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301再:スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達16めなりん E-mail URL10/31-23:23

なんか、いつのまにか小説おちちゃいましたねぇ…
というわけで再投稿です。
今回、やっとデモン・ブラッドに関していろいろと設定が浮かんできました。
読めばわかる!!と思われる。

16

「ぅう…きたっ…胃薬…」
「あぁ、こんなっ!こんな色にっ!しくしくしくっ!!」
セイルーンの宿に泊まって、もう三日目。
K伯爵は髪の色が悪化してきた。
めなりんはいまだにだるまさん状態のままで悪化。只今宿でおやすみ中。
その上べるるんは番外編での胃もたれが続いていたりする。
熾王神官と鳳魅雷児は悪化しまくっているめなりんの看病(横で見てるだけ)
「しっかし、そんなに髪の色を気にしなくても…がふっ!」
K伯爵の涙ながらのパンチに、べるるんがテーブルにつっぷす。
「髪のことは言わないでっ!しくしくしくしくしくっ!!」
実はK伯爵、あれから悪化してピンクが真っ青になってしまったのである。
まぁ別に他の人から見たら目立ってるなーくらいだが、K伯爵自身はそうは行かない。
最初それを見たときなんかホントに落ち込んじゃって宿の自室にこもりっぱなし。
しかも夕方になってくると、青がだんだん目の覚めるような緑になってくるのだ。
めなりんの方も悪化してきたらしく、未だに両腕両足がない。
髪の方は短くはならないが、夜になると魔力が消えてしまい、ふつーの人間になってしまう。
しかし問題はべるるんの方も同じである。
塩井神官天真爛漫ごうじゃす胃薬試作品1号を飲んでいたりするのだ。
いつ症状がでるかはわかっていない。
「そんな事よりデモン・ブラッド…あれから全然足取り掴めてないし」
「そうねぇ…邪将軍も来てないわね」
「そりゃ、あの人は楽しんで斬りたいだろうから、弱った私達なんか…」
ぱたぱた手を振るべるるんに、しかしK伯爵は
「だって、あたしに毒しこんで殺そうとしたのよ?」
……。
「おかしぃっ!これは絶対になにかあるっ!」
「はいはい、セイルーンの往来のど真ん中でいきなし叫ばないの」
道の真ん中で中指おったてて叫ぶべるるんに、K伯爵がストップをかける。
「…でもやっぱおかしいわよね…なんかあったのかな?」
K伯爵は、快晴の空を仰いでつぶやいた。

それから約1週間。
「ほーーーーーーーーーーっほっほっほっほっほっほ!!」
照りつける太陽!
白い砂浜!
青く広がる大空!
どこまでも遠く続く青い海!
どこまでも高く続く高笑い!
そして勿論この魔族ロディ!
「…って、なんであんたがここにいるのよっ!」
K伯爵が怒鳴る。
「ほほほほ、知れたこと。セレスにべるぜさんの水着姿を見せようと思っただけ!!」
ぶっ!
無表情でパノンジュースを吹き出すべるるん。
「ビールにおつまみーかき氷もいかがっすかー」
ティナは向こうで営業中だったりする。
「あぁっ!せっかくの夏休みがっ!あおひそらしろひくも、なのにどーしてロディがいるのっ!?」
空を仰いでK伯爵が涙する。
「しつれーねK伯爵!夏休みはこちらも同じッ!」
「だからって、いっきなし水着ででてこないでよっ!」
「K伯爵だってビキニじゃないのよさっ!」
「ふっ、あたしは体のラインがいいからおっけーなの!」
「へぇぇぇ…体のラインがねぇ…その割に、胸の発育遅れてるんじゃない?」
「そんなこといったらロディさんこそ!ウエスト、ぶっといんじゃないのぉ?」
「ほーっほっほっほ!胸がないのよりましよっ!」
「あ、そうそう、これパッド入ってないからね」
ぴぎぃんっ!
K伯爵の一言に、ロディは高笑い姿のまま凍り付く。
「ねーねー、セリア…とゆーか、セレスはいないの?」
麦茶を飲みつつ、めなりんが問う。
やっと両足と右手が復活したのである。
そういうわけで、三匹は夏休みと称して、イルマード公国の海にやってきたのだ。
…若気のいたり、という奴である。
…多分。
イルマード公国とは、地方領程度の小さな国ではあるが、観光地としては超有名なあの公国。
大金持ちの家系の別荘がいくつも並ぶ、あの国の海辺である。
「セレス?そこらにいるんじゃないの?…まぁ、もとがイルカだし」
自分の使い魔だとゆーのに、いたって気楽にロディが答える。
「しかし、静かよねーココ…たかがレッサー・デーモンでしょ?」
K伯爵の言う通り。
この海近辺、レッサー・デーモンがうようよいることで、誰も近づいてこないのだ。
魔道士らしき人ならちらほら見えるが。
「たかがっていっても、フツーの人間にとってはまさにばけもんだからね」
空を見ながら答えるべるるん。
「かき氷ーヤキソバーラーメンもございますよぉ〜ん」
ティナの声が辺りに響き渡る。
「…ふーっふっふっふっふ…さぁっ!一夏を有意義に過ごしましょーっ!!」
「あぁぁぁぁっ!待ちなさいロディっ!!海に一番に入るのはあたしよっ!」
「ふわぁぁぁ…昼寝でもするか…あーつぅかれた」
「くかーーーーすぴーーーーぐおーーーー」
「麦茶ースイカーうきわの貸し出しもしておりまっせー」
……。
そんな一行を見守る(?)影。
「…ぐるぉぉ、ぐるぐる」
「ぐぐるぉぉがるるる、ぐるるぅ!」
「ぐるぅ!ぐるるる!がるるるるるっ!!」
…噂のレッサー・デーモンのご登場である。

「ほい、かき氷いっちょ、銀貨3枚、まいどありぃ」
いつのまにか浴衣を着ているティナが、銀貨とかき氷を交換する。
「さんきゅーっ♪」
買ったのはめなりん。
「…しかし…なんか暑いわね…暑いとゆーより熱いかも…」
目を閉じたまま、べるるんがつぶやく。
「…あ、かきごーりとけちゃった」
ぼたぼたぼたっ。
その音に、見ればかき氷が水と化している。
…って。
「…あ、あたりまえだぁぁぁぁぁっ!一面火の海じゃないかぁぁっ!」
叫んでべるるんは、辺りをざっと見回した。
…とはゆーものの、辺り全てが火ばっかりである。
火の他に見えるのは、ティナとめなりん、そして青空のみ。
「あ、そぉか。レッサー・デーモンの炎の矢か」
「今更気付くんじゃないぃッ!とにかくティナ逃げるっ!」
きっちりツッコミいれてから、ティナは火へとかけだしていく。
「アクア・クリエイト!」
ぼしゅぅぅぅぅぅぅっ!
ティナの呪文に、一ヶ所だけ火の手が止まる。
言うまでもないとは思うが、アクア・クリエイトとは水を召喚する魔法。
真水なので飲み水となるため、知っておくと旅先で便利ー★
「今のうちっ!二匹ともはやくっ!」
ティナが二匹を誘導する。
「ねぇねぇべるるん、水着に火ついてるよ」
「ぬぁっ!わたしの水着によくも火なんぞつけてくれたなぁっ!」
なぜか闘争心に燃えるべるるん。
「ほらほらっ!馬鹿なことやってないで、さっさとしないと逃げ遅れちゃうよっ!」
ティナが焦り出す。
「…空間移動すればいーのに…」
かきぃぃん…
めなりんの一言に、その場が一瞬こおりつく。
レッサー・デーモンの吐く炎が燃え上がった!
「たぁっ!」
聞き覚えのある声。
そして同時に蒼白い魔力球。
ちゅどぉぉぉんっ!!
爆発がまきおこり、その爆炎がきえたあとには…
「アイラ!」
「全く、この程度の下級魔族に逃げるしかしないだなんて…」
べるるんの声に、颯爽とあらわれるアイラの御姿!
「そういう自分こそ、なにパラソルの上になんかのってかっこつけてるのよ…」
アイラの冷めた口調に負けず劣らずといかえすティナ。
「その場の雰囲気の盛り上げです。そんなことより、奴等がくる!」
「えぇ!?しとめたんじゃないの!!?」
言いながらティナは身構える。
しかし、その行く手を遮ったのはべるるんだった。
「蝿さん、退治してらっしゃい」
ばたばたばたばたばた…
「…ちょっと…蝿なんかにレッサー・デーモンが殺せるわけないじゃないの」
ティナが完全に疲れきった顔で言う。
「ふっ。まだまだ読みがあさいねぇティナ君。あの蝿は抗菌加工してあるっ!」
『それでだからどぉしたんだぁぁぁっ!』
ティナとアイラ、二匹のツッコミがべるるんにぶっささる。
「こぉきんかこーって…なに?」
一人状況すら理解していないめなりん。
「…だからぁ…雑菌とかがつかないよぉになってるの」
ティナがわかりやすく説明してくれる。
「そう。ちなみに、レッサー・デーモンは雑菌に追加してあるっ!防御はばっちし!!」
『…攻撃は?』
……。
「蝿!にらみなさいっ!」
『にらんでどーする!!』
必死で頑張るべるるんに、しかし冷たい二匹。
「…千里眼で見たところ…蝿さんに威嚇されてデーモン達が逃げてった」
めなりんの一言。
一瞬辺りが静まり返る。
「…ま、レッサー・デーモンも蝿はキライだったとゆーことで?御茶いかがっすかー」
「しかし、魔族社会って奥ふかいのね…あいら研究記録につけとこっと」
「れっさーでーもんも、あー●じぇっとで殺せるかなぁ…っふっふっふ」
「…レッサー・デーモンにさえ嫌われるわたしの立場っていったいなに…?」
とにかく呆然とする魔族達。
「おー、逃げてく逃げてく…あ、デモン・ブラッドおいてった」
『なぬぅ!!?』
ずざざぁっ!
めなりんの指差すほーに行ってみれば、たしかにそこにはデモン・ブラッドがっ!
「あぁっ!こんなに楽してていいんだろーかっ!!」
泣きながら空に問うべるるんに、しかし全員は
「いーんじゃない?これからセレスちゃんとのらぶらぶが待ってるんだから」
「あ。そういえば、セレスが水着持って探してたわよ?」
「ほれほれさっさと行かないと、女の子泣かせちゃうぞぉ」
「しくしくしくしく…」
どうでもいいが、水着に火がついたままだったりする…――

「ロディっ!今日こそはあんたのデモン・ブラッド、奪ってみせるわ!」
「ふっ、K伯爵にそんなことができるのかしら!?ほーっほっほっほ!!」
ばぢばぢばぢばぢばぢぃーっ!!
二匹の視線に飛び交う火花。
「じゃあまずあたしっ!K伯爵ろいやるくらぁぁぁぁっしゅ!!」
「ほーっほっほっほ!だぁぁれが肉弾戦とかなんとか言ったの!?」
ずるっ…
パンチを作ったまま前にずっこけるK伯爵。
「じゃ、じゃぁ一体なにで…!?」
それでもなんとか気力を絞り出して尋ねてみる。
ロディはくいっ!と胸をはり、腰に手を当てて自慢気にこう言った。
「決まってるじゃない。あおいそら、しろいくも、そして水着!
今回は、野球拳でしょーぶよっ!ほぉーーーーーっほっほっほっほ!!」
「あほかぁぁいっ!あたしは脱がないわよっ!」
K伯爵の言葉に、ロディはきょとんっとした顔をして続ける
「誰も脱げとはいっていないわ。ルールは簡単、負けたら一枚ずつ着ていくのっ!」
「あぁぁせぇぇもぉぉがぁぁできるでしょがぁぁっ!!!」
「ふっ、汗疹とは…きたない証拠ね!」
「汚くなくてもできるわよっ!ほらほらココ、今年度の紫外線と、オゾン層の破壊区域…」
「むずかしーはなしはしないでぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ぜぇはぁぜぇはぁぜぇはぁぜぇはぁ…
「とにかくしょぉぶっ!」
「望むところよ!って望んでない望んでないっ!!」
あわてて前言撤回するK伯爵。
「あ、ご主人様ぁ、べるぜ様みませんでしたかぁ?」
「セレス。あなたの心が本当に…(ぶつぶつ)」
「いまのうちに逃走…」
セレスの乱入でロディが熱く恋愛の信念をかたっているあいだ、K伯爵はこそこそと逃げ出す。
「それで、見ませんでした?」
「見なかった」
最初からそう言っていればいいものをとツッコミいれたそこのあなた、今年の夏は寒いぞ(謎)
「あぁぁぁぁっ!K伯爵がいなひっ!」
「向こうの海でクリスと遊んでますよ」
「あいつぅぅっ!よくもこのレイディア=グロディロウヴァスにっ!」
めらめら燃え上がるロディ。
「れいでぃーす=ぐろうでぃべす?だれですかそれ?」
「レイディア=グロディロウヴァス!ロディの本名よっ!!」
セレスの問いに答えるロディ。
「あ、べるぜ様がいらしたので私はこれで…スピカはめなりんと浜辺でおやまつくってましたよー」
叫んで走っていくセレス。
「…女形(おやま)!?」
「…ちがいますよ…山です、山。女じゃないですよ、なんかやーらしーですねぇ…」
山を作っていたスピカがジト目でツッコミをいれる。
「だって、一発変換が女形だったんだもん…皆様もおためしあれ♪」
呆然としながら変な事を言うロディ。
「とぉにぃかぁく…K伯爵ーーーーーッ!!」
海で泳いでるK伯爵に向かって、ロディが叫んだ。
K伯爵(以後K)「なぁにー!?海に向かって言ってるところからすると告白ー!?」
ロディ(以後ロ)「ちがぁぁぁぁうぅぅっ!!」
K「えぇぇぇっ(はぁと)そんな、やだあたしこまっちゃう…星君だっているしぃ…」
ロ「あんたみたいなすかぽんたんなんて、誰が好きになるもんですか!」
K「やぁだてれなくってもいーのよ、ほっほほほ」
ロ「ちがうっつってるでしょーにぃこのぼけなすびぃぃっっ!」
K「まぁ、この知的美少女K伯爵に惚れない奴なんていないわねぇ」
ロ「ちがうっつってんでしょこのブーバー…(ロディ、日射病により鼻血、一時休憩)」
めなりん(以後め)「…あたし惚れてないよー!?」
K「めなりんは別よべつぅ〜」
め「…ロディは惚れてんのー?」
K「そーよ。ロディみたいなスカピーでも、一応魔族だし、傷つけない様に断らなきゃいけないの」
ロ「だからロディはほれてないっちゅー…(ロディ、日射病により倒れる)」
クリス(以後ク)「あぁっ!ご主人様大丈夫ですかっ!?」
スピカ(以後ス)「どうしたんですかっ!?ご主人様!!」
K「ふっ。わたしの美貌に、あのエロ女はくらくらになっちゃっただけでしょ」
ロ「ちがうわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
ロディの叫び声が、遠く彼方までこだまする
「…あんたら、なにやってんの?」
ぐさぐさぐさぐさっ!
べるるんの一言で、正気にかえる一同。
「…ま、まぁ、暑さボケという奴よ」
K伯爵があわててフォローする。
「…とてもそうには見えなかったけど…」
「そんなことより、あんたセレスはどーしたの?」
ぎくっ…
ロディのツッコミをマトモに受けるべるるん。
「千里眼…ををっ!をををををををっ!!」
「なになにっ!?どーしたのめなりんっ!?何が見えるの!?」
千里眼(目はないのにどうやってみるんだろう)で見るめなりんにK伯爵が問いただす。
「…放送禁止用語、出版禁止用語、HP禁止用語、憲法違反、その他もろもろ18禁…」
「そんなことはしてないッ!」
めなりんの淡々とした口調の言葉に、真っ赤になって否定するべるるん。
「そぉじゃなくって…いきなし、泣き出しちゃったのよぉ…」
ぴきっ…
ロディが固まった。
「う…うちのセレスになぁんてことを!ただじゃすまないゆるさない!この蝿っ!」
「蝿です」
自覚してるぶんだけエライ。
「こーなったら、縄でぐるぐる巻きにしてセレスにさしだしちゃる!」
「っだぁぁぁっ!ロディっ!!わたしは無実だって!
会った途端に、なんの脈絡もなくいきなし目の前で泣き出のよっ!!」
「結局泣かせたのねっ!?ひどいっ!あたしの大事なペット…もとい使い魔に!
べるぜさんならセレスを任せられるかと本気で乙女心を悩ませていたところだったのにぃ!!」
「本気で悩むなッそんなもん!!」
「あぁっ!これであの子もおしまいよぉぉっ!
…って、じょーだんはこんくらいにして、それでセレスはどこにいるの?」
いきなし真顔に戻って聞くロディ。
「…今の、冗談だったんですか?」
とりあえずつっこんでおくスピカ。
「セレス、こっちに来るよ」
千里眼でセレスを見ていためなりんが言う。
「来ました、ご主人様ぁ…」
その声に振り向けば。
涙でぐしゃぐしゃになった水着セレスの姿!
「あーぁ、セレス泣かしてぇ…やっぱ男にゃ乙女心はわかんないんだね」
「まったく、クリスのゆーとーり、これだから男ってのはいやなんです」
呆れ顔で言うクリスとK伯爵。
「……」
ジト目で睨むべるるん。
「いったいどーしたのよ、セレス……あんたがまぢめに心配するなんて…」
なんとなくトゲのある言葉で心配するロディ。
「私……私……っ!暴走して、涙…もとい、水がとまらなくなっちゃったんです…」
……
ぼたぼたぼたぼた…
一瞬、セレスの涙がこぼれ落ちる音が辺りを支配する。
「…なぁんだ、そんなこと…」
「あぁっ!ひどいですご主人様!!!私だって…
名前間違えさせられたあげく、べるぜ様の♂ばーぢょんはぶっさいく…もう疲れ果てちゃって…」
「ぶっさいく!?」
「それに、べるぜ様を見るそのたびに暴走してしまうなんて…あぁ、修行が足りないわっ!!」
一人盛り上がるセレス。
かしょんっ!とどこからかスポットライトが彼女を照らす。
「私って…なんて不幸なを・と・め(はぁと)」
「蝿の話をきかんかおらぁぁぁっ!!」
めきっ!
べるるんのすくりぅぱぁんちが、セレスのこめかみに直撃する。
「蝿の話なんて、聞きたくないわよねぇ…役にたちそーもないし」
「あーあ、セレスかわいそうに…あとで回復させたげなくっちゃ」
後ろの方でこそこそ話す二匹は無視。
「えー、ビールに枝豆ーついでにはと麦茶におまけつき耳センもいかがっすかー」
「あ、枝豆下さいティナ様。18歳なのでビールはだめですけど」
「アイラさんって18歳だったの?日記につけとこっと」
さらに後ろの三匹も無視!
「おやま、おやま、トンネルほりほり♪」
「女形にトンネルほるの…?めなりん…?」
もっと後ろの二匹は絶対無視!!
「まったく…暴走しなくなったら、考えてやってもいいわよ」
べるるんが倒れたセレスを見下ろしつつ言い放つ。
「そういうべるぜ様こそ怒って蝿を大量発生暴走するのはなおし…きゃうっ!?」
砂に埋もれて窒息するセレス。
無論やったのはべるるんである。
「あれはわたしの専売特許だからいーの!」
『よくないよくない』
全員のツッコミ。
「…まぁ、そんなことはともかく」
静まり返ったその場を、その一言でかたづける人登場。
「…誰?」
思わず聞いてしまうK伯爵。
見た目の年齢は16歳くらいか。
シャギはいった髪をくくっている、なかなかの美少女。
どっかで見た事があるような…
「あ、ダミーさん!?」
「そのとぉりっ(はぁと)」
そうっ!この方こそ、時計うさぎことダミー魔族!!
「…って、こんなオハナシの中盤でいきなりでてきてなにするつもり?」
つめたいロディ。
「え?いや、別に…ティナちゃんに麦茶でももらおうかとぉ…
他にも勿論、ちゃんとした用事があるけどぉ。ともかく麦茶ちょーだい♪」
しかしそんなツッコミにもめげず、彼女は麦茶をもらって一気に飲みほす。
「っぷはぁぁぁっ!!やっぱ夏は麦茶!!
それで、本題のコトなんだけどぉ。
あの方――L様から伝言わたされたのぉ」
マイペースで話しはじめるダミー。
「Lねーちゃんから?」
思わず反応するめなりん。
「そう。
えーっとね…
デモン・ブラッドが全部揃った時にぃ…」
『揃った時に!?』
のほほぉんと話すダミーに、全員が迫る。
何しろ全員、デモン・ブラッドが揃うとどーなるか知らないのだ。
それでよく集めるもんである。
魔族って、よっぽど暇なのかも…
「揃った時に、その魔力で奴の封印はとける…ってぇ」
「…奴の…封印?」
ティナが鸚鵡返しに問い返す。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
突然大きな声をあげたのはめなりんだった。
「何よ、なにか思い出したの?」
ロディがこれといって興味なさそうに聞く。
「それって、めなりんのおにーちゃんだ!」
ざっぱぁぁぁぁぁぁぁぁん…

…ぽろっ…
口を開けたロディの手から、かき氷のスプーンがこぼれおちる。
「め…めなりんの兄って…やっぱしこーゆータイプなの…?」
「大丈夫ですティナさんっ!
兄ちゃんは、頭も冴えてるし運動神経抜群だし、それになにより超絶美形!」
『美形!?』
なぜかロディとK伯爵の声がハモる。
「ふ、星様ほどの美形はいないわよね…でもちょっと期待してみたりして…」
「まぁ、あたしは星ひとすじだからぁ…しかしちょっぴし気になったりもして…」
「本題から離れてますよぉ、お二人とも…」
ダミーが困った顔でつっこむ。
「そんなことはともかく、そのめなりんのにーちゃんとやらが復活するとどーなんの?」
「そこまでは知りません。L様からの伝言内容にもありませんでしたし。
めなりんが知ってると思いますけど?
…そうそう、私は他に用事があるのでこれで…ばいにゃん☆」
思い出したようにそう言い去って、風に溶け消えるダミー。
「しかし、重大な事あっさり言い放って帰って行ったわね…」
ティナ呟く。
「それで?その兄…ってなんなの?」
「えっと…うーんと…なんだったっけか…?」
『考え込むなぁっ!!』
その場全員のつっこみ。
基本中の基本である。
「確か…神族であり、魔族でもある…その二つの属性が複雑にからみあってるから…
封印をとくのに成功すれば、まぁ特になにもおこんないと思うけど…
失敗すると、自分と丁度同じ魔力…つまりあたしを喰ってから何かしでかすかと…」
「…それだけきーてると、すごい変な奴なんだけど…」
「あったりまえじゃんK伯爵!!あたしの兄ちゃんなんだよっ!?」
がくぅ…っ
そうだった!こいつはこういう奴なんだ!!
K伯爵の気がぬける。
「ちょっと聞きたいんだけど」
言って右手をあげたのはべるるん。
「…そいつがめなりんの兄ってことは、成功すればめなりんと同じ地位にたつわけで…
めなりんは『ああ』だし、兄の方は見込みがあるみたいだし…
あの方は兄の方が継ぐ事になると思うんだけど…
そうなった場合、めなりんの存在意義はどーなるわけ…?」
……。
「おはらいばこ…(はぁと)」
ざざっぱぁぁぁぁぁぁぁん…


〜やっぱし続く〜


今回あきらかになった、デモン・ブラッドの秘密。
結構、無茶苦茶な設定かもしんないと、一人後悔している作者だったりします。

注:毎度のことですが、登場人物は実際にいる人物とはきっと関係ありません。
たぶんね★

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302スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達17めなりん E-mail URL10/31-23:28
記事番号301へのコメント
皆さん長らく御待たせしました、やっと17です!
…まさか作者自身、こんなに続くとは思ってなかった(^^;
さぁて今回、いろいろと新発展の目白押し(そーか?)
宣伝:この小説のらぶすとーりーがうちのHPにあるぞー←爆死

17ですじゃ

「覇王木?」
「ちがいますっ!覇王樹ですよぉ」
ティナの言葉をすかさず訂正する美女。
美女といっても、18歳くらいの女で、ついでに言えばごくフツーのエルフである。
そう、ここはエルフの村。
人間の町とはちがい、ひっそりとしているが、あまり変わった所もない、名もない村だ。
イルマード公国に近いためか、人間の姿もちらほら見えたりする。
あれからロディとティナは、他の者たちをおいてさっさと帰っていったわけである。
それからどうなったのかは知る由もない。
…そうそう、言うまでもないとは思うが、一応エルフの説明をしておくと…
エルフ族は、人間の4,5倍の寿命を持つ種族。
透けるような白い肌と、とんがった耳、そしてその美しい顔立ちが特徴。
しかし、少し臆病なところがあり、人間の町とは離れて暮らしている。
つまり、である。
目の前の美女、18くらいに見えるけど、ほんとはもう100歳くらい…
「あそこに丘があるでしょ?あの丘のてっぺんの大きな木、あれがそうなんです」
女の指を差す方向には、緑の丘につったつ一本の木。
かなり大きな木で、以前サイラーグにあったフラグーンより少し小さいくらいである。
中はたぶん空洞だろう。
「へぇ…あの大木の中に、この石があるんですね?」
「この村に伝わる、古い言い伝えなんです」
女はそう言って、どこかへ行ってしまう。
「んじゃ、いこっか?ティナさん」
「そうね…でも、セレスちゃんをあの三匹にのこしてきてよかったの?ロディさん」
一瞬ロディの動きがとまる。
「…それが、あの子のためなのよ!」
「そうかなー…?」
朝日に向かって叫んだロディに、ティナは不信感を抱いたのだった。

「さぁめなりん、邪魔しちゃ悪いからいきましょうっ!」
「…はぐはぐ。」
イルマード公国の田舎町。
サザエの壷焼き食べながら、二匹はどんどん先へ行く。
「あ、ちょっと待ってぇぇぇ…」
「べるぜ様、貧弱ですぅ」
「誰のせーだとおもってんの…」
セレスの言葉に、こめかみを押さえながら、べるるんは立ち尽くした。
「だって、ご主人様ったら、べるぜ様についてけなんておっしゃるんですもの」
「言ったのか?ホントに」
「勿論です。きっと私なんてもういらないんですね…」
しゅんっとしょげるセレス。
「あ、なかせてる」
「なかせてないなかせてない…」
後ろからのK伯爵のつぶやきに、ぱたぱた手をふりながら答えるべるるん。
「なにか心当たりはないの?セレス」
「それが聞いて下さいK伯爵ッ!!」
かがみこんだK伯爵の両手を引っ掴み、うるうるの瞳で
「御主人様は、私がお小遣いを値上げしてほしいって言った事を根に持ってしまったんです!」
「…はぁ?」
「月に銅貨1枚じゃあまりにも悲しすぎます…」
「そりゃ悲しいだろうけど…」
「だからせめて、一日金貨5000枚って…」
どごっ!
K伯爵のキックが、セレスに炸裂っ!
たまらずセレスは後ろにつんのめり、そのままべるるんの足にぶつかる。
…あ、踏まれた…
ヒールの後が痛々しく残っております…
「いきなりそんなん言っても無理でしょーがっ!」
「だってだってっ!!市場で発売されているべるぜ様の第2ボタンがほしくってっ!」
攻撃にもめげずにすっくと立ちあがり、セレスは瞳に星さえ浮かべつつ、
「金貨99999999999999999999999999999枚なんです…」
「それは高ひわ…」
思わず納得してしまうK伯爵。
「でもセレスじゃなかったらその金額+金貨1枚だよ…」
「お前が売っとったんかいっ!」
げしっ!
横でぼそっと言っためなりんに、べるるんはあっぱーをくらわせる。
「どーりでボタンがなくなってると思ったらっ!」
「べるるんの服にボタンなんてついてないわよ?」
K伯爵が『めなりん設定資料集2』を見ながらつぶやく。
「まぁ、それはともかく…ご主人様ったらカンカンに怒っちゃったんです」
「そりゃフツー怒るわよ…」
K伯爵の言葉が、寒い風を吹きおこした…

「ぅわきゃぁっ!?」
びたんっ!
「どうしたのティナさんっ!?」
暗い、木の中で。
みみずはいるわもぐらはいるわねずみはいるわこけははえてるわくものすだらけだわ。
そんな中で、二匹はたいまつ代わりのライティング片手に、奥へ奥へと進んでいた。
「木の根っこに足ひっかけちゃって…」
「足元には気をつけないと、うねうね根っこが這いずり回ってるからね…」
…。
『は、はいずり…まわってるぅ!?』
言われてみれば、足元をうねまわる根っこは、二匹を取り囲むように動いている。
「ぅげ、しばらくパスタは食えんわね…」
いまだ練りまわる根っこから身をひきながら、ティナがつぶやいた。
『なにをしにきた?』
木の中に響き渡る、女の声。
澄んでいる奇麗な声で、どこか幼い感じを残している。
「デモン・ブラッドをとりに来ただけよっ!」
「ちょ、ちょっとティナさぁ〜ん…」
まにうけて答えてしまうティナに、ロディがツッコミをいれる。
『…もしかして、あんたら赤神官と赤将軍の二匹…?』
「そのとーりっ!!」
胸を張って叫ぶティナ。
『なぁんだ…』
「なぁんだとはなによ!?」
声にいらつき、ロディは近くの幹にナイフを近づける。
「でてきたらどう?けーなさん!」
しばしの間をおいて。
『わかった。それじゃ、ちょっとどいててね』
声はそう答え、それから低く呪文を唱える。
そして、二匹の前にあらわれたのは一人の少女だった。
それも美をつけるくらいの。
この美貌なら、エルフだってオドロキであろう。
白く透けるような肌。ぱっちりした目がキラキラと輝くさらさら金髪の超美少女ッ!
…でも魔族っ…!
「好み…」
「え?ロディさんってそういう奴?」
ぽそっと言ったロディに、ティナが後ずさりしながらつっこむ。
「久しぶり、ロディさん」
「まぁったく、いきなり攻撃けしかけてきて…」
にこにこ笑顔で言う美少女と、頭をかきつつ愚痴るロディ。
それを、ただボーゼンと見つめるティナ。
そんなティナを嘲笑うかのようにただようフェアリーソウル。
「あ、紹介するね、ティナさん。こちら、覇王樹けーなさん」
「ども、けーなでぇーっす」
あっけにとられて、ティナは何も言い返せない。
「あたし達、ちょっと前にいろいろとイザコザあってね。知り合いなんだ」
いちおう解説するけーな。
「そ、そうなの…てっきりロディさんて、友達いないんだと思ってたけど…」
げしっ!
ティナの呟きに、ロディが蹴りをいれる。
「だからぁ、友達じゃなくて知り合いだって…」
ぼぐっ!
けーなのつっこみに、ロディは今度はパンチをくらわせた。
「そっ…それで、そのデモン・ブラッドって?」
「そうそう、けーなさん、それなんだけど…」

「へぇ、こんなトコに…」
イカ焼き片手に神殿に入ったK伯爵は、祭壇を見るなりそう言った。
「どうしたの?」
べるるんの問いに、K伯爵はにやっと笑って、祭壇に突っ走る。
「デモン・ブラッド、いっただきぃーーーっ!!」
『えぇぇぇぇぇっ!?』
叫び声がこだまする。
「あの、神殿の中は静かにしていただけませんか…?」
司祭がでてきていろいろ愚痴るが無視。
「な、なんでこんなとこに?」
かけよって尋ねるべるるんに、K伯爵はその石を調べながら、
「それは知らないけど、間違いないわ…デモン・ブラッドよ」
「ふむ、なるほど」
なぜか納得するセレス。
「…なにがなるほどなの?セレス」
「作者がさっさとデモン・ブラッド集め終わりたいから、こんなに手軽にデモ…」
はっ!
セレスはこの時、やっと気付いた。
それが言ってはならない事だということを。
司祭がばたぁんっ!と景気よくドアをしめてトンズラする。
セレスは頬に汗たらしつつ、笑顔のままで凍りつく。
めなりんは気力が最初からないので、そのまんま待機。
べるるんはがくぅっ…と力なく、その場に崩れる。
そしてK伯爵は祭壇に向かってこう叫んだ。
「神よっ!仏よっ!キリストよっ!!あたしらって一体なにやってるんだろぅっ!?」
「K伯爵、聞いちゃだめだそのことは…」

「これが、そのなんとかいう宝石だと思うけど…?」
けーなの左手に握られたものは、まさしくデモン・ブラッドであったっ!
「やったっ!先制てぇーんっ!!」
ティナ、実は先制点じゃないんだよ…byK伯爵
「これくれない?」
「勿論いいけど…そのかわり、ちょっと相談があるの」
ロディの言葉に、けーなはちょっと迷ってから、真顔で話しはじめる。
「イルマード公国の、ちょっとした片田舎に神殿があるの」
「…片田舎って…イルマード公国じたい田舎じゃない」
ロディの言葉は聞かないふりをして、けーなは続ける。
「ここから東に1時間ほど歩いた町よ。それで、そこの神殿にこれを届けてほしいの」
言われて渡されたものは、ただのオーブ。
「なんなの?これ」
じろじろ見回すティナ。
「いけばわかるって。じゃ、あとよろしくねっ」
言って、けーなは消えてしまうのだった。

「…来るっ!?」
唐突に。
涙していたK伯爵が叫んだ。
「なに…」
ばたぁぁんっ!!
セレスの言葉が終わらないうちに、神殿の扉が景気よく開いた!
「あのぉ、すいませぇぇん、これ、渡すようにいわれたんですけどぉ〜」
「…御主人様…なにブリッコしてるんです?」
ぶりぶりしながら入ってきたロディに、セレスがツッコミをいれる。
「え?なんであんた達がこんなとこに?」
遅れてきたティナが息をきらしながら問う。
「それはこっちのセリフだっ!人にこんなモンおしつけといて!」
「こっ!こんなモンとは何ですか!?これでも一応イルカなんですからねっ!」
「夫婦喧嘩はそのてーどにしといてっ!
それより、何か変よっ!!特にそのロディの持ってるオーブ!!」
K伯爵がびしぃっ!と指差したオーブを見て、一同はずざざっと後ずさりする。
「とけてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
「なんでとけるのよぉぉぉっ!?」
オーブを右手に乗せたまま絶叫するロディに、ティナが隠れながらきっちりつっこむ。
それはともかくとして、オーブは溶けたままだんだん発光しはじめ、ついには…
「おりょ?」
手に、硬い感触。
大きさは、手にこびりついてるあの…
そう、デモン・ブラッドの感触…
「やったぁ!デモン・ブラッド、GETだぜぃっ!」
カメラ目線でピースするロディ。
「なんですってぇ!?ちょっと待ちなさいっ!ロディ!!あんた悪役のくせに生意気よ!」
「悪役とはなによこのすかぽんたんのまるはげどんッ!そしてブス!!!」
ぷちっ。
K伯爵の両の瞳が、真紅に染まる。
これぞ、K伯爵の怒りの印っ!!
「ぶすぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ティナさん、一時撤退よっ!」
「い、いわれなくともっ!!」
すぅいっ!
叫んで消えるその二匹。
「こらぁぁっ!まちなさぁぁぁいっ!」
しゅびっ!
それに続くK伯爵。
「…い、いってしまいましたね…ティナ様まきこんで…」
「まったく…一体何やってんだか、あの二匹は…」
呆然と後に残るセリアとべるるんの二匹。
…二匹である。
「…あれ?めなりん?」
辺りを見渡すが、どこにもあの姿はない。
「…べるぜ様、べるぜ様っ!!」
「ん?どうしたの!?」
セリアの呼びかけに答えるべるるん。
「これっ!!」
どんっ!とセリアが出したのは、まぎれもなく…
「…めなりん人形、銀貨3枚?」
「そうじゃなくて、このデカブツの持ってる紙っ!!」
そのめなりん人形となづけられた異様なシロモノの持つ紙をとり、二匹は読み上げる。
「旅にでます、探さないで下さい。
追伸、この人形はめなりんだと思って大事にしてね(はぁと)
人工知能が移植されてて、喋って動いて食べて寝るからね(はぁと)byめなりん…」
…ひるるるるるるるるるる…

「S様っ!やりました、念願のデモン・ブラッド!!2つもですっ!!!」
出現するなり、ロディが叫ぶ。
「よっしゃぁよくやったっ!これで、ロディのものとあわせれば9つだなっ!!」
Sまでガッツポーズをとり、ヨロコビを分かち合う。
「…ふっふっふっふっふっ…」
びくっ…
そんな二匹に寒気をも呼ぶ、低い含み笑い。
「へぇぇぇぇぇ…9個も。ふぅぅぅぅぅぅぅん…」
「あぁぁぁっ!K伯爵っ!…ティナさんは!?」
「アストラルサイドで迷ってるわ!」
……。
予想と反した答えに、Sはしばしとまどい…
「迷ってる…って?」
「…コースをはずれて、セイルーンの方にいったとおもうけど」
きょとんっと言い放つK伯爵。
「…そうだった、ティナさんって運動神経はいいのに方向音痴だったんだっ!」
「んな話があるかいっ!…それよりロディ!
この火眼黒翔貎様を怒らせた事、後悔するがいいわ!!」

「K伯爵、どこにいっちゃったんでしょう…?」
心配そうな顔をして、それでもサンドイッチを口に運ぶセレス。
既に夜である。
「ま、K伯爵が滅んだりするわけはないけど…」
「でも、相手は御主人様とティナ様、下手すりゃS様も加わるんですよぉ?」
「…K伯爵は、あれより上級魔族だったと思う…たぶん」
セレスの手から、サンドイッチがこぼれおちる。
「…そ、そんなすっごい方だったんですか!?」
「わたしら全員、少なくとも小説ではそーゆー設定になってる」
「本物はどうなんですっ!?」
なぜか意気込むセレス。
「それは本物に聞いてみる事。わたしは知らない」
「めなりんはっ!?」
めなりん人形にセレスが尋ねる。
「知りません」
無表情で答える人形。
「あ、敬語使ってますよっ、このボタン押してみませんか?」
「やめなよ…どーせ自爆装置なんだろーしさぁ」
「でもぉ、興味ありますぅ…」
「じゃぁ押してみれば?」
「べるぜ様押してくださいっ!」
「おまいが押せっ!!お・ま・い・が!!」
「無理です!私がふじこならあなたはルパンっ!まりあは林原さんでしたね皆さんっ!!」
「なにごちゃごちゃいってんの…さっさと押せば?」
「はいっ!」
…なにやら騒がしい葛藤の末、セレスは人形の背中のボタンを押してみる。
カチッ…うぃぃぃぃぃぃぃぃぃん…
「初期コード435、自爆します。カウントをはじめます」
淡々と言う(?)めなりん人形。
「だからいったのに…」
「ど、どうすればいいんでしょう、ルパンっ!?」
「いいかげんその謎の発想から離れんかっ!」
慌てる二匹に、めなりん人形が冷たくカウントしはじめる。
「5,6,7,8,9…」
「…カウント、アップしてますよ…」
「どーせ不良品なんでしょっ、いいから早く、窓から投げ捨てて!」
ぽーーーーーーーーーーーいっ(投げ捨てた音)
どばごぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!
「をー、見事に自爆しましたねぇ」
「…させてどーすんのよ…あんたわ」
「いいじゃありませんか、これで二人っきりのらぶらぶな旅に(はぁと)」
その言葉に鳥肌をたてたべるるんの左手が一閃する!
べちっ。
次の瞬間、あっさり気絶したセレスを破棄して、べるるんはさっさとどこかへ姿を消したのだった。

「ふぅ…」
溜め息をついて、K伯爵は我にかえった。
前には、ばたんきゅーしてるロディとS、そして転がるデモン・ブラッドのみ。
「…ま、こんなもんかな…」
こんなもんじゃない気がする…
K伯爵の暴れた後…闇の中にわだかまる気配は、一瞬消滅した物たちの破片、そしてS、ロディ。
ティナはいまだにアストラルで迷っているらしい。
デモン・ブラッドも奪った(ちなみにこれで48個)
ストレスも解消した。
邪魔物もとりあえずQした。
…邪将軍が、追ってくるかもしんないけど…
とりあえず、あとは合流するだけであるっ!

「っふっふっふっふっふっふ…やっとあたしの出番のようね…」
闇に、女の声が響く。
いつか聞いた、あの声が。

「あ、見ーつっけたっ!!」
「どわぁぁっ!?…なんだK伯爵…びっくりさせないで…」
セイルーン…とかろうじて呼べる、その国のド田舎の村のレストラン。
「どわぁーじゃないわよべるるん。途中でめなりんも拾ってきたわよ、ほら」
いまだに驚いてるべるるんに、K伯爵は隣で既に開き直ったと見られるめなりんを見せる。
「…自分だって、ブスって言われただけで目真っ赤にして暴走したくせに…」
「そんなこと言ったらべるるんだって怒って蝿暴走させるじゃない」
……
『全てはおまいが悪い!!』
「そぉんなことないない、あたしじゃなくて作者が悪いー(はぁと)」
そうそうめなりんのゆーとーり、作者が悪いー(はぁと)
…それはとにかく。
「デモン・ブラッド、貰ってきたわよ!これであと1個っ!!!」
嬉しそうにデモン・ブラッドを見せるK伯爵。
「…あと1個…作者も楽をするものですなぁK伯爵」
「そうよねぇべるぜさん。いつの間にか48個になってるとは、作者もついに飽きてきたのかしらぁ?」
…う゛っ…
ま、話を先に進めるとして…
とりあえず、デモン・ブラッドはあと一つに迫っている。
しかし、48個見つけてはきたが、『もう一つ』が見つかるのは、たやすい事ではない。
…ハズだったのにっ…
「ティナが持ってるでしょ」
そのとおりである。
K伯爵のいいかげんな予想は大当たり、そして当のティナはと言えば。
Sの所に無事辿り着き、二匹を見て唖然としていたりするのであった。
そんな遠くの敵はともかく。
「でてきたらどう?邪将軍」
香茶なんぞをすすりながらのK伯爵の呼びかけに、柱の影の邪将軍が一瞬反応する。
「いい加減しつこいねぇ、あんたも…」
「……」
べるるんの言葉にはびくともせず、黙って鞘から刀をぬく。
「表へでな。ケリをつけてあげるわ!」
真剣な面持で、邪将軍は刀の先を三匹に向けた。
「やだ」
「いーからでろっ!おまいらはっ!!」
即答しためなりんを蹴り飛ばし、K伯爵を抱え込み、べるるんはほっといて、邪将軍は表へでる。
「…こういう場合、わたしって何をすればいいんだろう…」
一人になってしまったべるるんは、結局そのままそこでAランチを注文した…

「きゃぁぁぁぁぁっ!パンツ見えるパンツ見えるいやだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うるさいわねっ静かにしなさい!!」
「ぐぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ…」
K伯爵を肩に担いで、めなりんは足で引きずって、邪将軍は人気の無い裏路地にはいる。
「お前はこなくていいっ!」
どげしぃッ!!!
邪将軍の見事な蹴りで、めなりんは空の星と化す。
「あぁっ!死神と蝿の所有物になんてことすんのよ!」
「決着をつけるわ!私はまだあきらめてはいない!!」
言っていきなしきりかかる邪将軍。
驚いたK伯爵はつんのめって、そのまま後ろに倒れる。
そこに、邪将軍の一閃がひらめいた!
べちっ!!!!!
「…ほにゅ?」
「め、めなりん…」
そう…そこにはついさっき蹴り飛ばした馬鹿魔族が、重力によって戻って来ていたっ!
そして邪将軍にクリティカルヒット!!!!!
当の邪将軍はよろよろとおきあがり、きらりーんと目を光らせてめなりんにきりかかる!
「おまいはそこでねてろっ!」
すぱっ!
気合一閃、物の見事にめなりんは、両腕・両足を斬られて気絶した。
「うっ…血生臭い…」
自分でやったくせに言う邪将軍。
「とにかく、いくわよっ!」
K伯爵が先制攻撃をしかけた!
懐から白いものをとりだし、邪将軍になげつける!!!!
――ダイコン。
すぱすぱすぱすぱ!!
「ぃよっ!かつらむき!!!じゃ、こんどはニンジンでぇい!」
「まかしといて!こう見えてもサイラーグでは名の売れた包丁売りの人その1だったのよ!」
すぱすぱすぱすぱすぱ…
次々と御野菜を切っていく邪将軍。
切られた御野菜は次々と、めなりんの腕や足、胴にのっていく。
これぞ、邪将軍秘儀、めなりん盛り!
血をつけて御召し上がり下さい(はぁと)
「おいさっ!ごぼう!」
「今夜はきんぴらごぼーねっ!」
「ゆけぇ、たまねぎ!!」
「今夜はきんぴら玉ねぎね!!」
邪将軍、混乱してる…
それが、約2時間続く。
いい加減飽きてきたK伯爵が、めちゃめちゃでっかいカボチャをどこからか出してなげつけた!!
「とぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
今、邪将軍の目にはカボチャしかうつっていないっ!!!!
「たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
ばったぁ邪将軍、振りかぶったぁ!
ガッ!!!!!!!!
根性を見せて這いずり、邪将軍の足に頭突きをくらわせるめなりん!
たまには役に立つのか、はじめてしったよ…
と、そんな作者の可愛い想いはどこへやら、邪将軍はバランスを崩して…
べこしゃっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
…カボチャに顔面からぶつかり、気絶したのであった…

「おかえり」
特に疲れを見せないK伯爵が、めなりんを担いで宿屋に帰ってきたのは、それから間もなくの事だった。
「邪将軍、ばたんきゅーさせてきたわ」
「ごくろーさん、こっちも結構大変だったけどね」
……。
「なんかあったの?」
K伯爵がべるるんに問い詰める。
…べるるんの頭、ナイフ突き刺さってるし…
「べぇつに。ちょっと、クリスとアイラが宣戦布告してきたからさ」

そう、話は1時間前にさかのぼる。

べるるんが優雅に香茶を飲んでいた時だった。
ぐさっ。
突如べるるんの頭にナイフがささる。
しかし気付かずにべるるんは、そのまま雑誌を広げてよみいってしまう。
「あ、魔力を入れ忘れた…」
いきなり横からかかった声にふりむけば、クリスとアイラの顔。
「なに?あんたたち」
ナイフがささったままでシリアスするべるるん。
「私達の御主人様を可愛がってくださった、K伯爵さんはどちらへ?」
アイラが涼しい顔で言い放つ。
「今はちょっと、やっかいごとがあっていない」
どーでもいーが、ナイフが気になる…
「そう…また来るわ…」
アイラはなぜか、安堵の表情で、そのまま虚空にとけ消える。
「あたしは容赦しないッ!」
そして一匹で燃え上がるクリス。
「ほいさっと」
べるるんは、言って雑誌を投げつける。
「ぶっ!?」
雑誌を顔面に受けてたじろぐクリスに、べるるんの攻撃が襲い掛かった。

…とまぁ、こんなもんである。

「クリスは、ティナの居場所は知らないみたいだっからさぁー…
どーせだから、身ぐるみ引っぺがして金貨奪って、アストラルサイドにほうり込んじゃった」
この蝿も、けっこうむごい事してるよーな…
K伯爵の心の呟きも空しく、べるるんは笑顔で金貨の詰まった袋を見せる。
「そうなると…あとはアイラとスピカ、ティナとロディなのよねぇ」
ほけーっと言うK伯爵。
ロディは絶対復活する。
なぜなら作者があたしだから(をい)
…そんなK伯爵の背中で、血だらけのめなりんはこう言った。
「…セレスは、どーするの?」
…………
「わぁすぅれぇてぇたぁーーーーーーーーーー!!!!!!!」

≪続く!≫

今回忘れられたセレスと、道に迷ったティナさんの運命やいかに!!?
なんて書いてもどうせ基本中の基本に従って書くんだから先は見えてますが(泣)