◆-再掲示・洗濯日和 1−4-一姫 都(10/25-12:55)No.242
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242再掲示・洗濯日和 1−4一姫 都 10/25-12:55

今回、洗濯日和新作を書くに当たって、
再掲示ーーーー、って事て゜っ

       


           洗濯日和1


「今日もいい天気ね」
洗いたての洗濯物を、
干しながら、空を仰ぎ見るフィリア。
今日の空は、雲ひとつない晴天だ。
「姐さーんっっ」
家の中から声がし、そちらを振り返る。
「どうしたんですか、ジラスさん?
あ、お店にお客さんでも?」
「そうじゃぁ無いんですぅっっ
ヴァルガーヴ様がいなくなっちまったんですようっっっっ」
 目に涙を溜めながら、叫ぶジラス。
「…なっなんですって!?」
「あっあねさんっっ落ち着いてっっ」
横から、助け船を出すクラボス。
「さっっさっき、机にこれが置いてあった
んです」
そういって、一枚の紙切れを差し渡す。
「…?
なあに…これ、手紙?」
「そう、みたいなんですけど……なんか、不思議な文字で書いてあって、
おれらには読めないんですよ。」
「…手紙が読めないのに、なんであの子が
どっかいったってわかったのよ。」
「えっ……?
いやあ、だって机の上に置き手紙って言えば、今日びどこの家庭でだって、
家出に決まってますぜ。」
…そんなこと、無いと思うけど……。
フィリアは、そう言いたいのを押さえつつ、
手紙に目を通す。
その姿を、食い入るように見つめる二人。
くすくすくすくす…
フィリアが、急に手で口を押さえるようにして笑い出す。
「なっっなんて書いてあったんですか!?」
「姐さん!?」
二人は、フィリアに詰め寄り問いただす。
しかし、それでもまだ、フィリアは笑い続けるだけで何も答えようとはしない。
「ただいまー」
 『噂をすれば影』とは、良く言ったものだ。
「旦那っっ」
そう、手に買い物袋を抱えながら、今家に帰ってきたのは、
この手紙を書いた張本人のヴァルガーヴである。
「だんなぁぁ…心配しましたぜぇっっ」
そういって、ハンカチを取り出し、涙を拭うクラボス。ジラスはジラスで、
ヴァルの足にしがみつき、号泣し始める。
「…何?
…これ……?」
訳が分からず、一人爆笑したままのフィリアに理由を問うヴァルガーヴ。
必死に、笑いを押さえるフィリア。
「…ところで、ヴァル、プリンは買えたの?」
「あ、…うん」
「…へっ!?
……プリン?」
ジラスとクラボスの声が、見事にハモる。
二人は、お互いの顔を見合わせ、それから、
視線を、ヴァルへと移す。
「…プリンを、買いに行ってたんですか?」
ジラスの声に、首を縦に振るヴァルガーヴ。
「ジラス、クラボス。
これには、こう書いてあったのよ。」
フィリアが、楽しそうに声を上げ、手紙の内容を読み上げる。
「冷蔵庫にあった、みんなのプリンを4つ、
全部食べてしまったので、新しく買いに行ってきます。
って、ね。」
 …しばしの沈黙。
ふいにジラスが立ち上がり、冷蔵庫へと駆け寄る。
「あ゛あ゛あ゛――っっないっっ
おいらのプリンが無くなってるぅっっ。」
「だから、ちゃんと、新しいの買ってきたじゃねーか。」
「あのプリンは、一個300円もして、食べるの楽しみにしてたのにいぃぃぃぃ!!
だいたい、プリンにジラスって、名前まで書いておいたのに、
どうしてたべちゃったんですかぁっ」
「腹が減ってたんだから、しょーがねーだろ。細かいことは、気にすんな。」
「ひどおいぃぃぃぃっっっ」
二人の喧嘩を止めに入るクラボス。
フィリアは、あきらめたようにして、
その光景を見つめ、
ただ、ただ、優しく微笑んでいた…。
そして再び、空を仰ぎ見る。
「本当に…今日はいい洗濯日和ね…」
青い空は、どこまでも澄み渡り、
お日様は、彼らを優しく照らし続けていた…


                    END





                   洗濯日和2


「きゃぁっっっ
ほらっっヴァルっ!!
そっちのシーツの裾が地面についてるわっっ。
ああっっもうっっ」
「あ゛――、もうっっ!!
しょーがないだろっっ、フィリアっっ
ほら、早く全部取り込まねえと…」
「あ、そうだったわ。きゃぁあああっっ!!
お気に入りのワンピースがっっっ」
先程から降ってきた、予想外の雨のおかげでフィリアとヴァルガーヴは、
洗濯物を取り込むのに大忙しであった。
雨の勢いはますます強くなり、ついには遠くの空に雷雲まで見えてきた。
雨に打たれながら、すべての洗濯物を回収し、家の中へ駆け込む二人。
「やああんっっ
朝は、あんなに晴れていたのにっっ
あ゛あ゛っっもう見てよっっ!!これなんて、ヴァルガーヴようにって、わざわざ
かってきた高いズボンなのに、泥で汚れてるし、この枕カバーだって…」
「はいはい」
とめどなく続きそうだったフィリアの話を、無理矢理止めるヴァル。
「話しは、身体ふいて、この山の様な洗濯物を部屋じゅうに掛けてから
しろよな。」
そういって、タオルケットをフィリアに渡すヴァル。
「そ、そうね。風邪でも引いたらたいへんだわっ」
言われたとうりに、タオルで体中をふき、洗濯物をかけ始めるフィリア。
ただ黙々と、洗濯物をかけ続けるヴァル。
「…そういえば、
いくらか前にもこんな雨が降ったわよね。」
なにかを思い出したように、フィリアが呟く。
「…そうだっけ?」
「そうよ…」
くすくすくすくすくすくすっっ
そして、ふいにフィリアが笑い声を上げる。
「わっっ…な、なんだよ」
「やーーっっ、いやあね。
あのときのヴァルの事思い出したら…お、おかしくって…
あははっっ」
そういって、再び笑い始めるフィリア。
「…は?
なんだよ。俺の事って…」
他の事ならいざしらず、自分の事で笑われているのだから、
その内容は、とても気になる。
「おぼえてないの?
…まあ、小さい頃だったしねぇ…
ほら、こんな風に酷い雨だったとき、あなた、屋根裏部屋に
閉じこもった事があったでしょう」
…屋根裏部屋……?
あ゛っっ…!
「…思い、だした……」
 それは、いままで思いだしもしなかった記憶。
いや、自分から進んで封じ込めていたもの。

それは、いまからさかのぼること、何ヶ月前の事であろう…
その日俺は、朝からしきりに降り続いていた雨のせいで、
外で遊ぶことが出来ず、家の中で暇を持て余していた。
しかたなく、宿題でもしようかと部屋にむかった。
すると、通りかかったジラス達の部屋から、なにやら声がする。
「…それにしても、ヴァルガーヴ様ってば、日に日に大きくなってくよなぁ」
「そうだなあ、うれしいよなあ」
…俺の話?
その時の俺は、まだ生まれてから5ヶ月程だったが、
言葉を聞き取り、理解する能力はすでに持ち合わせていた。
(生まれてから5ヶ月とはいっても、成長の早い竜族なので、
人間の子供でいえば10歳位だと思って下さい 汗)
「それにしても、…あねさんがんばるよなぁ…」
「そうだな、あの人がいなきゃこうはいってなかったな」
…あねさん、て
ああ、フィリアお母さんのことかぁ…。
「本当に、…実の子供でもなんでもないヴァルガーヴ様を、
ここまで立派に育ててくださるなんて…」
…え??
「そうだよなあ、はっきり言っちゃあ、赤の他人の子供を育てるなんて、
なかなか出来ることじゃぁないよなあ…」
…え゛え゛え゛っっーーー
…俺が、フィリアお母さんの子供じゃない???
そ…そんなあ……。

「ヴァルー?
どこにいるのーーっっ
夕御飯の時間よっっっ」
「どうしたんですか?あねさん」
「ああ、ジラス
ヴァルガーヴ見なかった?
さっき二階にあがったっきり、姿が見えないのよ」
「ええ!?」
「あねさーんっっ
ちょっと来て下さいようっっ」
二階の奥の部屋から、クラボスの叫び声がする。
その声を聞き、急ぎ足でかけ付ける二人。
「何!?」
「いや、あの…ヴァルガーヴ様が、ここから出てこないんですよ」
「ええ!?」
二人同時に叫び、クラボスの指さす方向を見る。
「…屋根裏部屋?」
「ええ、しかも、中から鍵がかかっててあかないんすよ。」
「…それにしても、なんでこんな事に…?」
「さあ、…あ゛っっ!!」
突然に、クラボスが大声を上げる。
「なっ…びっくりした…どうしたの?」
「…もしかして…
ヴァルガーヴ様、さっきのおいら達の話聞いてたんじゃあ…」
「…あ゛…」
すっかり青ざめた顔を、見合わせるジラスとクラボス。
そんな二人に、冷ややかな視線をおくりつつ
静かに口を開くフィリア。
「…さっきの話って、何のことなのかしら?」
「…あ、あっと…実は…」
そのフィリアのただならぬ雰囲気を感じ取り、恐る恐る話し始める二人。

「…へ!?」
フィリアが間の抜けた声を出す。
「…だから、ヴァルガーヴ様があねさんの子供じゃあない…
ってことを聞いたんだと思うんですよ。それで、そのショックで
ヴァルカーヴ様は、ここに閉じこもってるものだと…」
「…うーん」
腕をくみ、しばし考え込むフィリア。
「…あれ?
言ってなかたっけ…?そのこと」
「…あねさん……?」
「もしかして、ヴァルガーヴ様があねさんの子供じゃないってこと、
『内緒』にしてたわけじゃなくって、…『言い忘れてた』だけ
なんですか…?」
「うん。」
あっさりとうなずくフィリア。
「そんなぁぁぁっっ!!
俺ら、いままで、あねさんがその事内緒にしてると思ってましたぜっっ!?」
「なんで内緒にしなくちゃいけないのよ」
「だって、本当の家族じゃないなんて知ったら、ヴァルガーヴ様
悲しむじゃないですかっっ!?」
「はあ?」
怒ったように口を開き、クラボスの頭を叩くフィリア。
「いてっっ
あねさんっっなにするんですかぁっっ!?」
「あんたが、間違った事いうからよ」
「…へ……?」
殴られた頭を押さえつつ、フィリアを見返すクラボス。
「…間違ったこと…って?」
「いい!?
ヴァルは、確かにあたしの子供じゃあないわっ
でもね、
家族じゃない…なんて思ったことは、一度もないわっっ」
強く、静かな口調で言い放つフィリア。
「…あねさん……」
「…それだけは、言って置くわ」
そう言って、部屋の外に出ていくフィリア。
「あ、そうそう
スープがさめちゃうと困るから、早くヴァル下につれてきてよ」
「…はい。」
フィリアが階段を下りたのを確かめ、しゃべり始めるジラス。
「…やっぱり、あねさんかっこいい」
「…そうだな。」
そう言って、だれとも知れず笑い始める二人。
「…家族か、そうだな」
「家族に本当も嘘もないもんな…」
言い終え、笑いを止めるクラボス。
そうして、部屋の隅にある、屋根裏部屋へと続く扉を見つめる。
「きいてましたか?
ヴァルガーヴ様っっ」
かたんっっ
言葉を投げかけたとたん、扉の揺れる音がする。
どうやら、いきなり言葉を投げかけられた事に、扉の向こうの子供が
驚き、身を縮めたらしい。
「さあ、そろそろ出てきて下さいな。
そうでないと、スープが冷めてしまいますよ」
呼びかけるように言うジラス。
かちゃん…。
鍵が開く音がし、扉がゆっくりと開く。
そして、中から一人の子供が姿を現す。
その子の目は赤くなっており、泣いたのだとすぐに検討がついた。
「もう大丈夫ですか?
ヴァルガーヴさま」
ジラスの言葉に、こくんと頷くヴァル。
「俺らの話、聞いて驚いたんですね」
「うん…」
「…さっきのあねさんの言葉も、ききましたよね?」
「うん…」
「あねさんの本当の子供じゃないって聞いて、
あねさんのこと、嫌いになりましたか?」
「ううんっっ」
首を必死に横に振るヴァル。
「じゃあ、大丈夫ですね。」
「うん…」
いまいち元気が出ない様子のヴァル。
「ほら、元気だしてくださいよっっ」
「そうそう。
それに、あねさんの子供じゃ無いって事は、
あねさんと結婚だって出来るんですよっっヴァルガーヴ様はっ」
「結婚?」
「結婚すれば、あねさんとずっと一緒にいられるんですぜっっ」
「結婚ってなに…?」
「あ…あっと、結婚っていうのは、好きな人同士が好きだって事を
神様の前で誓うことです」
「それすると、フィリアお母さんと一緒にいられるの?」
「そうですよっっ」
「だから、そのためにはあねさんが、好きになってくれるような
いい男にならなきゃ」
「いい男?」
「はい」
「とりあえず、いっぱい食べて大きくなりましょう」
「…うん。
俺、いい男になる」
「じゃあ、下に下りて一杯ご飯食いましょう」
「うんっっ」



「…なつかしいわぁ…」
事を思いだし、思いでに浸るフィリア。
外では、まだ延々と雨が降り続いている。
「あ、そうだ。
ねえ、あの後下に下りてきたと思ったら、
急に元気になってたじゃない?
あれ、どうして?」
「なんでもねぇよ…」
言って、少し顔を赤らめるヴァル。
「えーー!?
何で顔赤くするのようー?
気になるじゃないっっねえ、なぁにっっ」
「なんでもないってっっ」
「ええーーー?
あっっジラス、ちょうど良いところに来たわっっっ
教えて欲しいことがあんのよっっ」
「わあ゛っっっ
ジラスっっ言ったらころすぞぉっっっ!!」

家の中にヴァルの叫び声が響きわたる。

その後、フィリア・ヴァルに脅されまくったジラスが
それに耐えられず、
屋根裏部屋に閉じこもったことは、
言うまでもないのかも知れない…。







                  洗濯日和3





その日は、いかにも夏らしい晴れ晴れとした青空があたりを覆っていた。
遠くで聞こえる蝉の鳴き声に、ヴァルはただ虚ろげに、耳を傾けていた。
表の騒音とは正反対で、家の中とはいえば、扇風機の音が聞き取れるくらいに静かだった。どうやら、いま家にいるのは俺だけらしい…。
しめつくような暑さと、不覚にもかかってしまった風邪のせいで、頭は思うように働かない。それでも、開けっ放しにされた窓のせいでいくらか風が入ってくる。
その心地よい風を受けながら、布団の中で、彼はふと、思った。
 ……なんか…おかしい。
この家が、こんな静寂に満ちるときは、年に数える程しかない。
それほどに、ここはいつも騒音に満ちている。
――言葉、足音、寝息、ヒト・ヒト・ヒト……――
……そうか、ヒトがいないんだ…。
俺の周りには、いつも誰かがいた。
一人になることなんてほとんどなかった。いつでも、誰かが側にいたんだ…。
ふいに、言い表せぬ程の嫌悪感がこみ上げてくる。
――ひとり……ひとり――
遠い日の情景が眼裏に思い描かれる。
――雪・雪・雪…――
あの出来事を正当化するかのように、すべてを覆い尽くした白
――血・血・血…――
その白の下で、最後まで生き続けようと流した鮮やかすぎた赤
そして…

――死―― 

――ソノヒカラオレハ ヒトリニナッタ――


ヴァルっっっ

「ヴァルっっっ」
はっ……
「どうしたの、大丈夫?」
…………
「なんだかうなされてたみたいだけど…、怖い夢でも見た?」
自分を呼ぶ声に、やっと異界から戻ることが出来たような、不思議な感覚に囚われた。
……夢……か?
どうやら自分でも気が付かないうちに眠ってしまっていたらしい。
目の前には、いつ帰ってきたのか、フィリアの姿があった。
手が汗で濡れている。けだるそうに頭を掻きながら、ヴァルが静かに呟いた
「…そうかもしれない」
「えー?
本当に怖い夢見たのー?」
フィリアが優しげにくすくすと笑う。そして思い出したように呟く。
「あ、ジラス達はプリンを買いに行ってるわ」
「…プリン?」
「あなに食べさして上げたいんですって、大好物でしょ?」
……今はなんも食う気になれなんぞ……
けれど、あいつららしいいたわりに、なんだか安心したのが自分でもわかった。
「ほらほら、もう寝なさい。
熱、下がらないわよ」
言って、自分の側から立ち上がろうとするフィリア。
「……まったっ」
自分でも知らないうちに、手が動いていた。
熱のせいで声は虫の音位にしかでなかった。
手首を掴まれ、少し驚くフィリア。
「なあに?」
聞かれ、少し黙り込む。
俺…なんでひきとめたんだろ………、けれど、言葉は滑るように口からこぼれた。
「……もうちょっと、ここにいてよ」
こんなに心細くなったのは、きっと、さっきの夢のせいだった。

――死――

 ほとんど見覚えの無い、見たことのあるはずのない光景…。
 しかし、何故かそれは彼の心を闇に沈ませた。
 ひとりは…嫌だ……。
 そんな彼の気持ちを察してか、フィリアは静かにその場所へ座り直す。
 ふう…っと、小さくため息をついてから、優しく微笑む。              
「しょうがないわねぇ…」
言いながら、くすくすと笑うフィリア。
…ヴァルが私を頼るなんて久しぶりね……
「なんだよ」
「え?
いやー…ヴァルもまだまだ甘えん坊だなぁ…っておもって」
その言葉に、顔を赤面させ、やや強い口調で反論するヴァル。
「うっせえっっ」
それでもまだ、フィリアは笑うことを止めない。
「だーーーっっ、もういいっっ、お前は洗濯でもなんでもしにいけっっ」
「まあまあ、遠慮しないでヴァルっ…ぷぷぷっっっ」

蝉の声もやや小さくなり、路地を取り囲む人の流れも少なくなった頃、
その家には、やっといつも通りの活気が戻っていた……
 

               END











                  洗濯日和4



その日、星空がとても奇麗だった。
無数とも言えるその空の光を見上げ、ため息をつくフィリア。
「ほんっとーに、奇麗ねぇ……」
縁側へ出て、花火をしていた3人にもその呟きは聞こえた。
「ほんとうだっっ、ほらほらヴァルガーヴ様見て下さいよぅ」
線香花火の火を落とさないように、極力動かないようにして空を見上げるヴァル。
「…そうだな」
満天の星空に、しばし圧倒され沈黙する4人。
吸い込まれそうなその光は、惜しみない程瞬きつづけていた。
「あっっ、蝋燭が無くなりそうですぜっっ」
沈黙を破ったのはクラボスだった。
その言葉に、我に返るフィリア。
「え、あら本当っ
まってて、すぐとってくるからっ」
後ろを向き、台所へと駆け出す。
途中、何かが足へとぶつかり盛大に転ぶフィリア。
「大丈夫かっ、フィリア?」
縁側から家へ戻り、少し強張った声でフィリアに声を掛けるヴァル。
おでこを押さえ、涙目でこちらを向くフィリア。
「うーーーー…いったーいっっ」
そう言いながら、もうすっかり笑顔も取り戻し、今自分が怪我をした原因であった障害物をみやる。
「あーーっっ、ちょっとうヴァルの鞄じゃないのぉっ
学校から帰ってきたら、すぐ部屋に置いてっていつも言ってるのにーっっ」
そう言って、その鞄を取り上げヴァルの足へと軽く当てるフィリア。
「そ…それは悪かったけどっ
怪我したのは俺のせいじゃ無いからなっっ、フィリアがぼけてたのがいけないんだぞっ」
「ま、確かに」
 ヴァルの言葉に素直に頷き、スカートを整えるフィリア。
その拍子に鞄から何か封筒らしきものが滑り落ちる。
「…なにこれ?」
可愛らしい花のプリントがされている封筒、おきまりのハートのシール…。
ここまで揃っていれば誰であろうが、この手紙の意味を察するはずである…。
「なになに?
あっ、ヴァルガーヴ様っ、やりますねえっっ」
「おおっっ、さすがっ」
フィリアに詰め寄り、手紙をしげしげと眺める二人。
「あっっ、何やってんだよっ」
その現状にやっと気づいたのか、二人を押しのけ手紙を奪い返すヴァル。
「…なあに、その手紙?」
それでも、フィリアだけは眉を潜め首を傾げる。
「あねさんっ、これはですねぇ…ラブ…」
ごすっっっっ
いいかけたジラスの腹を思いっきり蹴り上げる。
ジラスの体は勢い良く宙に舞、台所へと投げ飛ばされる。
どすっっっ
叩きつけられるように床へ落ち、一瞬呻くジラス。
が、それもつかの間、すぐに飛び上がりこちらへ向かってくるガーヴに詰め寄るジラス。
「ヴァルガーヴ様ぁっっっ、何するんですかぁぁぁっっ!!!」
「てめーーーが悪いっ、てめーーーーがっっ!!」
自分が傷を負わせたにもかかわらず、額に血管を浮きだたせ叫ぶヴァル。
その様子を見つつ、フィリアは
「まあまあ、兄弟(?)喧嘩だなんて、ヴァルもまだまだ子供ねぇ」
と、にこにこ微笑んでいる。
なんか違う気がする…と、クラボスは心の中で思いつつ、二人の所へ駆ける。
「まあまあ、ヴァルガーヴ様っ、一体どうしたんです?」
今にも殴りかかりそうな二人の間に入り、仲裁するクラボス。
「…………別にっ」
吐き捨てるように言って、髪をかき上げるヴァル。
「そんな………あ……」
何かに気付いたように声を上げるクラボス。
「なになに、クラボスどうかしたか?」
相変わらず目を丸め、ぼーとしていたジラスが尋ねる。
「…はー……、ジラス、お前なんも解ってないな……」
「え゛?」
 言われ、さっき言いかけた事を回想する。
「俺はただ、ヴァルガーヴ様がラブレ………」
ばきっっっっ
またも、話の途中でジラスの顔に思いっきり肘うちするヴァル。
「なっっ、なにすんですかぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ」
「あたりまえだろうぅぅぅぅぅっっっ!!!」
今度は少しの動揺すらなしにヴァルに叫ぶジラス。
そんなジラスに深くため息をつき、クラボスが呟く。
「……ジラス…、だからその事だよ」
「………へ?」
その言葉の意味が理解できず、間抜けな声を出すジラス。
「…だからぁ…、その手紙の事だよ。
ヴァルガーヴ様は、その事を姐さんに知られたくないんだ」
「へっ………・?
あっ、なるほどっ」
ようやく理解し、深く相づちをつくジラス。
「べっ…べつに知られたくない訳じゃねーーけどよっ」
その言葉に慌てて弁解するようにするヴァル。
「ただ…………、
誤解されたくないだけだよっ」
そう顔を真っ赤にして言い、ふいっと立ち上がるヴァル。
 ジラスがまた余計な事を言う。
「それって…、知られたくないって事なんじゃあ……」
「うっせえっ」
その言葉に声を大きくして叫ぶヴァル。
それ以上詮索されたくなかったのか、外へ出、再び花火をやりだすヴァル。
「…はーーー、男心だねぇ」
「ヴァルガーヴ様も大人になって……」
 二人は口々に呟き、ヴァルガーヴの後を追い庭へ出る。
そんなヴァルの気持ちを知ってか知らずか、フィリアが楽しげに呟く。
「ねーーねーーーーヴァルぅっっ
さっきの手紙ってぇ、もしかしてラブレターってやつぅ?
えっ、なに違う?
えーーーーーっっうっそぉぉぉっっ、あーーーーけど、お返事はちゃんとしてあげるのよっ、だってくれた子にわるいでしよぅっ?
…わるくない?
あーーーっっ、もう、まだまだ考えが子供ねーーーーっっヴァルもぅっ
そのくせ体だけはすくすく育っちゃって………」
フィリアの笑い声と、ヴァルの叫び声が同時にこだました、その日の夜空は
止めどなく美しく、尽きることなく辺りを照らし続けていた……。




さてさて、ヴァルくんとジラスくんが、とぉぉぉぉっってぇも可哀想なお話でしたねー(笑)
たいした進展もない二人ですが、それもまあこの二人にはお似合いってことでっ(はぁと)


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243再掲示・緑の中で君と出会う一姫 都 10/25-12:57
記事番号242へのコメント
緑の中で君に出会う

        
             自然はその初源から生命の

          無限の展開に向けての序曲を奏でている

          物質としての束縛を少しずつ裁ち切り

         やがて自らの姿を自由に変えていくのである

             すべての生命を癒しながら



「フィリアーッッッ…どこにいるのーーーーーっっ」
 その、大きく広い聖堂内に、清らかで澄み渡った声が響いた。
 その声をかすかに聞き取り、少女は静かに、聖堂を離れるようにして、走り去った。
「お母様、今日だけは見逃してぇぇぇっっ」
叫びながら、少女は少し離れた小さな森へ、全力で駆け出した。
どれくらい走っただろう。
聖堂はいくらか小さくなり、誰の姿も見えなくなった。
自分でも驚く程の汗が出ているのは、ただでさえ歩きにくい砂漠を、全力で
――しかも、走ってしまったからに違いない。
 周りを見渡し、追手が居ない事を確認してから、ふー、とひとつ溜め息を吐いた。
 そして倒れるようにして、ぺたん、と、そこに座り込んだ。
「はぁぁ……」
ここのところ、毎日「魔法の修行」というものをさせられていて、身も心も疲れ果てていた彼女は、人目を忍び、やっとの事でここにやってくることが出来たのだ。
この森は、昔からの彼女の遊び場である。ただ、木が多い茂るばかりの普通の森であったが、彼女にとっては何にも代え難い場所であった。
この砂漠の中では、木に触れる機会など滅多にない。いや…全くないといっても過言ではないだろう。
そんな中、緑に触れる事の出来るこの場所は、とっても大切だった。
何よりも、彼女は木々に触れる事を好んだ。
「やっぱり…安心する……」
近くにあったその木に、頬を当てて、目をつぶる。
木々の音がする……。緑の音が聞こえる……………。
この新緑の中では、何もかもが癒される…そんな気がした。
がさっっっっ
「いってぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ」
「!???」
青々と茂った草木の茂みの中から、草をかき分ける音と共に少年がとびだしてきた。
な…なに?
目を丸くし、驚いているうちにその少年は、自分の今の居場所からさほど遠くない所で仰向けに寝そべった。
「はぁはぁはあ……」
荒く大きく息を吐き、その額からは大粒の汗をかいていた。
…なん…だろう、このこ………。
年の頃でいえば自分より少し年下…であろうか?
綺麗な緑の髪を持ち、体のあちこちへと傷を付けている少年。
「……あの」
「あ?」
静かに、ためらいがちに掛けたその声は、静寂に満ちたこの森の中では十分すぎる程
耳に入れる事が出来た。
「…なに?」
 さも訝しげに、少年はフィリアを凝視し邪険にするように声を吐いた。
「え…あ、いや」
鋭く、そして何処か虚ろげなその瞳に見つめられ、しばし沈黙するフィリア。
そして、視線をゆっくりと少年の腕へと移し、おずおずと呟く。
「血…出てるから………」
見ると酷く生々しい傷跡から、わずかに血が流れていた。とても痛々しげに………。
 言われ、ゆっくりとその場所に目をやる少年。
「……だから?」
「えっっ…あの」
聞き返され、慌てて当たりの茂みへ入って行くフィリア。
がさがさがさがさがさ……
「…変な女……」
「あったっっ」
なにを見つけたのかは解らないが、酷く嬉しそうな様子で、こちらへと戻ってくるフィリア。そして、一つの花を少年へと差し出す。
「……なにこれ?」
それを不思議そうに眺める少年に、柔らかな口調でしゃべりだすフィリア。
「この花には、止血作用があるんです」
嬉しそうに、そういってからその少年の傍らへと座りこみ、傷口へその花を近づける。
すると、ふいに花から淡い光が湧きだし、傷口へと付着する。
そして、傷口へ触れた瞬間それは消えて無くなり、それと共に傷口も完全に塞がっていた。
「……すげー」
 しげしげと、さっきまでそこから血が流れていた部分を見つめ、感心するように呟く少年。
――まるで奇跡…だな。
「この花はね、うちの竜族に伝わる花なの。もう、あんまり数がないんだけど……」
「…竜族……?」
その言葉にふいに身を強張らせる少年。自分の中で、何かが動いた…と、少年は思った。
「そう…、我がゴールド・ドラゴンの…………」
「!?」
目を見開き、眉を潜める少年。
……こいつ、ゴールド・ドラゴン…かっっ!!
言いようのない怒りが、少年の胸をよぎる。
そして、やり場のない憎しみが、ふいに襲ってきた。それは、幼い日の記憶。
永遠に忘れる事の出来ないであろう、忌まわしい思い出……――
「…ど…どうかしました?」
 そんな少年の様子を察してか、心配そうに声を掛けるフィリア。
その時……
「フィリアーーーーーーーっっ」
森の外――しかしさほど離れていない場所から、フィリアを呼ぶ声が聞こえる。
「あっっ、お母様!!???」
酷く慌てた様子で、勢い良く立ち上がり、駆け出すフィリア。
「まてっ………――」
呼び止め、呪文を呟こうとしたその瞬間、少年の頭をさっきの情景がよぎった。
……そして、静かに視線を腕へと移す。
――今はもう、傷跡の痕跡すら残っていないその場所へ………。
しかし、その声は少年が思っていたよりもずっと、大きいものだった。
少女はすぐさま振り向き、優しげな笑顔と共にこう言った。
「あっっ、もう怪我しちゃだめですよっっっっっ」
言って、元気よく森を抜け出すフィリア。その後ろ姿をしげしげと見つめる少年。
「………」
 ――とりあえず…、今は殺さないでおくさ……。傷を直してもらった…借りもあるから、な………。
「おいっっ」
少女が去った後、すぐにその声は自分の頭上に響きわたった。
見上げると、思った通りの人物が空中にいた。その人物の姿を確認し、少し嬉しげに声を出す少年。
「ガーヴ様…」
「ったくっっ…あん位の事で逃げだすんじゃねーっっっ」
言って、静かに自分の隣へと降り立ってくるガーヴ様。そうだ…自分はこの人の修行につきあっていて…そしてその辛さ…もとい惨さに逃げだしたんだ。
「で、どうした?」
「…え、何がですか?」
ふいに言われて、戸惑う少年。その答えにやや強い口調で言い返すガーヴ。
「だから、傷だよ」
「え…」
「傷っっっ、さっき血ぃで出ただろっっっっ」
その言葉に、すこしの暖かみを感じ、顔をほころばせる少年。
「大丈夫です」
――心配してくれたんですね。
 この人らしい、不器用な優しさがとても嬉しかった。
「ならいいんだ」
「………ガーヴ様」
「なんだ?」
「お願いがあるんです」
「言ってみろ」
「あの娘と、俺の今日の記憶を消してください」
言われ、森の先にいる一人の少女に目を移すガーヴ。
そしてその姿を確認したままで、少年へと声を掛ける。
「……どうしてだ?」
「…それは、あの娘を……」
――自分の敵である…ゴールド・ドラゴンだから……。
「殺さなければいけない…から」
――今日の出来事を忘れ、なんのためらいもなく、あの種族を恨むため……
「さっきの記憶を、なくしたいんです」

――もう怪我しちゃだめですよっっっっ――

「いいだろう」
呟き、軽く指を鳴らすガーヴ。その瞬間、少年の記憶は闇へ飲み込まれるようにし
記憶の海の中へと沈んで行く……。ゆっくりと……、静かに、少年は意識を失い
その、覆い尽くされた緑の上へと身を…ゆだねた。



                 END 



はーーーー…終わった……。
うーん。まー…みなさんお分かりのとーり、少年とはヴァルくんの事ですねー。(最初にヴァルフィリいってるやんっっっっ・笑)と、いうか…なんて解りにくい終わり方…(泣)
一番最初の詩は、横浜のクィーンズスクエアの某所で発見する事ができましゅー(はあと)
全文は素晴らしいので、もし寄る事か゛あったら是非みつけてみてくださいねーっ


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244+−の距離一姫 都 10/25-12:57
記事番号243へのコメント
もう、半年前に書いた、ごちゃまぜ小説。
今回いい機会なので公開させていただきました。
どうぞ、ごゆるりとご覧下さい。



                +−の距離


             わたしはあなたの何でしょう

             恋人でしょうか

             親友でしょうか

             それとも

             他人なのですか?




 と、ある昼下がりの午後。あたし達は依頼を受けたその街で、遅い昼食をとっていた。
「ふーん。じゃあ…ほっちの図書館には、
あてひなる情報はなはったのね、ゼル」
口にめいっぱいの、パスタやらサラダやらを詰めているせいで、リナの言葉は、
とっても聴きずらい。
「まあな」
「ふーん…じゃあ、これからどうしようか? アメリア」
「そうですねえ…」
デザートのプリンを口に運びつつ、
考える素振りをするあたし。
「とりあえずまた二組に分かれて、今度は街の人に、聞き込みでもしてみましょうか」
「オッケイ」
「じゃあ、集合場所は…」
言おうとした瞬間、
どんっっっっ
「あきゃっっっ」
「あっごめんなさい」
旅の剣士らしい男が、勢いよくぶつかり、あたしはいすから滑りおちる。
「大丈夫か!?」
誰よりも先に、ゼルガディスさんが声を上げる。
「だ…だいじょうぶです」
あたしはゆっくりと立ち上がり、再びいすに座る。
「痛いところは?」
「ない…です」
「なら、いい」
 ゼルガティスさんとあたしの会話を、目でおい、意味ありげな顔をするリナ。
…なんだろう。
「やけに心配するじゃない、ゼル」
「………」
コーヒーを口に運び、目を閉じ、無反応のゼルガディスさん。
「答えはなし…か。まあいいわ。
とりあえず、あたしとアメリア、ガウリィとゼルガディスの二組に分かれて、聞き込み、開始しましょう。」
「わかった」
 
「よかったんですか? りなさん」
「何が?」
聞き込みも一段落し、噴水の前のベンチで一休みしているあたし達。
「いや、だってリナさんは、ガウリィさんと一緒じゃないと…」
「はあ?」
あたしの言葉に、首を傾け、まゆをひそめるリナさん。
「え、だって…」
「…あ、はいはいはいはい。
解った、解った。」
何が解ったんだか、リナさんは首を数回縦に振る。
「あいつはあたしの自称保護者。
それ以上でも、それ以下でもないわよ」
「…でも」
「それより、アメリアはどうなのよ」
「はい?」
「ゼルガディスと、一緒じゃなくってよかったの?」
「なっ…!」
リナさんは、からかうようにこっちを見る。
そんなんじゃないですってばぁ…。
「あたしと…ゼルガディスさんは、
兄と妹みたいなもんです」
「…兄と妹ぉ?」
納得いかないって顔で、聞き返すリナさん。
「そうです。…きっと」
「ふーん…」
「なんですか、その顔は…」
「べっつにぃっ」
うう…なんだかなあ。
「ゼルがディスさんも、きっとそう思ってますよ」
「そうね。」
「え…ってまさか、リナさんっっ!?」
「…きいちゃった、昨日。
アメリアがさっき言ったのと、同じ答えだったわ」
…ふむむ。
「ショック?」
「え!?
そんなことないです…」
そう言って、笑顔を取り繕うあたし。
「…アメリアのいいところは、思ってることがすぐ顔に出る事よね」
「へ…?」
「今も、がっかりした顔してるわよ」
「なっっ、そんなことっっ」
「…嘘よ。」
「え?」
何が嘘なんだろう…。
「ゼルがディスには、なんにも聞いてないわ。
だから、ゼルがディスがアメリアのこと、妹と思ってるかは知らない」
「なっっっ」
……はめられた。
「いやー、ごめんごめん。
ただ、あんまりにもじれったいからさあ。
好きなんでしょう?
ゼルのこと」
「…そ、そんなこと……」
「まーまー、
これは、あたしの独り言と思って聞いてちょうだい」
そう言って、手をぱたぱたと振るリナさん。
…そ、そんなこと言われても……。



「このままでいいのか、旦那」
ふとゼルの漏らした言葉に、訳が分からず問い返すガウリィ。
「なにがだ?」
「………お前さんから動き出さなきゃ
あいつは一生気が付かないかも知れないぞ」
「…………あーーーー、
それの事か」
何かに納得したように、首を縦に振るガウリィ。
「いいんだよ。
俺はあいつの保護者だからな」
「……そんな事を言ってると
 いつか誰かに取られるかもしれないぜ」
「例えば?」
「………さあな・・」
意味ありげに笑みを漏らし、ゆっくり歩き出すゼル。
「……まだ、保護者でいいんだよ」
「……?」
小さく呟かれたその言葉に足を止め、振り返るゼル。
「……曖昧な関係のままで…」
「…………そうだな
 そういう作戦も…有りだな……」  
けどな………、
それもあまり長い間やってるんなら……

「本当に……、取っちまうぞ………」



この世で一番楽しいゲーム

時と

頃合いと

運命の……


すべてを掴むその日まで…


―― +−のこの距離で……――




 * END *