◆-例えばこんな死後の世界(?)-辻斬りマリィ(11/27-17:00)No.653


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653例えばこんな死後の世界(?)辻斬りマリィ 11/27-17:00

覚えている最後の感情は、あまりにも複雑な物。
悲しいといえば嘘になる。けれど、楽しいといっても、それは嘘だった。

混沌の海・・・そうよばれる空間の中を長い間漂っていた、
もう、俺が誰なのかも忘れかけていた。
不意に、一人の子供が俺の顔を覗き込むまでは。


「ねえ、君、誰?」
そいつは俺の顔を覗き込んで、そう尋ねた。
「・・・・」
取り敢えず無視することにして、俺はまたゆっくりと空間の流れの中に意識を委ね・・・ようとしたところを今度は無理矢理押しとどめられた。
「ねえってば、無視しないでよ!聞こえてるんだろう、僕の声!」
耳元で騒がれる。五月蝿い、だけど、不思議と嫌な感じがしないのは、何故だろう?
「・・・聞こえてるよ、ったく五月蝿いったらありゃしねえ。」
俺はそうぼやきながら、ゆっくりと起き上がった。
「君、誰?僕はー・・・・フィブリゾっていうんだって。」
「はあ?」
そいつが少々おかしな事を口にするので、俺は思わず聞き返していた。
いうんだって、ということは、こいつは誰かにこいつ自身の名前を教えてもらったということになる。と、いうことは、だ。
「おい。」
「おいじゃないよ、フィブリゾだってば。」
「ここに、俺達意外に誰が居る?」
「え・・・・?」
「誰かが居るんだろう?お前の名前を知っていた誰かが。」
何故、俺は今、ここまでその誰かに執着しているのだろう、そう自問自答しながら、俺はフィブリゾを問い詰めていた。その声が聞こえるまで。
「ガーヴ。あんまりフィブリゾを困らすんじゃないの。」
声を聞いた瞬間、ぞくりとした。
知っている。俺は、この声を持つ人を知っている。
「・・・・・・・・・・・。」
無言で振り向いた俺の目に映ったのは、一人の女神だった。


「・・・俺は、どうしたらいいんでしょうか?」
女神に向かって物を尋ねるのは、これで何度目だっただろう?
いや、そんなことはどうでもいい。いま問題なのは、俺がこの御方に尋ねていることなのだから。
「どうしたらって、なにが?」
「何故、俺は・・・俺とフィブリゾは、混沌に帰れないのでしょう?」
まじめ腐って聞いた俺の顔を、女神はまじまじと見詰めて、それから、思い切り吹き出した。
「!!?」
「いや・・・まさかそんなこと聞かれるなんて、思ってなかったわよ、あんた最高
よ、ガーヴ。」
「はあ?」
かなり間抜けな返答をしてしまった俺に、女神は急に真顔で向き合った。
「なんでって、決まってるでしょう?私がそうしてるからよ。」
そうだったのか、と考え直すひまもなく、女神は踵を返し、しばらくしてから俺に声をかけた。
「ほら、ついてきなさいよ。今日はSもこっちに来てるんだから。」
「は・・はい!!只今!」
俺は慌てて走り出した。なにしろ気まぐれな御方だ。いつ俺を置き去りにして何処かにとんずらするかわからない(そういえばフィブリゾの姿が見えなかったのは先にいってたからか・・・。)


相変わらず、何故ここに居るのかはわからない。が、それでも俺はそこそこに、まあまあ幸せ・・・・・なんだよな。きっと。

終わり



どもども。変な文章ですみません。書きたかったんです。NEXTのパラレルっぽい話が。
でわでわ。