◆-炎の玉座-LINA(11/28-12:53)No.662
 ┣炎の玉座1-LINA(11/28-12:55)No.663
 ┣炎の玉座2-LINA(11/28-12:57)No.664
 ┣炎の玉座3-LINA(11/28-12:59)No.665
 ┣炎の玉座4-LINA(11/28-13:01)No.666
 ┣炎の玉座5-LINA(11/28-13:04)No.667
 ┣祝!復活-ティーゲル(11/28-21:01)No.674
 ┃┗お礼です!!-LINA(11/29-17:34)No.692
 ┣題名から格好いいです!!-くり(11/28-22:11)No.681
 ┃┗お礼です-LINA(11/29-17:43)No.693
 ┣ありがたくいただきます。-TRYNEXT(11/29-17:29)No.691
 ┃┗お礼です-LINA(11/29-17:51)No.694
 ┣炎の玉座6-LINA(11/30-00:59)No.697
 ┗炎の玉座7-LINA(11/30-01:01)No.698
  ┣やっぱり最後はこうでなくちゃ♪-TRYNEXT(11/30-14:08)No.701
  ┃┗お礼です-LINA(11/30-20:57)No.705
  ┣Re:炎の玉座7-ティーゲル(11/30-16:15)No.703
  ┃┗お礼です-LINA(11/30-21:04)No.706
  ┣遅くなったけど感想♪-くり(12/1-21:54)No.717
  ┃┗どーもで〜す-LINA(12/3-18:04)No.733
  ┗ふぅ♪-る〜ら(12/14-20:12)No.867


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662炎の玉座LINA 11/28-12:53

久々復活です。
今回の話はシェークスピア悲劇「マクベス」を参考にした中世のお話です。
内容的に言えば迫害される王子ガウリイ君とその妹アニスを護り抜くリナちゃんのお話です。
やはりロス・ユニキャラが乱入してます。
ラストシーンは壮絶にする予定ですが、御暇があったら読んでやって下さい。
最後に、素晴らしいネタとなるお話を提供してくださったTRYNEXT様にこの話を捧げます。よろしかったら貰ってやって下さい。
(結局、こんなになってしまいましたけどね・・・・。【汗】)

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663炎の玉座1LINA 11/28-12:55
記事番号662へのコメント
「今回の働き、まことにご苦労であった。ガウリイ、ケイン。」
スコットランド国王は自分の二人の息子に語り掛ける。
「いえ、今回のノルウェーとの戦争、勝利できたのはすべてレゾ将軍のおかげです。」
長兄、ガウリイが病床の父王に語り掛ける。
「兄の言う通りです。俺が負傷した時、助け出してくれたのはかの将軍です。」
弟のケインも続けて言う。
「そうか・・・・。ならば我従兄弟、レゾには然るべき恩賞を取らせよう。彼は幸い今日宮殿にやって来ると言う。」
「・・・・。急な話ですね・・・。そのような事、今はじめて聞きます。」
少し驚いたようにケインが呟く。
「彼の息女がフランスより6年ぶりに帰ったとの事だ。今日中にも御前達やゼルガディス、アメリア、ミレニアム、キャナル、レイル、ゼロスに挨拶させたいとレゾのたっての希望だ。」
父王の話しに対し、ボーーーっとし、ナンの反応も示さないガウリイと違いケインはマトモに喜色を表す。
「そ〜〜〜か!!遂にアイツが帰ってくるのかアア!!」


レゾも到着したのはその日の夕方だった。
つまらない社交事例ばかりが延々と続く。
アメリアがつまらなそうに欠伸をする。
ゼルが憎しみの篭もった眼差しでレゾを見詰める。
キャナルとミリィが居眠りをしている。
レイルが不審そうなか顔をしている。
ゼロスは何時も通りにこやかな顔で突っ立ている。
「暇だな・・・・。」
ケインが呟く。
「暇だ・・・。」
ガウリイもそれに答える。そして、二人は顔を見合わせ、ニヤと笑い同時に頷く。
「父上、俺とケインは剣術の稽古の時間なので失礼させて頂きます!!」
言って病床の父王に最敬礼をするガウリイ。
「ああ、そうだな。ケイン、ガウリイ、行っておいで。」
父王は優しく息子たちに微笑みかける。
コレ得たりとばかりに退屈な社交事例から抜け出すきっかけを作ったケインとガウリイ。
自然と快心の笑みが零れる。
つまらない社交事例に今だ延々と付き合うハメになっている友人達の恨みがましい眼差しを背に二人の兄弟は颯爽と部屋を出ていった。

「ケイン、オマエ剣術の稽古するか?」
ガウリイが弟王子に尋ねる。
「真坂、する訳ねーよ。まだこの前の戦争で受けた右手の傷も治ってないんだぜ?」
「じゃ、中庭で散歩でもするか。」
「賛成。じゃあ、兄者オークの木の下で待っててくれ。俺は妹のアニスを連れてくる。」「わかった。」
ひとまず兄弟は廊下の左右に別れて歩き出した。


ガウリイはケインとの約束通り中庭で一番巨大なオークの木の傍に向かった。
「あ・・・・。先客か・・・・?」
見ればそこにはオークの木にもたれて一人の人物が眠っていた。
興味を持ちガウリイはそっと起こさないようにその人物を観察する。
年のころなら18〜9。
栗色の髪を無造作に肩に散らし、フランス風の上品な真紅のベルベット製品であろう乗馬服を着こんだ娘・・・。
とても召使の身分には見えない上品な顔立ち。
その手は眠りながらも二つの胡桃をもてあそんでいる。
近くには彼女の者であろう白馬が繋がれのんびりと草を食べている。
葉と葉の間から落っこちる木漏れ日が彼女に降り注ぐと眩しそうに顔をそむける。
こうして見ると一見お転婆そうに見えるが中々の美人である。
ガウリイが彼女に見とれていたその時だった。
何者かが近付く気配。ばっと娘が目を覚まし、近付いてきたその男に勢いよく抱きついた!!
「会いたかった!!ケイン兄ちゃん!!元気してた?手紙読んでくれた?6年たって随分と背、伸びたね!!」
あっけに取られるガウリイをよそにケインは娘を抱き締める。
「御前なのか?帰ってくるとは聞いてたがすっかり綺麗になっちまってよ!!元気だったに決まってるだろ!!手紙だって全部読んだに決まってるだろ!!」
ケイン自身ガウリイに比べて華奢な方だが、ケインが華奢な体格だと感じさせないくらい細身で色白のその娘をケインは両手で抱き上げグルグルと回る。
「なあ・・・・。ケイン・・・。そのコだれだ・・・?」
二人の再開の挨拶が終わるのを見計らいガウリイはケインに質問する。
まあ・・・・。弟がコレだけの美人と知り合いだったと言う事に対して嫉妬が無いと言うのは嘘になる・・・・。
「ったく!!相変わらず兄貴はクラゲだな・・・・。レゾの娘だよ!!」
レゾの娘・・・、ッてことは・・・・。
「リナ!!オマエ、あのリナか!!???」
改めてガウリイは驚愕の声を上げた。
「そうだよ。あのリナだよ!!忘れちまったのか?」
興奮冷め遣らぬといった口調でケイン。
「無理も無いわ。ケイン兄ちゃんはアタシとよく遊んでくれたけれど、ガウリイ若様って『ガキの子守りか・・・・。あんまり色気のある話じゃないな・・・。』とかいってろくすっぽアタシの事かまってくれた事無いもの。記憶に無くて当然よ。」
惜しい事をした・・・・・・。
リナのその台詞に今更ながら後悔の念を覚えるガウリイだった・・・・・。
「ん?」
ケインの後ろからちょこんと顔を何かが覗かせた。
そっとリナは優しい眼差しを送る。
「年の離れた妹なんだ。アニーローリリアスと言うんだが皆「アニス」と呼んでる。」
それに気付いたケインがリナに教える。
「そう、アニス王女様ね。アタシはカサンドラ。「炎」もしくは「護る女」と言う意味なの。最も貴方同様長い名前だからみんなミドルネームの「リナ」ってアタシの事呼んでるわ。」
少女はニッコリと微笑んだかと思うと座り込んでいるリナの胸と二の腕の中に素早く小さな身体を滑りこませた。
「珍しいな・・・。父上と母上と俺とケイン以外の人間にアニスが懐くなんて・・・。」
感心したようにガウリイがリナとアニスを見詰ながら言う。
「可愛い方じゃない・・・。丁度ガウリイ若様とケイン兄ちゃんの中間の雰囲気ね。」
若様に兄ちゃん・・・。リナにとってケインの方が近い存在である事を悔やんでも悔やみきれない(?)ガウリイ。
そんな彼の心を知ってか知らずか、リナはアニスの観察をはじめる。
ガウリイの金髪とケインの茶色い髪、どちらとも似ている金色に近い茶色い髪。
ガウリイ、ケイン同様の真っ青な綺麗な瞳。
体格が華奢なところはケイン似。でもどちらかと言うと色白なところはガウリイ似。
ガウリイは父王にそっくりだし、ケインはその妻の王妃に似ている。
アニスは本当にその中間点と言ったところだった。
「いけね!!マントが破れてる!!悪いがリナ、兄者、また後でな。」
そう言ってケインは去って行った。
残されたリナとガウリイ。アニスは気持ちよさそうにリナの膝の上で眠っている・・。
「・・・・・・、なあ、リナ・・・。」
ガウリイはリナに話しかける。
「なに・・・・。ガウリイ若様?」
アニスの髪を手で梳きながらリナが答える。
「・・・・散々ガキ扱いしといて今更調子がいいと思うかもしれんが・・・・・。」
言いかけたその時だった!!
「きゃああああああああ!!リナさああああああん!!あいたかったですううううう!!」
「リナねえええええええ!!元気だったあああああああああああああ!!!!???」
「今日は宇宙一の料理でお帰りなさいパーティーよおおおおおおおおおおお!!!」
三人の娘がリナに抱き着いてきた!!
シーーーーーッツと、一本立てた人差し指を口と鼻の先にあて、リナは三人をいさめる。アニスはまだ起きていない事を確認しリナは小声で言う。
「アメリア、キャナル、ミリィ!!お久しぶり!!あら、アンタゼル?レイルはすぐ分かるわ。変わってないわね。ゼロスは居ないの?」
「アイツは紐の切れたタコみたいなもんだ。」
ゼロスと仲の悪いゼルがぶっきらぼうに答える。
「リナ、何で親父と一緒に宮殿に来なかった?」
彼女が下らない社交事例に出なかった事が面白くないのだろう。
恨みがましくレイルが尋ねる。
「王様はともかく、あの人・・・嫌い。お母様が家出して三ヶ月も経たないのにエリシエルとか言うヘンな女と再婚しちゃったのよ。もっとも、出ていってお母様も正解だったわね。とりあえず家には帰らないでココのお城の貴族宿舎に寝泊りするつもりよ。」
「じゃあ!!リナさん、アタシの隣りのお部屋ですね!!空いてますから。」
嬉しそうにアメリア。
かくして、これから物語が始まる・・・・・・・。

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664炎の玉座2LINA 11/28-12:57
記事番号662へのコメント
「国王、ご病状悪化!!」
その報告がもたらされたのは黄昏時を過ぎた頃だった。
「国王はどうなされた!!?」
近衛兵の職務に着いているゼルとレイルが側近のゼロスに慌しく尋ねる。
「お妃様とご一緒に国外れの離宮に移られましたよ。でも〜〜大丈夫ですかネエ・・・。」この非情時にも何時もと変わらない緊張感の無い声で答えるゼロス。
慌しく家臣の統率をするガウリイとケイン。
ただただオロオロするばかりのミリィと持ち前の饒舌を用いて有力貴族へ根回しするキャナル。
時後処理に勤しむアメリア。怯えるアニスを抱き締めるリナ。
その甲斐あってだろう。夜半には城内は落ち着きを取り戻していた。


眠れない・・・・。
父王の事を思えばそれも当然の事かもしれない。
しかし、夜半の騒ぎと仕事を思えば疲労しきったからだと対照に寝つけないと言うこの心理状態はガウリイにとって不思議な事以外の何者でもなかった。
仕方なく薄手の寝間着の上に白い軍服を羽織り夜の庭の散策に出る事にした。

月が天頂に差し掛かっている。
金木犀の甘い香りが漂う。
其処に誰かが座り座り込んでいる。
「リナ・・・・・・・。」
躊躇う事無くガウリイは彼女の名前を呼んだ。
「ガウリイ若様!!?」
はっとして振り向くリナ。
忙しさの余り今まで気付かなかったが、リナは乗馬服からフランス風の質素だが品の良い部屋着に着替えていた。
月夜によく映え、尚更綺麗に見える。
「・・・・泣いてたのか・・?」
「うん・・・・。若様にもケイン兄ちゃんにも申し訳無くて・・・。」
「・・・・。若様っても、止めてくれないか?ガウリイで良い。でも・・・何でオマエが申し訳無いなんて思わなきゃならないんだ?」
「だって、そうよ・・・・。王様がご病床に居るって言うのにアタシった父親のレゾに会いたくないと言うだけの理由で挨拶はモトよりもお見舞いの言葉すら言わないで・・・。王様は元よりもケイン兄ちゃんやガウリイ若さ・・・・、じゃあなかった、ガウリイの苦労を考えると自分の非礼が身にしみて・・・・。」
言ってリナは自嘲的とも言える作り笑いをして見せた。
「大丈夫さ。それに、今更ながら俺はリナに会えて嬉しかったぞ。父上には元気になって戻ってきたら快気祝を言えばいいさ。」
「・・・・アリガト。子供を宥めるの、上手くなったね。妹君のアニス様での訓練の賜物かしら?」
リナははじめて本当の笑顔を見せた。
「どーしてそう、皮肉言うかな、オマエは・・・?フランス行って性格悪くなったんじゃねーか・・・?」
「だった・・・。急に若様が・・・じゃなかった。ガウリイが優しくなって気持ち悪いんだもん。今までだったら『ナニ何泣いてるんだ・・・。子供はサッサと寝ろよ』でお終いだったじゃない?」
「前って言ったて六年も前の話だろ?そんな昔話持ち出すなよ・・・・。俺だって六年前はまだ十七歳の子供だったんだぜ?今と違って当然だと思うけれど?」
「今のアタシよりも一つ年下なだけじゃない。アタシ自身大した進歩が合ったとも思えないし・・・・。ガウリイ若・・・じゃないガウリイやっぱ大人だわ。スゴイ進歩。アタシはまだまだガキ扱いで当然ね。」
感慨無量といった口調でリナが呟く。
「十八の時の俺の精神年齢より今のリナの精神年齢の方がニ・三歳上だゾ。あの時俺は自分で自分の事を子供だ何て見とめたくなかった世間知らずだしな・・・・。」
抗議するようにガウリイが言う。
「フランス行ってアタシ性格悪くなったってガウリイわ・・・じゃないガウリイ言ったよね?今でも一寸 世間知らずってゆーか認識不足よ。子供の頃のアタシの性格なんて知ろうともしなかった癖に!!」
「そーだったけ・・・?」
「そうよ!!さっきも言ったでしょ!!ガキの頃のアタシにはろくすッぽかまってくれなかったって!!ケイン兄ちゃんに聞いてみなさい。アタシは元々こーゆー性格悪い奴よ!」それこそ反抗期の子供のようにリナが言う。
「自分で言うか・・・・?そーゆーこと・・・・。」
「言うわよ!!だってアタシは畜生の娘だもん!!」
リナの父親、レゾに対する嫌悪が露骨に表れている台詞。
「リナ・・・・・・。」
「そーよ!!フランスに行った第一の理由は勉強だったんだけれども第二の理由はジジー(レゾ)をサッサト捨ててどッかの名門貴族と結婚して一生楽して暮らす事だったんだもん。」
「ふ〜〜〜〜ん・・・・。で、今オマエさんがここに居るって事は、その性格の悪さと胸の無さで見事振られたって事か・・・・・・。」
ピクピクピクピクピウクピクピクピクピク・・・・・・。
リナのこめかみの辺りがマトモに痙攣を起こす・・・・・・・・。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・・・・・・・・・・・・。
流石は世間知らずのお坊ちゃまね、若・・・じゃなくってガウリイ!!結構こー見えても求婚された事アンのよ?血統沙汰になったことも2回位あったわ・・・・。でもねえ・・。ドイツもコイツも金はあっても性格がアタシ以上に悪かったり顔が最低最悪だったり剣術の腕が超ド三流だったりしたからみいいいんんあまとめて片っ端から断ってやったわ!」「・・・・・・・。オマエやっぱり性格悪い・・・・。」
「ナンとでも言って下さい!コレがアタシの生きる道!!理想は高く!!」
「現実は低く。」
「夢も希望も無いこというな!!」
「夢も希望もあるなら・・・・。こんなところに来て一人で泣くなよ。」
暫く考えてリナが聞く・・・。
「じゃあ、何でアンタはコンな所に来たの?あの騒ぎの後よ・・・?疲れてるでしょ?」ガウリイも暫く考えて答えを出す。
「リナが無いてるような気がしたから。」
「嘘?」
「嘘だぜ。でも、皇太子の俺が言うんだ。嘘もホントにして良いんだ。」
はあっつーーーー、っとリナはため息一つ。
「まったく・・・・。アンタいい王様になるわ・・・。その時は、性格は悪いけれども才色兼備のと、ある女性に重役の座、空けておいてくれないかしら?」
「ああ・・・。約束する・・・。」
最も重要な・・・・隣りの玉座を・・・・・・。

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665炎の玉座3LINA 11/28-12:59
記事番号662へのコメント
「アニス?アニス何所?」
リナの声が廊下中に響く。
「リナ、どーした?」
「あ、ケイン兄ちゃん、お庭でかくれんぼしてたらアニスが居なくなっちゃったのよ。知らない?」
「さあ・・・・。見かけなかったぜ・・。良いや、俺が探しといてやるよ。アメリア達が呼んでる。行ってやってくれ。」
「うん。アリガト。ケイン兄ちゃん。」
何気ない挨拶を交わして二人は前後に別れた。

「リナーー待ってたわよ!!」
ミリィが元気に手を振ってくる。
「ナニナニ?急に呼び出したりして!!」
「今日ね、国王の兵団が剣のトーナメントを病床の王様の回復を願うために開催されるんですって!!」
はしゃいだ様子で アメリア。
「王様は遠い離宮においでだから見られなくって当然って所と、花形の王子様の一人、ケインが右手の怪我で出場出来ないって言うこの二点がミソだけどね。」
ケインが出られない事を残念がっている様子でキャナルが付け足す。
「って、事はガウリイ若様とゼル、レイル、ゼロスは出るって事?」
ガウリイがこの場に居たら不満の声が漏れたであろうがあえて昨夜の出来事を勘ぐられない様にするためリナは「若様」を着けて呼ぶ。
「ゼルガディスさんとレイルさんは出ます。けどゼロスさんは『いやあ〜〜〜、僕は平和主義ですから、こーゆー荒っぽい事は一寸・・・あっはっはっは。』とかナンとかウチのとーさんみたいなこと言って出場拒否しました。」
アメリア。
「・・・・・。フィルさんね・・・。元気?」
「はい。とーさんは元気と平和主義だけが取り柄ですから!!」
「じゃあ、ついでに聞くけど・・・。お姉さん・・・元気・・?」
「・・・・・・・・・・。リナさん・・・・・。その事については後生ですから何も聞かないでください・・・・・・・・・・・・・。」
「冗談よ・・・・。殺しても死なないような奴が『元気じゃない』わけないしね・・・。」
言ってリナは自分自身の放ったとてつもなく、はてしなく悪質なジョークに暫くの間苦笑した・・・・・・・・・・。


たむろう宮廷の若い娘達。
お目当ては勿論花形のゼル、レイル、ガウリイ、ケインである。
しかしケインが出られないと知り諦めてスゴスゴと帰るものもいたので座席は簡単にキープ出来た。
「きゃあああ!!きゃあああああ!!レイル様!!!!!がんばってえええ!!」
宮廷一のオッペケペー娘、ニーナの甲高い声が聞こえる。
「勘弁してよ・・・・・。」
さっきから執拗なまでのガウリイのアイコンタクト・・・・。
折角持ってきたお弁当もそんなに見られちゃ食べられたもんじゃない・・・・・。
最も不幸中の幸いそんな彼の様子にアメリア達は気付いていない。
リナは仕方なくハイハイと軽く手を振る。
いや・・・・。そんな嬉しそうな顔されてもこっちとしてはリアクションに戸惑うだけなのだが・・・・・・・・。
「きゃあああああ!!ケイン様よ!!」
唐突に掛かる娘たちのケインコール・・・・。
しかし、彼はそんな者に構っている暇は無いと言ったほど切羽詰った表情をしている。
「大変だ!!何者かが父王と母上を離宮に監禁し、王位略奪のクーデターを起こそうとしている!!」
ケインの叫びに一同蒼白となる。
「ケイン、軍団の用意だ!!」
フェンスを優美なジャンプで軽く超えたガウリイが弟に言う。
「それが・・・。駄目なんだ・・・・・・。やつらは・・・・・。」
心なしかケインの声は震えている・・・・・。
「あ、あれ!!」
キャナルの指差した方向を一同振り返る。
「軍勢・・・・・?しかも・・・父・・・レゾの・・・。どーゆー事よ!!」
レゾとリナ親子の不和は一同承知の事。
従ってリナが何も知らないことに対して誰もが疑問に思わなかった。
「リナ!!あれ!!」
今度はミリィが指を指した方向にリナは目線を走らす。
「!!!アニス!!!」
其処には兵士の槍で尻をつつかれ泣きながら歩くアニスの姿があった。
その細く小さな腕は痛々しいくらいきつく縄で雁字搦めに縛られていた。
「人質に・・・・アニスをとられた・・・・・・・。」
震えた声でケインが呟く・・・・。
「ガウリイ王子、ケイン王子!!貴方達をレゾ新王の命令により投獄する。そしてリナ殿、貴方は今日より最下級貴族の身分に落します。さあ、一緒に来ていただこう、ガウリイ王子、ケイン王子!!」
言って兵団の隊長は荒荒しくアニスの髪を掴み小さな喉モトに冷たい光を放つ諸刃の剣を付き付けた。
「く・・・・・・・。」
「仕方ない・・・・な・・・・・。」
苦悶の声を残して兵団に歩み寄って行くケインとガウリイ。
二人の二の腕にアニスのそれよりさらに太い荒縄がきつく巻き付けられ、連行されて行くまではそれから十五秒もかからなかった。
ドンと蹴り飛ばされるような形で腕に縄を巻かれたままアニスが開放されたのはまもなくだった。
泣きじゃくり、つんのめったアニスをリナは素早く支えてやる。
その姿は父親が仕出かした事と彼女が関係ないことを其処にいる一同に示すには充分過ぎる姿だった。
「何と言う奴だ・・・・。幼いアニス様に惨い仕打ちをしただけでなく実の従兄弟の国王を監禁・・・・。さらにはガウリイ、ケインを投獄・・・・。挙句の果てに自分に対して意見しないように実の娘のリナに対してまで迫害を加えるとは・・・・・。」
怒りに満ちた口調でゼル・・・・。
「正義に名に反します!!」
震えながらアメリア。
「大丈夫・・・・。アタシが絶対護るわ・・・・。」
腕の中で泣きじゃくり縋り付いて来る少女にリナは強く、優しく言った。

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666炎の玉座4LINA 11/28-13:01
記事番号662へのコメント
リナはアニスと二人、ガウリイとケインが投獄されているであろう牢獄に繋がる暗く湿っぽい扉の前にただなすすでもなく座り込んでいた。
アメリア、キャナル、ミリィ、レイル、ゼルは今や「新王」と自称するレゾのもとに他の有力貴族共々呼び出されている。
身分を最下級の貴族に落とされたリナはその場に入る事すら許されなかった。
「・・・・・・・・・。どうなちゃうんだろ・・・・。これから・・・・。」
せめて・・・・。このアニスだけでも護りたい・・・・・・。
膝の上で大きな目に一杯涙を溜め、必死で泣くまいとこらえる小さなアニス。
あたしがフランスに行った三ヶ月後に産まれたってヘッポコオッペケペー娘のニーナが教えてくれた。彼女の事だからその情報を鵜呑みにする訳には行かないがだいたいそのくらいに考えてもアニスはまだ五歳か六歳である。
「せめて・・・・・。ケイン兄ちゃんか若さ・・・じゃなかった、ガウリイのどちらかさえ残っててくれたら・・・・・・。」
アレからまだ二時間も経っていないのにどっと疲れが出たような気がする。
「いや〜〜〜リナさん、アニス姫様、おそろいでしたか〜〜〜。」
疲れでまどろみかけていたリナの耳に突如聞き覚えのある緊張感の無い声が聞こえる。
「ゼロス!!ナンで国王の第一側近のご身分のアンタがコンな所に居るのよ!?」
思わず大声を上げるリナ。
それに驚いてか大きな目をさらに真ん丸くして見開きリナの顔を仰ぎ見るアニス。
「リナ・・・・・・・・。」
彼女は心細そうに呟く。
「嫌われたもんね。ゼロス。」
怯えてすがってくるアニスの肩を抱きながらリナがゼロスを睨んで言う。
「僕のせいですか・・・・・・。リナさんの大声に驚いたんだと思うんですが・・。」
不満げに呟くゼロス。
「煩い。急に現れたアンタが現行犯よ。で、もう一度聞くけどなんで高級官僚とは名ばかりの悲しき中間管理職、またの名を使い走り、通称「走り君」のアンタがココにいんのよ?」「凄まじい嫌がらせ文句ですね・・・・・・。 いや〜〜何、簡単なことですよ。リナサンと同様僕もレゾ新王様に警戒されて身分を牢番に落とされちゃったんですよ、あ、は、は〜〜〜。」
「あ、は、は〜〜じゃない!!牢番ならガウリイとケイン兄ちゃんの救出に手と鍵貸しなさい!!」
「その点は依存はありませんが、普通の罪人ならともかく王子ともなると牢破りして逃げたところで城内でもう一度捕まっちゃいますよ。み〜〜んな顔知ってますしネエ。」
自前のコーヒーカップを何所からとも無く取りだしココアなんぞ飲むゼロス。
「まあ・・・・・。確かに・・・・・。」
返答に窮しつつリナ。
「一つ良い事を教えてあげましょう。昔、このお城が建ったばかりの頃のお話です。
そのころ、この国は日夜戦争に明け暮れていました。そーなると、何時国王は城を攻め落とされて殺されるか分からない。そこで、フェイントとも言える場所に抜け穴を作ったんですよ。一説ではそれは牢屋の床下とも言われています・・・。ただね、その抜け穴には一つ欠点があるんですよ。」
「欠点?」
半信半疑ながらもゼロスの話に希望を持ったリナはすかさず尋ねる。
「そう。その抜け穴の蓋はね、外側からじゃないと開け閉めできないらしんですよ。
それじゃ、敵に『この穴を使って逃げました』って言ってるようなモノでしょう。きっと王様を護るために捨て身に覚悟で兵士が残って蓋をしめたんでしょうねえ・・・。」
「・・・・・・。チェスの駒じゃあるまいし・・・・・・・・・。でも、もし抜け穴が合ったとしても閉めなきゃ二人が逃げた事バレバレッてことね・・・・。」
「鍵貸しますよ。リナさんが閉めれば良いでしょ。門番は僕なんですしね。」
「そ〜ね。じゃ、一寸行ってくる。アニス、良い子で待っててね。」
「リナ〜〜〜〜、おいてっちゃいや・・・・・・・・。」
なお縋り付いて来るアニス。
「心配しないで。すぐ戻るから・・・・。」
「このヘンな人とアニスを一緒にいさせないでえええええええええ!!」
ピクピクピクピクピクピクピク・・・。ゼロスの顔が引きつる・・・・。
「ヘンな人・・・・ですか・・・・・。いや〜〜糞生意気なガキですネエ〜〜アニス姫様は!!」
「煩い!!生ゴミ!!生ゴミゼロス!!!!!」
「な・・・・生ゴ・・・・・・・。」
「リナ〜〜〜、この人、アニスのこと意地悪する!!」
「しょ〜がない・・・・。一緒に行こう、アニス。でもね、牢屋までは来ちゃ駄目よ。お兄さん達も牢屋に入れられた姿を貴方に見られたくないと思うから。」
「うん!!」
力いっぱい頷いてリナの右手を握り牢屋の方に歩いていくアニス。
唐突に後ろを振り向きゼロスに「あっかんべ〜〜〜〜〜」とする所がこれまたミソ。
「リナ、あのヘンな人、アニスの事睨んでる!!怖い!!」
「うおら!!ゼロス!!駄目でしょ!!アニス虐めちゃ!!いい!!今度やったら鉄拳制裁よ!!」
怒った声でリナが言う。またまたアニスが振り返り「あっかんべええ」をする。
「こ・・・・・・・・。この・・・二重人格・・・・・。」
ゼロスはただただ顔を引きつらせてそう言った・・・・。



「ガウリイ、ケイン兄ちゃん!!」
唐突の思いがけない来訪者にガウリイとケインは驚愕する。
『リナ!!』
二人の声がハモる。
「良い?今からアタシの言う事をよく聞いて。牢屋の石畳、一つ一つに耳をつけて叩いてみて。空洞になってる音がする場所があると思うわ。」
「よく分からんが・・・。リナが言うなら・・・・。」
ガウリイが寝そべり自分の足元の石畳を拳で軽く殴る。
ケインもそれに習い別の石畳を殴り出す。
「あったぞ!!」
ガウリイがその場所を発見した。
「じゃあ、ケインと二人でそれをこじ開けてみて。」
リナの指示通り二人はその石畳を取り外しにかかる。
「これは・・・・・・?」
ケインが驚愕の声を上げる。
「抜け穴よ。良い、よく聞いて。この抜け穴の階段を使って逃げて。さもなければ貴方達は今日明日中にでも処刑されるわ。オークの森を抜けたところにアタシがフランス時代にお世話になったアリシアって女性が住んでいるわ。三年前こっちに引っ越して切った聞いているわ。其処までは捜査の手は伸びないはずよ。アタシの書いたこの手紙を持って庇護を頼んで。大丈夫、信頼できる人よ。」
「リナは如何するんだ・・・・・・・。」
ガウリイが抗議の声を上げる。
「アタシは・・・・。アタシはアニスを護り抜くわ。本当は貴方達と一緒ににココから逃げるのが一番彼女にとっては良いかもしれないけれど、レゾを倒すための挙兵をする時を考えたら、あの子がいたら負担になるでしょ?せめて・・・・・。アタシがあの子を護り通すしか出来る事はないわ!!」
レゾを倒す挙兵・・・・・・。
リナは其処まで考えていたのか・・・・・?
「わかった・・・・。妹を頼んだぞ・・・・。親友・・・・・・。」
「任せて。ケイン!!」
「無理をするなよ・・・・。アニスも大切だがオマエがそのせいで死んじまったら俺は実の妹を一生憎むことになる。」
「分かったわ。無理はしないわ、ガウリイ。」
「約束だゾ。」
「約束する!!」

アニスを護りぬく・・・・。それがリナに出来る唯一の償いだった・・・・・・・・。

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667炎の玉座5LINA 11/28-13:04
記事番号662へのコメント
オークの森・・・・・・・・。
ただただ広がる霧・・・・・・。
子供のリナは其処にいた。
何をしているかって?
兵隊さんごっこ。
じゃあ、敵兵のケイン兄ちゃんは何所?
「分からないよ!!これじゃ、アタシが負けちゃう。」
そう思った矢先だった。
「ば〜〜〜〜〜ん!!」
片手をピストルの形にしリナの頭にそれを付き付けたケインが言う。
「あ〜〜〜あ・・・・・。負けちゃった。あ!!何、ケイン兄ちゃんそのカッコ!!」
笑う事無かれ。彼は両手に木の小枝を持ち、同じような小枝を頭と何時もしている茶色のバンダナの間に挟んでいる。
さらに遊び着には無数の葉っぱやオナノミと言った植物をくっ付けている。
「何って。迷彩だよ。」
「めいさい?」
小さなリナは怪訝な顔で聞く。
「森の色で敵から姿を隠すんだ。まあ、言ってみれば俺自身が森に化けてようなもんだな。」小さいケインが得意げに言う。


「リナさん!!リナさん!!大丈夫でしたか!!?」
唐突に飛び込んできたのは泣きそうな顔のアメリア。
「心配したのよ!!」
頭上からミリィの声。どーやらリナは自分が彼女の膝に寝そべっている状態らしいと気付く。
「ああそうだ・・・・・。アタシは確か・・・・・。アニスを殺そうとした奴等に襲われて・・・・・・。」
言って左手を押さえる。
アニスを庇って思いっきりぶん殴られた場所・・・・・・。
「大丈夫。単なる打撲で骨折はしてない。ついでに言えば頭を数カ所殴られて軽い脳震盪を起こしてるがまあ、問題は無い。」
医者の資格を持つゼルが簡単に説明する。
「アニスは・・・・?」
「ここよ!!ここ、ここ。」
何故か顔にニ・三箇所のひっかき疵をつくったキャナルがムズがるアニスを無理した体制で抱いている。
「犯人は・・・?」
「レイルさんが追ってくれてます。」
「まあ・・・・・。警備隊長でもある奴には適役ね・・・・・。」
「ともかく、リナ。アニス様を連れてホールにでも行って休んでて。本当は自分の部屋で寝てたほうがキャナル、良いとは思うんだけど一人でいるのは危険でしょ?ホールならフカフカな椅子も突っ伏す事の出来るテーブルもあるし、何より人通りが多いわ。一番快適で安全だと思うから。」
ムズがるアニスにさらに引っ掻き疵をつけられながらキャナルが言う。
「じゃ、私達、一応アニス様の事狙った奴等の調査に行きますから。」
「お願い、アメリア。後でホールでね。」
「じゃあね、リナ。行く時にケーキ焼いて持ってくから。」
「有難うミリィ。」
軽く微笑んでリナはキャナルからアニスを受け取った。
「リナ・・・・痛い?」
軽くアニスの手がリナの頭に触れる。
「大丈夫よ・・・。アニス。」
少女の姿にケインとガウリイの姿が重なる。
無事かな・・・・・・。あの二人・・・・・・・。
泣きたい気持ちをこらえてリナはアニスをきつく抱きかかえながらホールへと向かった。


「あ!!生ゴミ!!」
リナの入れてくれた紅茶を飲みながらアニスは大声で叫んだ。
「あら。ホント。生ゴミゼロス。」
自分で入れた紅茶を飲みつつリナがアニスに合せる。
「酷い言い草ですね・・・。お二人とも。折角良い古文書を持ってきて上げましたのに。」不満げにゼロス。
「古文書?」
「はい。リナさん。一寸ココの所読んで見て下さい。」
ゼロスから古ぼけた本を受け取りリナは朗読する。
「え〜〜っと、何。『予言の項』?
国、異端なるものに占領されしとき、森が動く時、女の腹から産まれいずらぬ者が異端を討伐するであろう・・・・。何コレ・・・?」
「つまり・・・。この異端なる者をがレゾとします。そうなると・・・。この「森が動く」というのと「女の腹から生まれいずらぬ者」と言うのはこの現状を打開するキーワードなのでは・・・?」
「なるほど。で、アンタはどー思うの?」
「おお、怖。アニス様が睨んでおられる。それでは僕は失礼します。」
「あ!!一寸!!待ちなさいこのオカッパ!!」
「リナ〜〜〜〜〜。あんなの呼びとめちゃアニス泣いちゃう!!」
泣きそうな顔で服を引っ張ってくるアニスに負けてリナはゼロスを呼び戻す事を諦めた。


「森が動き・・・。女の腹から産まれいずらぬもの・・・・・。」
悩んだようにゼルが呟く。
「それって!!森を放火するって事じゃないかしら!!」
意気揚揚ととんでもない事をぬかすキャナル。
「違うと思うけれど・・・。結構良いアイディアね。ガウリイとケイン兄ちゃんが進軍してくる時はこのお城を放火して合図する事にしましょう。そのときはみんな、周りの人の誘導お願いね。」
マジな目でこれまたとんでもない事を取り決めてしまうリナ・・・・。
「じゅああ、女の腹からってのはナンなのかしら・・・?」
考えたようにミリィ。
「分からない・・・・。森の方は多分迷彩して兵士を進軍させる事だと思うんだけど・・・。コレばかりは一寸・・・・。」
リナが悩んだように言う。
「迷彩ですか・・・。正論ですね。」
感心したようにアメリア。
「まったく・・・・・。こんなに進軍に対するアイディアが難産を極めるとは思わなかった・・・・。」
フテ腐ったようにリナ。
「・・・・・・。なあ、リナ・・・。オマエ今何て言った?」
やおらレイルが聞いてくる。
「は・・・・。進軍のアイディアがうかばな・・・」「その後だ!!」
「難産。」
リナは呆れたようにその一言を呟く。
「ガウリイ王子だ・・・・。その人物は!!」
レイルははっとした様に言う。
「ガウリイが・・・・・?そう言えば奴は普通の生まれ方をしていない・・・。」
ゼルが思い出したかのように言う。
「どーゆー事?」
「奴は難産で『帝王切開』によって産まれたと聞き及んでいる・・・。」
帝王切開とは手術によって赤ん坊を母親の体内から取り出す事である。
「言って来る。今すぐガウリイとケイン兄ちゃんにあって言って来る!!」
やおらリナは立ち上がった。
「駄目ですよ!!リナさん!!そんな身体で!!」
アメリアが止めに入る。
「こんな身体だから行くのよ。敵さんも真坂こんな状態のアタシが動くとは夢にも思わないでしょうしね。アニスをお願い。アニス、良い子にしてるのよ。」
「アニスは何時も良い子よ。」
可愛らしい瞳をリナに向けるアニス。その頭を微笑みながら軽く触るリナ。
そして、その背中が扉の方に遠ざかる・・・。
かすかに肩を震わせながらアニスはテーブルに突っ伏し心細そうな泣き声を上げた。

「ガウリイ!!」
アリシアの経営する農場を手伝っているのであろう。
両手にブリキのバケツを持ったガウリイをリナは発見した。
「リナ!!リナ!!リナ!!」
やおらバケツをほっぽりだしこちらに駆け出してくるガウリイ。
何時しかケインがしてくれたみたいにリナを高々と抱き上げその場でグルグルと回る。
「無事だったか!!?」
嬉しそうにリナを地面に下ろしながらガウリイが聞く。
「ええ。どう、ココでの生活は?」
腕が酷く痛むのを誤魔化すためにリナは話の方向をそらす。
「アリシアさんって本当に良い人だな。」
楽天的な感想を述べるガウリイに思わず笑ってしまう。
「良い。今日は指令を伝えに来たの。明後日の朝早くにアタシが城に火を放つわ。そうしたらケインと二人で迷彩して敵にばれないように森を通って王城に進行して。きっとそこで貴方達の味方になる軍勢が現れるわ。そうしたら、ガウリイ。あなたがレゾを倒すのよ!!」
「・・・・・・・。わかった・・・・。オマエは・・・・・?」
「アニスをつれて速攻で逃げるわ!!」
「わかった。約束だぞ・・・・・・!!」
あの時と同じ言葉を交わし二人はつかの間の再開を喜び合った・・・・。

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674祝!復活ティーゲル 11/28-21:01
記事番号662へのコメント
どーもティーゲルです。

>久々復活です。

 復活おめでとうございます〜♪

>今回の話はシェークスピア悲劇「マクベス」を参考にした中世のお話です。
>内容的に言えば迫害される王子ガウリイ君とその妹アニスを護り抜くリナちゃんのお話です。
>やはりロス・ユニキャラが乱入してます。
>ラストシーンは壮絶にする予定ですが、御暇があったら読んでやって下さい。

 マクベスってどんな話でしたっけ?・・・・・悲劇って事は・・・・・でも今の展開はそう悲劇でも・・・
 あーっ!!先が気になるっ!
 短いですが、では。


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692お礼です!!LINA 11/29-17:34
記事番号674へのコメント
何時も有難うございます。
とりあえず悲劇にはしない予定ですので安心してください。
では、時間の都合がつき次第続き書きます!!

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681題名から格好いいです!!くり E-mail 11/28-22:11
記事番号662へのコメント
LINAさんはじめまして!!


数日前に暇だから、ここの作品一気読みっ。
をしてたら、LINAさんの作品がかなり心に残りましたっっっっ!!!

時代物ってのが滅茶苦茶好きで、長くてもすらすら〜〜と読めました!!

>久々復活です。
待ってましたデス!!!

>今回の話はシェークスピア悲劇「マクベス」を参考にした中世のお話です。
知りませんでした!!さがしてみますウ。

ガウリナじゃないけど、とてつもなく楽しいです。
(けど、時々ガウリナにもなる(笑))
BGMは「あの素晴らしい愛をもう一度」っで、これからも読みますね☆

それでわっっ!!!

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693お礼ですLINA 11/29-17:43
記事番号681へのコメント
実はアタシ自身数日前に「マクベス」から引用しようと決めたばかりです。
ちなみにリナのアニスに対する思いは「残酷な○使のテーゼ」をBGMにして決めたんです。(私だけをただ見詰めて微笑んでるあなた)と言う所と(世界中の時を止めて閉じ込めたいけど)と言う所です。
先を暗示する設定ですがガウリイのリナに対する思いもこの曲の「ほとばしる熱いパトスで思い出を(この場合は約束を)裏切るなら」と言う所から考えました。
出来るだけ早く先を書きますので気長に待っててください。

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691ありがたくいただきます。TRYNEXT E-mail 11/29-17:29
記事番号662へのコメント
ども、おひさですね。TRYNEXTです。

わあい、またLINAさんの時代物だ♪

>今回の話はシェークスピア悲劇「マクベス」を参考にした中世のお話です。
>内容的に言えば迫害される王子ガウリイ君とその妹アニスを護り抜くリナちゃんのお話です。

アニスちゃんが出てきましたね。個人的にはアニスとゼロスのとこ、面白かったです。(マンガの方は、アニスとミリィってね。)


>ラストシーンは壮絶にする予定ですが、御暇があったら読んでやって下さい。

続きが楽しみです♪

>最後に、素晴らしいネタとなるお話を提供してくださったTRYNEXT様にこの話を捧げます。よろしかったら貰ってやって下さい。

はじめ、「?」って思いました。
こういうの提供したかな?って。
で、良く考えてみたら、思い当たるのがありました。

なんか、「捧げます。」って言われると照れちゃいます(^^;;
ありがたく、いただいてきます♪

それでは、TRYNEXTでした。

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694お礼ですLINA 11/29-17:51
記事番号691へのコメント
有難うございます。
アニスとゼロスはもうインスピレーション全開でした!!
やっぱりゼロスに対する最高の暴言は「生ゴミ」しかないでしょう!!
最初は「マクベス」ではなくシェークスピアの別作品「ハムレット」を参考にしようと思ったんですけれど戴いたアイディアの「子供(ここではアニスちゃん)を守る」というのが上手くいかない上、「リナ・ハムレット(ヒーロー)、ガウリイ・オフィーリア(薄幸の美女ヒロイン←爆)」になってしまうんで止めました。
ちなみにレイアーティーズ・ケイン(ヒロインの兄)とリナ・ハムレットの決闘シーンも考えてんですが・・・。
また今度にします。
では、時間がつき次第速攻続きを書きます。

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697炎の玉座6LINA 11/30-00:59
記事番号662へのコメント
「リナ」
夜の夜中の出来事だった。
彼女を呼ぶか細い声。
「あ・・・・。」
シーとその人物に対して立てた人差し指を口元と鼻に近付け訴える。
昼間の事を心配し、「リナさんを一人にしておくわけにはいきません!!」
とか何とか言って泊まりこんでくれているアメリアを起こさないようにしてリナはアニスを部屋に招き入れる。
アニスの部屋の前ではゼルとレイルが徹夜で警護しているはずなのだが・・・・。
「済まないリナ。アニス様が泣き止まないんでな・・・。」
ゼルが申し訳なさそうに言う。
「構わないわ。おいで、アニス。どうしたの?」
屈んだリナの肩に顔をうずめアニスはすすり泣きながら言う。
「リナ・・・。怖いの・・・。」
「怖い・・・?大丈夫よ。悪い奴等にはアニスを指一本足りとも触らせないから。」
優しくリナが言う。が、アニスはうんうと首を左右に振る。
「違うの・・・。アニスは暗いのが大嫌い。怖いの!!暗いのはいや!!」
「蝋燭の明かりは?」
「消えちゃった・・・。何時もならお兄ちゃん達が暗いの嫌いなアニスが何時起きても怖くないようにちゃんと新しいのに代えててくれるんだけど・・・・・。」
アニスのその一言に改めてガウリイとケインがいない事をリナは痛感せざるおえなかった。
「リナがいれば暗くても平気よ。」
泣いた顔を上げてアニスは絞り出すように言った。
「じゃあ、今晩だけよ、一緒に寝るの。でもね、静かにね。あのお姉さんが起きちゃうと大事のように騒ぎ出すに決まってるから。」
親指でスピョスピョと眠っているアメリアを指差すリナ。
「分かったわ。あのヒロイックサーガ・オタクのお姉ちゃん起こさなければいいのね。」的確なところを突いているアニスの言葉にリナは思わず苦笑した。


リナが父のレゾと継母のエリシエルに議会に被告人として出廷するように言われたのはその日の午後を少し回った頃だった。

「リナ!!諜報部の情報によればオマエはガウリイ、ケイン両王子脱獄の件と関わりがあるそうだな!!」
継母エリシエルの一言。
彼女が真実を知り言っているわけではない。
邪魔な自分を罪に陥れ裁こうとしている事は明らかだった。
「いいえ。そのような事はありませんよ。僕が居眠りしちゃってるうちにお二方とも勝手に逃げちゃっただけです。あ・は・は・は・は。」
こんな場面でも何時もの笑顔を崩す事無くにこやかに言うゼロス・・・。
ある意味で大物かもしれない・・・・。
「ならば!!今日を限りに貴様を罷免する!!」
ゼロスを現行犯にしたら罪をリナにかぶせる事は難しくなると考えてだろう。
異例に軽い沙汰を言い渡すエリシエル。
「あ〜〜。そりゃあ有り難いです。僕としてもこんな傲慢なオバさん成り上がり王妃様にこき使われるのはごめんですから。」
「な!!!」
笑っちゃいかん・・・。しかしこりゃ、事実だわ・・・。リナはそう思った。
「生ゴミはオバさん王妃に仕えるのがお似合いなのにね。」
耳元でアニスがボソッとリナにだけ聞こえるように呟く。
もっともな意見過ぎる!!
笑いを堪えるのがこんなに辛い事だったとは・・・・・。
「では。僕はこれで。サヨナラ。オバさん王妃。」
言ってくれるわ・・・。ゼロスのヤツ・・・。あ〜〜あ。ゼルまで笑いをこらえてやんの。「ともかくリナ。オマエとガウリイ王子が密かに通じていることは確実でしょう。」
実際そうなのだが、レゾも根拠の無い事を言っているに違いない。
「その根拠は?」
リナはあえて挑みかかるように問い直す。
「その子ですよ!!」
レゾが冷たい声で言い放ちアニスを指差す。
「もしこの事があくまで根拠の無い言いがかりだと言うなら・・・・・。」
レゾが腰から長剣を抜き取りリナの方に乱暴に投げつける。
反射的にそれを掴み取るリナ。
「その子をこの剣で、今この場で斬り捨てなさい。そうすればオマエの罪は不問とし、元の地位に戻してやろう!!」
辺りを静寂が支配する。
その中でリナは鞘から剣を抜き出す。
言われるまでも無くアニスが怯える・・・。
その様子をリナは冷徹にも見向きもしない。
高々と剣を頭上に上げる・・・。
「その気になったか。」
嘲笑うようなエリシエルの声。
しかし、リナは表情一つ変えずやおらら抜き身の剣をレゾとエリシエルに向かって投げ返した!!
石造りの床に響く鋭い金属音。
それに負けないくらいリナは鋭い声で言った。
「見損なうんじゃないわよ!!例え無実の罪を着せられようと、このアタシは人様を殺すほどのろくでなしじゃないのよ!!もっとも、みすみす殺されるのも癪だし、罪人にアタシの事をでっちあげるような人非人を成敗した方が十億五千六百三十七万飛んで二百五十一倍手っ取り早いわ!!今日はこんなモンで勘弁しといてやるけど、今度コンなことした時は覚悟しとくのね!!命が百万個あっても足りなくしてやるわ!!」
辺りから有力貴族や兵隊達の動揺した声が聞こえる。
それを聞き咎めるかのようにリナはアニスを高々と抱き上げ叫ぶ!!
「何を迷ってるの!!?王位略奪者の悪人どもから、この御方を抱いたアタシを守れるのはアンタ達しかいないのよ!!!」
「捕らえろ!!この反逆者をアニス王女共々牢屋にぶち込め!!何を戸惑う!!さも無くば死刑だ!!」
エリシエルの一喝に怯えた兵士達がリナとアニスに縄をかけ、槍をつける。
「リナさん!!
「リナ!!」
駆け寄ってくるアメリアとミリィ、キャナル。
『計画実行。早朝、ケインとガウリイが攻めてくる。この城に火を放って援護する。お願い。』
三人に小声でそうとだけリナは呟いた。
大丈夫・・・・。
いざとなれば 秘密の抜け穴もある・・・・。
少なくとも・・・。アニスだけは・・・・・・・。

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698炎の玉座7LINA 11/30-01:01
記事番号662へのコメント
黄昏時の牢獄。
本来なら美しいこの時分。
しかし、今はただ不気味なだけ。
「リナ・・・・・。」
小さな声でアニスが尋ねてくる。
「なに・・・?アニス?」
膝の上でまどろみかける少女に優しくリナは答える。
「お兄様たちもこんな暗くって気持ち悪いところに閉じ込められてたの?」
その通りだ・・・。
しかし、そんな事言えばアニスが哀しむ事は目に見えている。
「うんう。お兄さん達は王子さまだからもう一寸綺麗な所にいたわ。」
「そっか。良かった。」
「アニスこそ大丈夫?」
「リナが居ればアニスは平気よ。それに、お兄様達がもうじきお迎えに来てくれるのもの。そうしたら、リナと一緒にアニスはココから出られるんでしょ?」
リナは答えず只少女に微笑みかけた。
「寝なさい。夜は貴方はもうココから出てるわ。」
「うん。リナもね。おやすみなさい。リナ。」
「お休み・・・。アニス。良い夢を・・・・。」
ホッと一息つくリナ。
「あの、リナさん・・・・。」
「ニーナ・・・。如何したの?こんな所で?」
「あ・・・。ゼロスさんが首になったもので、アタシが後任の牢番になっちゃったんです・・・。オバさんお妃様が怖いので脱走させてあげる訳にはいきませんが・・・・。何か欲しい物ありませんか?持ってきます!!」
それって・・・・。
牢番の規則上違反なんだが・・・・。
まあ、いい・・・。この際だし甘えさせてもらお・・・・。
「アニスが暗闇を怖がるの。出来るだけ長い蝋燭が欲しいわ。」
「分かりました!!暗くなったら持って来ます!!」
「それと、アニスが風邪ひくといけないから布もお願い。この際ボロ布で良いから。」
「あ、ハイ!!ニーナ承知しました!!」


ニーナが頼んだ物を持ってきてくれて帰ったその後・・・。
そろそろ頃合と思ったリナは抜け穴のある石畳を開ける事にした。
「・・・・。予想はしていたけれど・・・。」
思わず苦笑が漏れる・・・・。
ガウリイとケイン。
大の大人の男が二人がかりでやっと全開したこの隠し扉をリナ一人の手で開けられるはずがなかった。
比較的簡単な扉を閉めると言う作業ですら心配してやって来たゼロスの手をかりてようやくと言った所だった。
ましてや今、片腕を打撲し思うように力が入らない。
肩から掌にかけての全神経が悲鳴を上げる・・・・。
爪が剥がれそうなほど痛い。
全身全霊が限界をうったえる。
しかし、リナはようやく隠し扉をこじ開けた。
子供が一人、やっと通り抜けれるくらいの広さに・・・・・。
この計画を実行しなければこんな苦労する事は無い。
しかし、ガウリイとケインがレゾに勝つためにはこれくらいの事をしなければならないことは目に見えてる。
すなわち・・・。この城に火を放つ。
例え自分自身の退路が無いとしても・・・・・・・・・・・。
「アニス、アニス、おきて!!」
眠ってる少女をそっと揺さぶり起こす。
「今からお兄様達がレゾをやっつけに来るわ。そのお手伝いをするために今からアタシはこのお城に火をつけるわ。」
「みんなは・・・?大丈夫なの?」
「心配しないで。アメリア達がちゃんと安全なところに連れて行ってくれるって約束したから。危ないからアニス、あそこの抜け道を通って逃げなさい。」
言いながらリナはニーナの持ってきた布に蝋燭の炎をつけ、鉄格子の外に放り投げる。
みるみるうちに炎は安物の廊下の敷物に燃え移る。
「リナは・・・?」
質問に答えずリナは外を見やる。抜け穴の出口でミリィかキャナルだろう。
仄かな明かりをともして待っているのが見える。
「アニス・・・。アタシは行けないわ・・・。ココに残る。貴方だけでも逃げなさい。」優しいがきっぱりとした口調でリナは言った。
見る見るうちにアニスの顔色がかわる。
炎に照らされながらも青ざめた顔をしたアニスがリナに縋り付き泣き叫ぶ。
「イヤ!!絶対イヤ!!リナとじゃなきゃ何所にも行かない!!アニスを一人にしないで!!一緒に逃げるって約束したじゃない!!リナ!!リナ!!リナ!!」
泣き叫ぶ少女を優しく抱き上げ抜け穴に入れてやる。
「一人じゃないわ・・・。お兄様が待ってる。それに・・・。アニスを守るって約束したの・・・。一緒に行けなくて御免ね・・・。アニス・・・・。」
自分でも涙が出てこないのを不思議にリナは思った。
それほどまでに胸を締め付けられる思いだった・・・・。
最後の力を振り絞り、リナは扉を閉める。
暗闇を何よりも恐れる少女が明るい出口を目指して歩き出さねばならない状況になったことをリナは申し訳無く思いながらもアニスの無事を願った。

燃え盛る炎の海。
一心不乱に戦う男が二人。
ガウリイとケインだ。
リナの言葉に動かされてだろうか。
最初はたった二人だけで乗り込んできた彼等には大勢の味方の軍勢が出来ていた。
敵は元々レゾの部下であった者達ばかりである。
焼け落ちる城がさらに彼等の援護となる。
キャナルに連れられたアニスをケインは眼の端で確認する。
その二人に襲いかかるレゾの兵隊。
さっと駆けよりアッサリと斬り捨てる。
「キャナル、アニス!!無事か!!」
ケインは早口に尋ねる。
「ケインお兄ちゃん!!」
ケインの服には返り血がこびり付いているのにも構わずアニスが抱き付いてくる。

「破!!」
ガウリイが繰り出す剣をアッサリとレゾがかわす。
どう見ても彼に分は無い・・・。
「ガウリイ兄貴!!大変だ!!リナが!!」
唐突に掛かるケインの声。
「リナが如何した!?」
辛うじて答えるガウリイ。
「リナが・・・!!まだ、火の中に!!」
「何だって!!」
ガウリイの顔に焦りが走る。
「それは丁度良い。裏切り者の愚かな娘に相応しい結末だ!!」
レゾの顔に喜色が浮かぶ!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
次ぎに瞬間、ガウリイの剣が彼の腹を薙いだ・・・。
結末がついた事を確認する事も無く、近くにあった井戸に走り頭から水をかぶるガウリイ。「兄者!!何をするつもりだ!!」
肩を掴んだケインに一言「許してくれ!!」とガウリイは言い、彼はケインのみぞおちを蹴り上げた!!
苦悶の声を上げその場で気を失うケイン。
「馬鹿野郎!!絶対に無茶をするなって約束したじゃねえか・・・・。
助かる時はアニスと一緒だって言っただろ!!」
険しい表情で炎を睨み、ガウリイはその中に駆け込んでいった!!

熱い。
熱された石が炎自身の熱さよりもリナに苦痛を与えた。
でも・・・。アニスは守った。
そろそろこの牢屋も崩れ落ちる頃だ・・・・・。
ただ残念なのはガウリイ達の勝利を見れなかった事だけ・・・・・。
「リナあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
微かにガウリイの声。
幻聴が聞こえる・・・・・。
そう思い、リナは意識を手放した。

弱りきり意識を失ったリナ・・・・・。
ガウリイが最初に目撃したのはその姿だった。
「く!!」
酸化し、脆弱な造りになった鉄格子の扉を力一杯蹴り倒す。
大急ぎで中に踏み込みリナを抱き上げる。幸いまだ息はある。
熱された石で手が焼けどしても構わない。
ガウリイは隠し扉を全力でこじ開け、リナを抱えて抜け穴へすべりこむ。
それと同時に崩壊する石牢だった場所・・・・。
抜け穴の中にまで凄まじい轟音が響いた・・・・・。


国王と王妃の監禁がとかれたのはその翌日のことだった。
今は離宮が正式な王城の代わりとなっている。
怪我の事もあるがリナは其処には行かず、アリシアの家で静養する事にした。
「良いの?行かなくて?」
アリシアの優しい言葉。
「アタシは極悪犯罪者の娘の上、城に放火した張本人よ。どの顔下げていけばいいんだか。」苦笑交じりにリナが言った。
「でも・・・。お客様は待ちきれないご様子よ。」
「・・・・?」
アリシアが出て行くと同時にやって来る一人の男。
「ガウリイ・・・・。」
「帰るぞ。俺自身も、ケインも、アニスも待ってる。」
「アタシはお城に放火した張本人よ?」
「城に火をつけたのはエリシエルってヘンな女だって父上が言ってた。」
事実、国王はそう言った。
「アタシは反逆者の娘よ?」
「アニスを守りぬいてくれて有難う。早く戻ってらっしゃいと母上が言った。」
事実王妃はそう言った。
「オマエの身分も元に戻ったんだぜ?帰ってこないと俺との約束破った罪で訴えるぞ?」
「・・・・。ゴメンナサイ。」
「謝ってる暇があったら戻って来い。」
怖い声・・・・。
「分かりました。戻ります。戻れば良いんでしょ!?」
リナが折れた。
「そーゆー事だ。近いうち、重要な地位につけてやるからな。」
アニスの義姉と隣りの玉座と言う重要な地位に・・・・。
彼がそう企んでいる事を軽く微笑んでいる彼女が知る由も無かった。
ただただ気持ちの良い風が開け放たれた窓から部屋にやって来る事をリナは幸せに感じていた。
【お終い】

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701やっぱり最後はこうでなくちゃ♪TRYNEXT E-mail 11/30-14:08
記事番号698へのコメント
お疲れ様でした。TRYNEXTです。

やっぱり最後はハッピーエンドでなきゃ、ウソってもんよね♪

リナとアニスのとこがやっぱり良かったですね。
その分、ガウリイとケインの出番は少なくなったけど。(^^;;
でも、ちゃんとリナを助け出したし、迎えに行ったからOKでしょうね♪

あたしのちょっとした話からこんな素晴らしい話になって嬉しいです♪
あたしも、がんばって書きたいです♪

本当にお疲れ様でした!

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705お礼ですLINA 11/30-20:57
記事番号701へのコメント


>やっぱり最後はハッピーエンドでなきゃ、ウソってもんよね♪
まったくもってです。」
>リナとアニスのとこがやっぱり良かったですね。
>その分、ガウリイとケインの出番は少なくなったけど。(^^;;
>でも、ちゃんとリナを助け出したし、迎えに行ったからOKでしょうね♪
今度はちゃんとガウリイ、ケインともども出番多くしたいです。
そーしないと彼等に(特にケインに)恨まれそーで・・・。
>あたしのちょっとした話からこんな素晴らしい話になって嬉しいです♪
>あたしも、がんばって書きたいです♪
頑張って下さい!!期待してます!!
>本当にお疲れ様でした!
有難うございました!!

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703Re:炎の玉座7ティーゲル 11/30-16:15
記事番号698へのコメント
 いや〜平和になって終わりましたねぇ。なにげに本懐とげたかエリスとゆー・・・
 めでたしめでたし、ハッピーエンドはやっぱよいです♪
 しかし・・・・マクベスってどーいう話でしたっけ?
 何となくオチつけたところで、では。

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706お礼ですLINA 11/30-21:04
記事番号703へのコメント

> いや〜平和になって終わりましたねぇ。なにげに本懐とげたかエリスとゆー・・・
所詮エリシエルはエリシエル、レゾはレゾ、と言った所でしょ〜か・・。(滅茶苦茶薄情)。リナさん曰く「悪人に人権は無い。」そのまんまですね。
> めでたしめでたし、ハッピーエンドはやっぱよいです♪
そ〜でなきゃアタシ自身目覚め悪くって仕方ないんです・・・・。
> しかし・・・・マクベスってどーいう話でしたっけ?
簡単に言えば王位を略奪した男マクベスが先王の遺児に殺されるまでの自滅を描いた話だったよ〜な気がします。
> 何となくオチつけたところで、では。
では。また何時かお会いしましょ〜〜〜♪。

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717遅くなったけど感想♪くり E-mail 12/1-21:54
記事番号698へのコメント

はううううううう、遅くなっちまいました!!

とりあえず感想デス。

・・・・あうううううう、がうりんーーー、メチャかっこいいいい(はあと)
ッです(笑)

あと、アニスのせーかくのわるさ(笑)に惚れました(をいをい)
大人になったアニスちゃんとゼロス君の2人旅をみてみたいかも(死)
なにげなく、アニスちゃんって郷里のねーちゃんに性格にてるのかも。

リナは、魔法が使えたらどんな悪ぎゃく・・・・・
もといご活躍をあの時代でしたんでしょうかねえ(笑)



それでわ、楽しいお話ありがとうございました♪

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733どーもで〜すLINA 12/3-18:04
記事番号717へのコメント


>はううううううう、遅くなっちまいました!!
いえいえ。
>とりあえず感想デス。
>
>・・・・あうううううう、がうりんーーー、メチャかっこいいいい(はあと)
>ッです(笑)
実はこの演出に命をかけました(爆)
>あと、アニスのせーかくのわるさ(笑)に惚れました(をいをい)
とりあえずアニスにはゼロスに悪態をついて欲しかったんです(笑)
後の反応が滅茶苦茶面白そうだったんで。
>大人になったアニスちゃんとゼロス君の2人旅をみてみたいかも(死)
多分、ちょっとしたことでもアニスはリナに手紙を書いてゼロスの悪口を密告し、鉄拳制裁されるゼロスを高笑いしながら見てると思います。
>なにげなく、アニスちゃんって郷里のねーちゃんに性格にてるのかも。
最強無敵ですね。
>リナは、魔法が使えたらどんな悪ぎゃく・・・・・
>もといご活躍をあの時代でしたんでしょうかねえ(笑)
想像するだけで無茶苦茶楽しいです!!

>それでわ、楽しいお話ありがとうございました♪
こちらこそご感想有難うございました!!

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867ふぅ♪る〜ら 12/14-20:12
記事番号698へのコメント

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
長かった・・・・
でもおもしろかった。
あぁよかったよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!
特にゼロスとアニスが・・・・・(笑)
ガウリナだしね。

それでは、また。