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18594 | 一ヶ月放置ありえない | 井上アイ | 2010/9/20 16:44:28 |
記事番号18592へのコメント 前回から、既に1ヶ月半……… ありえない(>_<) 色々書きすぎて、話の筋が分からなくなりそうデス。 はい(汗)鋭意努力しますε=┏(; ̄▽ ̄)┛ | |||
18593 | 有り難うございます_(._.)_ | 井上アイ | 2010/7/30 22:03:29 |
記事番号18590へのコメント お返事遅くなりまして(汗) 原作をしっかり理解出来ていないと、原作の作品は、作り続けられないのではないでしょうか? 自分は、思い付きで、創っていて、すぐに、途中で頓挫してしまいます(^^; 続き頑張りますo(^^)o | |||
18592 | 漆黒に踊り出る6 | 井上アイ URL | 2010/7/30 20:06:44 |
記事番号18589へのコメント ワゴン車を調べ様と、刑事が動こうとした時だ。 ワゴン車から降りていた、警備員が、おもむろに銃を取り出した。 「っ?!!」 ―ガツッ! それを、咄嗟に警棒で払い、身体を押さえつけたのは、ワイザーの車を運転していた、若い刑事。 「公務執行妨害……だけで済めば良いですな?」 その横に立ち、ワイザーは銃を取り出し、ワゴン車に視線を送る。 「気を付けろ、まだ居るかも知れん」 別の若い刑事が、ワゴン車に近付くと、ワイザーは、鋭い声で、注意を促し、 「中を改めよ」 周りに居る刑事達に指示を出した。 そして、ワゴン車の周りを、4人の刑事が取り囲み、各々、手に銃を構え、ワゴン車を、隙無く睨む。 それを見やり、ワイザーは、警備員を取り押さえている刑事の肩に、手を置き、 「良くやった。応援が来たら、身柄を引き渡し、私に連絡をくれ」そして、ワゴン車を囲む刑事に、視線を送る。 「そちらは、頼むぞ」 「ええ。お任せ下さい」 返って来た答えに、満足そうに頷き、ワイザーは、守衛室へと向かった。 「刑事さん、どういう事ですか?」 そこに居た警備員は、事態に付いて行けず、不審そうな表情だ。 確保された警備員に、「リッチを追う」と言われ、シャッターを開けた人物だった。 が、すぐに、出て行くのを阻んだパトカー。次いで、守衛室を、刑事に占拠され、何が起こっているのか、分からない。といった表情だ。 その様子に、ワイザーは、落ち着いた口調で言う。 「失礼。リッチに逃げられた今、現場保全が、我々に課せられた使命でしてな。手荒な真似を致しました」 「だからと言って、守衛室を乗っ取り、警備員に待機の指令を出す事はないでしょう?!!」 鼻息荒く、抗議の意を唱えた警備員。 守衛室に、4人の刑事が、乗り込んで来て、守衛室にある無線を使い、警備員に待機の指令を出していた。 権力を傘に、自分の守るべき場所を荒らされる。という勝手な行動に、不快を感じたのだ。 それに、 「申し訳ない。リッチの残党が、万が一、居たら困りますからな。後から来た増援は、こちらで確認しておりませんし、ご協力頂きたい」 ワイザーは諭す様に言い、応えを待たず、背を向け、刑事に声を掛ける。 「警備システムは、どうなっている?」 「それが、作動していなかったので、警備会社に、問い合わせましたら、システムが、改ざんされていた模様で、今夜中の復旧は難しいそうです」 答えたのは、中年に差し掛かるかどうか、と言った年頃の刑事で、どう言った理由で、守衛室を抑えるのか、説明を受けていないが、経験から、それとなく感づいている。 「困ったものだな。中に居る、一般女性が心配だ。身柄を保護するべきだな」 誰にともなく呟かれた言葉に、刑事達の視線が集まった。 「え??」 「ライアン殿の、大事なお客人だそうでな。リッチが来る前に、入ったきり。なのだよ」 「それは、心配ですね」 「ここを、頼めるかな?ライアン殿への、説明も必要だしな」 「はい」 「応援が来たら、下から順に、警備員の身元、フロアの異常を、確認してくれ」 「判りました。確認後の警備員は、駐車場で待機して頂けたら、良いですか?」 「そうだな。では、頼むぞ」 言って、相手が敬礼をしたのを見、ワイザーは、駐車場内へと下りて行く。 最上階は、廊下がT字になっており、東に社長室、南に会長室、西に会長のプライベートルームが、コの字型にある。 そして、西にエレベーター、東に階段、間に秘書室が、北側にあり、廊下唯一の窓が、その両端にある。 その廊下の、秘書室の扉の前が、廊下の分岐点で、彼女は、そこを真っ直ぐと過ぎ、倒れている警備員の横を通り、エレベーターの前で待つ。 本当は、会長室へ先に行き、色々漁りたい所なのだが、ワイザーの目がある手前、何もしない方が、賢いだろう。と、判断し、大人しく、待つ事にしたのだ。 程なくして、ポンという音がし、エレベーターの扉が、ゆっくりと開く。 「どうも、ワイザーさん」 「早いですな」 エレベーターから降りたワイザーは、落ち着いた声で、彼女を見た。 「そうかしら?」 「所で、あちらは?」 質問に、質問で返され、彼女は、ワイザーが指差す方を、眉を寄せて見る。 そこには、床に横たわっている警備員の姿。 「ああ、少し寝て貰っているのよ」 「まさか、ライアン殿も?」 「ええ。放っておいても、後1時間もすれば起きるわ」 彼女が頷いたのを見、ワイザーは苦笑を浮かべた。 「刺激を与えれば、起こせるという事ですかな?」 「そうよ」 「なら、起きて頂こう。その前に、何か預かる物があれば、預かりますが?」 差し出されたワイザーの手。 それに、彼女は首を傾げる。 「何もないわ。何か欲しい物でも?」 「いえ。てっきり、わたしが来るまでに、見逃せない物を、懐に忍ばせているものだと……」 「そんな無謀な真似、しないわよ」 顎を撫で、白々しい表情を浮かべたワイザーに、彼女は肩を竦めた。 その表情は、涼しいもので、肝が冷える思いを、抱えているとは、思えない程だ。 「それは安心しました。では、まずライアン殿に、起きて頂こう」 にこやかに微笑み、ワイザーは、会長室へと向かった。 「大丈夫ですかな、ライアン殿?」 会長室の、自分の椅子に座り、眠っていたライアンを起こし、ワイザーは問いかけた。 「ああ……っ?!リッチは!!」 ぼんやりしていたが、事態を思い出し、ライアンが、ワイザーの腕を掴んだ。 「空から逃げられてしまいましてな。パトカーで追跡させております」 冷静に、ワイザーが応え、途端、ライアンは、顔を顰める。 「それは、何時頃?それに、それならば、何故ここに、そなたが?」 「そうですなあ、下で少々、手間が掛かりましたし、リッチらしき者の逃亡は、10分程前。ここに、私が居る理由は、それが、囮であった時の為の対策と、現場保全の為です」 「だからと言って、リッチを、追わなかった理由には、ならんだろう!!」 淡々と質問に応えたワイザーに、ライアンは、声を荒げた。 だが、それでも、ワイザーの表情は、変わらない。 「そう言われましてもなぁ。地上から、空の物を追うのは、少々手間でしてな。それに、火事場泥棒が、居る可能性だって、ありますし、迅速な現場保全は、鉄則なのですよ」 「……?!」 苦虫を噛み潰した様な表情で、ライアンは、ワイザーから手を離し、その背後、ソファに、ぐったりとした姿を見留め、顔色を青くさせる。 「ソフィアさん?!」 慌てた声と共に、椅子から立ち上がったライアンは、2人掛け用のソファに、足音を立て、近付く。 その背中に、ワイザーは、納得した様な声色を発する。 「やはり、ライアン殿の客人でしたか。廊下で、倒れていましてな。私が存じ上げない顔ですし、ご確認頂こうと思い、こちらにお連れ致しました」 「廊下で?警備員は、一緒じゃなかったのか?」 ソファで、目を瞑っている彼女に、目立った外傷がないか、確認してから、ライアンは、ワイザーの方へと、身体を向けた。 すかさず、ワイザーは、頷いてみせる。 「ええ。彼女の近くで、倒れておりました。意識のない男性を、運ぶのは、さすがに、くたびれますから、そのままになっておりますが?」 「起こして、連れてこれば、良かったんだ」 「ライアン殿の、無事の確認が、一番重要でしたので、そちらは、後回しにさせて頂きました」 「そうか。なら、今すぐ、起こして連れて来てくれ」 まるで、自分の部下へ、命令する様な口調のライアン。 その態度に、表情を変える事なく、ワイザーは、口を開く。 「それは、出来かねますな。ライアン殿が、リッチだ。という可能性も捨てきれない以上、一緒に来て頂かなければ、ここを動けないのですよ」 「そういう、あんたが、リッチなんじゃないのか?」 「だからこそ。お互いを見張る為にも、一緒に来て頂きたい。警備員が、リッチだったら、大変ですしな」 嫌味に、ワイザーが笑顔で返すと、ライアンが、顔を引き攣るらせ、 「良かろう。一緒に行こうではないか」 と、苦々しく応えるのであった。 「彼女にも、起きて頂こう。リッチが潜んでいたら、事ですしな」 言って、細い目で、ワイザーは、ライアンに視線を送った。 その目は、何を見詰めているのか? ◆◆◆◆ 久しぶりに、PCから♪ | |||
18591 | Re:だいじょうぶだから | みやび | 2010/7/4 13:50:52 |
記事番号18585へのコメント >初めまして♪ はじめまして、みやびともうします。 >皇女らしい、狡猾なアメリアですね(褒め言葉です) >こういう、利用出来るものは、全て利用する狡さは、他国との交渉で、絶対身に付けていると思うのですよね。 >ガウとリナを、フィルさんの古い友人として、叔父に紹介した時の、辛辣なアメリアを、思い出しました。 >可愛いだけじゃない、一癖も二癖もあるのが、原作アメリアの良さですよね♪ >アメリアに待ち受けている物が、何なのか、凄く気になる終り方に、ヤキモキしながら、続きを待っています♪ 読んで下さりありがとうございます(ぺこ ただ、続きを書いてた4月ごろ…… ブレーカー落ちが原因でいままで書いてたやつと、ここに投稿する予定だった3本が謎文字に変換されてて利用不可能になり、モチベが下がっちゃいました。 オリジナルキャラクターというのは入れないつもりで、何度かルートを変換しながら変えてたので(最初はゼルガディスも海に落とす予定が、邪魔になったんで切り捨てました)、まるごと全部消えるとどう書こうか迷って続きにいまだ手が出ません。 そのうち書くかもしれませんが、いつになるかはわかりません^^; いま忙しいので落ち着いてからかな。 狡猾なアメリアは大好きです。 原作は冷静かつ狡猾でいなければ! | |||
18590 | Re:漆黒に踊り出る5‐4 | セス | 2010/6/16 20:21:23 |
記事番号18589へのコメント こんばんは。 現代パロ、私は読むのは好きなのですが自分では書けないので羨ましいです。 続きを楽しみにしております。 | |||
18589 | 漆黒に踊り出る5‐4 | 井上アイ URL | 2010/5/19 06:46:21 |
記事番号18588へのコメント そして、ナップサックから、圧縮袋を取り出し、スーツを出し、それを身に付け、トートバッグにナップサックを収めた。 屋上の南東に、ビルの中へと続く扉があり、靴の底に仕込んだ、ピッキング用の道具を取り出し、簡単に開け、彼女は中へと入って行く。 階段を降りた所には、扉があり、そこにも鍵が掛かっているが、再び簡単に開け、そこを潜り、最上階へと踏み入れた。 「全く、寝不足は美容の敵なのに……」 腕時計を見、針が示す時間に、彼女は思わず溜め息を漏らすのであった。 ◆◆◆ という訳で、まだ続きます(笑) 次で終われたら良いなぁ……… | |||
18588 | 漆黒に踊り出る5‐3 | 井上アイ URL | 2010/5/19 06:44:30 |
記事番号18587へのコメント 目をパチクリとして見せた彼女に、中年の男が意味ありげに空を指差す。 そこには、ちょうど、問題のビルから、こちらのビルへと渡したワイヤーがある。 「ご執心の女性が、いきなり消えたとなると、躍起になるでしょうなあ」 何を考えているのか、さっぱり読めない目、口調は強くも弱くもなく、責めている訳でもない。 だが、背中に流れる冷たい物に、悪寒のありかを、彼女は知る。 「居るべき所に戻れる。悪い話ではないと思いますがな?」 「何が望み?」 「理由と、確証。といった所ですかな」 「分かったわ」 顎を撫で、とぼけた口調の中年の男に、彼女は大きく頷いてみせた。 銃以外の疚しい物を、バイクの座席に詰め、彼女は、髪を纏めた。 地下駐車場のスロープには、1台のワゴン車が止まって居た。 そして、ワゴン車の脇で、警備員と、若い刑事が問答しており、中年の男は、若い刑事に代わり、口を開く。 「現場保全に協力願えますかな?」 「しかし……」 「リッチは既に遠く、追うのは困難では?」 渋った警備員は、細い目で見られ、ぐっと唸り、 「そちらが、邪魔をしたからでしょう」 と、苦々しい表情を浮かべた。 「まあまあ、貴方の仕事は、この会社の財産を守る事。でしたな?」 「だから、リッチを追うべく、待機していたのだ!」 「ほう?地下駐車場で、どうやって、動向を見るつもりだったのですかな?」 「ここから逃げる可能性だって、あるだろう」 「しかし、ここは、シャッターがある。それを突破するのは、少々手間だ。その可能性は、無いに等しいと思いますがな?」 鋭い視線が、警備員に注がれた。 そして、どういった理由で、ワゴン車を足止めするのか、聞かされていなかった刑事達が、成る程と納得の表情を浮かべる。 「リッチが潜んでいないか、確かめても、宜しいでしょうな?」 ワイザーの細い目が、警備会社の社名がプリントされたワゴン車へと、向けられた。 その外、ビルの外壁を昇る者が。 ワイザーによって、わざと手薄にされた、東側の壁を、銃を使って、上階に引っ掛けたワイヤーを巻き取り、辿り着いた先で、再び同じ事を繰り返し、屋上へと上がって行くのは、彼女だ。 屋上に再び辿り着くと、銃をフックに掛け、隣のビルへと伸びるワイヤーに、そのフックを掛け、滑らせる。 ◆◆◆ | |||
18587 | 漆黒に踊り出る5‐2 | 井上アイ URL | 2010/5/19 06:41:58 |
記事番号18586へのコメント そして、ワイヤーが引っ張られた。 遅い!と思いながらも、心を平常に戻していく。 ぐんぐん近付くそれは、見知らぬ顔だが、朧気なそれが、はっきりして来ると、焦りがなくなって来る。 程なく、屋上へと辿り着いた巨体。 ごちゃごちゃ五月蝿いが、いつもの様に適当に相手をし、さりげなく、分け前を徴収。 リールを柵から外し、ナップサックに入れ、用意してあった隣のビルへのワイヤーに、グローブの金具を引っ掛ける。 巨体を回収に来た騒音に、心の中で感謝しつつ、彼女は漆黒の空を、走る様に飛んだ。 こちらのビルは25階なので、かなりのスピードが出る。 その流れる景色の下、地上の光が、騒音を追い、大通りへと向かう。 彼らは、警察をからかうのを、いつも楽しんでいるので、大概が大通りへと向かうのを、知った上での、逃走ルートなので、眼下の光は、なくなっていく。 それを見届け、彼女はワイヤーにブレーキを掛け、スピードを調節する。 スピードが乗り過ぎると、屋上に激突してしまうからだ。 そして、隣のビルへと着地。 勢いで、数歩歩いたが、抜群の運動神経で、怪我は無い。 ここで暫く待つか、逃げるか、どちらが得策か?と考えて、 「気になる……」 好奇心が、先程の感覚を、確認したくなって来る。 多少、特殊メイクで、顔を変えてある。入った時と、髪型は違うので、それを取れば、問題ないだろうが。それでも、危険を感じ、彼女は首を横に振った。 「好奇心は猫を殺す。てね」 と、自分を戒め、階段を降りた。 そこは、バイクを止めたビルの敷地で、一回様子を見る為に、道路を覗く。 少し先、丁度地下駐車場の出入口を、パトカーが塞いでいるのが見える。 彼女の視線の届かない、正面玄関、裏口では人がガードしており、その指揮を取っているのは、ワイザーで、リッチの逃亡と同時に、周りを固める事を、内密に伝えられ、こうなっている。 「どうなってんのかしら?」 現場保全の為に、残っているにしては、様子がおかしい。 地下駐車場の方から、何やら言い争う声が聞こえるのだ。 その事に、首を傾げた彼女に、背後から声が掛かる。 「貴女が、忘れ物をした女性ですかな?」 渋い中年の声に、彼女は振り返った。 盗聴機で聞いた、その声に。 「さあ?何の事かしら?」 「困りましたな。現場から、人が1人消えたとなると、責任問題が発生してしまうのですよ」 「それは、大変ですわね」 「何をされていたのですかな?」 ◆◆◆ | |||
18586 | 漆黒に踊り出る5‐1(15) | 井上アイ URL | 2010/5/19 06:40:28 |
記事番号18584へのコメント ビルを囲む車の中、夜食を簡単に取っていたワイザーが、愛妻弁当のおにぎりを手に、車外へと出た。 「警部?」 運転席側の車外に居た若い刑事が、それに気付き首を傾げる。 そこで見たのは、ビルを見上げるワイザーだった。 「何かありましたか?」 警備システムが万全だ。というビル。リッチが侵入したならば、騒がしくなる筈。 だが、目の前のビルは、静寂を保っていて、若い刑事は、上司が何を見てるのか。と、必死に目を凝らす。 「静かなものだな」 まるで、縁側でお茶でも飲んでいる様な、ワイザーの穏やかな声。 「見張りは任せて、休んで下さい」 「いや、外に居る方が、性に合ってるからな」 視線の先は、相変わらずビルのどこかで、若い刑事は、自分はまだまだなのだろうか?と不甲斐なさを痛感する。 「―君」 「…!はい」 ずっと黙ったまま、2人してビルを見上げていた中、急に呼ばれて、そちらを見る。 真っ直ぐな上司の目は、何かを思っているのか、力強いもので、これから告げられるのは、重大な事なのだ。と、若い刑事は、気合いを入れた。 視線が外された、ビルの屋上では、彼女が、ぐるりと、ビルの周りの車を、眺めていた。 北から始まり、東、南、…と、南と西の境目の角、丁度大通りを一点を目にした所で、彼女の足が止まる。 何かを感じて、車の群れを凝視してみても、ただの光の粒の固まりにしか見えない。 が、底の方から伝わるそれは変わらず、彼女は纏めていた髪から、ゴムを取り、ピンを抜く。 本当は、最上階に戻り、何食わぬ顔で、裏金を頂戴し、再びスーツを着て、会長と共に出て行くつもりであったが、そんな気持ちは、綺麗になくなり、直ぐに北へと向かう。 柵の支柱に、リールを取り付け、それから伸びるワイヤーに重りを付けて垂らし、汗でしっとり濡れた手の平を、ナップサックで拭う。 ついで、少し離れた場所に立ち、先ほどの変わった形の銃を取り出し、特殊な弾にワイヤーを仕込み、北東に向かって打つ。 それは、隣の20階建てのビルの屋上の壁に着弾し、粘度のある接着剤と杭が、ワイヤーを固定する。 そして、柵にワイヤーを巻き付ければ、逃走ルートの完成だ。 「なぁんか、厄介なのが、居るっぽいのよね……」 気を急かす悪寒の元が居ては、暢気にして居られず、睨む様に、ワイヤーの先を見ていると、体格の良い人間が、ぬっ!とビルの窓から出て来た。 ◆◆◆ 懲りずに携帯からorz | |||
18585 | Re:だいじょうぶだから | 井上アイ | 2010/3/28 18:47:44 |
記事番号18555へのコメント 初めまして♪ 皇女らしい、狡猾なアメリアですね(褒め言葉です) こういう、利用出来るものは、全て利用する狡さは、他国との交渉で、絶対身に付けていると思うのですよね。 ガウとリナを、フィルさんの古い友人として、叔父に紹介した時の、辛辣なアメリアを、思い出しました。 可愛いだけじゃない、一癖も二癖もあるのが、原作アメリアの良さですよね♪ アメリアに待ち受けている物が、何なのか、凄く気になる終り方に、ヤキモキしながら、続きを待っています♪ | |||
18584 | 漆黒に踊り出る4(14) | 井上アイ URL | 2010/3/26 19:35:15 |
「お食事、されました?」 激しい嫌悪感を、感じさせない程、彼女は心配そうな表情を浮かべた。 それに、疲れた表情で、首を横で振るライアン。 「それどころじゃなくてね」 「いらっしゃるかも知れないと思って、オニギリを幾つか、用意してみましたの。宜しければ、召し上がって下さい。お口に合えば良いのですが」 トートバッグから、紙袋を取り出し、ニコリと微笑む彼女。 それに、戸惑った表情を浮かべるライアン。 その意味に気付き、微笑みを維持したまま、彼女は口を開く。 「大変そうだったから、もしかしたら、何も召し上がっていらっしゃらないかも。と思いまして。料亭で無理を言って、作って貰いましたの」 「お気遣い、有り難うございます。有り難く頂きますよ」 「それでは、お部屋に失礼しますわ」 ライアンが、紙袋を手にすると、彼女は、会長室から、奥へと繋がる扉を、開けた。 ライアンは、会長室に残り、椅子に座り、執務用の立派な机に、紙袋を置く。 後を追って来ないライアンに、彼女はほくそ笑み、ソファーに近付く。 隙間に埋めた、イヤリングに見える盗聴機を回収し、ソファーのクッションを、ずらしたり、壁にある絵画をずらしてみたりと、軽く部屋を物色。 だが、何も見付からず、彼女は、軽く溜め息を吐いた。 ライアンが、隣に居る状況で、大っぴらに、探すせないので、見切りを付け、部屋を出、 「ソファーのクッションの脇に、入ってしまっていたみたい」 イヤリングを、ライアンに見せると、 「見付かって良かった」 と、ライアンは微笑み、紙袋に入っていた、ウェットティッシュで、手を拭い、立ち上がる。 近寄ろうとしたライアンに、ニコリと微笑み、彼女は口を開く。 「これで、失礼しますわ」 「お送りしますから、ここで、お待ち下さい」 「そこまでして頂いたら、悪いですわ。家族を呼びますから」 柔和な声で、宥める様に言われたが、首を横に振り、彼女は断った。 下心がある為、それ以上引き留めたら、変に思われる。と思ったのであろう。 「そういう事ならば」 と、ライアンは微笑みを返し、 「ご機嫌よう」 「お気をつけて」 彼女の笑顔での退去の言葉に、笑顔を返す以外、出来なかった。 「すみません、忙しいのに、付き合わせて」 部屋の外で、待機していた警備員に、彼女が頭を下げる。 「仕事ですから」 真面目なのだろう。堅い表情のまま、警備員は、先を歩き出す。 その僅かな隙に、廊下にある、観葉植物に向かい、何かを投げ入れ、彼女も歩き出す。 丁度、エレベーターまで、もう少し。 という所で、背後から、シュウシュウと、音が聞こえ、警備員が、俊敏な動きで、後ろを向き、彼女の腕を引き、自分の背後へと庇う。 「離れないで下さい!!」 叫んだ警備員の目に、煙が見えた瞬間、辺りが真っ白な煙で、埋め尽くされ、 「?!………」 突然訪れた痺れと眠気に、その身体が倒れた。 厳戒体制の中、エレベーターは、最上階に残っていて、最上階と地下にしか止まれない様になっている。 煙が充満する前に、それに乗り込んだ彼女は、素早くスーツを脱いだ。 その下には、黒の皮の、ボディースーツ。 脱いだスーツを、トートバッグの中にあった、圧縮袋に入れ、丸めて空気を抜き、トートバッグの中身を出し、トートバッグも丸める。 トートバッグの中にあった、小さめのナップサックに、それらを詰め、背負い、ナップサックに入れてあった手袋をはめた。 暫く待ち、エレベーター上部にあるデジタルの数字が、17階を示した。 それを確認し、天井に向かい、手をしならせると、吸盤の付いたワイヤーが、天井に張り付き、それを巻き取り、天井の板を外し、上へと上る。 板を戻し、動いているエレベーターから、飛び、ワイヤーを使い、エレベーター脇にある梯子へ。 それを上り、彼女は、見付けた穴へと滑り込んだ。 そこは、大の大人が、這って進める程の道であったので、小柄で華奢な身体には、苦ではない。 入ってすぐ、ソフトボールに似たボールが2つ入った、ミカンネットを取り出し、腰のベルトに結んだ。 そして、真っ直ぐ進み、その道にある、金網の床を見付け、止まる。 下に、気配が3つ。 気配を殺し、ボールを取り出し、1つを素早く転がし、その次のボールを、ゆっくりと転がした。 タイミングと緩急の違うボールは、速度のある方は、真っ直ぐと進み、速度のない方は、蛇行して進み、途中の別れ道を曲がっていく。 暫くして、遠くで何やら騒ぎが起こり、金網の下にいた気配が、2つ動く。 金網から、小さい白い粒を落とし、彼女は、気配を上から追う。 その白い粒は、音も無く落ち、警戒していた警察が、空気の漏れる音に気付くと同時に、煙を当たりに撒き、痺れと眠気を与えた。 金網ごとに、白い粒を落とし、着いた先。 廊下は、厳戒体制の為に、明るい筈なのだが、広がった黒い煙が、明かりを消しており、それは、彼女の居る天井裏まで迫っていたが、そこを通り過ぎる。 「?!!」 そこに辿り着いた警備の男は、不意に訪れた眠気に、意識を沈められた。 その人物は、離れた場所で、警備をしていた者で、静かな騒ぎに、駆けつけた所であった。 その騒ぎの原因は、彼女が転がした、ソフトボールの様な物。 幾らか進んだそれは、徐々にほつれ、中から一回り小さい物が出現。 細かな凸凹のあるそれは、慣性で暫く進んだが、金網の溝に引っかかり止まって、割れた。 そして、下に黒い煙幕を送り、同時に、痺れ薬と、黒い粒が、廊下へと散りばめられた。 そうして、警備の視界を遮り、痺れて倒れた者で、侵入者が、混じっている。と誤解を生じさせた。 リッチが、変装の達人だ。という事も手伝い、疑心暗鬼が、様子を見に来た、警備員、警察の間で芽生える。 その中、黒い粒が、新たに催眠ガスを、辺りに撒いたのだ。 そして、手当たり次第、金網から降らせていた白い粒も、やはり、警備の者を、沈めていた。 辺りが静かになった所で、金網から戻って来た彼女が、黒に染まっているそこに、音も無く舞い降りた。 その時に、横たわっていた人物を、踏んでしまったが、視界が悪いので、仕方がない。と、自己弁護をする。 多少、思考が鈍くなるが、薬への耐性があるので、彼女は、エレベーターの場所、進んだ方向と距離から、場所を特定し、左へと廊下を進んだ。 取り溢しが居た時様に、辺りの気配を読むが、懸念で済んだ事に、安堵して。 東と西にある廊下を繋ぐ、その廊下。 西側が、エレベーターのある廊下で、東側が、金庫のある廊下で、そちら側にも、上から眠って頂いた警備・警察官が、横たわっている。 これで、彼の逃走が楽になるだろう。と、彼女は、東側の廊下の北にある窓を開けた。 他の窓は、開かない物で、そこの窓は、非常時用の物だ。 パトカーの明かりを眼下に、身を乗り出し、太股のホルダーに入っている変わった形の銃を取り出した。 それに、ワイヤーを引っかけた弾を仕込み、空へと向かって撃ち、何かに引っかかったのを確認し、グローブにあるワイヤーを巻くスイッチを押せば、あっと言う間に、屋上へ。 防犯システムで、電流が流れる仕組みになっている筈のそこに、彼女は、踊る様に降り立った。 既に防犯システムは、リッチが切ってある。と、分かっていたからだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆ 新しいツリーで失礼します。 今回は、パソコンから☆ 番号を、新たに振り直しまして、カッコ内が、旧での番号での順番です。 自分で、分からなくなってきてしまったので(汗) 次回は、すぐかどうかは、ワカラナイですネ | |||
18583 | お詫び | 井上アイ URL | 2010/2/25 20:58:02 |
記事番号18582へのコメント 何とか続けて投稿出来ていましたが。 少々アクションの所で詰まり、創作停滞しております。 次回の投稿まで、お時間頂く事を、ご了承下さい。 | |||
18582 | 漆黒に踊り出る13 | 井上アイ URL | 2010/2/18 02:29:29 |
記事番号18581へのコメント その笑みに、内心鳥肌を立てるが、彼女はふわりと微笑む。 「すぐ終わらせますわ」 会長室には、プライベート用の部屋がある。 8畳のワンフロアーで、簡単な給湯設備と、トイレ・ユニットバス付き。 そこが、先刻前に、彼女が通された部屋だ。 「自由に探して下さい。この時間、電車もバスもない。落ち着いたら、お送りしますよ」 紳士的な笑み、むやみに触らない態度だが、その内に隠されている下心に、彼女は内心、激しい嫌悪を、抑えるのに苦労しているのであった。 ◆◆◆ やっちまった…… 気付かずに2つも(汗) さっきの、番号の付け方てのは、3‐1、3‐2とかって、ブログでの話数に合わせれば良かった。て意味で。 では、また後日〜 | |||
18581 | 漆黒に踊り出る12 | 井上アイ URL | 2010/2/18 02:22:51 |
記事番号18580へのコメント 同時に、今回の被害者の声が、彼に届く。 『ライアンだ。その女性を、中に入れて差し上げろ。大事な客だ、無用な心配は要らん』 「はあ……しかし、彼女の安全を考えたら、それは軽率かと」 『中には、警備の者が幾らだって居る。その1人を、ボディーガードに付ければ、問題あるまい』 「分かりました。では、地下駐車場へ案内します」 議論を交わす気は無い。と、言外に感じ、警察官が、諦めた声で応えると、すぐにブツリと通話が切られた。 「先程も言った様に、リッチがいつ来ても、おかしくない状況です。警備の方を付けてくれる様だから、1人での行動は、謹んで頂けますか?」 「ご心配有り難うございます」 電話を渡されると同時に、警告を言われ、女性はその両方を、微笑みで受ける。 警察官に案内され、女性が、地下駐車場の入口にある、守衛室の前に辿り着くと、その横のシャッターが開けられ、そこから、1人の警備員が出て来た。 「会長がお待ちです。ご案内しますので、着いて来て下さい」 一礼した警備員に、彼女は小さく頷き、隣の警察官を見上げる。 「有り難う」 「いえ。お気を付けて」 警備員と共に、駐車場へと消えた彼女を見送り、警察官は、持ち場へと戻ろうとしたが、直ぐに方向を変えた。 上司に報告する為だ。 事後報告となってしまったが、相手が、会長のライアンと、直接話し、中へ入る事を認めさせてしまったので、どうしようもない。 駐車場で、互いの身体を調べている警備員の横を通り、彼女は、エレベーターへと。 「ビックリしたわ。急用が出来たんだと思っていたけど、まさか、リッチから予告状が届いたなんて」 「こちらも、寝耳に水ですよ。全く、義賊気取りは良いが、社員一同の、大事な財産とも言える、商売道具を盗むなぞ、許し難い輩だ」 会長室に、無事に案内され、口を開いた彼女。 出迎えたのは、先に会った頃と違い、少し乱れた頭髪と、スーツを脱ぎ、Yシャツにスラックスという格好のライアンであった。 案内した警備員は、会長室には入らず、外で待機中だ。 「随分、お疲れですね」 「何、社員を思えば、当然の事。これしきの事、苦労とは思いませんよ。そうそう、イヤリングでしたな?暫くの時間、お探して下さって結構ですよ」 気遣う様に言った彼女に、首を横に振り、人当たりの良い笑みを浮かべるライアン。 ◆◆◆ 今更、番号の付け方、間違っていた。と気付いてみる。 続く♪ | |||
18580 | 漆黒に踊り出る11 | 井上アイ URL | 2010/2/18 02:17:23 |
記事番号18578へのコメント 含みのある相槌に、ワイザーは苦笑を浮かべ、ザングルスの肩を叩き、その場を離れた。 ワイザーが、ザングルスの元に行っていた、その間に、一つの陰が、別のビルへと入って行った。 大事な物を、取りに来たのだ。と言って、検問を通ったその女性は、ここまで乗ってきたバイクを押し、敷地内の陰に止める。 ブルゾンを脱ぐと、パンツスーツに包まれた細い身体、足元は黒い皮の靴。ヘルメットの下からは、一つに纏められた髪を、後ろで纏めた、幼さを残した顔が現れる。 バイク用の手袋を、口で取り、同時に、座席シートを開ける。 中の物を取り出し、代わりに手袋とブルゾンを突っ込み、彼女は、荷物を手にした。 柔らかいA4サイズの縦型トートバッグは、僅かに膨らみを帯びており、迷わぬ足取りで、敷地を出、パトカーに囲まれたビルに近付く。 「どうしました?」 「忘れ物をしてしまったの。どうしても、入りたいのだけれど……何かあったんですか?さっきも検問があったし……」 呼び止めた警察官に、女性は不安そうな顔で、キョロキョロとする。 それに、警察官は申し訳ない様に、口を開く。 「実は、リッチから予告状が来ましてね。厳戒体制中なんですよ。なので、ビルには入れないのですよ」 検問では、野次馬を避ける為に、どういった理由で、中に入れないか、伝えられていなかった。 通した人間は、彼女がここの人間だと、思っていなかったのだろう、と判断した警察官に、彼女が困った顔を見せる。 「どうしよう……借り物のイヤリングなのよ。明日、返す約束してるのよね」 「分かりました。中と連絡して、聞いてみます。部署はどちらで?」 「……少し、待ってくれる?直接聞いてみるわ」 チラリと後方を確認した警察官に、少し考えてから、彼女はトートバックから、携帯を取り出した。 「もしもし?先程はお邪魔しました。ソフィアです。そちらに、イヤリング無いかしら?」 と言って、暫し無言で待つ。 対応した身としては、電話中の相手に話掛ける事も、上司に相談しに行く事も出来ず、直立不動で、待つしかない。 「そうですか、直接、探せないかしら?大事な物なの……有り難うございます。実は、もうビルの前に居て、隣に、警察の方がいらっしゃるの、入れてくれる様、伝えてくれないかしら?」 向こうからの声に、応えたのであろう彼女が、携帯電話を差し出し、警察官は、怪訝そうに、それを受け取る。 ◆◆◆ 続く☆ | |||
18579 | 漆黒に踊り出る10 | 井上アイ URL | 2010/2/16 23:26:41 |
記事番号18578へのコメント 含みのある相槌に、ワイザーは苦笑を浮かべ、ザングルスの肩を叩き、その場を離れた。 ワイザーが、ザングルスの元に行っていた、その間に、一つの陰が、別のビルへと入って行った。 大事な物を、忘れたのだ。と言って、検問を通ったその女性は、ここまで乗ってきたバイクを押し、敷地内の陰に止める。 ブルゾンを脱ぐと、パンツスーツに包まれた細い身体、足元は黒い皮の靴。ヘルメットの下からは、一つに纏められた髪を、後ろで纏めた、幼さを残した顔が現れる。 バイク用の手袋を、口で取り、同時に、座席シートを開ける。 中の物を取り出し、代わりに手袋とブルゾンを突っ込み、彼女は、荷物を手にした。 柔らかいA4サイズの縦型トートバッグは、僅かに膨らみを帯びており、迷わぬ足取りで、敷地を出、パトカーに囲まれたビルに近付く。 「どうしました?」 「忘れ物をしてしまったの。どうしても、入りたいのだけれど……何かあったんですか?さっきも検問があったし……」 呼び止めた警察官に、女性は不安そうな顔で、キョロキョロとする。 それに、警察官は申し訳ない様に、口を開く。 「実は、リッチから予告状が来ましてね。厳戒体制中なんですよ。なので、ビルには入れないのですよ」 検問では、野次馬を避ける為に、どういった理由で、中に入れないか、伝えられていなかった。 通した人間は、彼女がここの人間だと、思っていなかったのだろう、と判断した警察官に、女性が困った顔を見せる。 「どうしよう……借り物のイヤリングなのよ。明日、返す約束してるのよね」 「分かりました。中と連絡して、聞いてみます。部署はどちらで?」 「……少し、待ってくれる?直接聞いてみるわ」 チラリと後方を確認した警察官に、少し考えてから、女性はトートバッグから、携帯を取り出した。 「もしもし?先程はお邪魔しました。実は、イヤリングを落としてしまったみたいなの、そこに無いかしら?」 と言って、暫し無言で待つ。 対応した身としては、電話中の相手に話掛ける事も、上司に相談しに行く事も出来ず、直立不動で、待つしかない。 「そうですか、直接、探せないかしら?大事な物なの……有り難うございます。実は、もうビルの前に居て、隣に、警察の方がいらっしゃるの、入れてくれる様、伝えてくれないかしら?」 ◆◆◆ 転載が面倒になった、て言ったら、怒ります? ちょっと疲れた……… | |||
18578 | 漆黒に踊り出る9 | 井上アイ URL | 2010/2/16 23:24:39 |
記事番号18577へのコメント ワイザーの車は、パトカーの列の傍に、止められた。 「ここの人間は、絶対頭悪いですよ」 若い警察官は、運転している間、ずっと黙っていたが、車を止めると同時に、ボソリと漏らした。 尊敬する警部を、まるで邪魔者を追い出す様な、そんな扱いをしたライアンが、許せずに、ずっと吐き出しそうな不満を、抑えていたのだが、とうとう我慢出来なくなってしまったのだ。 「あちらには、あちらの考えがあるのだろう」 それに苦笑で応え、ワイザーは、車から出、 「今夜は、騒がしくなりそうだな」 誰に言うでもなく、溢す。 都会の夜は、星の光が届かず、新月の今日は、オフィスビルからの光で、いつもより漆黒に見え、時が経つにつれ、より一層深くなっていく。 「警部、ライアン殿からお電話です」 「代わろう」 厳戒体制が引かれ、静かなオフィス街。 それを眺めていたワイザーは、横からの声に応え、携帯電話を受け取る。 『やはり、他の階にも、警備を置くべきだと考え直してね。これから、警備会社の増援が来る事になっている。車は8台だ。止めずに、通してくれ』 「分かりました。では、部下に伝えておきましょう」 『では失礼する』 電話の向こうの声に、ワイザーが応えると、短い言葉と共に、通話が途切れた。 「ふむ……」 「警部、どの様な用件でしたか?」 顎を撫で、細い目をさらに細めたワイザー。 電話を渡した警察官は、微動だにせず、横で指令を待つ。 「警備会社の車が、8台来るから、通してやってくれ」 「分かりました。検問の方にも伝えます」 ビルのある1区画は、警察により、規制されており、この区画に入る道路全てに、検問が張られてある。 他のオフィスにも、協力を要請し、残業などで残らない様にしてあるので、他のビルも、今は警備員か、必要に応じて残っている者だけ。という、非常に静かな状況だ。 その為、灯かりが少なく、パトカーの灯かりに、ビルが、不気味に浮き上がる。 45分後、並んだ8台のワンボックスカーが、ワイザーの前を通過し、問題のビルへと吸い込まれていく。 「ザングルス殿、いかがですか?」 パトカーと警察官達から離れ、ワイザーは、ザングルスの元を訪ねた。 「収穫なしです。所で、警備会社の車が通りましたが?」 「増援を頼んだ。と聞かされたので、通したのですよ」 「ふぅん」 「どうも、ザングルス殿は、ライアン殿を、信用されてない様ですな」 ◆◆◆ 相変わらず続きます〜 | |||
18577 | 漆黒に踊り出る8 | 井上アイ URL | 2010/2/13 10:00:49 |
記事番号18575へのコメント 規制されているのか、一般車両は見受けられず、物々しい雰囲気が、藍に染まったオフィス街を彩る。 その、物々しいパトカーの列の横を通り、ザングルスの乗る車は、少し離れた脇の道に止められた。 ビルの屋上を見上げるのに、丁度良い所だ。 車から出、近くの物陰に隠れたザングルス。 張り込みといえば、相手に気取られないのが基本だろう。と、どこかズレた思考回路の持ち主なのであった。 ◆◆◆ すみません……何故か掲載されてなかった(汗) データ取っておいて良かった♪ ブログのものを転載しているので、短いのはご了承下さい。 続きます☆それでは、また後日_(._.)_ コメント下されば、舞い踊るので、宜しければ、読んだよだけでも……図々しい?そうですか…… | |||
18576 | タイムリー(笑) | 井上アイ URL | 2010/2/12 21:17:56 |
記事番号18575へのコメント パロの元が、今放映されてますね♪ スピード感と、アクションを学べたら良いのですが、映像を文章に変える。て難しい…… | |||
18575 | 漆黒に踊り出る7 | 井上アイ URL | 2010/2/11 17:45:20 |
記事番号18574へのコメント しかし、インターポールの人間まで、出てくるとは、彼は思っていなかった。 リッチを始末させるのに、とんだ邪魔者が来た。と、内心怒り狂っているが、それを表に出さない。 屋上が、逃走ルートの可能性があるのは、ライアンにも分かっている。 空と陸、どちらを選んでも、確保できる様に、手筈はしてある。 密かに口の端を持ち上げ、ライアンは、腰を上げた。 ワイザーと共に、地下の駐車場へ着いたザングルス。2人が目にしたのは、ボディーチェックを受けている警察達。 20台収容出来る駐車場は、警備会社の車とパトカーで、半数を埋め、空いているスペースで、それは行われていた。 「これだけか?」 「人が多いと、動き難いという、ライアン殿の注文でしてな」 50人程の警備会社の制服姿に、警察の人間は20人。 怪盗リッチを相手するには、少ない人数に、眉を寄せたザングルスの横で、ワイザーは肩を竦めた。 「盗んでくれ。て言っている様にしか、見えんな」 「金庫室のある17階だけを固める警備体制ですからな。これ位で十分だと、判断を下されたのでしょうな」 「ワイザー警部はどちらに?」 「それについて、謝らねばなりませんな。私は、警備体制が整い次第、外れる事になっていましてな」 読めない表情で、自らの顎を撫で、言ったワイザーに、ザングルスが驚愕の表情をみせる。 それに、ワイザーは苦笑を浮かべた。 「先に述べた通り、警備の主導権は、警備会社。当然、指揮を取るのも、あちらにおられる。警察側に指揮官がいては、指揮系統が乱れるという事で、私は、建物に残る事を、許されていないのですよ」 「あり得ない。警察を何だと……」 「まあ、中に居なくとも、出来る事はありますからな。一緒に、夜空でも楽しみましょう」 これ以上無いという程、苦々しい表情をしたザングルス。その肩を叩き、ワイザーは癖のある笑みを浮かべた。 それぞれ、乗ってきた車に乗り、地上へと向かう。 地上と地下を隔てる所で、一時停止、守衛室が、そこにはあり、駐車場が開いている間、警備員が常駐しているのだ。 いつもなら、すでにシャッターが下ろされる時間で、居ない筈なのだが、そこには、2人の警備員が居た。 リッチの侵入を警戒して、閉められたシャッターが、その警備員により開けられ、2台の車は、地上へと出る。 地上には、ビルを囲む様に、パトカーが止められていた。 ◆◆◆ 話進まないね…… 続くっす | |||
18574 | 漆黒に踊り出る6 | 井上アイ URL | 2010/2/11 17:39:18 |
記事番号18573へのコメント 「しかし、リッチなる盗人は、変装が得意とか。良く知った人間ならともかく、初見の方々を見破るのは、到底無理というもの。なら、安心出来る者達で、大事な商売道具を守りたい。と思うのは、理の当然」 どこか間違いでも?と、首を傾げるライアンに、ザングルスは鼻に皺を寄せ、口を開く。 「リッチの変装を甘く考えると、痛い目に遭うぜ。良く知った警備の人間が、リッチだった。なんて事もある」 「身辺調査がしっかりした、安心出来る警備会社だ。そんな心配無用だと思うがね」 「ザングルス殿、我々警察は、市民の協力あってこそ活動出来ている。現場に立てるのも、通報を頂いたお陰。ライアン殿がおっしゃられるなら、それに従うしか、我々には道が無いのでは?」 反論しようと、口を開いたザングルスを、肩を叩き黙らせ、ワイザーが言う。 「ご理解頂き、有難い。警備体制の確認しますので、どうぞこちらに」 我が意を得た事に、満足げな表情をし、ライアンは、応接テーブルに、ビルの17階の見取図を広げる。 「宝石を保管している金庫室は、17階のここ。前室を守るのは、警備会社の精鋭部隊に。警察の方々は、外の廊下をお願い頂く」 「成程、そこに辿り着くまでに、我々が確保すれば良い。という事ですな?それだけ、信頼されているならば、警察冥利に尽きますな」 ふむふむと、表情の読めない顔で頷いたワイザーの隣で、ザングルスが、天井を指差す。 「俺は、屋上で待機させて貰う」 「申し訳ないが、屋上は、警備上の問題で、18時を過ぎると、出入り出来ない仕組みになっていてね。遠慮願いたい」 「だが、リッチの逃走パターンからしたら、屋上の警備は必要だ」 どこか傲慢な言い方のライアンに、ヒクリと一瞬顔を引き攣らせるザングルス。 それに、何の裏も無い。と言わんばかりの、困った笑みを浮かべ、ライアンが、更に述べる。 「夜間、屋上に出ると、電流が流れる仕組みがあってね。それを切る訳には、いかないもので。ご理解頂きたい」 「……ワイザー警部、俺は、地上で張っています。中の警護、頼みます」 「途中まで、ご一緒しましょう」 苦虫を噛み締めた様に表情を歪めたザングルスが、会長室を出ようとすると、ワイザーもその後を追う。 出て行く2人を見送り、ライアンは、深く椅子に座る。 管轄の刑事が来るのは、予想していた。 ◆◆◆ おっさんだらけ(笑) やっと名前が出てきた。 続く〜♪ | |||
18573 | 漆黒に踊り出る5 | 井上アイ URL | 2010/2/11 04:24:20 |
記事番号18572へのコメント カフェで簡単な食事を終え、彼女が外へ出ると、灰色がかった緑色の車体が、信号待ちで止まっていた。 チラリと、車内を見れば、助手席に、ウェーブの掛った、長い黒髪の男が見え、彼女は内心、モテモテねぇ。などと、その男がご執心している相手を、思い出して笑う。 何食わぬ顔で、その横を通り、彼女は、ビルとは反対の、駅へと向かう。 盗聴機の電波は、直ぐに届かなくなるが、事態は把握出来たので、問題はない。 「インターポールの方が、わざわざ、有難うございます」 新たな客に、ビルの最上階に居る男は、目の前の、ウェーブ掛った、長い黒髪の男を見る。 年の頃なら、20代半ばを過ぎた位か、くたびれた黒いコートの下には、白いシャツとジーンズ、血走った目を、ギラリと光らせ、身分証を懐にしまい、口を開く。 「リッチ逮捕の為に、インターポールに派遣されたんだ。どこにでも駆けつけるぜ」 「それは頼もしい」 笑みを浮かべる、ビルの主に、インターポールの男は、眉をピクリとさせた。 その部屋に、新たな気配が。 「失礼する。警備体制の確認に……」 開いていたドアから、入って来た男は、インターポールの男に気付き、言葉を止めた。 「ザングルス殿?」 「ん?ああ、ワイザー警部」 背後からの声に、インターポールの男=ザングルスが振り返る。 その視線の先には、年の頃なら、40過ぎ、短いブラウンの髪を後ろに撫で付け、柔和さの中に鋭さを持った渋い顔、キャメル色のスーツに、履き潰した靴の男が居た。 「耳が早いですな」 「港署随一の切れ者と噂高いワイザー警部がいるなら、俺の出番はなさそうだ」 差し出されたワイザーの右手、それを握り返し、ザングルスはニヤリと笑う。 それに、とぼけた表情を浮かべ、顎を撫でるワイザー。 「いやはや、困りましたな。実は今回、私は補佐でしてな。警備会社が中心となっておるのですよ」 「ほぉ?どういう事だ?ライアンさん」 鋭い眼光を、背後に立つ男に、ザングルスは向ける。 そこには、困った笑みを浮かべる、ビルの主=ライアンの姿。 「どうもこうも、警察に連絡したのは、一市民として、当然の事。普段出入りする警備の者と、初めてお会いする警察の方。信頼出来るのは、前者では?」 「警察が、信用出来ないて事か?」 「勘違いされては困る。警察あってこそ、平和が保てるというもの」 ザングルスの言葉に、笑みを浮かべ返したが、直ぐに困った表情を、ライアンは浮かべる。 ◆◆◆ 続く | |||
18572 | 漆黒に踊り出る4 | 井上アイ URL | 2010/2/7 21:18:11 |
記事番号18571へのコメント 座ったソファーに、盗聴機を仕込んできたのだ。 そして、それは、彼女のイヤリングから、彼女の耳に届く仕組みだ。 勿論、それを気付かせる彼女ではない。 常人より耳が良い彼女だからこそ聞き取れる、とても小さな音量だ。 『実は、こんなものが届きまして』 『ふむ、まばゆい光を抱える者へ、恵まれない者に、石を配らせて貰う。と?成程、気障な奴ららしいですな』 聞き覚えの無い声は、先程通った、銀色の車体に乗っていた、刑事であろう。 読まれたのは、用意された、偽物の予告状だと思って、間違いない。 それを聞いた彼女は、白々しい。と、思うのだが、リッチに狙われた、悪人どもが用意するのは、先程の様に、義賊を匂わせる文面が多い為、表向き、怪盗リッチは、義賊として世間では人気が高い。 実質、リッチが動いた数日後、匿名で福祉施設や団体に、寄付がされているので、間違いでは無いのだが。 それでも、それを利用し、偽物の予告状で、警察を呼ぶ奴らが、彼女には許せない。 悪人に人権は無い。思い知れば良い。内心ほくそ笑み、運ばれて来たベーグルを、彼女は口に含んだ。 ◆◆◆ 今日はここまで。 続きは出来次第という事で(汗) | |||
18571 | 漆黒に踊り出る3 | 井上アイ URL | 2010/2/7 20:58:06 |
記事番号18570へのコメント 言って、父親は、携帯を取り出す。 かけるのは海外で、海外の電話取り次ぎサービスを利用して、国内の知り合いへと、繋いでもらう仕組みだ。 「わたしだ。ふざけた盗人が、今夜来るらしくてな。始末を頼みたい」 エレベーターで、1階へと降りていた女性が、不意にニヤリと笑んだ。 つい先程まで、良い所で邪魔をした馬鹿息子へ、内心激しく罵っていたが、今は、逆に喜んでさえいる。 だが、すぐに顔を引き締め、何事もなかった様に、受付で一礼し、ビルを出て行った。 女性が向かうのは、近くにあるカフェ。 そこの窓際の席に着き、幾つか注文し、風景を眺める様に、外に視線を向ける。 時間は、夕刻。オフィス街なだけあって、通るのは、営業マン風な男や、荷物を抱えた配達人、颯爽と走り抜けるメッセンジャー。 車の数も少なく、不意に、女性の視線が、銀色の車体に向く。 後ろ暗い癖に、よくもまあ。と、内心思いながら、おくれ髪を直す仕草で、さりげなく耳に触れる女性。 実は、男との出会いは、仕組んだものだ。 男の愛人達の中から、そろそろ結婚相手探しの為に、男と決別しようと考えている女性を調べあげ、男が良く利用する割烹料亭に忍び込んだ。 そして、男がその女性を同伴して来店したのが、昨晩。 こっそり、女性とコンタクトを取り、男の財布から、1万円抜いてくれ。と頼んだ。 後は、会計時に、男が渋い顔をした所に、何くわぬ顔で、抜いて貰った1万円と、連絡先のアドレスを渡すだけで、面白い様に事は運んだ。 宝石を扱う、問屋の会社の会長が、あの男の肩書き。 が、裏で、宝石をピンはねし、幾つか隠し持っている事も、脱税したお金を、どこかに隠しているのも、調査済み。 本当は、上手くあの男に近付き、絞れるだけ絞り取り、脱税の証拠を、どこかに売るつもりであったのだが、予定は変更になった。 エレベーターの中で、耳から聞こえた情報が、彼女には心当たりがあった。 あの男の様に、後ろ暗い人間や、裏のある人間、つまり悪人を、狙った、世界を股にかけた泥棒3人組、怪盗リッチだ。 わざわざ、予告状を出す泥棒など、彼女には、それ以外考えられないし、偽物の予告状を、あの馬鹿息子が用意した、という事は、本物の予告状は、後ろ暗い所を突く文面があったという事。 そんな事をするのは、怪盗リッチしかいないのだ。 暫くすると、あの男の澄ました声で、焦りを装った声が、彼女の耳に届く。 ◆◆◆ 続くよ〜 | |||
18570 | 漆黒に踊り出る2 | 井上アイ URL | 2010/2/7 20:51:42 |
記事番号18569へのコメント 今居る部屋は、男が女性を落とす時に使う部屋で、今まで、何人もの女性を招き入れていた。 「ご足労頂いたお礼に、この後食事でもどうでしょう?イタリア料理の美味しい所に案内したいのですが?」 男はそう言って、下心のない微笑みを浮かべる。 下心を露にすると、逃げるタイプだ。と、見抜いたからだ。 予約した店は、相手に警戒されない様に、イタリア料理の解放的な店。 今日の所は、相手を知る事だけに留めるのが、無難だろう。と、微笑みの内に隠している。 「料亭で働いている君に失礼かな?」 「いえ。イタリア料理も好きですわ。是非、ご相伴させて下さい」 返ってきたのは、嬉しそうな笑み。 そんな時に、 ―コンコン!ガチャ! 「親父!!」 ノックの後、了承も得ず、入って来たのは、男の息子で、年の頃なら30代。 陥落計画の第一段階、彼女を誘う事に成功し、気を良くしていた男は、眉をピクリと動かした。 「ここでは、会長と呼ばないか」 落とそうと企んでいる、そんな時に、父親という立場を持ち込まれ、罵倒したい気持ちを、内に秘め、男は諭す様に言った。 この部屋の使用目的を知っている、その息子は、一瞬気まずそうにしたが、すぐに慌てた様子に戻る。 「すみません、急ぎの用だったので。実は……」 傍らに居る女性を気にしてか、息子は父親に近寄り、耳打ちをする。 聞き終えると、父親は、女性に向かって口を開く。 「君、済まないが、食事は、またの機会で構わないかな?」 「かしこまりました。楽しみにしております」 緊急な用だと察したのだろう、女性は笑顔一つ残し、一礼して部屋を出る。 それを見送り、父親は息子と向き合った。 「どこから漏れた?」 「俺だって知りたい。親父じゃないのか?」 疑いの眼差しに、息子は不服を露にし、父親に不注意がなかったか、と、逆に視線を送る。 「そんな訳あるまい。だが、知っているのは、……いや、今は良そう。対策は?」 鋭い視線を送り、父親は、渋い表情で、革張りの椅子に座る。 その机の上に、息子は懐から、名刺サイズのカードを、2枚並べる。 「警備会社を呼んだ。あと、一応、警察には、偽物の予告状を用意して、協力を要請してある」 「ふむ。まあ、妥当な所だろうが……」 ツッ!と並んだカードの1枚取り、父親はそれを見る。 ‐欲深き罪人へ 輝き忘れし哀れな石を、今夜頂く リッチ‐ 「罪人などと、言われたままでは、納得いかんな」 ◆◆◆ 続くι | |||
18569 | 漆黒に踊り出る | 井上アイ URL | 2010/2/7 20:39:57 |
記事番号18559へのコメント オフィスの、最上階は、そこで一番偉い、そして、全てを見下ろしたい人物の為の物。 そこの主、50代半ばの男は、愛人を何人囲えるか、を、趣味の一つとして持っていた。 一級品の調度品に囲まれ、深くソファーに腰を下ろした男は、いやらしくない目付きで、向かいのソファーに腰掛けている女性を見る。 線が細く、身長は低い、童顔の女性が、そこには居た。 今までの愛人達とはタイプが異なるが、だからこそ、手に入れたい。と、男は、野心を密かに、燃え上がらせた。 見目が良く、プロポーション抜群で、お金が大好きな女性達を、愛人として何人も囲ってきた男。 関係を切るのは簡単で、手切れ金だけで済むので、手軽に手に入り、切る事が出来るそういった女性達は、男にとって、格好の相手であった。 それが、何故か、そういうタイプではない、目の前の女性が気になってしまった。 「お招き頂き、有難うございます。ご立派なオフィスですね」 女の子然たる声は、その容姿によく似合っており、学生服を着せれば、さらに良く似合って聞こえるだろう。 幼い顔に、パンツスーツ、栗色の長い髪を、後ろで一つに纏めたその女性。 女性との出会いは、昨夜、男が行った割烹料亭での事だ。 カードを持たない男は、会計の時、千円足らない事に気付き、顔を渋くさせた。 女性同伴の時に、ツケにする等と、男のプライドが許せず、かと言って、同伴した女性に借りるのは、更に許せない。 そんな時、目の前の女性が、 「お客様、落とされましたよ」 と、さりげなくお札を渡してくれた。 折り畳まれたお札の中には、メルアドが書かれた紙が、挟まれてあり、帰宅後、今日会う約束を交したのだ。 「いやいや、こちらこそ。昨晩は、有難うございました。お陰様で、恥をかかずに済みましたよ」 言いながら、男は机の上で、友禅柄の千代紙を滑らせ、女性の前に置く。 それに、女性は顔を綻ばせた。 「素敵な紙」 紅葉が散るオレンジ色の千代紙は、のし袋の様に折られてあり、その中には、男が、昨晩借りた1万円がある。 プライド高い男は、誰かにお金を借りるなど、本来なら許せないのだが、あの時、何故か素直に受け取ってしまっていた。 押し付けがましい所がなく、返ってくるかも分からないのに、1万円を差し出し、それを受け取らせた女性に興味を持ち、お金を返すという名目で、この場所へ誘い込んだ。 ◆◆◆◆ 懲りずに、携帯から(汗) 上の作品の足らない部分を補う作品です。 | |||
18568 | あわわわ、すみません | 井上アイ | 2010/2/7 20:33:20 |
記事番号18563へのコメント まだ、いらしてますか? 放置すみません。 え〜、アクション足らないのは、認識しておりました。 戦闘シーンが苦手なので、つい省いてしまいました。 描写が足らないてのは、勉強不足で申し訳ありませんとしか、言えないのですが……(^^; 言い訳ばかりで、すみません。懲りずに、読んでやって下さいませ。 | |||
18567 | 毎回ありがとうございます。 | 新月 天海 E-mail | 2010/2/7 00:14:30 |
記事番号18566へのコメント 楽しんでいただけたようで、嬉しいです! 表現力もちょっとうまくなりたいのですが、 なかなか上達しないのがこのごろです。 また新作上がったらサイトのほうへお邪魔させていただくかもしれません。 その折は、またよろしくお願い致します。 | |||
18566 | Re:水蓮華 後編 | 白螺 | 2010/2/3 23:29:55 |
記事番号18562へのコメント お久しぶりです! コメント遅れてすいません。なかなかのぞく時間がなくて・・・ こちらのブログには沢山のコメントをいただいているのに本当に申し分けないです(汗) 遅くなりましたが、水連華完結おめでとうございます。 ゼルリナを堪能させていただきました。 新月さんのゼルは相変わらずかっこいいです。リナも相変わらず可愛いです。 二人の馴れ初めですね。非常に初々しくて、思わずパソコンの前でにやけました← あいも変わらずわけのわからないコメントですいません。 それでは短いですがここで。 | |||
18565 | 嬉しいです! | 新月 天海 E-mail | 2010/1/25 21:34:32 |
記事番号18564へのコメント こんばんわ。 コメントありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! 前編はあっさり妄想(笑)できたんですが、 後編はかなり苦労しました。(汗) でも、ゼルとリナにラブラブしてもらう為に頑張りました。 多分また調子乗って小説書くと思いますが、よろしくお願い致します。 私も友貴さんの小説好きです!(きゃ) これからもよろしくお願いします! | |||
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