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Re: 漆黒に踊り出る5‐1(15)
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元記事
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>ビルを囲む車の中、夜食を簡単に取っていたワイザーが、愛妻弁当のおにぎりを手に、車外へと出た。
>「警部?」
>運転席側の車外に居た若い刑事が、それに気付き首を傾げる。
>そこで見たのは、ビルを見上げるワイザーだった。
>「何かありましたか?」
>警備システムが万全だ。というビル。リッチが侵入したならば、騒がしくなる筈。
>だが、目の前のビルは、静寂を保っていて、若い刑事は、上司が何を見てるのか。と、必死に目を凝らす。
>「静かなものだな」
>まるで、縁側でお茶でも飲んでいる様な、ワイザーの穏やかな声。
>「見張りは任せて、休んで下さい」
>「いや、外に居る方が、性に合ってるからな」
>視線の先は、相変わらずビルのどこかで、若い刑事は、自分はまだまだなのだろうか?と不甲斐なさを痛感する。
>「―君」
>「…!はい」
>ずっと黙ったまま、2人してビルを見上げていた中、急に呼ばれて、そちらを見る。
>真っ直ぐな上司の目は、何かを思っているのか、力強いもので、これから告げられるのは、重大な事なのだ。と、若い刑事は、気合いを入れた。
>
>視線が外された、ビルの屋上では、彼女が、ぐるりと、ビルの周りの車を、眺めていた。
>北から始まり、東、南、…と、南と西の境目の角、丁度大通りを一点を目にした所で、彼女の足が止まる。
>何かを感じて、車の群れを凝視してみても、ただの光の粒の固まりにしか見えない。
>が、底の方から伝わるそれは変わらず、彼女は纏めていた髪から、ゴムを取り、ピンを抜く。
>本当は、最上階に戻り、何食わぬ顔で、裏金を頂戴し、再びスーツを着て、会長と共に出て行くつもりであったが、そんな気持ちは、綺麗になくなり、直ぐに北へと向かう。
>柵の支柱に、リールを取り付け、それから伸びるワイヤーに重りを付けて垂らし、汗でしっとり濡れた手の平を、ナップサックで拭う。
>ついで、少し離れた場所に立ち、先ほどの変わった形の銃を取り出し、特殊な弾にワイヤーを仕込み、北東に向かって打つ。
>それは、隣の20階建てのビルの屋上の壁に着弾し、粘度のある接着剤と杭が、ワイヤーを固定する。
>そして、柵にワイヤーを巻き付ければ、逃走ルートの完成だ。
>「なぁんか、厄介なのが、居るっぽいのよね……」
>気を急かす悪寒の元が居ては、暢気にして居られず、睨む様に、ワイヤーの先を見ていると、体格の良い人間が、ぬっ!とビルの窓から出て来た。
>◆◆◆
>懲りずに携帯からorz
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