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Re: 漆黒に踊り出る5‐3
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元記事
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>目をパチクリとして見せた彼女に、中年の男が意味ありげに空を指差す。
>そこには、ちょうど、問題のビルから、こちらのビルへと渡したワイヤーがある。
>「ご執心の女性が、いきなり消えたとなると、躍起になるでしょうなあ」
>何を考えているのか、さっぱり読めない目、口調は強くも弱くもなく、責めている訳でもない。
>だが、背中に流れる冷たい物に、悪寒のありかを、彼女は知る。
>「居るべき所に戻れる。悪い話ではないと思いますがな?」
>「何が望み?」
>「理由と、確証。といった所ですかな」
>「分かったわ」
>顎を撫で、とぼけた口調の中年の男に、彼女は大きく頷いてみせた。
>銃以外の疚しい物を、バイクの座席に詰め、彼女は、髪を纏めた。
>
>地下駐車場のスロープには、1台のワゴン車が止まって居た。
>そして、ワゴン車の脇で、警備員と、若い刑事が問答しており、中年の男は、若い刑事に代わり、口を開く。
>「現場保全に協力願えますかな?」
>「しかし……」
>「リッチは既に遠く、追うのは困難では?」
>渋った警備員は、細い目で見られ、ぐっと唸り、
>「そちらが、邪魔をしたからでしょう」
>と、苦々しい表情を浮かべた。
>「まあまあ、貴方の仕事は、この会社の財産を守る事。でしたな?」
>「だから、リッチを追うべく、待機していたのだ!」
>「ほう?地下駐車場で、どうやって、動向を見るつもりだったのですかな?」
>「ここから逃げる可能性だって、あるだろう」
>「しかし、ここは、シャッターがある。それを突破するのは、少々手間だ。その可能性は、無いに等しいと思いますがな?」
>鋭い視線が、警備員に注がれた。
>そして、どういった理由で、ワゴン車を足止めするのか、聞かされていなかった刑事達が、成る程と納得の表情を浮かべる。
>「リッチが潜んでいないか、確かめても、宜しいでしょうな?」
>ワイザーの細い目が、警備会社の社名がプリントされたワゴン車へと、向けられた。
>
>その外、ビルの外壁を昇る者が。
>ワイザーによって、わざと手薄にされた、東側の壁を、銃を使って、上階に引っ掛けたワイヤーを巻き取り、辿り着いた先で、再び同じ事を繰り返し、屋上へと上がって行くのは、彼女だ。
>屋上に再び辿り着くと、銃をフックに掛け、隣のビルへと伸びるワイヤーに、そのフックを掛け、滑らせる。
>◆◆◆
>

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