◆-星雨の夜-さくらあおい(11/19-13:49)No.564
 ┣読みましたよ♪♪-Noel・マイオー(11/19-17:28)No.570
 ┃┗ありがとうございます。Noelさま-さくらあおい(11/20-15:15)No.587
 ┗ほよほよほよ〜-千恵風味(11/21-09:02)No.600
  ┗ありがとうございます。千恵風味さま-さくらあおい(11/21-13:23)No.602


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564星雨の夜さくらあおい E-mail 11/19-13:49

晴れ渡る漆黒の空には月はなく、散りばめられた星々が瞬いている。
身も凍るような真夜中、彼は窓から星空を眺めていた。
手にしたグラスを弄ぶ。血のように赤い酒が雫を跳ねる。
その時―――
空に、新しい輝きが生まれたかと思うと、すぅっと流れて消えていった。
「流れ星……」
呟いて、彼は酒を一気に煽った。
コト。
微かな音が、静寂を破った。彼の部屋の隣からだった。
きぃ……軋ませながら、窓が外側に開かれる。続いて突き出された頭が、左右を見回し、
彼の視線とかち合う。
「……ガ、ガウリイ」
少女が、動揺に裏返る声で、彼の名を呼んだ。
「こんな時間に……また盗賊いぢめか、リナ?」
リナをひた、と見据えて、ガウリイはぶっきらぼうに訊いた。
「へ? そんなんじゃないわよ。ちょっと寝付けなくって。それで、外の空気でも吸おう
かなーなんて思っただけよぉ」
「ほう。わざわざ着替えてか?」
一瞬、言葉に詰まり、リナは居直って言う。
「そーよ。悪い? いつもの事じゃない」
「開き直るな。―――今日はやめておけ」
「何で?」
訝しげに、リナは尋ねる。
「さっき……流星を観た。流れ落ちる星は、災いを招くって言うからな」
「へえ」
「どこかの国じゃあ、人が死ぬ時に、魂と一緒に流れ星が落ちるそうだ。あんまりいい夜
とは言えんだろ?」
珍しく真面目に語るガウリイの横顔に、つい見とれてしまいそうになるのを、リナはぐっ
と堪える。
「そーなの? あたしが知ってるのは反対よ。流れ星ってのは幸運の象徴で、流れ落ちる
までに願い事を3回唱えるとそれが叶うんだって。昔、姉ちゃんに聴いた話だけど」
「星に願いを……か。ホントに反対だな」
「あたしは、こっちの方を信じるわ。だって、星はこんなにいっぱいあるけど、流れ星なんて
滅多に観られないものよ。そんな偶然に出逢えた事は、幸運じゃない」
紅い瞳を嬉々として輝かせるリナに、ガウリイは笑みをこぼす。
「そうだな。だったら何か願うんだったな……」
言いながら、再び上空を仰ぎ見る。
「あんたじゃ無理よ。あたしなら早口には自信があるけど」
二人は、しばし、同じ空を見上げていた。
「わあ……!」
「お……」
同時に声が漏れた。
流星が、一つ、二つと続けて流れていく。流星群の到来であった。
世にも珍しい天体ショーを、二人は声も失って観ていた。
「なあ」
「ん?」
リナは、目線を空に向けたまま聞き返した。
「これは、何なんだ? あんなに沢山降っても幸運なのか?」
「当たり前でしょ。こんなに流れるのを観た事ある? 希少な体験じゃない。絶対、忘れ
られないわ。……まあ、あんたなら明日にも覚えてないでしょうけど」
「どうしてだ?」
「あんた、酒飲んでるでしょう? 今夜のあんた、言動がやけにまともだもん」
「そんなに飲んでねーよ」
「どーだか」
食い入るように流星を見つめるリナを、ガウリイがちらりと見る。
「願い事3回言えたか?」
「ふふん。トーゼン♪ もういっぱい願いまくってるわよ」
「欲張りだな。そんなに叶うのか?」
「やってみなきゃ分かんないじゃない」
「そんなもんかね」
自信満々答えるリナに、ガウリイは小さく息を吐く。
「あんたは? 何か願ったの?」
「ああ、オレは……一つだけ叶えばいいよ」
「たった一つ? どんな事?」
興味津々といった顔で、リナが尋ねる。
「もういいのか? まだ流れてるぞ」
「はぐらかす気? どんな願い事なのよ。教えなさい」
「お前さんこそ、何を願ったんだ?」
「内緒」
「じゃあ、オレもだ」
「何よー。教えてくれたっていーじゃないっ」
「お前なぁ。自分は教えないで、それはないだろ」
「あたしはいーのッ。それより―――ハクション!」
とたんに寒さに震えるリナ。
「風邪ひくぞ。もう寝ろよ」
「うー」
「唸るな。今夜は冷えるからな、暖かくして寝ろよ」
「分かったわよ。今日は、おとなしく寝る事にするわ。いいもの観れたしね」
一旦、顔を引きかけて、もう一度覗かす。
「おやすみ、ガウリイ」
「ああ。おやすみ」
二つの窓が、閉じられる。
ガウリイは、空になったグラスをテーブルに置き、ベットに腰掛けた。
耳を澄ますと、隣はじきに静かになる。本当に諦めて寝たらしい。
「星に願いを……か」
独りごちて、ふっと笑った。
「オレの願いは―――」
彼の蒼い瞳に、寂しげな色が落ちる。
ベットに入り、毛布をかぶって、その内寝入ってしまう。
彼が何を言いかけたのか、それは、流れ落ちた星のみが知る。
なぜならば、案の定、次の日、彼にはその夜の記憶がなかったからだ。
しかし、流星が彼の願いを叶えたかどうかは、誰も知らない―――。

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お分かりでしょうが、しし座流星群に感化されて書いたものです。
流れ星にまつわる話は本当にあって、欧米や米北では幸運の象徴として
言い伝えられ、中国では反対に人の死や反乱といった不吉な知らせと考え
られていたそうです。

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570読みましたよ♪♪Noel・マイオー E-mail 11/19-17:28
記事番号564へのコメント
さくらあおいさまへ

早速、読まさせていただきました♪♪
良かったです(はあと)
わたし、見なかったんですよね……流星群……わたしの先生が見たらしいです。感想を語ってくれました(笑)
にしても、なんで皆さま、そんなに描写がお上手なんですか?羨ましいです。(ほう←感嘆の溜め息でし)
ほんと、素敵なお話でした。楽しかったです。わざわざお知らせ下さってありがとうございました♪
それでは……チャットかめーりゅで…お会いしましょうです。
さようなら〜〜〜〜

Noel・マイオー

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587ありがとうございます。Noelさまさくらあおい E-mail 11/20-15:15
記事番号570へのコメント
>早速、読まさせていただきました♪♪
>良かったです(はあと)
早速読んでくださって、ありがとうございますっ!

>わたし、見なかったんですよね……流星群……わたしの先生が見たらしいです。感想を語ってくれました(笑)
はっはっは。私も見てないです。ちょうど東の空が曇ってまして。
とほほな私の代わりに、あの2人に見せてあげました。

>にしても、なんで皆さま、そんなに描写がお上手なんですか?羨ましいです。(ほう←感嘆の溜め息でし)
>ほんと、素敵なお話でした。楽しかったです。わざわざお知らせ下さってありがとうございました♪
そんなふうに言ってもらえて嬉しいです。描写・・・ヘタだと思ってるんですけどね、私は。

>それでは……チャットかめーりゅで…お会いしましょうです。
はい。こちらこそ、よろしくです。本当に、ありがとうございました。

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600ほよほよほよ〜千恵風味 11/21-09:02
記事番号564へのコメント

しし座流星群・・・
はっきしいってねてました。
妹に起こしてもらったんだけど、爆睡。
そんな沢山見えたんですか? いいな。
クラスでは ”誰とみた” とゆうのが話題になってました。
リナはガウリイと・・・ イイなあ。

流れ星のみ しっている いっぱいなひとたちの おもい

ははっ@
でわ。     千恵。

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602ありがとうございます。千恵風味さまさくらあおい 11/21-13:23
記事番号600へのコメント
ご感想、ありがとうございます。

>クラスでは ”誰とみた” とゆうのが話題になってました。
>リナはガウリイと・・・ イイなあ。
誰と一緒に……ポイントですね。(くす)

>流れ星のみ しっている いっぱいなひとたちの おもい
このフレーズいいですね。これくらいの文才があれば……。
私にください。(無理だって/笑)