◆−森のくまさん(ゼル&リナ)−マイヤー (2002/10/15 12:48:08) No.10642 ┣Re:森のくまさん……(笑)−エモーション (2002/10/15 22:23:40) No.10662 ┃┗Re:森のくまさん……(笑)−マイヤー (2002/10/16 01:01:45) No.10666 ┗Re:森のくまさん(ゼル&リナ)−渚 (2002/10/31 17:46:11) NEW No.10945
10642 | 森のくまさん(ゼル&リナ) | マイヤー E-mail | 2002/10/15 12:48:08 |
スレイヤーズ二次創作小説 【 森のくまさん 】 秋の夜長とは良く言ったもので… 「あああ〜〜退屈ぅ!」 .............. 雄たけびをあげてみたけれど、誰も反応してくれない。 ガウリイは床に散乱したワインの瓶を枕に寝息をたてているし、アメリアは 部屋に唯一備えられているベッドを占領して、むにゃむにゃ寝言を言っている。 そう、今日は何をきっかけにしたかは忘れたけど、何時の間にか呑みくらべ大会に なってしまったのだ。で、この惨状。酒臭い、気だるい空気が部屋中に充満し、 飲み干したワインの瓶やらコルクやら、はたまたつまみの残骸やらが、我が物顔に 床を占領している。 あ〜あ、こりゃ片づけが面倒だ…ってあたしがするわけじゃないけど。 もちろん、今酔いつぶれている奴等にやらせるにきまってる! 自慢じゃないが、あたしは酒には強い方だ。なんせ子供の時から目を盗んでは、 台所からちょびちょびと…ってそんなことはいいとして、そういやゼルは どうしたんだろう? 確か、二時間ぐらいは顔色も変えずぐびぐびバーボンを空けていたはずだけど… ◆ 「まだ呑んでたのか…」 あ、呆れ顔。半開きのドアから、じと目でこっちを見やる白の魔剣士。 「ゼル! あんたどこにいたのよ。呑みくらべになんなかったじゃない」 そう、何時の間にかゼルがいなくなって、あたしとガウリイ、アメリアの三人で 呑みまくる展開になっていたのた。あたしと酒量でためをはれるのって、 ゼルぐらいのもんだから、彼がいないといまいち(あたしとしては)盛り上がらないのだ。 「呑みくらべって…お前が二人を潰していた、の間違いだろ。ったく…ものすごい 量の苦情が来たから、宿の人間と、この近所の住民に 『スリーピング』 をかけて 寝かせてきたんだ」 「え? 苦情なんてきたの」 「…お前なあ。あれだけ騒げば…」 大袈裟にため息を吐くゼル。幸せがにげるぞ。 しかしそんなにうるさかったかなあ? 近所中にスリーピングを使うほどだなんて。 確かに、ガウリイが剣をマイクになにかを歌っていた気もするけど。アメリアも 笑顔で髪を振り乱して踊っていたなあ。あれ、何の歌だっけ?ん〜…ガウリイの 自作自演のような気も… まあ、いいか。ゼルのやることはいちいちごもっともなんだし。 ◆ 「あ〜きもちいい!」 「確かに月見酒、ってのはいいもんだな…って、お前、もうそれ以上呑んだら…」 あたしのグラスを取り上げようと、ゼルの手が伸びる。 「わかってるわよ、これはお酒じゃないもん」 あ、信用してないな。あたしからグラスを取り上げ、ゼルが匂いを確かめている。 「… 酒だろ」 「違うも〜ん。 度数14以下はお酒じゃないって、故郷の姉ちゃんが言ってた もん♪」 「おまえの姉さんって一体…。 酔っ払いめ。 明日どうなっても俺は知らんぞ…」 「は〜い♪」 ゼルはちょっと呆れ気味だけど、ちゃんと会話してくれる。 たわいのない会話が心地良い。 あたしたちは、どろどろに散乱した部屋にガウリイ達を置き去りにして、浮遊術で 月の見える丘の上にやってきていた。 恥ずかしそうにかぼそく光る三日月を肴に、二人だけの呑み直し。 ほてった体に時折触れていく秋の風と、傍に座るゼルの呼吸が、 ゆったりと流れている。 ああ、久し振り。 こんなに落ち着いて、心のしわが伸びていく時間が過ごせるなんて。 今まで、なんやかんやと緊張が取れない日々だったからなあ… ふと横を見ると、ゼルが木にもたれて長い足を折りたたみ、膝に顎を乗せて街の 灯を眺めている。 もちろん、手にはバーボンの瓶をしっかり握り締めて。こいつも酒好きね。 そういや、ゼルとこうして二人だけでいるのってなかなかなかったよな… ゼルはどうだか知らないけど、あたしは彼と二人で会話することを、ちょっと 楽しみにしていたりする。 それは、高度な魔法談義や魔道の深遠な歴史など、とうていガウリイにはできない 知的な話題を、思う存分語り合うことができるからだ。 それに、アメリアとだった ら話すのははばかられる、裏世界の小話や、盗賊達の動き、魔族の情報なども気を 遣わずに話すことが出来る。 端的に言えば、「ゼルと話をするのは楽しい」のだ。 「だけどなあ….何を考えているのかいまいち分からないんだよな〜」 「おい、何のことだ?」 「何でもない」 「ふ〜ん。 おい、鼻毛出ているぞ」 「うそっ!」 「うそ」 「……(怒)」 こういう、どーでもいい会話もゼルとすると新鮮に思えるから不思議。 でもレディに「鼻毛」はないでしょ。 一応、礼儀としてすりっぱでぽかりとやっておく。 大袈裟なんだから、痛くないくせに。 ◆ 「なあ、リナ」 「んん?」 「今巻き込まれていることとか、一切忘れて、今一番したいことって何だ?」 ゼルも酔っているのだろうか。とろ〜んとした目で、こっちを覗き込んでくる。 ん〜。見慣れなくってどぎまぎするけど、な〜んか、若い男の子みたいってか、 年相応っていうか、なんか、……思わずくすっと笑ってしまった。 「何がおかしいんだ〜?」 やっぱり酔ってる。語尾が甘く、だらんとしてるよ。 か、可愛い。 気が付いたら、相当数の酒瓶がゼルの向こうに転がっていた。 こいつ、何時の間に…。 「なあ、何をしたい?」 「う〜ん。 そうねえ…特にこれってないけど…」 そういや、目の前のことを片づけていくのにいっぱいいっぱいで、自由に これしたい!ってものについて考えることなかったなあ…。 「だったら、なあ、『森のくまさん特製 ”魔剣士風にっこりポトフ“』を食べに いかないか?」 「……は?」 思いがけないゼルの言葉に、しばし目が点になる。 「旨いんだよ、これが。 子供の時に食べたっきりだけどな〜、北の国の名産なん だ。こう、いろいろ根菜やら肉やらを三日間煮込んで、特製のだしで味付けするん だよ、やわらかくって、旨いぞ〜」 なんともいえないネーミングと、嬉しそうに手振りまで付けて話すゼルの様子が おかしすぎて、あたしは吹き出してしまった。 「ぷっ、あははははは!」 「あ〜、笑ったな! 味はとびっきりなんだぞ!」 むきになって声を荒げるゼル。 はは、こんなに感情を表に出すところ初めて見たかも。 そのきっかけが『森のくまさん特製 ”魔剣士風にっこりポトフ“』ってのが なんとも間抜けだが。 「で、行くのか行かないのか、どっちなんだ?」 つん、と肘でつつかれ、返事を促される。 「行く! 絶対行くわよ!」 「おう! 絶対行こうぜ!」 あたしの手をとり、指切り拳万をさせるゼルは、まさしく子供そのもの。 こ、こんなに可愛いやつだったとは…。アメリアが見たら卒倒するだろうな。 ふふ、ええもん見た♪ 「よ〜し、約束したぞ」 「うん、ゼルのおごりね♪ 不味かったら三倍返し♪」 「…ったく、さすがというか…あ〜わかった! 絶対旨いんだからな!」 あたしたちは、笑いあいながら、そのまま夜明けを迎えた。 ◆ あの約束が果たされる日は、結局まだこないけれど。 あたしは、楽しみにしてる。ゼルが忘れたかもって? そんなはず…あったらはたいてやる。 でもね、もし忘れられていたとしても、あたしは別にいいかな〜とも思っている。 だって、あの夜の語り合いはそれは楽しかったんだから。 合成獣のこととか、魔族のこととか、現実に絡み付くややこしいことを 取り払った、たわいのないやりとり。 あの後、歌いながら宿に戻っていったっけ。 次の日会ったらポーカーフェイスに戻っていたけど。 あの日のことを話すことは なかったけど、ね。 あたしは、数歩先を行く白いマントに小さく声をかける。 「……約束、楽しみにしているんだからね、ゼル♪」 あ、ゼル、くしゃみした。 ….で、「森のくまさん特製」って、誰が作ってるんだろう?、ま、まさかほんとに くまさん?…なわけないよ…ね? ◇ 読んで頂き、ありがとうございました。お目汚しを... 生まれて初めて描いたSSです。 なんにもない、中身すっか〜の話です。 キャラクター変わってるし。ファンの方、申し訳ないです。 ゼルとリナの組み合わせって、すごく好きでして...。 特にカップリングを意識したわけではありません。ただの、飲み会です。 いつかは、この二人を中心とした長編にも挑戦してみたいです(遠い目)。 2002.10.15 マイヤー |
10662 | Re:森のくまさん……(笑) | エモーション E-mail | 2002/10/15 22:23:40 |
記事番号10642へのコメント こんばんは、はじめまして。 楽しく読ませていただきました。 何と言っても「森のくまさん」!! まさかゼルの口から こんな単語が出てくるとは……(笑) 何故かハ○ッズのクリスマス・テディベアに埋もれるゼルを 想像してしまいました。しかも一番お高い大きいヴァージョンのに……。 >キャラクター変わってるし。 そうでもないですよ。そんなこと言ってたら、私の書いてる話の ゼロスなど、時折完璧に偽者になってます。 >ゼルとリナの組み合わせって、すごく好きでして...。 私の一番はガウリイとリナの組み合わせですが、ゼルとの組み合わせも、 また違った感じで好きだったりします。 ガウリイ相手だとボケと突っ込みか、リナが何かやってる後で、 ガウリイがそれを見守っている、と言う感じなりますが、 ゼルが相手だと「2人とも同じ土俵」にいる感じがするので。 >いつかは、この二人を中心とした長編にも挑戦してみたいです 楽しみにしています。 では、拙いコメントですが、この辺で失礼します。 |
10666 | Re:森のくまさん……(笑) | マイヤー | 2002/10/16 01:01:45 |
記事番号10662へのコメント >こんばんは、はじめまして。 はじめまして!コメントありがとうございます。 >楽しく読ませていただきました。 そんな...感謝の言葉もないです。 >何と言っても「森のくまさん」!! まさかゼルの口から >こんな単語が出てくるとは……(笑) >何故かハ○ッズのクリスマス・テディベアに埋もれるゼルを >想像してしまいました。しかも一番お高い大きいヴァージョンのに……。 かわいいゼルを目指してみたんです(笑)。ちょっと強引でしたが... ハ○ッズのテディベア...かなりお高いですよね。 テディベアに包まれるゼル、かなりツボにきました。 クリスマスプレゼントはぜひ、そのセット?でお願いしたいです。 >私の一番はガウリイとリナの組み合わせですが、ゼルとの組み合わせも、 >また違った感じで好きだったりします。 >ガウリイ相手だとボケと突っ込みか、リナが何かやってる後で、 >ガウリイがそれを見守っている、と言う感じなりますが、 >ゼルが相手だと「2人とも同じ土俵」にいる感じがするので。 私も色々な組み合わせを楽しんでいます。スレイヤーズはキャラの個性が 際立っているので、色んなタイプの人間関係が楽しめますよね。 確かに、ガウリイとだと、包容力のある彼にリナが見守られているって いう構図が似合うと思います。 ゼルとは戦友というか、兄妹というか、また違った関係になるような... 今回はガウリイは呑んだくれで、いいとこなしの扱いをしちゃったので 彼ならびに彼のファンの方には申し訳なく思っています。あ、アメリアも。 >では、拙いコメントですが、この辺で失礼します。 いえいえ! 温かい文章をありがとうございました。 エモーション様も小説を書かれているのですね?残念ながら、「書き殴り」さんの HP内検索では見つけられませんでしたが、ぜひいつか拝見させて頂きたいです。 本当にありがとうございました♪ |
10945 | Re:森のくまさん(ゼル&リナ) | 渚 E-mail | 2002/10/31 17:46:11 |
記事番号10642へのコメント はじめまして。渚と申します。 「読みまくれ1」のほうをお邪魔してる未熟者です。 >ガウリイは床に散乱したワインの瓶を枕に寝息をたてているし、アメリアは >部屋に唯一備えられているベッドを占領して、むにゃむにゃ寝言を言っている。 いったい何の寝言言ってんだろ・・・・。気になる。 >そう、今日は何をきっかけにしたかは忘れたけど、何時の間にか呑みくらべ大会に >なってしまったのだ。 アメリアまで・・・・?珍しい。 >確か、二時間ぐらいは顔色も変えずぐびぐびバーボンを空けていたはずだけど… すごいっ・・・・。 >「呑みくらべって…お前が二人を潰していた、の間違いだろ。ったく…ものすごい >量の苦情が来たから、宿の人間と、この近所の住民に 『スリーピング』 をかけて >寝かせてきたんだ」 そんなことしていいのか?って言うかそんなに騒がしかったのかー。 >確かに、ガウリイが剣をマイクになにかを歌っていた気もするけど。アメリアも >笑顔で髪を振り乱して踊っていたなあ。あれ、何の歌だっけ?ん〜…ガウリイの >自作自演のような気も… ををっ!聞いてみたい!! >「だったら、なあ、『森のくまさん特製 ”魔剣士風にっこりポトフ“』を食べに >いかないか?」 なんすか?それ・・・・。 >「……は?」 >思いがけないゼルの言葉に、しばし目が点になる。 >「旨いんだよ、これが。 子供の時に食べたっきりだけどな〜、北の国の名産なん >だ。こう、いろいろ根菜やら肉やらを三日間煮込んで、特製のだしで味付けするん >だよ、やわらかくって、旨いぞ〜」 ゼルがこんなこと言うなんて・・・・。 >なんともいえないネーミングと、嬉しそうに手振りまで付けて話すゼルの様子が >おかしすぎて、あたしは吹き出してしまった。 でも、想像したらなんかかわいい。 >でもね、もし忘れられていたとしても、あたしは別にいいかな〜とも思っている。 >だって、あの夜の語り合いはそれは楽しかったんだから。 こう感じてるリナは乙女ですね。 はー、なんかほのぼのした感じでいいですね。 私も、最近始めたばかりなんで、気のきいたコメントはできなくてごめんなさい。 私も、こんな暖かい作品ができるようがんばりたいです! 今連載中なのは、ギャグナもんで・・・・。 |