◆-迷いの森-明美(11/3-15:31)No.363
 ┣感想ですっっっ!!-マミリンQ(11/9-02:23)No.439
 ┃┗ありがとうございますう-明美(11/10-00:04)No.453
 ┗Re:迷いの森良かったです。-八極(11/25-05:48)No.627
  ┗ありごとうございます-明美(11/25-23:51)No.632


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363迷いの森明美 E-mail 11/3-15:31

はい、また書きに来ました。駄文書き病の明美です。
今回はガウリナの話です。って、いっつもガウリナかギャグしか書いてないんだ(笑)。
このお話は、過去の小説になった「約束」のおまけになります。おまけならツリーが沈む前に書けよ、私(殴)。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

昼の真っ只中にあっても、鬱そうと茂った木々が邪魔をして薄暗く感じられる森の中。
旅人は急いでこの森を抜けようとする。が、近道をしようとして森の中で迷ってしまう。いらないお世話だが、迷った分余計に時間がかかると思うのだが……。
この2人は、急がば回れということわざを知らないと見える。

ふんっ、知らないわけじゃないわよ。ただ――
彼女は、あさっての方向に向かってこぶしを握り締め、力いっぱい叫ぶ。
「あたしは、ふかふかベットで寝たいだけなのよーっ」
「どこに向かって叫んでるんだ、リナ」
隣には、あきれた口調で、しかし目はしっかりジト目でリナを見る男がいた。
男がそんな顔をするのは無理もない。2日ぐらいかかりそうなこの森を、近道をすれば今日中に抜けられると主張したのはリナだったのだ。
2人の歩いてきた道はいつしか細くなり、いつのまにか途切れていた。
「ガウリイ、こうなったら……」
「戻るのか?」
普通ならばそうするだろう。しかし、彼女はあっさり首を横に振って、大木の幹をぽんっとたたき上を見上げる。
「この木に登って出口探してみて」
「オレが?」
「そうよ、あたしみたいにか弱い乙女が、んな大きな木に登るわけにはいかないでしょ」
「か弱いって……いや、分かった」
とてもか弱い乙女とは思えないリナの視線に、ガウリイはすんでのところで口を閉ざした。これも、長年の付き合いの成果ということだろうか?
浮遊(レビテーション)を使えば、と言われなかったことにほっとしながらリナは木に登っていくガウリイの背中を見送った。
彼は口には出さなかったが、今彼女が魔法を使えない事に気がついていたのかもしれない。

彼女には彼の真意がよく分からない時がある。
察しがいいときもある、また正反対のときもある。
自分のことを今まで子供扱いしていたくせに、いきなり”約束の印”というモノがでてきたので、かなり混乱した。一応平静を装ってはいるが、3日たってもまだ混乱している。
――ちゃんと、この意味分かってるの?
とか何とか聞きたかったのだが……。その話題に触れることなく、でも、手袋の下にはちゃんと指輪がはまっていたりする。ガウリイの態度も今までと変わらない。

「お嬢ちゃん、何か悩み事があるんじゃろう?」
「えっ?」
考えに沈んでいたリナは、声をかけられて我に返る、と目の前に一人の小さな老婆がぽつんと立っていた。その格好と言動から察するに、
「お婆ちゃん、占い師か何かなの?」
「そうとも言える。正確には迷い人の案内人じゃが」
老婆は重々しく頷くと言葉を続ける。
「この森は迷いの森といってな、心に迷いがあると抜け出すことはできんのじゃ」
「心に迷いがあると?あたしは、道に迷ってどっちに行ったらいいのかって迷ってるだけなんだけど」
「心に迷いのない人間は、この森に入っても迷ったりはしない。そういう森なんじゃ。迷いを解決しないことには、ここからは一生抜けだせん」
「……………」
「婆は、そういう人たちが抜け出せるように手助けしているんじゃ」
「お婆ちゃんは……悩み事があるの?」
「そうさなあ。何か、悩んでいたのか迷っていたのか……忘れてしまったよ」
目を糸のように細くして笑い、とぼけた調子で言う老婆に、リナは吹き出した。
ガウリイみたい。
「じゃあ、あたしも忘れた」
「おーい、分かったぞー」
木の上からその人の声が降ってくる。
「あの男には迷いはなさそうじゃな」
「そうかもしんない」
リナはため息をつき、がさがさいっている木の上を見上げた。
「お前さんの案内人はあの男に任せるとしよう。仲良くするんだよ、一生の案内人だからね」
はっとして視線を元に戻したとき老婆は姿を消していた。
「あれ……お婆ちゃん?」

「よっと……。リナ、こっちだ」
木から下りて歩き出すガウリイにリナは気づかないのか、辺りをきょろきょろ見回している。
「どうしたんだ?」
「えっ、あの、今お婆ちゃんがいたんだけど……どこ行ったのかな」
「夢でも見てたんじゃないのか?ぼーっとした顔して」
まだどこか呆けた顔をしていたリナの顔に生気が戻ってくる。この場合、怒気と言った方がいいかもしれない。
「立ったまま寝るかあっ!!」
スリッパを取り出そうとしたリナの手を、一瞬早くつかんだガウリイは下草を踏みしめながら、先に立ってまっすぐ進む。背中しか見えないのでリナには表情は分からないが、その歩みには全くと言っていいほど迷いが見られない。しかし、リナの目にはますます森の深みに入っていくように見える。
「ち、ちょっと。ほんとにこっちでいいの?」
「ああ。こっちだ」
確信に満ちたガウリイの言葉にリナはさっきの老婆の言葉を思い出していた。
ガウリイは迷っていないけどあたしは迷ってる。だから、あたしにはこの森が迷いの森になるって言う事かな?
「ガウリイ、この森って迷いの森なんだってお婆ちゃんが言ってたの」
「まよいの……森?
木の上から見たらそんなに迷いそうにない森だったぞ」
そのまま歩調を緩めずいぶかしげな声で言うガウリイに、リナは深い深いため息をついた。
「ほんっとに、迷いがない人間なんだわ。
心に迷いがない人間は迷わないって言ってたもん」
「どーいう意味だ、そりゃ」
「そのとーりの意味よ」
しばし、言葉が途切れ――
薄暗い森には、2人が歩く音しか聞こえない。

あいかわらず前をまっすぐ向いたままで、ガウリイは沈黙を破る。迷いのない彼には前方に出口がはっきり見えているのだ。
「つまり、リナには何か……迷ってることがあると言うことか?」
「う゛……あんたのせいよ」
「へ?」
「気のせいよ。それより手離して」
思わず出てしまった本音を打ち消し、リナはガウリイの手を振り解こうとする。が、やはり力の差がありすぎて手は握られたまま離れない。
「オレは迷う事はないけどなあ」
「あ、そっ」
「指輪したままだって事は、OKなんだと思うからな」

いきなり、目の前にまぶしい太陽の光が戻ってきて、リナの目から視力が奪われる。目をしばたたき視力を何とか回復させて、後ろに広がる森と、広い街道と、目の前に立っている彼を見た。
あっさりと目の前に現れた街道に、彼女は白昼夢を見ていたのではないかと思ったが、現実に彼の手は彼女の手を握り締めている。
「さ、リナ。今度はどこに行くんだ?」
「そうね……とりあえず、近くの町でご飯よっ!」
「おうっ!」

そして、いつものように
リナは、張り切って元気よく歩き出し、ガウリイはその後ろをついて行く。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
終わりです。
迷いの森、私が迷いそうです。
現実の世界でも、ゲームでも、『私は誰?ここは何処?』って言うことがしょっちゅうです(笑)。

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439感想ですっっっ!!マミリンQ E-mail 11/9-02:23
記事番号363へのコメント
またまたコメント書きに来ました、マミリンQですっ。

>はい、また書きに来ました。駄文書き病の明美です。

そんな、”駄文書き病”だなんてっ!
(どうしてもとおっしゃるなら、悪化させちゃってください。←をいっ)
だいたい、駄文てなんですかっいつもとっても楽しく読ませていただいて
ますのにっ!

「約束」の続編♪きゃあああっっ♪
(ええと、当然の事かもしれないんですが「家路」と「約束」の
間のお話なんですよね。あ、ただ、もしかしてパラレルなのかな、
と思っただけなんです。)

”迷い”のあるリナさんがかわいいです。(^^)
急に指輪もらちゃったんですしね、ずっと”保護者”だった彼に。(はぁと)
でも、迷いのないガウリイ・・・いいですねぇ♪♪
さすがあたしの王子さまっ。(どかべしごきっ)←暴走中

私も・・・迷ってしまうでしょうね、迷いの森行ったら。(^^;)

でわっどうもありがとうございましたっ!!

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453ありがとうございますう明美 E-mail 11/10-00:04
記事番号439へのコメント
>またまたコメント書きに来ました、マミリンQですっ。
やったー、また来てくれたんですね!ありがとう!

>>はい、また書きに来ました。駄文書き病の明美です。
>そんな、”駄文書き病”だなんてっ!
>(どうしてもとおっしゃるなら、悪化させちゃってください。←をいっ)
>だいたい、駄文てなんですかっいつもとっても楽しく読ませていただいて
>ますのにっ!
うるうるうるうるうる(感激の涙)

>「約束」の続編♪きゃあああっっ♪
>(ええと、当然の事かもしれないんですが「家路」と「約束」の
>間のお話なんですよね。あ、ただ、もしかしてパラレルなのかな、
>と思っただけなんです。)
そーです。これは「約束」の3日後で、「家路」は数年後の話です。
ややこしい書きかたしてすみません。

>”迷い”のあるリナさんがかわいいです。(^^)
>急に指輪もらちゃったんですしね、ずっと”保護者”だった彼に。(はぁと)
>でも、迷いのないガウリイ・・・いいですねぇ♪♪
>さすがあたしの王子さまっ。(どかべしごきっ)←暴走中
一緒に暴走しましょー♪

>私も・・・迷ってしまうでしょうね、迷いの森行ったら。(^^;)
>
>でわっどうもありがとうございましたっ!!
こちらこそ、どーも、ありがとうございましたあっ!!

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627Re:迷いの森良かったです。八極 11/25-05:48
記事番号363へのコメント
どうも、明美さん。
駄文制作機械人形の八極でふ。
いつも、お世話になってます。

>この2人は、急がば回れということわざを知らないと見える。
ぶはははは。た、確かに「御意見無用!」てな感じですな。

>「この木に登って出口探してみて」
>「オレが?」
>「そうよ、あたしみたいにか弱い乙女が、んな大きな木に登るわけにはいかないでしょ」
>「か弱いって……いや、分かった」
>とてもか弱い乙女とは思えないリナの視線に、ガウリイはすんでのところで口を閉ざした。これも、長年の付き合いの成果ということだろうか?
>浮遊(レビテーション)を使えば、と言われなかったことにほっとしながらリナは木に登っていくガウリイの背中を見送った。
>彼は口には出さなかったが、今彼女が魔法を使えない事に気がついていたのかもしれない。
言わなくても何となく通じてしまう。良いですな。(^_^)
何か絆が感じられて。

>――ちゃんと、この意味分かってるの?
>とか何とか聞きたかったのだが……。その話題に触れることなく、でも、手袋の下にはちゃんと指輪がはまっていたりする。ガウリイの態度も今までと変わらない。
大丈夫でしょう。普通の人間なら、そんな大事な事を・・・あっ!ガウリイだった。

>「あの男には迷いはなさそうじゃな」
>「そうかもしんない」
>リナはため息をつき、がさがさいっている木の上を見上げた。
失礼な事を。哀れガウリイ・・・・・・(合掌)

>そして、いつものように
>リナは、張り切って元気よく歩き出し、ガウリイはその後ろをついて行く。
こうやって、迷い、足掻き、もがきながらも二人は進んでいくんだな。
・・・って、何か「お先真っ暗」見たいな書き方しましたね、すんません・・・・

>―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>終わりです。
>迷いの森、私が迷いそうです。
>現実の世界でも、ゲームでも、『私は誰?ここは何処?』って言うことがしょっちゅうです(笑)。
楽しかったです。八極だって、現実世界で、「俺は何で此処に居んねん」
などと、たわけた発想に浸っております。
これからも、楽しい作品を読ませて下さいね。
それでは。

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632ありごとうございます明美 E-mail 11/25-23:51
記事番号627へのコメント
>どうも、明美さん。
>駄文制作機械人形の八極でふ。
>いつも、お世話になってます。
あ、どもども。コメント書きに来てくれたんですね。ありがとうございますです。

>>この2人は、急がば回れということわざを知らないと見える。
>ぶはははは。た、確かに「御意見無用!」てな感じですな。
そーです。まっすぐつき進むのみ!

>>「この木に登って出口探してみて」
>>「オレが?」
>>「そうよ、あたしみたいにか弱い乙女が、んな大きな木に登るわけにはいかないでしょ」
>>「か弱いって……いや、分かった」
>>とてもか弱い乙女とは思えないリナの視線に、ガウリイはすんでのところで口を閉ざした。これも、長年の付き合いの成果ということだろうか?
>>浮遊(レビテーション)を使えば、と言われなかったことにほっとしながらリナは木に登っていくガウリイの背中を見送った。
>>彼は口には出さなかったが、今彼女が魔法を使えない事に気がついていたのかもしれない。
>言わなくても何となく通じてしまう。良いですな。(^_^)
>何か絆が感じられて。
長い付き合いですからねえ。
どこぞの、K県T市在住の夫婦もこんな感じです(てへっ)。

>>――ちゃんと、この意味分かってるの?
>>とか何とか聞きたかったのだが……。その話題に触れることなく、でも、手袋の下にはちゃんと指輪がはまっていたりする。ガウリイの態度も今までと変わらない。
>大丈夫でしょう。普通の人間なら、そんな大事な事を・・・あっ!ガウリイだった。
んー。ガウリイだからねえ(笑)。

>>「あの男には迷いはなさそうじゃな」
>>「そうかもしんない」
>>リナはため息をつき、がさがさいっている木の上を見上げた。
>失礼な事を。哀れガウリイ・・・・・・(合掌)
あはははは(ごまかし)

>>そして、いつものように
>>リナは、張り切って元気よく歩き出し、ガウリイはその後ろをついて行く。
>こうやって、迷い、足掻き、もがきながらも二人は進んでいくんだな。
>・・・って、何か「お先真っ暗」見たいな書き方しましたね、すんません・・・・
この2人には明るい未来(笑)が待ってる……かな?

>>迷いの森、私が迷いそうです。
>>現実の世界でも、ゲームでも、『私は誰?ここは何処?』って言うことがしょっちゅうです(笑)。
>楽しかったです。八極だって、現実世界で、「俺は何で此処に居んねん」
>などと、たわけた発想に浸っております。
>これからも、楽しい作品を読ませて下さいね。
>それでは。
はい、また、そのうち書きますので。