◆-GRAYな関係?!(前書き)-仙翁花(10/19-02:00)No.121
 ┗GRAYな関係?!【1】-仙翁花(10/19-02:06)No.122
  ┣Re:読みました。-みーやん(10/19-07:00)No.128
  ┗GRAYな関係?!【2】-仙翁花(10/20-20:56)No.152
   ┣見つけた(はあと)-真璃華(10/21-01:49)No.159
   ┣か、か、か、か、かっっこいいん〜。-ようこ(10/21-11:45)No.170
   ┗GRAYな関係?!【3】-仙翁花(10/22-03:11)No.185
    ┣初めまして、感想です♪-マミリンQ(10/26-01:28)No.250
    ┣Re:GRAYな関係?!【3】-真璃華(10/27-03:23)No.261
    ┗GRAYな関係の感想-TUKIMI(10/27-19:28)No.270


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121GRAYな関係?!(前書き)仙翁花 10/19-02:00

はじめまして!書き殴りの皆様。
いつも皆様の小説を楽しく読ませて頂いている私、
仙翁花(せんおうげ)と申します。
ここでは初投稿なので、いささか緊張していますが、一つ
ガウリナでお話を書いてみたので投稿してみる事にしました。

一応、初めのほうをチョコっと載せてみたので、読んでやって
くださいな。(^^)
文句・苦情・感想は遠慮無く言って下さい。
皆様の反応次第で、続きを考える事にします。

つまんないお話なんで、あんまし期待しないでくださいね。

では、どうぞっ!!

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122GRAYな関係?!【1】仙翁花 10/19-02:06
記事番号121へのコメント

ある日。
雨の午後。
いつもの宿屋で。
二人の喧嘩は始まった ―――

「もう我慢できないわっ!なんなのよっ!あんたは一体?!人が黙っていれば、気にしている事をズケズケズケズケと何度も何度もっ!!」
椅子から勢いよく立ち上がったリナは、ビシッとガウリイを指差して言った。
同年代の女の子よりやや小ぶりだというそのムネを張って、頭から湯気が出るかと思うくらいの勢いで怒っている。
いつもならあとの二人。
ゼルガディスとアメリア、どちらが止めるのだが、今日はこの二人にも止める事が出来なかった。
なぜなら、いつもはリナが怒るのを温厚に受け止めているガウリイが、切れそうなくらいするどい気で「怒っている」からである。

「いい加減にしろ!!大体元を正せば、絶対にお前が悪いだろっ?!なんでこう、毎回毎回同じ事を言われないとわからないんだっ!!」
珍しい。
はっきり言って、これは初めてではないだろうか?
アメリアは意外に思った。
いや・・・・いつかこうなるんじゃあないかとは思ってたけど・・・・・。
けど、「ガウリイさんに限って」と考えていたのは否定しない。
それほどまでに、リナの行動にガウリイは寛大だったから。
だから、彼は3年間もリナと共に旅が出来たのだろう。

「なんですってぇぇ!!ガウリイ!あんたねぇ、あたしはあんたの「兄弟」でも「娘」でも、ましてや「恋人」でもないのよっ!!なんであたしの行動をいちいちあんたにとやかく言われなきゃなんないワケっ?!」
こころなしか「恋人」というフレーズのとこで頬が赤くなったのは、まぁ、乙女心って奴である。
ガウリイはリナの事を「物扱い」した事は一度も無かったが、リナにしてみれば、まるで自分がガウリイの所有物として扱われている気がしているのだ。
「保護者」と言う名目と名のもとに。
自分にとって、保護者など要らないと感じる年になってくるに連れて。
リナのその「言葉」への反発は年々強くなっている。
「・・・た、確かにリナは俺の「娘」でも「兄弟」でもないが、「仲間」だろ?!一緒にいる限り、仲間の間違いは指摘して正すべきだろうがっ!」
ガウリイにしては、正論で・・・・・。
あきれるくらい的を得ている。
・・・・が、激怒して頭の中が真っ白な今のリナに、所詮なにを言っても同じである。
「ああ、そうっ!そういう事!んなら、いくら注意してもどうにもならないあんたのくらげ頭に長い間我慢してきたあたしは、どうなるわけ?!これはもう、「指摘」とか「正す」とかの域じゃないと思うけどっ!」
ふんっ、っと顔を背けてリナはガウリイに怒鳴った。
ガウリイが、いつものようにリナの文句と悪態に苦笑しているうちは、こんな嫌味も軽く流れたことだったが、今日は何と言っても二人とも臨戦態勢である。
ほんの些細な事が、絶対的な亀裂となった。
「だからさっきから言っているだろうっ?!どうしよも無い事にいちいち腹を立てるなよ!いつも黙って聞いている俺の事を考えた事あるのか?!」
なんか、「俺の事考えた事あるのか」というセリフが妙に強調されていた。
「なによ?!今更昔の事まで堀かえすの!ああ、わかったわよっ!ガウリイはいつもそんな事考えてあたしの話を「我慢して」聞いてたんだっ!だったら、もう無理しなくていいわっ!ここからは、別れて旅をしましょっ!そうだ、それがいいわ。あたしだってこんな事まで言われてこれからも我慢なんて出来ないもの!たった今から、あんたとあたしは仲間でも何でもないわ!他人よっ、他人っ!!」
きっぱりと言い放つリナ。

「おい!ちょ、ちょっと待てっ、リナっ!」
今まで黙って彼らのやり取りを見ていたゼルガディスも、さすがに尋常じゃない険悪ムードを察して止めに入る。
もう、二人とも売り言葉に買い言葉。
完全に頭が熱くなっていることは、はたから見ていても良く分かる。
「少し冷静になってみろっ!お前、完全に自分を見失ってるぞ?!」
なんとかこの場を穏便にすまそうと、必死でリナを諌めるゼル。
しかし、そんなゼルの考えを知ってか知らずか、ガウリイがリナにたたみかける。

「ああ、わかったよ!お前がそんな事言うんだったら、俺は今日限りリナとは他人だっ!もう、お前の前には姿も見せんっ!勝手にしろっ!」
「ガウリイっ!!」
ゼルの非難の声は、彼に届いていない。

ガタンっ。

ガウリイはそう言い放って、座っていた椅子を乱暴に押しのけ立ち上がる。
「ガウリイさんっ!」
同時にアメリアも慌てて立ち上がり、いつもとは少しだけ違う「リナの保護者」を止めた。
「待って下さい、ガウリイさんっ!いいんですか?!こんな些細な事で、別れてしまって?!きっと、リナさんは・・・・いえ、リナさん絶対に謝ったりしないと思いますけど、ここでガウリイさんまで腹を立ててしまったら、別れてしまったら、もう二度と会えませんよっ!」
アメリアの声に構わず、どんどん扉の方へ歩いていくガウリイ。
「ガウリイさんっ!!!」

かちゃ・・・。

ガウリイがドアのノブに手を掛ける。
横顔からも、彼が今までに無いくらい、いや、見た事が無いほど怒っているのがわかる。
軽く俯いて、静かにノブを回す。
顔は上げない。
「じゃあな」
一言、この一言だけ残して、ガウリイは部屋を後にした。

「ゼルガディスさんっ!」
助けを求める様に、アメリアは後ろのゼルガディスに振り向いた。
一度、リナの顔を見てゼルガディスは溜め息をついた。
リナの方も、今なにを言っても無駄なようだから、とりあえずガウリイを追うのが先だろう。
即座にそう判断した彼は、早足で部屋からでて、ガウリイを追いかけた。
去り際に、ゼルはアメリアの耳元で囁く。
「・・・・リナを頼んだ」
アメリアもその言葉に軽く頷くと、再びリナへと視線を走らせた。

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128Re:読みました。みーやん 10/19-07:00
記事番号122へのコメント
仙翁花さん、はじめまして!
この間、投稿し始めたばかりの初心者みーやんです。
初投稿作品なぜかどっかいっちゃって見つからないけど・・・

話、すごくおもしろかったですよ。
ガウリィが本気で怒ったケンカ・・・
そこはかとなく相手への感情がもれてるし。
続きも楽しみにしています。
どんどん書いてください。

みーやんでした。

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152GRAYな関係?!【2】仙翁花 10/20-20:56
記事番号122へのコメント
こんばんわ、またまた仙翁花です。(^^)
懲りずに続きを投稿させて頂きますが、その前に、レス付けてくれたみーやんさん、ありがとうっ!!
反応あるとスッゴク嬉しいです!これからもよろしく!

二つ目もUPしますんで、読んでやって下さいな♪


***********************


部屋を出てすぐ、ガウリイは長いコンパスでずんずんと廊下を歩いていた。
彼自身、こんな事になってしまって少しも後悔していない、なんて事は無い。
はっきり言って、さっきの自分が自分じゃなかったみたいに、思う。
どうしていきなりあんな風にリナへ向かっていってしまったのか?
いつもなら聞き流せた事が、今日はなんだか胸につかえた。
自分で自分が分からない。理解に苦しむ。

歩きながら、彼が向かった先は酒場だった。
こういう時は、古今東西飲むに限る。
シラフでいても、いい事なんか何にも無いし・・・・・。
なにより、もう、自分には目的も無いのだ。
「・・・ま、自分から捨てたみたいなもんだけどな」
俺は誰にともなく、呟いた。
『馬鹿ねぇ、ガウリイ。自業自得よ、それって!』
苦笑しながら、いつも側で自分の事をくらげくらげと連呼していた少女はいない。
それも・・・・・自分から捨てたことだった。

今まで歩いてきた人生の中で、一番困る質問は「あんたらどういう関係だ?」だろう。
事実、もっとな質問で、答えも簡単なはずだった。
いつもの様に、『俺はリナの保護者だ』。
この一言ですむと。
だが、この「保護者」と言う言葉を使って、今日のようなもどかしさと、戸惑いを感じたのは
初めてだった。

ガタンっ・・・・。

急に隣の席に人の気配がしたので、ガウリイは席を移ろうと立ち上がりかけた。
・・・・・今、一人で考えたい事があったから。
「待てよ、旦那」
グラスを持ってどけようとした途端、聞きなれた声がガウリイを引き止めた。
振り向くと、そこには銀髪のキメラの男。
彼はガウリイの腕を掴む。
「まぁ、座れよ。ガウリイ」
ふぅ〜っと、一つ溜め息を吐いてガウリイはもとの場所に座り直した。
ゼルガディスはカウンターの親父に自分の酒を頼むと、テーブルに肘をつき、ガウリイへ
意地の悪い視線を送る。
「ま・・・なんだな、ガウリイ。今日はえらくとばしたもんだな?」
いってニヤリと笑う。
その笑みに別段困ることもなく、「ああ・・・」と答えるガウリイ。
――― しばらく、お互いになにを話すでもなくグラスを傾ける時が過ぎた。

「・・・で、これからどうするんだ、旦那は?」
最初に話を切り出したのは、やはりゼルガディスだった。
「ん?・・・そうだな、もう特にする事もないし、またふらっと旅でもするさ」
何杯目か数えるのも馬鹿らしいくらいの量を既に飲んでいるガウリイは、薄く笑みを浮かべ、
ただ一点を見詰めていた。
「元々は傭兵だったんだし、あいつに会うまでそうやって生きてきたから、大丈夫さ。たった三年間でも、俺達、これで良かったんだ・・・・きっと」
「ホントにそう思っているのか?」
「ああ」
同じくかなりのアルコールが入っていると思われるゼルガディスは、いぶかしげにガウリイを見る。
彼の様子からは、とても後悔してないとは思えない。
それどころか、後悔の色が濃いくらいだ。
いつも、のほほんとはしているが、ガウリイも別の意味で生気に溢れた人間だったから。
なのに、今はまるで魂を抜かれたみたいだ。
生きていても、喋っていても、なんだか「はき」が無い。
恐らく、ガウリイはもう取り返しのつかないことをしてしまったと、諦めているのだろう。
ゼルはそう悟った。
こうなってしまったら、リナ本人か、無理にでも外部から刺激を加えないとこいつは話しも聞かないだろう。
だったら、どうすればガウリイの心に入り込んで困らせる事が出来るか?
剣の腕も超一流なら、見かけによらず「心」も強い彼を揺さぶるには、どうすればいいか?
答えは簡単。
彼の唯一の弱点を突けば良い。
考え様によってこれは、ゼルならではの―――ゼルガディスにしか出来ない手だったかもしれない。
「そうか・・・・また、旅に出るのか」
「・・・そうだな」
相変わらずの、感情が表われてない返答。
ここに来てからずっとこの調子だ。
はぁ〜・・・・・。
深く溜め息を吐いて、ゼルガディスは覚悟を決めた。
(やっぱり、この手しかないか・・・・)

「ゼルはどうするんだ、これから?」
「・・・俺か?そうだな、俺はこれからもあいつと旅をしようかと思っている」
ぴくっ、っとガウリイのこめかみが震える。
「・・・そうか」
態度は平静を装っているが、内心の動揺を隠せないガウリイの声。
心なしか、高くなっている。
「じゃあ、アメリアにもよろしく言っておいてくれ。リナの事、頼むって・・・・」
「いや、アメリアはそろそろセイルーンに帰るそうだ」
「帰る?!」
「なんでも、こうやって旅に出ている間にもアメリアの公務は溜まっているんだそうだ。だから、一度それを片づけるため城へ上がると言っていた」
「だが、すぐに帰って来るんだろう?」
「ん?まあ、量にもよるらしいが一年くらいはかかるって言っていたな」
余裕の表情で持っていたグラスを傾ける、ゼルガディス。
しかし、内心冷や汗物である。
ここまで言えば、大体察してくれるだろう。いくらガウリイでも。
自分がいなくなれば、リナとゼルガディスを二人きりにすることになると―――
ゼルガディスは『仲間』ではあるが、『保護者』ではない。
つまりはどんな関係にでもなれるのだ ―――― ガウリイと違って。
「・・・じゃあ、俺はどちらにしてもお邪魔だな」
グラスを見つめては手の中で遊び、ひどく自嘲気味の微笑みを浮かべる。
ガウリイには、ゼルガディスの意図がわかったみたいだ。
バレたかバレていないか。
どちらにしてもゼルガディスは挑発に乗ってこないガウリイにもう一押しすることにした。
「なあ、ガウリイ」
「なんだ?」
すぅ・・・っと一息吸うゼルガディス。
「俺がもらってもいいのか?」

ぶっっ。

おもいっきし、口からお酒を吹くガウリイ。
カウンターの親父が嫌な顔してるぞ?
酔っているのかなんなのか ―――
そこら辺律義に拭いているガウリイに再度、同じ事を尋ねる。
「いいのか?」
極力真剣な声で。
隙を見せずに ――――
ここに来て、初めて答えに窮している。
思わず内心苦笑するゼルガディス。
ほんと・・・・リナに関しては慎重に行動するよな、旦那は。
「リナが・・・・好きなのか?」
意外に頼りない声。
「だとしたら?」
更にツッこんでみた。

タンっ・・・・・。

ガウリイは手で遊んでいた空のグラスをゆっくりとテーブルに戻す。
この二人以外、もう誰もいなくなってしまった酒場は不気味なくらい静かだった。
「さあ・・・?どうしようかな」
言って横目でゼルを見るガウリイの視線には、一瞬。
極薄くだが、殺気があった―――気がした。
背筋に寒いものを感じるゼルガディス。
「・・・・・・」
「もし、俺が本気だったら・・・旦那は黙って譲るのか」
「ん?」
気が濃くなる。
「もし・・・・本気だったら・・・・」
「だったら?」
「条件が、ある」
言って、がたんと立ち上がったガウリイは、自分の椅子に立て掛けてあった剣を取ると指で表を示した。
にやっと口の端で笑う彼の顔は、ゼルが今まで見た事も無いような笑みだった。
いつもの暖かい、日だまりのような優しさではなく、際限ない冷たさ。
触ると切れそうで・・・捕まると逃れられない。
そんな気を発している。
「わかった」
しかし、ガウリイの言っている事は理解していた。
ゼルガディスも自分の剣を取ると、そのまま酒場の外へ出る。
(旦那も・・・・意外に古風なやりかたが好きだよな・・・・)
ゼルガディス自身の身の危険を肌で感じながらも、それでもゼルはこの自称『リナの保護者』をあきれずにはいられなかった。

***********************

もう既に、私の正体がバレている人もいるみたいですけど
気にしないで、お話は進めますので・・・・・・・。(苦笑)

では、また三つ目のお話でお会いしましょう!

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159見つけた(はあと)真璃華 URL10/21-01:49
記事番号152へのコメント
こんばんわ、はじめまして
↑うそ(爆)

正体をばらしたくないらしいので、PNの方で書きます(爆)
きっと君ならすぐ分かるでしょう(笑)

二人の喧嘩ってそういえばあんまり見た事ないかも・・・・・
自分も書かないし・・・・・・
どんな風になるか楽しみです(^^)
続き、ちゃんとUPしてね(はあと)

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170か、か、か、か、かっっこいいん〜。ようこ E-mail 10/21-11:45
記事番号152へのコメント
ガウリイ…。かっこよすぎーっ!!!!!!
つぼですよ、もおつぼっっ。
ゼルもあながちうそじゃあないんでしょおねえ…。
はあ、やっぱ男同士っていいわ(うっとり)。
このさきはどうなってしまうんでさうか…。
気になります。
このままじゃもう眠れないです。
楽しみにしてますんで。
では。

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185GRAYな関係?!【3】仙翁花 10/22-03:11
記事番号152へのコメント
はい、またまた現れました、仙翁花です。
なんか見知った方にレス頂いて(笑)、嬉しいやら恥ずかしいやら
ですね。(^^;
真璃華さん、ようこさん!!
私なんかの小説にレスを下さってありがとうございますっ!!
特にようこさんの寝不足を解消する為にも、早めにUPしたいと
思っております。(笑)
とりあえず、今日のところはここまでで勘弁してくださいね。
私も、この二人の会話形式は書いてみたかったんで、念願
叶った気分ですね♪

では、どーぞっ!!(^^)

********************



満月の夜。
二人の男が闇夜に舞う。

「くっ・・・!!」
うめき声が草原に響いた。
突然、一陣の風が吹き交わる剣の音を消す。

さざざぁあああああぁぁぁぁ・・・・・・・・

なびく金髪と、揺れる銀の髪。
そこに堅い金属音。

「・・・・・」
汗ひとつかかずに金髪の剣士は剣を振るう。
始終無言で、ここには無い何かを見つめているかのように・・・・・。
瞳は、目の前にいる男を見てはいなかった。
それでいて、憎悪の矛先はゼルガディスへと向けられている。
先ほどから押されて、防戦一方なのは、銀髪の男。ゼルガディスの方である。
喧嘩を売ったのは確かに自分からであるのは、認める。
しかし、同時に自身の身の危険も、もう少し考慮するべきだった。
深く後悔する、ゼル。
全く・・・・たいがい、俺もやきがまわったかな?
ガウリイの繰り出す容赦ない剣戟を、なんとか受け止めながら、彼は苦笑した。
本気の彼と前から手合わせしてみたい、とは思っていたが・・・・まさかここまでとは思いもよらなかった。

いつもガウリイは、本気で戦ってなどいない。
それがたとえ、魔族を相手にしていようと。
自分に危害を加えようとしているものですら・・・・・・
100%の力を出してはいないのだ。
おそらく、彼は恐れている。
剣に、血に、そして、殺戮に酔ってしまう自分を。
楽しんで戦っている自分を見つけることを。
そんな自分を認めてしまう事を ――

がっ!!

二人の剣が、刃の根元で激しくぶつかる。
キシキシと嫌な音を立てて刃がきしむ。
ガウリイとゼルの顔は、目と鼻の先にあった。
「・・・・さすがだな、ガウリイ。これほどの腕、持っているのになぜ隠す?」
にやりと意地悪く微笑むゼルガディス。
ゼルは徹底的に彼が日ごろ隠している、人に知られたくない部分を暴くつもりでいた。
本当の実力。
本当の頭脳。
本当の気持ち。
本当の・・・・・「ガウリイ」を。

いつも見ているガウリイもまた、「彼」の一部。
だが、見せていない「彼」もあるはずだ。
自分はその一端を既に先ほどから身を持って味わっている。
これが、本当の「実力」だ。

かーーーんっ!

軽い音を立てて、ゼルの剣が飛んだ。
刃の四分の一が、折れて離れたところの地面に刺さる。
ザクッっと、鈍い音。
「まだやるのか?」
静かな、抑揚の全く無い声。
つかつかとゼルに近寄って来て、ガウリイは冷たい瞳を向ける。
そして、次に自分の剣の切っ先を容赦無くゼルガディスへ。
これは相手を確実に仕留める為の行動。
いつもの「のほほ〜ん」とした、比較的甘い考えを持つ「保護者」のガウリイではなく。
一人の傭兵として。
一人の人間として。
生きていく為の、不可欠な手段。
そして、戦い方。
この時ゼルはガウリイの「頭脳」も見た気がした。
いつもはリナにおんぶにだっこのガウリイが、自分で、自分の意志で戦う事を望んだ。
それは、彼にとっての大事なものの為。
失いたくない物の為。
だが、この戦いはそれを「渡さない」為に始まった事を、当のガウリイは気づいていない。
どんな時も、ガウリイが少女の側にいる限り、彼を「本気」にさせているのは、リナだけなのに。

「いつもそうだったな・・・・・」

ふっ、と笑い、目を伏せる銀の髪の男。
無意識のうちに口に出していた。
先程、ガウリイに刀身を折られてしまって、どうする事も出来ないゼルは、ぺたんとその場に腰を下ろす。
いつになったらわかるのだろう、この男は。
いつになったら気づくのだろう、自分の気持ちに。
・・・・いや、あながちもう気が付いてはいるが、誤魔化し続けているのか?
ゼルガディスの疑問が消える事は、無い。
それこそ、きちんと答えが形になるまでは―――

「お前、どうしてこんな事しているのか、わかっているのか?」
問い掛けるゼルに、感情が見えない青い瞳が、少し緩んだ。
「さぁ・・・・何でだったかなぁ・・・・」
また、誤魔化すつもりか?
不意に可笑しくなる。
なぜか、ガウリイは「リナ」の事になるとこういう反応を示す。
ついさっき。
酒場で見せた殺気と、刺さるような視線が嘘のようだ。
あの時も、今も。
そして、これからも。
ガウリイはあの少女に関しては、二つの顔を上手に使い分けるのだろう。
一つは、「保護者」としての彼。
一つは、「男」としての彼。
久しく見せていない、二つ目の「彼」が顔を見せたのは、ゼルの挑発に乗った時。
そして、きっと二つ目の「彼」に「独占欲」も同居しているのだ。
だからこそ、仮にも「仲間」と剣を交えるという事態になったのだから・・・・・・。

少なくとも、これ以上は俺には無理だな・・・。
そう判断したゼルガディスは、腰を上げて立ち上がる。
剣の切っ先を向けていたガウリイは、既に自分の鞘に刃を収めていた。
「やれやれ、とんだ恥をかいちまったな」
パンパンっとお尻の汚れを払う様にして、愚痴るゼルガディス。
(ま・・・無駄ではなかったがな。)
密かに、心の中で付け足す。

「そうでもなかったぜ、ゼル。俺の記憶でもゼルの腕は5本の指に入る」
ココに来てから初めて見せたガウリイの笑顔は、酷く皮肉なものだった。
それに続けて付け足す言葉もまた、自嘲気味で。
「・・・・・だが、リナを護るにはには、役不足だな」


**********************

もう少し、付き合って下さいね。
・・・・・次回へ続きます。 (^^;

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250初めまして、感想です♪マミリンQ E-mail 10/26-01:28
記事番号185へのコメント
仙翁花さま

初めましてっ!マミリンQと申しますっ!

素晴らしいです!!!

ガウリイ挑発するゼル!偉い!!(爆)
すごくよかったですよ、二人の会話も決闘(?)も・・・。
ガウリイって、ほんと、2面あっておかしくない人ですよね。
本編であまり描かれることのない姿がすごく気になります。
ゼルの視点からというのも、またおいしいです♪
・・・でも、もちろん、ゼル、リナさんに関しては
ホンキじゃありませんよね?(ガウリナの次にゼルアメ好き。)
誤解解けますよね?(^^;)

ケンカの原因、明らかになりますか?(ちょっと気になってます。(爆))

では、つづき、楽しみにしてます!!



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261Re:GRAYな関係?!【3】真璃華 URL10/27-03:23
記事番号185へのコメント
こんばんわ、また書きに来ちゃいました(笑)
ガウリイとゼルの真剣勝負なんてめったにないですよね〜
でもまじでやったらぜったいどちらかはあの世行きですよねぇ・・・・
>
> 「そうでもなかったぜ、ゼル。俺の記憶でもゼルの腕は5本の指に入る」
> ココに来てから初めて見せたガウリイの笑顔は、酷く皮肉なものだった。
> それに続けて付け足す言葉もまた、自嘲気味で。
> 「・・・・・だが、リナを護るにはには、役不足だな」
きゃぁぁぁぁぁっ!!!
ガウリイってばかっこいいっ!!
やっぱリナの事になると恐いわねぇ(^^)
そこがまたいいんだけど(爆)
はっしまったっ!!ついつい暴走してしまった・・・・
>
>もう少し、付き合って下さいね。
>・・・・・次回へ続きます。 (^^;
はいもう、どこまでも付き合いますって(笑)
あなたとあたしの仲じゃないですか(爆笑)
では続き楽しみにしていますっ(はあと)

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270GRAYな関係の感想TUKIMI 10/27-19:28
記事番号185へのコメント
はじめまして、TUKIMIと申す者です。
いつもここのツリーを覗いて(笑)る、一少女です(なーんちゃって)

でも、ああああああっ!!の一言に着きます。
ガウリイ・・・私のもっとも愛するキャラクター。
彼の全てが大好きな私にとって、この小説はもう暴走&狂う局地に追い込まれます。

> いつもガウリイは、本気で戦ってなどいない。
> それがたとえ、魔族を相手にしていようと。
> 自分に危害を加えようとしているものですら・・・・・・
> 100%の力を出してはいないのだ。
そうです。
私もそう思ってます。
100%の彼を考えると、背筋が寒くなりますが、見てみたぁぁぁぃ。
と思ってました!


> おそらく、彼は恐れている。
> 剣に、血に、そして、殺戮に酔ってしまう自分を。
> 楽しんで戦っている自分を見つけることを。
> そんな自分を認めてしまう事を ――
きっと昔の彼って、この文章の通りだった事もあるんじゃないかなぁ、って
私、思ってるんです。
人の傷つける事、痛みの恐ろしさは、経験しなければ解らないんですよね。
絶対ガウリイって、凄い経験の持ち主だと思う(断言)
(ちなみに私はイジメにあって、その事がよぉぉぉく解った)


> いつもはリナにおんぶにだっこのガウリイが、自分で、自分の意志で戦う事を望んだ。
> それは、彼にとっての大事なものの為。
> 失いたくない物の為。
> だが、この戦いはそれを「渡さない」為に始まった事を、当のガウリイは気づいていない。
> どんな時も、ガウリイが少女の側にいる限り、彼を「本気」にさせているのは、リナだけなのに。
あああっ。リナがうらやましい!!
だからこそ、幸せになってほしいんですよぉ。


> ガウリイはあの少女に関しては、二つの顔を上手に使い分けるのだろう。
> 一つは、「保護者」としての彼。
> 一つは、「男」としての彼。
男のガウリイ・・・・凄く魅力的なんでしょうね?
妄想・・・ひろがっちゃいます。


> 「そうでもなかったぜ、ゼル。俺の記憶でもゼルの腕は5本の指に入る」
> ココに来てから初めて見せたガウリイの笑顔は、酷く皮肉なものだった。
> それに続けて付け足す言葉もまた、自嘲気味で。
> 「・・・・・だが、リナを護るにはには、役不足だな」
おおっ。ガウリイが昔の事を覚えている!
やっぱりリナちゃんが絡むと、頭が良くなってしまうのね(爆笑)

もう、私のツボを付きまくる嬉しい言葉がいっぱい。
ガウリイ主体の題材だとギャグが多いんですよね。
だから、この小説には大いに期待します!

長くなっちゃってすみません。
続き、早く書いてくださいね。毎日学校で読ませていただきます。

では。

By.TUKIMI