◆−ON THE WAY HOME 〜AMNESIAC1〜−海月 水 (2002/10/5 01:25:34) NEW No.10273 ┣Re:ON THE WAY HOME 〜AMNESIAC1〜−ドラマ・スライム (2002/10/5 10:01:35) NEW No.10278 ┃┗ありがとうございます^^−海月 水 (2002/10/5 17:53:17) NEW No.10312 ┗〜AMNESIAC2〜−海月 水 (2002/10/6 01:25:21) NEW No.10326 ┗Re:〜AMNESIAC2〜−ドラマ・スライム (2002/10/6 09:15:12) NEW No.10331
10273 | ON THE WAY HOME 〜AMNESIAC1〜 | 海月 水 | 2002/10/5 01:25:34 |
はっじめまして〜。海月 水(うみづきみな)といいます。くらげとか、みずとか読まないで下さいね(笑顔(ォィ って、すいませんね、私、丁寧語っていうのが出来なくて、ふつーの口調になっちゃうときがしばしばあるけど、笑って許してくださいな。 えーっと、えーっと・・・。簡単に説明します。ON THE WAY HOMEは帰路という意味として考えて貰えれば嬉しいです。 前振りばっかりで続きそう(汗 じゃあ、お話いっきまーす。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ いつも通りに盗賊団のアジトで憂さ晴らし。という名目で一行は盗賊いじめを決行していた。 「火炎球(ファイヤー・ボール)!」 自称天才美少女魔道士の手から放たれる赤い光。殺傷能力の高い光は一気に盗賊との間合いを詰め、盗賊の足元で爆発した。 上に浮いた盗賊達をそのまた上にいた、自称正義の使者が風の魔法で地面に叩きつける。 「魔風(ディム・ウィン)!」 見事なコンビネーション。が、一人は仲間を犠牲にすることもしばしば。 「ふっふっふ。さぁて、お宝はどこ!? 早く白状しないともう一度ふっとばすよ?」 すごい怖いことを真顔で言う栗色の髪の少女。もう一度魔法を放とうと手の中に光を集める。 その瞬間、怯えを含んだ声で慌てて答える盗賊達。 「あの…、あの家の中だっ」 「あ、そう?ありがとっ」 呪文が完成している術を消すことは出来ない。ぽいっと光を捨てて、盗賊が吐いた宝のありかに向かって一直線に走っていく。その為、魔法を飛ばした場所に黒髪の少女がいるとは思っても見なかった。 ズドォン。 一撃で気絶し、悲鳴もなく飛んで行く。それにもう一人の少女が気づいたが、その時は、もう遅かった。 「アメリアッ!!」 叫ぶが黒髪の少女は、虚しく空から落ちて行く。その落ちて行った場所が地面で無かったことは幸いしたが、海であったことが災いした。波に流されて浜辺に流れ着いたかと思ったが、浜辺に人の姿はなかった。 ON THE WAY HOME AMNESIAC(記憶喪失) 1 「目が覚めたか?」 天井がぼやけて映る。 「悪かったな。天蓋付きのベッドでなくて」 なにも言わず天井を眺めている少女をどう思ったのか、皮肉の言葉を投げた。だが 、少女は反論することなくぼーっと天井を眺めつづけた。 流石になにも反応が無ければ誰でも心配するもの。少女を助けた若草色で短い髪の女性も例外ではなかった。 「どうした?なにか痛いところでもあるのか?」 心配げに聞く女性の声にやっと少女は反応を見せる。ゆっくりと顔を向ける。蒼い瞳が不安そうにゆらゆらと揺れている。 「ここは…?」 「私の家だ。と、言っても正確な場所は分からんか。 ここは、ラルディーク王国の外れ。ディルス王国寄りに私の家は建っている。これで、質問の答えは良いかな?」 的確、そして正確に答える女性。だが、少女の瞳に依然変わりはなく、遠いどこかを見ているかのように目の焦点も合ってはいない。 「貴方は、誰…?」 「私か?私は、元カルマート公国の元老騎士と呼ばれたフィン=アグネス。だが、名前は女々しくて嫌いだ。アグネスと呼んでくれることを願うが」 さらりと言った台詞。驚くかなにかの反応を見せると思っていたが、反応は無い。それどころか、もう一個質問をしてくる。フィン…いや、アグネスにも分からない質問を。 「私は誰でしょう…」 「は?」 まさかそんな質問をされると思わなかったアグネスは素っ頓狂な声を上げ、目を丸くした。 「で、覚えていることはどのくらいだ?」 「セイルーンから来た事ぐらいしか…」 アグネスの部屋にあった神官用の服を着て、名無しの少女は俯きながらか細い声で答えた。 「名前も思い出せないなんてな。断片的には覚えていないのか?」 「ア……リ……。分からない…」 「アリ…ねぇ。セイルーンから来たと言ったな。だったら、セイルーンの姫さんの名前を少し拝借して『アリア』でどうだ?君の言った言葉もきっちり混ざっているだろう?」 「アリア…ですか…」 ──どこかで聞いたことのある名前。 そう思ったが、どんな人物なのかも思い出せず、疑問を頭から払った。 ──でも、自分の名前じゃない…。 それだけははっきりと頭の中にあった。近いような名前のような気もするが、ズキンと痛みが走って頭の中に白い霧のようなものが掛かる。 「無理に思い出さなくても良い。だが、名前が無いと呼ぶときに困るだろう?」 「…そうですね。では、アリアという名前で呼んでください」 アグネスの言葉に納得して、少女は『アリア』という仮の名前を自分に付けた。二人の間に友情が生まれ始め、ぐぐぅぅ〜。と、どこぞの黄色い生物のような声が上がった。 どこから聞こえたのかを把握した瞬間、堪えきれずアグネスは豪快に笑った。 「腹が減っては戦は出来ぬ、か。まずは、なにかを食べてからこれからどうするかを決めるか?アリア」 「そ、そうですね…」 少々、顔を赤く染めながら少女、アリアは答える。 すぐにアグネスは立ち上がり、食事の準備を始める。アリアも自分だけ待っていることは出来ない。と言い、アグネスの手伝いのため台所に立った。 だが── 「熱ッ!」 熱された鍋を持とうとしたが、持つところも熱くなりすぎていたらしくアリアは反射的に右手で右の耳たぶを触った。 「いいか?こういう熱くなったものを持つ時は、布巾かなにかを手ととっての間に挟んで持ち上げるのがベストだぞ」 経験豊富の主婦。という感じにアグネスはアリアに的確な指示を送りながらもきっちり自分の仕事をこなしていく。 「キャ────!」 ぶくぶくと煮立つお湯を目の前にどうしたらいいのかと慌てる。もう、手伝い以前の問題にコンロの使い方も分かってはいない。 「そこのツマミを戻せば火は止まる!」 指示を出すものの、慌てていてアリアの耳には届いてはいない。それを判断したアグネスは自らコンロの火を消しに行った。 「塩はこれですか?」 白い小さな結晶が入ったプラスチックの箱を一個取り出す。どう見てもさらさらしている白いものは塩ではなく砂糖。 「それは、砂糖だ!」 慌てて止めに入るが既に遅し。砂糖を鍋の中へと入れる。 「へ?」 アリアの間抜けな反応。完全に固まってしまった少女の手の中から、砂糖の入った箱が鍋の中へと落ちていった。 「あは…。あはは…。 …すみません…」 「ま、まぁ、気にするな。少しだけ料理を食べる時間が遅くなるだけだ。 さて、もう一度再開するか」 素直に謝る為に怒るわけにもいかず、少々顔が引きつっていく気もしたが、鍋の中身を捨てて、もう一度料理を再開した。 それから数十分後、美味しいパスタが完成した。 ぱくぱくとミートスパを食べながら二人は話を再開した。 「アリア。お前に仲間はいないのか?」 「なははですは?(仲間ですか?)」 質問に対し、口の中にこれ以上入らないぐらいまでパスタを詰め込みながら喋る。その行動を見ながらアグネスは頭を抱えた。こんな食べ方をするのは意地汚いか、それともそうしないと生き残れない場所にいたのか。 答えは分からなかったが、このまま見ているのは耐えがたかった。その為、額に手を当てながらアリアに対して言った。 「…すまないが、口の中に食べ物を入れたまま喋るのは止めてはくれないか?行儀が悪いことこの上ない」 「あ…。すみません…。なぜだか、こうしないと取られてしまう気がして…」 両手で口元を押さえつつか細い声で答える。 どういう状況下に置かれていたかは想像しにくかったが、恐らくかなり食べる人が近くにいのだろう。 そう想像しつつパスタをフォークに絡ませて口へと運ぶ。 「そうだな…。今の潮の流れからすると、アリアはエルメキア帝国方面から流れてきたのは確かな事だ。少しづつ南下していけば、アリアの仲間にも会えるかもな」 全部飲みこんでから壁に掛けてあるこの辺りの地図をフォークで指しながら言う。 「それってどういう…」 「私も行ってあげるということだ。なぁに、ここに居ても退屈な毎日を過ごしていただけだ。それに、か弱い女の子を一人旅ってのも危ないだろうしな。私も元は元老騎士の端くれ。そこいらの騎士よりはずっと役に立つぞ」 「でもっ」 「いいか?人の好意は素直に受けるのが良いんだぞ?私もアリアに好意を持って付いて行ってやると言っている。好意を無視するような真似は良くないぞ」 ──確かに好意を裏切るコトは良くないこと。でも、私の為にアグネスさんまで危険に晒していいの? 頭の中でグルグルと回転していく疑問。もうなにが良いことでなにが悪いことだかも検討が付かなくなってきた。そして、考えがぐっちゃぐっちゃになった頭が出した答えは、単純なものだった。 「じゃあ、行きましょう!」 「よし。支度をしたら即行くか」 「へ?ちょ、ちょっとアグネスさん!?」 「行くんだろう?私も連れていってくれるんだろう? まぁ、これから先、なにがあっても驚きはしない。アリア、共に記憶を探そう」 力の篭った言葉にあがらえる言葉は見つからず、渋々承諾を下した。 手早く支度を整え、二人は準備万端の状態で、フィン=アグネス宅を後にした。 「ねぇ、アグネスさん。アグネスさんは何年騎士の仕事に就いていたんですか?」 家を出てから数分後、突然聞かれた言葉にびくりとした。 アグネスのカッコは家に居たときと大分違う。家の中では半袖のシャツに短パン状態だったアグネスは今は甲冑に身を包んでいる。甲冑といってもそんなに豪勢なものではない。篭手とアーマーを着ている。一見重そうに見える甲冑も布のように軽かった。なんでも、ミスリルに軽くする術を仕込み、マジックアイテムを打つときに加えたとアグネスは説明した。 アグネスの容姿は、家では活発そうな女性に見えたが、今はまるっきり男性にしか見えない。 「20、いや21年だったか?なにしろ騎士団に入ったのは5歳だったからな。私の父が団長で、『自分の身は自分で護れ』という言葉が好きだった所為か、剣術を学ばせられたのだ…」 「ええぇぇぇぇっ!!??ということは、少なくとも26歳以上なんですか!?アグネスさんの年齢は」 「今年で29だ。だが、それがどうかしたのか?」 ぶっ飛びそうな驚き方にアグネスは一歩下がった。 「私、アグネスさんの年齢、20前後だと思ってましたぁ」 9歳も違うぢゃないですか。などと後に付け加えながら両手を顔に当て、どうしたらこんなに若く…などぶつぶつと呟きながら座り込んで真剣に考え始めた。 やはりいつの時代になっても若く在れることが女性の願いなのだろう。私は別に考えないケド。 「ははは。そんなに若く見られていたのか…。私は」 驚きながら言うもののあまり顔には出ていない。もしかしたら、こういう呑気な人の方が若く見られる秘訣なのかもしれないなどと思いながら歩みを進めるアリア。 「私より、アリアは若いじゃないか。まだまだこれからだから大丈夫だ」 「そうですかね…」 少しだけ沈んだ声。それを解消するかのように違う話題を切り出した。 「この道を通って行くとどこに行くんですか?」 フィン=アグネス宅は道から外れた静かな場所に建っている。やっと街道まで出て、地理のことまで頭になくなってしまったアリアはアグネスに尋ねた。 「沿岸諸国連合に行くようにしているが、なにか問題でもあるか?」 「いえ。沿岸諸国連合国へ行ったら、そのままセイルーンに向かいませんか? そこになにかがあるような気がするんです…」 「そうするか。では、次の村で休もう」 遥か前方に見える柵を指差しながらアグネスはアリアにそう告げた。 こくんと頷き、アリアは少し早歩きをして今日休む村へと急いだ。 その姿は、なにかを探すようだった。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 初めてカキコしたばっかりの人が記憶喪失ネタ…。 続くんですけど、最後まで書けるかどうか不安だけど、頑張っていきます! 応援宜しくお願いします(ぺこり) そして、至らないところがあったらご至難下さい。 あー…もう敬語での言葉限界…オーバーヒートォォ……(@@; |
10278 | Re:ON THE WAY HOME 〜AMNESIAC1〜 | ドラマ・スライム | 2002/10/5 10:01:35 |
記事番号10273へのコメント 海月 水さんは No.10273「ON THE WAY HOME 〜AMNESIAC1〜」で書きました。 > >はっじめまして〜。海月 水(うみづきみな)といいます。くらげとか、みずとか読まないで下さいね(笑顔(ォィ はじめまして〜、ドラマ・スライムです。 >って、すいませんね、私、丁寧語っていうのが出来なくて、ふつーの口調になっちゃうときがしばしばあるけど、笑って許してくださいな。 > >えーっと、えーっと・・・。簡単に説明します。ON THE WAY HOMEは帰路という意味として考えて貰えれば嬉しいです。 なるほど >前振りばっかりで続きそう(汗 >じゃあ、お話いっきまーす。 > > > > > >☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ > > > > いつも通りに盗賊団のアジトで憂さ晴らし。という名目で一行は盗賊いじめを決行していた。 >「火炎球(ファイヤー・ボール)!」 > 自称天才美少女魔道士の手から放たれる赤い光。殺傷能力の高い光は一気に盗賊との間合いを詰め、盗賊の足元で爆発した。 > 上に浮いた盗賊達をそのまた上にいた、自称正義の使者が風の魔法で地面に叩きつける。 >「魔風(ディム・ウィン)!」 > 見事なコンビネーション。が、一人は仲間を犠牲にすることもしばしば。 >「ふっふっふ。さぁて、お宝はどこ!? >早く白状しないともう一度ふっとばすよ?」 > すごい怖いことを真顔で言う栗色の髪の少女。もう一度魔法を放とうと手の中に光を集める。 > その瞬間、怯えを含んだ声で慌てて答える盗賊達。 >「あの…、あの家の中だっ」 >「あ、そう?ありがとっ」 > 呪文が完成している術を消すことは出来ない。ぽいっと光を捨てて、盗賊が吐いた宝のありかに向かって一直線に走っていく。その為、魔法を飛ばした場所に黒髪の少女がいるとは思っても見なかった。 > >ズドォン。 > > 一撃で気絶し、悲鳴もなく飛んで行く。それにもう一人の少女が気づいたが、その時は、もう遅かった。 >「アメリアッ!!」 > 叫ぶが黒髪の少女は、虚しく空から落ちて行く。その落ちて行った場所が地面で無かったことは幸いしたが、海であったことが災いした。波に流されて浜辺に流れ着いたかと思ったが、浜辺に人の姿はなかった。 > > > > > ON THE WAY HOME > > AMNESIAC(記憶喪失) > > 1 > > > > >「目が覚めたか?」 > 天井がぼやけて映る。 >「悪かったな。天蓋付きのベッドでなくて」 > なにも言わず天井を眺めている少女をどう思ったのか、皮肉の言葉を投げた。だが 、少女は反論することなくぼーっと天井を眺めつづけた。 > 流石になにも反応が無ければ誰でも心配するもの。少女を助けた若草色で短い髪の女性も例外ではなかった。 >「どうした?なにか痛いところでもあるのか?」 > 心配げに聞く女性の声にやっと少女は反応を見せる。ゆっくりと顔を向ける。蒼い瞳が不安そうにゆらゆらと揺れている。 >「ここは…?」 >「私の家だ。と、言っても正確な場所は分からんか。 > ここは、ラルディーク王国の外れ。ディルス王国寄りに私の家は建っている。これで、質問の答えは良いかな?」 > 的確、そして正確に答える女性。だが、少女の瞳に依然変わりはなく、遠いどこかを見ているかのように目の焦点も合ってはいない。 >「貴方は、誰…?」 >「私か?私は、元カルマート公国の元老騎士と呼ばれたフィン=アグネス。だが、名前は女々しくて嫌いだ。アグネスと呼んでくれることを願うが」 > さらりと言った台詞。驚くかなにかの反応を見せると思っていたが、反応は無い。それどころか、もう一個質問をしてくる。フィン…いや、アグネスにも分からない質問を。 >「私は誰でしょう…」 >「は?」 > まさかそんな質問をされると思わなかったアグネスは素っ頓狂な声を上げ、目を丸くした。 > > >「で、覚えていることはどのくらいだ?」 >「セイルーンから来た事ぐらいしか…」 > アグネスの部屋にあった神官用の服を着て、名無しの少女は俯きながらか細い声で答えた。 >「名前も思い出せないなんてな。断片的には覚えていないのか?」 >「ア……リ……。分からない…」 >「アリ…ねぇ。セイルーンから来たと言ったな。だったら、セイルーンの姫さんの名前を少し拝借して『アリア』でどうだ?君の言った言葉もきっちり混ざっているだろう?」 >「アリア…ですか…」 >──どこかで聞いたことのある名前。 確か11巻ですよね。 > そう思ったが、どんな人物なのかも思い出せず、疑問を頭から払った。 >──でも、自分の名前じゃない…。 > それだけははっきりと頭の中にあった。近いような名前のような気もするが、ズキンと痛みが走って頭の中に白い霧のようなものが掛かる。 >「無理に思い出さなくても良い。だが、名前が無いと呼ぶときに困るだろう?」 >「…そうですね。では、アリアという名前で呼んでください」 > アグネスの言葉に納得して、少女は『アリア』という仮の名前を自分に付けた。二人の間に友情が生まれ始め、ぐぐぅぅ〜。と、どこぞの黄色い生物のような声が上がった。 > どこから聞こえたのかを把握した瞬間、堪えきれずアグネスは豪快に笑った。 >「腹が減っては戦は出来ぬ、か。まずは、なにかを食べてからこれからどうするかを決めるか?アリア」 >「そ、そうですね…」 > 少々、顔を赤く染めながら少女、アリアは答える。 > すぐにアグネスは立ち上がり、食事の準備を始める。アリアも自分だけ待っていることは出来ない。と言い、アグネスの手伝いのため台所に立った。 > だが── >「熱ッ!」 > 熱された鍋を持とうとしたが、持つところも熱くなりすぎていたらしくアリアは反射的に右手で右の耳たぶを触った。 >「いいか?こういう熱くなったものを持つ時は、布巾かなにかを手ととっての間に挟んで持ち上げるのがベストだぞ」 > 経験豊富の主婦。という感じにアグネスはアリアに的確な指示を送りながらもきっちり自分の仕事をこなしていく。 > >「キャ────!」 > ぶくぶくと煮立つお湯を目の前にどうしたらいいのかと慌てる。もう、手伝い以前の問題にコンロの使い方も分かってはいない。 >「そこのツマミを戻せば火は止まる!」 > 指示を出すものの、慌てていてアリアの耳には届いてはいない。それを判断したアグネスは自らコンロの火を消しに行った。 > >「塩はこれですか?」 > 白い小さな結晶が入ったプラスチックの箱を一個取り出す。どう見てもさらさらしている白いものは塩ではなく砂糖。 >「それは、砂糖だ!」 > 慌てて止めに入るが既に遅し。砂糖を鍋の中へと入れる。 >「へ?」 > アリアの間抜けな反応。完全に固まってしまった少女の手の中から、砂糖の入った箱が鍋の中へと落ちていった。 >「あは…。あはは…。 >…すみません…」 >「ま、まぁ、気にするな。少しだけ料理を食べる時間が遅くなるだけだ。 >さて、もう一度再開するか」 > 素直に謝る為に怒るわけにもいかず、少々顔が引きつっていく気もしたが、鍋の中身を捨てて、もう一度料理を再開した。 > それから数十分後、美味しいパスタが完成した。 > > > ぱくぱくとミートスパを食べながら二人は話を再開した。 >「アリア。お前に仲間はいないのか?」 >「なははですは?(仲間ですか?)」 > 質問に対し、口の中にこれ以上入らないぐらいまでパスタを詰め込みながら喋る。その行動を見ながらアグネスは頭を抱えた。こんな食べ方をするのは意地汚いか、それともそうしないと生き残れない場所にいたのか。 > 答えは分からなかったが、このまま見ているのは耐えがたかった。その為、額に手を当てながらアリアに対して言った。 >「…すまないが、口の中に食べ物を入れたまま喋るのは止めてはくれないか?行儀が悪いことこの上ない」 >「あ…。すみません…。なぜだか、こうしないと取られてしまう気がして…」 > 両手で口元を押さえつつか細い声で答える。 > どういう状況下に置かれていたかは想像しにくかったが、恐らくかなり食べる人が近くにいのだろう。 あああのドラま・・・ぐぇ。 > そう想像しつつパスタをフォークに絡ませて口へと運ぶ。 >「そうだな…。今の潮の流れからすると、アリアはエルメキア帝国方面から流れてきたのは確かな事だ。少しづつ南下していけば、アリアの仲間にも会えるかもな」 > 全部飲みこんでから壁に掛けてあるこの辺りの地図をフォークで指しながら言う。 >「それってどういう…」 >「私も行ってあげるということだ。なぁに、ここに居ても退屈な毎日を過ごしていただけだ。それに、か弱い女の子を一人旅ってのも危ないだろうしな。私も元は元老騎士の端くれ。そこいらの騎士よりはずっと役に立つぞ」 >「でもっ」 >「いいか?人の好意は素直に受けるのが良いんだぞ?私もアリアに好意を持って付いて行ってやると言っている。好意を無視するような真似は良くないぞ」 >──確かに好意を裏切るコトは良くないこと。でも、私の為にアグネスさんまで危険に晒していいの? > 頭の中でグルグルと回転していく疑問。もうなにが良いことでなにが悪いことだかも検討が付かなくなってきた。そして、考えがぐっちゃぐっちゃになった頭が出した答えは、単純なものだった。 >「じゃあ、行きましょう!」 >「よし。支度をしたら即行くか」 >「へ?ちょ、ちょっとアグネスさん!?」 >「行くんだろう?私も連れていってくれるんだろう? >まぁ、これから先、なにがあっても驚きはしない。アリア、共に記憶を探そう」 > 力の篭った言葉にあがらえる言葉は見つからず、渋々承諾を下した。 > 手早く支度を整え、二人は準備万端の状態で、フィン=アグネス宅を後にした。 > >「ねぇ、アグネスさん。アグネスさんは何年騎士の仕事に就いていたんですか?」 > 家を出てから数分後、突然聞かれた言葉にびくりとした。 > アグネスのカッコは家に居たときと大分違う。家の中では半袖のシャツに短パン状態だったアグネスは今は甲冑に身を包んでいる。甲冑といってもそんなに豪勢なものではない。篭手とアーマーを着ている。一見重そうに見える甲冑も布のように軽かった。なんでも、ミスリルに軽くする術を仕込み、マジックアイテムを打つときに加えたとアグネスは説明した。 > アグネスの容姿は、家では活発そうな女性に見えたが、今はまるっきり男性にしか見えない。 >「20、いや21年だったか?なにしろ騎士団に入ったのは5歳だったからな。私の父が団長で、『自分の身は自分で護れ』という言葉が好きだった所為か、剣術を学ばせられたのだ…」 >「ええぇぇぇぇっ!!??ということは、少なくとも26歳以上なんですか!?アグネスさんの年齢は」 >「今年で29だ。だが、それがどうかしたのか?」 > ぶっ飛びそうな驚き方にアグネスは一歩下がった。 >「私、アグネスさんの年齢、20前後だと思ってましたぁ」 > 9歳も違うぢゃないですか。などと後に付け加えながら両手を顔に当て、どうしたらこんなに若く…などぶつぶつと呟きながら座り込んで真剣に考え始めた。 > やはりいつの時代になっても若く在れることが女性の願いなのだろう。私は別に考えないケド。 >「ははは。そんなに若く見られていたのか…。私は」 > 驚きながら言うもののあまり顔には出ていない。もしかしたら、こういう呑気な人の方が若く見られる秘訣なのかもしれないなどと思いながら歩みを進めるアリア。 >「私より、アリアは若いじゃないか。まだまだこれからだから大丈夫だ」 >「そうですかね…」 > 少しだけ沈んだ声。それを解消するかのように違う話題を切り出した。 >「この道を通って行くとどこに行くんですか?」 > フィン=アグネス宅は道から外れた静かな場所に建っている。やっと街道まで出て、地理のことまで頭になくなってしまったアリアはアグネスに尋ねた。 >「沿岸諸国連合に行くようにしているが、なにか問題でもあるか?」 >「いえ。沿岸諸国連合国へ行ったら、そのままセイルーンに向かいませんか? >そこになにかがあるような気がするんです…」 >「そうするか。では、次の村で休もう」 > 遥か前方に見える柵を指差しながらアグネスはアリアにそう告げた。 > こくんと頷き、アリアは少し早歩きをして今日休む村へと急いだ。 > その姿は、なにかを探すようだった。 > > >☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ > >初めてカキコしたばっかりの人が記憶喪失ネタ…。 大丈夫です。 面白いです。 >続くんですけど、最後まで書けるかどうか不安だけど、頑張っていきます! >応援宜しくお願いします(ぺこり) >そして、至らないところがあったらご至難下さい。 > >あー…もう敬語での言葉限界…オーバーヒートォォ……(@@; それではよろしくお願いします。 > |
10312 | ありがとうございます^^ | 海月 水 | 2002/10/5 17:53:17 |
記事番号10278へのコメント >>はっじめまして〜。海月 水(うみづきみな)といいます。くらげとか、みずとか読まないで下さいね(笑顔(ォィ >はじめまして〜、ドラマ・スライムです。 こちらこそ、はっじめまして〜。ドラマさんのスレ版FF]は読ませてもらってます。いつか、感想を書きます! >>「ア……リ……。分からない…」 >>「アリ…ねぇ。セイルーンから来たと言ったな。だったら、セイルーンの姫さんの名前を少し拝借して『アリア』でどうだ?君の言った言葉もきっちり混ざっているだろう?」 >>「アリア…ですか…」 >>──どこかで聞いたことのある名前。 >確か11巻ですよね。 そうですね。でも、多分、別人かも(爆) 11巻のアリアさんと、このアリアさん。 >>「…すまないが、口の中に食べ物を入れたまま喋るのは止めてはくれないか?行儀が悪いことこの上ない」 >>「あ…。すみません…。なぜだか、こうしないと取られてしまう気がして…」 >> 両手で口元を押さえつつか細い声で答える。 >> どういう状況下に置かれていたかは想像しにくかったが、恐らくかなり食べる人が近くにいのだろう。 >あああのドラま・・・ぐぇ。 そう、あのドラま…うわわ〜(汗←不意を突かれたらしい。 >>☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ >> >>初めてカキコしたばっかりの人が記憶喪失ネタ…。 >大丈夫です。 >面白いです。 ありがとうございます〜。 面白いと言っていただければ本望です(ぷしゅー…←オーバーヒート寸前(ぇ >>続くんですけど、最後まで書けるかどうか不安だけど、頑張っていきます! >>応援宜しくお願いします(ぺこり) >>そして、至らないところがあったらご至難下さい。 >> >>あー…もう敬語での言葉限界…オーバーヒートォォ……(@@; >それではよろしくお願いします。 こちらもよろしく…おねがい…しますぅ〜〜……。 以上、水ちゃんの発言でしたぁ〜(ぇ |
10326 | 〜AMNESIAC2〜 | 海月 水 | 2002/10/6 01:25:21 |
記事番号10273へのコメント こんばんわ〜。水ちゃんです!(自分でちゃんづけヤメレ) 一番最初の投稿に初投稿と入れた方がよかったのかとただいま苦悩中(嘘) この帰路ですが(英語で書くのが面倒だから、漢字で許して(爆))、キチンと終わるかどうか目処が立ってません! でも、頑張ります。 今回は私と同じく苦悩中(?)の3人組が中心です。 あ、そういえば、カップリングはなにかな? と思ってる人もいると思うので言います。多分、ありません。私の場合はのんびり旅をしている4人組が一番好きだから。 さてと、お話に行きましょうか。 帰路は続くよどこまでも。最終地点はどこですか? それは見てのお楽しみ(キャッチフレーズ?)ON THE WAY HOME、AMNESIAC2スタート! ▽▲ ──沿岸諸国連合国。海沿いにある街は幾つも存在する。その中の一つにソニア・シティという街があった。 豪華な街にだって質素な酒場は存在する。そんな場所に彼らは居た。 ぴりぴりと張り詰めた空気が彼らの場所だけ流れる。先ほどまでケンカしていた中年の男性達もその空気に動かしていた体を瞬時に止めた。なにかが瞬時に告げたのだろう。動いていては危険だと。 「で、詳しく話をしてくれるな?リナ」 一番ピリピリとした空気を纏わせている白ずくめの青年が尋ねる。口元に白いマスクを被って顔を見えないようにしているものの、目の部分はなにもつけていないので異質な皮膚が見える。 「まぁまぁ。少しは落ち付いたらどうだ?ゼル」 この空気の漂う場所に不自然な笑顔で金髪の男性が青年をなだめた。だが、笑顔は少し引きつり額には汗が滲んでいる。 「これをどう落ち付けと言うんだ?ガウリイ」 ギロリ。彼を知らぬ人間ならばすぐに怯えて逃げ出すだろう。が、逃げ出さなかった理由は落ち付きがなくなってしまった青年の本当の姿を、本当の性格をよく知っているからだった。 「…まぁ、あたしが原因だってのは十分承知よ。だけどね、怒りをあたしにぶつけて自らアメリアを探そうとしないわけ?」 今まで黙って聞いていた栗色の髪の少女が怒りを抑えながら言う。普通ならば怒りを抑えきれず、相手の胸倉を掴み掛かって魔法を一発叩き込んでいるはずだが、今回ばかりは自分に落ち度があったと認めて我慢をしているのだ。 「別にそんなことは言っていないだろう。 が、どこから探したらいいのか見当がつかん」 「そうね…」 言ってからマントの内側に付いているポケットからこの辺りの地図を取り出し、ダンと乱暴にテーブルの上に叩きつけた。 「あたし達が行った盗賊団のアジトはここ。海に落ちたんだけど、今の時期は悪いことに潮の流れは反対」 「なに?」 「いつもなら結界の外に続くはずなんだけど、今はライゼール帝国の方につづいてんのよ」 「結界の外に行くよりはマシだろう?」 「で、大体、流れて着いた先はラルディーク王国。でも、あたしはラルディークには行けないわよ。いや、行きたくはないわよ」 「何故だ?」 「い、いろいろとね…。言ったら祟られそうで怖いから言わないわよッ」 強気な彼女がここまで怯えるのは正直言って怖い。それだからこそ聞けなかった。 少しずつピリピリとした空気が抜け──安らかな寝息が二人の耳に届き始めた。無論、今まで話に参加していない金髪の男性の寝息だ。 「ガ…ガウリイ…。 あたし達の真剣な話の最中に寝るな─────ッ!!」 座っていた椅子を持ち上げ、ガウリイの頭の上に落した。どのくらいの痛みが走るのか想像も出来ないが、落した椅子はバラバラになっていることから見て、相当激痛が走ったのだろうと想像できた。 「いっっってぇ────ッ! なにすんだ!リナ!」 涙目になりながら、美形の顔を崩しながらリナに対して抗議する。が、頭にでっかいたんこぶを作ったままだと怒りが湧き上がるどころか、笑いが湧き上がる。 「ふん!あたしの機嫌が悪いときに寝るからバチが当たったのよ」 ぷんすかと怒るリナ。 その怒りの気配が周りにも伝わったのか、近くのテーブルで仲良くランチを食べていたカップルが壁際のテーブルまでランチを持って逃げる。 「だからって椅子を投げることはないだろうが!!」 普通なら弁償ものだが、この酒場の関係者は誰も彼らの元まで辿り着けない。いや、例え辿り着いたとしてもリナの顔を見たらなにも言えなくなってしまうだろう。そこまで今の彼女の顔は怖かった。 「じゃあ、テーブルでも投げろって言いたいわけ?それとも、酒場をふっとばすほどの攻撃呪文が良かったかしらぁ?」 どんどんと低くなっていく声。その声に野次馬は一歩退いた。 「落ち付け。リナ。ここで暴れてどうする。また一つ異名が生まれるだけだぞ」 「う…ッ」 ドラまた。盗賊キラー。生きとし生ける者の天敵。などという異名をもつ彼女にとってはこれ以上異名が増えることは嫌らしい。うめき声を漏らし、一気に大人しくなった。 それにほっとしたのか、動きが止まっていた酒場に活気が戻った。 「それにしてもどうする?ここからラルディークまでは良くて一ヶ月。悪くても一ヶ月半は掛かるぞ」 「しかも、国自体が大きいしすぐにアメリアが見つかる確証もないわね」 このまま見捨てて旅を続ける。という考えが浮かんだ直後、人の心が読めるかのようにゼルガディスが先手を打った。 「リナ。先に言っておくがな、アメリアを見捨てるという考えだけはなにがあっても認めんぞ」 「わーってるわよ!あ、あたしがそんな酷いことすると思ってんの!?ゼルッ」 「の、割にはうろたえてないか?お前…」 「ガ、ガウリイまでなにいってんのよ!このあたしが、妹のように可愛いアメリアを見捨てると本気で思ってんの!?」 「リナの場合は考えられなくもないよな」 「いや。絶対に考えていたはずだ」 「もうっ!そんなこと思ってないってッ!いつからそんなに疑り深くなったわけ!?二人とも」 「いつもの行動を見てるとなぁ…」 ぽつりと言ったガウリイの言葉にリナは少し考え込んだ。自分がいつ、そんな行動をとったのかと。 冥王(ヘルマスター)の時はこいつが"捕らわれのお姫様"になってたはずだからあたしの取った行動は知らない筈だし…。 うーむ。と深く考え込み始めたリナにぽつりとガウリイが言葉を漏らした。 「お前、分からないのかっ? じゃあ、言うが、オレに眠りの術掛けて盗賊いじめに行こうとしているのは誰だ?」 「あ…いや…その…。 あ、ほら!起こしたら可哀想かなぁ。なんて思ってぐっすりと眠れるようにしてあげてるんじゃない!」 「オレが邪魔だから寝かし付けようとしてるんだろうがッ! ほら、ネタは上がってんだ。キリキリ白状しろ!」 なにか他の考えはないか。そうリナが考えている最中に畳み込むように言葉はまだまだ続いた。が、その内容はどんどんと変化していた。 「それになぁ、盗賊いじめの最中に高位の魔族に襲われたら呪文なんて唱える暇がないだろう?オレが付いて護っててやるから、行くときはオレを呼べよ。リナ」 「う、うん…。分かった。ガウリイを連れて行くことにするよ」 何故こんな会話になっているんだろう?と内心思いつつも、話が変わってることはリナにとっては好都合だった。とりあえず、話を合わせていればなにも言われないだろうと。 「話の本題から外れて違う話題に入るな」 横から呆れ返った口調での声にすっかりアメリアのことを忘れていたリナとガウリイは慌てて話を本題に戻した。 「でも、どうするんだ?本当に見つかるとも限らないんだろ?」 「まぁな」 「大丈夫よ!こっちには、アメリア探索機みたいな存在が居るんだからね!」 「ををっ!で、誰だ?その存在」 ずてん。 椅子から派手に落ち、頭を強く打った。ひりひりと痛い頭を抑えながらリナは立ち上がり、よくわからない。という顔をしている二人を見ながらびしっと言った。 「ゼルガディスよ!」 ぐさ。 急にふらりと頭が重くなりテーブルへと重たい頭が落下した。が、顔がテーブルにくっつくことはなかった。針金の髪の毛が木のテーブルに突き刺さった為、それ以上下へは落下しなかったからだ。 が、深く刺さった針金は容易には抜けず、またもや何本かの針金をテーブルに残す結果となってしまった。 「まっさか、自覚無いわけ?」 リナのからかい口調に少々顔を赤く──正確には紫なの?──に染めた。反論してやろうと決意するものの頭の中に反論すべき言葉が見つからなかった。 「少しの自覚はあるみたいね。 ま、セイルーンに行くわけにはいかなくなった今、とりあえずはラルディーク公国へ向かうってことでいい?」 「どうしてセイルーンに行けないんだ?」 ずべ。 今度はリナとゼルガディスの二人がテーブルの上を滑った。まさか、ここまで簡単なことが分からないとは思わなかったのだろう。リナは説明をする気力もなかったが、説明せずにはいられなかった。 テーブルに顔をくっ付けたまま──起きあがる気力はないらしい──呆れた口調で説明し始めた。 「いい?今、アメリアがいなくなっちゃったでしょ?あたし達と旅しているアメリアがいなかったら当然親のフィルさんはオーバーな程に心配するでしょう?だから、行かないのよ」 「行方不明になりましたって正直に言えばいいだろう?」 「…頭をシェイクされるのはヤ…」 多分、胸倉捕まれてがっくんがっくん振られる筈だ。それだけは避けなければ。うん。 心の中でそう誓い、リナはアメリア風にポーズをつけながらカッコ良く次の目的を仲間に告げた。それが、周りの注目を集めることも考えずに。 「アメリアを探すため、ラルディークに向かうわよッ!」 そして、リナの仲間である二人はそのテーブルからすかさず離れた。 ▽▲ ここで一つの疑問が浮上してきましたねぇ。 海に落ちた筈のアメリア嬢がなぜ、山間で発見されたのか。 直にわかりまーす(わからなかったら困るよ。 今回はぷしゅーぷしゅーっと水蒸気が上がる前に退散しましょう(機械? では、シーユーアゲイン!(英語で書け |
10331 | Re:〜AMNESIAC2〜 | ドラマ・スライム | 2002/10/6 09:15:12 |
記事番号10326へのコメント 海月 水さんは No.10326「〜AMNESIAC2〜」で書きました。 > >こんばんわ〜。水ちゃんです!(自分でちゃんづけヤメレ) >一番最初の投稿に初投稿と入れた方がよかったのかとただいま苦悩中(嘘) > >この帰路ですが(英語で書くのが面倒だから、漢字で許して(爆))、キチンと終わるかどうか目処が立ってません! でも、頑張ります。 >今回は私と同じく苦悩中(?)の3人組が中心です。 >あ、そういえば、カップリングはなにかな? と思ってる人もいると思うので言います。多分、ありません。私の場合はのんびり旅をしている4人組が一番好きだから。 > >さてと、お話に行きましょうか。 >帰路は続くよどこまでも。最終地点はどこですか? それは見てのお楽しみ(キャッチフレーズ?)ON THE WAY HOME、AMNESIAC2スタート! > > > >▽▲ > > > >──沿岸諸国連合国。海沿いにある街は幾つも存在する。その中の一つにソニア・シティという街があった。 > 豪華な街にだって質素な酒場は存在する。そんな場所に彼らは居た。 > ぴりぴりと張り詰めた空気が彼らの場所だけ流れる。先ほどまでケンカしていた中年の男性達もその空気に動かしていた体を瞬時に止めた。なにかが瞬時に告げたのだろう。動いていては危険だと。 >「で、詳しく話をしてくれるな?リナ」 > 一番ピリピリとした空気を纏わせている白ずくめの青年が尋ねる。口元に白いマスクを被って顔を見えないようにしているものの、目の部分はなにもつけていないので異質な皮膚が見える。 >「まぁまぁ。少しは落ち付いたらどうだ?ゼル」 > この空気の漂う場所に不自然な笑顔で金髪の男性が青年をなだめた。だが、笑顔は少し引きつり額には汗が滲んでいる。 >「これをどう落ち付けと言うんだ?ガウリイ」 > ギロリ。彼を知らぬ人間ならばすぐに怯えて逃げ出すだろう。が、逃げ出さなかった理由は落ち付きがなくなってしまった青年の本当の姿を、本当の性格をよく知っているからだった。 >「…まぁ、あたしが原因だってのは十分承知よ。だけどね、怒りをあたしにぶつけて自らアメリアを探そうとしないわけ?」 > 今まで黙って聞いていた栗色の髪の少女が怒りを抑えながら言う。普通ならば怒りを抑えきれず、相手の胸倉を掴み掛かって魔法を一発叩き込んでいるはずだが、今回ばかりは自分に落ち度があったと認めて我慢をしているのだ。 >「別にそんなことは言っていないだろう。 >が、どこから探したらいいのか見当がつかん」 >「そうね…」 > 言ってからマントの内側に付いているポケットからこの辺りの地図を取り出し、ダンと乱暴にテーブルの上に叩きつけた。 >「あたし達が行った盗賊団のアジトはここ。海に落ちたんだけど、今の時期は悪いことに潮の流れは反対」 >「なに?」 >「いつもなら結界の外に続くはずなんだけど、今はライゼール帝国の方につづいてんのよ」 >「結界の外に行くよりはマシだろう?」 >「で、大体、流れて着いた先はラルディーク王国。でも、あたしはラルディークには行けないわよ。いや、行きたくはないわよ」 >「何故だ?」 >「い、いろいろとね…。言ったら祟られそうで怖いから言わないわよッ」 えっ? > 強気な彼女がここまで怯えるのは正直言って怖い。それだからこそ聞けなかった。 > 少しずつピリピリとした空気が抜け──安らかな寝息が二人の耳に届き始めた。無論、今まで話に参加していない金髪の男性の寝息だ。 >「ガ…ガウリイ…。 >あたし達の真剣な話の最中に寝るな─────ッ!!」 > 座っていた椅子を持ち上げ、ガウリイの頭の上に落した。どのくらいの痛みが走るのか想像も出来ないが、落した椅子はバラバラになっていることから見て、相当激痛が走ったのだろうと想像できた。 >「いっっってぇ────ッ! >なにすんだ!リナ!」 > 涙目になりながら、美形の顔を崩しながらリナに対して抗議する。が、頭にでっかいたんこぶを作ったままだと怒りが湧き上がるどころか、笑いが湧き上がる。 >「ふん!あたしの機嫌が悪いときに寝るからバチが当たったのよ」 > ぷんすかと怒るリナ。 > その怒りの気配が周りにも伝わったのか、近くのテーブルで仲良くランチを食べていたカップルが壁際のテーブルまでランチを持って逃げる。 >「だからって椅子を投げることはないだろうが!!」 > 普通なら弁償ものだが、この酒場の関係者は誰も彼らの元まで辿り着けない。いや、例え辿り着いたとしてもリナの顔を見たらなにも言えなくなってしまうだろう。そこまで今の彼女の顔は怖かった。 >「じゃあ、テーブルでも投げろって言いたいわけ?それとも、酒場をふっとばすほどの攻撃呪文が良かったかしらぁ?」 > どんどんと低くなっていく声。その声に野次馬は一歩退いた。 >「落ち付け。リナ。ここで暴れてどうする。また一つ異名が生まれるだけだぞ」 >「う…ッ」 暴れなくても生まれるよーな・・・。 > ドラまた。盗賊キラー。生きとし生ける者の天敵。などという異名をもつ彼女にとってはこれ以上異名が増えることは嫌らしい。うめき声を漏らし、一気に大人しくなった。 > それにほっとしたのか、動きが止まっていた酒場に活気が戻った。 >「それにしてもどうする?ここからラルディークまでは良くて一ヶ月。悪くても一ヶ月半は掛かるぞ」 >「しかも、国自体が大きいしすぐにアメリアが見つかる確証もないわね」 > このまま見捨てて旅を続ける。という考えが浮かんだ直後、人の心が読めるかのようにゼルガディスが先手を打った。 >「リナ。先に言っておくがな、アメリアを見捨てるという考えだけはなにがあっても認めんぞ」 おおゼルアメ! >「わーってるわよ!あ、あたしがそんな酷いことすると思ってんの!?ゼルッ」 >「の、割にはうろたえてないか?お前…」 >「ガ、ガウリイまでなにいってんのよ!このあたしが、妹のように可愛いアメリアを見捨てると本気で思ってんの!?」 >「リナの場合は考えられなくもないよな」 >「いや。絶対に考えていたはずだ」 >「もうっ!そんなこと思ってないってッ!いつからそんなに疑り深くなったわけ!?二人とも」 >「いつもの行動を見てるとなぁ…」 > ぽつりと言ったガウリイの言葉にリナは少し考え込んだ。自分がいつ、そんな行動をとったのかと。 > 冥王(ヘルマスター)の時はこいつが"捕らわれのお姫様"になってたはずだからあたしの取った行動は知らない筈だし…。 > うーむ。と深く考え込み始めたリナにぽつりとガウリイが言葉を漏らした。 >「お前、分からないのかっ? >じゃあ、言うが、オレに眠りの術掛けて盗賊いじめに行こうとしているのは誰だ?」 >「あ…いや…その…。 >あ、ほら!起こしたら可哀想かなぁ。なんて思ってぐっすりと眠れるようにしてあげてるんじゃない!」 >「オレが邪魔だから寝かし付けようとしてるんだろうがッ! >ほら、ネタは上がってんだ。キリキリ白状しろ!」 > なにか他の考えはないか。そうリナが考えている最中に畳み込むように言葉はまだまだ続いた。が、その内容はどんどんと変化していた。 >「それになぁ、盗賊いじめの最中に高位の魔族に襲われたら呪文なんて唱える暇がないだろう?オレが付いて護っててやるから、行くときはオレを呼べよ。リナ」 >「う、うん…。分かった。ガウリイを連れて行くことにするよ」 > 何故こんな会話になっているんだろう?と内心思いつつも、話が変わってることはリナにとっては好都合だった。とりあえず、話を合わせていればなにも言われないだろうと。 >「話の本題から外れて違う話題に入るな」 > 横から呆れ返った口調での声にすっかりアメリアのことを忘れていたリナとガウリイは慌てて話を本題に戻した。 >「でも、どうするんだ?本当に見つかるとも限らないんだろ?」 >「まぁな」 >「大丈夫よ!こっちには、アメリア探索機みたいな存在が居るんだからね!」 >「ををっ!で、誰だ?その存在」 > ずてん。 > 椅子から派手に落ち、頭を強く打った。ひりひりと痛い頭を抑えながらリナは立ち上がり、よくわからない。という顔をしている二人を見ながらびしっと言った。 >「ゼルガディスよ!」 > ぐさ。 > 急にふらりと頭が重くなりテーブルへと重たい頭が落下した。が、顔がテーブルにくっつくことはなかった。針金の髪の毛が木のテーブルに突き刺さった為、それ以上下へは落下しなかったからだ。 > が、深く刺さった針金は容易には抜けず、またもや何本かの針金をテーブルに残す結果となってしまった。 >「まっさか、自覚無いわけ?」 > リナのからかい口調に少々顔を赤く──正確には紫なの?──に染めた。反論してやろうと決意するものの頭の中に反論すべき言葉が見つからなかった。 >「少しの自覚はあるみたいね。 >ま、セイルーンに行くわけにはいかなくなった今、とりあえずはラルディーク公国へ向かうってことでいい?」 >「どうしてセイルーンに行けないんだ?」 >ずべ。 > 今度はリナとゼルガディスの二人がテーブルの上を滑った。まさか、ここまで簡単なことが分からないとは思わなかったのだろう。リナは説明をする気力もなかったが、説明せずにはいられなかった。 > テーブルに顔をくっ付けたまま──起きあがる気力はないらしい──呆れた口調で説明し始めた。 >「いい?今、アメリアがいなくなっちゃったでしょ?あたし達と旅しているアメリアがいなかったら当然親のフィルさんはオーバーな程に心配するでしょう?だから、行かないのよ」 >「行方不明になりましたって正直に言えばいいだろう?」 >「…頭をシェイクされるのはヤ…」 > 多分、胸倉捕まれてがっくんがっくん振られる筈だ。それだけは避けなければ。うん。 > 心の中でそう誓い、リナはアメリア風にポーズをつけながらカッコ良く次の目的を仲間に告げた。それが、周りの注目を集めることも考えずに。 >「アメリアを探すため、ラルディークに向かうわよッ!」 > そして、リナの仲間である二人はそのテーブルからすかさず離れた。 > > >▽▲ > >ここで一つの疑問が浮上してきましたねぇ。 >海に落ちた筈のアメリア嬢がなぜ、山間で発見されたのか。 >直にわかりまーす(わからなかったら困るよ。 では明かされる日を待ってます。 > >今回はぷしゅーぷしゅーっと水蒸気が上がる前に退散しましょう(機械? >では、シーユーアゲイン!(英語で書け ではさようなら〜 |