◆-昔話桃太郎〜前書き〜-アップル(1/5-00:20)No.996
 ┣昔話桃太郎2-アップル(1/5-00:24)No.997
 ┣昔話桃太郎3-アップル(1/5-23:12)No.1006
 ┣昔話桃太郎4-アップル(1/5-23:15)No.1007
 ┣昔話桃太郎5-アップル(1/7-00:07)No.1010
 ┃┗続き、楽しみにしてます♪-マミリンQ(1/7-15:41)No.1016
 ┃ ┗Re:続き、楽しみにしてます♪-アップル(1/7-23:34)No.1024
 ┣昔話桃太郎6-アップル(1/7-23:23)No.1023
 ┣昔話桃太郎7-アップル(1/16-16:02)No.1109
 ┣昔話桃太郎8-アップル(1/16-16:04)No.1111
 ┣昔話桃太郎エピローグ-アップル(1/16-16:05)No.1112
 ┗昔話桃太郎〜後書き〜-アップル(1/16-16:07)No.1113


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996昔話桃太郎〜前書き〜アップル E-mail 1/5-00:20

初めましてかな?いきなり投稿させていただきます。
とりあえず、ガウリナです。でもまだ書いている途中なので、もしかすると
ゼルアメが加わるかもしれません。一ついえることは、ラブラブではありません。
かといってシリアスでもないんです。笑っていただけると嬉しいです。

誤字脱字、引用の間違いなどありましたら、お知らせさい。謝ります。


☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんと女の子が住んでいました。
 おじいさんとおばあさんは道具屋を開いており、女の子は近所の食堂で働いて
いました。
 ある日のこと、女の子が川で食器を洗っていると、上流から大きな桃が、どん
ぶらこどんぶらこと流れてきました。女の子は、桃を持って家へと帰りました。
「ただいまー。今日のおやつは、桃を拾ってきたから」
「あらルナ、お帰りなさい、早かったのね」
「お帰りルナ、仕事はもう終わったのか?」
「途中で桃を拾ったから早引けして来ちゃった」
いつもの事、と気にもとめないおじいさんとおばあさん。
「それじゃあ早速切りましょうか」
おばあさんは包丁を片手に、桃を切ろうとしたその時、桃が中から割れました。
「ふぁーあ、よく寝た」
中からは栗色の髪をした女の子が出てきました。
「女の子?題名は桃太郎じゃないの?」
そう言われましても、男の子だと話が変わっちゃうんで。とりあえず女の子って
事でお願いします。どっちにしても胸がないことに変わりは・・ぐげっ・・・・(桃から出てきた女の子に踏まれ、作者沈没)
「まあいいじゃない、それより名前を付けましょうよ。そうね、ルナの妹だから」
「そうだなあ。女の子だから可愛いのがいいなあ」
「じゃあ二人の意見を取って、桃色のリナ(ピンクのリナ)なんてどう?」
「嫌だけど本能的に逆らえない気がする・・・」
こうしてリナはインバース親子と共に暮らすようになりました。
・・・それにしてもさすがはインバース親子、桃から出てきたリナに、驚きもしない。

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997昔話桃太郎2アップル E-mail 1/5-00:24
記事番号996へのコメント
☆★☆★昔 話  桃太郎2☆★☆★

 ある日のこと、ルナはリナに旅に出るように言います。
「あなたはこの街しか知らないわ。もっと世界を見てきなさい」
ルナの言葉にリナが逆らうわけもなく、その日のうちに出発ということに
なりました。
「ほら、このお弁当箱持っていきなさい。この中に入っている吉備団子は、
食べても食べても中身が減らないの。お弁当箱の底を2回叩くと、もう出
てこなくなるから」
「ちょっと違う話が入っているみたいだけど、気にしないでおくわ。それ
じゃあ行って来ます」
こうしてリナはゼフィーリアを後にしたのでした。


リナが旅を続けて何年かたった頃、一匹の犬と出会いました。金色の毛並
みがとても綺麗なその犬は、何か言いたそうな顔でリナを見つめています。
「何か用?もしかしてこれが欲しいの?」
そう言ってリナは、食べようとしていた吉備団子を差し出す。
「え?くれんの?」
犬は嬉しそうに尻尾を振り近づいてきますが、
「ううん、あげない」
ドきっぱりと言われ、思わず転ける。
「そんなに派手に転けなくてもいいじゃない。それより、吉備団子が欲しい
わけじゃなさそうな口振りだったけど、用件は何?」
「いやーお嬢ちゃんがこんな所を一人で旅しているからどうしたのかと思ってな」
笑顔で答える犬に、リナは苦笑しながら、
「別にどうもしないわよ。どこか当てがある旅でもないし。それに一人旅だって
もう何年にもなるから」
その言葉を『どこか暗い過去を背負った少女』とでも誤解したのか、犬はうんうん
とうなずいて
「いろいろ大変だったんだなぁ。一人じゃ何かと心細いだろ?よし、俺が一緒
にいてやるよ」
と言い出した。リナも、「たまには二人(一人と一匹?)旅もいいかなと思い、
その犬と旅をする事にしました。
「よろしくね。私はリナよ」
「俺はガウリイだ。よろしくな、お嬢ちゃん」
「リナだってば」

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1006昔話桃太郎3アップル E-mail 1/5-23:12
記事番号996へのコメント
いきなり続きます。

☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

しばらく行くと、物知りの猿に出会いました。
「おや、そこを行くのはクラゲ頭のガウリイとピンクのリ」
「吉備団子アターック!!」・・・ばごっ!
猿の言葉を遮り、放たれた吉備団子は、狙い違わず猿の顔面
にヒットした。
「いい?!私はリナ、リナ・インバース。その他の名前で呼
ばないでちょうだい」
こめかみをぴくぴくさせ、青すじの浮かんだ顔で詰め寄られ、
猿はこくこくとうなずく。
「と、ところでそんな二人が連れ立ってどこへ行くんだ?」
心なしか声が震えているが、そんなことを気にするリナではな
い。
「んーとね、この先の鬼ヶ島に住んでいる鬼が、人々から巻き
上げた宝を貯め込んでいるっていうから、ちょーっと行って退
治してこようかなって思ってね」
さらりと言うリナにガウリイが口を挟む。
「おいおい、俺はそんな話聞いてないぞ」
「当たり前よ、言ってないもの」
「・・・・・・・」
ジト目でガウリイは黙り込む。
「俺も連れてってくれ」
「突然なに?」
リナは猿へと視線を向ける。
「実は、俺は元々人間なんだ。」
猿―ゼルガディス―の話によると、レゾという名の鬼に魔法を
かけられ、猿に変身してしまったのだという。元の姿に戻る為
にレゾを倒しに行きたいのだが、この姿では鬼ヶ島に渡ること
もできない。そこで、リナたちと一緒に鬼ヶ島まで連れていっ
て欲しいというのだ。
ゼルガディスの話を聞いたリナは、
「お宝の分け前は、こちらが8であなたが2。この条件ならいいわよ」
にっこりと微笑んでそう言った。
「ガウリイもいいでしょ?」
「え?何が?」
いきなり話を振られてうろたえるガウリイ。
「人の話はちゃんと聞く!」ぐしゃっっ(ガウリイ沈没)
「というわけで、ガウリイも承知したみたいだから、行きましょうか」
「・・・俺は逆らわないようにするよ」
地面とキスしているガウリイを横目に、ゼルガディスはぼそっと呟いた。

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1007昔話桃太郎4アップル E-mail 1/5-23:15
記事番号996へのコメント
☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

三人で旅をすること数日、分かれ道に差し掛かりました。
「この道は右に曲がるんだ」
ゼルガディスは先頭を歩くリナに声をかける。
「良く知っているわね」
「まあな。鬼ヶ島へ向かうには、この先で船に乗らなきゃならないんだが、
そこまではもう何度も通ったからな」
と、その時、
「そこまでよ、悪人ども!」
木の上から声が響く。
「この道は鬼ヶ島へと続く道、その道を迷いもなく進むとは、すなわち鬼に
味方する者よ。正義の使者たる私の裁き、もはや逃れられぬと思いなさい。
とうっ!」
木の上から飛び降りた鳥は、そのままスタッと着地・・・しなかった。
地面に、くちばしごと突っ込んだのだ。
「おーい、大丈夫かー」
ガウリイが声をかける。
「心配無用!こんな事で私の正義はくじけません」
くちばしが上を向いているが、やたら元気良く答える。
「あのさ、ちょっと誤解しているみたい何だよね。」
リナはぽりぽりと頬を掻きながら言う。
「私たちは鬼に味方するんじゃなくて、その逆で退治しに行くつもり
なんだけど」
その鳥(雉)は「本当?」とガウリイとゼルガディスを見る。二人は
「うん」と深くうなずいた。
「それでさ、もし良かったらあなたも来ない?ここにいても暇そうだし」
リナの言葉に雉は大きくうなずいた。
「ごめんなさい、誤解しちゃって。私の名前はアメリアよ」
「まあよくある事よ。私の名前はりな、こっちの犬がガウリイで、そっちの
猿がゼルディガスよ」
「あれ?ゼガルディスじゃなかったか?」
「ゼルガディスだ」
二人のボケに低い声で突っ込むゼルガディス。
「い、いやーねぇ。よくある事じゃない」
「ぶりっこポーズは似合わないぞ」
「一言多いわ!!」
ぼそっと呟くガウリイにまたしてもリナの鉄拳が飛ぶ。
「・・・・こんなメンバーだが、よろしくな」
「・・・はい」

いよいよ次回、鬼ヶ島です。

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1010昔話桃太郎5アップル E-mail 1/7-00:07
記事番号996へのコメント
うきゃー話ができない。やっぱり全部話ができてから投稿すればよかったぁぁ!
もう遅いって。長くってすいません、まだ続きます。

☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

「見えました、あれが鬼ヶ島です」
先頭を飛んでいたアメリアが声を上げる。
「へーあれが鬼ヶ島」
「どれどれ、おー本当に鬼の顔しているんだ」
「あそこにレゾがいる」
それぞれに呟く。
「問題はどうやってあそこまで渡るかよね」
「ほーほっほっほっほ。どうやらお困りのようね」
リナの言葉に背後から声がかかる。その言葉にびくりと体を震わせ、ゆっくりと振り返る。
「ナーガ・・・何であんたがここにいるの」
「あーらリナ、決まってるじゃない。ご飯代が足りなくって、バイトとして猟師さんを手伝っているのよ」
ナーガと呼ばれた黒ウサギはそう言ってまた大きく高笑いをした。
「あんたウサギじゃない!どうやってバイトなんてしてんのよ!!」
「私を誰だと思っているの、サーペントのナーガよ。そんなもの、魔法を使ってチョチョイのチョイよ」
リナとナーガからかなり距離を取った三人はこそこそと話す。
「サーペントって白蛇だよな」
とゼル。
「ウサギだろう?あのねーちゃん」
とガウリイ。
「何にしても、あの格好はどう見たって悪です」
とアメリア。
「ところでリナ、あなた鬼ヶ島まで渡りたいの?この人数なら金貨100枚で請け負ってあげてもよろしくってよ」
三人の会話は耳に入っていないのか、ナーガは話を続ける。
リナはこめかみを引きつらせるが、
「そ、そう、わかったわ。でも今ちょっと持ち合わせがないから、今まで立て替えた食事代、金貨200枚と相殺勘定ってことでいいかしら?というわけで金貨100枚払って」
「な、何で金貨200枚なのよ!そんなに食べてないわよ」
あわてるナーガにリナはしれっといい放つ。
「あら?私が無利子で貸すと思った?どうしても払えないのなら、ここの渡り賃無料♪って事なら50枚にまでまけてあげてもいいわよ」
「ただでいいです・・・」
『むごい』
ガウリイ、ゼル、アメリア、三人の言葉は見事にハモった。


鬼ヶ島までの渡り船の中で、リナはナーガに訪ねる。
「ところでナーガ、レゾっていう鬼知ってる?」
「な、あなた達レゾを相手にするつもり?いくら何でもそれはちょっと無謀よ」
「それはわかっている!それでも俺はやらなきゃならないんだ!!」
それまで無口だったゼルがいきなり声を荒げる。
「何かすごく訳有りみたいね。そうね最近のレゾは二重人格だって噂よ。何だか片方はすごく残忍なのにもう一方はやたらと優しいってね」
「ずいぶん親切に教えてくれるのね」
とても以外というようなリナにナーガは
「だからお願い、食事代チャラにして」
「いや(はあと)」
その後ろでまたもや三人が話をしている。
「さっきリナさんに聞いたんですが、食事代ってもともと金貨20枚だったんですって」
「それがいきなり10倍か」
「俺、絶対金借りない」

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1016続き、楽しみにしてます♪マミリンQ E-mail 1/7-15:41
記事番号1010へのコメント
アップルさま

初めまして、マミリンQと申します♪
昔話桃太郎とても楽しく読ませていただいてます♪
きょ、強制するつもりはありませんが・・・(ずうずうしいので・・・)
続き、楽しみにしてます!

ちゃんとした感想はのちほど。

では、失礼いたしました!


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1024Re:続き、楽しみにしてます♪アップル E-mail 1/7-23:34
記事番号1016へのコメント

>初めまして、マミリンQと申します♪
はい、初めまして。アップルと申します。え?知ってるって?

>昔話桃太郎とても楽しく読ませていただいてます♪
うわぁ!とっっっても嬉しいです。実はこの作品、ほとんど初投稿なもので、
マミリンQ様のコメントが初めてのコメントだったりします。

>きょ、強制するつもりはありませんが・・・(ずうずうしいので・・・)
>続き、楽しみにしてます!
OK!今新しくアップしました。最後までもう一歩です。とりあえずあとがき(というか
言い訳というか設定)まで書くつもりですのでもしよかったらご覧下さい。

>ちゃんとした感想はのちほど。
ふふふ、ではもう一度感想を貰えるのですね?(にやり)

できるだけ早く続きを書こうと思ってますので、もう少々お待ち下さい。

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1023昔話桃太郎6アップル E-mail 1/7-23:23
記事番号996へのコメント
やっとたどり着きました、鬼ヶ島です。予定では次で終わりです。
あくまでも予定なんですが・・・
☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

リナ達一行は鬼ヶ島へと着いた。
「ご苦労様、ナーガ。じゃあしばらくしたら迎えに来てね」
リナは手を振り振りニッコリと笑顔で言う。
「わかったわ、行ってらっしゃい・・・ってあなた!お宝を独り占めする気でしょう!そうはいくものですか。私も行くわ」
『お宝を独り占め』のところでリナの肩がピクリと動き、笑顔が多少引きつるが、
「そんなことないわよ、ちゃんと分け前あげるって。ちゃんと鬼退治に参加したらね。でもいいの?バイトまだ残っているんじゃなあい?」
「うっっ!わ、わかったわよ。一旦帰るけど、バイトが終わったらすぐ戻ってくるからそれまで待ってなさい!!」
そう言うとナーガは慌てて船を漕ぎ出した。
「なあ嬢ちゃん、あのウサギのネーチャンに分け前払う気があるのか?」
ナーガが沖まで出るのを見計らって、ガウリイが聞く。
「ある訳ないじゃない」
即答するリナにアメリアが抗議の声を上げる。
「嘘をついたんですか?そんなの正義じゃありません!!」
「嘘なんてついてないわよ。ただナーガが戻ってくるまでに鬼退治を終わらせれば良いだけの事よ。そうすれば分け前払わなくてもすむじゃない」
横ではゼルガディスが『人生なんてそんなもの』というような顔でため息をつく。
その時、
「来るぞ」
ガウリイの鋭い声、ゼルガディスとアメリアも臨戦態勢を取る。前方から数人(匹)の殺気が迫る。リナはニヤリと笑い、
「ねえ、戦いの基本を知ってる?」
「油断しないこと」
「相手をよく見る」
「なんといっても正義を信じること!」
三者三様に答えるが、リナは
「フレア アロー!!・・・・・先制攻撃よ。さあ行くわよ!!」
四人は黒こげになった鬼どもを踏み越えて先へと急ぐ。

その後も快進撃は続く。ガウリイは飛びかかって噛みつき、ゼルガディスは素早く動き引っ掻く。アメリアは頭上から急降下して嘴でつつく。
 (こう書くとあまりに強そうじゃありませんが、それぞれの攻撃力が高いもので一撃必殺だったりします)
こうしてあらかた片付けた後、三人は話を聞くために手加減しておいた鬼を取り囲む。
「さあて、お宝はどこかしら」
ショートソードを片手にリナが凄む。
「レゾはどこだ」
とても静かに、しかし大いなる殺気を振りまくゼルガディス。
「命があるうちに答えた方がいいと思うぞ、俺は」
油断なく身構えながらもどこかのほほんとした口調のガウリイ。近くの木の上ではアメリアが
「正義は勝つ!」
と声高らかに啼いている。
「た、宝もレゾ様もア、アジトに・・」
『アジトの場所は?』
声をハモらせアジトの場所を聞き出すと、一斉に駆け出・・さない。リナだけはショートソードを持ち呪文を唱える。
「シャドウスナップ!・・さあ、行きましょうか」


「なあリナ」
「なあに?ゼル」
アジトへと向かう途中、ゼルガディスはリナに声をかける。
「あの術、影の位置が変わったりすると効力がなくなるんじゃないか?」
「よく知ってるわね。でも大丈夫。あと1・2時間太陽が動いた位じゃ解けない位置に剣刺しといたから」
「なるほど」
「見えました。あそこです」
空を飛ぶアメリアがいち早くアジトを見つける。

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1109昔話桃太郎7アップル E-mail 1/16-16:02
記事番号996へのコメント

遅くなりました。待っててくれた方、ありがとう。
別に待ってなかった方、どうぞそのまま進んで下さい。

☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

ようやくたどり着いた鬼達のアジト。鬼の残党やレゾを警戒しながら四人は洞窟を進み、
「お宝みっけ!!」
叫ぶリナに答える声は後ろからかかる。
「それを持ち出すのは私を倒してからにしてもらいましょうか」
慌てて振り返るリナ達。
「姿を見せてからも気配を感じさせないのか」
この時ばかりは、さすがのガウリイも声に焦りが出る。
「いよいよ真打ち登場ってところね」
うそぶくリナだがその頬には一筋の汗が伝う。
「皆さんようこそいらっしゃいました、我が鬼ヶ島へ。どうぞごゆっくりしていって下さい。どうせ生きては帰れないのですから」
レゾの言葉に、リナは湧いてくる恐怖を押さえるように大声で言い返す。
「だったら!私たちが鬼ヶ島から生還した第一号になってやるわよ!」
「それはそれは頼もしい限りで・・・おや?そこの猿、見覚えがありますね」
レゾは、殺気をみなぎらせるゼルへと視線を移す。
「忘れたとは言わせないぞ!」
「あぁ、思い出しましたよ、ゼルガディス。私に逆らったりするからそんな情けない格好になったするんですよ」
笑いながら言うレゾにアメリアがびしっと指を・・いえ、翼を指す。
「悪に逆らい、姿を変えられてまでもなお、悪を倒そうというのは正義の証!あなたを倒してゼルガディスさんの姿を元に戻してみせます」
「私を倒して?ふはははは」
「何がおかしい!」
ゼルが怒鳴る。
「何か大きな勘違いをしているようですね。まぁいいでしょう、此処まで来られたご褒美として教えてあげましょうか」
すぅっとレゾの表情が変わる。まるで、とびきりのいたずらを仕掛けた子供のような顔に。
「お前のその姿、ただ単に形を変えただけ、だとでも思っていたんですか?」
「まさか・・」
リナの表情も変わる。絶望へと
「そこのお嬢さん、は判ったみたいですね。そう、ゼルガディスは猿と合成したんですよ」
「!!!」
ゼルガディスはその場にへたり込む。
「さて、どうしますか?私を倒してもゼルガディスは元には戻りませんよ」
まるでリナ達の絶望を楽しむかのようなレゾ。
「そう言われてもね、私の最初の目的は此処のお宝だから」
リナはちらっと宝物へと目を向け、硬い表情ながらもわずかに微笑む。
「俺は嬢ちゃんと一緒にいてやるって約束したからな」
ガウリイは牙をむく。
「先程も言いましたが!悪を倒すことが正義の使者たる私の使命!」
アメリアはぐっと拳を・・って出来ないからキッと睨む。
「俺は・・俺は、お前を倒す!そのために此処まで来たのだから」
「たとえ元には戻らなくても?」
「それでもだ!」
「そうですか。では、始めましょうか」
レゾを取り巻くどす黒いオーラのような物が、一層濃くなる。

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1111昔話桃太郎8アップル E-mail 1/16-16:04
記事番号996へのコメント

☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

戦いは圧倒的だった。リナ達がそれぞれに傷を負う一方、レゾはかすり傷程度なのだ。
「くくく、もうお終いですか?ではそろそろ死んでもらいましょうか」
レゾはリナへと歩み寄る。リナは何とか逃げ出そうとするが、思うように体が動かない。
ガウリイとゼルガディスも足をやられ、アメリアは翼を痛め、飛ぶことが出来ない。
「それではごきげんよう」
レゾは錫杖を振り上げる。
避けられない!!
思わず目を伏せるゼルガディスとアメリア。
「ぐっ・・・ぐぁぁ・・・ぐわぁぁぁ!!」
ガラン!錫杖を落とし、レゾは頭を抱える。
「・・・?・・」
「ぐふっ・・はぁ、はぁ、・・私・・を・・殺・・し・て・くれ」
「どういうことだ」
しかしゼルガディスの呟きに答えたのはリナだった。
「・・・さっきナーガが言ってた。レゾには二つの人格があるって」
「そう、今わ、私が、も、う一人を押さ、えて、い、るから、い、今のうう、ち、に私を
こ、殺、し、て、くれ・・・・がはっ!」
レゾはまた頭を抱える。そして、
「そうはさせないぞ!」
「早く!、い、今のうちに・・私はもう、保たない・・は・・や・く」
相反する言葉が、一つの口から紡ぎだされる。
「分かったわ。みんな、レゾから離れて」

―黄昏よりも暗きもの 血の流れより紅きもの
 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓う
 我らが前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに
 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを
ドラグスレイブ!!!!!!

「ぐあああああああ!!」
「あ、ありが・・と・・・う」      ガゴン!!右の壁が大きな音を立てた・・・
 



「さて、遅くなったけどそろそろ帰りますか」
傷は、薬とリカバリィでなんとかふさぎ、リナは声をかける。ガウリイとゼルガディスはゆっくりと腰を上げる。
アメリアは翼の傷が治りきっていないため、ゼルガディスの方にとまっている。
「重くありませんか?」
「お前一人ぐらいどうって事はない」
おずおずと聞くアメリアにゼルガディスはぶっきらぼうに答える。
「ほらガウリイ、しっかり持ってよ」
「うう」
リナは持ちきれない宝を袋に詰め、ガウリイにくわえさせる。
「結局ナーガ間に合わな・」
「そこまでだ!!」
リナのセリフを遮り、出口の方から声が飛ぶ。そこには、アジトの場所を聞き出したあの鬼が、リナのショートソードを片手に
立ち塞がる。
「レゾ様を倒したようだが、そんなにボロボロになっちまってちゃ逃げ・」
フリーズアロー!!
「ふっ!どうやら私がいないと鬼退治も満足に出来ないようね」
鬼を背後から倒したのは、バイトが終わって駆けつけたナーガだった。
「約束よリナ、お宝の分け前よろしくね」

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1112昔話桃太郎エピローグアップル E-mail 1/16-16:05
記事番号996へのコメント

☆★☆★昔 話  桃太郎☆★☆★

「ここでお別れね」
リナ達が立ち止まった場所は、アメリアと逢ったあの道だ。
「俺はこちらの道を行くとするよ」
ゼルガディスは左の道を指す。
「私はこっちの道ね。それで、あなたはどうする」
リナは反対方向を指し、ガウリイに問いかける。
「そうだなぁ、約束したしリナと一緒にいくよ」
「私はここで養生してます」
アメリアは近くの木を指す。
「みんなそれぞれ道は違うけど、元気に生きていきましょう」
「そうですね」
「あぁ」
「当たり前だ」
こうして、鬼退治の旅は終わった。しかし、4人の旅はここから始まった。



※※※※※※※※※※
ガゴン!!
 レゾを倒した後、洞窟の壁にぽっかりと大きな穴が開いた。
「な、なんだ?」
ガウリイが驚きの声を上げる。
「多分、レゾの力で封印してあったのよ」
リナは辺りを警戒しながら、穴の中へと入っていく。すぐに出てきた。
「それは?」
アメリアは、リナが手に持つ一枚の紙に目を留める。
「どうやらレゾの残した物みたい」
「読んでみてくれないか」
ゼルガディスの言葉に、リナはこくりとうなずく。

―私の名はレゾ。その昔、ここに鬼退治に来た者である。
 私は鬼どもの罠にはまり、魔物に体を乗っ取られてしまった。
 それから幾百年、最近徐々にではあるが「私」を押さえていた封印が解けかけてきた。
 しかしまだまだ「魔物」の力は強く、私は自害することも叶わない。誰か、魔物を倒し私を解放してくれ。
 誰か、誰か、私をもう自由にしてくれ・・・

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1113昔話桃太郎〜後書き〜アップル E-mail 1/16-16:07
記事番号996へのコメント

「後書き」という名の言い訳

この話は去年の暮れ、
「桃太郎って、鬼退治して持って帰ったお宝、持ち主に返してないよね」
と言われたことをきっかけに、
「何かリナと似ているかもしれない」と思い、正月の浮かれ気分も手伝って
軽い気持ちで投稿したのが始まりです。
 当初の予定ではナーガもレゾも出てこない、ごくごく短い話だったんです。
そう、20秒で終わってしまうほど。

 それでは、言い訳と解説をさせていただきます。
第1話
 この頃はまだ、せいぜい2から3話ぐらいで終わる予定だったのに。

第2話
 ルナが吉備団子の入った弁当箱を渡す場面。
 リナ「ちょっと違う話が入っているみたいだけど」
 題名は忘れましたが、やはり昔話で、神様(?)がおじいさん(orおじさん)に、
 いくら注いでも中身の減らない徳利をあげるという話があったので、そこから一寸
 ネタをいただきました。

第3話
 ゼルの一言にリナが吉備団子を投げつける場面。
 「吉備団子アターック!!・・・ばご!」
 この吉備団子、後でゼルかガウリイが食べたとでも思って下さい。

 リナ「お宝の分け前はこちらが8であなたが2」の場面。
 ゼルに同行を求められて、素直に「いい」とは言わないのでは、と思ったんです。
 でも「イヤ」とは絶対に言わないな、とも。
 そこで、一緒に戦うのならそれなりの報酬を払わせようと思い、こうなりました。

第4話
 この話でアメリア登場となりますが、これ以降のアメリアのセリフ。ごめんなさい。
 らしくないのは重々承知です。私にはこれが精一杯なんです。

第5話
 この頃、「話が思い浮かばないよー」「やっぱ投稿しなきゃよかった」なんて思う
 ぐらい煮詰まりました。煮詰まりすぎて焦がしちゃいました。

 ナーガ登場
 最初の設定ではナーガは孔雀でした。しかし孔雀は雄の方が派手で、雌は地味。とい
 うことに気がつき、却下となりました。
 その後、ナーガの格好から、「バニーガールっぽいかな」なんて考え、そのまま黒ウ
 サギにしてしまいました。
 この辺りはサラッと流して読んで下さい。

第6話
 ここでのリナのセリフに、とあるアニメのキャラから取らせてもらった所があるので
 すが、分かる方いらっしゃいます?ちなみに彼女(アニメキャラ)の場合この後、捕
 まってしまうんですが、そこはそれ、リナですから・・・

 その後も快進撃は続く〜急降下して嘴でつつく。の場面。
 この場面、リナの活躍が書いてありません。ごめんなさい、書き忘れました。
 本来なら、
  〜急降下して嘴でつつく。そしてこの人も、
  ファイアーボール!フレアアロー!ボムスプリッド!
 こんな感じにするつもりだったのに。本当にごめん、リナちゃん。

 シャドウスナップについて。
 後になって考えました。「先にかけとけば良かったんだ・・・・うわっ私ってバカ」
 もう一つ。術の効力について。
 この辺は完璧に想像です。本当にこういうことがあるのか、確認できていません。

第7話
 何で鬼のレゾが、ゼルの姿を変えたりいろいろできるのか。
 そこはやっぱりレゾだから・・・答えになってませんね。この後でも書きましたが、
 レゾは元々人間だった、ということと取り憑いた魔物の力により、こういう事ができ
 るのだとお考え下さい。

第8話
 レゾがドラグスレイブで倒れた理由。
 いくら何でもここでギガスレイブを撃つわけにはいかないということと、このレゾは
 「鬼」や「魔物」であっても「魔王」ではないので、そこまで強くはないから。

 ナーガの報酬。
 フリーズアローによって凍ってしまったショートソードの事をいろいろと言われ、
 結局、借金ゼロにするということで折り合いがついた。

とりあえずこんな所かな。どうしても納得がいかない所があったら言って下さいね。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。