が言う。 彼は、司会をやると参加を拒否したのだ。正しい選択と言える。 「最初の挑戦者は、鎧姿が勇ましいが怪我人なのが不安な覇王グラウシェラーさん。さて、彼の望みは何でしょ。 ………俺的にはヤローの酔っぱらい姿よりも美人の酔っぱらった姿を見てみたいだけどねぇ」 「………では、怪我の回復………ついでに部下とあと同僚の復活」 「自分の怪我が最初かよ。」 と、誰かのヤジが飛ぶ。 「んー。じゅぁ、魔力を封じてついでに女の姿でゼフィーリアのレストランのウエイトレス生活五十年」 「なにゆえ、場所を指定したんでしょう。」 「さぁ、お互い要求を言いました。 さて、勝敗は一体」 結論を言うと、怪我人の上に酒に弱いらしい覇王は樽三個分でリタイアした。 「残念でしたねぇ。次は、黒い長い髪とゴージャスなドレスが美しい海王ダルフィンさん。 さて、彼女の要求は何でしょうか」 「………そうね。じゃぁ、フィブとシェーラをあたしの部下として復活と言うことで」 『ええぇ』 と、観客席の者がおどろく 「んじゃぁ、あたしが勝ったら………魔力封じて問題ありの金持ちの家のメイド生活五十年間」 「………く、……わかりましたわ。なにしろ、グラウの試合で大樽三個分飲んだのだから勝てますわ。」 細身の上品そうな見かけの姿からは想像できない飲みっぷりであったが、相手が悪かったとしか言えなかった。 「三番手は、獣王ゼラス=メタリオムさん。 金髪の戦士姿が鋭さを表現してダルフィンさんとは別の美しさを見せております。」 「………部下が少ないからな。ダルフィンと同じ感じでフィブ以外部下として甦らせる。」 「………なんで、僕以外………。」 「ゼロスを借りといて怪我させたからだ。」 「………怪我さえたのはガーウなのにぃ」 「あたしは、そうね。魔力封じて子供の姿で一文無しの放浪三十年と、部下を一回貸す。」 「………ゼロスはレンタル商品ではないんだけど………」 と、ゼラスはつぶやいた。 結果を言うと、三十年だから良いじゃないかと二人に言われたのだった。 「最後の挑戦者は、北の魔王という異名を持つ部下Sこと、赤眼の魔王シャブラニグドゥさん。」 「五人の腹心とその直属の部下の復活、あと封印の解除」 「魔力を封じて猫耳メイド服女性姿で結界内の世界放浪五十年」 と、お互い要求を言い合ったのだった。 「考えてみれば、あの方は酒をすぐに分解することも可能だったのぉ」 「そういや、そうだよな。」 「ようは、暇つぶしと言うことか。」 「考えてみればそうだよね。」 「ちょっと、考えたらわかりそうですもの。」 「しかし、罰ゲームの影響で最低三十年は魔族はおとなしいことですわ。」 「まぁ、滅びたから私たちには関係ありませんけど」 「でも、少し見てみたいと想いますわ。」 「あはははは。本当だね。」 「………同情しないんですね。」 と、エル以外酒を飲むものがいなくなった場所で後片付けをする者達の会話が地獄の死霊の耳に入った。 その死霊はその光景を見てこここそ、本当の地獄だと想ったと後に仲間に語った。 | |||
18515 | 裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編その2) | コウ | 2009/6/24 21:13:27 |
記事番号18514へのコメント 「まだ、かたづけるのわぁ、はやいわよぉ」 と、エル様はそう言った。 顔には珍しく朱に染まったほおがしている。 その周りには、飲み比べをした後も大量に飲まされた魔族の集団が倒れ伏している。 そう言うと、エルは自分の場所につながっている鍋からごそごそ何かを取り出した。 「わぁ」 「どわぁぁ」 と、赤毛の赤い服の……わかり安く言えば赤一色で統一したはでな青年……名をレゾという。 赤法師レゾという。 そして、もう一人赤毛の目つきの鋭いヤクザとかごろつきとかそう言う言葉がよく似合う青年。 名をルークという。 「ったく、なんだよ。俺は寝ていたいんだ。」 と、ルークがうめく 「あたしとの見比べで勝ったら……魔王の魂と分離させて望むような転生をするようにするけど………。 一緒に転生したい相手が居るならそれも一緒に」 「おれはかつぞぉぉぉぉ」 と、ルークは速攻で酒を片手に叫んだ。 ネズミ男はだいたいの話を聞きながら言った感想はただ一つだった。 「………猫娘が感動しそうな話だな。おい、」 「感動というものでしょうかねぇ」 と、部下Sが言う。 「つーか、二対一で勝負をするなんて、卑怯ですよ。」 「でも、お父様でもあるじゃないですか。」 と、フェブリゾに言われ 「………でも、あのわたしは不完全な感じで復活して滅びたし………、もう一人は自分から滅びるし………私だけ、貧乏くじを引いていますよ。」 と、ビールを飲みながら愚痴り始める。 結果は、意外なことに勝利だった。 その夜、 「エル様。」 と、月見酒を飲んでいるエルに部下Sが話しかける。 「なぁにぃ」 と、酔いの回った口調でいう主に、 「………わざと負けになったんですか?」 と、部下Sが聞いた。 「んー、まぁね。赤法師のほうは、まだやかましくなかったんだけど………、もう一人のほうわねぇ。 みりーな。みりーな。って、たまに寝言でうめいているのよ。 やかましいのよね。やかましくっていやになって旅行に出たんだけど………根本的解決になっていない気がしてねぇ。」 「原因の人の心を転生させたというわけですか。」 「あんたが、滅んだら同じようにしといてあげるわよ。 世界事滅んだとしたら別の世界でね。」 と、エルは言うとまた酒を飲み始めた。 リナ達がこのときの話を聞くか、聞かないかは、もうちょっと未来かもしれないし永遠に来ない話かもしれない。 だが、その話を聞いたリナ達はどんな顔をするだろうか。 エルは密かにほほえんだ。 | |||
18516 | 裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(横町編) | コウ | 2009/6/25 22:41:46 |
記事番号18514へのコメント 高笑いが響くのもなれてしまった妖怪横町。 「そーいや、ナーガ。あんた、一応セイルーンの姫なのになんだってそんな服を着ているのよ。」 と、バイトから帰ってきたリナがガウリィにマッサージをしてもらいながら聞くと、 「ふっ。この美的センスがわからないなんて相変わらず子供ね。」 「………いや、それは良いから」 と、リナが半眼でうめく。 部屋でお茶を飲んでいた鬼太郎も苦笑を浮かべた。 「………お母様の形見なのよ。」 と、ナーガがぽつりとつぶやいた言葉にその場にいた全員は沈黙した。 一つは、ナーガとアメリアの母親が死んでいたと言うこととその事を言ったナーガの声が哀しげだったこと。 そして、 「ナーガ、あんたの母ちゃんって」 「どんな人なんですか。」 と、リナと鬼太郎の言葉にナーガはただ 「っふ、すばらしい人だったわ。あたしが人生の師匠としてもあこがれている女性よ。」 と、答えた。 リナ達の頭の中に浮かんだ疑問はただ、 『フィルさんの趣味って………』 だった。 アメリアとナーガの母親と父親のフィルさんがどういう経緯で出会って結婚したのかは、謎である。 だが、おそらく二人の結婚はいろいろ問題があったんだろうなぁと考えられる。 後日、これならキメラだからって気にしないでも良いんじゃないの。と、リナにしこたまからかわれたのはゼルの秘密である。 また、翌日のことだった。 「そう言えば、デーモン大量発生事件は一体何だったのかしらね。」 と、ナーガが洗濯物を取り込みながら言った言葉にリナは反応した。 「………ああ、あのことね。」 その表情にナーガは何かを感じ取り 「リナ。なんか知っているなら教えなさいよ。」 と、言った。 リナはため息を一つつくと語り始めた。 部屋にはガウリィとアメリアとゼルガディスとナーガだけだった。 「あの事件は………、そうね。ナーガとあたしが旅していた頃………、ガウリィと出会う前から始まっていたのかもしれないわね。 ルビナガルド元王国の王室解体の発端の事件、それにあたしとナーガが関わった。」 と、リナはぽつりぽつりと話し始めた。 日が暮れ始めた頃、 「リナさん達〜、ちょっと話があるんですけど………」 と、鬼太郎と目玉親父と猫娘達がリナ達の住んでいる部屋へと向かっていた。 「………あの時、もしもあたしが気づいていたら………もしも、あのときあそこの神官のだれかが助けようとしたら………、もしも、あそこに復活の呪文が使える神官が居たら………、もしもをあげるときりがないわ。 だけど、どのもしもも起きずに、彼女………ミリーナは………死んだわ………。」 と、言う声が聞こえ呼ぶために戸に伸ばした手を鬼太郎は止めた。 「………彼は、狂ったわ。最愛の存在を失って……毒をくらわしたやつを殺して、雇った人間を殺して見殺しにした相手を殺して、………助けられなかった人まで殺そうとした。」 その声は今にも消えそうな声だったが、悲痛な哀しげな声だった。 鬼太郎も猫娘も目玉親父も今、自分たちがやっているのが盗み聞きというあまりほめられた事でないこともわかっていたがその場にいた。 リナの話は続いていた。 「その事件の本当の黒幕も退治して………、あたしとガウリィはまた当てのない旅を続けていた。 そんな中、起きたのはデーモンの大量発生事件だった。 あのとき世界が揺れた。そのとき、彼………ルークが魔王になったときだった。」 部屋に直接居なくても、その場にいた人達が驚愕したのがわかった。 鬼太郎も目を見開く。話を途中から聞いていたがその彼と呼ばれていたルークという男性がリナとガウリィの仲間とも呼ばれる存在になっていたと言うことは、わかったのだから………。 「やがて、あたしは近くの町であたしそっくりの姿形をしたのがサイラーグへの道を聞いていたのを知った。 それは、招待状だったのよ。サイラーグへ来いと言う魔王になったルークからの………。 北の魔王は、あたし達とルークとの再会を喜ばなかった。 二つの魔王の矛盾した命令に魔族はかなり混乱していたけど………あたしには、道でも良いことだった。 あたしは、サイラーグへ向かってそこでゼロスの上司……ゼラス=メタリオムとダルフィンの受付係に出会った。」 鬼太郎はゼロスという言葉ではわからなかったがゼルガディスとアメリアが息をのんだのがわかった。 「そこで、あたしとガウリィは魔王に出会った。 最初、あたしは魔王が………彼………ルークだとは………気づかなかった。 気づいたのは………ガウリィだった。………ルークは、……不器用だったのよ………。………ミリーナ………が死んだのに………耐えきれなくて………魔王が偶然………彼の魂に………封印されていた………。 ………彼は言ったわ。あたし達と戦って世界を………滅ぼすか………自分が滅びるかを決めるって………」 途切れ途切れになる言葉でリナがどんな顔をしているのかは、扉の向こうにいる鬼太郎達にはわからなかった。 だが、この扉を開ける事ができずにいた。 「………だけど、………彼は………本当は………ただ、………彼女………ミリーナの所に………行きたがっていただけだったのよ。………本来なら………魔王を倒せるはずのない術………赤瞳の魔王………の力を借りた呪文………それで、眠りについた………。」 と、リナの言葉の後扉の向こうには聞こえない声で鬼太郎はつぶやいた。 「………あと、五分たったら呼ぼう。」 と、そして扉を開けたときリナ達は笑顔で答え下へと向かった。 長く待たされた物は不満げだったがなぜ時間がかかったかは、鬼太郎達は言わなかった。 | |||
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