◆-天上の乱世1-LINA(11/2-18:22)No.338
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 ┣天上の乱世6-LINA(11/2-19:20)No.343
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 ┃┗お礼です-LINA(11/3-15:35)No.364
 ┗天上の乱番外編・判官びいき(?)-LINA(11/4-20:37)No.374
  ┗感想&お詫び-ティーゲル(11/6-22:27)No.393
   ┗Re:感想&お詫び-LINA(11/8-17:36)No.428


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338天上の乱世1LINA 11/2-18:22



平家天下の京都。そこに、辛うじて居残る源氏の娘とかつて、栄華を極めた大貴族藤原家の娘が寄り添うように歩いている。別にこれと言った用事が無いならまだしも、嫌な予感がする。二人の一致した意見であった。
「いませんね・・・。璃那さん。」
黒髪の藤原姓の娘、藤原天梨唖(ふじわらのアメリア)が源氏の娘、源璃那(みなもとのリナ)に呟く。
「おっかしいなあ。何時もはこの辺で京童部(今で言う不良グループ)相手に喧嘩してるんだけれども・・・・。」
不安げに辺りを見まわす。
「また検非違使(今で言う警察)の楠零琉(くすのきレイル)に捕まってるとか・・・・。」
天梨唖。
「そーならあの人、家に連絡くれるわ。私が身元引きうけ人となっていっつも引き取りに行っているもの。」
きょろきょろしながら璃那がいう。
「あ〜〜あ、何所行っちゃたんでしょうね、袈韻さん。」
そう。この二人は今、璃那の乳兄弟にあたる今井袈韻(いまいケイン)を探しているのだった。が、ちょうどその時だった。
「璃那!!大変な事に成ったぞ!!」
唐突に掛かる声。別手に別れて袈韻を探していた 手塚是婁(てずかゼル)であった。
「ああ、是婁どーしたの?袈韻の奴真昼間から酔っ払ってどぶにでも落っこちてたの?」「・・・・。全く持ってそのとーりだ。」
「じゃあ、何時もの事ですよ。そう慌てる事ありませんよ。一寸家の中臭くなりますけれど・・・・。」
「まあ、そうせかさず聞け。その後が悪かったんだ。通りかかった平家の郎党の足をどぶから這い上がる時、袈韻の奴、弾みで踏んじまったらしいんだ。で、大喧嘩になって今、奴は牢獄にいて平家の奴の取調べを受けている。」
「まあ、どぶから上がった弾みで足を踏まれれば確かに汚いし腹は立ちます・・・。でも、悪徳平家にならそれぐらいしったて構いませんよ。」
事も無げに天梨唖。
「しかし。相手が悪すぎるぞ。なにせ、最近頭角をあらわしてきた平家一門の若手の剣士平雅瓜威(たいらのガウリイ)の郎党に喧嘩を売ったんだ。奴もただでは済まされますまい。」
やたらと冷静な分析をする是婁。が、こちらにまで気は回らなかったのであろう・・・。
気付いた時には時、既に遅し・・・・。
「平雅瓜威・・・・。ね・・・・・。」
そう言ってズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと殺気を発しつつズンズンと進んで行く璃那。
「おい・・・・。璃那。何所へ行く?」
「殴り込み。袈韻、取り返して来る。」
「ああそうか・・・・。気をつけろよ・・・・て!!一寸待てええええ!!」
「煩いいいいいいい!!『平氏で在らずば、人にあらず!!』などとほざくような連中に目に物見せてくれるのよおおおお!!!!」
逆ギレ璃那・・・・・。かくして・・・・。


「なあ〜〜〜頼むよお・・・。ちゃーんと取調べに応じてくんねーと、俺昼飯食いにいけねーンだよおおおおお。」
懇願するような情けない声をあげ、罪人の取り調べを行うその男。
しかし・・・・。無意味に黒い布を羽織ったその罪人は応じ様ともしない。
「ほっといてくれ。煮るなり焼くなり好きにしろ。そーゆーの、平家のお得意だろ?
あーああ。俺が悪うございましたよ。最後に処刑される前に乳兄弟にして妹分、ついでに言っちまえば君主の璃那様にお別れできりゃ万万歳だ。」
悪態をつくようにその男、袈韻は雅瓜威に言い放った。
「でもよ〜〜〜〜。俺、不正って症にあわないし・・・・。」
袈韻の皮肉を意に介する様子もなく雅瓜威が懇願を続ける。丁度その時だった。
「うおおおおおらああああああ!!!平ハゲ盛の一族!!あたしの乳兄弟をかえしなさああああああああい!!」
その人物は言うが早いか、不意打ちの拳骨を雅瓜威に食らわせた。
「いでえええええええええええええええええええええええええええ!!!」
正直に感想(?)を述べる雅瓜威。
「この源璃那様の乳兄弟、今井袈韻を裁こうとは良い根性してるじゃない!!打ち首覚悟でここまで取り返しに来てやったわよ!!」
「だれだあああああ!?お前・・・・。」
目を潤ませたまま雅瓜威が尋ねる。
「聞いてなかったの!?源璃那様よ!!かくゆう、アンタが平雅瓜威ね!!悪いけれども袈韻は返してもらうわよ!!」
やっぱり来たか・・・・。そう言った苦笑を袈韻とかいうこの男は浮かべた。
この二人恋人かさもなきゃ従兄妹か兄弟か・・・。(乳兄弟と聞いてなかった。)
雅瓜威はよくよくその乱入してきた娘を見る 。
髪型でこそ長く伸ばした髪を背中に垂らしているが服装は完全な男装。腰にはかなりの造りの良い大太刀が括り付けられている。あながち源氏というのも嘘では無さそうだ。
敵対する平氏のところに単身乗り込んでくるとは。敵ながら天晴れである。
しかし・・・・。賞賛の言葉よりも口から先に漏れた言葉は・・・・。
「よかった〜〜〜〜。これで仕事から解放されたあ・・・・・。」
ズベ!!
平家の男の予想外の言葉に璃那はマトモにこけた・・・・。
相当な凄腕の剣士と聞くから警戒してきてみたものの・・・・。
ただのとっぽいにーちゃんじゃない。しかし・・・・。何よこの緊張感の無さは!!
「あ・の・ねえええええええ!!そりゃーどーゆー意味!!??」
密かに雅瓜威が「なかなかの美人」などと思っていることも露知らず、璃那は雅瓜威の顔面に向かってどなりっちらす。
「いや。この男、なかなか事情聴取に付き合ってくんねーから身元引きうけ人が来たら帰そうと思ってたんだ。昼飯食いにいきたいし。」
「・・・・・・。そう・・・・。じゃ、さよなら。行こう袈韻・・・・。」
付き合いきれない、と言った思いを抱えつつ璃那は袈韻の罪人縄を解いてやる。
「まあ・・・・。コイツ・・・・。悪い奴じゃなさそうだがな・・・・。」
袈韻も呆れ顔で璃那に呟く。
「・・・・・。でも、平氏は平氏よ。ともかく帰りましょう。伽菜琉(キャナル)と魅李射(ミリィ)も心配してるわ・・・・。」
天梨唖と次ぐ親友、北条伽菜琉と細川魅李射も今頃袈韻を探しまくっているだろう。
そう察して璃那はここを早めに引き上げた。

「なあ、零琉、あれ、誰だ?」
街の情報についてはこの部下に聞くことが一番である。
雅瓜威は消えかける璃那と袈韻を指差し、つい先ほど現れた部下零琉に問う。
「アレは兵衛之(ひょうえのすけ:源頼朝)を本家とする源氏の傍系中の傍系の一族の娘璃那とその乳兄弟袈韻です。」
「源氏がどうして京都に?普通追放となっているはずだゾ?」
「まあ、璃那は女ですし、男の兄弟もない。別に叛骨する恐れもナシと見なされて問題外視されていると聞き及びます。もっとも、その乳兄弟袈韻はとんだ問題児で私も良く手を焼かされております。」
「ふ〜〜〜〜〜ん・・・・・・。璃那・・・・かあ・・・・・。」
零琉の後半の説明など耳に入っていない雅瓜威だった。


「ねえ、璃那聞いた?」
唐突に話し掛けて来る伽菜琉。
「袈韻を探してる時に聞いたんだけれどもね、どうも以仁王が後白河法王のご意向に従って打倒平氏を呼びかけたらしいの。璃那も源氏として旗揚げしたら?」
冗談とも本気と持つかない事を言う魅李射。
「正義のためには素敵な事です。」
続けて天梨唖。しかし、璃那、是婁はあくまで表情を変えない。
「馬鹿おっしゃい。ンな事したら鎌倉殿(頼朝)か平家に殺されちゃうわよ。」
後を暗示させるような台詞を璃那は呟いた・・・・。


続く。











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339天上の乱世2LINA 11/2-18:44
記事番号338へのコメント
何時もの仕事場。
そこに今日も仕事仲間が集まる。」
しかし・・・・。璃那の姿は見当たらない。
「ええええ!!!まあた袈韻の奴、零琉のあほんだらに捕まったの?」
魅李射が驚いたように言い伽菜琉がマトモにお茶を吐く。
「捕まえる零琉よりも・・・・・。捕まるよーな事しでかす袈韻の方が阿呆だと俺はおもうのだが・・・・・。」
是婁が困り果てた顔で言う。
「璃那さんも大変ですネエ・・・・。でも袈韻さんも璃那さんも似たもの同士ですし・・・・。まあ、この場は良しとしますか。所で知ってました?ナンでも平家の何所ぞかの若様が絶世の美女と謳われるあの汁譜萎留内親王とのご婚約を破棄されたとか。」
「え、なになになに?伽菜琉そーゆー事には興味シンシン。天梨唖、もっと詳しく・・・。」
「下らん事に無駄な時間を費やすな!!」
女上司の慧屡(L)の一喝の元、その話はお流れとなった。
「まったく、袈韻といい璃那といい天梨唖と言い伽菜琉と言い!!これも単にお前の躾が悪いから仕事を真面目にしないのよ!!部下重笥(S)!!後でおしおきよ!!覚悟しなさい!!」
やおら大工仕事に用いる木槌を取りだし部下重笥に迫る慧屡・・・・。
その後の彼の運命は太政大臣清盛と言えども知るところではない・・・・・。 (合掌)三ヶ月間、誰一人彼の姿を見たものは居なかった・・・・・。


部下重笥の身に何かが起きてるその頃・・・・・。
「今日はナンにもしてねーのに歩いてたら捕まった。」
不機嫌そうに袈韻が璃那に零す。
「まあ、良いわ。袈韻先仕事場行ってて。さも無きゃ重笥が酷い目にあうわ。」
「そーだな・・・。慧屡様は何かにつけて重笥を殴るし。で、お前は一人で大丈夫なのか?」「だから・・・・。その処分を今日こそキッパリとつけたいの。」
「・・・・。そっか。俺がついてたら前みたいにややこしくなっちまうモンな・・・。まあ、良い。先に帰ってる。ナンかあったら大急ぎで逃げるんだゾ!」
袈韻はそう乳兄弟に言い残し去って行った。
さってと・・・・。ど〜したものか・・・・・。
一人思案に暮れて璃那は歩く。
「お〜〜〜い、お前、璃那って言ったよなあ?」
唐突に後ろから声が掛かる。
璃那の顔がぴくぴくぴくぴうくぴくぴくぴくぴくぴくぴく〜〜〜と引きつる。
あんときの・・・・・。
璃那がそう思っているうちにその人物はこちらにやってくる・・・・。
咄嗟に璃那は思いついた言い訳を言う。
「袈韻なら出頭できないわよ!!今、ドブにハマってモガいてる所だから!!」
ど〜せ平家の役人が話掛けてくるなんてソンな事か嫌がらせに決まっている。
その平氏、雅瓜威の次の言葉を想定し、璃那は身構える。が、
「あ!?そーなのか?いーのか?助けてやらなくて?」
意外、と言えば意外な言葉である・・・・。まあ、もし本当にソンな事起きたならそうしてやれというのは正論だけれども・・・・・・。ともあれ、いけ好かないすかした平氏に戸惑った顔を見せるのは自尊心が許さない。
「ばっちいでしょうが。」
と反論する。
「洗えば良いじゃねーか。」
事も無げに言い返される。
「洗ったらすぐに出頭させろって言うの?乾かしてからじゃなきゃ風邪ひくじゃないの?」
「出頭させろなんて誰も言ってねーゾ。そりゃーまあ、風邪ひけば喉は痛いし、鼻水でるし、下手すりゃ中耳炎になっちまうがな。」
ヘンな平氏。
「ナンで平氏のアンタが源氏のアタシと歩いているのよ。」
一目瞭然とまではいかないが璃那は一般の武家娘。雅瓜威は誰がどう見たって栄華を極める平氏一門の格好である。こんな奇妙な組み合わせは璃那としては居心地が悪い。
「悪いか?」
「悪い。悪い。滅茶苦茶悪い。悪すぎる。」
「そっか。じゃあ、今度からもっと平氏っぽくない服装しよう。」
・・・・・・・。ナンなんだよ、だからさ。・・・・・・・・・
「ナンか用?」
今更ながら璃那は聞く。どーやら袈韻をしょっ引きに来たのでは無いらしい。
「別に。只暇だから。」
暇なら人に付きまとうんか?己は!!ん、でも待てよ・・・・。これを一寸・・・。
「あのさあ、えっと、雅瓜威だっけ。暇なら一つ頼まれてくんない?」
璃那は出来るだけ意味深な声をたてて言う。
「ん、ナンだ?」
つられて声を落として雅瓜威。
「あのね、アタシの良く知ってる子がね、成金ぢぢいに後妻になれって迫られてんのよ。それで、そのこ物凄く嫌がってるんだけど・・・。そのぢぢいがすっごくしつこいの。」「ふ〜〜〜ん。そりゃ、大変だな・・・・・。」
「で、その子助けると思って一寸そいつの前で凄んでくれない?『アイツに手を出すな』とでも言って・・・・。そいつもーすぐここに来るのよ。」
「別に良いけど・・・・・・。」
「そう。アリガト。じゃあ、どれがそのぢぢいの牛車が教えるわね。そしたら私、面が割れてるからあそこの物陰に隠れるわ。とにかく後はよろしくね!!」
まもなく・・・・・。
「あ、あれあれ。う〜〜〜え〜〜〜〜〜。何時見ても悪趣味・・・・・・。」
「同感だ・・・・。俗に言う成金趣味って奴か・・・?なんで車の天辺に金と銀の鳳凰がくっつてるんだあ?」
「・・・。、平等院鳳凰堂(十円玉)か?・・・・。あのぢぢい・・・・。ともかく・・・。頼んだわね、雅瓜威。」
「お、おう!!」
ま、どうせもう二度と合う事も無い人だもんね。この位のハッタリ、まあ方便でしょ。
そんな事を考えつつ璃那は物陰に入りそこから路地裏に行き八橋なんぞを売っている屋台からそれを買い占め、また元の物陰に戻るといざ雅瓜威と成金ぢぢいの対決を高みの見物と洒落込んだ。
(さってと、これが終わったらあの変わり者平氏、何て言って悔しがるかしら?『くそ〜〜〜〜!!源氏の女にハメられたああああ!!』かな?まあ、真相教えてやるだけでもありがたく思いなさい(はあと)。)璃那は一人で浮かれていた。
「其処の平氏の方、私に何かの御用で?」
年のころなら3・40代。
容貌的には可笑しくも無いが、目がブッ潰れるほどの成金趣味なド派手な服装。
まえの奥さんには逃げられたんじゃないのだろーか・・・・・。雅瓜威はふとそんな事を思う。
「お前かあ!?あの女に言い寄っていると言う成金ぢぢいとは?」
演技とは言えなかなか怒気の篭もった声。まあ、こんな奴見れば誰だってむかついてくるだろうが・・・・。
「なにを・・・・?イエ、そんな、言い寄るだなんて・・・・!!正式に求婚してるまでです!!」
相手が平氏では言葉遣いまで卑屈ねえ。いつもは金見せびらかして威張ってるのに。
最もあんなヘンなぢぢいの後妻になんて銭ゲバ娘の伽菜琉ですらお断りだろう。
「いいか!!どんな形にしろあの女に手を出したら俺がただじゃおかないぞ!!」
よ!!流石は平雅瓜威。びびって、逃げて行きやがったの、あのぢぢい。ひょっとしてチビッたか?
「お〜〜〜い、璃那。追っ払ったぞ。」
何時もの、と言ってもアタシの知ってる限り何時もの雅瓜威の声である。
よっぽど嫌だったんだろうね・・・。あのぢぢい。演技とは言えあんなに鋭い声出して怒るなんて。
「しかしなあ、璃那、お前サンも大変だなあんな成金ぢぢいに後妻になれなんていわれてさ。」
「そーなのよ!!まえ一回袈韻と是婁にも力んでもらったんだけれどもなにせ後ろ盾がないせいでかえってナメられて・・・・て!!ナンでアンタ知ってるの!!?アタシは確か知ってる子が困ってるって言ったはずよ!?」
「うん。最初俺もそうかと思った。けど、あの鳳凰のついた牛車に乗った成金に求婚されて困ってる源氏の娘がいる、って聞いてああ、璃那本人の事かって思った。」
くううううううううううううう!!被害者がアタシ本人と知ってただアアアア!?
こんの屈辱ううう!!折角アタシじゃないと思わせて平氏が源氏の娘の手助けを知らず知らずのうちとはいえした、っと知った時の雅瓜威の顔想像してたのにいい!!
「で、一応恋人役ちゃんとやってやったけれど?良かったか?」
だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!どーーーーーしてへーーーーーきでそーゆー事言う!!!!??????????
仮にも源氏と平氏・・・・、て!!そーゆー問題じゃない!!アタシの名誉の問題よ!!でも・・・。冷静に考えてみろよ。
「そりゃどうも。でも、恋人役してくれって頼んだ覚えは無いわよ。一寸脅してくれって言っただけじゃない。まあ、アンタとももう二度と会うことは無いでしょうから別にどうだっていいけれど!!」
言って踵を返しかける璃那に慌てず騒がず雅瓜威は・・・・。
「そっか・・・・。じゅああ、またお前サンの乳兄弟に囮になってもらっておびき出すしかないか。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!「一寸、ソレどーゆー意味!!袈韻は歩いてたら行き成り零琉に捕まったて言ってたけれど・・・・!!アンタ、真坂零琉とグルでアタシの事からかったの!?」
「まあ、からっかたてのは考えすぎだぜ。確かに俺はお前サンの事おびき出すために零琉とつるんだが・・・・・。ついでに零琉は俺の郎党の一人なんだ。知らなかったか?色々お前サンや袈韻の事話してくれたぜ?」
「零琉の奴うううううううううううううううううう!!今度拳骨くれてやる!!」
今更ながらに璃那は悟った・・・・。まんまとダマされてのは自分だと・・・・。
「ふ〜〜ん。そりゃ好都合。璃那の事、捕まえやすくなるな。」
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!もお、知らない!!なんでアタシに付き纏うの!!」
「一目ボレだから。」
「っぎゃああああああああああああああああああああああああ!!知らない知らない知らない知らない知らないいいいいいいいいいい!!!!!!地の果てまででもにげてやるううううううううう!!」
「なら、追いかける。」
「だあああああああああああああ!!!もう、帰る!!」
「じゃあ、また(滅茶苦茶強調)。」
「しるかああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
一難去ってはまた一難・・・。
折角成金から逃れたもつかの間、璃那は新たなるすとおかあ(?)に付け狙われる(?)事になってしまった・・・・・・。

続く。

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340天上の乱世3LINA 11/2-18:58
記事番号338へのコメント
「むかつくうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!あの平ハゲ盛!!」
「璃那さん・・・・・。平家の人にそんな事言ったのばれたら殺されますよ。まあ、確かに清盛は入道と呼ばれてますけれど・・・・・。」
「じゃあ何!!ご丁寧に入道はげ盛と呼べば良いの?天梨唖。」
「いえ・・・・。ソレはソレでまずいかと・・・・・。」
「とにかく!!元気なのはアンタと私だけなのよ?慧屡様も、それ以前に重笥もみいいんな寝こんじゃった挙句、袈韻、魅李射、伽菜琉、是婁までこの3日間で連続してぶっ倒れちゃったのよ!?」
「ああああもおおおお!!冬から春先にかけて、大嫌いです!!流行り病(今で言うインフルエンザ?)にみいいんなしてかかちゃうから!!元気なのはいつもアタシばっか!!」
「あんたはまだ良いわよ!!いつも季節はずれの一番最後にかかるのはアタシなのよ?」「璃那さん、最終的にみんなの病、うつされますからね・・・・。」
「そのアタシに病うつす奴等の病すら治せないのが現状なのよ!?単にハゲ盛のせい意外の何者でもないじゃないの!?」
「薬もお医者様の、み〜〜〜〜んな平氏一族に買い占められて都ではどうしょうも無いのが現状ですしね・・・・。」
「まあ、愚痴愚痴言ってても仕方ないし・・・。天梨唖、みんなの看病お願い。あたしはひとっ走りして丹波(兵庫)辺りに行って薬買ってくるわ。今日中は無理でも明日か明後日には戻るわ。」
「お願いします・・・・・・。」


「さてと・・・・。薬代も馬鹿にナンなければ旅費も運賃も高くつく・・・・。やもおえない。簪か友禅の一つや二つお質屋に入れるか・・・・・・。」
「その、腰につけてる刀にしたらどーだ?女のお前サンが持っててもしょーがねーだろ?」「ちちち。甘い話ね。家、男の子居ないからわたしが家督の総領なの。武士にとって刀を売るほどの屈辱はないわ。あんたねえ、お公卿かぶれの腐れ平氏みたいな事言ってるんじゃないって!!ああ!!」
「よ、璃那。」
「だあああああああああ!!アンタは平雅瓜威!!人の話、立ち聞きしてたわね!!」
「・・・・。お前がかってにブツブツ言ってたんだろうが。で、薬ってナンの事だ?」
「知らないとは言わせないって言いたいところだけれども・・・・・、その様子からすると本気で知らないみたいね。(脱力)。平氏一族が都中の薬買い占め、医者も全員平氏の流行り病の治療でてんてこまい。一般人の治療の術が都じゃないのよ。だから、今から丹波に行く。じゃあね。」
言って璃那は踵を返して立ち去ろうとする・・・・が、マトモによろけて壁にもたれかかる。
・・・・、ヤバイ。アタシまで感染してたってこと?最初はナンでも無いようだった袈韻も伽菜琉も魅李射も是婁もいきなりこんな風に倒れた。
ってことはアタシもこのままじゃくたばるのは時間の問題?
今年の流行り病はタチが悪いって言うし・・・・。
かといって方向音痴で有名な藤原昏石亞(グレイシア)の妹の天梨唖を使いに出したらその遺伝子から言ってどんな結末になるか未知数だが先が知れていて怖いし・・・。
この際ぶっ倒れてもアタシが行くしかないか。
「璃那。お前も感染してるだろ?」
いきなり図星をつかれたがまあ、慌てず騒がず取り乱さず。
「初期感染よ。気にしないで。」
って、言い分けになってないか・・・・・。
「他の奴に行ってもらったらどーだ?」
「知り合いや友達はもとよりも隣りご近所、家来、親類に至っても全滅。ついでに言っちゃえばその人達の他にも町の皆様のお薬も貰ってくるつもりなの。この辺一体で元気なのはわたしと方向音痴の天梨唖くらいですからね。」
天梨唖が方向音痴と決まったわけでもないのに勝手な事を言う璃那。
不幸中の幸い丹波のとある屋敷には姉の留納(ルナ)が嫁いでいる。
其処で休ましてもらうか家来に頼んで京都の天梨唖まで薬を届けてもらうかすれば大事には至らないだろう。
「大丈夫か?」
「なに、平氏が源氏の心配してるのよ。アンタこそ大丈夫?近々源頼朝だか木曾義仲だかが平氏追討の挙兵をするみたいよ?」
どーでも良い事に話を逸らす。まあ、雅瓜威達平氏にとっては重大な問題だろうけれども源氏のましてや傍系中の傍系の璃那にとって全くの無縁な話であった。
「・・・・・。やっぱり、薬とか医者とか独り占めにしちまってるからそーゆー風に平氏って嫌われるのかな・・・・?」
何時になく、と言っても璃那の知ってる限りで考え込んだように言う雅瓜威。
「そうでしょうね。」
他に言う言葉が無いので素っ気無く璃那は告げる。
「璃那は俺のことそー思うか?」
「・・・・・。それ以前に変わり者だと思う。とにかく、アタシ行かなくちゃね。なに、暗い顔してるの?」
「俺って人を不幸にしてるのかな、って思って。」
はあ・・・・。本当に変わり者。良い意味で。
「あ・の・ねえ!!例えば、今日のおかずに河豚が出たとするわよ?けれど、隣りのお家の夕食はメザシだったとする!!だからと言ってそれを気にして『隣の家が可愛そうだ!!俺は河豚なんか食わん!!』とか言うの?それぞれに与えられた境遇ってモンがあんのよ?そりゃーまあ、河豚を自慢してるような奴は最低最悪だけれども、どうしょうも無いじゃない、そーゆーのって。それに・・・。もしかしたらメザシなら何事も無かったのに河豚を食べて 毒にあったて死ぬかもしれない!!不幸と幸福の割合なんて五分五分なのよ?庶民は貧乏に苦しんでるけれども源氏に討たれる心配は無い。けれども栄華を極める平氏には源氏に討たれるかもしれないと言う憂いがある。そんな事、一々考えてたらきりが無いじゃないの!!」
一呼吸(ワンブレス)で今の台詞を言ったせいか、立ちくらみがする。間違っても流行り病のセイじゃないので、其処のところをよろしく。
「ふえええええええ。じゃあ、俺も不幸ってことか?」
感心したように雅瓜威。
「自分じゃ気付いてないけれども他人から見れば不幸な奴、と思われてる所は誰にでも在るんじゃないかしら?アタシにもアンタにも。まあ、それに気付いてない事を幸と取るか不幸と取るかはその人の勝手だと思うけど。」
「でも・・・、知らずに人を不幸にしてたら?」
「じゃあ、それなりに償えば?」
事も無げに璃那が言った一言に雅瓜威は改心の笑みを浮かべる。
「なら、璃那。薬は俺が取ってきてやるよ。それまで家で休んでろ。お使い、無理だろ?」
は?
「何言ってるの?勝手なことしないで!!方向音痴の天梨唖じゃあるまいし!!それに何その馬鹿にした言い方!!何時までも袈韻のお母様のお乳にしがみっついてる子供じゃないのよ!!???」
「・・・・。その割りには袈韻って璃那の事異常なまでに可愛がってるような・・・・。」「まあ、一応兄弟みたいなもんだしね。最もアタシも袈韻同様の乳兄弟の伽菜琉って子に異常なまでの愛情をよく注いでいると言われるけど、別普通じゃない?そーゆーの?」
「・・・・・・。血より育ちって、この事か・・・・・・。」
「ど〜〜〜ゆ〜〜〜〜意味だ。(怒)。」
「そのままの意味。」
「喧嘩売ってるわけ?袈韻と伽菜琉のぶんもまとめて買うわよ?」
「・・・・・。また拳骨くらうのやだからやめとく。ともあれ、璃那と、後は任せて家で寝てろ。俺のせめてもの償いだ。」
「別にアンタが元凶じゃないでしょ?ど〜して?」
「璃那が死んだら嫌だから。」


二週間後。
袈韻、伽菜琉、魅李射、是婁共々完全に回復した・・・・。
「けど、璃那も流行り病で臥せってたんでしょ?どーして・・・・・?」
魅李射が天梨唖に問う。
「さあ・・・。解りません。」
「大方、丹波の留納御前から送ってもらったんだろ?」
是婁の言う事に納得する魅李射、天梨唖。
「そーいえば、みんな流行り病治ったのに重笥が来てないね。それに、深刻な顔してどうしたの、袈韻?」
伽菜琉のぎもんに一同は重笥が大方慧屡様に又もやノされた事を容易に察知した。
「・・・・。平雅瓜威・・・、か。」
薬の真相を知る唯一の人物。袈韻はそっとその名を呟いた。
ともあれ・・・。近いうちに全員にこの事実を話そう。
もっとも、璃那があの男をどう思っているのかは皆目見当もつかないが。


続く。

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341天上の乱世4LINA 11/2-19:08
記事番号338へのコメント
「璃那!!璃那は居るか?」
祇園祭のあるその日の昼時、零琉が璃那達の職場の武者どころに怒鳴りこんできた。
「ナニ?アタシは今ソーメン時なのよ?静かにしてくんない?」
ソーメンを口にチュルチュル、とくわえたまま零琉の方を璃那はみやる。
『・・・・・・。恥を知れ、恥を。』
声質の良く似た零琉と是婁の声が見事にハモる。
「一体全体何の様なの?零琉。」
自称、三国一の自作ソーメンを頬張りつつ魅李射。
「璃那、お前袈韻を祇園祭の手伝いに派遣したそうだな?」
「そうだけど・・・・。また何かやらかしたの???」
まあ、零琉に袈韻が絡むといつもそんな事である。
身元を引き受けに行けば済む。そう思って璃那の注意は再度ソーメンに向けられた。
しかし、零琉の顔色は尋常ではない。
「暢気にこんな所でソーメン食ってる場合じゃないぞ!!いいか、落ち着いて良く聞け。璃那、比叡山の僧侶については知ってるな?」
「当たり前です。今平氏とタメが張れる位の権力を持つのは彼等くらいです。もっとも、どっちも威張りくさってあんまり好きじゃありませんね。」
事も無げにこたえソーメンをかきこむ天梨唖。
「その比叡山の僧侶を袈韻が殴り飛ばして大騒動になった。恐らく近々アイツの主筋の璃那、お前にアイツの身柄を引き渡すように訴えがあるぞ!!!」
言っている側から零琉は元よりも一同の顔色が変わる。
只一人、璃那を除いては。
彼女は顔色一つ変えずにソーメンを食べつづけている。
「ねえ、璃那!!」
魅李射が動揺したように声をかける。
「死んだって袈韻をわたすもんですか。悪いけれど、覚悟はしないわよ。もっとも、戦う覚悟はしたけれど。」
あっさりと璃那は言ってのける。
「けど!!」
「じゃあ、天梨唖。みすみす袈韻が良くて市中引き回し、悪くて打ち首になるのを黙ってみてろって言うの?聞いたら袈韻、怒るよ。」
またまた平常な口調で言ってのけソーメンをかきこむ。
「どうするつもりだ?」
冷静に是婁。
「・・・・・。私の考えだけど。奴等はまず、刑部省か検非違使(警察)に訴えると思うの。けど、取り合わないと思うわ。それらの役職は平家の人間に独占されているもんね。平氏の連中も比叡の僧侶にはあんまり好意的じゃないし。」
「で、其処から先は?」
「奴等は集団で強訴(反乱)してくる。それを後は追い返せばいいのよ。」


その後。比叡山の僧侶達から何度も源璃那に家臣にして乳兄弟の今井袈韻の引渡し要求があった。しかし、源氏の冠者、璃那はそれをせせら笑うばかり。
「袈韻は酔っ払った生臭坊主が伽菜琉に絡んできたのを怒って鉄拳制裁を加えたまでの事よ?どうしてソレをとやかく言われなきゃ、ならないの?」
とまあ、言を左右にはぐらかす一方だった。


やはり、刑部省に璃那と袈韻に対する訴えが出された。しかし、取り合うはずがあろうはずが無い。璃那自身は知らなかったことだが其処の長官は・・・・・。
「おい!!零琉!!璃那と袈韻は悪くねーんだろ?だったらさっさとこんな訴え無効にしちまおーぜ。」
主筋の男の何時もながらのほほ〜〜〜んとした声。
「そうは参りません、雅瓜威様。比叡の僧侶ドモと言えば一大権力です。無闇滅多なことは平氏で在れナンであれ出来ません。」
「面倒くさいな・・・。で、対策法はねーのか?」
「・・・・・・。まあ、・・・・・・・・・・・・・・・。」


「悪いな、璃那。お前にまで迷惑かけちまってさ。」
縁側に腰掛け二人はぼ〜〜〜としている。
「私が袈韻に着いて行く、なんて言わなければこんな事にはならなかったのに。」
少し哀しそうに伽菜琉が言う。
「別、たいした事じゃないわよ。まえまえからアタシ自身比叡の僧侶にはむかっ腹立ってたし、袈韻の乱闘乱痴気騒ぎなんて、日常茶飯事、でしょ?」
「まあ・・・。確かに、袈韻さんの乱闘乱痴気騒ぎは大小問わず何時もの事ですしね・・・。」
遠慮がちに意見をのべる天梨唖。
「まったくだ。」
是婁がきっぱりと言い放つ。
「でも、袈韻。伽菜琉を守るために生臭坊主をこてんぱにした状況、興味あるから話してくれない?」
「ああ、いいぜ。あの時、俺と伽菜琉は祭りの山車を引き出す手伝いをしてたんだ。で、伽菜琉が道に落っこちているお金を見つけ拾おうとした。」
「え、いいな。伽菜琉お金、拾ったの?(璃那)。」
「と、思ったら酔っ払った坊主が『コレは俺の方が先に見つけたんだ!!』とかなんとか言いがかりをつけてきやがったんだ。」
「駄目ですよ、お金を拾ったらとどけなきゃ。(天梨唖)。」
「まあ、黙って聞け。それはお金じゃなくってただの銅の塊だった。」
「なに・・・・。ソレ・・・・。(魅李射)。」
「で、その生臭坊主はそうと解るが早いか、『要らんやる!!』とか言って無理矢理伽菜琉にそれを押し付けようとしやがった。」
「おい・・・・・。(是婁)。」
「で、攻防約1時間。ついにその坊主が伽菜琉を引っ叩こうとしやがったんで、改進の一撃を加えてやったんあ。」
「・・・・・・・・・・・。まあ・・・・。偉いと誉めておくわ・・・・。」
璃那は無感情に呟いた・・・・・。


この辺りをうろつけば必ずと言っても良いほど俗に言う「生臭坊主」に出会う。
なら、話しは早い。毒を持って毒を制す、だ。
雅瓜威は平家の者とは見えない服装で無意味に其処らへんを徘徊する。
だが、酔っ払っていると見える僧侶の一人を発見するとやおら近付き、わざとぶつかって行く。
「貴様、なにする!!」
がなりたてるその僧侶。が、つぎの瞬間、雅瓜威の鉄拳がマトモにみぞおちに食らわされた。
「文句があるなら直接一族に言ってくれ。俺の名は平雅瓜威だ。」
「平」の姓を聞きマトモに顔色を変える僧侶。普通の侍一族と戦うのとは訳が違う。
この場合、見逃すしかないだろう。それを見計らい冷徹な口調で雅瓜威は追い討ちをかける。
「この間、お前の仲間が訴え処罰しろと言ってきた袈韻という男がいたよな?そいつは俺の恋人の乳兄弟だぞ。いいか、下手に強訴(反乱)なんて言う手をとって引渡しを要求して来た日にはただじゃおかねえぞ!!」
言って近くの壁を拳で殴りつける雅瓜威。
その部分の白壁が潰滅状態となる・・・・・。
「ひいいいいいいいいいいいいい!!」
逃げて行く僧侶を雅瓜威はしてやったりと言った表情で見送った。


「ねえ、璃那さん。袈韻サンの僧侶殴打事件、ナンだか知らないうちに闇に葬られたみたいですよ?単に正義は勝つ物ですネエ。(天梨唖)。」
「正義かどうかはわからんが、まあ一安心だな。(是婁)。」
「そ〜〜〜ね、て!!げ!!アイツだ!!」
ダッツと駆け出す璃那。
「お〜〜〜〜い璃那、また会ったなああああああ!!」
「だあああああああああああああ!!しつこいいいいいい!!こんのクラゲ平氏めええええええええええええええええええ!!雅瓜威、ついてくんなあああああああ!!」
「アレが噂の雅瓜威さんですか・・・・・。」
「璃那の奴。満更でも無さそうだな。」
「つ〜〜〜かまえた。」
「はなせええええ!!クラゲ平氏、はなせえええええええええええええ!!!!」


続く。

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342天上の乱世5LINA 11/2-19:15
記事番号338へのコメント
夕闇の中。
璃那は一心不乱に矢を射る。
的は遥か遠く。だが、的確に中心に矢を放つ。
「・・・。たく。どうしてこのアタシがこうも簡単に振り回されなきゃなんないの。」
苛立ったように璃那は矢を弓につがえる。
見事に中心に命中。
「いやあ〜〜〜、相変わらずお見事ですネエ。」
拍手と共に緊張感の無い声が聞こえる。
「・・・・。是鷺栖(ゼロス)じゃないの。」
源是鷺栖。璃那にしてみれば一族の一人であるが、彼とするはなしの大半は双方の利害関係が絡んだいわば「取引」である。
「一体全体何の様なの?」
「相変わらず冷たい人ですねえ、璃那さんは。」
「あんたが絡むといつもロクな事がないのよ!!前は確か犬に噛まれたわ。」
「・・・。僕には関係がないと思うんですけど・・・・。まあ、いいでしょう。今日は僕自身の営業目的ではなく、と、在る御方の命令で来たんですよ。」
「と、あるお方はだれか、と聞いたら『それは秘密です』ね。」
「ええまあ。(だって・・・・。重笥様が僕の上司の是螺簾(ゼラス)様に『慧屡様が怖い!!監督不行き届きだと言って怒られる!!あの源璃那をどうにかしてく』、と言って泣きついてきた、なんて言えないでしょ。)。」
「・・・・。聞こえてるわよ・・・・・。で、アタシの何所がいけないの。」
言って璃那は再度弓に矢をつがえて的に向かって射る。
「・・・・。お見事ですね。なんでも、西の方の国の女戦士は弓矢を射るのに邪魔になるから片方の胸を切り落としていたと言う伝説がありますが・・・。璃那さんはその必要ありませんしネエ。」
びし!!
つ〜〜〜〜〜〜、つ〜〜〜〜〜〜、つ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
自分の額に超至近距離で矢の鏃が当てられたことを察知して是鷺栖の額から大粒の汗が止めど無く流れる・・・。
「そ〜〜〜〜りゃあああああああど〜〜〜ゆ〜〜〜〜〜〜意味?からかうためにだけに来たんなら 、ぶっ殺されないうちに帰りなさいよネエええええええええ!!!!!」
「そのまんまの意味です・・・て!!ああゴメンナサイ!!本題に戻りましょう(汗)」「まあ、よろしい。その代わり後で是螺簾さんに言ってやる。」
「・・・・・。それも一寸・・・・・。まあ、この場で殺されるよりかマシです。一つ、考えていただきたい事があるんですよ。先日の袈韻さんの暴挙はおぼえてますね?」
「まあ・・・・。原因はむこうの僧侶にあったみたいだけれども。」
「伽菜琉さんの銭ゲバの間違いでしょ?」
「・・・・・・・。痛い所を・・・・・・・・。」
「まあ、良いでしょう。ともあれ、本来なら極刑のはずの袈韻サンと璃那さんのしでかした事を裏でもみ消した人物、ご存知ですか?」
「・・・・・・。知らないわ。」
言ってもう一度弓につがえかけた矢をふっと止める。
「平雅瓜威さん、ですよ。」
「雅瓜威が?でも・・・なん・・・・・・・。」
なんで、と言おうとして璃那の言葉は途切れた。その『何で』の理由を一番良く知っているのは自分だ。
「平氏の間の口さがの無い連中の間じゃ専らの噂ですよ。平氏一の美男子、強いていえばかの絶世の美女とうたわれる某内親王陛下に見初められた男が源氏に娘ごときに現を抜かしている、とね。」
「・・・・・。かの絶世の美女の内親王?・・・・・。」
「まあ、その御方の事はさて置き。このままじゃ璃那さん大変ですよ。このことが鎌倉殿(頼朝)の耳にでも入って御覧なさい。猜疑心の強いあのお方。璃那さん、貴方の命は元よりも姉御前はじめ乳兄弟の袈韻さん、さらに下手をすれば天梨唖さん、魅李射さん、是婁さん、伽菜琉さんと言った親しい方々の身にも危険が及びますよ。」
「アタシと雅瓜威は・・・。無関係よ。」
同様を隠すために璃那は出来るだけ低い声を出して言った。
「そうですか?ご本人はきっちりと『恋人』と貴方の事をおっしゃったようですけれど?」「・・・。『かの絶世の美女の内親王』に見初められたような奴よ。アタシなんて面白がられてからかわれてるだけに過ぎないなんて事、きょうびの5歳児にだって解るわよ。で、アタシの如何しろって言うのよ。」
矢を射る手つきの手元が狂ったのは黄昏時の寒さのせいのためだけ。
璃那は自分にそう言い聞かせた。
「基本的に平家の連中と鎌倉殿の猜疑心を無くせば良いんですよ。方法は二つ。
一つは近々平等院で以仁王が平氏追討の挙兵をするそうなんです。ソレにあなたも一大将として加わって頂きたい。」
「命懸けネエ・・・・・。で、もう一つの方法は?」
是鷺栖はにッこりと笑い
「簡単な事です。後の事はこちらで計らいますから、雅瓜威さんを暗殺してしまえばいいんです。」
な・・・・・・。ナニを・・・・・・・。
「良いですか、璃那さん。必ず二つに一つ、どちらかを選んでくださいね。では・・・。僕はこの辺で失礼させていただきます。」
完全に手元が狂った矢が虚空を舞い地面に突き刺さる・・・・・。
産まれて始めて感じるこの悪寒。
一体ナンなんだろう?
馬鹿な事考える必要はないわ・・・・。でも、どうしたら・・・・。
混乱して良く解らない。
ただただ庭先に璃那はへたばり込む・・・・。


「璃那!大丈夫?」
泣きそうな顔をした伽菜琉がいきなり目に入る。
「璃那さん・・・。何があったんですか?庭で気絶してるの見たときにはびっくりしましたよ。でも、軽かったからお布団まで運ぶの苦労しませんでしたけれどもね。」
天梨唖がお気楽な口調で言う。
「ほら、璃那。三国一のお粥よ。食べた、食べた。」
「・・・・。有難う・・・・。」
言って璃那は魅李射の差し出したお粥を無理矢理喉に押し込める。
何時もなら美味しいのに何の味もしない。
「璃那さん、流行り病の再発ですか?じゃあ、雅瓜威さんの取ってきてくれた薬、まだ在りますから飲まないと駄目ですよ。」
からかうように天梨唖。
尚更味がしなくなったお粥が食道を通って行く感覚だけがする。
「まったく。食欲魔人も形無しか。」
呆れたように是婁が璃那を見やる。
「・・・・・。璃那。お前、変だぜ。言いたい事があるならいってみろ・・・・。」
袈韻の言葉に堪えていた物がどっと出てきた!!
「雅瓜威はアタシをからかってただけなの!!でも!!でも!!アタシは彼を殺せない!!雅瓜威なんてどうでも良いと思ってたのに!!」
「落ち着け。」
「是鷺栖に言われたの。雅瓜威はアタシなんかが足元にも及ばない女の人に見初められてるって。源氏だと思って馬鹿にしてたのよ!!アイツ。でも、出来ない!!アタシはどっちを選択したら・・・・・・!!」
馬鹿にされた思いから彼を殺してやりたいと思う気持ち?
まさか、戦場に行って討ち死にするのが怖いからそんなこと言って誤魔化してるんじゃ在るまいし・・・・・・・・。
璃那は二つの選択を全員に打ち明けた。
しかし。
彼女の決心に着いては決して明かす事は無かった。
まだ、その時点では・・・・・・。

続く。

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343天上の乱世6LINA 11/2-19:20
記事番号338へのコメント
璃那は暗闇の中只待ち構えた。
片手にはきつく太刀を握り締めている。
やる事はただ一つ。
「平雅瓜威を暗殺する・・・・・」
それだけであった。
腕ががたがたと震えるのは寒さのせいだけでは無いことは自分が一番良く解っていた。
物陰に潜んだ彼女はすぐさま目的の人物が道を通って行くのをみつけた。
ただただ腕が震える。動こうと思っても手足がまるで言う事を聞いてくれない。
「一歩踏み出せば・・・・・。」
後はなるように成るしかない。
そう覚悟を決めると璃那はやっと一歩を踏み出した。
何時になく刀の刃が冷たい光を放っている。
「・・・・。永遠にこの瞬間が続くわけじゃあるまいし・・・。一瞬の覚悟じゃない・・・。」そう呟いて自分を叱咤する。
が、
「其処にいるのは誰だ!!」
怒気の篭もった雅瓜威の声に体中が凍りつくのを感じた。
彼からこちらは気配こそ感じていれども姿は見えないらしい。
なら・・・・。今しか彼を仕留める時はない。
ガッっと討って掛かるが銀色の刃は虚しく宙を薙いだに過ぎなかった。
彼が避けたのではない。手からひとりでに刀が零れ落ちたのだった・・・・。
「璃那・・・・・・・・?」
驚愕とも無感情とも取れる雅瓜威の声が璃那の耳に届く。
その顔すらもう直視することが璃那には出来なかった。
「・・・・・・。さよなら・・・・。幸せになってね・・・・。」
雅瓜威にそう言って去って行くのがやっとだった。
「待て、璃那!!」
追って来る気配。だが彼女は冷徹に言い放つ。
「これ以上のおふざけは大概にして!!アタシに何の恨みがあってこんな悪戯続けるの?いい?今からアタシはアンタなんかが絶対に嫌がらせ出来ないような所に行く。もうこれ以上関わらないで!!」
呆然と立ち尽くす雅瓜威。
目の隅でそれを確認した璃那。
「見てたんでしょう!!是鷺栖!!今からアタシは平氏追討の以仁王の軍勢に加わるわ!!これで文句ないんでしょう?」
気配こそあれども言葉は無い。璃那はそれを肯定と受け取った。



璃那が行方をくらました。
袈韻、伽菜琉、魅李射、天梨唖、是婁の懸命な捜索にも関わらず彼女の行方を知る者は一人もいない。
「真坂、璃那さん前、言ってましたよね・・・。以仁王の軍勢に加わるか雅瓜威さんを殺せって是鷺栖さんに脅されたって。」
「いかにもあの女、どちらの提案も無視するような事を言っていたが・・・・・。真坂・・・。」
天梨唖と是婁の危惧。
「でも、実際雅瓜威さんは生きてるわ。じゃあ、璃那ひょっとして・・・・。」
「間違い無い。あの女、以仁王の平氏追討に応じるつもりだ・・・・・。」
伽菜琉の言葉に苦渋に満ちた表情を浮かべた袈韻が答える。


あの璃那は変だった。
何かを誤解している?いいや違う。思いつめていたと言った表情だった。
雅瓜威は落ち着かなく町民に紛して街を歩く。
「嘘か本当か知らないが近々打倒平氏の旗を以仁王があげるらしいぞ。しかもその大将の一人に美人な源氏の女が選ばれたというじゃないか。最も、かの絶世の美女と謳われる内親王には敵わないだろうがな。」
口さがない町民の噂が耳に入る。
勿論彼等が雅瓜威を平氏と知っていたらそんな事を言いやしないだろう。
『美人な源氏女・・・・?まさか・・・・・。』
冗談じゃない。例え不意打ちをついたとしても寄り集めの兵団が平氏に敵うはずがない。ましてや一角の大将ともなれば・・・・。
『璃那の奴・・・・・。死ぬ気か・・・・・・・?』
ぞっとするほどの悪寒が雅瓜威の背中に走る。
「今からアタシはアンタなんかが絶対に嫌がらせ出来ないような所に行く 。」
その言葉の真意を雅瓜威はようやく飲み込んだ・・・・。
「助けたいか?璃那を?」
不意に声が後ろからかかる。
「あ・・・・。お前・・・。確か璃那の乳兄弟の袈韻・・・だったな・・・。」
袈韻は無表情で雅瓜威を見やる。
「一つだけ聞かせろ。お前は璃那をからかっていたのか?」
良く解らないが璃那もそのような事を言っていた。
しかし・・・。
「ナンでそんな事をする必要があるんだ?」
袈韻を直視して雅瓜威は言った。
「そうか・・・・。俺の知っているたった一つの事だが役立ててくれ。以仁王の挙兵は平等院で起こる。」
「・・・・。解った。絶対に役立てる・・・・。」
「頼んだぜ。俺の義妹を・・・・・・・。」

続く。

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344天上の乱世7LINA 11/2-21:39
記事番号338へのコメント
平等院を中心に戦火があがる。
以仁王をはじめとする多くの大将が戦死を遂げた。
ただ一人を除いては・・・・。
「馬鹿言わないでよ!!アンタ達を置いていける訳無いじゃないの!!」
今まで共に戦った軍勢と副大将に璃那は叫ぶ。
「いいえ。貴方は女です。早々に何所にでもお逃げ下さい!!」
断固として譲らない副大将。
「何を!!?」
気がついたときには既に副大将は璃那の馬の手綱を逆方向にむけ、その腹を力任せに蹴りあげた!!
ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒン!!
馬は嘶き璃那は彼等からどんどんと離れていく。
「駄目、戻って、駄目、駄目!!!」
平氏の軍勢の馬の近付く音と微かな断末魔だけが耳にこびりつく・・・・・。
「・・・・・・・・・・・。そ・・・そん・・な・・。」
大方の状況の把握はできた。
今までの璃那の居た部隊は潰滅したのだ・・・・・。
「・・・・。死ぬか、それとも平氏に対する反逆罪として捕らえられて公衆の面前で処刑されるか・・・。どちらかね・・・・・。」
どちらにせよ絶望的な状況である事には変わりない。
只ひたすら馬を走らせる。それしか出来ない。
が・・・。ふと璃那は馬を止める・・・。
「お終いね・・・。真坂アンタの手に掛かって死ぬことになるとは思わなかったわ。」
璃那は眼下に現れた一人の若武者に向かって呟く。
「璃那・・・・・・。」
哀しそうな目でその人物は歩み寄ってくる。
「さっさと殺して。平雅瓜威・・・・・。」
「違う・・・璃那・・・違う!!」
雅瓜威は信じられない思いでその娘の名を呼んだ。
しかし、矢傷を受けながらも威風堂々とした真紅の鎧姿、長い栗毛の髪には厳しい兜では無く黄金の冠を戴いたその人物は間違い無く源璃那その人であった。
「まあ・・・。怒られて当然ね。だってアタシは貴方を殺そうとした張本人だもん。アタシの事討ち取りに来たんでしょ?悪いけど、負ける事は承知で抵抗させては戴くわ。潔く戦った上で反乱の首謀者の一人としてのアタシの首を持って帰って。」
言って璃那は自分の背丈の二倍はあろう大弓を雅瓜威に向かって構える。
彼女はそれ以来硬直し動かない。その目尻にはうっすらと涙すら浮かんでいる。
雅瓜威は無言で璃那に更に近付く。が、その時だった・・。
「居たぞ!!敵兵だ!!」
平家の兵士が一斉に璃那を捕らえにかかる!!
「首謀者として貴様を公開処刑する!!」
いとも簡単に璃那は 彼等の縄にかかった・・・・。
雅瓜威が動く間すらない僅かな時間だった。が、それを黙って見ているような彼ではない。
「璃那あああああああああああ!!!!!」
馬を駆らせ同族に捕らえられた璃那を救うべく彼は走り出す。
「来ないで!!其処まで私の首級を採りたいの?其処まで嫌われれば本望よ。見事に処刑されてやるわ!!貴方はかの絶世の美女と楽しくその光景でも眺めてなさい!!さもなきゃ、アタシはアンタを殺さなきゃいけないのよ?出来る訳ないって言ったじゃないの、そんな事!!」
癇癪を起こしたように璃那は叫ぶ。そして、雅瓜威の動きも凍り付く。
「馬鹿!!璃那!!そんな事誰が決めた!!どんな自体に成ろうとも俺は死ぬつもりは無いしお前を死なせるつもりも無いぞ!!」それに、絶世の美女ってのはお前の事じゃ無いか!!俺はなあ、お前を助けるために来たんだぞ!!??」
数人の武者に引きずられ遠ざかって行く璃那にこの言葉が聞こえたかどうかは定かではなかった。
が、雅瓜威は猛然と馬を駆け出した!!
「璃那をかえせええええええええ!!」
絶叫し遮二無二璃那を捕らえている武者に襲いかかる。
一騎、二騎、三騎と雅瓜威ただ一人に倒されて行く。
そして。最後に残ったのは璃那只一人。
雅瓜威はそっと璃那に架せられた縄を解いてやる。
「璃那・・・・・・。」
「・・・・。来ないで。自害するわよ。」
縄目の跡が痛々しいくらいに残る手首を露にし短剣を握り締め銀色の刃を自分の喉元に付き付けながら璃那は冷徹に言う。
「死ぬ理由なんてどこにあるんだ?俺は死なないしお前を死なせるつもりは無い!!」
強い口調で雅瓜威が言う。
「死ぬ理由はないわ・・・。でもね、この処分を取らないと袈韻や天梨唖、伽菜琉や魅李射、是婁達にまで危害が及び兼ねないわ・・・。それに・・・。アタシを助けちゃった雅瓜威、アンタにもね。」
璃那の頬に軽い平手打ちが飛んだ。
キッと涙ぐんだ目で平手打ちをした人物、雅瓜威を璃那は睨む。
「絶世の美女が台無しだぜ?」
「・・・・。かの内親王みたいな胸はアタシには無いわよ・・・。」
「弓を引くとき邪魔にならなくって良いじゃね〜か。かっこいいぜ、弓矢を射る時の璃那。」「・・・・。アタシは皆を見殺しに出来るような人間に見えるの?」
「見えない・・・。でも、自殺するような人間にはますます見えない。」
そっと雅瓜威が璃那に近付く。
「・・・。どうしょうってのよ・・。アタシを死なせなかったのよ、アンタは。責任取りなさいよね!!」
やおら璃那は雅瓜威に持ち上げられ彼の馬に相乗りする形となる。
「逃げるぞ・・・。」
「え・・・・・?」
呆気にとらわれる璃那。
「袈韻たちにはほとぼりが冷めてからまた会いにくれば良いな。」
「え、ちょっとちょっとちょっと!!!!!!!」
「じゃああ、いざ罪人二人仲良く逃亡だアアアアああ!!!」
「な、なんだかわからないけどおおおお!!こ〜〜〜なりゃヤケよ、とんずらこくわよおおおおおおお!!!!」
雅瓜威が馬の腹をガッツと蹴る。
かくして・・・。罪人二人は仲良く遥か遠くへとトンズラこいたのだった。


番外編へ行く。

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351Re:天上の乱世1ティーゲル 11/3-00:38
記事番号338へのコメント
 どーも、ティーゲルです。いかしてますねぇガウリィのストーカーぶり。やっぱ
りラストで脱出した二人がチンギスハーンとボルテになるんでしょーか?(ガウリ
ィがボルテ♪)
 しかし・・・・ガウリィとシルフィールってとことん外人名ですねぇ・・・・・・
 当て字の中ではリナとL様と部下Sととくにルナがいい味出てるとおもいます♪
 しかし・・・・三国志もやるんですよね・・・・・どうなるんでしょう名前・・・
中国名への変換がおもいつかないっす。
 あとキャスティングとか。今回みたいにそのまま放り込むならともかくドイツ編
の時みたくキャスティングすると・・・・・リナ=劉備?ゼルガディス=関羽?
アメリア=張飛? ケイン=趙雲? キャナル=孫乾? ミリィ=ビジク?(漢字でない(泣))
で・・・・ガウリィが孔明(核爆)・・・・・・ダメかも・・・・・・・・
 あと、ハプスブルクはマリア=テレジア時代ですか?それとも・・・・・次回作を楽しみにしつつ・・では。

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364お礼ですLINA 11/3-15:35
記事番号351へのコメント
うむうう。やっぱりチンギス=ハン(ジンギスカン説)しか無いですネエ。
この場合。
とりあえず三国志ではリナ=曹操、ガウリイ=劉備でしょうかねえ、性格的に。
個人的にケインには司馬炎をやってもらいたい・・・・。
ゼルは孔明でしょうか?
とりあえずハプスブルクはマリア=テレジア時代の前後or(オーストリア継承戦争とか、スペイン継承戦争、もしくはスペインハプスブルク?)か皇妃エリザベートの時代くらいになると思います。
では、袈韻君主役の番外編をこれから書きます。

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374天上の乱番外編・判官びいき(?)LINA 11/4-20:37
記事番号338へのコメント
「で、もう一回言ってくれるか?」
袈韻の不機嫌な声があたり一面の木魂した。
「ああ、なんべんでも言ってやるぜ!!」
京童子(不良青年)の団体の嘲るような声がそれに応じる。
「なんだ、その変な格好は?それに、女みてえな顔しやがって!!アイツ本当は白拍子(男装で舞をする女性)じゃね〜〜のかあ?」
京童子の一人が先ほどと同じ台詞を袈韻に浴びせ掛ける。
「な〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜だ〜〜〜〜〜〜と〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
目がマジの袈韻。
ザッと身構える京童子達。
「この格好の何所が可笑しいイイイイイイイイイイイい!!!」
バサリと純白の袴の上に無意味に羽織った黒い大布をかきあげ、袈韻は怒鳴る。
「充分可笑しいぜ!!」
京童子の別の一人の言葉が言い終わるか終わらないかのうちであった・・・・。
袈韻の一撃がそいつの顎に食い込んだ!!
「て、てめええええええええええええええええええ!!!!!」
仲間を倒された事に逆上した京童子達が一斉に袈韻に向かって襲いかかってくる!!
が、袈韻は難なくそれをかわし、一人、また一人とぶちのめしにかかる!!
「てめえらなあああああああ!!!!源璃那、御乳母子(おんめのとご)、この今井袈韻に喧嘩売るとは良い根性してやがるなあああああああああああああああああああ!!」
その一言に京童子達は元よりも、通行人の皆様の顔色までマトモに変わる。
「み、み、み、み源璃那だと!!!あの、破壊の帝王、滅びの申し子、行きとし生けるものの全ての天敵、龍すら跨いで通るという、あの(強調)源璃那か!!!?」
その一言・・・・。完全なる命取り・・・・・。
「だああああああああれえええええがあああああ龍すら跨いで通るあの源璃那ですてえええええええええええええええええええええええ!!!!!!??????????」
唐突に聞こえる怒りを押し殺したような若い女の声。
「おう!!璃那。こいつ等が俺に喧嘩売ってきた上、お前の悪口まで言いやがったからぶちのめしてやってるところなんだ。」
いかにも京童子に非の有るような言い方をする袈韻。
「袈韻・・・・。この先で乱闘乱痴気騒ぎを起こしてる男が居るって聞いて・・・。もしやアンタなら止めなきゃまた零琉のあほんだらに呼び出されるな、って思ってココまで来たんだけど・・・・・。」
その口調と言葉に京童子達がホッとしたような表情をする、が、次ぎの瞬間それは絶望の表情へと変化した・・・・。
怒りに狂った眼差しを彼等にむけ・・・・・、
「今日はもう、後先考えず袈韻、アンタの加勢するわ・・・・・。」
かくして・・・・・・・・・・・・・・。


「まったく、世話の焼ける!!零琉に呼び出されたのは俺なんだぞ!!」
「璃那さんも璃那さんです!!止めようとして一緒になって袈韻さんと乱闘乱痴気騒ぎを起こすなんて!!」
是婁が袈韻を、天梨唖が璃那を叱り付ける。
「だってええええええ。不公平なんだもん。かの木曾義仲の奥方の巴御前はアタシと同じ女武者なのに、ナンでアタシばっかこんなふ〜〜〜に『破壊の帝王』とか言われなくっちゃいけないわけええええ?」
言い訳にならないことを言ってブツブツゴネる璃那。
「ともかく!!良いですか璃那さん、袈韻さんはともかく、璃那さんがこんな不祥事をやらかすなんて事は前代未聞です。その事を慧屡様が激怒なさって璃那さんに一周間の謹慎を申し付けたんですよ?」
天梨唖が言う。
「げ!!マジ?で、袈韻は?」
「何時もの事と慧屡様はお諦めのご様子で『無視しなさい』と仰っただけだ。」
不機嫌に是婁が答える。
「・・・・・・。じゃ、しょうがない。今度の祭りの手伝いはせめてもの反抗としてアタシの代役で袈韻、言ってくんない?」
「祇園祭のお手伝いですね・・・・。けど・・・。癌細胞の袈韻さんを派遣するなんて。璃那さん、嫌がらせの天才です。慧屡様はともかく・・・・。重笥さんは気絶しますよ。」天梨唖は一応ぼやいた。
「別、構わないぜ。それに、ナンかやらかせば璃那にまた迷惑が掛かるし・・・。
今回ばかりは大人しくしてるさ。多分、伽菜琉の奴も一緒に着いて行きたがるだろうし俺の監視役にしちまえばいいだろ?不都合あるか?」
「まあ、伽菜琉なら大丈夫か。」
とりあえず是婁も納得する。


「いい、袈韻。悪さしたら伽菜琉、承知しないからね!!魅李射に言って飯ヌキにしてやるんだから!!」
「はいはい。わかりましたよ。」
小うるさい監視役を袈韻はあやすように言う。
祇園祭の当日。璃那は今頃仕事場にて謹慎処分を食らっているだろう。
ここで事を荒立てたりして彼女が折角魅李射自慢のソーメンを食べているであろう時間を台無しにはしたくない。
「みてみてみて〜〜〜〜〜〜袈韻!!お金、お金が落っこちてる!!」
「あ、コラ、馬鹿、伽菜琉!!無闇滅多に動くんじゃねえ!!糞煩い比叡の生臭坊主ドモが結構うようよしてるんだぜ!!??」
袈韻が言うか言い終わらないかの間だった。
けたたましい泣き声が祭りの準備会場内に木魂した。
その方向。
比叡の一人の僧侶が誰かを罵倒している。
(伽菜琉がお金が落ちてるとか言って駆け出して行った方?)
咄嗟の事ながら袈韻の脳裏に嫌な予感が走る!
考えるよりも先に袈韻の足は伽菜琉の消えた方向に向かって走って行った。
「伽菜琉!!」
「袈韻!!」
泣きそうな顔をした伽菜琉が其処には居た。
そして、その手を袈韻のほうの差し出し、泣きながら・・・・・・。
「これれええええ!!おかねじゃなああああああああああいいいいいいいい!!」
ずべええええええええええええ。
幸いにも僧侶に絡まれていたのは彼女ではなかった・・・・・。
しかし・・・・。いきなりこの反応はあるかあああああ!?
「あ・の・なああああ!!この状況で、しかもそんな下らない事のタメに涙ぐんどるんか、お前はあああああああああああああああ!!この、銭ゲバ娘!!!!!!!」
袈韻は思わず絶叫し、彼女の手のひらに乗った銅の塊を引っ手繰るようにして取り上げる。「うんう、いくらアタシでもそんなことじゃ泣かないわよ!!みて、袈韻!!」
伽菜琉の指差す方向を袈韻は反射的に仰ぎ見て、其処から凍ったように目が離せなくなる。
「ひ・・・・・ひ・・・でえ・・・・・・・・。」
辛うじてその言葉を彼は紡ぎ出した。
一人の幼い少女が酔っ払った比叡の一人の僧侶に罵倒され、足蹴りにされている様子だった。
だが、袈韻の身体は動かない。
彼が臆したからではない。
「袈韻、このまんまじゃ、あの女の子殺されちゃう!!お願い、助けてあげて!!」
再度泣きながら伽菜琉が袈韻の腕にしがみ付いて来る。
だが、今ここでましてや比叡の僧侶相手に事を荒立てたらどうなるだろう?
自分だけではなく璃那達にまで危害が及ぶことは目の見えている。
「袈韻、ねえ!!袈韻ったら!!お願い!!袈韻!!袈韻!!」
さらに激しく伽菜琉が袈韻を叱咤する。
「ぐ・・・・・・・・・!!!」
僧侶が少女に殴りかかろうとしたその時だった。
袈韻は伽菜琉から引っ手繰った銅の塊を僧侶目掛けて力いっぱい投げつけた。
「いで!!」
そう言って僧侶は少女から注目を後ろの袈韻に移す。
「なんだ〜〜〜〜貴様はああ?」
討って掛かってきたところを袈韻の拳の一撃がマトモに僧侶のみぞおちに入った。
ざわめく周囲。一度は倒れ伏しながらもアタフタと逃げて行く僧侶。
その襟ぐりをひん掴み、さらに横っ面に袈韻の肘鉄が炸裂した!!
袈韻に対する喝采が広がる。
が、袈韻は意にも介さず
「関わり合いになりたくなければさっさと逃げろ。比叡の僧侶の権力は平家なみだ。」
と、少女に言う。
しかし、少女は首を左右に振る。
「お兄ちゃん・・・・・。吾爾諏(アニス)のせいで酷い目にあっちゃうの?」
吾爾諏と言う少女は目を潤ませながら袈韻に問う。
「吾爾諏。良い名前だな。大丈夫だ。さっき見ただろ?お兄ちゃんは強いから。それに、お兄ちゃんのご主人様は聞いて驚くな、なんとあのこわ〜〜〜〜〜い源璃那様なんだ!!」
「そうよ。吾爾諏ちゃん。この黒い布羽織った変なお兄さんはともかく、あの(強調)源璃那様に任せとけば大丈夫よ。」
伽菜琉も続ける。
そこではじまて少女はにっこりと笑う。
「しってる!!前ね、吾爾諏が草履の鼻緒を切って足を挫いた時、源璃那様は吾爾諏の事おんぶしてお家まで連れて帰ってくれたの!!雅瓜威っておに〜さんと一緒に!!」
嬉しそうに少女は言った。
「そうだな。璃那の姉ちゃん、優しかったろ?だから、兄ちゃんも吾爾諏も守ってもらえるんだぜ?さ、吾爾諏、お家にお帰り。」
優しく袈韻は促した。
「うん!!お兄ちゃん、お姉ちゃん、有難う。それに、源璃那様にも!!」
そう言って吾爾諏は帰って行った。


「結局、璃那との約束、守れなかったな・・・・。」
ぼそっと袈韻がつぶやく・・・・。
「本当のこと言えば璃那、わかってくれるよ・・・。」
伽菜琉が励ますように袈韻に言った。
「馬鹿言え。ンな事出来るかよ・・・。ま、アイツにゃわるいが適当に言いつくろっとくか・・・・・。」


「でも、袈韻。伽菜琉を守るために生臭坊主をこてんぱにした状況、興味あるから話してくれない?」
「ああ、いいぜ。あの時、俺と伽菜琉は祭りの山車を引き出す手伝いをしてたんだ。で、伽菜琉が道に落っこちているお金を見つけ拾おうとした。」
「え、いいな。伽菜琉お金、拾ったの?(璃那)。」
「と、思ったら酔っ払った坊主が『コレは俺の方が先に見つけたんだ!!』とかなんとか言いがかりをつけてきやがったんだ。」
「駄目ですよ、お金を拾ったらとどけなきゃ。(天梨唖)。」
「まあ、黙って聞け。それはお金じゃなくってただの銅の塊だった。」
「なに・・・・。ソレ・・・・。(魅李射)。」
「で、その生臭坊主はそうと解るが早いか、『要らんやる!!』とか言って無理矢理伽菜琉にそれを押し付けようとしやがった。」
「おい・・・・・。(是婁)。」
「で、攻防約1時間。ついにその坊主が伽菜琉を引っ叩こうとしやがったんで、改進の一撃を加えてやったんあ。」
「・・・・・・・・・・・。まあ・・・・。偉いと誉めておくわ・・・・。」
璃那は無感情に呟いた・・・・・。
ホント・・・。偉いと誉めておくわ・・・・。
確かに袈韻、アンタは伽菜琉が殴られそうになっても同じ事をしたでしょうね・・・。
でもねえ、アンタ嘘つくとき、表情こそ変えなくっても右の頬っぺた人差し指で用も無いのに掻く癖あんのよ?知ってた?
ど〜〜〜せ、困ったひとでもみつけて、処罰覚悟で助けたんでしょ?
流石は・・・アタシの乳兄弟・・・ね。

お終い。

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393感想&お詫びティーゲル 11/6-22:27
記事番号374へのコメント
どうも、前回は調子に乗って深読みをさらしすぎて多大なご迷惑をかけたようなので深くお詫びします。申し訳ありません・・・
では感想へと。

>「今日はもう、後先考えず袈韻、アンタの加勢するわ・・・・・。」
>かくして・・・・・・・・・・・・・・。

後先考えずってあたりがリナですねぇ・・・・・

> 「結局、璃那との約束、守れなかったな・・・・。」
>ぼそっと袈韻がつぶやく・・・・。
>「本当のこと言えば璃那、わかってくれるよ・・・。」
>伽菜琉が励ますように袈韻に言った。
>「馬鹿言え。ンな事出来るかよ・・・。ま、アイツにゃわるいが適当に言いつくろっとくか・・・・・。」

格好いいですねぇケイン♪

>「でも、袈韻。伽菜琉を守るために生臭坊主をこてんぱにした状況、興味あるから話してくれない?」
>「ああ、いいぜ。あの時、俺と伽菜琉は祭りの山車を引き出す手伝いをしてたんだ。で、伽菜琉が道に落っこちているお金を見つけ拾おうとした。」
>「え、いいな。伽菜琉お金、拾ったの?(璃那)。」
>「と、思ったら酔っ払った坊主が『コレは俺の方が先に見つけたんだ!!』とかなんとか言いがかりをつけてきやがったんだ。」
>「駄目ですよ、お金を拾ったらとどけなきゃ。(天梨唖)。」
>「まあ、黙って聞け。それはお金じゃなくってただの銅の塊だった。」
>「なに・・・・。ソレ・・・・。(魅李射)。」
>「で、その生臭坊主はそうと解るが早いか、『要らんやる!!』とか言って無理矢理伽菜琉にそれを押し付けようとしやがった。」
>「おい・・・・・。(是婁)。」
>「で、攻防約1時間。ついにその坊主が伽菜琉を引っ叩こうとしやがったんで、改進の一撃を加えてやったんあ。」
>「・・・・・・・・・・・。まあ・・・・。偉いと誉めておくわ・・・・。」
>璃那は無感情に呟いた・・・・・。
>ホント・・・。偉いと誉めておくわ・・・・。
>確かに袈韻、アンタは伽菜琉が殴られそうになっても同じ事をしたでしょうね・・・。
>でもねえ、アンタ嘘つくとき、表情こそ変えなくっても右の頬っぺた人差し指で用も無いのに掻く癖あんのよ?知ってた?
>ど〜〜〜せ、困ったひとでもみつけて、処罰覚悟で助けたんでしょ?
>流石は・・・アタシの乳兄弟・・・ね。

 リナがいいかんじにケインの事を理解していていいです。では次回作に期待ということで。では。

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428Re:感想&お詫びLINA 11/8-17:36
記事番号393へのコメント
いえいえ。なかなか気に入ってます、あのキャスティング。
なにかと参考になりました。
しかい・・・・。
完全にケンの本領発揮でしたねえ、この番外編。
我ながらケインという人間の奥深さを知ったような・・・・。
次回作は受験が終わってからになると思います。
今度もまたケイン君を暴走させたいです(笑)では、また。