タイトル : 裏で手を引く者の犠牲者達【番外編V】(地獄編その2)
投稿者 : コウ
投稿時間 : 2009年6月24日21時13分27秒
「まだ、かたづけるのわぁ、はやいわよぉ」
と、エル様はそう言った。
顔には珍しく朱に染まったほおがしている。
その周りには、飲み比べをした後も大量に飲まされた魔族の集団が倒れ伏している。
そう言うと、エルは自分の場所につながっている鍋からごそごそ何かを取り出した。
「わぁ」
「どわぁぁ」
と、赤毛の赤い服の……わかり安く言えば赤一色で統一したはでな青年……名をレゾという。
赤法師レゾという。
そして、もう一人赤毛の目つきの鋭いヤクザとかごろつきとかそう言う言葉がよく似合う青年。
名をルークという。
「ったく、なんだよ。俺は寝ていたいんだ。」
と、ルークがうめく
「あたしとの見比べで勝ったら……魔王の魂と分離させて望むような転生をするようにするけど………。
一緒に転生したい相手が居るならそれも一緒に」
「おれはかつぞぉぉぉぉ」
と、ルークは速攻で酒を片手に叫んだ。
ネズミ男はだいたいの話を聞きながら言った感想はただ一つだった。
「………猫娘が感動しそうな話だな。おい、」
「感動というものでしょうかねぇ」
と、部下Sが言う。
「つーか、二対一で勝負をするなんて、卑怯ですよ。」
「でも、お父様でもあるじゃないですか。」
と、フェブリゾに言われ
「………でも、あのわたしは不完全な感じで復活して滅びたし………、もう一人は自分から滅びるし………私だけ、貧乏くじを引いていますよ。」
と、ビールを飲みながら愚痴り始める。
結果は、意外なことに勝利だった。
その夜、
「エル様。」
と、月見酒を飲んでいるエルに部下Sが話しかける。
「なぁにぃ」
と、酔いの回った口調でいう主に、
「………わざと負けになったんですか?」
と、部下Sが聞いた。
「んー、まぁね。赤法師のほうは、まだやかましくなかったんだけど………、もう一人のほうわねぇ。
みりーな。みりーな。って、たまに寝言でうめいているのよ。
やかましいのよね。やかましくっていやになって旅行に出たんだけど………根本的解決になっていない気がしてねぇ。」
「原因の人の心を転生させたというわけですか。」
「あんたが、滅んだら同じようにしといてあげるわよ。
世界事滅んだとしたら別の世界でね。」
と、エルは言うとまた酒を飲み始めた。
リナ達がこのときの話を聞くか、聞かないかは、もうちょっと未来かもしれないし永遠に来ない話かもしれない。
だが、その話を聞いたリナ達はどんな顔をするだろうか。
エルは密かにほほえんだ。
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